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@itan-journ@l praha

『SHAME』ヤリチンの抱える深すぎる闇

        



最近出演作目白押しのイケメン、マイケル・ファスベンダーさん主演の人間ドラマ。

ニューヨークに住むセックス中毒の男性の悲哀こもごもを描いた作品ということで、「アルフィー」みたいなイケメンプレイボーイが散々女遊びをしまくった挙げ句、最後には「俺の人生って何・・・?」と虚しくなるという話かと思いまし たが・・・もしくはメンズ版SATCみたいな感じかと思っていましたが・・・・全然、違う。すご~く深刻な話でした。

主人公はセックス中毒なんですが、プロの女性もしくは行きずりの女としか出来ないという特異体質。彼女らしき人が現れたりはするんだけど、どうしても出来ない。しかし、セックスへの執着はすごくて職場のPCのハードディスクが壊れるくらいポルノ動画を持っていたりするという男性なんですね(で、上司に注意される)。ありゃ〜?私はてっきり、あそこが乾く暇がないくらいブイブイ言わせているプレイボーイの話かと思っていたら、結構・・・病んでいる!!!

そんな男性だけど演じているのが希代のイケメン俳優マイケル・ファスベンダーさんなので「こ、こんなイケメンが・・・一体どうしてこんなにコジラセてしまったのか?!」とイケメンでヤリチンの抱えている闇、思ったよりもずっと深し・・・と、こちらも頭を抱えてしまうわけです。彼の「事後」の顔が全っ然満足そうじゃないのも、一筋縄じゃいかない深淵さを感じさせます。公式HPにあった「せずにはいられない。しても埋まらない」というコピーがまさにぴったり。埋まってないんですよ、満たされてないんですよ、本当の意味で!

とまあヤリチンかつ深みと病みを感じさせる、リスキーで難しい役なので、ヘタクソな俳優がやったら深淵を感じさせることなく普通のヤリチン映画に終わるところですが、 ファスベンダーさんは頑張っています。本作でゴールデングローブを始め色々な賞を受賞しているようですが、 それも納得の演技。イケメンなのに、妹(キャリー・マリガン)にオナ・・・ニー(岩井志麻子風)の現場を押さえられるなんてシーン、いまだかつて他の映画で見たことないですしね (その後「え~ん!もうなにもかのヤダ!」とばかりに、ファスベンさんが大量のポルノ雑誌やアダルトDVD、パソコンまで一緒くたににポリ袋に捨てるシーンが、なんだかとってもとっても切ないのだった)。

キャリー・マリガン演じる妹がマンションに転がり込んで来るんですが、ファスベンさんはこの妹とどうやら過去になんかあった風なんですね(近親相姦的なものかどうかはよくわかりませんが)。彼の変則的セックス中毒の根っこには、妹や家族との確執めいたものが複雑に絡み合っていて、それを一つ一つセラピーしてほぐして行かない限りは、どうも直りそうにないのでは・・・という感じがしました。

キャリー・マリガンは人目を引く美人というわけではないのに、なんだかイケメンとばかり共演している気がします。最近では「ドライヴ」とか。SHAMEではヌードになっていましたが、あまりにリアルさを感じさせる体で、ビックリさせられました(褒めてる)。引き締まってなくてハラも出てる。女の身体と言うよりは太り気味の子供の様な身体だった(だから、なんだか親近感)。ハリウッドの若手女優みんながみんなボンキュッボンでかつスリムって体型じゃないのね~!さすが演技派です(褒めてる)。

以前から騒いでいた洋画におけるボカシ問題ですが、この映画ではもちろんしっかりとボカシ処理がされていました。フランス映画だとわりとボカシなしが多いんですが、何を基準にしているのか気になるところです(その後、ボカシなしの海外版DVDでしっかりと拝ませて頂いたのは言うまでもありません・・・ジョージ・クルーニーのジョーク「マイケル、君はクラブなしでゴルフが出来るね」も納得!)。

ラストは救いのな〜い、もうどうしようもな〜い終わり方。結局、彼を中毒に走らせた原因はなんだったのか?妹は妹で病んでしまっているけど、彼と同じ原因なんだろうか?この二人は一体どうなっていくのだろうか?ファスベンさんに救済の時は訪れるのだろうか?一切の事情がわからないまま、映画が終わる。投げっぱなしっちゃ投げっぱなしな映画なんだけど、もちろん意図的な作りなのでしょう・・・。アート系作品なので、きっとこんな感じのラストが正解なのかもしれませんね。いや〜、でもイケメンニューヨーカーなファスベンさんをずっと見られたのは実に眼福でございました。

余談:ファスベンさんが、会社の上司や同僚と飲みに行ったバーで流れている脱力系のラップ、どっかで聴いたことあるぞ・・・と思ったら、「5時に夢中!」の木曜日コーナー「珍本鑑定団」で使われている曲でした。岩井志麻子さんもこの映画にコメントを寄せていたし、なんだか不思議な繋がりを感じます〜。
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