@itan-journ@l praha

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『エル ELLE』鋼のメンタルを持つサイコパスな彼女



皆様、たいへんご無沙汰しております!現在自主的育休中ですが、お陰さまで我が豚児は日々健やかに成長しております。ところで1本だけ映画の感想アップがまだでした。日本初公開も迫っているようなのでリハビリも兼ねてこの記事を上げようと思います。しかし手を付けたのが約半年前なので記憶が曖昧・・・。そのためイマイチ締まりのない感想文になっていることをお許し下さい。









以下、約半年前の感想文
↓↓↓

ものすご~く変な映画でした。一体どのように表現すれば良いのだろうか・・・サイコ・スリラーぽいんだけどヒロインの感情や行動が複雑なので、一言でサイコ・スリラーですとも言えない様な・・・。ともかく観るに価する映画であることは言えます。監督はポール・バーホーベン、主演イザベル・ユペール、両者ともキャリア最高の高みに達したと評判の映画が、この「ELLE」なのです。

バーホーベン監督は私の勝手なイメージだと「大味で雑なエロい映画を作るヨーロッパ出身の監督」というのがあり・・・。「氷の微笑」とか「ショーガール」とか「インビジブル」とか・・・。「インビジブル」は特殊なお薬で透明人間になっちゃったケヴィン・ベーコンが見えなくなったのをいいことにリビドー全開の好き勝手をしまくるという映画でした(笑)。そのときにキャンペーンで来日したヒロイン役のエリザベス・シューが、あまり評判がよくなかったこの映画について「みんな意外に思うかもしれないけど、バーホーベン監督の映画ではいつも女性の強さが描かれているのよ!」みたいな擁護コメントをしていましたっけ(「ロードショー」で読んだんだっけな)。

「ELLE」は世間の最大公約数的なイメージの「女性の強さ」というのとはちょっと違うかもしれませんが、確かにヒロイン、イザベル・ユペールのメンタルは鋼のよう・・・と思いましたね。子供の頃トラウマ級の大惨事に見舞われているし、仕事も家族も交友関係も問題山積でその上自宅でレイプ被害に合うんですが、ショックをうけたり泣いたり鬱になったりせずにただ淡々と処理して行くんですよ。ああちょっと普通の人じゃないんだな(彼女の周りの人も含めて)ってことはわかるんですが。

このめっぽう強いヒロイン像というのは町山智宏さんの有料Podcastでも語られていて(バーホーベン監督の好みらしい)へえ〜と思いましたが前述したエリザベス・シューのコメントと一致していて、なんだか納得させられたのでした。

この映画には原作小説があってそれはフランス人作家によるものなんですが(なんとあの「ベティー・ブルー」の原作者でもある!つまりそういう作風ってこと)バーホーベン監督は最初アメリカ映画として作ることを考えていたそうで。しかし道徳的に問題があるテーマの映画であり主演を引き受ける女優がいなかったことから、フランスで制作することになったんだそうです。そして名乗りを上げたのがイザベル・ユペール様。本当にフランス女優って凄い。アメリカやその他の国ではドン引きされるような役をバッチコーイ!と引き受けてくれますよね(他にも「アデル、ブルーは熱い色」とか「ニンフォマニアック」とか・・・)。でもフランス映画になったことで、この映画の異常性はスンナリとのど元を通るという感じがします。


ヒロインのミシェル(イザベル・ユペール)は、ある日自宅でスキーマスクを被った男から殴られて強姦されます。しかし警察に届け出ることはせず、そのまま普段通りの生活を続けるのでした。まず 、ここからして普通の映画じゃない。泣き寝入りとかじゃなく、普通に事件現場を片付けて、一応病院に行って、日常生活を続けてるんですよ。ミシェルは猫を飼ってるんですが、事件後にその猫を抱き上げて「あんた、ご主人様のピンチだったんだから、せめて犯人を引っ掻いたりしてくれてもよかったんじゃない?え?」って話しかけるんですよね。確かに飼い猫はずっと事件を傍観していたのでした。このシーン「猫って、いざってとき全然役に立たないんだな・・・」と猫好きには地味に辛かった(笑)。やっぱり防犯には犬?

一方、ミシェルはその後に催涙ガスやハンディサイズの斧を買い求めたりしているので、再発防止の意識はあるようです。彼女の周りの人間関係もかなり複雑で、母親(ジュディス・マグレ)は娘より若い男(ラファエル・レングレ)に夢中になっており、なんと彼と結婚予定。息子(ジョナ・ブロケ)は妊娠中のガールフレンド(アリス・イザーズ)がいるんですが、ファストフードでバイトしており経済的にミシェルに頼らなければならない状況。しかも息子もその彼女も怒りのコントロールが出来ない病気かと思う様なキレやすさで前途多難(しかも息子の彼女は明らかに息子とは人種の違う赤ん坊を出産)。ミシェルは長年の親友でビジネスパートナーのアンナ(アンヌ・コンシニ)の夫ロベール(クリスチャン・ベルケル)とは不倫の関係。唯一問題がなさそうに見えるのは別れた夫のリシャール(シャルル・ベリング)との関係だけです。リシャールには若い恋人のエレーヌ(ヴィマラ・ポン) がいて 、ミシェルは彼女ともうまくやっているのでした。

ミシェルの仕事はビデオゲーム会社の重役なんですが、仕事場でも問題が。ゲームのリリースは大幅に遅れており、彼女に反抗的なエンジニアのカート(ルーカス・プリゾー)に手を焼いています。一方でIT担当のケビン(アルチュール・マゼ)はミシェルに協力的。しかし従業員のほとんどが彼女に敵意を持っているようで、彼女を侮辱するようなアニメーションが会社のパソコンにバラまかれたりとこちらも問題山積。

ミシェルは隣人の夫婦、レベッカ(ヴィルジニー・エフィラ)とパトリック(ローラン・ラフィット)と良好なご近所さん付き合いをしており、暴行事件後も物騒なことが続く自宅界隈で助け合って暮らしています。この旦那さんが感じが良くてまあまあイケメンなんですね。

ミシェルの暴行事件は行きずりの犯行かと思いきや、その後も差出人不明の番号から事件を示唆するSMSが来たり、自宅に何者かが侵入した形跡があったりと(どちらも本当にキモくて、ゾゾゾとするような内容)ミシェルは完全にロックオンされている様です。うわ~、怖いな、怖いな~。普通の映画だったらもう恐怖のズンドコに陥れる様な演出がされるかと思いますが、ミシェルはそこまで取り乱したりしません(自宅シーツの上に残された犯人のものと思われる体液を素手で触れるくらいの神経・・・凄い)。




※ここから犯人バレしますが、最終的なネタバレまではしません。




さて犯人は一体誰なのか・・・?ということなんですが。これはそもそもそういうサスペンスを味わう映画じゃないんですよね。でも気になる。元夫はさすがにマスクを被っていてもわかるだろうから除くとして、会社従業員の反抗的なカートか、それとも好意的なITガイのケビンか。会社でないとしたら元夫の現恋人が誰かを雇ってミシェルを襲わせたとか?一方、このような目にあったミシェルですが若い隣人夫婦の旦那さん、イケメンのパトリックにあらぬ情熱を抱いており彼のことを双眼鏡で見つめながら自慰行為をしたり、パーティーのテーブルの下で彼の脚に自分の脚を絡ませたりとすごいことになっているんですね。どうやらパトリックの方もミシェルのことを意識しているのがわかるので、もう一触即発の状態なんです。しかし色々凄いな。

それと平行して、ミシェルの過去が語られます。彼女のお母さんとの会話からお父さんがまだ生きていて刑務所に入っていることがわかるんですが、一体何の罪で・・・?と思うんですね。実はお父さんは聖職者であったのだけれど、ある夜近所の子供たちを虐殺し、家に帰って少女だったミシェルと家財道具を燃やしているところを逮捕されたというサイコパス殺人者だったのです。子供だったミシェルは事件とは無関係だったのだけれど写真に撮られ、世間から好奇の目を向けられ有名になってしまったのでした。だから冒頭のセルフカフェで見知らぬ老婆(おそらく被害者家族)からコーヒーをぶっかけられるシーンがあったんですね。

そのことを普通のテンションでペラペラと隣のイケメン旦那パトリックに語るミシェル。この一件で警察嫌いになってしまったミシェルは暴行事件を通報しなかったのかなあ、とも思いますね。しかし「その事件、知ってますよ」と言って引かない隣の旦那も凄くないか。パーティーのさなか、ミシェルのお母さんが倒れてしまいそのまま入院することになってしまいます。お母さんは虫の息でミシェルに「お父さんと会ってちょうだい」と頼み、その後亡くなるのでした。

ミシェルがいつものように自宅で過ごしていると、また例のマスク男がやって来るんですね(またかよ!って本当驚く)。今度はたまたま近く似合ったハサミで反撃することに成功し、隙をついて暴漢のマスクを剥ぐと・・・犯人はなんとなんと、ミシェルが懸想していたお隣のご主人、パトリックだったのです!やっぱり&でもビックリ・・・という感じですが、いい感じになっていた二人でセックスしようと思えばいつだってできたのになんでこんな犯罪を犯してまで・・・って思うんですが、パトリックはこういう暴力的で支配的なセックスじゃないと興奮出来ない性癖だったようですね。それで二人は強姦プレイにズブズブとのめり込んで行くのでした。最初は暴漢と被害者だったけれども歪んだ愛欲の世界に・・・?ちょっとペドロ・アルモドバル的ないびつさだけど結局これはこれでハッピーエンドになるのか・・・?と思ったりする訳なんですが。



↑↑↑
ここまで、約半年前に書いた感想



ここから、現在書いた感想

↓↓↓


う~ん、今読み直しても本当に妙ちきりんな映画です。前述した通りサスペンス映画じゃないんだけど、犯人は従業員の反抗的な奴か?ITオタクの奴か?と深夜のオフィスで犯人探しをするシーンはドキドキしたし、ミシェルが夫の現恋人の仕事場に行って彼女と話すシーンなどがキッチリ取られていた為に、この恋人が怪しいんじゃ?などと思わせられたりするんですよ。それからの、犯人はミシェルがオカズにしていた隣の旦那でした!という展開、そして二人でそういうプレイにふけるようなシーンになるので「えええ?」と思ったんですね。まーでもお互いその気があったってことで始まりは犯罪だけどイッツオーライ的な?感じ?いやでも強姦はいかんだろ、ダメ、ゼッタイ!という見る側のモラルを激しく揺さぶってくるんですよ。

それとは別にミシェルの息子の産まれたばかりの子の肌色がなぜか黒いというギャグがあるんですが。これが妙に不思議なことにその赤子が出て来る度になんかだんだん白くなってってる気がするんですよ。最初はどう見てもアフリカ系ハーフだったのにだんだん肌色が薄くなっていってる。マイケル・ジャクソン現象が起きているんですが、そう見えたのは私だけでしょうか。

ズブズブの倒錯的な関係にハマったと思われるミシェルと隣の旦那ですが、ある結末を迎えて二人の関係は終ります。それでラストに向けてはなんだかファミリードラマみたいなほのぼのとした雰囲気になって最後の最後はハッピーエンド。ミシェルのお父さんは彼女が意を決して会いに行く前に自殺してしまうんですが。このミシェルさんが劇中でずっと見せる妙なメンタルの強さというのはお父さんの事件を経たから養われたってことなんでしょうかねえ。それとも父からサイコパスの血を受け継いでいたのか?原語で観たのであまり詳細を拾えてないかもしれませんが、まあそんな感じでした。

しかしやっぱりフランスの熟年世代ってスゲーな、と思う訳ですよ。ミシェルも長年の友人でありビジネスパートナーのアンナの旦那と不倫していたんですから。このメッチャ近しい交友関係内で不倫が普通にポコポコ存在してるってのがマジ?!と思う訳なんですよ。あーもしかして近いからこそ、その中で寝取り寝取られを楽しむという感覚なんでしょうかねえ。そういえば仏映画「みんなで一緒に暮らしたら」でも同じ老人ホームに入っている老女二人が若い頃に同じ男(彼もホーム入居者)と関係していて、今それを知りお互いにビックリ、その後笑い合うというシーンがありましたっけ。

とにかくイザベル・ユペールが素晴らしかったです。サイコパスの娘で鋼のメンタルを持つELLE・・・彼女以外こんな妙ちきりんな役にリアリティーを持たせるのは難しかったのではないかと思うのでした。彼女の何を考えているかわからない顔を見るだけで「ひえ〜、これから一体どうなっちゃうんだろ?」というゲスな期待感が膨らむんですよね。以上、約半年間にまたがった感想文でした。


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Comment

Noriko says... ""
お久しぶりです!
お元気そうでよかったです。

この作品はたぶん地元で上映しない
と思いますが、フランス映画って
やっぱり妙ちきりんなの多いのかな(^^;)

最近、グザヴィエドラン作品何作か観た
んですが、フランス語で怒鳴り合う
シーンが多くて、もうええわ~って
なりました…( ゚д゚)
フランス映画は、元気な時にまた
挑戦したいです(^^;)笑
2017.06.26 22:22 | URL | #- [edit]
aitantanmen says... "Re: タイトルなし"
Norikoさん

コメントをありがとうございます!
お陰さまで元気にやっております。

監督はオランダ人ですがこのフランス映画、かなり妙ちきりんです。
各国で賛否両論を巻き起こしたのもわかるような・・・。
でもフランス映画だから納得、みたいな・・・。一体フランスのイメージなんなんだって感じですが(笑)。

ご覧になったのは「たかが世界の終わり」でしょうか。
ヴァンサン・カッセルが出てるので見てみたいなあ〜と思っているのですが、こちらもやはり体力使いそうなので元気なときですね(笑)。
2017.06.28 00:11 | URL | #- [edit]

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