@itan-journ@l praha

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『メッセージ』ばかうけが授けてくれたものとは・・・






予告編を見たときは「正体不明の宇宙人がやってくるSFか・・・」と思い気に留めていなかったのですが、町山さんのたまむすびPodcastを聞いて「ん?ただのSFじゃないんだ」と認識を新たにし、普段はSFやアクションなど全く見ない知人(「ルーム」を勧めてくれた人)が褒めていたので興味を持ち鑑賞してみました。

夫と一緒に観に行ったのですが彼は普通のSFアクションだと思っていた為、どうやら肩すかしだったようです。「インデペンデンス・デイ」や「マーズ・アタック!」みたいな作品を期待してはダメ!(原題が「Arrival」てのも誤解しやすいのかも)SFな設定で展開する非常にヒューマンでファミリーな映画なのでした(だから「ルーム」絶賛の知人が褒めていたのもわかる) 。夫は「ラストが甘過ぎた」という感想を述べていましたが、まあその気持ちもわからないでもないです。

主人公のルイーズ(エイミー・アダムス)は言語学者。ある日地球に12基のばかうけ、もとい正体不明の宇宙船がやってきます。この宇宙船のビジュアルが日本人には「ばかうけ」に見えると話題になってました。他にも柿の種やハッピーターンなどに見えるという意見があるようです。要は細長い米菓なんですね(笑)。しかし圧倒的マジョリティーは「ばかうけ」で、ポスターに印刷された宇宙船に実際のばかうけを重ねた画像があってフォルムが見事に一致していました。あー食べたい。

で、このばかうけ宇宙船の中に生命体がいて各国は彼らとコミュニケーションを取ろうとします。アメリカでは言語学者のルイーズが軍の偉い人(フォレスト・ウィティカー。相変わらず左右の目が非対称なのが気になる)に頼まれ、物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)らとチームを結成し彼らの目的を探るためコミュニケーションの糸口を探すという導入部です。


※ネタバレ第一段階(ラストには触れず)。


私は通訳以前に、この宇宙人たちとのコミュニケーションが可能なのだろうか?(そもそもコミュニケーションという概念があるのだろうか?)というもっともっと前提のところから真摯にアプローチしていくルイーズの姿に好感を持ちましたね。まあ学者としてはとても若い彼女が(しかも教えている大学も名門ってより普通の私学っぽかった)なぜ大抜擢されたのだろう?もっと大御所で権威ある学者さん が大勢いるのではないだろうか?などとも思いましたが。軍人のフォレスト・ウィティカーが「早く奴らの言ってることを訳せ!」とルイーズにせっつくんですが、ファクトをひとつひとつ積み上げて行かないと解読なんて出来ないんですよね。それを知的に説明するのがよかったです(オーストラリア大陸のカンガルーの話は有名だけど本当の話じゃなかったのか!)。

思い出したのがベネ様主演の暗号解読の映画「イミテーション・ゲーム」でした。ナチスの暗号解読をするために集められた数学者たちの話ですが、1つの規則性を見つけることが解読の糸口になるんですよね。本作は現在が舞台なのでパソコンもあり解析作業はだいぶ楽なはずなんですが、やはり非常に苦労するんです。宇宙人はタコみたいなビジュアルで触手から墨のようなものを出し文字らしきものを出すんですが、その文字が墨絵のようであり、紙のランチョンマットに付いたワイングラスの染みのようであり、なんとも不可解な代物なんですよ。

しかもその文字を引き出すまでにも苦労してるんですね。視覚的な助けがないとということで、ルイーズは紙に自分の「人間」という単語や名前を書き「わたしは、人間。わたしは、ルイーズ」というところからスタートしてるんです。モノには名詞があるってところからの説明。もう気が遠くなりそう!でもそのアプローチしかないわけなんですよ。思えば人間同士だって言葉が異なる人々と初めて接触したときは、そういう試行錯誤を重ねて辞書やフレーズ集を作って行ったんだなあ・・・ と胸アツになるわけです。まあ人間同士だったら「これ美味しいから食べてみて〜」と食べ物をプレゼントとかの方法もあるんですが、相手は正体不明のタコ宇宙人。そんな彼らとコミュニケーションの入口に立つということがとても崇高な使命のように見えて、ルイーズ頑張れ!と応援したくなるんですね。

このミッションの途中途中でルイーズは病気で亡くなった娘との思い出を回想します。赤ちゃんの頃から幼児、ローティーンになるまで様々な思い出がフラッシュバックするんですが、娘との会話から様々なヒントを得るんですね。この娘、家族というのがSF設定の裏に隠された本当のテーマなわけです。ふむふむ、愛する娘との思い出がこの仕事を成功に導くことになるんだろうなあ、とこのときは考えるわけなんですが・・・。



※ネタバレ第二段階(ラストまで)。話がちょっと前後するかもしれません。




少しずつタコ宇宙人たちのリサーチを重ねて行くことにより文字のデータがたまり、墨絵と単語がペアになった簡単な辞書が作られて行くんですよ。これって映画の設定上はどんなロジックになってるんでしょうかね。本当にひとつひとつ意味があって機能するように作られていたらすごいなあと思います(リュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」ではミラ・ジョボビッチの話す宇宙語は適当じゃなく本当に通じるように作ってあり、ジョボビッチはベッソン監督とその言語で話していたと読みましたが。ちなみにベッソンとミラ・ジョボビッチはこれがきっかけでデキており、ベッソンは当時のパートナーのマイウェンと別れている。マイウェンはその後女優兼映画監督になり「モン・ロワ」などいい映画を撮ってます)。

宇宙船はロシア、中国、ベネズエラ、英国、日本の北海道など他の国にも来ており各国が国の頭脳を結集してコミュニケーションを取ろうとしているんですが、誤解と言うか誤訳?が起きてしまうんですね。宇宙人が「武器」という単語を含む墨絵を吐いたので皆に緊張感が走るんです。先走った中国が戦闘態勢を取り他の国も中国に続きそうな勢いになるんです。でも心優しいルイーズとイアンは「武器という単語は1つめの意味の解釈で、他にも意味があるはず」と思うんですね。欧系の言葉なんかだと第一義の他にも色んな意味があって使う状況によって意味が変わっ て来ることがありますが、恐らくそんな感じなのかな?

ここは話の展開上仕方ないと思うんですが、ルイーズとイアンがちょっと優等生過ぎるかな~などと思ってしまいました。得体の知れない宇宙人相手に性善説を疑わないナイーブな人達のようにも見える・・・。ヘビープロテクションの防護服を脱いで宇宙人相手に「ほら、怖くない」とナウシカ的なアプローチもしちゃうんですよ。ブラック・コメディーなマーズ・アタックなんかだと、いの一番に殺されるタイプです(笑)。もちろんそのプロセスでルイーズとイアンの心も近づいて行くんですね。ここは、私的には職場恋愛アコガレを刺激されたのでした(参照作品:「砂漠でサーモン・フィッシング」)。

でもタコ宇宙人はそんな優しい二人に答えてくれる んですよ。アメリカ軍の悪い人たちが宇宙船内に仕掛けた時限爆弾に気付かず、船内で対話を試みる二人を助けてくれるんですね(しかも彼ら一匹?はそのせいで命を失うのだった)。娘との思い出を回想するルイーズは娘の名前「ハンナ Hannah」の由来について思い出します。「ママ、私はどうしてHannahなの?」「前から読んでも後ろから読んでも同じだからよ」そう、ハンナは回文だったのです。それがヒントになったようで、ルイーズの解読にアクセルがかかります。ルイーズは一人で宇宙船の中に向かい、残った一匹と対話をします(この時点ではもう文字を介さずテレパシーのように話が出来る設定?普通に話しているように見えた)。

娘のハンナが「動物の言葉を一緒に研究していたころのパパ(別居中)とママ」の絵を書き、粘土でタコ宇宙人を作っていたシーンがあったので「もしかして・・・?」と思っていたんですが、実は娘ハンナの回想は回想ではなく未来だったんですね。ハンナはルイーズとイアンの娘だったんですよ。で宇宙人が「ルイーズ、君は未来が見える」って言うんですが・・・。えー何それ?とちょっとビックリ。しかも、宇宙人の言葉が字幕で出て来るんですが・・・現地語オンリー!オリジナルと思われる英語字幕が見当たりませんでした。これはキツい!「え、え?」と混乱してしまいました。つまり「武器」と訳された言葉は「道具(未来が見える特殊能力)」みたいな意味合いで使われていたらしいです。紛らわしい!けどルイーズたちの推測は合っていた訳ですね。そういや日本語でも「資格を武器にして転職する」みたいに使いますな。

Wikiのネタバレによると、宇宙人はこの「道具(未来が見える特殊能力)」を人間に授けにやって来たと。なぜなら遠い未来に彼らは人間に助けてもらわなければならない事態になるから、そのときのために・・・ってことらしい。そんで今ルイーズにこの能力を使って戦いを回避させよ、ってことらしい。ふむ。でもちょっと待って、あんたたち宇宙人がこんなふうに正体不明に来たから世界が臨戦態勢になってんじゃないの・・・?とも思うんですが。あと高度な宇宙生命体なら一瞬で「道具」を脳にインストールする方法とかないの・・・?とかも思いますね(そしたら映画が成立しないか・・・)。これは私が語学を勉強する度に常々思ってることで、新しいソフトウェアをPCにインストールするように言語習得も簡単に出来たらなあ〜と思っているからです。しかしその「道具」が運用出来るのは今のところルイーズ一人なわけであって、どうやって継承して行くのだろうか・・・などとも思う。心配し過ぎですかね(笑)。

その「道具」を使ってルイーズが未来を見ると中国の最高指揮命令者のシャン将軍(ツィ・マー)と国際的なパーティーで話すシーンが浮かんできました。シャン将軍はルイーズにお礼を言い「あのときあなたが私に電話をして、亡き妻の最期の言葉を言ってくれなかったら、どうなっていたかわかりません」と言うんですね。それ、それだよ!それ何て言ったの~?ってことなんですが、中国が宇宙人を攻撃する前に聞き出してシャン将軍に電話しなければならない!というハラハラシーンになってました。ルイーズが話す中国語も字幕は出てなかったので意味は不明ですが・・・。原作小説の作者が中国系アメリカ人なんですね。そのせいなのか宇宙人が描く文字は墨絵のようでオリエンタルだし、回文が出て来ることからグルグル回るってことで輪廻転生の哲学を連想させ東洋的なコンセプトがあるのかなあ~とも思いました。ルイーズは中国語を話せる設定なんですが、彼女の中国語はネイティブにはどのように聞こえてるんでしょうかね。

あとはご想像通りですね。シャン将軍がわかってくれて(しかし彼が野暮な人でなくて本当によかったよ・・・)攻撃は中止、ばかうけ12基は宇宙に帰って行ったのでした。さて未来を見たルイーズ、イアンとの間に可愛い娘が産まれますが、イアンとは別れて娘は若くして病気になり他界することは既に知っているんです。それでも、この人生を受け入れますか?ということなんですが・・・。ルイーズはそうすることを望むんですね。ポジティブに描写されていますが、これはかなり辛いんじゃないでしょうか。イアンと別れるのはよくあることだしいいんだけど、娘がってのは・・・辛過ぎる。まあ、それでもルイーズは娘と一緒に生きる時間があることを選んだってことですかね。うん。

私的にはルイーズに未来が見えるってところから、かなりぶっとび設定だな~って思いました。そして帰ってからWikiを見て自分の理解度の確認作業でしたね(笑)。夫が言った通り、ちょっと甘い終り方ってのもわかる。そしてヒューマンドラマとして高評価なのもわかるし、その逆で「ハア?」となっている人がいるのもわかる・・・という作品なのでした。ロッテン・トマトでは現在のところ94%フレッシュですよ。これはちょっと驚き。もっと票が割れてるかと思いました。一方でおファス主演、今こちらの劇場でも多くロードショーされている「アサシンズ・クリード」は現在17%・・・まあこれは予告編からして微妙でしたけど。たぶん観に行かないと思います(笑)。

しかし主演のエイミー・アダムスは最近いい仕事ばかりしてますね。カヴィル氏演じるスーパーマンの彼女だし、トム・フォード様の「Nocturnal Animals (原題)」ではシリアスないい演技もしてるし。「魔法にかけられて」の頃はBSOL映画女優っぽいなって思ってたんですが、アカデミー賞にも何回も何回もノミネートされてるし。本作もオスカーに絡んで来ると言われていますが、どうなるのか楽しみです。

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Comment

krteček says... ""
感想ありがとうございます。
もう一度見たくなりました。
そして、柿の種も食べたくなりました。
2017.01.22 22:51 | URL | #- [edit]
aitantanmen says... "Re: タイトルなし"
krtečekさん

コメントありがとうございます。
この映画お気に召したのですね。私はハッピーターン(粉増量バージョン)が恋しいです。
2017.01.23 17:01 | URL | #- [edit]
krteček says... ""
気に入っているかどうかはまだ分かりません。
上映中のBio Okoでビールも飲んでいたから映画の記憶はあまりないのです。
今度は柿の種だけです(笑)。
2017.01.26 09:45 | URL | #- [edit]

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