@itan-journ@l praha

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『光をくれた人(The Light Between Oceans)』切なく美しいが、もう一歩切り込んで欲しかった





あれは確か去年の正月。ELLEの記事で「別れたはずのマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデルが一緒に年越し?」という記事を読んでビックリしたんでしたっけ・・・。そもそも付き合ってたってことも知らなかったかもしれませんが、その二人の出会いのきっかけになった作品がコレです。その後、ヨリを戻した二人は仲良く連れ立ってオスカー授賞式へ(しかし二人ともノミネートってすごいな)。今も交際が続いている様です。

そんなきっかけになった作品、いったいどんな映画?と調べてみたら「ブルー・バレンタイン」や「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のデレク・シアンフランス監督による切ない夫婦の物語だとか。これは観るしかないと思い鑑賞したのでした。一次大戦後すぐくらいの時代もので原作小説があるそうなので、そのせいなのかタッチは非常に正統派なクラシックスタイルの映画でしたね。役者もおファス、アリシア、レイチェル・ワイズと美しさと実力を兼ね備えた人ばかり。そして話の中身が切ない・・・。非、常~に切ない話なのでした。


第一次世界大戦の激戦からトラウマを抱えて帰って来たトム(マイケル・ファスベンダー)は、オーストラリアの小さな無人島にある灯台守の仕事を得ます。本島で出会った娘イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と恋に落ちて二人は結婚。美しい小さな島で夢の様な新婚生活を送る二人。やがてイザベルは妊娠しますが、流産してしまいます。その後再び妊娠したイザベルですが今度も残念な結果になってしまうのでした。深い悲しみの中で暮らす二人でしたが、ある日ボートが漂着します。その中にはすでに亡くなった成人男性と、泣き声をあげる赤ん坊が入っていたのでした。トムは灯台守としてこのことをレポートしなければならない立場でしたが、イザベルは赤ん坊の世話をするうちに離れ難くなっていきます。ついにトムはイザベルに説得されてレポートをせずに亡くなった男性を葬り、赤ん坊を二人の子として育てることにします。

赤ん坊はルーシーと名付けられ、イザベルとトムの愛情を受けてスクスクと育ちます。ある日、本島の教会で行われたルーシーの洗礼式でトムは墓の前に佇む一人の女性(レイチェル・ワイズ)を目にします。何か気になったトムは彼女が去った後で 墓標を見に行くと、一人の男性と女の子の赤ちゃんが海で遭難して死亡してここに眠っているということ、日付がトムたちのもとにボートが漂着した時期と一致すること発見します。トムはその女性、ハンナの元へ匿名の手紙を送り、赤ん坊は無事で大事に育てられていることを伝えるのでした。ハンナは生きている娘を探そうとしますが・・・。というお話です。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)



前半はトムとイザベルのラブストーリーなんですよね。トラウマを背負ったダークな目をしたトムが明るいイザベルに惹かれていき、文通で愛を育んで行くのがロマンチックに描かれます。手紙を読む二人の背景にある海や空がすごく綺麗。お手紙には、シンプルで飾らないストレートな愛の言葉に溢れているわけなんですよ。ええのう、ええのう!そして手紙の上でプロポーズ &快諾が行われ二人は目出たく結婚するのでした。おファス、最近ではアメコミだったりゲーム原作映画だったりと現実離れしたフィクショナルな役が多かった印象ですけども、やっぱりこういう普通の役も上手いんですよねえ・・・。普通の男にしちゃイケメン過ぎやしないだろうかとも思ったりするんですが、色々あって暗くなった感じがよく出てて全然浮いてませんでしたね。

そして新婚生活が始まるんですが、ここも本当に夢のように幸せに撮られてるんですよ。孤島なので基本自給自足。カントリーライフを送りながらラブラブ、ラブラブする二人の新婚シーンがいっぱい。トムにもよく笑顔が見られるようになりました。まあこの幸せ描写はこの後の二人にやってくる悲しみの前フリなんですが、 だからこそ素晴らしく見えるんですね。イザベルは妊娠初期の嵐の夜、身体に異変をきたして流産してしいます。悲しみにひたる夫婦でしたが、しばらくしてまたイザベルが妊娠します。今度は妊娠中期くらいまで成長しますが、ある日同じように身体に異変が起こりまた残念な結果に。丘の上には産まれなかった子供たちへ捧げられた二つの十字架が刺さっています。その前で佇むイザベル。あまりの悲しみの為か赤ん坊の泣き声の幻聴まで聞こえて来ました。

ところが、それは幻聴ではなく本当に赤ん坊の泣き声だったのです。波間に漂うボートには既に亡くなった男性と泣く赤ん坊が入っていたのでした。赤ちゃんを保護する夫婦でしたが、トムは職務からこのことをレポートしようと灯台へ行こうとし ます。しかしもう少しだけ赤ちゃんと過ごさせて欲しい、というイザベルの願いを聞くことに。やはりというか情が移ってしまい、夫婦はもう赤ちゃんを手放せなくなってしまうんですね。またこの赤ちゃんが可愛いんだ。アイボリーの毛糸で編んだ帽子とかカーディガンとかベビー服も可愛いんですよ。服が可愛いといや、イザベルの服も白や生成りを基調としたロマンチックな服で可愛かったです。

それで夫婦は亡くなっていた男性を埋葬し、女の子にルーシーという名前を付けて自分たちの子として育てることにするのでした。またこの子育てパートも幸せいっぱいに描かれています。子供を望んだものの何らかの事情があって出産できず、よその子を法的に問題のある方法で自分のものとし、愛情たっぷりに育てるというのはちょっと「八日目の蝉」みたいですね。当時はDNA鑑定とかないし、戸籍的な書類も管理が緩かったであろうと思われるので、このまま何もなければルーシーは二人の娘ということで疑いようもなかったことでしょう。

ところがトムはルーシーの産みの母が存在し、彼女もまた夫と娘を失って深い悲しみの中にいるということを知ってしまうのです。ルーシーの産みの母ハンナはドイツ人青年と恋に落ちて結婚しルーシー(本来の名前はグレース)を産みますが、時代柄周囲からの風当たりが強く苦労が多かったことが回想で語られます。それを知り自責の念にかられたトムは、ハンナに匿名の手紙を送り彼女の娘の無事を知らせるのでした。これがきっかけとなり運命は大きく変わって 行くのです。二回も流産をした後に念願の子供を抱くことができたイザベル、ある日突然に夫と子供を同時に亡くしてしまう悲劇に見舞われたハンナ、真実を知ってしまい板挟みになるトム・・・。みんなそれぞれに辛い、それぞれに可哀相、それぞれに切ない。ああー、誰のせいでもないというのになんと過酷な運命なんでしょうか、と思わず空を仰ぎたくなってしまいますね。



※ネタバレ第二段階(最後まで)




ここからは切ないシーンのてんこ盛り。本島で開かれた灯台関係のパーティーでトムと娘を連れたイザベルはハンナと偶然会ってしまうんですね。ハンナは母親の勘とでも言ったらいいのでしょうか、イザベルが連れている娘が生きているとされる自分の子では・・・と思ったようなんですね。ハンナの妹から事件のことを聞いたイザベルもまた、ルーシーが彼女の娘であることを知るのでした。やはりルーシーを本当のお母さんに返した方がいいのではないか、というトムでしたが「もう遅過ぎる」とイザベルは反対します。本来なら情が移る前に心を鬼にして返すべきでしたが、もうルーシーは4歳。今更、イザベルにはこの子を返すだなんて考えられないことでしょう。確かに遅過ぎたのです。

ここから夫婦の秘密がバレるのかバレないのか?というサスペンス要素が加わって来ます。でもトムはきっと本来の状態に戻した方が良いと思っていたんですね。ルーシーが漂着したときのボートにあったフクロウのおもちゃ(ガラガラ的な?)を、ルーシー生存の証拠としてハンナに匿名で届けてしまうんですよ。そしてハンナが警察に通報し 、おもちゃが証拠品として新聞に載ってしまいます。それを見たトムの知り合いの船乗り(昔からトムとイザベルの家に遊びに来ていた)が通報し、警察がやってきてトムは連行されてしまうのでした。ハンナの夫殺害の嫌疑がかけられ拘束されるトム。イザベルとルーシーも引き離されてしまいます。

もともとハンナの夫は漂着していたときから死んでいたんですが、取り調べを受けたイザベルはトムの無実を証明することができませんでした。取り乱していたし、ルーシーと引き離されたことでトムのことを恨んでいたという感じがしました。牢屋にいるトムから送られた手紙も読まずに引き出しに閉まったままです。ここはちょっとイザベルひどいなって思いましたね。トムだって思い悩んでの末やったことだし、そもそもの発端は自分たちが勝手にしたこと。実の母ハンナには娘と暮らす権利があるのは言うまでもないんだし、トムのこと助けてあげなよ・・・あんなにラブラブだったじゃん・・・って思ってしまうんですよね。それにまだ若いんだから子作りだってできるじゃん、とも思いますが流産を二度も経験した立場にないのでこの辺はなかなか簡単には言えませんが・・・。

ハンナの元に返されたルーシーが彼女を母親と認めず(初めて会ったオバさんと同じだから当たり前なんだけど)イザベルの元に帰りたがって泣いたり、灯台へ戻ろうと迷子になったりと本来の状態に戻った側も色々と大変なんですよね。「八日目の蝉」では結局戻された娘が大人になるまで生みの母親とうまく行きませんでしたが。ようやくトムからの手紙を読んだイザベルは彼の元へ走り、警察へ証言をするのでした。この手紙もまた泣かせるんですよ。若干トム自己犠牲が過ぎるし、いい人過ぎるだろ!って思ったりもするんですが。この映画では手紙を読むシーンがいちいち素晴らしかったですね。

それから月日は流れて50年代になります。トムは釈放されまたイザベルと暮らしていたことが示されます。ある日、引退したトムの家に一人の若い女性がやって来ます。それは大人になったルーシーでした。彼女は赤ちゃんの息子をトムに見せに来たのです。イザベルは既に亡くなった後でしたが、彼女が生前にルーシーに宛てた手紙が読まれるんですね。そこには血が繋がっていないけど、大事に愛情深く育てた娘へのメッセージが。ルーシーが幼かった頃の回想シーンもたっぷりで、思わずグっとくるシーンです。結局泣きはしなかったんです が、喉にこみ上げてくるものがありました。ルーシーは4歳まで大事に育ててくれた二人に感謝し、再びトムを訪ねることを約束して帰って行きます。これでEND。

シアンフランス監督、思ったよりもずっと正統派でまとめてきたなって感じでしたね。画面は美しいし、役者はみんな素晴らしいパフォーマンスだし、切なくていい話ではあったんだけども・・・。ちょ〜っと綺麗すぎてフックが足りないんじゃないかな〜という感じがしました。とにかくすべてが美し過ぎたような。夫婦仲や子育て描写やその後の子の奪い合いも通り一遍的といえばそんな感じで、もっとリアルな部分というか観客に「ああ、あるよね・・・」って共感させる部分が欠けていた様な気もしないでもないです。ここがもっとリアルにジャリっとくる感じで描けていれば泣けたのかもしれません。役者陣の表現ポテンシャルは十二分にあるだけにもったいない。お手紙を読むシーンはどれも美しくて素晴らしかったのですが。本編で泣かなかった私ですが、なんと観賞後にトレーラーを見て落涙。自分でもビックリしました。しかしトレーラーの方が泣けるってどういうこと?って感じですが、編集のテンポがよかったからかも。すごく良く出来た予告編だと思います。

ところで最近のニュースでおファスが「しばらく休むつもり」と言っているのを見ました。最近は本当に出ずっぱりだったから、少し休むのもいいでしょうね。これから40歳になるし俳優としての脂が益々のって来るんじゃないですかね。休養後にはもっと人間ドラマに重きを置いた映画にも出て欲しいなと思います。「フィッシュ・タンク」とか「ジェーン・エア」とか「SHAME」とか「危険なメソッド」みたいな作品ですね。あと出来ればこの上なくセクシーで危険な男として、オカズになるような女性向けのエロティック・スリラーみたいなのにも出て欲しいな~、なんて思うのでした(笑)。


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