@itan-journ@l praha

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『バニー・レークは行方不明』ここ最近の中で一番の恐怖



   


町山智宏さんの「トラウマ映画館」でその存在を知り、アメリカ映画特電のPodcastも聞き(もちろんネタバレ前に停止)はや数年・・・。やっと観ることが出来ました。いや~、怖かったですね~(心なしか水野晴夫調)。血なんか一滴もたれないし、幽霊もモンスターもゾンビも殺人鬼も食人族も一切登場しないのに、これだけ恐ろしいとは・・・。昔のアメリカ映画って凄い、と思ったのでした。

まずはオープニングクレジットからして何か怖いんですね。手が出て来て黒い紙(スクリーンと同サイズになっている)を破ると、下からタイトルやクレジットが出て来る。破る、出て来る、というこの繰り返しが何か不穏なムードをかき立てるんですよ。洒落てるんだけど、 なんか怖い・・・。このオープニングは伝説的な有名グラフィック・デザイナー、ソール・バスによるものだそうです。ソール・バスのお仕事について調べてみると日本でもたくさんしていたようで、なんと京王百貨店の紙袋(ブルーのトーンで鳥がたくさん羽ばたいているシルエット)も彼によるものだとか。ひえー、実家の押し入れにいっぱいある!(母親がため込んでいる)そういやあの鳥もソール・バスのテイストかもねえ・・・と思わぬ身近っぷりに驚いたのでした。







舞台はロンドン。アメリカからやってきたばかりの若い女性アン(キャロル・リンレー)は、幼稚園に娘のバニーを迎えに来ました。娘は今日、幼稚園に入ったばかりなのです。しかし、どこを探しても娘の姿が見えません。先生や給食のおばさんに聞いても誰も娘のことを知らないと言う。不審に思ったアンはロンドン先住で特派員の仕事をしている弟のスティーブン(キア・デュリア)に来てもらい、警察を呼んでバニーを探します。ニューハウス警部(ローレンス・オリビエ)が捜査に当たりますが、調べれば調べる程バニーの存在自体が最初からいなかったのでは・・・?という展開に。アンはアメリカから引っ越して来たばかりだったので娘の写真や荷物も手元になかったのでした。それでもアンと弟スティーブンはなんとかバニーを探そうとしますが・・・というあらすじです。


※ネタバレします。


町山さんが「フォーガットゥン」や「フライトプラン」が本作品のフォロワーだと仰っていましたが、それらの映画の結末を知っていても見事に騙されてしまったというか、楽しめましたね。アンを演じるキャロル・リンレーが繊細で少女のように若いしちょっとメンヘルっぽく見えるので、途中からやはり娘の存在は彼女の妄想ではないのか・・・いや、本当に娘がいたのかもしれないけど、アメリカで何かあって娘と別れなければならなかったとか、娘が既に死んでいるとかして彼女は気が狂ってしまっているのでは?というようにも見える。まあ最初から娘が出て来ないので、そういう風に見えても全然不思議じゃないんです。

しかし「フライトプラン」はジョディー・フォスターの娘が一緒に飛行機に乗り込むところがバッチリ映っていたし、窓に指でハートを書いていた跡が浮かび上がるので絶対に飛行機の中にいるってことがわかる作りでした。まあこの映画もつまらなくはなかったけど、やっぱり娘は存在しているってのが観客に提示されているのでジョディー・フォスターが狂っている疑うと言うよりは応援するという感じになっていたと思います(パイロット役のショーン・ビーンが怪しいと思っていたが)。

しかしオリジネーターの本作はヒロインが必死になって娘を探せば探す程、精神バランスを崩してしまった可哀相な人に見える。娘が娘がって言ってるけど本当にいるの?いないの?実は最初からいないんじゃ・・・?というように見事に誘導されるわけです。ヒロインと弟は家庭の関係かなんかで幼い頃から助け合って生きて来ており、姉弟ですが親密すぎてちょっと夫婦や恋人同士のようにも見えるんですね。弟を演じているのは「2001年の宇宙の旅」でボーマン船長を演じたキア・デュリア。顔が美しく整いすぎていてちょっと怖さも感じさせる美男です。顔が整いすぎていて人間離れ、もしくはロボットぽい、というのは「プロメテウス」のマイケル・ファスベンダーみたい。もし「バニー・レークは行方不明」が今から10年以上前にリメイクされたとしたら弟役はおファスで決定だなと思ったのでした。

しかしヒロイン、アンの大家さんのおっさん(ノエル・カワード)がネチャ~っとしてて気持ち悪かったですね。このおっさんがいつの間にかアンの部屋の中に勝手に入り込んでいたり、アンの腕にさりげなく触れようとしたりしてでも触れそうで触れなくて非常にウザキモでした。アン、早く逃げてーっ!って心がザワザワしましたよ。この大家のおっさん、明らかに怪しげなんだけど娘をさらったのは不思議とコイツの仕業ではないという気がしましたねえ。なんでだろう。中の人、ノエル・カワードはもともと脚本家でゲイなんだそうです。でもアンに迫って来る演技は素晴らしいウザキモさでした。彼に助演男優賞を差し上げたい。

あまりにも娘の存在を客観的に証明する物証がなくって途方に暮れるアンですが、ちょっと前に娘の壊れたお人形を修理に出していたことを思い出すんですよ。人形職人のところへ行くのですが、夜の人形修理屋が怖い~!天井まである大きな棚に半裸や腕や脚のもげた人形がズラーっと飾られていて、それがボウっとした光で照らされてるんですよ。まあこれが全部おかっぱの日本人形だったりなんかしたら、もっともっとオトロシイですが‥‥。で、そこでアンは娘の持っていた人形を見つけて喜び、後から来た弟に「あったわ!」と渡すんですが、アンがどこかへ行った隙に弟がその人形を壊してしまうんですね。

あれ~、妙~に変だな~、だっておかしいじゃない、弟だって必死で姪っ子を探していたはずなのに・・・。弟が車のトランクを開けると、そこには眠っている幼女、すなわちバニーの姿が・・・。はい、犯人は弟だったのです!!!そりゃ登場人物は少ないし、犯人は大家のおっさんか、学校の先生たちか、ドンデン返しで実はヒロインかとか思うじゃないですか、もちろん弟もメインキャストなので容疑者になり得るんだけど、なぜか「そう来たか!」と思わされてしまいました。しかし真に恐ろしいのは犯人が弟だと判明した後なんですよ。

弟は姪っ子であるバニーを殺そうとしますが、間一髪でアンがそれを見つけます。「やめてーっ!」と弟とバニーの間に入るのかと思ったら、アンは「そんなところにいたのね!さあ遊びましょう!」と子供に語りかけるように言うのです。そうしたら弟が「うん!何して遊ぶ?」とこれまた子供のように返答します。弟、狂っていました。実は狂っていたのはアンではなく弟の方だったのです・・・。弟は働いているので社会生活を営めるくらい普通の人に見えるんですが、アンに執着するあまり彼女の娘バニーを僕らの邪魔をするいらない子だと思い、手にかけようとしていたのでした。

アンは必死に弟の気をそらすために楽しい遊びを提案します。そのうちにバニーも目を覚まし、三人は夜の庭でスキップをして楽しく遊び始めます。アンはかくれんぼを提案し、弟を鬼にします。ノリノリでカウントダウンを始める弟。その隙を見てバニーを温室に隠して助けを呼びに行こうとするのですが、何故か数を数えていたはずの既に弟が温室の外にいてこちらを見ている!ヒイイイイ!ということで、ここが一番恐ろしかったシーンでした。それに夜の庭でいい大人がキャッキャと遊んでいるのも狂気じみていて怖かった・・・。前述した通り、フィクションの世界では恐ろしい人達がたくさん描かれてますよね。幽霊やモンスターやゾンビや食人族(これは実在してるか。NHK特集見たかったなあ)などなど・・・。でもそんなの現実のすぐ側にいる狂った人間に比べたら全然なんですよ!タガが外れてしまった人間こそが一番恐ろしいのだということを改めて感じたのでした。きっと10年以上前のおファスでリメイクしても見事なマッド演技を炸裂してくれたことでしょう・・・。

アンがブランコに乗って弟に押させているところに、警察が来て一件落着となり一応ハッピーエンドです。すべてを知ったローレンス・オリビエ演じる警部がアン母子に労いの言葉をかけるんですが、そんな落ち着いてる場合かよ!てかお前も今までバニーの存在疑ってたろ!って思ってしまいました(笑)。

最後に、こんな「バニー・レークは行方不明」は嫌だ!というネタです。バニー・レークを演じた子役の名前(スキ・アップルビー)がオープニングクレジットにも表示されているんですが、よく邦画である「◯◯◯◯(子役)」とか「◯◯◯◯(劇団ひまわり)」とかのクレジットだったら、もうその時点でほぼネタバレですね(笑)。


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