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@itan-journ@l praha

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『雨月物語』分不相応な夢を見て大失敗するのはこの世の普遍なり



        
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雨月物語 [DVD]
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久々の名画座です。先月に溝口健二特集が行われており「名前だけは知っている日本映画の巨匠だから、勉強だと思って観に行こう」と観て来ました。私は全然しらなかったのですが、名画座のパンフレットによるとゴダールが溝口の大ファンらしく影響を受けているとのことで、彼のコメントも載っていました。へえ~知らなかった・・・。ということで何本か観たのですが、最初は「雨月物語」です。この古典の名も中学か高校の頃に聞いたことがあるような。平安時代かな?と思ったら江戸時代に作られたホラーアンソロジーみたいな本らしいんですね。各物語の舞台は戦国時代だったりするみたいです。

戦国時代、近畿地方にある村で焼き物を作りながら細々と生きていた農民の源十郎(森雅之)とその妻宮木(田中絹代)。近くには源十郎の妹阿浜(水戸光子)とその夫藤兵衛(小沢栄)が住んでおり、源十郎の仕事を手伝っていました。ある日、戦になり村が焼き払われてしまいます。命からがら逃げた一家は、湖(琵琶湖?)を渡り、栄えている町へ行って焼き物を売ることに。しかし湖には海賊が出ると聞き、妻の宮木とまだ幼い子供は残ることになります。なんとか町へついた源十郎たち。藤兵衛は侍になるという長年の夢が捨てきれず、妻阿浜の静止を振り切って町へ飛び出して行くのでした。一方、道で焼き物を売ってひと財産稼ぐことのできた源十郎ですが、高貴な婦人、若狭(京マチ子)から焼き物を納めることを依頼されて彼女の屋敷へ向かいます。若狭に気に入られ屋敷に留まることを勧められるのですが・・・。



※ネタバレします。




大雑把に言うと源十郎と宮木、藤兵衛と阿浜の二組の夫婦の話で、立身出世や金持ち美女との甘い生活というどちらも夫が分不相応なものに夢を見たりしたおかげで妻も散々な目に合うというストーリーです。だから「そんなことがあるわけないだろ!目を覚ませ!」と思いつつも簡単に足下をすくわれ、そして見事にその後でしっぺ返しをくらう夫たちを見て「ほら~、だから言わんこっちゃない・・・」となるんですね。夫を信じて待っていたり、心配したりしていた妻が本当に可哀相。彼女たちには命を落としたり身体を売ったりという「夫がいたらない為にそこまで?」という転落が待っているのですから。しかしこういった話は設定やシチュエーションやシリアス度合いは異なるものの、現在でも色んなところで起こっている普遍的なもの。だからこそ内外で高く評価されているのでしょう。

広い湖に漕ぎ出すシーンなんかは幽玄で美しく、まるで三途の川のほとりのよう(実際、源十朗と妻にとっては今生の別れとなる)。DVDはどうかわかりませんが、フィルムの状態がものすごく悪くて輪郭がにじんでよく見えなかったり、途中でブツッと切れたりするのも地味に恐ろしかったですね。50年代の映画なんですが、もっと昔に作られているような感じがしました(なんだったら本当に戦国時代なんじゃないか・・・と思うほどリアル)。1953年といえば「ローマの休日」なんかも作られている年です。「ローマの休日」はあんなにコンディションがよくて今もじゅうぶん綺麗な映像なのに・・・やはり戦勝国と敗戦国の違いなのでしょうか。しかし「雨月物語」はそんなフィルムコンディションさえも作品のなんともいえない味になっているような気がしました。

特筆すべきはやはり若狭を演じた京マチ子様ですね。お姫様なんですが実は物の怪であったという設定が難なくなじんでいます(ばあや役の人も怖かった)。京マチ子様って映画によって顔が全然違う様な気がするんですよね。本作だと、おかめのような歴史的な日本の美人(笠をあげてドヤ顔を見せるシーンで「うーん、美人かな・・・。まあ映画の中では絶世の美女なんだろうな・・・」と脳内補正が求められる)。「羅生門 」(50年制作。てか本作よりこっちの方が古いのか!衝撃)では女優の川上麻衣子っぽい感じの上品なアッサリ顔。「楊貴妃」(感想文のちほど)では目鼻立ちがクッキリした現代的な美人。役によって全然印象が違って驚きました。どの役も高貴な婦人という共通点はありますが。

色々と溝口監督についてのエピソードを読むと、かなりエキセントリックというか芸術家肌の方だったんだなと思います。本作で、侍になるといって消えてしまった夫の藤兵衛を探しに行った阿浜が賊に襲われるというシーンがあるのですが、なかなか満足できるテイクが取れずにイライラした監督は阿浜役の水戸光子に「あんたは輪姦された経験がないんですか!」と怒鳴ったとか。こういった仰天エピソードには枚挙にいとまがないようです。こちらで芸術を勉強している友人が国家芸術家(日本で言ったら人間国宝級のすごい方)の先生についてレッスンを受けているのですが、そのような先生方も指導で「ええっ?」と仰天するようなことを仰るそうで、ああやっぱり巨匠ってのは常人とは違う世界に生きている人たちなんだなあ〜と思います。

でもゴダールっていったいどこが溝口に影響されているのだろうか・・・?と不思議でした。この映画自体はなにしろ70年近い前の作品なのでテンポがゆったりしている部分はありましたが、普遍的なテーマと人間の弱さが描かれていて面白かったです。

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Comment

あい says... "五月物語"
あ、五月物語じゃないんですねーいや!ネタバレ見たくない!と思って読もうとしたら(バンサン・カッセルの新作)勘違い…雨月物語ですね( ´∀`)
管理人さんお久しぶりですーお元気ですか?
「あんたはまわされたことないんですか!?」って普通あるわけねーですよねえ
でも言いたくなるくらいイライラしてたんでしょうねえ監督…完璧を目指すの通り越して管理人さんの言う通り違うところ見てるんですかねえ
でも言われてみたいですよね、芸術家に毒舌⭐️まあ私のような庶民は言われないでしょうが笑
芸術深いでーす
チェコの飾り棚可愛いですね!あれかなり良いお買い物したと思います
またチェコの暮らし等、更新楽しみにしてます^_^
2016.11.08 23:14 | URL | #7nYXjm8g [edit]
aitantanmen says... "Re: 五月物語"
あいさん

お元気ですか〜?コメントをありがとうございます。

五月物語?ヴァンサンの新作なんですか?全然知りませんでした。「トランス」以降、ヴァンサン出演作全然追いかけていません・・・(仏映画にも出演していますが字幕なしだと自信なし)。そうそう、友人がボーンシリーズの最新作に出ているらしいヴァンサンについて「クセのあるオヤジ役で当分需要があるな」と申しておりました。

私も庶民ゆえ、巨匠と接する機会はないですが、こういういかにも巨匠なエピソードを聞くのは大好きです。Wikiから拾ったものですが、色々と面白いことが書いてありました。雨月物語は古い映画ですが、もし機会があればご覧下さいませ。

飾り棚褒めて下さってありがとうございます。最近チェコの記事を全然書いていませんが、果たして需要があるのかどうか・・・?上げられたとしてもこれから寒くなるのでお出かけではなく、買い物ネタくらいになりそうですが。冬は本当に嫌です〜!

2016.11.09 04:19 | URL | #- [edit]
あい says... "そうなんですー"
ヴァンサン・カッセルの五月物語、日本では11月25日公開ですよ
世界で初めてのおとぎ話らしいです 何かかなりクセのある映画なので観ようか
迷い中です(こわいこわい)
管理人さんも機会があったらチェックお願いします!中々「ヴァンサン・カッセルの
映画観に行こうよ~」とは言えないですからね・・・
チェコの雑貨特集私は好きですけどね これからますます寒くなってくるので
アウター特集かな^^
風邪にお気をつけください
2016.11.09 12:29 | URL | #7nYXjm8g [edit]
aitantanmen says... "Re: そうなんですー"
あいさん、五月物語じゃなくて五日物語ですね!これ私の住んでる国でも公開されてます。英語の映画みたいだし、チェックしてみます!!ポスター見て「ふーんおとぎ話か」程度の認識でしたが、ヴァンサン出演で英語なら絶対見ます!!!貴重な情報ありがとうございました!!!(ボーンシリーズは最初から全然観てないし、ちょっとマット・デイモンが苦手なのでした)

「ヴァンサン・カッセルの映画行こうよ〜」という誘い文句はあまり聞いたことないですね(笑)。でも私だったら喜んで行きます!チェコネタのリクエストありがとうございます。今年はまだアウター1着も買ってません〜。というか買ったもの記録もずっとつけてませんでした・・・。今更ですがチェスターコートが素敵だと思ったりしています。あいさんもどうぞご自愛下さいね。


2016.11.10 04:28 | URL | #- [edit]
あい says... "失礼しました"
大変失礼しました…五日物語ですね…
管理人さん見るんですね!では私も見ますっ(1人で)(=´∀`)人(´∀`=)
2016.11.11 12:32 | URL | #7nYXjm8g [edit]
aitantanmen says... "Re: 失礼しました"
いえいえ、本当にこの映画のこと知らなかったので、あいさんのお陰で知れてよかったです。感想文は随分先になると思うけど気長にお待ち下さいませ〜。
2016.11.11 16:51 | URL | #- [edit]

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