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@itan-journ@l praha

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『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』キリアン・マーフィー&ジェイミー・ドーナン共演、対ナチスレジスタンスたちの熱きドラマ in プラハ






ナチス占領時代のチェコ・スロバキア(当時)で起きたレジスタンスの若者たちによるナチス高官暗殺事件とその後の戦いを描いた映画です。この映画のことも、元になった歴史上の事件のことも、なーんにもなーんにも知らなかった私ですが・・・。友人のY嬢(戦時下の欧州歴女)がこの映画に誘ってくれたのでした。ネットで検索し「へー、プラハで。へー、こんなことが。でも演じるのはイギリス人なのね・・・。チェコ人を英国イケメン俳優(キリアン・マーフィー&ジェイミー・ドーナン)が演じてくれるなんて光栄じゃあないの」という程度、あとは歴史的事実を軽くWikiで参照した程度で鑑賞しました。

映画館に行く前に、Y嬢が映画のロケ地へ連れて行ってくれました。そこは聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂(外側だけロケ使用。内部はセットらしい)。場所はメトロ/トラムのカルロヴォ・ナーメスティー(カレル広場)のすぐ近くです。大聖堂のあるこの道は車で何度も何度も通っているところ。なんか古い教会があってレリーフの前にいつも花やキャンドルが置いてあるなあ、程度に思っていたのですが・・・。入ってみたところ、聖堂の内部は透明な板で囲まれていて中に入れず手前で見学するだけになっていました。古めかしくて、そこまで大きくはない聖堂です。

その下に半地下のギャラリーがあり、アンソロポイド作戦についての展示がありました(入場無料)。説明パネルと実際事件に関わった人々の靴やカバンなどが展示されています。英語でも説明文があるのですが、あまりにも長文のため読むのをあきらめ写真のキャプションを読んで「ここでレジスタンスたちが命を落としたらしい」とボンヤリとした情報を得た私。Y嬢が「ほら、これが◯◯◯で・・・」と説明してくれるのですが「討ち入りっていうか、忠臣蔵の善悪逆転バージョンみたいな感じ・・・?」とさらにボンヤリしたイメージが出来上がっ たのでした。ギャラリーでは子供たちが描いたアンソロポイド作戦の英雄たちのお絵描きも飾られていて、この国の人々は幼い頃からこの歴史について親しみがある様でした。

そしていざ鑑賞。感想は・・・面白かった、胸アツ、この事件のことを知らなかった自分が恥ずかしい(聖堂の前をよく通っているのに)・・・というもので、教えてくれたY嬢に大変感謝しました。「今までに何度も映画化されてるし、てっきり知ってるのかと思った」と言っていましたが、私は歴史物が苦手。特に戦争ものはほとんど観ていないのです・・・。

ということで、以下自分のメモも兼ねて関連リンクを貼っておきます。
Anthropoid (film) Wikiのページ
エンスラポイド作戦 Wikiのページ
キリアン・マーフィーが演じたヨゼフ・ガプチーク Wikiのページ
ジェイミー・ドーナンが演じたヤン・クビシュ Wikiのページ
ベーメン・メーレン保護領
ラインハルト・ハイドリヒ


以下、導入部あらすじです。

1941年の12月、チェコ亡命政府のエージェントであるヨゼフ・ガプチーク(キリアン・マーフィー)とヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)はパラシュートでナチスドイツ占領下のチェコに潜入する。途中で敵側に見つかるも、ヨゼフの機転で危機をくぐり抜けた二人はプラハへ向けて移動する。プラハでレジスタンスの「アンクル」ことヤン・ゼレンカ ・ハイスキー(トビー・ジョーンズ)とコンタクトを取り、二人はプラハにいるレジスタンスのメンバーに「アンソロポイド作戦」の内容を明らかにする。それは当時ベーメン・メーレン保護領とされたチェコ・スロバキア一帯を統治していたナチス高官のラインハルト・ハイドリヒ(デトレフ・ボス)を暗殺するという作戦だった・・・。アンソロポイド作戦の遂行がナチ占領下欧州の状態を崩すきっかけになるという信念のもと、ヨゼフとヤンはアンクルたちと共に諜報活動に励む。レジスタンスのモラベッツ一家のもとに居候し、家族の友人である若い女性マリエ(シャルロット・ルボン)とレンカ(アンナ・ガイスレロヴァー)の協力を得て次第に計画は現実味をおびて来る。1942年5月、ついにアンソロポイド作戦決行のときがやってくるのだった・・・。

ここまでが結構長いんですよね。しかもちょっとばかし退屈。だから「やっぱ歴史物ってモッタリしてるなあ」と眠くなるんですが、ここまでは前半部なので作戦決行から勢いが付いて引き込まれて行きます。メインの俳優陣ですが、ほとんどがイギリス人なんです。キリアン・マーフィーはアイスブルーの瞳が印象的な俳優さんで「プルートで朝食を」や「バットマン(クリスチャン・ベール時代)」に出てる人ですね。知的でセクシーな感じで、どことなくベネ様とイメージがかぶります。まあベネ様の方がずっとずっと個性的なお顔だけど。相棒役には「フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ」(観たけど感想文なし)のSMイケメン富豪役が記憶に新しいジェイミー・ドーナンです。実年齢はヨゼフ役のキリアン・マーフィーがアラフォーでヤン役のジェイミー・ドーナンがアラサーくらいですね。だから兄弟的なペアという感じにも見えます。

プラハの「アンクル」を演じたトビー・ジョーンズは映画ファンならおなじみの小さなおじさん。「キャプテン・アメリカ」の悪の枢軸ハイドラ(まんまナチス)お抱えの科学者ドクター・ゾラ(これは確かドイツ人役だったっけ)や英国俳優大挙出演のスパイ映画「裏切りのサーカス」などに出てます。レジスタンスに協力する若い女性マリエを演じるシャルロット・ルボンは「イヴ・サンローラン」(ギャスパー・ウリエルじゃない方)にイヴのミューズ役で出ていた美人。レンカ役のアンナ・ガイスレロヴァーは チェコの超実力派女優で、私が観た映画だと「幸福の罪」で怪演してました。彼女の映画はこれと「Honeymoon」(感想文なし)しか観てないのですが、人生のド絶望みたいなものを演じさせたら右に出るものなしというクールビューティーで怖い怖い女優さんです。

あとのレジスタンスメンバーもほぼイギリス人、少しチェコ人というキャスティングでした。エンドクレジットを見て笑えたのがナチス側の俳優がほぼチェコ人だったことですね。あとは、やっぱり言語の問題が・・・。英語圏制作映画では誰もが英語を話している前提なのはよ~くわかっていますが、本や手紙はチェコ語になっているのに(通りのプレートはドイツ語)みんな英語を話している。しかもキャストごとになまり方が色々でした。本当はチェコ人の英語って変ななまりがほぼなくって、すごく聞き取りやすいんですよ。でも妙な東欧風?なまりになってたり、ドイツ風だったりはたまた南欧風?だったりと、役者ごとになまりにバリエーションがあったので耳が少し疲れてしまいました。イギリス人俳優はイギリス英語で話してくれれば、ええんや・・・。

ナチス側の通訳が、高官の話すドイツ語を英語に訳してチェコ人とコミュニケーションを取るシーンは「あ~」と思ってしまいましたね。それに返すチェコ人の英語も妙になまっているわけで言語的にそれはそれは不思議な世界観になってしまうわけです。これはもう、しょうがない!ショーン・エリス監督がメイキングで「本当はチェコ人俳優によるチェコ語の映画にしたかったけど、それだと公開規模等で制約 が出てしまうから英語にした」と仰っていました。 やはり英語作品じゃないと色々な人に観てもらえませんからね。これはこれでベストな形なんですよね。私もおそらくチェコ映画だったら観ていないでしょうし・・・。



※以下、ネタバレします。



歴史的な出来事を描くという他に、レジスタンス活動にすべてを捧げた若者たちの青春という側面も描かれているんですね。ヤン(ジェイミー・ドーナン)は潜伏先のモラベッツ一家に出入りしている美しいマリエ(シャルロット・ルボン)に一目惚れしてしまうんです。台所で彼女に何気なくアプローチするヤン。「え、任務は・・・?」と思ってしまうんですが、イケメンなジェイミー・ドーナンなのでまあしょうがないのか(笑)。あっという間にヤンとマリエは恋仲になり、ついには婚約しちゃうん ですよ。一方のヨゼフ(キリアン・マーフィー)は同じく協力者の女性レンカ(アンナ・ガイスレロヴァー)と心を通わせます。でもヤン&マリエよりもずっとさりげない感じで、作戦の前にお別れのキスをする程度なんですね。作戦決行後にこの二つの恋が、あっけなく散って行くのがまた切ないんですな・・・。

ところで。この作品ではストレートの恋愛だけが描かれているわけではありません。ヨゼフ→ヤンのブロマンスも描かれてるんですね。観ていて「あっ・・・監督、今、腐女子に目配せしてるよね・・・?」という瞬間があるんです。まずは台所でマリエに言い寄るヤンのシーン。最初はヤンとマリエの二人だけだったと思うんですが「そうはさせるか!」とばかりにヨゼフも台所に現れて邪魔 をするので、嫉妬しているように見えるんですよ。その後、ヤンとマリエがしっぽりしているのを発見してしまったヨゼフはレンカとレコードをかけて踊ったりするんですが、現場を押さえてしまい傷づいてる感は隠せません(切ない・・・)。そしてモラベッツ家の一人息子アタ(ビル・ミリナー)のお誕生日会の席でヤンとマリエが婚約発表。「ちょ、おま・・・!」と裏切られた顔のヨゼフ。まあ生死をかけた任務の最中に何やっとんじゃ、ってことでもあるんですがBL的にグっとくるところです。

白眉は作戦決行の直前にヤンが取り乱すシーンですね。モラベッツ家の部屋で武器を確認する作業をするヨゼフとヤン。アンソロポイドは決死の作戦だったので、実行部隊は独身者ばかりが選ばれていたので した。しかしヤンはこの時点でマリエと婚約しているから、もう守るものが出来てしまったわけです。急に弱気になり「いやだ、死にたくないっ・・・!」と銃を持ったまま泣いて暴れ出すヤン。そんなヤンを後ろから抱きとめて「大丈夫だ、ゆっくり銃を下ろして・・・」落ち着かせるヨゼフ。ヤンが暴れたときに割れたガラスの音を聞いてモラベッツ夫人が「どうしたの?」と部屋にやってくるわけですが、ヨゼフが「大丈夫ですから!」と夫人をシッ、シッ!とばかりにすごい勢いで追い払います。夫人完全に邪魔者ですね。ここも萌え~。というわけで、しっかり監督からの目配せをキャッチしたのでした。

個人的にテンションが上がったのが聖堂以外の何気ない場所でのロケ。「うおー、ここよく通ってる!」とか「ここ家の近く!」という場所が出て来て驚きました。そういえば去年のある日に近所の通りが封鎖されてクラシックな装いのエキストラがたくさんいるのを見て、ドラマか映画の撮影かと思っていたのですが、本作だったのかも。ということでいよいよ作戦決行となるわけですが、ここの緊張感がすごかったですね。ターゲットのハイドリヒは居住地から本部が置かれているプラハ城まで車で出勤していたんですが、この車がオープンカーで運転手兼護衛が1人だけ。手薄なんですよ。Y嬢によるとハイドリヒはプラハ市民からの好感度を上げるためにこのようなスタイルを取っていたんだけど、ヒトラーからは警備を厚くするように忠告されていたんだそうです。

通行人のふりをしたレジスタンスの1人が道を横断するふりをしてハイドリヒの車 を止め、そのときにヨゼフが前へ出て銃を乱射するというプランだったんですが、こんなときにヨゼフの銃がまさかの弾つまり。ヨゼフが撃たれる前にヤンが手榴弾をハイドリヒの車に投げ込み、銃撃戦になります。その後至近距離から肩を撃たれたハイドリヒは負傷しましたが、即死には至りませんでした。

ハイドリヒ暗殺未遂ということで街の中はナチスによる厳しい粛正が行われます。レジスタンスのメンバーたちはモラベッツ家を離れ、聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂の地下にある納骨堂に潜伏することになるのでした。聖堂キター!という感じですが、ここから破滅への道が始まるわけです。ハイドリヒは病院で死亡。アンソロポイド作戦は成功したのですが、ナチスは暗殺者の情報提供に懸賞金をかけます。レジスタンスの中に裏切り者がいてナチスにタレコミをしてしまうんですね。この人がカレル・チュルバ(イジー・シメック)という人でY嬢曰く「実際の写真を見るとレジスタンスメンバーで一番イケメン」ということ。確かにそうかも。

裏切り者のカレルのせいで、レジスタンスを匿っていたモラベッツ家に手入れが入ります。レジスタンスメンバーは事前にアンクルから自殺用のお薬を配布されていました。なのでモラベッツ夫人はお薬を飲んで自殺。アンクルもお薬で自殺。マリエがどうなったかは語られませんでしたが、レンカはその前に命を落としたことが描写されていました。モラベッツ家の一人息子のアタが連行されて拷問にかけられます。この拷問シーンが辛かった。 アタ君はバイオリニストを志す少年なんですが、バイオリンは踏まれて壊されるし、指は折られるし。そしてダメ押しでお母さんの生首を見せられてレジスタンスの潜伏場所を吐いてしまうんです。このときにバケツに入ったフェイクの生首がしっかり画面に映るんですが、ラテックスの作り物感があって残念!これはブツを見せるより「バケツの中に何か恐ろしいものが入ってます」という撮り方のがずっとよかったでしょう。

そして大量のナチスが潜伏先の聖堂にやって来て、壮絶な銃撃攻防戦が始まるのでした・・・。確かレジスタンス数名が立てこもった聖堂で自決をするまでに6時間も要した、と最後のテロップに書いてあったような・・・?これもすごいことですね。聖堂の上部にいたヤンと数名が かなりの数のナチを殺したので、地下の納骨堂にいたヨゼフと数名には少しの猶予があったようです。確かヤンが銃弾に倒れた瞬間、それがヨゼフにもわかったという描写があったかな。聖堂の外壁から地下の納骨堂へ通じている穴へ放水されヨゼフたちは水攻めにされるんですね。この外壁の穴が大きな通りに面していて、今も穴の周りには生々しい銃弾の後が残されています。現在、穴の上にはアンソロポイド作戦の英雄たちを讃えるレリーフがあり、花輪やロウソクが絶えることがありません。「ここいつもお供えしてあるなあ」と何気なく通り過ぎていたあの穴が!実に生々しい歴史の証人だったわけです・・・。

ダイナミックな立てこもり銃撃戦でしたがラスト近くで水攻めになってからは一切の音 が遮断され、静に静かにレジスタンスたちの最期が描写されて終ります。この動から静へのスイッチング演出が見事でした。ただ、ヨゼフの前に既に亡くなったレンカの幻が出るのはちょっと感傷的すぎたかな。レンカよりもヤンとの思い出がフラッシュバックで挿入された方がよかったかもしれません。これまでに腐女子目配せがあっただけに。そして映画が終了する前に、この作戦のインパクトや歴史への影響がテロップで語られます。ハイドリヒ死亡後、ナチスは見せしめとして田舎の村を皆殺しにしたり、大量のチェコ人を処刑したりしたそうな・・・。絶句・・・。しばらくショックで言葉が出て来ませんでした。

しかしながらアンソロポイド作戦の成功は当時の戦局をマシにしたという見方もあるそうです。そしてアンソロポイドは成功した唯一のナチス高官暗殺事件なんだそうです。そういえばトムちんの「ワルキューレ」もヒトラー暗殺の話だけど失敗してましたね。すべて70年ちょい前の話ですが本当に恐ろしい時代であり、今もテロの驚異などありますが当時と比べたらだいぶ平和なんだなと思わずにはいられません。日本公開ですが、現在のところ未定のようです。主演の二人は日本でも知名度がある俳優さんだから、公開規模は小さくても実現するといいなと思います。



Anthropoid.jpg


「我らは決して降伏しない!」プラハ 聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂の7人の英雄たち
キリアン・マーフィー演じるヨゼフは上段左。
ジェイミー・ドーナン演じるヤンは上段真ん中。
裏切り者のカレル・チュルバはもちろん入ってません。


これは現場となった聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂のギャラリーで売っていた絵はがきです。Y嬢が二枚買ったのをブログ用にと一枚譲ってくれました。実際のアンソロポイド作戦に従事したメンバーの写真です。この国のメンズにはイケメンがいないと普段から思っていたのですが、彼らのポートレイトの実に凛々しく精悍なこと。イケメンではない人もいますが、大志を抱いている人間はやっぱりどことなく顔つきが違う。そういえば日本も戦争中お国のために徴兵されていく男子の顔つきがキリリと引き締まり、非常時で不謹慎ながらイケメンになって戦地に赴くメンズが増えたというエピソードをどこかで読んだことが。シリアスないい映画の感想だったのに、結局最後はイケメンかどうかという話に着地してしまった・・・。すみません。



ちょっと前に話題になった小説も、同じテーマを扱っているそう。読まなきゃ。



邦題が『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』に決定したので原題からタイトルを更新します。(2017.8.8.)
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