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『カフェ・ソサエティ』やはりポスト・ウディはジェシー・アイゼンバーグ






ウディ・アレン翁の最新作です。新作が来る度に思うけど、翁はほぼ毎年コンスタントに作品を撮っていて本当に素晴らしいですね。30年代の華やかなハリウッド業界とその近辺を舞台に一人の青年が経験する人生と恋を描いた作品で、非常にライトな仕上がりでした。ナレーションは翁自身が担当していて、いつもの飄々淡々とした語り口で物語が進行されます。

以前に「ローマでアモーレ」の感想で「俳優としてのポスト・ウディ・アレンはジェシー・アイゼンバーグでは」のようなことを書きましたが、まさに今回はそれを体現するかのような映画でした。ジェシー・アイゼンバーグ、彼は中肉中背でイケメンでもないし(んでもって髪がチリチリ)、特にこれといってパッとしたところがないユダヤ系の青年です。ややキョドり気味で早口。自虐的でシニカル。やっとやっと現れたウディ・アレンの正統的な後継者なのでしょう。そんなアイゼンバーグをかつてだったら自らが演じていた役にキャスティングし、クリステン・スチュワートとブレイク・ライブリーという二大若手美人女優との間でウロウロさせる。きっとパズルのピースが完全にはまった!と思ったのではないでしょうか。

主演のボビーを演じるジェシー・アイゼンバーグ除く今回のメインキャストは 、ほとんどウディ・アレン作品初登場ですね。ハリウッドの大物プロデューサーでボビーのおじさんであるフィルに「フォックスキャッチャー」や「マネーショート」のスティーブ・カレル、ボビーが一目惚れするフィルの秘書ヴォニーに「アクトレス 女たちの舞台」でアメリカ人女優ながらセザール賞を受賞したクリステン・スチュワート、ボビーの妻ヴェロニカにサメ映画「ロスト・バケーション」で新境地を開いた(すみません、彼女の映画これだけしか観てないのに)ブレイク・ライブリーという華のあるキャスティングです。



※ネタバレします。



これが三角関係なんですね。ボビー(アイゼンバーグ)とフィル(スティーブ・カレル)は甥っ子とおじさんという親戚関係で、ボビーはフィルおじさんの秘書ヴォニー(クリステン)が好きになっちゃってアプローチ、でも実はヴォニーはフィルおじさんと不倫中。かなりいいところまで行ったのに、ヴォニーはボビーの元を去ってフィルおじさんと結婚してしまうのでした。すべてを知ったボビーがヴォニーの元へ行き「僕とフィルおじさんとどっちと結婚するんだ」と問いつめた0.5 秒後に「フィルと結婚するわ」とサックリ言われてしまうのでした・・・ 。可哀相!

クリステン・スチュワートは性格のよいガールネクストドアな感じの女の子。リボンの結び目をサイドにずらしたカチューシャなんかしています。でも顔がキリっとしてるのでそれが甘くならず逆に男前が引き立つ感じでしたね。一見真面目そうなんだけど、おじさんと不倫をしていたということでボビーはショックを受けるのですが・・・。ジェシー・アイゼンバーグがもう彼女にメロメロになっているのがすごく可愛いんですよね。そいや翁も「アニー・ホール」でダイアン・キートンにメロメロになる演技がとてもスイートでしたっけ。

ボビーの恋愛とは別に、ボビーのユダヤ系ファミリーのホームコメディ的な流れも平行して描かれます。フィルおじさんはハリウッドの豪邸に住み、大スターともお友達といった大物プロデューサーなんですが、ボビーの家族はニューヨークの下町に暮らす庶民。口やかましいお母さん(ジーニー・バーリン)に、のんびりしたお父さん(ケン・スコット)、何をやっているかわからないけど羽振りの良さそうな兄ベン(コリー・ストール)、それに親戚といったメンバーでホームコメディが展開されるんですが、兄貴のベンのお仕事が実はギャングだったんですね。

だからボビーの恋愛模様の小休止として、その兄貴がニューヨークで悪さをしているシーンが必ず入って来るんです。兄貴が仲間と人殺しをして死体を建設現場に遺棄、上からコンクリートを流してカモフラージュというブラックな天丼ギャグが何度も重ねられます。一家の親戚が「隣人のラジオがいつもうるさくて困ってる」とこぼすと、間もなくその隣人が姿を消す(もちろん兄貴の仕業)という親戚思いなギャングでもあるのです(笑)。このブラックなホームコメディがあったお陰で作品が単なるロマコメにならずに仕上がっている感じがしました。

ヴォニーにふられて傷心のボビーはニューヨークへ帰り、兄貴の紹介かなんかでセレブが出入りする有名ナイトクラブで働くことに。失恋を忘れるために仕事に精を出してマネージャー的なポジションにまで出世します。そしてナイトクラブのお客さんだったセクシーなヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と恋仲になり結婚。可愛い子供も授かり順風満帆でしたが、そんなある日フィルおじさんがヴォニーを連れてナイトクラブへやってきます。ヴォニーと再会し心乱れるボビー。さて・・・という展開。

ブレイク・ライブリーですが、この映画で顔がデカいな!とびっくりしました。最初に登場したときは彼女だって全然わからなかった・・・。やっぱりブスだか美人だか微妙なラインなんですが、性格が良さそうな嫁なんですよ。でもジェシー・アイゼンバーグと比べたら彼女の方が全然上。はっきり言って全然釣り合ってないんです。でも彼を愛し、子供を愛し、家庭を守ってる女性なんですね。一方のクリステン・スチュワートはお金持ちのフィルおじさんと結婚してドレスアップし(衣装はシャネルだそう。クリステンは今期プレタポルテもメイクアップもイメガやってますな)退屈を持て余した有閑マダムのようになっていました。ちょっとこの二女優のキャスティング逆?とも思ってしまったんですが、髪色や女優としてのイメージからブレイクの方が派手っぽいけど、 実はよく見ると顔が地味なので納得。真面目に見えたクリステンのがちょい悪女だったんですね。クリステンは不埒な美貌の持ち主ですし。

そしてあれよあれよという間に焼けボックイに火がつき、ボビーとヴォニーは不倫の仲に。ヴォニーという女は実は真面目そうに見えて不倫の関係が好きだったのかも?ボビーもあんないい嫁がいて第二子も妊娠しているというのに、嫁とヴォニーの間を行ったり来たりするようになってしまうのです。不倫三角関係の頂点にいるのがサエないジェシー・アイゼンバーグなもんだから、な〜んかおかしいんじゃないか?と思う人もいるかもしれませんが、まあ翁の映画ですからね。こういうこともあるんじゃないかなあ、という感じです。一応ボビーもただの若造だった昔と違い、今は自信に溢れた有名ナイトクラブのマネージャーですしね。

一方、ボビーの兄貴は今まで散々やらかした悪事がバレてとっつかまり、刑務所でクリスチャンになってしまいました。それを聞いたユダヤ系であるボビーの両親のリアクションが面白かったですが。そして大晦日の夜がやってきます。ナイトクラブでカウントダウンをして新年を祝う人々。生演奏で流れる「蛍の光」。新年になった瞬間ボビーは嫁ともキスをしてお祝いするんですが、心はハリウッドにいるヴォニーのことを考えています。一方ハリウッドで新年を迎えたヴォニーもボビーのことを考えています。嫁は何かに気付いていて、ふとしたときに「浮気してない?」と真顔で聞いたりするんですが、ここはドキッとさせられましたね。

ライトな映画でしたが、新しい年が巡ってきても人生はただ粛々と続いて行くのみ・・・という無常観のようなものが漂うラストでした。新年が来て「おめでとう」と挨拶して何となくリセットされた気分になったものの、本質は何も変わらないのを悟った瞬間にふと寂しくなったり切なくなったりするものですが、このライトなコメディーのラストはなんだかそんな気分にさせられるのでした。そんなわけで最後は締まっていてよかったと思います。でも翁の作品としてはややパンチに欠けていて、平凡な印象かな・・・。近年ではかなり地味な部類に入るかも?メインキャストの誰かの熱烈なファンなら劇場で観なくちゃですが、そうでなければDVDを待ってもいいと思います。



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