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@itan-journ@l praha

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『ブルックリン』大西洋を股にかけた二股?







本年度のオスカー主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、作品賞、脚色賞の候補になっていた作品です。一言で言うと、ちょっと大人になった「魔女の宅急便」みたいな女子の上京物語といった感じでしょうか。しかし、途中まで爽やかだったけど途中からは「あれっ、な~んかヒロインの軸がブレブレ!」という爽やかだけじゃ終らないリアルな人間味のようなものが出ていたような気がします。


※ネタバレします。


50年代、アイルランドの田舎。町の小さな食料品店で働くエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は二十歳くらいの女の子。年老いた母と病弱な姉ローズ(フィオナ・グラスコット)と暮らしています。食料品店の女主人ミス・ケリー(ブリード・ブレナン)は嫌なババアだし、住んでる所は田舎だし・・・ということでエイリシュの将来を心配した姉ローズはアメリカに移民した知り合いの神父様に手紙を書き、エイリシュを渡米させることを頼むのでした。

家族と離ればなれになるけれども姉に説得され、よりよい未来を求めて旅立つエイリシュ。彼女がアイルランドを離れるシーン、まだ映画序盤なのに落涙。お姉さんの親心がまた染みるんですよね。私も姉だけど、果たして妹にこんな素晴らしいことしてあげられるだろうか・・・と思うわけですよ(思えば姉は妹の渡米を考えた時点で既に・・・と考えるのも切ない)。またシアーシャちゃんが可愛いね!これからきっと都会で「麗しのサブリナ」ばりに変身してしまうんだろうけど、田舎で育った純朴なリンゴのほっぺをした女の子って感じで「ああ、彼女の前途に幸多からんことを・・・」と見守ってしまうんですね 。アイルランドなまりも可愛いんですよ。

さてアメリカ東海岸(ざっくりだな・・・)に到着したエイリシュ。これから身一つでどうするの?と思いきや下宿や奉公先なんかもしっかりアレンジしてあって安心です。下宿は同郷の女子ばかりで特にムカつくビッチもおらず和気あいあいだし、奉公先は高級デパート。全然大丈夫じゃないですか。キキなんか、まだ13歳なのにまったく知らない土地で住む所も仕事も自力で探さなきゃいけないんですよ。私、アラフォーだけどそんなん無理(それに面倒くさい)!しかし魔女宅は今改めて考えるとすごい設定だな~。しかし職場が田舎の食料品店からニューヨークの高級デパートなんてものすごいキャリアアップじゃないですか。

もし私だったらたちまち 上京テングになって、田舎を上から目線で見下ろしこき下ろすようになると思うのですが、心優しいエイリシュは全然そんなことありません。いつも心はアイルランドの家族と共にあり、姉と文通しながらホームシックに耐えているのです。たまにホームシックがつのって泣いちゃうこともあったり。そんなとき、エイリシュは姉が手紙を出したフロード神父(ジム・ブロートベント)に会いに行きます。アイルランド移民のコミュニティーに参加してホームレス炊き出しのボランティアをしたりする中で、エイリシュは少しづつ元気を取り戻して行きます。

この同郷コミュニティーのあたたかさってのがまた染みますね・・・。私も海外に住んでいる身で、普段から同国人の先輩やお友達には随分とお世話になっているので、よくわかります。ジム・ブロートベント演じる神父様もいい人で、エイリシュの聡明さを見抜いた神父様は彼女に会計学の夜学コースに通うことを勧めるのでした。ここも地味に素晴らしいポイント。身を立てるには実学を勉強ですよ。勉強に集中することで新生活にも適応出来るだろうし、ホームシックも和らぐだろうし。羨ましいのは新たに外国語習得の必要がないってことですね。だって同じ英語なんだから。そうするとアイルランド人ってのは移民としては結構適応が楽ですね。

昼はデパートで仕事、夜は夜学という生活にも慣れたエイリシュは下宿の女の子に誘われて、アイルランドのダンスパーティーに参加します。そこで運命の出会いが!(しかし、とんとん拍子だな)イタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と知り合い、親しくなるのでした。彼はイタリア系なんだけど、アイルランドの女の子が好きでパーテ ィーに来ていたのです。うーん、まあ別にいいんだけど私はこういう人はちょっと微妙ですね。国籍ありきで恋愛してる感じがするし、その国の女性のステレオタイプ(例えば、絶滅危惧種だけど三歩下がって付いて行く大和撫子)を求められているようで・・・。まあ私の感想はどうでもいいので続けます。ちなみにトニーを演じるエモリー・コーエンは「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」で、ブラッドリー・クーパーさんのバカ息子役を演じていた人でした。

彼氏をゲットしたエイリシュのNYライフはますます絶好調。彼の実家へ食事に誘われたエイリシュは、下宿でスパゲッティーを食べる練習をします。当時のアイルランドには麺がなかったんですね!しかし昔のヨーロッパで麺を食べていたのはイタリアくらいだし、そっちのが珍しいのか。彼実家での食事もうまく行き、デートを重ねて行く二人。なにもかもが順調でしたが、突然の悲劇がエイリシュを襲います(やはり、このパターン)。

アイルランドにいる姉ローズが亡くなったと知ったエイリシュは悲しみの中、帰省することに。彼氏のトニーはエイリシュが帰省する前に彼女にプロポーズ。二人は誰にも知らせずに市役所でひっそりと結婚の登録を済ませ、晴れて夫婦となったのでした。

久しぶりに故郷へ帰ったエイリシュ。お母さんは一人になっちゃって心細そうだし、親友は良さそうな相手を勧めて来るしで、なんとなく周りが彼女をアイルランドに留めておく方向になっています。親友から紹介されたのは良家のお坊ちゃんジム(ドーナル・グリ ーソン)。親友カップルとエイリシュとジムと出かける機会が多くなり、トニーとはまた違った魅力のジムに心を開いて行くエイリシュでしたが・・・という展開。あれ、アメリカでの生活がまるでなかったかのよう!というように見えるんですが、この感じ、まあわからなくもないです。私もベースがある海外にいるときは日本での生活がどんなんだったかをほとんど忘れていますが、日本に帰省して二三日経つと「私、海外で生活なんかしてたっけ?」というようにガラッとモードが切り替わるんですよね。

このジムを演じているドーナル・グリーソンは「エクス・マキナ」でトホホなIT青年を演じていました。本作だと彼だと気付くのにちょっと時間がかかったんですが、それはちょっとイケメンに撮れてるってことなんですね!知的で落ち着いた感じのメンズで、育ちも良さそう。そしてエイリシュは亡き姉がパートでやっていた会計の仕事を期間限定で引き継ぐようになります。仕事も楽しいし、会社の人からフルタイムの誘いも受けて、だんだんとアイルランド残留に心が傾いて行くんです。トニーからのマメに来る手紙にも返事を保留するようにまでなってしまうんですね。なんとなくジムとの縁談もまとまりかけている。でもエイリシュはトニーと結婚しちゃってるんですよ!このまま何もなかったことになんて出来ないでしょ?!とモヤモヤするんですが・・・。

そこで、食料品店のババア、ミス・ケリーがやらかしてくれるんですよ。わざわざエイリシュを呼び出して「私の親戚がブルックリンにいるんだけど、アンタと男の人が市役所で結婚の登録してるのを見たって言うのよ。でもきっと人違いよね〜?」(セリフうろ覚え)と言うんです。それがきっかけとなって、エイリシュはトニーのもとに戻ることにしたのでした。もちろん「ヤベッ!重婚バレそう!」みたいな感じではないですよ。彼女は毅然として「ええ、それは私の夫です」と言うんです。

お母さんに涙ながらに結婚したことを告げ(しかし大事な報告を後回しにするとロクなことにならない・・・)、名残惜しい故郷を後にして再び船上の人となるエイリシュ。船の上にはまるで初渡米のときの自分のような初々しくもあぶなっかしい若い女の子がいて、彼女に旅や新生活についてアドバイスするエイリシュなのでした。もう何も知らない女の子じゃない、私はトニーとアメリカで生きて行くと決めたのよ!という決意が滲んでいます。何も知らなかった女の子が、恋を経験し、自分で人生を選び取る過程を実に繊細に表現したシアーシャちゃんの演技は素晴らしかったです。そしてトニーの元に帰ってハッピーエンド。

まあ良かったなと思うんですが 、数年後または十数年後のエイリシュがこの選択を後悔してないといいな・・・と天の邪鬼な私は思う訳です。よく母親から「あのとき、パパの他にも別の人がいてね~、あの人と結婚してればよかったかな~」などと聞かされていたのでね。まあ母親が別の人と結婚していたら私はこの世存在していなかったわけで、父と結婚してくれてよかったんですが、人生のレール上にはそういった「たられば」が何個か転がっているものなのでしょう・・・。

しかし、エイリシュはトニーと結婚していなかったら恐らくそのままアイルランドにいただろうし、食料品店のババアのアシストがなければトニーのことを思い出していなかったかも?かも?そう考えると、たかが紙切れ一枚の結婚って重いんだな~という感じですね。ジムとは清い交際で終ったし、二人きりになることもほとんどなかったものの、心は完全に浮気してたようなもんです。だからそれなりに感動的なラストだったんだけれどもエイリシュが本当に心の底からトニーのことを愛していて戻った、というようには消化出来ない「つかえ」のようなものが残りました。まあ人生そんな簡単に白黒つけられたもんじゃないと思うけど・・・。

このように地元と新天地でつがってもいい、と思えるメンズに巡り会ってるし、技能を生かした職もあるしで恵まれたエイリシュですが、またまた天の邪鬼な私は困難の多い上京物語というものも見てみたいと思ってしまいましたね。意気揚々と上京したものの全然うまく行かなくて、地元に帰ってもまたそれは地獄・・・みたいな方がリアルだと思うし、多くの人の共感が得られそうです。シャーリーズ・セロン様の「ヤング≒アダルト」みたいな方が個人的にはやっぱりグっと来るし好きですね。


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