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『しあわせへのまわり道』大人の再出発ムービー



         



「何かいい映画ないかな~」と探していた時に見つけた作品です。イザベル・コイシェ監督で主演はベン・キングズレー。NYのインド系ドライバーの話ということで観てみました。インドが好きなんですがリアルなインド映画は字幕の問題もあって、なかなか難しいです(原語ももちろんわからないし、現地語の字幕もわからない)。そういえば、以前に日本人の知人がプラハでインド映画を観に行ったそうです。その映画の言語には「英語、ヒンディー語」と記載してあったそうで、英語があるんだったら大丈夫かなと思いオランダ人のパートナーと一緒に観に行ったそうですが、フタを開けてみると映画のセリフほとんどがヒンディー語。字幕はチェコ語だしで、二人ともわかる言葉がなく大変だったそうな。

イザベル・コイシェ監督とベン・キングズレー&パトリシア・クラークソンは「エレジー」という作品で既にタッグを組んでおります。私はコイシェ監督の映画をほとんど観ていますが、どれも結構好きですね。エロ爆発系とほのぼの系とあるような気がしますが、今回はタイトルでもお察しの通りほのぼの系です。いや~しかし、久々に心の機微を描いた映画を観たな~って気がしました。これ、よかったです。人生色々あるけど自分の人生のドライバーは自分だけ、自分でコントロールして前に進まなきゃいかんのやで!といったようなポジティブなメッセージがあるのです。






ピンクのターバンがカワイイ、ベン・キングズレー。私達が想像するベタなインド人てのはターバンを頭に巻いたシク教徒の姿を想像する人が多いと思われますが、ガイドブックによるとシク教徒はインドの全人口で数%しかいないそうですね。

ヒロインのウェンディ(パトリシア・クラークソン)は50代くらいで本の批評家。演じるパトリシア・クラークソンですが、彼女の出演作はフィルモグラフィー確認後、何本か観ていることが判明でも、このおばさんはどこかで見たことが・・・と思ってしまいました。「人生万歳!」で南部の保守的な主婦からNYのボヘミアンなアーティストへとドラマチックに変身するおかんをやってましたね。恥ずかしながら、今回初めて顔と名前が一致しました。顔は薄いんだけど、よく見るとスタイルが良くて熟女な色気のある女優さんです。お茶目で人の良さそうな感じもしますね。

ある日、ウェンディの夫(ジェイク・ウェバー)の浮気が判明して夫婦は離婚。彼女は別れたくなかったのですが、夫は愛人と一緒になる為に家を出てしまうのでした。ウェンディには田舎の牧場でリゾートバイトしているみたいな娘(メイミー・ガマー。メリル・ストリープの娘だそう。ソックリでした)がいるのですが、その娘に会いに行く為には車がないといけません。運転免許を持っていないウェンディは離婚のゴタゴタの中、一念発起して免許取得にチャレンジします。彼女の指導教官になったのがインド系アメリカ人のダルワーン(ベン・キングズレー)。人種も宗教も違う二人でしたが、自動車教習を通じて心を通わせて行くというお話です。



※ネタバレします。




なるほど人生ってのは自動車教習にも似ているところがあるわけです。最初はどうしたらいいのか全然わからないけど、次第に使い方を覚えて、様々な道を通って経験を積み、時にヒヤリハットに出会いながらも前に進んで行く・・・。自分で車をコントロール出来るようになったときは「ワールドイズマイン!」というような高揚感を覚えたりするわけですよ。愛していた夫に裏切られ離婚になってしまったウェンディの人生はもうボロボロで、なにか新しいことにチャレンジすることが必要だったわけですね。それでもまだウエンディは夫に未練があって荷物を撮りに来た時に復縁を迫ったりするんですが、やはり夫は愛人の元へ行ってしまうのでした。

一方でダルワーンの人生も描かれます。彼は同郷のインド人たちと一緒に共同生活をしており、非常に信心深く、真面目に真面目に生きている人。タクシードライバーのかたわら自動車教習を教えています。郷里の親戚からは見合いをすすめられ、写真だけでしか知らない新妻ジャスリーン(サリタ・チョウドリー)とNYで結婚します。私がベン・キングズレーを初めて認識したのが子供の頃に観た「迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険」でした。キングズレーはここで実に頭の切れるワトソンくんを演じており、素敵な俳優さんだな~と子供心に思ったものでした(ちなみにホームズ役はマイケル・ケイン)。

外国人をあまり見たことがなかった子供の頃はベン・キングズレーを普通に西洋人のおじさんだと思っていたのですが、その後彼がイギリスとインドのハーフだということを知ります。へえーっ!と驚いたのですが「ガンジー」はもとより、今ではどちらかと言うとインド系ぽい風貌を活かした役の方が普通な感じですよね。インドなまりの英語も完璧です。しかしベン・キングズレーって私が子供の時から全然変わってない。一体今何歳なの?と調べたら、72歳でした。ひえー、オーバー70か。なのに嫁をもらう役をしてるってのが凄いです。50代くらいにしか見えません。

この二人の心の交流が描かれるんですが、いかにもいかにもなヒューマンさで演出されていないのがいいんですね。教習を重ねるごとにお互いのことを話したりして、少しづつ少しづつ心が通って行くわけです。このまま二人は恋愛関係になるのかな?と思いきや、中盤でダルワーンは新妻を迎えます。女性が喜ぶプレゼントは何かとダルワーンがウェンディに聞き、彼がロマンチックな詩集を準備していたシーンがあったので、てっきりウェンディへのプレゼントなのかと思ってましたが新妻へでした。

インドから来たばかりの新妻ジャスリーンの人生も少し描かれるんですよ。ずっとインドにいた彼女は英語も苦手だし、家にこもりがちになってしまいます。引きこもりがちだったジャスリーンですが、生理用品が切れたので外に買いにいかなければならないことに。思い切って家の外に一人で出てみた彼女はお店へ。ところが店員に聞いても、まともに取り合ってくれません。そこで買い物をしていたインド系の女性が助けてくれて、彼女と友達になるという素敵エピソードがありました。

ウェンディは離婚(しかしその後に絶倫のお相手ゲット)、ダルワーンは結婚ということで、やっぱり恋愛にはならないのか、と思うわけですが。しかしこうやってなんでもかんでも恋愛に結びつけてしまう思考、我ながら単純だよなあ~と思ってしまいます(恥)。ダルワーンとウェンディのダイアローグのシーンが本当に心地よいんですよ。親愛の情に人種も性別も関係ないんだな~と改めて思い、爽やかな気分になるわけです。でもウェンディの家出してしまったお父さんのエピソードはちょっと余計だったかな~。

こうしているうちに、ウェンディの実技試験の日がやって来ました。一度はパニックになってしまって不合格、もう運転ムリ!と辞め てしまいそうになるのですが、ダルワーンが説得してもう一度トライします。二度目はめでたく合格。喜び合うウェンディとダルワーン。二人はその足で新しい車を買いにカーディーラーのところへ向かいます。赤い車を買うことにしたウェンディ。ディーラーがダルワーンのことを夫だと間違え、ダルワーンが否定しようとするんですが「いいから」とウインクするウェンディ。

教習卒業ということは、もう定期的に会うこともないわけで・・・。これはちょっと寂しいですね。ここでダルワーンが「よければ、お祝いも兼ねて、一度僕と食事を」と思い切って誘う訳なんですが、ここがすごくドキっとするんですよ。恋愛が始まると思ってたけど始まらないから、もう友情路線で行く訳ね〜と油断させられていた分、ドキっするんですよ。またベン・キングズレーの演技がすごくいいんだ。少し情熱を秘めた目になってるんですよね。でもウェンディは彼の気持ちを知りつつも優しく断るわけです。そう、これでいい、これでいいんだ・・・と寂しくも安心したり。ほんと、大人な仕上がりになってます。

その後、二人はお互いの人生に戻って行くんですが、それがやはりこれがベストという結果なんですよね。ダルワーンは新妻と一緒に慎ましくも幸せな生活を始め、ウェンディは新車で娘のいる田舎の牧場へ向かいます。きっとウェンディはウインカーを出す時、巻き込み確認をする時などに指導してくれたダルワーンのことを思い出してると思うんです。彼のインドなまりの英語も。離婚でひどい人生だと思っていたけど運転免許取得にチャレンジすることで、もう一度彼女は歩き出したのです。そしてタイトルの「Learning to drive」が出てEND 。これはちょっと泣いちゃいましたね~。車だけじゃなくもう一度人生をドライブする術を学ぶ教習だったのだな、ということですよね。

とにかく主演二人の演技が素晴らしい。大人(キングズレーはオーバー70)になっても、時に人生には不器用。その姿がキュートで愛おしいのです。爽やかな大人の再出発ムービーとしておすすめです。


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