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@itan-journ@l praha

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『リリーのすべて』エディ・レッドメイン 北島マヤ説



                                

DANISH GIRL,THE:MOVIE TIE-IN(B) [ DAVID EBERSHO…

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これまでに何本か今年のアカデミー賞関連の映画を観ていますが、主演男優部門では今のところ本作が一番好きです。筆者の居住国では既に公開されており鑑賞済みだったのですが、先に日本公開される映画の感想を優先していたらアップが少し遅れてしまいました。邦題の「リリーのすべて」は恐らく岩井俊二監督の「リリィ・シュシュのすべて」をイメージしてつけられているのかな?

いや~しかし映画の1/3を過ぎた頃から、とめどなく涙が溢れて仕方がありませんでした。一気に感情が爆発するという号泣ではなく、主人公たちの切ない心情に触れて気が付いたら涙が流れているといった感じ。主演男優賞と助演女優賞にノミネートされていますが、とにかく二人の演技が素晴らしいです。昨年「博士と彼女のセオリー」で主演男優賞に輝いたエディ・レッドメインですが、今回も実在の人物に名演で命を吹き込んでいます。そしてギャビーこと助演のアリシア・ヴィキャンデルが本当にいい演技をしていたと思います。私も妻なので「夫がこうなったら、ここまで寄り添うことが出来るだのろうか・・・」と考えさせられました。この映画の素晴らしさを伝えることが出来るかどうかはわかりませんが、感想を書いてみます。







※ネタバレ第一段階(予告編程度)




舞台は20年代のデンマーク、コペンハーゲン。画家同士の夫婦、アイナー(エディ・レッドメイン)とゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は仲睦まじく暮らしていました。夫アイナーは既に知名度のある画家で、樹をモチーフにした作品を発表したりしています。妻のゲルダは美人画を描いていますが、アイナー程成功してはいません。あるとき夫婦の友人でゲルダのモデルをしていたバレリーナのウラ(アンバー・ハード)が来られず、ゲルダはアイナーに女装をさせてモデルとして使います。アイナーには女装が初めての経験でしたが、なぜかずっと探し求めていた本当の自分を発見したような気分になったのでした。遅れてやって来たウラは女装をしたアイナーに「凄く綺麗よ!アナタの名前はリリーね」と言ってユリの花束を渡すのでした。

その後、女装したアイナーを描いたゲルダの絵が評判を呼び、ゲルダは積極的にアイナーへ女装をすすめるようになります。女装したアイナーが実に美しいんですね。確かにエディ・レッドメインは線が細くて女性的なので20年代のドレスや真紅の口紅がとても似合います。ビジュアルだけじゃなくて、楚々としたたたずまいや、物腰がとってもフェミニン。普通の女よりも綺麗で女らしいのです。女装したアイナー(リリーと名乗りアイナーの従姉妹という設定)と連れ立ってパーティーへ行くゲルダ。数多の女性の中でもリリーの美しさは際立っています。そんなリリーを見初めたのがヘンリク(ベン・ウィショー)です。彼はリリーに恋をしてしまったのでした。

英国男子のエディ・レッドメインとベン・ウィショーが並んで座っているだけで、なんかテンションあがる!007シリーズでは乙女系ギーク男子 Qなベン・ウィショーですが、今回はちょっと男っぽい感じで奥手なリリーにグイグイと迫って来る役です。こういうのもええのう・・・と渋茶を啜りながら目を細める筆者。すっかり女になりきっているエディ・レッドメインも凄いけど、乙女系から普通の男子と印象がガラっと違うベン・ウィショーもなかなかのものです。しかしゲルダがヘンリクにキスされているリリーを見てしまってから、事態は次第にただの女装ごっこで留まらなくなっていくのでした。

実は、初めて女装をしたときからアイナーは違和感に気付いていたのです。それは「あれ、自分はそもそもこっちの方だったのでは・・・」という違和感。彼がドレスやストッキングにそっと手を触れたときの心のトキメキがとても良く伝わって来るんですね。筆者が小さい女の子だった頃、レースとかフリルとかリボンとかフェミニンな服のディティールに憧れていたときの視線と重なるんですよ。同時に男と女の間で揺れ動くアイナーのとまどいも伝わって来ます。アイナーは鏡の前に裸で立ち、男性器を股の間に挟んでみたりするのでした(これで「女」という宴会芸がありますが・・・)。しかし女装を重ねるごとに自身の中にある女性が覚醒し、自主的に女装をするようになっていくわけです。ひらひらと蝶々のような手の動きも本当に美しくて、前述したようにホーキング博士のときと並ぶに劣らない名演技です。

姿と心がすっかり女性のリリーになってしまった夫、アイナー。次第にゲルダの様子も変わって来ます。アリシア・ヴィキャンデルはギャビー(「コードネーム U.N.C.L.E.」)で初めましてだったんですが、ただの可愛らしい若手女優じゃなくて、すごく演技派なんだということが今回よくわかりました。チャキチャキしてて男前な女性なんですが、そんな彼女が目だけで内包された悲しみや痛みを表現しているのが素晴らしいのです。



※ネタバレ第二段階(ラストまで)



愛した男の存在が次第に消えて行くのを目の当たりにして彼女も呆然としているんですよ。そりゃそうですよね。夫が姿だけではなく心もリリーという名の別人になっていくのですから。体調不良を訴えたアイナーは医者に行き、放射線治療を受けます。でも身体には悪いところが見つからず、主治医からは性倒錯者と診断され専門の病院での治療を半ば強制されてしまうのでした。時を同じくしてリリーを描いた絵が評価され、ゲルダはパリの画壇から招待を受けます。ゲルダはアイナーを連れてパリへ引っ越すのでした。ゲルダは否定的な病院の治療に疑問を持ち、アイナーのことを守ろうとしていたんですね。性別が男から女になったというだけで愛せなくなるというのは、その人間の根本を愛していないということでもあるのではなかろうか・・・と思うんですね。ゲルダがアイナー/リリーに注ぐのは性別を超越した高次元の愛なんですよ。ここも心を打たれるのでした。

可愛らしい港町のコペンハーゲンから花の都パリへ。全編を通じて登場する建築や家具や衣装がクラシカル・ヨーロッパで本当に美しいですな(ゲルダが着ていた深緑の半袖ワンピースが欲しい)。ゲルダはパリにいるアイナーの旧友ハンス(マティアス・スーナールツ)に連絡を取り、アイナーのアイデンティティを取り戻す助けを頼みます。しかし、リリーとしての存在が日に日に強くなって行きます。パリののぞき部屋を訪れたアイナーが、ヌードの女性の仕草を真似するシーンが切なく美しい!しかしやはり自分には男性器が付いていることを悟るシーンが悲しいです。悩むアイナー、そしてそれを受け止めようとするゲルダ、キチンと締め忘れた蛇口のように筆者の目から涙が流れます。この頃から二人の間に夫婦生活はなくなり、仲の良い姉妹のような関係性になっていくのでした。

しかしやっぱりゲルダは悩み混乱していました。ほぼリリーの姿で暮らし始めたアイナーに「夫と話したい。彼を出して」と言ってもリリーは悲しく首を降るばかり。男と女、二つのジェンダーの中で揺れるアイナーと、自分に心を寄せてくれている優しいハンスに頼りたいけども出来ないというゲルダ。二人とも自分自身が引き裂かれそうになっています。アイナーはパリでもいくつかの医者にかかりますが、どれも求めていたものとは違うものでした。落ち込むアイナーにゲルダはウラから紹介されたウォーネクロス医師(セバスチャン・コッホ)と会ってみないかと持ちかけます。医師との面会で「自分は女性だと思うんです」と言うアイナーに「私もそう思います」と同意するゲルダ。外科的に性転換手術が可能だと言うことがわかり、涙するアイナーなのでした。ゲルダもついにアイナー/リリーのことを受け入れたのです。リリーの苦しみを解いてあげたい・・・でも自分が愛したアイナーがいなくなってしまう・・・しかし、愛するアイナー/リリーが望む選択をサポートすることにしたゲルダ。この複雑極まりない感情をアリシア・ヴィキャンデルは実に素晴らしい演技で表現しています。

アイナーは手術を受けにドイツへと旅立ちます。いつか子供を産める身体になることを願って・・・。そして手術の第一段階である男性器を取る手術を行いました。手術は成功し、リリーとゲルダはコペンハーゲンへ帰ります。リリーはホルモン剤を飲みながら、デパートガールの仕事を始めました。ヘンリクとも再会します(実はヘンリクはホモセクシャルで、リリーがアイナーの女装した姿であることを前から知っていたのです)。女性としての人生を歩み始めたリリーは、ゲルダにもアイナーのことを忘れて新しい人生を始めるように言うのでした。それは・・・ちょっと、ひどいんじゃないの?と思いましたが・・・。

リリーはまだ次の手術に耐える身体ではないというゲルダの反対を押し切って、第二段階である女性器形成手術に挑みます。リリーに付き添うゲルダ。ハンスも二人を支える為にパリからやって来ました。ゲルダがもう本当に出来た嫁なんですよ・・・。だって夫が急に「女になる!」って言い出したのに、女になるまで献身的に支えているんですから。これは脚本や演出や演技がよくないと「こんな出来すぎた嫁おかしくね?嫁のが変人に見えるわ!」というカタストロフになりかねないと思うんですよね。しかしゲルダが思い悩みながらもリリーに寄り添っていく過程が丁寧に描かれていたので、納得の仕上がりです。母親や姉の様な包容力でリリーを包んでくれるゲルダ、本当にすごい女性です。第二段階の手術はより複雑なものだったので、手術後にリリーは亡くなってしまうのでした。

完全な女性になることが出来たけれど、女性としての人生を謳歌することは出来ませんでした。恐らくそれでもリリーは満足だったのではないかと思います。リリーがこの世を去った後に、ゲルダとハンスはアイナーの生家を訪ねます。そこには画家だったアイナーが描いたものとまったく同じ形の樹がありました。突風に飛ばされるゲルダのスカーフ。そのスカーフはゲルダとリリーが一緒に使っていた思い出の品。風の中で遊ぶようにひらひらと揺れるスカーフを見て、ゲルダはリリーの面影を思い出し目に涙をためながらも微笑むのでした。これでEND。

この映画の素晴らしい部分は、愛する者を最後まで守って支えていくことが丁寧に描かれていることです。そこに男だとか女だとかは関係ない。関係ないんですよ!そこが胸を打つんです。原作小説があるそうなんですが、映画は小説通りではなく映画向けのアレンジが加えられているそう。原作小説自体も実在のアイナーとゲルダ夫婦をモチーフにしてはいますが事実とは違う部分もあるそうです。小説も読んでみたいですね。

ゲルダが実際に描いたリリーの絵を見ましたが、本当にどれも妖艶でした。肌の露出などはしていないのに、な〜んかエロティックなんですよね。映画の中でリリーになったエディ・レッドメインは、まるでクリムトの絵の恍惚とした女性のようで美しかったです。主演男優賞にノミネートは納得の演技。あまりにも役になりきっていて、もしかしてエディ・レッドメインって北島マヤ?と思ってしまいました。個人的には受賞してもおかしくなさそうだけど、二年連続ってのはちょっとないかなあ〜とも思います。やはりプリオに取らせてあげたいというのが正直なところです。

そして助演女優賞のアリシア・ヴィキャンデルは町山さんも仰っていたように本命視されているみたいですね。恥ずかしながら筆者はギャビーちゃんで初めて彼女のことを知ったのですが、他にも彼女出演の面白そうな作品がいっぱいで鑑賞するのが楽しみです。ヴィトンのイメガだし、おファスの彼女だし(共演がきっかけらしい)ってことで、要注目ですな。おファスは「それでも夜は明ける」のとき、会場にはおかんをエスコートしていましたが、今年はおかん&アリシアたんと一緒にやってくるんでしょうか。アリシアたんが受賞したらおファスとキスするんだろうな、衣装はやっぱヴィトンなのかな・・・と今から想像しています。


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Comment

あい says... "見たいんですよね"
そりゃもう、ヴィトンでおファス様とぶちゅーですよ(笑)
この映画の日本公開はまだなので、来月見に行きたいと思います^^
『博士と彼女のセオリー』も観ましたが、本当に演技がリアルですよね、エディ・レッドメインは。こんな可愛い顔して北島マヤが実は眠っていたんですね~
確かに嫁としては夫が自分は女性かもしれないと言われたら複雑すぎます。あたしはどうなるのっ!ってなっちゃいますよね・・・ゲルダの母性愛に感服しちゃいます。
『それでも夜は明ける』と『博士と彼女のセオリー』は最近、DVDで観たんですが、
『それでも夜は明ける』は自分でも引くくらい最後大号泣でした。おファス様サイテー!とか思っちゃったりして^^:『リリーのすべて』でもきっと周りが引くくらい
泣いちゃうと思います。
2016.02.24 15:00 | URL | #- [edit]
あい says... "今度"
管理人さん、今度アカデミー賞のドレス特集もぜひお願いします^^
2016.02.24 15:04 | URL | #- [edit]
aitantanmen says... "Re: 見たいんですよね"
あいさん

>そりゃもう、ヴィトンでおファス様とぶちゅーですよ(笑)
やはり、そうですよね(笑)。

北島マヤことエディ・レッドメインは「博士と彼女のセオリー」でも、フェリシティ・ジョーンズ演じるすごく出来たいい嫁に恵まれていました。プライベートでも「僕が成功したのは嫁のおかげ」と言っているそうなので公私ともに嫁運がものすごくいいのかもしれませんね。エディ自身も穏やかで優しそうなメンズですしね。

リリーは予告編を見ているだけでも泣けてきます。特にアリシアたんの目の演技が素晴らしいです。アイメイクが流れ落ちること必至なので、お化粧直しのお道具を劇場に持参して下さい〜。

2016.02.24 16:50 | URL | #- [edit]
aitantanmen says... "Re: 今度"
あいさん

もしかして楽天ブログのころやっていたあのネタでしょうか?ELLEオンラインの真似をしたくて(実際、ELLEより一日くらい早かった)、海外のサイトから写真を取って来てピーコ気分で勝手にファッションチェックをしていました(笑)。

すごく楽しかったのですが、忙しくて次の日にすぐアップ出来そうにありません。ごめんなさい〜。
2016.02.24 16:56 | URL | #- [edit]

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