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@itan-journ@l praha

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『キャロル』とにかく男前なケイト・ブランシェット氏


                                       

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アカデミー主演女優賞と助演女優賞にノミネートされています。調べたところ筆者の居住国で公開されるのは4月・・・。日本ではもう公開されているのに、ホワーイ、なぜに?ほとんどの映画が日本よりも早く観られるのに・・・とガッカリしていました。しかし所用でハンガリーのブダペストに行くことになり調べてみたところ、こちらでは日本と同じタイミングで公開されているではありませんか。ということで中欧をまたにかけた映画鑑賞です。

女優2人は確かにノミネートに値する演技。彼女たちを彩るセット、衣装、美術そして切ない旋律の音楽と、どれも美しくて悲恋を引き立てています。でもそれ以外ではいたって普通のメロドラマかな・・・といったところ。作品賞と監督賞のノミネートがないのがなんとな~く理解できるような気がしますね。個人的に同性間の恋愛を描いた作品っていうと「ブロークバック・マウンテン」や「アデル、ブルーは熱い色」などが思い浮かびますが、それらが共通して持つ「熱量」が本作には欠けているように思います。人を好きになっちゃって、どうしようもなく好きになっちゃって、でも障害があって上手く行かなくって、でもそれで諦められないほどに好きで、もめて、泣いて、わめいて、それでもどうしようもなく好きで・・・みたいな熱さが本作ではほとんど感じられなかったのが残念。50年代の話だから時代的に同性愛はタブー視されてるし、片方は離婚するってことで子供の親権争いで同性愛が不利になったりしているし、恋を阻むドラマの要素はいっぱいあるんですけれど。もしかしたらあえて抑えた演出にしているのかもしれませんが、個人的にはちょっと物足りなさを感じました。

しかしながら、同性愛が現在ほどオープンでなかった時代という枠の中でこそ成立している悲恋のドラマでもあります。ニューヨークの高級デパートで働くテレーズ(ルーニー・マーラー)は、不幸せな有閑マダムのキャロル(ケイト・ブランシェット)に一目惚れし、彼女がカウンターに忘れたグローブ(もしかして、キャロルは故意に置き忘れた?)を届けます。それがきっかけとなり二人は親しく付き合うように。時代背景とキャロルが夫と娘の親権でモメているという障害さえなければ、普通に素敵なカップルの馴初めなんです。

ゴージャスな毛皮をまとった明らかに誘い受けなマダム、ケイト・ブランシェットが男前!ハスキーな声が男前!タバコを吸うしぐさが男前!シュッとした瞳で訴える演技が男前!ピンヒール履いてるのに娘を楽々抱っこ出来るのが男前!裸になった広い背中が男前!と、そこらのチャラい男優なんかよりもずっとダンディーで男前なんですよ。そんなキャロルに憧れる若いデパガのテレーズは大きな瞳が可憐なお嬢さん。短く切った前髪がオードリー・ヘプバーンを彷佛とさせます。テレーズはチェコ系なんですが「テレザ」じゃなくて「テレーズ」なのがいいですね。キャロルが言ったように、テレーズと呼んだ方がずっとエレガントです。ツーピースにピンヒールの靴を合わせた有閑マダムなキャロルのファッションと、シンプルなシャツやニットで可憐 な女学生のようなテレーズのファッションが対照的でした。

キャロルと夫ハージ(カイル・チャンドラー)の離婚話はかなりドロドロしていて探偵を使うところまで行くんですが、そうなるまでにひたすら「別れたくない」と懇願する夫。彼は彼で可哀相な人でしたね。夫がなぜそこまでキャロルにこだわるのかってのもイマイチよく伝わりませんでしたが。というかキャロルはどう見ても宝塚の男役風なタチの女性ですよね。

筆者が個人的に「わかるなあ」と思ったのが、テレーズが初めてキャロルの運転する車に乗るシーン。憧れの人が運転する車(密室)で二人きり。カメラがテレーズの視線となり、嬉しさと緊張で色々なところに視線が飛びます。車の速度計のあたりだったり、窓から見える商店だったり・・・。その画面もピントが合ってないんですよ。「ああ、片思いしてるときってこんな感じに視線が泳いじゃうよなあ・・・」と既視感がありました。


※以下ネタバレします。



キャロルは娘のためにテレーズとの恋愛を諦めて去り、精神科に通って同性愛の治療(当時は病気だと思われていた!)を受けるのですが、弁護士や夫の前で自分を偽ることが出来ず、夫に親権を譲ることになります(監視の元に定期的な娘との面会はあり)。そして独り身になった彼女はテレーズに再会を願う手紙を書くのでした。一方キャロルと別れたテレーズは好きだった写真関係の仕事に就いていました。キャロルからの手紙に心揺れるテレーズ。映画冒頭のシーン、レストランで向かい合う二人にテレーズの同僚が声をかけるシーンに戻ります。ああ、このときにキャロルとテレーズの雰囲気がなんだか変だったのはこういうことだったのか・・・ということですね。

ヨリを戻す提案をするのも、初めて交際を開始する時と同じぐらいドキドキするものです。しかし、相手との付き合いがどんなものかを知っているので、ドキドキの根がもっと深く張っている・・・みたいな感じでしょうか。キャロルは同棲を持ちかけるのですが、テレーズはすぐにイエスと言えません。数日後、キャロルとの待ち合わせ場所に現れたテレーズ。人でいっぱいのレストランの中、テーブルに付いているキャロルを見つけます。そしてテレーズに気が付くキャロル。これで終わりです。

その後を予感させるカッコイイ終り方なんだけど、やっぱりキャロルとテレーズの愛に見苦しいくらいの「熱量」がないから、「ふーん、そう。まあ、よかったじゃん」と言った程度ですよ。やっぱりお互い見苦しいくらいにグチャグチャになって泣いたり叫んだりするシーンが少なかったからかな〜。前述した二本の同性愛映画では、あんなに入り込むことが出来たのに・・・(特に「ブロークバック・マウンテン」は自分がジェイク・ギレンホールなのかと思うくらいに共感して号泣した)。同性愛、だけどアッサリと上品な50年代風味といったところでしょうか。

そのくらいの時代の同性愛映画というと、オードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンの「噂の二人」(1961)がありますが、この映画は本当に嫌な感じの映画でした。寄宿学校の先生シャーリー・マクレーンがノンケの同僚オードリーに片思いしているんだけど、それをいち早く感じ取った少女がいて、その少女によって破滅していくという話。もともとは34年に作られた戯曲だそうです。そのせいもあるだろうし、寄宿学校という舞台設定もあるせいで、閉鎖的で差別的な雰囲気が窒息するくらいプンプンしている映画だったことを覚えています。それに比べれば本作の同性愛タブー感はだいぶマイルドだったように思います。

しかしケイト・ブランシェットはプリオと同じくらい、どの作品でもビシッとした仕事をする人ですよね。「ブルー・ジャスミン」ではどうしようもないクソバカ女を演じて主演女優賞でしたが、今回はどうでしょう。ルーニー・マーラーの助演女優賞の方が可能性が高そうかな?と個人的に思います。



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Comment

あい says... "ハンガリー"
ハンガリーまで行ったんですか!?すごいですね^^:
ケイト・ブランシェットは本当にハンサムですよね。やっぱり宝塚ちっくです。テレーズがキャロルに憧れる気持ち何となく分かります。「アデル、ブルーは熱い色」は最後は本当に切なかったです。「キャロル」は映画コーナーとかでよく紹介されていて、その時に静かな同性愛?の映画なのかなと思いましたが、管理人さんの感想でやっぱり物足りないんだと納得です。
でもアデルと違って希望ある終わり方はいいですね。
アカデミー賞、2度目の受賞なりますかね?他の主演女優賞の最有力は誰なんでしょうか?
2016.02.17 14:31 | URL | #- [edit]
aitantanmen says... "Re: ハンガリー"
あいさん

たまたま所用で行く機会に恵まれたので、観て来ました!

いつも男前なケイト・ブランシェット様になら抱かれたいかも、という人は多いのかも。私は激情型の恋愛を映画で観るのが好きなので、静かなトーンで語られる映画はやっぱり物足りないのです・・・。映画なんで、やっぱり普段は観られないもの、エンターテイメントを求めてしまうからなのかな。

主演女優ノミネート、観た中では「ルーム」のお母さん(ブリー・ラーソン)がよかったと思いました。授賞式までに全部の作品を観られるかどうかドキドキしてます。もっと早くから観始めればよかった・・・夏休みが終わる前の小学生のような気分です。




2016.02.17 18:22 | URL | #- [edit]

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