@itan-journ@l praha

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『ルーム』主演男優賞にノミネートされてないのが不思議







知人が「すごく感動して泣いちゃった。たぶんもう一度観る」と褒めていたこの映画。町山さんのポッドキャストで気になっていたんですが、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたのをきっかけに鑑賞してみました。もの凄くよかったです。扱われている事件は本当にひどいものなんですが、生まれた時から監禁されていた五歳の男の子の目を通して見る外の世界の描写が本当に素晴らしかったし、ラストはこれからの希望に溢れていて素晴らしい映画でした。


※ネタバレ第一段階(予告編程度)


ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は5歳を迎えたばかりの可愛らしい男の子。ママ(ブリー・ラーソン)と一緒に小さな部屋に住んでいます。彼にとっては部屋の中の世界がすべてで、外に出たことはありません。でも優しいママといつも一緒です。ママは小さな部屋の中で出来る限りのことをジャックにしてあげています。ストレッチをしたり、読み書きを教えたり。夜になるとジャックはクローゼットの中で寝ます。オールド・ニック(ショーン・ブリジャース)というおじさんが部屋にやってくるからです。ママはある日ジャックに部屋の外の世界について教え始めます。実はママはオールド・ニックによってこの部屋に7年間監禁されており、その間にジャックを生んでいたのでした。

ママ役のブリー・ラーソンがアカデミー主演女優賞にノミネートされました。極限状態にあっても希望を失わない強い女性であり、誘拐犯との間に出来た息子だけど彼のことを心底愛しているお母さんの演技は確かに素晴らしいです。そしてジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんも、それにひけを取らない素晴らしさを見せていました。特に印象的だったのがトラックの荷台から初めて空を見た時の表情。これは本当に生まれた時から監禁されていた子のそれと同じですよ!!!演じていることを全く感じさせないこの素晴らしさ(たぶん、鑑賞中の筆者も空を初めて見たジャックと同じ表情になってたと思う)。すごい・・・、すごい!と大変に驚きました。しかし!この神演技を披露したジェイコブくんは主演男優賞にノミネートされていません。ホワーイ、なぜに?!前述の知人にこのことを告げると彼女も大変驚いていました。比べるのもアレだけど「世界にひとつのプレイブック 」のブラッドレー・クーパーよりもずっといい演技してたと思うんですが・・・。

町山さんのポッドキャストを聴いてはいたものの、ほとんど話の展開を忘れちゃっていたんですね。だから監禁から外の世界に出るということまで描かれているのを知らなかったんですよ。オールド・ニックがレイオフで失業してしまうんですが、ママとジャックが住む部屋の暖房が切られたりして次第に生活が脅かされて行くんですよ。このままオールド・ニックが経済的に困窮すれば邪魔な自分たちは殺されるかもしれない・・・と考えたママは5歳になったジャックに脱出を託して色々なことを教え始めます。



※ネタバレ第二段階(映画の中盤まで)



ママは部屋の暖房が切られたせいでジャックが病気になったことにして病院に連れて行って欲しいとオールド・ニックに懇願しますが、薬を持って来られるだけでこの計画は失敗してしまいました。一計を案じたママはジャックが病気で死んだことにして絨毯で彼を包みます。トラックでどこかに行って埋葬してほしいとオールド・ニックに頼み、ジャックを外へ出すことに成功するのでした。ここのあたりは心臓がバクバクして、ずっと手を口に当てっぱなし。5歳の今まで外に出たことのない子に命綱の役割が果たせるのだろうか、お願い、どうか、どうか・・・!!!と祈りました。

そのサスペンスとともに、外に出たジャックが初めて見る空の明るさや、吠える犬や大人のでかさなどがブン!と観客に向かって来るのです。初めて外に出た5歳児目線を映像によって追体験するというのは今までになかったことなので、ここはすごくフレッシュでした。オールド・ジャックに見つかってしまうんですが、通行人のおじさんに助けられたジャックは警察に保護されます。大事に持っていたママの抜けた虫歯を警官に見せるジャック。事件性があることに気が付いた警察はジャックの証言から監禁場所を割り出して、ママを救出することに成功するのでした。

ふわー!よかったー!!!と膝の力がヘナヘナと抜ける瞬間ですよ。再び前述の知人(幼稚園教諭)曰く「5歳の子にあのタスクは結構難しいと思う。私が知ってる5歳児の中でやれそうなのは2人くらいかな・・・」と言っていました。やっぱりそうなんだ。保護されたママとジャックは病院にいます。真っ白く広がる病室。窓からは果てしなく続く街がみえます。そこはジャックにとってはまるで別世界でした。おばあちゃん(ジョアン・アレン)とおじいちゃん(ウィリアム・H・メイシー)がかけつけて、ママと7年振りの再会に涙を流しています。

病院での検査を終えて、おばあちゃんの家へ帰ったママとジャック。その日は大勢のマスコミや街の人に囲まれての帰宅となりました。無事に帰宅したものの、ここからがまたママとジャックにとっては試練だったのです。ここがリアルですね~。劇的に助かって、よかった!で終わりじゃないんですよ。



※ネタバレ第三段階(ラストまで)



おばあちゃんはジャックのことをとても愛してくれますが、おじいちゃんはジャックのことを直視出来ません。やはり誘拐犯の子であるということが、彼をそうさせているようです。このおじいちゃんの気持ちもわからないでもないんですよね・・・。娘が帰って来て嬉しいけど、父親が誘拐犯の子を受け入れられない複雑な気持ちなんだと思います。そのことでママとおじいちゃんは喧嘩をし、おじいちゃんは自分の家に帰ってしまうのでした。おじいちゃんとおばあちゃんは離婚していて、おばあちゃんは新しいおじいちゃんのレオ(トム・マッカムス)と一緒に暮らしています。この人はいい人だったので、ジャックは少しづつ彼と仲良くなって行きます。

少しづつ、少しづつ、普通の5歳児が体験するようなことを覚えて行くジャック。ここも涙なしには見られません。ああ~、どうか幸せになっておくれ・・・と見守ります。それに外に出てからのジェイコブくんの演技が脱出時にひけを取らないくらい素晴らしいんですね。これって子役なんだよね?演技なんだよね?っ てくらいナチュラルなんですよ。

勇気のあるママはメディアのインタビューに応じることになりました。やっぱりインタビュアーからデリケートなことも聞かれちゃうんですよ。「息子さんが大きくなったときに、父親のことをどう説明しますか?」とか・・・。ママは「息子には父親がいません。誰も父親ではない、私一人で生んで育てた子なんですから」と答えるんですね。これは本当にそうだと思いますよ。あの部屋でママ一人で生んで、ママ一人でこんなに賢くていい子に育てたんだもの。しかし後に鬱状態になったママは自殺を図り、病院に搬送されます。

一方ジャックは、新しい世界に少しづつ触れて行きます。同じ年頃の子とボール遊びをしたり、おじいちゃんのレオが連れて来た子犬と遊んだり。この新しい体験がいちいち泣かせるんですよ。ああ、この子には無限に広がる未来がある。どうか健やかに幸せに育っておくれ・・・と願わずにはいられません。きっと孫がいるってこんな感じ?と、擬似的に彼の祖父母のようになった体験をさせてくれるんです。監禁されていたときからずっと女の子のようなロングヘアを保っていたジャックですが、ある日おばあちゃんにヘアカットしてほしいと頼みます。5歳児ながら自らの過去に決別して未来に踏み出そうとしているんですよ。このいじらしさに涙。髪を切ってもらった後に「おばあちゃん、愛してるよ」って言うんですが、涙が次から次に溢れて来るシーンです。

ママが病院から家に帰って来ました。ママは前よりも少し元気になったみたいです。ジャックはママと一緒に警官に付き添われ、あの部屋を訪れます。部屋は一方の壁が取り外されていました。ママと一緒に暮らしていた部屋ですが、今はまるで違ったように見えます。まるで、縮んでしまったみたい。町山さんがポッドキャストで仰っていましたが、昔通ってた小学校とか、子供の頃住んでいた街とかを大人になって訪れると「こんな小さかったっけ?」とビックリしますよね。救出されてからそんなに時間の経過していないジャックでもそう思ってるんですよ。子供の成長は早いのう。ジャックは部屋の中にある様々なモノに触れて、ひとつづつに「さよなら」と言います。ここも号泣。部屋にいたときも、朝起きると「おはよう、ベッド」、「おはよう、洗面台」、「おはよう、テーブル」とひとつひとつのものに挨拶していたんですね。それらに別れを告げるんです。5歳児ながら自らの過去に決別して未来に踏み出そうとしているんですよ(二度目)。

くうー!!!この子はどこまでオバチャンの涙を搾り取るのだ!と目頭を押さえる筆者。希望を感じさせる本当にいいエンディングでした。発端となった事件は本当に想像を絶する様なひどいものですが、そういったものをすべて浄化させるようなジャックの純粋さが輝いていました。ママも素晴らしかったけど、本当にジェイコブくんが素晴らしくてオスカー主演男優賞5年分くらいあげたいですよ。この子天才だよ!オスカーはかすってないですが、アメリカでは様々な賞にノミネートされたり受賞したりしてるみたいですね。マコーレー・カルキンみたいにならずに無事に成長して欲しいものです。

監督のレニー・アブラハムソンの手腕も素晴らしかったですね。作品賞、監督賞、そして脚色賞にノミネートされています。これには文句なしでしょう。レニー監督はおファスの「FRANK」を監督されている方でした。うーん、FRANKあんまり面白くなかったけど、これも繊細な映画でしたね。主要部門でひとつは受賞しそうな気がしますが、どうなるでしょうか。とにかく筆者には、今まで観たことのないジャンルの新鮮な映画でした。

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