@itan-journ@l praha

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『のんき大将脱線の巻』邦題が可愛い、動く絵本のような作品

        




プラハ先輩からプレゼントしてもらったDVDで鑑賞しました(もう一本は以前感想を書いた「ゲンスブールと女たち」)。ジャック・タチの映画、実は観るのが初めてです。でも、のんき大将のことは知っていましたよ。オリーブにリバイバル上映の広告が出ていたからです(確かシネ・ヴィヴァン六本木だったと記憶)。ジャック・タチと言えば、お洒落な映画ポスターの定番。「ぼくの伯父さん」の青を基調にしたポスターは、その当時お洒落な人の自室によく飾られていたものでした(そのもう一枚が赤を基調にした「欲望」のポスターですね)。

秦 早穂子さんが書いた「影の部分」という本にジャック・タチと出会ったときのことが書かれていましたが「いかにもスラブ系といった風貌」といったような記述があったと思います。私は「へえ、タチってスラブ系だったんだ」と驚きました。フランスにはタチというスーパーがあるし、てっきりフランスの血だと思っていたので。調べたところ、オランダとロシアのハーフなんだそうで、本名はタチシェフと言うんだそうです(ちなみにチェコ語で「タチ」は「お父さん」)。

本作はタチが監督、主演、脚本を兼ねた作品でなんと1949年の映画です。舞台はフランスのド田舎。小さな村(一応カフェと郵便局がある)は年に一度のお祭りでソワソワしたムードが漂っています。そこへ郵便配達人のフランソワ( ジャック・タチ)がやってきて、ドタバタ騒動を繰り広げる ・・・という実に牧歌的なストーリー。村には民族衣装的なものを着たババアがいて、いつもヤギを連れながら何かを観客に説明します(全然聞き取れなかった)。

フランソワは自転車で郵便配達をしている途中、村の広場にお祭りのポールを立てるのを手伝ったりしますが、全然うまく行きません。勢い余って自転車ごとカフェに突っ込んで二階の窓から出て来たり、手紙をヤギに食べられたり・・・。アクションで笑わせる感じの映画なのが語学力のない私にはこれ幸い。チャップリンとかバスター・キートンとかそういうスラップスティックコメディ系統の笑いなんですね。ちょっとドリフに通ずる部分もあるかな。子供からお年寄りまで楽しめて、とにかく懐かしい感じです(ドリフだったらSEで「アーッハ ッハッ!」という笑い屋のオバチャンの声が入っていそう)。私が観たバージョンはカラーだったんですが、もともとモノクロ映画で後からカラーの加工がされたんだそうな。だからか鉛筆画に水彩絵の具をチョチョっとのせた様な淡い色彩でなんだか動く絵本のような味わいがあります。

お祭りではテントの中で映画が上映されています。アメリカのドキュメンタリー映画なんですが、郵便配達人がスタントマンも真っ青なアクロバティックな技を次々と見せるというもの。それを見た村人が「アメリカの郵便配達すげえ!!!それに比べて俺らのは・・・」というテンションになってしまうんですね。村人たちにそんな風に言われてしょげてしまうフランソワ。今までが絵本の中のように平和だっただけに、ここは結構辛いんですよ。

思い立ったフランソワはアメリカ式に業務効率化(といっても自転車を高速でこぐ程度なんだけど)します。必要以上にチャカチャカと動いて迅速に郵便を届けまくるフランソワ。しかし、ヤギを連れたババアから「そんなに無理するこたないんだよ。ここにはここのテンポっつーもんがあるんだからさ」←(解釈適当)と言われて、思い直すという展開です。そしてお祭りは終わり、移動式遊園地の回転木馬を乗せたトラックがゆっくりと去って日常が戻って来るのでした・・・というホッコリしたお話です。

筆者個人はフランス(他のヨーロッパ諸国もだけど)ってのは、どんなにアメリカが「U.S.A.アズ ナンバーワン!」と声高に叫んでも「ああ、そう」と華麗にスルーする感じかと思ってたので、これはちょっとだけ意外でしたね。なんだったらアメリカのことを文化のない新興国として下に見ているような感じもしていたし。昔の田舎の人はまだ純粋で単純に憧れちゃったりするのかな。まあそこが素朴で可愛らしいですけどね。

秦 早穂子さんの本によると、この映画は日本で全然当たらず、そのために「ぼくの伯父さん」を買い付けるのが大変だったそうです。あと原題「祭りの日」というタイトルが弱いので配給会社の偉い人が「のんき大将脱線の巻」と名付けたとか。私はこの邦題大好きですよ。のんき大将ってネーミングが本当にピッタリで可愛いです。日本で当たらなかったというのはちょっと意外な気もしますが。ただ90分ずっ~と同じ調子でドタバタギャグなので、60分くらいに編集すれば愛すべき佳作として、より知られる作品になったんじゃないかなあと思いました。



「勝手にしやがれ」や「女は女である」を買い付けた秦さんの自伝的小説。60年代のフランス映画ファンなら必読です。

          

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