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@itan-journ@l praha

『博士と彼女のセオリー』内助の功の内幕とは

                                    



祝、アカデミー賞主演男優賞(エディ・レッドメイン)!宇宙物理学者ホーキング博士と奥さんのラブストーリー系伝記映画です。ホーキング博士については、なんだかとてつもなく頭のいい車椅子の博士ということぐらいしか知らない筆者ですが、その程度の知識の人でも充分に楽しめる映画になっていました。私はひねくれた人間なので、甘いだけのラブストーリーを観ると「今すぐ別れろ、今すぐ爆発しろ」などとドス黒い感情が渦巻くクチなんですが、このラブストーリーは実話なのでしっかりとした重みがあったし、そしてなにより恋愛や夫婦の上手く行っている部分ばかりを描いている訳ではないのがよかったです(ポスターやDVDの写真は、それはそれはドリーミングなんですが)。

ホーキング博士を演じるのがエディ・レッドメイン。この俳優さんは知らないなあ~と思って調べたら「マリリン、7日間の恋人」に出ていたひょろひょろしたメンズですね。あのときは本当に何とも思わなかったけど、いや〜今回はすごい熱演です。こんなに出来る子だと思ってなかった。エディ・レッドメイン、ナーメテーター!でした。ホーキング博士に顔もソックリだったし。ハンディキャップのある難役はオスカーをもらいやすいって言われるけど、それを差し引いたとしてもかなり良かったんじゃないかと思います(ちなみに「レ・ミゼラブル」は未見)。昨年の主演男優賞は「ダラス・バイヤーズクラブ」のマコで、ガリガリに痩せての受賞でした。エディたんの自身をハンディがある難役に近づける努力というのも評価されたんだと思います。

そしてホーキング博士の奥さんジェーンを演じるのがフェリシティ・ジョーンズ。実は初めましてで彼女の出演作は観たことがないんですが、透明感があってとても可愛らしい感じの女優さんです。彼女は31歳で意外と年いってるなって感じなんですけども、ガーリーなルックスでビー玉のような キラキラとした目が素敵。彼女が中盤で見せる目の演技もよかったです。フェリシティさんは主演女優賞を逃してしまいましたが、まだまだこれからチャンスはあるでしょう。

実は私、鑑賞中に何回か泣かされてしまいましたね・・・。なんで泣いたかって?その理由はノーリーズン!ただ、ただ、涙が目から溢れて来るんですよ・・・。こんな気持ち、本当に久しぶり!私をノーリーズンで泣かせた恋愛映画は「きみに読む物語」以来かも。「ゴーン・ガール」はカップルで観に行くのがちょっとアレな映画ですが、この映画は大丈夫です。むしろカップル(夫婦)に推奨。特に自由奔放な旦那に面倒をかけられている奥さん方におすすめです。


予告編↓



※ネタバレします。


60年代のイギリス。ケンブリッジ大学で宇宙物理学を学ぶスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は文学を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会います。すぐに恋に落ちた二人。ところがスティーヴンは筋萎縮性側索硬化症(別名ALS。昨年流行った「アイス・バケツ・チャレンジ」はこの病気の理解を深める為の運動だった)という病気を発症してしまいます。この病気は筋肉を使うすべての行動が次第に出来なくなるという難病でした。そしてスティーヴンは医者からあと二年の命だと宣告されてしまいます。彼はジェーンと別れようとしますが、ジェーンの意志は固く二人は結婚をするのでした。

まず映像がすごく綺麗なんですよね。なんだか空気が澄んでる感じがします。画面の色調が淡めでノスタルジックな感じ。学校のパーティーで出会い、恋に落ちた二人なんですが、二人ともすごく透明感があって可愛らしいんですよ。スティーヴンは成長したハリー・ポッターのようなキュート系眼鏡男子だし、ジェーンの可憐だけど意志の強そうなオナゴっぷりもいい(お洋服も可愛いです)。しかし、理系(それも 宇宙物理学とか常人には理解出来なさそうな分野)と文系ってそもそも話合わないんじゃね・・・?と思いきや、そんなことは全く問題になりません。スティーヴンが自分の研究のことをわかりやすくジェーンに話して、二人はちゃんと世界を共有出来てるんですよ。ジェーンもきっと頭の良い女性だったんのでしょう。「時間(研究のテーマ)を戻すんだ~」と二人で手を取り合いながらグルグル回ったり(このシーンがDVDパッケージになっている)、橋の上で花火を見ながら口づけしたり、まるでディズニー映画のようなロマンチックっぷりです。

しかしALSを発症してしまったスティーヴン。ジェーンの重荷になりたくないので、彼女のことを避けるようになります。二人の交際を懸念するスティーヴンのお父さん(シモン・マクバーニー)に「私は彼を愛してるんです。彼も私を愛してるんです。だから、彼と一緒に病気と闘います」とキッパリ言うジェーン。超~ベタですが筆者の涙ポイントはココです。涙の理由、それはノーリーズン!ただただ感動してしまって落涙。こんなに崇高な愛ってあるんでしょうか・・・。ジェーンの決意を秘めた瞳が素晴らしいです。そして二人はめでたく結婚。息子にも恵まれて幸せな家庭をもうけるのでした。

スティーヴンは「ブラックホールが宇宙の起源ではないか?」という仮説を元にした論文で博士号を取得します。この頃の彼は杖をついて歩いていましたが 、次第に身体の自由が効かなくなって来ることを感じ取っていました。しかし余命二年と宣告されたのにもかからず、リアルのホーキング博士はまだご存命ですからね(現在73歳)。これは本当にすごいことだと思います。その後、二人の間には第二子が産まれますが、気になるのが博士の下半身事情・・・。劇中で友達も「ぶっちゃけあっちの方はどうなの?」と聞いていましたが「あそこ?全然大丈夫!」と博士は言っていました。たまむすびでも町山さんが仰ってましたが、あんな難しい研究をしているのにもかかわらず実際の博士は結構ぶっちゃけた人だったようで、友人たちとストリップクラブによく行ったりしてたそうですね。そういうギャップがチャーミングだと思います。

ハンディキャップのある夫と幼い二人の子供の世話に、家事に、自分の勉強にとジェーンのキャパシティはいっぱいいっぱいになってしまいます。そりゃそうですよね・・・。「うちは普通の家族じゃないの!」とたまにヒスったりするジェーンですが、結婚して家族を持って、それが自分の希望だったはずなのに、上手く行かない時に「こんなはずじゃなかった・・・」と思う人は多いんじゃないかと(身近なサンプル:筆者の母親)。「だって、そうしたかったんでしょ?」と人からは思われるかもしれませんが「そうだったんだけど、まさかこんなに大変だとは・・・」という部分もあるんじゃないでしょうかね。普通の人だってそうなんだから、ジェーンの場合は・・・結婚するときの決心が固かっただけに、なんだか気の毒になってしまいます。

そんなときジェーンはお母さん(エミリー・ワトソン)からアドバイスされて教会へ行き、ジョナサン(チャーリー・コックス。彼も好演でした)と出会います。男やもめのジョナサンは教会で音楽の先生をしている優しい男性。そしてジョナサンはホーキング一家とも家族ぐるみで付き合うようになります。ホーキング家の子供たちに音楽を教えたり、スティーヴンとは友人になってジェーンでは出来ない力のいるお世話をしたり。ジョナサンがホーキング一家と親しくなって行く過程が、微笑ましくかつ丁寧に描かれていたので彼は結構重要な役なんだな~と思ったんですが、今思うとジェーンの目の演技が味わい深かったですね。ジョナサンがホーキング夫妻の家で食事をするシーンがあるんですが、ジェーンがなんか少し怒っているような感じの雰囲気を出していて、ジョナサンに傾きそうになるのを必至で押し留まっていたんだな~という感じでした。このあたりから非ネイティヴの私にはスティーヴンのセリフがかなり聞き取りづらく感じてきました。 スティーヴンは既に車椅子ですが次第に口の筋肉が麻痺して話すことも難しくなってきているのでした。

その後、ジェーンは教会を訪れてジョナサンに妊娠したことを告げます(やっぱりちょっとキレ気味)。えっ、やっぱり・・・うわー・・・と思うのですが、ジョナサンの反応は「えっ・ ・・そうか、それはおめでとう!」というもの。ジェーンのお腹の子はもちろんスティーブンの子なのでした(ここは観客のミスリードを狙ってる演出かも)。ジョナサンが少し驚いていたのは、スティーヴンがまだ子作り出来たんだ・・・という驚きだったんですね。私もビックリしましたよ!ホーキング博士の偉業って、宇宙の真実を解き明かそうとしたことよりも、筋肉が動かなくなってしまう難病なのに(それも余命宣告されてて)三人も子を成したことではないでしょうか・・・。

ジェーンのお母さんも同じことを思ったらしく「末っ子はジョナサンの子なんでしょ?」と疑っていましたが。その会話を偶然聞いてしまったジョナサンは立ち去ろうとしますが、ジェーンに止められます。ここで二人はお互いを想い合っていることが明らかになるのでした。やっぱりなあ、そうなっちゃうだろうなあ・・・という感じですよ。ホーキング一家と距離を置こうとするジョナサンでしたが、スティーヴンは彼を教会に訪ねて(お酒と一緒に)ジェーンは彼を必要としていることを告げるのでした。きっと博士は二人の間にロマンスが芽生えていたことを知っていたのかも・・・と考えると味わい深いシーンです。

その後、スティーヴンは招待先の外国でコンサート鑑賞中に意識不明になってしまいます。同じ頃、ジェーンとジョナサンは子供たちを連れてキャンプに来ていたのでした。楽しそうにテントを張るジェーンとジョナサン(もちろんジョナサンのテントは別)。夜が更けて子供たちが寝た後、ジェーンはジョナサンのテントを訪れます。二人は一線を越えてしまったのかどうか 、それは見せてないんですね。その後、ジェーンの元にスティーヴン意識不明の連絡がいって、彼女は病院に駆けつけます。医者から、肺炎のためスティーヴンの気管を除去するので今後は話すことが出来なくなるを告げられるのでした。スティーヴンはALSだけでなく声も失ってしまったのですが、そんなときもジェーンは嘆き悲しまずに前を見据えているのです。もう本当に凄い奥さんですね。良妻の鏡ですよ。

手術後、声を失ったスティーヴンにジェーンはスペリングのボードを持って、コミュニケーションを取ろうとします。このボードのルールをマスターすれば単語が伝えられるという仕組みですが、瞼を動かして一単語を伝えるだけで、もうそれは気の遠くなる様な大変さでした。ジェーンはヘルパーのエレイン(マクシヌ・ピーク)を雇うことに。スティーヴンとエレインは気が合いたちまち仲良くなりました。その後、ジェーンとエレインはスティーヴンのためにコンピューターを使った合成音声機械を導入します。かろうじて動かせる指先で操作するだけで、単語と声が出力される画期的な機械なんですよ。お陰でスティーヴンは機械の声を通じて話せるようになりました(音声サンプルがアメリカンアクセントしかないのをジェーンが気にしていましたが・・・笑)。その後、この機械でスティーヴンは世界的なベストセラーになった「ホーキング、宇宙を語る」を執筆。この本は確か筆者の実家にもあった気がします。両親は宇宙物理のことなんて全然興味のない普通の人達ですが、そういう人も読める画期的な本だったようですね(筆者は未読)。

スティーヴンはアメリカでの講演に招待されますが「アメリカにはエレインと行くつもりだ。ごめん」とジェーンに告げます。いつしかスティーヴンはヘルパーのエレインと恋仲になっていたのでした。確かにスティーヴンがエレインと仲良さそうにキャッキャしているのをジェーンが訝しげに見ているシーンがありましたよ。それを聞いてジェーンが「あなたを愛したわ。私は精一杯やった」と言います。その言葉は夫の心変わりを責めるものではなく、余命二年と言われたのにもかからず二人で頑張ってここまで来たわね、という今までの夫婦の軌跡を振り返る言葉でした。それを聞いて泣くスティーヴン。筆者も落涙。余命二年と言われたけれども、結婚して子供を持ち、さらには人類を超越した宇宙という存在の謎を解き明かさんとする研究の第一人者となった。ここまでよく頑張ったよな〜と思う訳ですよ。スティーヴンは天才博士だけど、ジェーンの献身的なサポートがなければ、これをなし得ていなかったかもしれない訳で・・・。その後、ジェーンはジョナサンの元を久々に訪ね、二人が抱き合うカットがあります。こうして二人三脚で逆境にもへこたれず頑張って来た夫婦は、それぞれのパートナーを見つけて別れたのだな・・・ということが提示されるのでした。

スティーヴンのアメリカでの講演は大成功。このスピーチは彼の偉業をよく知らない私にも感動的でしたねえ。講演を聞きに来ていた学生のペンが床に落ちて、それをスティーヴンが取るという空想のシーンが切なかったです。でも博士は難病と闘いながら前人未到の研究で成果を上げたのですよ。私なんか、健康でピンピンしてるのに毎日グータラしてて・・・と凹んでしまいました。その後、女王陛下からご招待の手紙が届き、ホーキング一家はバッキンガム宮殿におよばれします。女王陛下に会う前にジェーンが「いつも眼鏡が汚れてるわね」と言ってワンピースの裾でスティーヴンの眼鏡を拭いてあげるんですよ。前半、病気発覚後にジェーンが同じセリフを言ってスティーヴンの眼鏡を拭くシーンと対になっているんですね。謁見後、宮殿の庭に出たスティーヴンはジェーンに「僕たちがつくったものを見てご覧よ」と言います。彼の視線の先には楽しそうに遊ぶ三人の子供達の姿が・・・。

そしてそこから急速に時間が戻り、今までのハイライトシーンがグワーっと巻き戻されます。あんなこともあった・・・こんなこともあった・・・スティーヴンが発病して倒れたシーンも、「時間を戻すんだ!」って二人でグルグルしたシーンも、パーティーでお互い一目惚れしたシーンも・・・もう落涙、落涙でした。この演出は卑怯!これは泣いてしまうでしょう・・・。この映画、出来はわりと普通っちゃ普通なんですよ。ごくスタンダードに夫婦の軌跡を描いているんですが、ホーキング夫妻という題材が素晴らしくいいのと主演俳優&女優の好演とドラマチックなサントラと最後のグワーっという苦労シーン巻き戻し演出で、映画の出来の良さがバコーンと跳ね上がっているような気がしますね。是非ハンカチをお持ちになることをおすすめします(って普通みんな持ってるか・・・ )。

この後でテロップが出て、その後のホーキング夫婦がどうなったのかということがわかるんですが、ジェーンは文学の博士号を取得しジョナサンと結婚。スティーヴンとジェーンは離婚しましたが、今でも良き友人同士なんだそうです。テロップにはなかったけど、調べてみるとスティーヴンはヘルパーのエレインと結婚したみたいですね。いや~しかし、偉人の影には内助の功ということで「ゲゲゲの女房」的な奥さん視点での苦労経由のサクセス話はまだまだ世の中にネタがいっぱいありそうですね。最後に私事ですが、筆者の夫は現在再び大学に通っており私には何が何だかわからないものを一生懸命勉強しているので、将来彼がブレイクするかどうかはともかく(いやそもそもブレイク以前に人並みに働いてもらえるだけでいいのだが)、せめて食事くらいはちゃんと作ってやらにゃいかんのう・・・と思わされるのでした。


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浦鉄 says... "単なる難病ものではないのね"
見たよ!泣いたよ!泣かされたよ!いやー、まさかまさか、こんな結末とは…。最初意外な結果すぎて呆然としてたんだけど、そこにあの怒濤の巻き戻しが来て、ウワアアアアン!このキラキラした二人にこんな人生が待っているとはー!!涙ブッシャー!!ですよ。あの演出、ずるいよねー!
でもジェーンが結婚を決めたのって、余命2年だと思えばこそっていうのもあるんじゃないか?とちょっと深読みしてしまった。あのときはまさかこんなに長い介護生活が待ってるとは思ってなかったんじゃないかなあ。すぐに死んじゃう人と添い遂げるのは一時の情熱と自己犠牲があればむしろたやすい気がする(そんで「余命一ヶ月の花嫁」とか「愛と死を見つめて」みたいな熱量の高いラブストーリーが完成する)けど、それが自分の人生そのものに成り代わるとなると、厳しいよなあ…。
スティーブンが本当に余命2年で世を去っていたら、この話も熱量高い系ラブストーリーで、二人の関係もキラキラしたまま終われたんだろうなー。でもそうしたら研究の完成もなかったわけだし、やっぱりどんなにボロボロになっても生きる方が得るものが多いのね。なにより三人の子宝に恵まれてさ!そう考えると博士の最大の偉業は三人の子を成したことっていうのは結構真理を突いているな(笑)
2015.03.17 23:58 | URL | #- [edit]
aitantanmen says... "Re: 単なる難病ものではないのね"
>すぐに死んじゃう人と添い遂げるのは一時の情熱と自己犠牲があればむしろたやすい気がする(そんで「余命一ヶ月の花嫁」とか「愛と死を見つめて」みたいな熱量の高いラブストーリーが完成する)

その通り!とヒザを叩いたよ。そんで、短い命だからこそキラキラしたまま美しく二人の愛も散る・・・という部分が、私達の琴線に触れるのかも。余命宣告あと二年がアクセルとなって二人は結婚したみたいに描かれていたし、まさか、こんなに生きるとは・・・とジェーンもビックリしたかもしれない。そう思って後半、アメリカに行くことにした博士に老けたジェーンが「あなたを愛したわ。私は精一杯やった」というセリフはまた重みが出て来るね。浦鉄さんの洞察力にはいつも脱帽です。

しかし、時間が経ってキラキラがなくなっても生活がしんどくなっても「生きてこそ」だと思う。博士も講演会で「命ある限り、希望はあるのだ」って言ってたしさ〜。ここも泣きポイントだよね。博士みたいな偉業からは程遠い小市民だけど、くじけそうになったときは博士の言葉を思い出すといいかも。あの壮大な巻き戻し演出はやっぱり卑怯だよね(笑)泣いてまうやろ!
2015.03.19 06:18 | URL | #- [edit]

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