@itan-journ@l praha

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『フィッシュ・タンク~ミア、15歳の物語』ファスベンダー目当てで鑑賞、だが思わぬ傑作

        



久っ々に・・・この映画はいい!と手放しで褒めちぎりたい素敵な作品に巡り会ってしまいました。最高です。最高です。最高です。3回言ってもいいくらい、私はこの作品に心の琴線をかき鳴らされ、心の柔らかい部分をモミモミと揉み込まれてしまいましたよ。

なぜ観たかというと、マイケル・ファスベンダー出演作だから。「おお、じゃあ観ておこう」と押さえのつもりで観たんだけど予想以上に素晴らしい作品で、心のドアをパカーッと開かれちゃいましたねぇ・・・。今回もあらすじを辿りつつ、感想を垂れ流して行くスタイルで行きたいと思います。



※ネタバレしますので、お気をつけ下さい。





<あらすじ その1>
イギリスのクソ田舎の底辺団地に住む15歳の少女ミア(ケイティー・ジャービス)が本作の主人公です。お母さんのジョアンヌ(キアーストン・ワリング)は酒浸り無職だし、妹のテイラー(レベッカ・グリフィス)は口を開けば汚い言葉を罵るという劣悪な家庭環境。学校でも友達と上手くやれずに孤立している女の子なんですよ。クサクサした感情を内包している子なんですが、ダンスが好き。特に発表する予定はないんだけど1人で練習をしている日々を送っています。そんなある日、お母さんの新しい彼氏のコナー(マイケル・ファスベンダー)が家にやってきます。コナーは誰からも相手にされなかったミアを1人の人間として扱ってくれる不思議な男性でした。そんなコナーに興味を引かれるミアだったのですが・・・。

ヒロインのミアちゃんですが、ミーシャ・バートンを若返らせて痩せてゴス風味にした感じの美少女です。思春期特有のやり場のないイライラオーラを静電気のように放っていて、あ~上手だなあ、きっとこの人は有名な女優なんだろうな、私が知らないだけで・・・と思っていたのです。観賞後、Wikiを見てビックリ!なんとミア役のケイティー・ジャービスは演技経験ナシでこれがデビュー作。しかもこの映画のキャスティング担当の人が、駅(劇中でも登場)で彼氏と喧嘩しているジャービスを見初めたそうで。スゲー・・・。

行く所すべてで小競り合いの喧嘩が起きてしまうという、ギザギザハートの子守唄を地で行くミアちゃん。空き地に繋がれていた哀れな白い馬が、なぜか自分のように思えてしまい鎖を解いてあげようとしますが、すぐ横のトレーラーに住んでいる馬の持ち主のチンピラに捕まってしまい、慌てて逃げ出すのでした。タイトルはフィッシュタンクだけど、繋がれた馬に自分を重ねているんですよ。普段の私なら「タイトルがフィッシュタンクなのに、自分を投影してるのが魚じゃなくて馬なんておかしいじゃん、プププ!」って鬼のクビを取ったように突っ込むところ。でも全然変な感じはしません。ここでaitan的名作のルール:余計なツッコミを飲み込んでしまう力がある、コレ来ましたね。このツッコミ飲み込み力が発揮される映画、私が観た中だと「アルゴ」や「男と女」があったりします。

朝、当然のように家にいて朝ご飯を食べているお母さんの彼氏のコナー(おファス)。妹のテイラーともすぐになじんでいました。この妹がまだ10歳行くか行かないかくらいなんだけど、もうドキュンの英才教育を受けてきた成果が出てるんですよ。タバコを吸うし酒は飲むし何かっていうと「カント!(「ま◯こ」みたいな意味でしょうか・・・)」って罵り言葉を吐くしょうもない子供。この子が友達とタバコ吸ってるシーンはもう立派なビッチです。末恐ろしい・・・。しかしお出かけにはしゃいだりしてギリ子供っぽいところも残っているというキャラクター。

おファス半裸の(もちろん意図的演出)シーンが沢山あるんですが・・・もうなにそれ、ズルい!!!ってハンカチを噛み締めてしまうくらいエエ男なんですわ。こんな底辺団地にこんなウホッ、いい男!が舞い降りて来るわけねーだろーがッ!とも思うんですが。きっと彼も底辺の住人なのかもしれぬ・・・と今後を見守ることに。おファス&家族で川に遊びに行って、魚を捕るときに足を切ってしまったミアなんですが、おファスが傷に自分の靴下をあてがってくれて、さらにおんぶしてくれるんですよ。こ、こ、こ、こんなこと・・・こんなことされたら、好きになってまうやろーーー!!!と観ている私は心中穏やかではないのですが・・・。ミアちゃんの方がまだ冷静で「あれ・・・こいつイイ奴かも?」くらいなんですね。でも、これからだんだんおファスに心開いて行っちゃうんだろうな~という感じも滲ませているんですよ。

そうそう、ここでタンクから出て来たわけじゃないけどフィッシュが出てくるんでした。川で取った泥ブナみたいな鯉みたいな魚をどうするのかと思ったら、おファスさんが生きたままの魚の口から木の枝を入れて刺しちゃうんですよ。「ギャ〜!」とミアちゃんのお母さんと妹。結局魚はミアちゃんの家で飼っているバカ犬の餌になっていましたが。食べもしない魚を捕まえて串刺しにするおファス。ちょっと微妙なんですが、これが伏線っちゃ伏線になっているのかも・・・。

ミアちゃんがおファスに心を開く要素に、自分のことをダンス込みで認めてくれているってのがあると思うんですね。「ダンスうまいじゃん、踊ってみてよ」って言われて、面倒くささと照れが入り交じったブスっとした表情をしたりするんです。15歳の閉ざされた小さな世界の中で、だんだんとおファスの存在が大きくなって行くのが非常に繊細に繊細に描かれています。一方、お母さんは ミアちゃんを問題児が行く遠くの学校に入れようとしている様子。ますます意固地になるミアちゃんなのでした。

<あらすじその2>
ミアはある日、地元のネットカフェで「ダンサー募集」の張り紙を見ます。オーディションを受けてみようかと思う、とコナーに話してみると「受けるべきだよ」と言われほんの少だけ希望が見えて来ました。白い馬が繋がれていた空き地に、以前襲われそうになったときに落とした私物を拾いに行くと、そこにはビリー(ハリー・トレッダウェイ)という青年がいて、CDを返してくれました。ビリーと親しくなったミアは彼と初体験を済ませるのでした。

おファスはDIYホームセンターみたいなところで働いているんですよ。で、彼の職場にぶらりと立ち寄った(風の)ミアに 「もう一回ケガ見せてみな」と言って、絆創膏を貼ってくれるのでした。はい、萌え~。オーディションのためにビデオを取らなきゃいけなくなって、おファスからソニーのハンディカムを貸してもらうミアちゃん。「これどうやって使うの?」と聞いたら、パンツ一丁のファスベンさんが使い方を教えてくれるんですよ。これ、わざとだろ!って思いますか?でも映画ではたまたまパンツ一丁のときだった、という風になっているんですね。「いやらしい!」って思う人の心こそがいやらしいという感じで撮られているんですよ。

観賞後に仕入れた情報なのですが、俳優には最初から完成された脚本を渡さず、小出しで渡して行っていたそうです。だから演じている彼らはこれから何が起きるのかを知らなかったと。 私はこの方法が微妙なイヤらしさをカットするのに一役買ってると思いました。やっぱり全体の話がどうなるかわかってるのとわかってないのとでは演技も微妙に違うと思う〜。

ある夜、お母さんとおファスがセックスしている物音を聞きつけたミアちゃんは、思わずドアの隙間からそっと覗いてみます。その後に仲良くなったビリーとさっさと初体験を済ませていることから、おファスのセックスを盗み見したことが彼女を性の方へ向かわせたというのがわかります。しかしおファスは大サービス。ちょっと「SHAME」を思い出すのでした(制作年的には本作の方がずっと先ですが)。ミアちゃんの初めて出来たボーイフレンド、ビリー役のハリー・トレッダウェイさんは、そんなにパっと見イケメンではないけど澄んだ瞳が美しい男の子だと思いました。

そんなある夜のこと、酔っぱらったお母さんを抱えておファスが家に帰ってきます。起きたミアちゃんがリビングに行くと、おファスがテレビを見ながらお酒を飲んでいました。そして流れでセックスしてしまう二人なのであった・・・。まさかおファスさんに限って・・・と思っていましたが。ミアちゃんは15歳の設定(中の人は当時19歳くらい)なので、これイギリスでも法的にアウトなんじゃね?しかも、ファスベンさん早・・・い。俺のが彼氏のよりデカイだろ?」って言ってたのに、なんかやっぱり途中でヤバいと思って上手く行かなかったんでしょうか。この辺の英語聞き取りはちょっと自信がありません(照)。

明日の朝また話そう、と言われて寝室に戻るミアちゃん。どうやらセックスを妹に見られていたらしく、妹がお母さんにチクりお母さんとおファスは喧嘩。彼は出て行ってしまったのでした。挙げ句の果てにお母さんから「やっぱりアンタのこと堕ろしとけばよかった。病院に予約までしてたんやで!」と言われてしまいます・・・。

とにかくミアちゃんはおファスに会って話をしないと、ということで彼の職場に電話。どうやら実家に帰っているらしいことがわかり、1人で彼の家まで向かうのでした。

<あらすじ その3>
家にいたコナーに会うことが出来たミアですが、コナーはミアを駅へ車で送り返します。また後でゆっくり話そうということでしたが、ミアは電車に乗らずに再びコナーの家へ。そこでコナーには妻子がいるということを知るのでした。ミアは彼や彼の妻に知られずに小さな娘を連れ出します。散々連れ回した後で娘を家に返すミア。途方もなく夜道を歩いていると、怒り狂ったコナーが車で現れミアを殴りつけて去って行くのでした。

ここから修羅場ですよ。しかし、見せ方は常に冷静沈着。起きていることを引きで撮ったショットが多くて、犯罪行為に駆り立てられる逆上したミアみたいな描き方ではありません。いや~、しかしな~・・・また出た、「騙され不倫」ですよ!しかも親子丼で未成年!ファスベンダー映画を観ていて「本当にあったコンナ話」を思い出すのは「ジェーン・エア」に続いてまたか!という感じですよ。そういやドライブのときに誰かと携帯で話していたけど・・・やっぱりそうだったんかい!

もう「うわあ・・・」と言うしかないです。そしてまさかの子供連れ去り!この女の子がまた蝶よ花よと大事に育てられてる感じの髪型や服なんですよね~。すごくガーリーな洋服を着せてもらってるんですよ。ラメが付いたポンチョだとか、かぎ針で編んだワンピースだとか、可愛いピン留めだとか。ママの愛情たっぷり!みたいなすごく可愛いお洋服で・・・。逆にそれがいたたまれない・・・って言う。おファスはマイホームらしき庭付き建て売り住宅風一軒家も所有しているので、どうやらミアちゃんのいる底辺ではなく中流層っぽいです。嫌がる娘を連れ回すミアちゃん。この子がカワイソウ!でもファスの子だと思うとなんか憎たらしい!というバランス加減も絶妙です。石を投げたり、脚を蹴ったりする子役のダダこね加減もいい。その子が途中で海にドッボーン!って落ちたりするし、でも溺れ死ななくてよかった・・ ・ミアちゃんも前科つかなくてよかった・・・である。

娘を家に返してやって、行くあてもなく彷徨っているミアちゃんの元に猛スピードの車が。逃げるミアちゃん。追いかけるおファス。ただ、どつかれて終わったのでした・・・。

次の日、オーディションに出かけるミアちゃん。おファスが一番好きな曲に自分で振り付けをしたダンスを披露する予定です。ところが審査員に「髪を下ろした方がフェミニンだ」と言われるんですね。これは前におファスから言われたことと同じ。そしてかかる彼の一番好きな曲。「やっぱ無理」とミアちゃんは踊らずに舞台から下りるのでした。

空き地に繋がれていた白い馬はもうどこにもいません。ビリーに聞くと「病気だったから射殺した。16歳で死んだ」と言われます。思わずしゃがみ込むミアちゃん。自己を投影していた白い馬は自分とほぼ同じ年齢だったのです。フィッシュタンクに飼われていた小さな魚のようだった自分も旅立つときがやってきたことを悟るのでした。

その後、家で荷物を詰めている所に妹がやってきます。「ね〜どこ行くの〜」と寂しそうな妹。ミアちゃんは彼氏とウェールズへ旅立つことにしたのでした。いつも「カント!ビッチ!」って言ってた妹が別れ際に「お姉ちゃんなんか嫌いだよ」と言って抱きついてきたり、車の後を犬と走って追って来たりするんですよ。妹ってな〜、こういうツンデレが先天的に出来るんだよな〜。姉としてはちょっとうるっと来てしまいました(ミアちゃんと妹はあんまり似ていないし髪の色も違うので、きっと異父姉妹なんだろうと設定を想像)。

イヤなことばっかだったクソな地元から旅立つという「ゴーストワールド」ソリューションですよ。私は結構このオチが好きです。いや結構じゃなくて大好きです。新天地もクソかもしれない、でもここにこのままずっといるよりはマシ、バイバイ大嫌いだった地元・・・もう最高じゃないですか!学校、家庭、地元仲間から散々疎んじられてきたけど、アタシの方からお前らを見捨ててやるよっていうイズムですよ。

そしてエンドロールに流れるヒップホップ・・・「ライフイズビッチ」とか歌ってますよ。最高です。色々と悲惨なことがあったけど、何なんだこの最後に圧倒的な清涼感に包まれる感じは・・・。監督はアンドレア・アーノルドさんという方で女優経験のある方。短編ドキュメンタリーでオスカーも持っているのだそうです。フィッシュタンクには大変感激したので、彼女が監督した他の映画もチェックしようと思います。


ライフイズビッチ!



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