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チェコっとみつけた、こんなモノ:第39回 アンティーク雑貨

「チェコっとみつけた、こんなモノ」は、私がチェコで見つけたチェコっと可愛い、ユニーク、便利 etc・・・なものを雑談しながら紹介するというコーナーです。日本では見かけないもの、お土産にすると良さそうなものを中心にピックアップしています。 ただしチェコで見つけたモノが対象なので、チェコ製ではないものも含まれます。その点は何卒ご了承下さい。

約一年振りの「チェコっとみつけた、こんなモノ」。この国に住み始めた頃は時間も好奇心もあったので「あ!こんなのみ〜っけ☆」と目を輝かせていたものの、今やすっかりテンションは半ローカル化?してしまい、随分のご無沙汰となってしまいました。今回は今年になってから私の家になんとなく集まったアンティーク雑貨について書いてみたいと思います。原産国はバラバラですが、すべてチェコ共和国で見つけたということで・・・。



ハンドペイントの花瓶


・チェコ、モラビア地方のハンドペイントの花瓶

夏に友人umekoとNちゃんがやってきたときに彼女たちのリクエストで、色々なアンティークショップを巡りました。「ふーん、アンティークねえ・・・まあこういうのは日本で買うと結構高いし、せっかくここまで来たんだから見たいよね。はいはい、連れて行きましょう」といったテンションだったのですが・・・。アンティークショップのバザール・アンティーク(Křemencova 175/4, 110 00 Praha 1-Nové Město)にて友人たちが色々と見ている間、ふと私の目に飛び込んで来た白い壼。ぽってりとした白くやや厚みのあるフォルムの花瓶?に様々な色で描かれたフォークロアな花の絵。・・・なんか、これ、いい、可愛い・・・と一目惚れ。値段を見ると170コルナ!!!!(約850円)可愛いし安いし最高じゃないですか!ということで、購入したのでした。

お店の方曰く、チェコのモラビア地方の手描きのものいうこと(スロバキアにも似た様な手描き陶器があるそうな)。この白地にフォーキーなタッチで描かれた花模様の花瓶や食器などは蚤の市などでもたまに目にすることがあります。しかし、今までこの花瓶のように私を魅了してくるタッチのものには出会えていなかったんですね。やっぱり描く人の熟練度に差があったり、それによって好みが別れるんだと思います。花を生けなくても十分可愛いのでそのまま飾ることにしました。今後、このタイプのものを探してコレクションしていきたいな〜と思っています。



ロシアのトレーとボウル


・ロシアのハンドペイントのトレー


義理の母マミンカが「チャリティーバザーに出す家庭内不要品を集めたんだけど、欲しいものある?」と見せて来た中にあった一品。黒地にまたまたフォークロアな花柄がとっても可愛いお盆です。マミンカがどうやってゲットしたのかは忘れたそうだけど、ロシアのものということでした。ふむ・・・中東欧にはこういう太い筆でササッと描いた、あたたかみのある花柄が多いようですね。黒地なのがまたシックでいい。もちろん譲ってもらい、普段はショップカードや名刺やちょっとしたパンフレットなどの紙ものを置いておく用に使っています。家族や友達が泊まりに来たときは、寝室に置いて時計やアクセサリーなどを置いておくお盆として活躍するのでした。


・ロシア?のボウル

これもチャリティーバザー関連。ちょっと忘れてしまいましたが、確かほぼタダに近いお値段で譲って頂いたのではないかと思います。例によって太筆でササッと描かれた模様が書かれていて「たぶんロシアのものじゃないか」ということでした。なんだ、ロシアはマトリョーシカだけじゃない、こんなに可愛いものあるんじゃないか・・・!という感じで意外だったのを覚えています。寒い寒い国だから雑貨にもホッコリとしたあたたかみがあるのでしょうか。玄関ホールにあるチェストの上置いて、ポケットに入っていたり家の中に散らばっていたりする小銭を入れるお椀として使用しています。中が金色なのが、どことなく仏具っぽくもあるのでした。



モロッコのクラッチバッグ



・モロッコのクラッチバッグ


これもマミンカのお下がり。およそ30年くらい前のモロッコで買ったのだそうです。義理の家族はその昔モロッコに駐在していたことがあり、家の中にはプフ(丸くコロンとした形のクッション兼オットマン)やトレーテーブル(テーブル面が大きなお皿のようになったローテーブル)などがあります。無論、北アフリカ土産なので素材は羊の皮。最近もトレンドになったエンベロープ型のクラッチバッグです。が、まったく使う機会がありません・・・。大昔のものとはいえコンディションがいいし、模様がエキゾチックで美しいから手放すつもりはなし。旅行の時にパスポートやチケットを入れるトラベルお財布として使ってみようかな。しかし30年を経ても羊皮の独特なスメルは健在なのでした。



コーヒーセット



・ハンガリー、HOLLOHAZAのコーヒーセット


これもマミンカから譲ってもらったもの。ネイビーに金の植物をモチーフとした模様が、どことなくエキゾチック。食器は明るい色よりも暗い色の方が好きみたいです。可愛いけど・・・このカップの小ささはエスプレッソ用。私は家でほとんどコーヒーを飲まないし、エスプレッソマシーンも自宅にありません。ということで、インテリアとして戸棚に飾っています。裏を見ると「HOLLOHAZA HUNGARY 1831」という刻印が入っていました。検索したところハンガリーの有名陶器メーカーのようでした。


・銀色のトレー

友人umekoが件のアンティークショップで購入したものの、帰りのトランクに入り切らない ということで私が買ったのがこのトレー。お値段90コルナでした(約450円)。umekoはティーセットを始めとして大量のワレモノ、お人形などのかさばりものを買ったので帰りの荷造りがそりゃ大変でした。お手頃で可愛らしいアンティークには人を狂わせる何かがあるようです。私も恐らく旅行中だったらたくさん買っていたかも。さてこのトレーはいわれなどがさっぱり謎。貴族趣味を装いつつも、どこか隠しきれないチープ感があり、実はumekoが買う前からちょっといいなと思っていたので、買い取りはウェルカムだったというわけです。綺麗に磨いて、来客時に洋風おつまみやカナッペなど乗っけてサーブすれば、沢口靖子がいなくてもナビスコ・リッツ的なパーティーが開けそうです。

アンティーク(ビンテージ?)雑貨は紹介できるものがたまったら、その都度記録していきたいなと思っています。今、欲しいのは鉢植えを置くちょっとしたミニミニ・テーブルです。


チェコでもたまに見かける、フォークロアな刺繍の入ったバッグですが、楽天で発見!ポーランドのGOSHICOというブランドのものだそうです。知らなかった・・・。中東欧の雑貨って今までピンと来ませんでしたが、最近はなかなか味わい深いと思えるようになりました。


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『ティファニーで朝食を』かなり不思議ちゃんなヒロインだし、猫ハケーンで号泣だし



                        
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ティファニーで朝食を【Blu-ray】 [ オードリー・ヘプバーン ]
価格:1500円(税込、送料無料) (2016/9/8時点)



最初にこの映画を観た時は中高校生ぐらいだったでしょうか。もうオードリーとお衣装が素敵過ぎて瞳キラキラ~☆、その他のディティールは結構忘れてしまっていたんですが・・・。大人になってから見直してみると、また違った味わいのある映画なのでした。

ホリー(オードリー・ヘプバーン)はニューヨークのアパートメントに名無しの猫と暮らす美しく若い女性。彼女はドレスアップしてパーティーに出かけることがお仕事のソーシャリストです。高級娼婦とされているものもありますが、なんせオードリーなのでそういった生臭さはまるでありません。だからこの感想の中ではソーシャリストということにしておきます。自由気ままに生きる浮世離れした都会の妖精・・・それがホリーなのです。まあオードリーの輝いていること。彼女のスタイルでないと着こなせないであろうタイトなIラインのドレスもうっとりですが、部屋の中で着ているガウンのシルエットの美しいことったらありません。一体、このとき体重は何キロだったんだろう。



※ネタバレします。




そんなホリーのアパートに新しい住人が。売れない作家のポール(ジョージ・ペパード)が上の階にやってきました。実はこのポール、上の部屋を愛人用に借りている有閑マダム(彼女のアッパーなスタイルも素敵)の若いツバメだったのです。ポールがホリーの兄フレッドに似ていることから親しいご近所付き合いが始まるのでした。ジョージ・ペパードは長身の金髪碧眼なので、なんとな~くアーミー・ハマーに似ているかもと思いました。リメイクするならこの役はアミハマで、ホリー役は願わくば「コードネーム U.N.C.L.E.」のギャビーことアリシア・ヴィキャンデルにやって欲しいけど共演はしばらくなさそうなので、斬新にルピタ・ ニョンゴ(「それでも夜は明ける」でオスカー助演女優賞)なんてどうだろう、などと思ったのでした。

さて、オードリー演じるホリーですが、大人になって見てみると結構なレベルの不思議ちゃんで軽度の社会不適合者です。いつもカギを忘れて夜遅く帰宅し、就寝中の隣人(後述)をブザーで叩き起こしてアパートの玄関を開けてもらう。大きいとは言えないアパートで夜に大音量で音楽をかけてどんちゃん騒ぎをする。ほぼ初対面のメンズ、ポールが寝てる所にガウン姿でやってきて一緒のベッドで寝てしまう。そうかと思えばお金持ちの男性(ルックス不問)を探して、いつの間にか彼と婚約している。しかし、思いのほかアッサリとふられてしまう(しかもそれを新聞や手紙で知らされる)。実はド田舎出身で若い時に身売り同然で結婚していたが夫は良い人で、お互いに親愛の情もあったが「私は野生の鳥と同じなの。カゴの中では生きられないのよ」と言って彼と帰るのを拒む(でもお金持ちの男性とは結婚したがっているという矛盾)。ポールとデート中に万引きをけしかけ、店のものを窃盗する。ポールと寝たものの、いつの間にかまた別のお金持ちと婚約して外国に移住しようとしている、などなど・・・。

ちょっと周りにいたらお近づきにはなりたくないタイプではないですか・・・?しかしオードリー・マジックとも言うのでしょうか「うへえ~、なんか嫌だなこんな不思議ちゃん・・・」と思ってもニューヨークのおとぎ話に昇華されてエグ味がほぼしないのが凄いですね。中高生のときはこういった部分にまったく引っかかりを感じなかったので、私も少し大人になった?

あと中高生のときはハッピーエンドのラストシーンしか泣かなかったんだけど、途中で落涙するシーンが結構あるんですね。ホリーの田舎に住んでいる夫ドク(バディ・イプセン)が上京して田舎なまり丸出しで 、ポールに思い出話をしんみりと話す場面、ホリーがドクにバスターミナルで別れを告げるシーン(前述した野生の鳥の比喩が出て来る)、大好きな兄のフレッドが戦死したことを知ってホリーが取り乱すシーン、などです。ラスト直前で捨てた猫を探すシーン、そして猫が見つかるシーン。もう確実に歳を取って涙もろくなっています。特にここ数年で猫好きになったので、裏路地にあるゴミ箱の間から「ニャー」と猫がひょっこり出て来るシーンなんてもう号泣メンなのでした。

さて、日本人として避けて通れないのが同じアパートに住む日本人男性のユニオシ氏(ミッキー・ルーニー)問題です。東洋人をカリカチュアライズしたキャラクターで、Wikiを読む限りかなり当時から問題視されていた感じが伝わ って来るのですが・・・。私は初回鑑賞のとき、実はそこまで気にならなかったんですね。確かに小柄なアメリカ人俳優がこれでもかというくらい特殊メイクで目を細くして、出っ歯にしているのは見ていて気分の良いものではありません。しかしユニオシ氏は完全にコント。松ちゃんが金髪のカツラをかぶり、付け鼻をして「パーティーいかなあかんねん」というのと同じレベルのギャグなんだから、そこまで目くじらたてることはないのではないかとも思うのです。それにユニオシ氏は50年代のニューヨークに一人暮らしながら、着物を着て、布団で寝て、茶道を嗜み、檜風呂に入るという結構なクオリティーのジャパニーズ・ハイライフを送っている点がすごい。ここはいいんですが、なぜ起きて必ず頭をぶつける高さに提灯をつり下げているのかは地味にイライラしたのでした(笑)。

あとはティファニー宝石店の懐の深さですね。ドクがポールに思い出話をしたときに食べていたスナック菓子に入っていたおまけの指輪。この指輪にティファニーで刻印を彫って欲しいというドキュンも甚だしいお願いをするホリーとポールですが、中年の男性店員がそれはそれは丁重に承るんですよ。またその承り方が知的でユーモアもあって、実に粋なんですね。ティファニーすげえ!ということで、株が爆上がりしたんじゃないでしょうか。初めて映画を観たときも思ったんですが、映画の真似をする人が出現して困ったのでは・・・(まさかティファニーで朝食をオーダーする人はいないと思うが、ウインドーを見つめながらパンをパクついたことがある人はきっと多いに違いない)。そこで調べてみました。今日現在のティファニーでは残念ながら、正規品でないと刻印サービスは受けられないそうです(当たり前か)。ティファニーのFAQはこちら。


ということでヘンリー・マンシーニがこの映画の為に作った不朽の名曲「ムーン・リバー」を聴いて締めとしましょう。






『裸のランチ』官能文芸映画にあらず



                       
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裸のランチ(Blu-ray Disc) [ ピーター・ウェラー ]
価格:2430円(税込、送料別) (2016/9/8時点)



タイトルから長年の間、エロ官能文芸ものだと思っていたのですが・・・。まあ主人公は作家なんですね。しかしなんかデカい虫が肛門のような(見たことないけど)口を開いて悟り切った様な調子で人語を話し、ヌメヌメした肌質の半魚人みたいな怪物が捕らえられて逆さ吊りにされた上に頭から生えている触覚を人に吸われ、人と虫とが合体したようななんとも形容し難い巨大な虫がカサカサとゴキブリのように這い回る(この人間と他の生き物の合成形みたいな気持ち悪い生物は、ちょっと「ポゼッション」のタコ人間みたい)・・・という、常人が理解可能な域をいともやすやすと突破した凄い映画、それが裸のランチなのであります。

ア、ア、アバンギャルド ・・・。本当にわからない映画でしたね・・・。まあ、たまには大人の情操教育ということで、難しめの映画も良いでしょう。幸いにして町山さんの映画ムダ話のポッドキャストと、高橋ヨシキさんの映画解説がとてもよい参考書になったのでした。

今回手抜きが甚だしくてすみません・・・。どんな映画なのか、またその解説は無料で聞けるヨシキさんの解説をどうぞ!





『ヤング・アダルト・ニューヨーク』ヒップスターに翻弄される40代夫婦の青春日記



       


ニューヨークに暮らすまだ大人になり切れていない40代の夫婦が、20代のヒップスターな夫婦と交流して様々な体験をし、結果少しだけ大人になる・・・?という映画です。ELLEの映画レビューでこの映画のことを知り、最近こういうシティもの(タイトルに街の名前が入っている人間喜劇という認識)を観ていないな~、面白そうと思って鑑賞してみました。原題は「While We're Young」ですが、今回は邦題の方が映画の内容と合ってる気がします。

ジョッシュ(ベン・スティラー)とコーネリア(ナオミ・ワッツ)はニューヨークに住むDINKS夫婦。夫の職業はドキュメンタリー映像監督で、妻はプロデューサーかなんかです。夫婦同士で仲良くしていた友人カップルに赤ちゃんが誕生し、お祝いに駆けつけますが、マタニティーハイ気味の夫婦に引く二人。友人夫婦は違う世界の住人になってしまったし、今までの様な付き合いはもうしばらく出来ないだろう・・・と考えてしまうのでした。

そんなときジョッシュの講演を聞きに来ていた二十代の夫婦、ジェイミー(アダム・ドライバー)とダービー(アマンダ・セイフリッド)と知り合います。世代差がありますが、若い彼らの自由なライフスタイルや思想に影響を受けたジョッシュ夫婦は、彼らと親しく付き合うように。刺激的で楽しい付き合いにのめり込むジョッシュ夫妻でしたが・・・というあらすじです。

ノア・バームバック監督の映画を観るのは初めてですが、この家がの舞台がニューヨークなこと、都会派人間コメディなことで、ポスト・ウディ・アレンとも言われている様です(ジュリー・デルピーもそうでした)。確かに、ジョッシュ夫婦が若いジェイミー夫婦に影響を受けて行く過程が短いシーンでテンポよくポンポンと繋がれて、あれよあれよという間に親しくなっていくのはウディ翁の映画みたい。この短いシーンの連続の中にナオミ・ワッツによるヒップホップダンスに代表される若干イタい中年子供のあがき、みたいな意地悪視点があるのもぽいです。そういえばナオミが出ていた「恋のロンドン狂騒曲」も皮肉加減が最高の映画でした。




※ネタバレします。




コメディーですが、よくよく考えてみるとなかなかに切ない話ですよ。仲良くしていた友達夫婦と共有するものがなくなっちゃって気落ちしていたところに、若く新しい友達夫婦ができた。彼らの自由な気風に影響されて「うちらもまだまだ若い!青春できるじゃん!」と有頂天になるものの、実は彼らの思惑は別のところにあり、単に利用されていただけだった・・・という・・・。ジョッシュ夫妻の妻コーネリアのお父さん(チャールズ・グローディン)が有名ドキュメンタリー作家だったので、同じく映像作家志望のジェイミーの若夫婦は彼らに近づき、キャリアの踏み台にしようとしていたわけです。

ジョッシュ夫婦は自分たちの選択で子供を持たないことにしたのかと思っていましたが、妻コーネリアは過去に二回流産を経験していたんですね。これは思いのほかヘビーで閉口するしかありませんでした。でもその話題が出た後でヘビー過ぎない仕上がりにしたのは、映画のバランス上正解だったのではないでしょうか。映画を観ていると、子供がいないからジョッシュ夫妻はいつまでも大人になれないのでは?といった印象も与えられるのですが、なんとなくそんな単純なものではないと思うんですよねえ。うまく言えないけど子供の有無に関係なく、その人が持つヤング・アダルト性は死ぬまでそんなに変化しないような気がしているのです。

私がリアルだな、と思ったのが赤ちゃんが生まれた友人夫婦の夫のセリフ。夫は妻の出産でパタ二ティー・ハイになり、赤ちゃんの超音波画像をタトゥーにして腕に入れるほどになるのです。しかし実際に赤ちゃんのお世話が始まると、やはりちょっと戸惑い&お疲れ気味に。夫が家にやってきたベン・スティラーに「この子は素晴らしいよ。でもすごく大変だ。実際、思っていた程すべてがハッピーというわけじゃない」(セリフうろ覚え)みたいなことを言うんですよ。普通の映画だと対立構造を作って、子供がいる側のリアルってほとんど描かれていないような気がするんですが(SATCのドラマ版は特にそうでした)、こういう視点が映画に奥行きを与えている気がしましたし、それが母でなく父となった人からの本音がポロリ、というのはとても珍しいなと感じたのでした。

最近、日本のメディアでは負け犬論争を引き起こした「結婚する/しない」を更に過ぎて「子供がいる/いない」の対立構図を炎上を期待して打ち立てている傾向があるような気がしています。そういったトピックの最後に「子供がいてもいなくても、お互いに色々あるし色々大変」という喧嘩両成敗的な締めがあったりする場合がありますが、だったら最初からあおるんじゃねえよ!ってガクっとすることも。まあ今の時代にホットで注目されて、盛り上がれるトピックということなんでしょうね。

さて一方のジェイミー若夫婦のライフスタイルは、いわゆるヒップスターな感じ。「ヒップスター」という言葉はこっちに来てからよく友人から聞いており、明確な概念はないけどなんとな~く、こういう人達のことなんだろうな・・・というぼんやりとしたイメージが出来上がっていました。いわゆるお洒落なライフスタイルにコダワリのある今時の若者ということなんですが、ただのお洒落じゃなくてプレッピーでビンテージライクな、少し懐古主義的なものを好む人達(でも最新情報にアンテナは高感度)。服装は古着や定番をベースにして、ミックス&マッチなお洒落が好き。男女共にフェー ドラ帽や太い黒縁のメガネをよく着用しています。男子はマスタードイエローのスキニーパンツが好きな様子。交通手段は自転車で、若いオーナーが立ち上げたばかりのインダストリアルなインテリアの中でコダワリのコーヒーが飲めるカフェに集い、アート談義をする。こんな感じ(笑)。

ジェイミー若夫婦の踏み台事件を経たジョッシュ夫妻はその一年後、ついに外国から養子を迎えることにします。その地へのフライトを待つ空港のロビーで、夫婦は二歳ぐらいの小さな男の子がスマホで遊んでいるのを見かけます。スマホを持って大人の真似をして「もちもち」と話したりしている、それはそれは可愛らしい子なんですが、夫婦は何かギョッとしたものを見たときの様な微妙 な表情になるのです。ここも印象的でしたね。「あら可愛い」と微笑むのではなく「俺ら、こんなのを迎えようとしてるのか・・・」みたいなリアルさがにじんでいて良かったと思います。もちろん彼らは養子を愛して大切に育てるでしょう。でも、やっぱりちょっと大丈夫なのかな・・・というような絶妙な感じがよかったと思います。

平均寿命がどんどん長くなる中、40代ってのはその半分か人によっちゃまだ前半部。だから、ジョッシュ夫妻みたいに悩んで突っ走って壁に激突したり、激突したまま走り続けてイタさをさらしたりしたって、全然いいじゃない?というか、そういったことを体験するのは別に青春時代だけ若者だけの特権というわけでもないでしょう。長い目で見れば人生はその大小や頻度の差あれど、そういったことの繰り返しなのではないでしょうか。と、世間的には40代のいい大人と言われる年頃になっても妙に落ち着いてしまわずに、一生懸命生きるキャラクターが痛々しくも愛しく思える映画だったのでした。


『300』10年前のおファスは血気盛んな若頭ポジション



                       
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300<スリーハンドレッド> [ ジェラルド・バトラー ]
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二作目の「300 ~帝国の進撃~」は劇場で観たのですが、そいやファスも出てる一作目はまだだった・・・と思い今更ですが鑑賞してみました。特殊効果とかバイオレンス度合いは二作目のほうがずっと凄いですが、人間ドラマは一作目の方がしっかりしているかな~と思いましたね。主役であるスパルタの王様はジェラルド・バトラーで、たった300人の歩兵部隊を連れて無謀な戦いに挑むという古代ギリシャ歴史ものです。

おファスの役どころは、というと歩兵部隊に志願した血気盛んな若者という役・・・。若者?そう、この映画は2006年に制作された映画なんですよ。今から10年も前!ひえー、ちょっと前の映画だと思ってたけどもうそんなに前なんだ・・・。そりゃ特殊効果もちょっと古いだろうな、と納得。ということで当時のおファスは28歳くらいでしょうか。友人Iが教えてくれた通り、体をメキメキに鍛えてパンイチでいきがっています。部隊内のポジションは熱しやすく献身的な若頭で、組長のジェラルド・バトラーにも可愛がられているといったところでしょうか。声もよく出ています(部活や団体戦の基本ですな)。おファスは他の映画だと複雑な過去とか性格とか事情を抱えてた役が多いから、こういう単純で武闘派な役は意外でしたね。「スティーブ・ジョブス」で全身が映った時にズドーンと胴が長くてビックリしましたが、この映画では逆に脚がスラーっとしてました。どっちが本当なのかな。

あとやっぱり二作目でも笑ってしまったのがロドリゴ・サントロ演じる敵国の権力者の登場シーンですね。とにかく金ぴかで大袈裟で必要以上に高い場所からババーンと登場してくる。この感じは何かに似てるな~と思ったら、紅白の小林幸子なのでした。しかし彼は二作目でもそのキャラと演技を見事にキープしていたんだな、と思いましたね。演技が一ミリたりともブレてなくて偉いです。

しかしやっぱり今回も違和感を感じたのはギリシアの話なのに、メインキャストがアングロサクソン系で占められていたことでしょうか。もちろんみんな英語ペラペラ。ギリシア語でやれというわけではないけど、なんかやっぱりおかしいな~という感じが拭えずなのでした。まあハリウッド映画なんてどんな古代でも外国でもみんな英語ペラペラ前提ですけど。

監督のザック・スナイダーはこの後でジャスティス・リーグのスーパーマン映画の監督として召されます。300二作みたいなマッチョ男たちの連帯とバイオレンスほとばしる作風の人みたいだし、きっとそれを買われての起用なんだろうなって思っていたら「マン・オブ・スティール」や「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」はダーク大人路線とはまた違う、な~んか暗くてお通夜みたいな映画でガッカリした・・・という方も多いんじゃないでしょうかね。

300は一作目が好評だったから二作目が出来たと思うのですが、映画としていい意味でも悪い意味でもはっちゃけっぷりは二作目の方がずっと派手にやらかしています。その分、私は出来が悪かったとしても二作目の方が好きだし魅力的に感じますね。だって一作目はエヴァ・グリーン出てないし(笑)。


『海街diary』麗しの四姉妹 in 鎌倉、それだけでいい



        
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海街diary DVDスタンダード・エディション [ 綾瀬はるか ]
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これも食べ物が美味しそうな映画でした。野菜の天ぷら、しらす丼、ちくわカレー、あじフライ定食、浅漬け、おはぎ・・・日本の日常に登場する美味しそうなものがいっぱいだよ、ママン・・・と、泣きたくなってしまいます。鎌倉のあじさい寺や花火大会も懐かしいよ、ママン・・・(私は神奈川県出身)。ということで、海街ダイアリーですよ。なんか私が今住んでいる街でも劇場公開されていたということを小耳に挟みましたが、普段からアンテナ張ってないとダメですね。

鎌倉の古い日本家屋に暮らす美人三姉妹。これだけでもうかなりドラマですが、なんと腹違いの四番目となる妹がいたということで、その子を引き取り美人四姉妹に。美しい鎌倉の季節の移ろいとともに過ぎ行 く彼女たちのそれぞれの人生を、情緒豊かに美味しいものも交えて描いた日本映画です(今更ですみません)。

これぞ一番上のお姉ちゃん!というしっかり者でやや自己犠牲的な長女の幸を綾瀬はるか、恋多き女で酒好きな次女の佳乃を長澤まさみ、姉たちと違う個性派ヒッピー風の三女の千佳に夏帆、突然登場した美少女中学生の四女、すずに広瀬すず、というキャスティングです。しっかり者の長女に快活な次女というのは若草物語ですな。

長女の綾瀬はるかは今時こんな女性がいるのかと思うくらい、クラシックな良妻賢母タイプ。和食の朝ご飯を人数分ちゃんと作ってるし、梅酒は仕込んでるし、看護師の仕事も頑張ってるし、凄いです。私服は開衿シャツにふんわりすぎないスカートみたいな 清楚さだし、昭和の日本映画に出て来る女優さんみたいですね。でも、綾瀬はるかだから浮いてません。馴染んでいます。他の同年代の女優さんにこの現代と矛盾しない昭和っぽさが出せるでしょうか。ここがすごいなと思いました。そんなお姉ちゃんは勤務先の小児科医、堤真一とお付き合いしています。不倫じゃあないみたいなんですが、堤真一には別れて暮らす妻子がいるようであまり二人の関係をオープンにはしていないんですね。

次女の長澤まさみは気っぷのいい姐さんキャラ。気がいいもんだから男にだまされては酒を飲むという感じです。禁欲的なファッションの長女とは違いノースリーブにミニ丈という格好をよくしています。家でもタンクトップ&ショーパンでうろうろしていて、めぞん一刻で言うなら六本木朱美さん的なポジか。なら長女の綾瀬はるかは響子さんだな。性格が真逆な為、長女とはちょっとケンカになること多しなんですね。次女の仕事場は信用金庫的なところで意外とかため。男に騙されたりしたけども、新しく営業ペアを組まされた真面目な加瀬亮とうまく行くんじゃないかなーといった感じで終ります。

三女の夏帆、ファッションはむげん堂やチャイハネぽいエスニックテイストで頭に布を巻いていたりして、姉妹で一番個性派なんですが性格は一番アクがないスッキリとしたいい子です。原作漫画ではなんとアフロヘアって設定なんですね。美人の上の姉二人に比べると、若干親しみやすいファニーフェイス。地元のスポーツ店勤務で、そこの店長と付き合っています。新しくやってきた四女のすずとは年齢が一番 近いせいか、よく面倒を見ているお姉さんです。

新しく仲間入りした四女のすずがまあ美少女です。最初はちょっと三姉妹に遠慮してたりするんですが、新しい学校にも慣れてサッカー部にも入って活躍するという活発な女の子。すずがどうして三姉妹のところに来たかというと、お父さんが亡くなって後妻さんとその連れ子と暮らすことになったんですが、それを三姉妹が知って引き取ったのでした。しかし、血を半分わけた子とはいえ多感な中学生をいきなり家族の一員として迎えるというのはすごいですね。私もその立場になったら迎えてあげたいのは山々だけど、経済的なことで躊躇してしまいそうです(鎌倉の家は持ち家だから家賃なしとはいえ)。

この四姉妹が前述したようなご飯を作って食べたり、縁側に集ってお茶を飲んだり、窓からまだつぼみの固い梅の木を眺めたり、由比ケ浜をそぞろ歩いたり、なじみの定食やでアジフライ定食を食べたり、晩夏に浴衣を着て庭で線香花火をしたりする映画です。劇中ずっとそんな感じでそれだけっちゃそれだけな映画なんですが、全然退屈じゃない。この麗しい四姉妹のことをこうしていつまでも見ていたいのう・・・と思わされるんですよね。透明感があって日本的情緒を感じさせる映像と空気感は、さすが是枝監督。

それにやっぱり鎌倉に行ってみたくなりますな。古都というだけでも魅力なのに海辺の街でもあるって素晴らしいではないですか。しらす丼も食べたいし、長澤まさみが彼氏と食事してたガラス張りの海が見える居酒屋みたいなところにも行ってみたい。鎌倉が地元の友人に帰省のときは是非連れて行って欲しいとお願いしたのでした。


『あん』心に染みる描写、自身のQOLへの課題も



       
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今年の春に開催された、居住する街の国際映画祭で上映されたラインナップのうちの一本でしたが、いつもの通り見逃していました・・・。予告編を周囲の人にも見せて楽しみにしていたのですが・・・。毎年夏は日本に帰省していた為、7月8月はザ・邦画祭り(韓流、華流、その他英語圏以外の国のも合わせて)していたんですが、今年は帰らなかったので久しぶりの日本映画です。

予告編を見た限りだと、美味しい餡子を作ることのできる樹木希林演じる不思議な老婆と、その周囲の人とのほのぼのストーリーだと思っていたんですが、美味しい餡子は物語の入口にしか過ぎなかったのです。しかし餡子ですよ、餡子 (餃子ではなく)。海外住まいだと、和菓子なんて日本からのお土産で頂く以外、お口に入る機会がありません(そのお土産だって頂くのは本当に本当にまれ)。ローカルにも和菓子を愛して下さる方や和菓子愛好家のような方がいらして、日本関連のイベントなどで手作りの和菓子を売っていたりするのですが。美味しくない訳じゃない、でもな~んか、な~んか、日本のとは違うんだよなあ・・・といったところです(もちろん日本人なだけで料理下手の私なんかより圧倒的にスキルフル)。

随分前ですが、東京にある製菓専門学校の文化祭に遊びに行ったことがあります。そこは洋菓子科と和菓子科にわかれていて、学生さんが作ったお菓子を良心的な価格で販売していました。和菓子科に留学生が何人かいらっしゃったのを覚えています。学生さんたちによるお菓子はとても美味しかった。 やはり、専門的に勉強したセミプロフェッショナルが作っているからでしょう。製菓やパンこそ如実にプロと素人の差が出る様な気がします。きっと和菓子の世界も寿司に負けずと奥が深く、デリケートな世界なのではないでしょうか。

しかし日本がスゴイと思うのは工場で大量生産された安い和菓子でもそれなりに、いやなかなか美味しいということですね。決して値の張る有名店のものでなくていいんです(もちろん美味しいですが)。私は日本にいる時、必ずスーパーやコンビニで買い物や用事を済ませると必ずおにぎりと大福やお団子、桜餅なんかを買ってしまいます。帰省中の今しか食べられないし、安くて美味しいし、買わない理由はありません。そして実家の家族に「また買って来た」と呆れられながら、いそいそと緑茶を入れて一人家庭甘味処をするのでした。そんなことばかりしているから帰省の度に数キロ肥えて帰って来ます。

ということで感想です。恥ずかしながら私は河瀬直美監督の映画を初めて観たんですが、内外で評価されているのがわかる気がしました。なんというか「映像の詩人」ってのはこういう作風のことを言うのではないだろうか・・・と思った訳です。商店街の隅で咲く淡く儚げな満開の桜、春の柔らかな光の中でどら焼きをつつく女子中学生たちのセーラーカラー、大きな鍋の中でふつふつと煮られている小豆の美しい照り、早朝にアパートの屋上でタバコを吸う中年男の孤独なシルエット、初秋の風に吹かれた雑木林が奏でるざわざわとした音、道の隅の方に吹寄せられては散らされる落ち葉たち・・ ・。何気ない描写が本当に美しいのです。ちょっと美化されすぎてる感もなくはないのですが、何もかもがキラキラと、そして若干ぼんやりとして見えていた子供時代のフィルターを通して再び日常生活を見た感じ。綺麗なんだけど、なんだかはかなげで切なくて心がギュっとするんです。



※ネタバレします。




孤独な訳ありぽい男、千太郎(永瀬正敏)は商店街にあるプレハブ小屋で、どら焼きやを営んでいました。あるとき謎の老婆、徳江(樹木希林)がバイト募集の張り紙を見てやって来ます。高齢なので雇えないと断るのですが、徳江は自作の餡子をそっと置いて帰って行くのでした。その餡子がめちゃめちゃ美味しかったことに驚いた千太郎は徳江を雇い入れ、徳江の餡子は人々を魅了しお店は大繁盛。しかし、徳江には誰も知らない辛い過去があったのでした・・・。どら焼きや繁盛記かと思ったら、その奥には難病や死ぬこと、そして有限の人生をどう生きるかというテーマが隠されていたのです。すでに樹木希林が故人となった後でテープ再生される千太郎たちへのメッセージが、それに重ねて映される自然の風景が、本当にあたたかくて切ない。

樹木希林の演技がまた素晴らしい。今回もいつものようにちょっと変わったおばあさんなのかな?って思ったんだけど、それは最初だけ。時代柄、差別の対象とされた難病と共に生きた芯の強い女性を演じていました。病気やハンディキャップがあっても、上質なQOL、クオリティー・オブ・ライフをおくっている人って本当に素敵だし、尊敬します。施設にいる親友役の市原悦子もグッジョブでした。先に観ていた友人は「大森南朋が出てるよ」と言っていたのでいつ出て来るんだろうと思っていましたが、それは永瀬正敏でした(笑)。彼もいつもの通りよかったですね。「家族もいなそうだし、この人もきっと訳ありなんだろうな・・・」って思っていたらその通りでしたが、もっとヘビーな前科がついているのかと思っていました。もう一人メインキャストとして、どら焼きやの常連の女子中学生の佳子が出て来るんですが、この子も丸ボウロのような素朴な顔立ちで、素直な中学生らしい演技がいいなあ〜と思っていたら、エンドロールで「内田伽羅」と出て樹木希林の孫ということが判明!てことはモックンと也哉子の娘かい!おじいちゃんはシェゲナベイベーかい!とビックリしました。

そういやモックンも似た様なテーマの映画(「おくりびと」)に出ていましたな。この映画は色々賞を取ったけど感動させよう、させようとしていて、私は好きじゃないんですね。滝田洋二郎監督のことを「たまたま賞をもらっただけで、たいした監督じゃない」とバッサリ言っていたローカルの知人がいましたが、私も多少そう思ってしまったのでした。

閑話休題。「あん」では主人公たちの大切などら焼きやを脅かす存在として浅田美代子とその甥っ子(大賀)が登場しますが、彼らの描かれ方がちょっとステレオタイプだったかなあとも思いますね。浅田美代子は千太郎のお世話になってる先輩の奥さんで、どら焼きやのオーナー。どこからか徳江の病気のことを知った彼女は千太郎に懸念を伝えるのです。今はハンセン病って治療出来るし伝染もしない病気なのに、ちょっと大袈裟じゃ?って思いましたが、まあ話の展開には必要だったのでしょう。浅田美代子が座敷犬みたいなのを連れてるのがよかったですね。小型犬をやたら可愛がっているババアは嫌な奴が多いという、これもちょっとステレオタイプか(笑)。でもあんな小さな食べ物屋さんの厨房に犬を連れて来る方がダメなんじゃね?

あと彼女が次期店長として連れて来る出来の悪そうな甥っ子の描写ですね。どら焼きや餡子に思い入れ全くナシ、ドロップアウトしかけのゆとりです!みたいな感じが、またちょっとステレオタイプかな~と(笑)。まあ彼に罪はないのですが。リノベーション入ったどら焼きやの小屋が若干若者向けにお洒落になっていたような気がします。

この悪役たちの登場に千太郎や女子中学生の佳子はかなりムッとした雰囲気になってしまうんですが、ここもわかりやす過ぎたかも。ちょっとした戸惑い描写くらいでよかったんじゃないかなという気もしました。そうしたらラストで千太郎が公園でどら焼きを売り始めたときに「ああ、やっぱり自分の道を選んだんだな・・・」と回収できるんじゃないかなと思ったので。たとえそれが非現実的だったとしても。

まあそういったところはあるのですが、それを差し引いても前述の美しい詞のような映像の素晴らしさが失われる訳ではありません。毎日漫然と生きている中で、生きて行く意味って何だろう、そもそも意味なんか見つかるのだろうか、そんな漠然と大きいことを考えるよりも日々のクオリティー・オブ・ライフ向上に努めた方が簡単かもしれない、でも小豆煮たりするのは面倒くさい・・・という思いが私の中でぐるぐると回るのでした。あとは、どら焼きが食べたくなります。私はセンターに大きな栗が入ったのがいいな。




『二ツ星の料理人』役者陣は魅力的なのだが、何かが足りない


        
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二ツ星の料理人 [ ブラッドリー・クーパー ]
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ブラッドリー・クーパー主演のシェフ映画です。これもTwitterでどなたかが教えて下さったので知ったんですね。ブラッドリーに片思いするダニエル・ブリュールという図式だけで「観る」と決めたのでした。キャストも皆魅力的なキャラクターで、落ちぶれた料理人が再起をかけるストーリー(「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」みたいですな)も面白かったんだけど、何かが足りない、なんなんだろう・・・という何かが惜しい映画でした。

パリの一流レストランで働いていたシェフのアダム(ブラッドリー・クーパー)が、その荒くれ気質から色々なトラブルをやらかして身を滅ぼしかけていたものの、もう一度出直してミシュラン最高の栄誉である三ツ星獲得を目指すという縦軸に、彼を取り巻く人々との友情や軋轢や愛といった横軸をからめたオーソドックスな構成。まずは主演のブラッドリーさんですが、才能あるイケメンシェフだけど狂犬というキャラクターには納得。パリ時代に相当色々やらかしていたということが他の人のセリフでも語られますが、説明セリフだけじゃなくて「ああ、この人色々あったんだろうな、昔な〜」という雰囲気が出ていました。ダメな人ではあるけど職人としての腕は一流というキャラクター造形はよくありますが、それが退屈に見えないのはやはり旬のイケメン役者の魅力故でしょう。

そんな彼のビジネスパートナーになるのを渋りつつも実は彼に心を寄せているというレストランのマネージャー、トニーにダニエル・ブリュールです。このキャスティングがいいんですね!まるで人気俳優を自由に使った二次創作のような配役ではないですか。ダニエルの森のリスさんのような可愛らしいルックスと抑えた演技が良かったです。彼がブラッドリーさんに片思いしていることを見抜く女医さん役でエマ・トンプソンが出ていました。こういう脇にも大女優を使っていて豪華です。

そう、とにかく役者が売れっ子ばっかり。ブラッドリーさんと腕を認め合いながらも衝突し、そして最後にはロマンスが芽生えるという気の強い女性シェフ役にシエナ・ミラー。パリ時代の同僚で悪友にオマール・シー( 「最強のふたり」のアフリカ系俳優)、ブラッドリーさんの尊敬する亡き師匠の娘で元カノ役にアリシア・ヴィキャンデル、グルメ評論家にウマ・サーマン、などなど・・・。なんだかキラキラしていて民放のトレンディドラマかい?というような感じの配役ではないでしょうか。

化粧っ気のない凄腕女シェフでシングルマザーのシエナ・ミラーのサバっとした感じでありつつ、作る料理は繊細というのは「王様のレストラン」の山口智子みたいでしたね。あのドラマももう20年くらい前か・・・懐かしい。シエナの役が山口智子だとすると、ブラッドリーさんの役が唐沢寿明、アリシア・ヴィキャンデルが和久井映見(戸田奈緒でも可)、オマール・シーの役が江口洋介という90年代トレンディドラマ風妄想キャスティングが出来上がりました。

そうそう、他店 で働くライバルシェフ役の人(マシュー・リス)は初めましてですが、彼も主人公にものすごいライバル心を燃やしているけどボロボロになった主人公にオムレツを作ってあげるという優しさを持ち合わせたキャラクターでよかったです。バターと卵で作るふわとろオムレツというのは、簡単なように見えて実に奥が深い料理。石井好子さんのエッセイで読みましたが、この卵料理が上手に作れてこそ料理人として一人前だそうですね。私も何度かやってはみたんですが、炒り卵になりかけのぐちゃっとした何か違ったものが出来てしまいます。

もうひとつ、お料理描写で鍋に入れた素材にチャッチャッチャ!とリズミカルに火を通しながら、スプーンで鍋の中にあるソースを何回も何回も素材にかけるというシーンがありました。フランス料理の厨房が出て来る映画でたまにこのテクを見ますが、こうすると味が染みるんでしょうかね。今度真似してみようと思いました(ふわとろオムレツ作れないけど)。

前述しましたが、登場人物がだいたいどっかで見たことのあるキャラ設定ばかりなんだけどキャストが魅力的だから陳腐になってないんですよね。やはり旬だったり売れてたりする役者マジックによるものなんでしょう。しかし、キャラクターは魅力的なんだけどイマイチ話に深みがない・・・。もちろん三ツ星を獲得するためにレストランスタッフ一丸となって奮闘するプロセスは興奮しますし、主人公が怒ったりトラブルに巻き込まれたり裏切られたり・・・と起伏はあるものの、なーんだかカッチリと心がこの映画にはまらなかった。最後は厨房で働く人は皆ファミリー、ということで文字通り同じ釜の飯を食って、やっと狂犬シェフのアダムはキャリアと居場所を取り戻した・・・という終わりなんですが、ここは出来が良い映画だったら終るのがすごく残念、彼らのことをもっと見たい!と思わされるところでしょう。しかし、まあそういう着地になるやあねえ・・・という至極平常心な感想なのでした。

監督は誰だあ~い?(何故かにしおかすみこ風)とチェックしてみたら「8月の家族たち」を手掛けたジョン・ウェルズ監督!あれ~、あの映画は誰一人幸せな人が出て来ずで相当に面白かったのに、どうしちゃったんだろう?きっと脚本が悪かったのね、と本作の脚本家をチェックしてみたら「堕天使のパスポート」や「イースタン・プロミス」といった心震えるロンドン移民名作を手掛けたスティーヴン・ナイトで した。あれ~?こっちも妙~に変だな~。まあ出すものがすべて出来が言いわけではないということはわかっていますが、ちょっとどうしたんだろうといった感じが拭えないのでした。



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