@itan-journ@l praha

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『デッドプール』劇場で踊り出す人を初めて見た







13歳の誕生日を迎えた知り合い(北米在住)の息子が、誕生日にどこに連れて行って欲しい?と聞かれて「デッドプールを観に行きたい」と言ったそうな。それで親子は映画を観に行ったそうですが、町山さんのたまむすびポッドキャストを聴いて、あれ・・・妙~に変だな~。だっておかしいじゃない、デッドプールは子供向けではないのでは・・・?と思っていたのですが。調べたところこの映画はR指定。R指定ってのは17歳以下の子供は保護者同伴ならOKってことみたいです。R指定の映画を子供が鑑賞出来るか否かは、保護者のキャパシティーにかかっているわけか・・・。オープンな親でよかったな13歳の息子!

ということで私たちも観に行って来ました、デッドプール。これは原作がマーベルなんですね。でもポスターでは赤い全身タイツの男が身体をよじっていたり、手でハートを作っていたりして、妙にふざけてるのばっかりだったので、アンチヒーローな感じなのかな~と思っていました。そして異様に評判が良いらしい。町山さんのたまむすびポッドキャストを聴いた感じだと、バイオレンスとエロとおふざけが絶妙にブレンドされている映画な感じですが・・・。

結果、やはり面白かったです!例によってセリフの隅々まで全部理解出来たらより楽しめたかとは思うんですが、思わず声を出して笑っちゃうところが何カ所もありました。私が行った回はレイトショーで、観客はほぼ大人か若者。前列に20代前半くらいの女子たちが座っていたんですが、とにかくギャグへの反応が良くてコロコロ笑う(ドリフのコントに挿入されていた笑い屋のおばちゃんかと思うくらい)。そしてしまいにゃ踊り始めたんですよ(座ったまま)。彼女たちのリアクション込みで楽しい鑑賞でした。


主演のデッドプールを演じるのはライアン・レイノルズ 。彼は「グリーン・ランタン」ってDCコミックのヒーローをやってて、前に飛行機の中で観ましたが・・・おそらくブログに感想を残してないってことは書く手間が惜しいほどつまらなかったってことでしょう・・・。ほとんど記憶にありません。やはり大コケしたんだそうです。同じグリーンでも「グリーン・ホーネット」は面白かったですが。ライアン・レイノルズにはそのトラウマがあり、その後のキャリアはあまりパッとしていなかったようです(現妻のブレイク・ライブリーとはグリーン・ランタンで共演して結婚)。

しかし彼がデッドプールを演じているのはこれが二度目なんですね。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」で既にデッドプールやってるそうなんですが、私はこちらも記憶に残っていません。レイノルズはDCとマーベルどちらも出演しているんですね(ベン・アフレックもそうか)。ちなみにマーベル映画のおかみさん(©町山さん)ブラック・ウィドウを演じるスカーレット・ヨハンソンは元妻。今後シネマティック・ユニバースが広がったとしても共演はもしかしてナシ?

私はぶっちゃけライアン・レイノルズという俳優にそこまで強い印象はなかったので、本作を観て「へー、こういうの出来る人なんだー」と少しビックリしたわけです。自虐もするし、メタ視点の入ったギャグも言うし。いまいち微妙な位置にいるイケメン俳優だと思ってたけど今回見直したわけです。でも彼、私にとってはイケメンというよりイケメンになったねずみ男って感じです。顔が長いからですかね~。

レイノルズはアメリカのピープル誌が毎年やっているセクシエストマン・アライブに、2010年に選ばれているんですが、冒頭の超スローモーションシーンで車からレイノルズが表紙になったピープルが飛び出してました。こんな風にメタ的な自虐ネタを最初にぶっ込んでくるので「んん?この映画、なんかクセモノ?」と思ったわけです。ピープルネタはもう一度あって、次の2011年のセクシエストマンになったブラッドリー・クーパーが表紙になった雑誌の上に、デッドプールが荷物をドカッと置くギャグがありました(笑)。

赤い忍者のような全身スーツを着た始終話し続ける妙な奴、このデッドプールがどう して誕生したのかということがアクションを交えながらデッドプール自身のおふざけいっぱいの語り口で語られます。もともとデッドプールことウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は裏社会の何でも屋みたいなことをして日銭を稼いでいるアウトローでした。あるとき夜の蝶をしていた美しくてセクシーなバネッサ(モリーナ・バッカリン)と出会い二人は恋仲に。ところがウェイドはガンに侵されており、幸せな生活が一転します。そんなある日、ウェイドは怪しげなスカウトの男を通じて先進医療の実験台になることに。施設でフランシス(エド・スクライン)という男からミュータント薬を投薬され、不死身のミュータントになってしまったのです。でも副作用みたいなので肌がやけど状態に。絶望したウェイドは施設を破壊し脱出、以後は赤い全タイを身に付けたデッドプールとして生きることになったのでした。


ずいぶんと、とっ散らかった映画なので以下は箇条書き感想にさせて頂きたいと思います。




※ネタバレします。





・悪役のアジャックスことフランシスですが、ワルな感じのイケメン。私はウェイドより彼の方がカッコいいと思いました。しかし「フランシス」って名前が散々ネタにされていたけど、これって英語圏ではダサイ名前なんでしょうか。欧州では各国語にローカライズされたフランシスの呼び方があるんですが、特にからかわれているケースを見たことがないのでちょっと不思議でした。彼は悪役としての存在感がもうちょっと欲しかったですね。

・フランシスの右腕、エンジェルダストを演じるのが「エージェント・マロリー」のジーナ・カラーノ 。彼女は生けるギリシャ彫刻のヘンリー・カヴィルと交際の噂があったようですが・・・カヴィル氏、こういうガチな武闘派な女性がタイプ?!と失礼ながら大変驚いてしまいました。イメージと全然違ったので・・・。

・ウェイドの彼女、バネッサを演じるモリーナ・バッカリンは初めまして。いい女なんだけど、ちょっと年くってる?といった印象でした。町山さんが解説してくれていましたがバネッサが実にいい彼女で、時節に合わせたプレイをしてくれるんですね。ついこの間は世界女性デーでしたが、それにちなんだプレイが素敵でした。私の女友達でこのプレイがやりたいとパートナーにお願いしている人がいますが、やはり男性側にはちょっと抵抗があるようです。まあ人それぞれですが、こういうプレイはお互いの信頼関係がないと出来ないものだと思うので、一瞬だけれどなかなかいいシーンだと私は思います(笑)。

・フランシスにされた人体実験でミュータント化したデッドプールですが、不死身ってのはなかなかいい特徴ではないですか?手首を切っても再生するんですが、その再生のスピードが遅い!すぐに手がにょきっと生えて来るわけではなく、時間をかけてゆっくりと赤ちゃんみたいな手が生えて、それが大きくなるという感じ。そこまでスーパーな設定じゃないんですね。

・マーベル・シネマティック・ユニバースとの繋がりは、アベンジャーズじゃなくてX-MENと。ミュータントになってしまったので、チャールズのX学園からの熱心なスカウトが来ています(しかし、デッドプールを学園の先生として雇用するのはどうなのだろうか・・・)。X学園からの助っ人として、鉄のターミネーターみたいなコロッサス(ステファン・カピチーチ)と火の玉みたいにエネルギーを放出するネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)がやってきました。コロッサスの英語はロシア語なまりがすごいけどなんだか聞き取りやすかった。

・ネガソニックちゃんはまだティーンエイジャーで若いので、デッドプールとのジェネレーションギャップを使ったギャグが受けました。スキンヘッドのネガソニックちゃんを見て「お前リプリー(「エイリアン」でシガーニー・ウィーバーが演じた強い女)かよ」って言うシーンがあるんですが「このオヤジ何言ってんだ」といった風。なんとネガソニックちゃんには通じないんですね!ヒエー!と思いましたが、ネガソニックちゃんは90年代後半生まれだと思われるので、そりゃ知らんだろうな〜。

・デッドプールの名前の由来となったバーを経営する友達ウィーゼル(T.J.ミラー)ですが、ここも町山さんの解説を聞かなければわからなかったところ。デッドプールになる前のウェイドは危ない橋ばかり渡っていたので、友達がウェイドの名前をデッドプールリストに載せていたんですね。誰が先に死ぬかリストはちょっとブラックが過ぎますが、英語圏の雑誌なんかではクリスマス前までに、どのセレブカップルが別れるか?リストという企画をよく見ます。これ私も大好物ですね。

・導入部とラスト前でデッドプールをタクシーに乗せるインド系のドライバーとのやり取りも面白かった。彼はデッドプールに感化されて恋敵を消そうとするんですね。ラスト前で登場したときにはトランクに拉致した恋敵が入っている(笑)。それを聞いたデッドプールが妙に嬉しそうに、何回も「あとは、ほら、もうわかってるよね」みたいなキルのジェスチャーをするのが面白かったですが。こんなライトに殺人をすすめる人、X学園に入れちゃダメだと思うんだけどなあ・・・(笑)。

・そしてバカなことに敵陣へ向かう前に調達した武器(たしかハローキティーのバッグに入ってなかったっけ?)をそのタクシーに忘れるデッドプールたち。タクシーは検問で捕まるとうカットがその後にあるのでインド系ドライバーの末路が・・・。

・デッドプールとコロッサスとネガソニックちゃんが三人で、バネッサを拉致したフランシスがいる廃墟の工場みたいなところに戦いに行くシーンで、DMXの”X Gon' Give It to Ya” がかかるのですが、ここで前述した前列のギャルがヒップホップなダンスを踊り出したんですよ。この音楽はギャグで一瞬中断されるんですが、またプレイされると踊り出すギャルたち。長年映画館の暗闇に身を沈めてきたけれども、踊り出す人を見たのは初めて・・・あんたたちは、世界で一番この映画を楽しんでるよ!と思ったのでした。







・ウェイドは生き長らえて(しかも不死身になったのに)、最愛の人バネッサになかなか会いに行けないんですよ。その理由が、副作用で顔の皮膚がケロイド状になってしまったからということ。だからデッドプールのスーツは顔もバッチリ覆ってある全身タイツなんですよね(通気性がちょっと心配)。お前・・・散々下ネタしゃべくり散らかして来ておいて、今さら花も恥じらう乙女か!って思いますけど、バネッサはそんなこと全然気にしないと思うんですよね。生きてるだけでいいじゃないですか。そしてやっとバネッサと対面するんですが、「アンタ、生きてるのにどうして連絡しないのよ!」と殴られてしまいます(当たり前)。まあハッピーエンドでいいんですけどね。

・そんなこんなで変な映画なんですけど、最後はちょっと泣けました〜。アメリカではバレンタインあたりに公開されたというのも頷けるラブストーリーになってるわけです。彼氏に無理矢理連れて来られて、全タイの妙ちきりんな男がひたすら軽口を叩きながら人をバンバン殺す映画なんてヤダ〜、と言っていた女子も納得のフィニッシュ。むせび泣くようなイントロの「ケアレス・ウィスパー」(デッドプールのスマホに入ってた)に乗せて、近年稀に見るようなオーソドックスさ加減のラブストーリーとして終るのでした。ひゃ〜、そんな着地だとは思わなかった〜。

・マーベル生みの親のスタン・リー様は、バネッサが働 くストリップクラブのDJとして登場。嬉々として演じていらっしゃいました。ほんとチャーミングな方ですねえ!御年93歳ですよ。これからもお元気でいて欲しいです。

・おまけシーンは、バスローブを着たデッドプールが「え、君たちまだいたの?デッドプール2のチラ見せ映像はないよ。早く帰った帰った。あ、ゴミはちゃ〜んと持ち帰ってね」ってことでしたが、続編ではケーブルというキャラが出るということが明かされます。キーラ・ナイトレイがキャスティングされるかも?という冗談もありましたが、最後の最後までメタ視点のギャグを忘れないデッドプールなのでした。

余談:近くの席に座った観客のリアクション込みで忘れられない映画といえば、トビー・マグワイヤの「スパイダーマン」ですね。私の近くに3人組の中学生男子が座っており、劇中大はしゃぎしていました。逆さまになったスパイダーマンとMJことキルステン・ダンストが雨の中キスするシーンがあるじゃないですか。そのときキルステンがノーブラなんですよね。それにハッと息を飲み、お互いに飛びつく男子たち。そして終演後のロビーで「シュー!」という声と共に、手から見えないクモの糸をくり出す男子たち・・・。本当にオマエら可愛いなあ、とソロで来ていた私(求職中)はちょっと羨ましく思ったのでした。


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『しあわせへのまわり道』大人の再出発ムービー



         



「何かいい映画ないかな~」と探していた時に見つけた作品です。イザベル・コイシェ監督で主演はベン・キングズレー。NYのインド系ドライバーの話ということで観てみました。インドが好きなんですがリアルなインド映画は字幕の問題もあって、なかなか難しいです(原語ももちろんわからないし、現地語の字幕もわからない)。そういえば、以前に日本人の知人がプラハでインド映画を観に行ったそうです。その映画の言語には「英語、ヒンディー語」と記載してあったそうで、英語があるんだったら大丈夫かなと思いオランダ人のパートナーと一緒に観に行ったそうですが、フタを開けてみると映画のセリフほとんどがヒンディー語。字幕はチェコ語だしで、二人ともわかる言葉がなく大変だったそうな。

イザベル・コイシェ監督とベン・キングズレー&パトリシア・クラークソンは「エレジー」という作品で既にタッグを組んでおります。私はコイシェ監督の映画をほとんど観ていますが、どれも結構好きですね。エロ爆発系とほのぼの系とあるような気がしますが、今回はタイトルでもお察しの通りほのぼの系です。いや~しかし、久々に心の機微を描いた映画を観たな~って気がしました。これ、よかったです。人生色々あるけど自分の人生のドライバーは自分だけ、自分でコントロールして前に進まなきゃいかんのやで!といったようなポジティブなメッセージがあるのです。






ピンクのターバンがカワイイ、ベン・キングズレー。私達が想像するベタなインド人てのはターバンを頭に巻いたシク教徒の姿を想像する人が多いと思われますが、ガイドブックによるとシク教徒はインドの全人口で数%しかいないそうですね。

ヒロインのウェンディ(パトリシア・クラークソン)は50代くらいで本の批評家。演じるパトリシア・クラークソンですが、彼女の出演作はフィルモグラフィー確認後、何本か観ていることが判明でも、このおばさんはどこかで見たことが・・・と思ってしまいました。「人生万歳!」で南部の保守的な主婦からNYのボヘミアンなアーティストへとドラマチックに変身するおかんをやってましたね。恥ずかしながら、今回初めて顔と名前が一致しました。顔は薄いんだけど、よく見るとスタイルが良くて熟女な色気のある女優さんです。お茶目で人の良さそうな感じもしますね。

ある日、ウェンディの夫(ジェイク・ウェバー)の浮気が判明して夫婦は離婚。彼女は別れたくなかったのですが、夫は愛人と一緒になる為に家を出てしまうのでした。ウェンディには田舎の牧場でリゾートバイトしているみたいな娘(メイミー・ガマー。メリル・ストリープの娘だそう。ソックリでした)がいるのですが、その娘に会いに行く為には車がないといけません。運転免許を持っていないウェンディは離婚のゴタゴタの中、一念発起して免許取得にチャレンジします。彼女の指導教官になったのがインド系アメリカ人のダルワーン(ベン・キングズレー)。人種も宗教も違う二人でしたが、自動車教習を通じて心を通わせて行くというお話です。



※ネタバレします。




なるほど人生ってのは自動車教習にも似ているところがあるわけです。最初はどうしたらいいのか全然わからないけど、次第に使い方を覚えて、様々な道を通って経験を積み、時にヒヤリハットに出会いながらも前に進んで行く・・・。自分で車をコントロール出来るようになったときは「ワールドイズマイン!」というような高揚感を覚えたりするわけですよ。愛していた夫に裏切られ離婚になってしまったウェンディの人生はもうボロボロで、なにか新しいことにチャレンジすることが必要だったわけですね。それでもまだウエンディは夫に未練があって荷物を撮りに来た時に復縁を迫ったりするんですが、やはり夫は愛人の元へ行ってしまうのでした。

一方でダルワーンの人生も描かれます。彼は同郷のインド人たちと一緒に共同生活をしており、非常に信心深く、真面目に真面目に生きている人。タクシードライバーのかたわら自動車教習を教えています。郷里の親戚からは見合いをすすめられ、写真だけでしか知らない新妻ジャスリーン(サリタ・チョウドリー)とNYで結婚します。私がベン・キングズレーを初めて認識したのが子供の頃に観た「迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険」でした。キングズレーはここで実に頭の切れるワトソンくんを演じており、素敵な俳優さんだな~と子供心に思ったものでした(ちなみにホームズ役はマイケル・ケイン)。

外国人をあまり見たことがなかった子供の頃はベン・キングズレーを普通に西洋人のおじさんだと思っていたのですが、その後彼がイギリスとインドのハーフだということを知ります。へえーっ!と驚いたのですが「ガンジー」はもとより、今ではどちらかと言うとインド系ぽい風貌を活かした役の方が普通な感じですよね。インドなまりの英語も完璧です。しかしベン・キングズレーって私が子供の時から全然変わってない。一体今何歳なの?と調べたら、72歳でした。ひえー、オーバー70か。なのに嫁をもらう役をしてるってのが凄いです。50代くらいにしか見えません。

この二人の心の交流が描かれるんですが、いかにもいかにもなヒューマンさで演出されていないのがいいんですね。教習を重ねるごとにお互いのことを話したりして、少しづつ少しづつ心が通って行くわけです。このまま二人は恋愛関係になるのかな?と思いきや、中盤でダルワーンは新妻を迎えます。女性が喜ぶプレゼントは何かとダルワーンがウェンディに聞き、彼がロマンチックな詩集を準備していたシーンがあったので、てっきりウェンディへのプレゼントなのかと思ってましたが新妻へでした。

インドから来たばかりの新妻ジャスリーンの人生も少し描かれるんですよ。ずっとインドにいた彼女は英語も苦手だし、家にこもりがちになってしまいます。引きこもりがちだったジャスリーンですが、生理用品が切れたので外に買いにいかなければならないことに。思い切って家の外に一人で出てみた彼女はお店へ。ところが店員に聞いても、まともに取り合ってくれません。そこで買い物をしていたインド系の女性が助けてくれて、彼女と友達になるという素敵エピソードがありました。

ウェンディは離婚(しかしその後に絶倫のお相手ゲット)、ダルワーンは結婚ということで、やっぱり恋愛にはならないのか、と思うわけですが。しかしこうやってなんでもかんでも恋愛に結びつけてしまう思考、我ながら単純だよなあ~と思ってしまいます(恥)。ダルワーンとウェンディのダイアローグのシーンが本当に心地よいんですよ。親愛の情に人種も性別も関係ないんだな~と改めて思い、爽やかな気分になるわけです。でもウェンディの家出してしまったお父さんのエピソードはちょっと余計だったかな~。

こうしているうちに、ウェンディの実技試験の日がやって来ました。一度はパニックになってしまって不合格、もう運転ムリ!と辞め てしまいそうになるのですが、ダルワーンが説得してもう一度トライします。二度目はめでたく合格。喜び合うウェンディとダルワーン。二人はその足で新しい車を買いにカーディーラーのところへ向かいます。赤い車を買うことにしたウェンディ。ディーラーがダルワーンのことを夫だと間違え、ダルワーンが否定しようとするんですが「いいから」とウインクするウェンディ。

教習卒業ということは、もう定期的に会うこともないわけで・・・。これはちょっと寂しいですね。ここでダルワーンが「よければ、お祝いも兼ねて、一度僕と食事を」と思い切って誘う訳なんですが、ここがすごくドキっとするんですよ。恋愛が始まると思ってたけど始まらないから、もう友情路線で行く訳ね〜と油断させられていた分、ドキっするんですよ。またベン・キングズレーの演技がすごくいいんだ。少し情熱を秘めた目になってるんですよね。でもウェンディは彼の気持ちを知りつつも優しく断るわけです。そう、これでいい、これでいいんだ・・・と寂しくも安心したり。ほんと、大人な仕上がりになってます。

その後、二人はお互いの人生に戻って行くんですが、それがやはりこれがベストという結果なんですよね。ダルワーンは新妻と一緒に慎ましくも幸せな生活を始め、ウェンディは新車で娘のいる田舎の牧場へ向かいます。きっとウェンディはウインカーを出す時、巻き込み確認をする時などに指導してくれたダルワーンのことを思い出してると思うんです。彼のインドなまりの英語も。離婚でひどい人生だと思っていたけど運転免許取得にチャレンジすることで、もう一度彼女は歩き出したのです。そしてタイトルの「Learning to drive」が出てEND 。これはちょっと泣いちゃいましたね~。車だけじゃなくもう一度人生をドライブする術を学ぶ教習だったのだな、ということですよね。

とにかく主演二人の演技が素晴らしい。大人(キングズレーはオーバー70)になっても、時に人生には不器用。その姿がキュートで愛おしいのです。爽やかな大人の再出発ムービーとしておすすめです。


『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』笑いとカヴィル氏の裸をもっと投下希望



ヒーローが勢揃いなのにこの暗さ。


初日に観に行ったんですが、こんなに感想アップが遅れてしまいました・・・。だいぶ記憶も薄れて来ていたので、町山さんの有料ポッドキャストを聴いたり、他の方の映画ポッドキャストを聴いたりして記憶を補いました。大作なんだけど、なんか暗いし薄味・・・つまらないわけではないのですが。前作の「マン・オブ・スティール」もそんな感じでしたが・・・。ということで、今回は箇条書き感想とさせて頂きます。





※ネタバレします。






・ソロ(「コードネームU.N.C.L.E.)こと我らがセクシー兄貴のヘンリー・カヴィルがスーパーマン続投。しかし今回も彼のキャラクター描写が浅くてあまり萌えられず・・・。新聞記者のクラーク・ケント時は黒縁メガネのドジっ娘で、スーパーマンになれば筋肉ムキムキの超イケメンって設定が本当もったいないですね。恋人のロイス・レーン(エイミー・アダムス)がお風呂に入っているときにクラーク・ケントが帰って来るシーンがありますが。これ逆でしょ?なんでカヴィル氏を脱がせないのだ!脱がせろ!アンドレス、ヒム!お湯は濁ってていいからさ!と世界中の女子とゲイが突っ込んだのではないかと思うのでした。

・とにかくスーパーマンには圧倒的に脱ぎが足りないのである。一瞬、上半身裸でテレビを見てそのニュースに憂慮の色を見せるクラークというシーンがありましたが。胸毛に包まれた素晴らしい胸板が一瞬写るんですよ(でも上半分くらい)。ほんの一瞬。ちょ・・・、リモコン、リモコン!(劇場です)と思う訳ですよ。あと、めちゃくちゃ激しいバトルをやるんだからスーパーマンのスーツ破れてもいいんじゃね?クリプトン星の超高性能ライクラ素材で出来ているって設定があるかもしれないんですが、バトル時のドラゴンボールぐらいには服が破けて欲しいものである。「生けるギリシャ彫刻」の異名を取る中の人カヴィル氏の極上素材を存分に活かし切れておれず至極残念なのだった。

・いきなり「俺、ブルース・ウェイン a.k.a. バットマンだ」という設定でベンベンことベン・アフレックが下からスーパーマンの戦いを見上げている。うーむ、これはいくらなんでもいきなりすぎる・・・。筆者はクリスチャン・ベールのバットマンが結構好きだったので、やっぱりベン・アフレックでリブートを一作作ってからの方がよかったのではないだろうか。町山さんのポッドキャストによると、ワーナーはマーベルに対抗するためだったり、前作「マン・オブ・スティール」が成績不良だったりして、かなりあせっていたようです。この急ごしらえな感じは本作全体を包んでいました。

・全然脱がないスーパーマンですが、ブルースは打倒スーパーマン目指して必死にトレーニングするシーンがあったりして、そこで上半身裸なんですよ。あと、悪夢を見て目覚めるシーンとかもそうだったかな。ベンの裸はいいから、カヴィル氏・・・。やっぱり見せ所が間違っていると思うのでした。

・バットマンをサポートする執事のアルフレッドはマイケル・ケインからジェレミー・アイアンズに。この若返った英国俳優バトンタッチは納得なのですが、ジェレミー・アイアンズが枯れ切ってないのですごくセクシーなんですよね。ITにも強いしなんでもできちゃうセクシー執事、なんとなく彼もまだまだヒーローができるポテンシャルを感じさせるのであった。

・今回の悪役、レックス・ルーサーにはジェシー・アイゼンバーグ。口が達者で話し過ぎるヘタレっぽい悪役にはまあピッタリでしたね。筋肉ムキムキな2ヒーローとのコントラストも良かったと思います。しかし、クラークとブルースがレックス・ルーサーのパーティーで会うシーンは、思ったよりもアッサリしていて「あれっ・・・?」と思ってしまいました。前に「ローマでアモーレ」を観た時、役者としてのポスト・ウディ・アレンは彼なのでは?と思いましたが、またジェシー・アイゼンバーグはウディ翁の新作に出るそうです。こちらも楽しみ。

・レックス・ルーサーのアシスタント役には日本を代表するスーパーモデルの岡本多緒。ハリウッド映画はマーベルの「ウルヴァリン:SAMURAI」に次いでの出演です。しかしリアルでアニメのキャラクターみたいなプロポーションでしたね。彼女はもっと悪女で、レックス・ルーサーの右腕として暗躍する感じなのかな〜と思ったらアッサリと退場してしまいました。ボスに裏切られて気の毒です。

・ホリー・ハンターも政治家の役で出てましたけど、彼女もアッサリと退場。スーパーマンが公聴会のようなところに召還されるシーンは結構シュール。だって、裁判所みたいなカタイ場所で一人だけハロウィンみたいな格好なんですから(クオリティー異様に高し)。劇場内では笑いが起こっていました。余談ですがアイスピーチティーは私も大好きです。

・セクシーでエキゾチックな謎の女、実はワンダーウーマンだったということでした。私が本作で一番テンションが上がったのが、ワンダーウーマンの登場シーンですね。てっきり助けに来たのはバットマンだと思っていたので、驚きがありました。音楽のボルテージもアップしててよかったです。しかしこの姐さんがカッコよかった〜。アメコミに詳しくないのでスーパーマンみたいに異星人なのか、バットマンみたいに強い一般人なのかよくわかりませんが、本当に強かったです。

・ワンダーウーマン役のガル・ガドットは今作で初めましてなんですが、彼女いいですね!なんとな〜くモニカ・ベルッチ様の濃度を薄めた様な感じの女優さんです。とにかく美しいのが彼女の唇。形がすごく綺麗なんです。特に上唇のツインピークスがキュっとしていて綺麗。有名ブランドの口紅のCMにもそのうち出るのではないかと思いました。完全に余談ですが、M.A.C.が数年前にワンダーウーマンのメイクアップコレクションを発表していたそうです。ちょっと発売が早過ぎた?

・一方のバットマンは資金にモノを言わせて強くなっている一般人。だから怪獣とのバトルシーンでは「進撃の巨人」みたいな立体軌道装置で逃げてましたけれど。しかし重量が歴代一であるアフレックバットマンがぶら下がるには相当頑丈なワイヤーじゃなきゃダメですよね。バットマンのマスクですが怒った時とか興奮した時に目がペカーと白く光る仕様。これはよかったです。そいやバットマン時の声もワントーン低くなりますよね(これは昔から)。この声の設定はどうなってるんだろう。もしかして地声で調節なのかな。

・どんなに遠く離れていても、恋人ロイス・レーンのピンチには必ず駆けつけるスーパーマン。その姿には限りない母性を感じました。そりゃなー、こんな彼氏いたらいいよなー。ロイス・レーン羨ましいです。

・ボスキャラはまさかの怪獣(正確には違うかもですが)。前作のゾッド将軍の成分から作られた怪獣だから、どことなーく造形が中の人マイケル・シャノン似。ゾッド将軍はオールヌードがあったんですが(死体だけど)、やっぱりこの映画はサービス箇所を間違ってる・・・間違ってるよ!何かの記事で読みましたが、ジェシー・アイゼンバーグ曰く、マイケル・シャノンの死体はちゃんと細部に至るまですべて作り上げられていたそうです。でもシャノンがそこまで合意してサインしているとは考えにくいから、スタッフ誰かのをモデルにして作ったんだろう・・・ということでした。

・最後はスーパーマンの死ということで終了。町山さんが「信仰していない宗教の教祖の伝記映画を見せられている気分」みたいなことを仰っていましたが、まさにそんな感じでしたね。国葬まで出してもらえて良かったですけど。そしてクラークがおかんのダイアン・レーンに託していた恋人ロイスへのプレゼントが指輪。恐らく婚約指輪かと思いますが、な〜んかここも鼻に付くんですよね。やっぱりクラークとロイスの恋愛がしっかり描かれてないからだと思います。


ということで、以上箇条書き感想でした。やっぱり急ごしらえはよくない。その点、各ヒーローを一人一人しっかりと描きつつ、ユニバースの繋がりを目配せさせて、満を持してアベンジャーズとして大集合させたマーベル・シネマティック・ユニバースは、やはりすごいです。集合したときに「あ、アイツがアイツと!」みたいな感じがジャスティスリーグにはまったくないですから。そして、マーベルのすごいところは各ヒーローを紹介する一作目の出来が素晴らしくいいことです。「アイアンマン」、「キャプテン・アメリカ ファースト・アベンジャー」、「マイティー・ソー」のワクワクするような面白さといったらない。2、3になると残念な出来もあるのですが、やっぱり1のクオリティーが素晴らしいってのは大事だと思うんです。

あとジャスティスリーグには決定的にユーモアと茶目っ気が足りない。「もしかしたら、マーベルみたいにおまけ映像あるかも・・・」と思ってトイレを我慢しながら最後の最後まで劇場にいましたが、なーんにもありませんでした。ガクッ。とりあえず、ワーナーの偉い人に言いたいのは「ユーモアとカヴィル氏の裸、もっと」ということですね。「マン・オブ・スティール」の失敗が活かされていないのが残念です。

ところで、マーベルの「シヴィル・ウォー」も公開目前だしでまた色々と忙しくなりそう!私の居住国ではなぜか日本より遅くて5月上旬の公開ですよ。早く観たい!


『龍三と七人の子分たち』とにかくセクシーな藤竜也

       



久々の邦画ですよ!どれくらい久しぶりなんだろうと調べてみたら「戦場のメリークリスマス」以来でした。その直後にデビット・ボウイは天国に召されてしまうしで、拙ブログがまさかのデスブログになったらどうしようかと思いましたが・・・。

「戦メリ」から意図せず、たけし繋がりということなのですが、筆者居住国で開催されていた国際映画祭で本作が上映されたんですよ。その他の日本映画は河瀬直美監督の「あん」、黒沢清監督の「岸辺の旅」、細田守監督の「バケモノの子」などなど(毎冬開催される日本映画祭よりは、ずっと面白そうな作品です)。全部観たかったけど、もちろん時間が許さず・・・。結局一本も観に行けなかったんですが、知人がこのDVD を貸してくれたのでありつけることが出来た訳です。

オレオレ詐欺をしたり浄水器を押し売りしているグループに対抗し、ジジイになったヤクザがもう一度組を作って勝負を挑むというコメディ。面白くないわけじゃないんだけど、ギャグのキレが・・・ちょ~っとゆるいかな。まあドタバタなギャグ自体が子供からお年寄りにまでわかりやすいし、理解するのに文化的背景を一切問わないユニバーサルな作りになっています。

龍三(藤竜也)は老境の元ヤクザ。息子(勝村政信)夫婦と同居していますが、息子と嫁からかなり煙たがられている存在です。孫はおじいちゃんのことが好きな様子。龍三は見事な入れ墨をしょっているジジイなんですが・・・藤竜也がもうカッコイイ。ギラギラした感じがかなり抜けかけているんですが、それでもまたギラギラが残照のごとくギリギリのこっていて男として枯れてない。それが実にセクシーなんですよねえ。現在の日本でカッコイイお爺さんナンバーワンなんじゃないかと思う訳です。話し方も親分肌な感じだし、渋いんだけどキュートで情けないキャラ設定もいいんですよ。そりゃ萬田久子演じるキャバクラのママもメロメロになるわけです。

藤竜也といえば大島渚監督の「愛のコリーダ」ですが、「愛のコリーダ 卵」という検索ワードでよく拙ブログを訪問してくれる方がいらっしゃいます。コリーダの劇中で卵を使ったプレイが行われるのですが、自身で検索してみたところ拙ブログが二番目に出てました・・・(笑)。とにかくコリーダのときの藤竜也より今の藤竜也さんがカッコイイと思います。

7人の子分たちと新しい組の一龍会を結成というわけで、この映画には大挙しておじいさん俳優が出演。若頭のマサ(近藤正臣)、はばかりのモキチ(中尾彬)、早撃ちのマック(品川徹)、ステッキのイチゾウ(樋浦勉)、五寸釘のヒデ(伊藤幸純)、カミソリのタカ(吉澤健)、神風のヤス(小野寺昭)と、昔ならした必殺技を持った個性豊かなジジイ人材が豊富。シルバー人材派遣が出来そうなくらい。



※ネタバレします。




しかし、やっぱりギャグがゆる〜い!
酒のツマミがないので家で孫が飼っている文鳥を焼き鳥にして食べたり、昔の仲間集めの場になぜか90オーバーのヨボヨボの元担任がヘルパーさんに付き添われて来ちゃったり、着るものがないので女装しておねえちゃん(たけしイズム)のアパートから抜け出したり、ヤクザで指詰めてるからハンドサインがうまくいかず競馬の大穴を逃したり、息子の車にガムテープで貼ったデモのあおり文句そのままにしてきちゃったり、途中で死んだモキチを盾にして敵事務所を襲撃し、モキチ遺体が撃たれたり刺されたりしてるし。龍三は動いた時になぜかおならをよくするし。脱力系のギャグがこれでもかというくらい盛り込まれているのです。

だから設定は現代なんだけど、昔っぽい感じがすごくするんですね。舞台は現代の東京なんだけど、なんかみんなスマホを持っているとは思えないようなレトロ感。動いた時におなら(勢いのいいブッ! っておならではなく、プス~みたいな情けないおなら)が出てしまうってのはチャウ・シンチーの「少林サッカー」を思い出しました。

兼監督脚本の北野武は刑事役。人情派の刑事さんで龍三とも顔なじみという役です。要所要所で出て来るんですが、さすがはたけしの役者力というか、場がいい具合に締まるんですよね。息子役の勝村政信はヤクザの息子なのにまっとうな道を行く真面目なサラリーマン。その上司役が徳井優で、思わず「♪勉強しまっせ、引っ越しのサカイ♪」と頭の中でサカイのコマーシャルが再生されるのでした。CMといえば勝村政信はラッパのマークの正露丸の人。しかし勝村政信はなんというか、自己保身ばかり考えている保守的なサラリーマン役が本当に似合いますよね。

ラストはカーアクション も入れて地元の市場をひっくり返すような大騒ぎになるのですが、たけしの刑事が来て全員逮捕。近藤正臣が「親分、また出て来たらやりましょうよ!」と言うんですが「ばかやろう、もう死んでるよ!」チーンとなって終ります。それからエンディングロールになるんですが、そのときの音楽がなんかしんみりした静かな曲で、なんか切なくなってしまいました。もっとキャッチーなテーマソングで盛り上げる方法もあったと思うんだけど、それをあえてしなかったんですかね。

しかし藤竜也74歳で、あの色気はすごい・・・。もしかして真の男の旬というものはオーバー古希(70歳)からなのか・・・?とさえ思います。もちろん中身もダンディーな大人の男。杉作J太郎さんが藤さんにインタビューしたこちらの記事をどうぞ。藤竜也「色恋ってのは墓場まで持っていくこと」

『X-ミッション』東京都市部の電車通勤だってエクストリーム・スポーツ!


                            


こんなシーンは序の口。


知っているスターが一人も出ていないのに、わりと宣伝されている。ジャンルもアクションなんだかサスペンスなんだかよくわからない。空飛んでお金をバラまく?一体この映画はどういうものなのだろうか・・・・気になる。ということで鑑賞しましたX-ミッション!

いや~すごかったですね。エクストリーム・スポーツ(危険なことに全運動神経を使ってチャレンジする)+ 義賊とFBI捜査官の追っかけっこというダブルで美味しい映画でした。キアヌ主演の「ハート・ブルー」のリメイクなんだそうですが、私はまだこれ観てません。でも「ホット・ファズ」で、でぶっちょの警官ニック・フロストが、このパロディーやってたのは観ました。本作でも逃げる相手に向かって発砲できず、空に二発発砲するというシーンが出て来ます。切なさとそこはかとないエロさがある名シーンだと思うのでした(オリジナル観てない人が言うのもなんですが)。

主人公のジョニー・ユタ(ルーク・ブレイシー)はエクストリームなモータースポーツをやっているメンズ。ある日、エクストリームスポーツ中に親友がアクシデントで死亡してしまいます。それから数年後・・・ジョニーはFBI捜査官になっていたのでした。上司のホール(デルロイ・リンドー)から潜入捜査を命じられ、エクストリーム・スポーツ的な手法で窃盗を繰り返すグループに接近します。

さっき、知ってるスターが一人もと言ってしまったけど、上司役のデルロイ・リンドーは何回も何回も映画でお目にかかったことがありますね。彼のフィルモグラフィーを調べていたら「ドミノ」に出演していました。「ドミノ」には「X-ミッション」の窃盗団ボスであるボーディ(エドガー・ラミレス)も出てたんですね~。チョコというセリフの少ないラテン系の男でドミノの恋人役でした。エドガー・ラミレスは「JOY(原題)」にもヒロインの元夫役で出演していたそう。

本作の主人公のジョニーを演じるルーク・ブレイシーですが、英語圏のチャラいスポーティー・イケメンを具現化するとこんな風になります、といった感じですね~。な~んかチャラい。遊ばせてる髪型のせいかな。角刈りだったりするとまた違うのかもしれせんが。顔はちょっとだけ故ヒース・レジャー似だと思います。

さて、エクストリーム窃盗軍団ですが、もう身元とか割れてるんですよ。ボーディー(エドガー・ラミレス)という男が主犯格で、世界中の色々な場所で強盗をしているわけなんですが。彼らの強盗の手際が実に鮮やかでカッコイイ。特にすごいのが、現金輸送ヘリから大量の紙幣を盗むシーンです(予告編やポスターにも使われている)。ヘリに忍び込み、フライト中にブロック状になった紙幣と一緒にスカイダイビング。空中で紙幣を束ねていたものを切断。吹雪のように散って行く紙幣。それが貧乏な村にお金の雨となって降り注ぎます。自らは巨大な穴にそのまま降下して穴の中でパラシュートを開く・・・というもの。何コレ・・・何コレ・・・か、か、か、かっくいいーーーーー!!!!!

全身の毛がゾワっとするような痛快感と爽快感が走り抜けたのでした。ルパ~ン三世も真っ青ですよ。ポイントなのは1. エクストリーム・スポーツの能力を最大限に活かしていること 2. 強盗だけど私欲を満たしていないこと 3. 金は二の次でエクストリーム体験に重きを置いていること・・・でしょうか。かっけー・・・かっけー・・・かっけーよ!!!!もうこれだけで窃盗団のファンになってしまうのでした。




※以下、ネタバレします。





さて、フランスに飛んだFBIのジョニーは現地の協力者パパス(レイ・ウィンストン。この方も色んな映画に出てました)の協力を得て、大西洋の沖でエクストリーム・サーフィンをしている一団と接触します。ふーん、ヨーロッパの沖でサーフィンか。そういや友人Iからヨーロッパの中でもフランスはいい波があるからサーファーがいるって聞いたことあったな~。しかし、その波ってのが理解の範囲を越えていました。デカイ。波、デカイ。ちょっとした船ならひとのみされそうなくらいの波です・・・。そこでサーフィ ン・・・死 ぬ ぞ!という感じなんですが、船の上の若人たちは半裸ビキニで盛り上がっています。

そこで窃盗団の気を引く為にサーフィンのスゴ技を見せるジョニー(もうジョニーは何でもエクストリームが出来るって設定なんだな)。しかし途中で沈んでしまい、ある人に助けられるのでした。目を覚ますと、そこはボーディーの船の上。ジョニーはボーディーとその仲間たち、そして仲間の紅一点であるサムサラ(テレサ・パーマー)と知り合うのでした。サムサラって名前はサンスクリット語かなんかで「輪廻転生」を意味するんですよ。なんで知ってるかというとゲランの香水「サムサラ」を使っていたことがあるからです。懐かしい。昔は背伸びしてゲランとかシャネルとか使っていたけど、今はロクシタンとかフラゴナールとか自然派なのが落ち着きますわ。

その後、ロケーションはパリへ移動。廃墟で殴り合いをするというイベント(「ファイト・クラブ」的な?)が開催され、そこへ向かうジョニー。ボーディーたちと拳を交わし、仲間として認められるのでした。殴り合って友達って、昭和の少年ジャンプみたいですけど。そして話が前後するかもしれませんが、ボーディーたちはオザキ8というコンセプトを追求していることが明かされます。伝説のエクストリーム・アスリートであったオザキ・オノ(どっちが名前?)が定義した8つのチャレンジをコンプリートするのが目的だったのです。その真髄とは・・・自然の一部になること。大自然へのリスペクトがあるそうな。なんか・・・わかるようでわからんな!ちょっ と新しい宗教ぽくもありますね。ちなみにオザキ8の達成にはものすごいお金がかかるので、スポンサーの大富豪もちゃんといるんですね。そりゃヘリやボート出したり装備買ったりとお金がかかりそうです。

ボーディーたちにジョインしたジョニーは一緒にアルプスへ行き、山頂からスカイダイビングします。これが普通のとは違って、モモンガのような装備をして風に乗り、山肌ギリギリのところを飛んで下降するというチャレンジ。これも死にそうなんですけど・・・。しかし映像が凄いですね。スタントシーンは本当のエクストリーム・アスリート達によって吹き替えられているんですが、本当にスゴイ。もう始終お口をパカーと開けての鑑賞でした。自然との一体化ということでしたが、飛んでるうちに心から余計なものが洗われて、大自然へ感謝の気持ちが芽生えるっていうのは少しわかる気がしますね。

お次はまたアルプスの山頂からスノボで滑り降りるエクストリーム。もちろんゲレンデじゃないですよ。剣岳も真っ青な直滑降です。サーフィンと空ダイビング、そしてスノボとなんでも出来なきゃいけないエクストリーム・スポーツ、大変ですねえ。このチャレンジの途中で一人の仲間がミスって死亡。親友の死を思い出して凹むジョニーですが、ボーディーは「彼の選択が死を招いたのだから仕方がない」というスタンスです。クールですねえ。

その夜、ジョニーはサムサラからオザキは海でのチャレンジ中にハンディキャップのあるクジラを助けて命を落としたこと、オザキは子供だったボーディーとサムサラを引き取って育ててくれた養父だったこと、ボーディーはオザキの意志を継いで今に至ることが説明されます。その夜、サムサラと一夜を共にしたジョニーでしたが、潜入捜査を終えるときが近づいて来ていました。

この映画、アクションは凄いんですがドラマ部分がイマイチ弱いのが残念。ジョニーとボーディーたちとの間にはエクストリーム・スポーツを共通言語とした友情が芽生えているということなんですが、そこが弱いんですね。ジョニー自身もアスリートだったから共感する部分はいっぱいあると思うんですが、ジョニーとボーディーの絆がちゃんと結ばれているかというと疑問が残るところ。その絆と捜査の間で揺れるジョニーってのも描き足りないように感じました。そこがちゃんと描けてこその空中二発発砲なのに、残念です。

ボーディーたちは鉱山を爆破する計画を実行します。これはオザキ8とは関係なく、自然破壊をして私欲を肥やしている企業に対するテロなのですが、ここでついにジョニーは正体を明かしてFBIとしてボーディーと対峙します(実は潜入捜査の一部始終はFBI側にモニタリングされていたのだ)。爆発する山の中をバイクで失踪するボーディーを追いかけるジョニー。ボーディーは「お前がFBIだってことは知ってたさ。お前のことを救えると思った」と告げて逃げるのでした。それを聞いてボーディーが撃てず、空中に二発発砲するジョニー。ここも前述したけど惜しいですね~。本当に惜しい。

当局によりスポンサー富豪からの資金を凍結されたボーディーたちはイタリアの銀行襲撃を実行。ジョニーは再びFBIとして彼らを追うことになります。その銃撃戦によりボーディーチームのメンバー数人が死亡。ジョニーが撃った賊のマスクを剥ぐと、中にいたのはサムサラでした。

ボーディーとメンバー1名を取り逃がしたFBIでしたが、次に彼らが現れる場所はわか っていました。オザキ8の残されたチャレンジはあと2つ。ボーディーが向かったのはベネズエラのエンジェル・フォール。高層ビルより高い崖を垂直に落ちる滝、その側をロッククライミングするというものです。本当にいちいち命知らずな設定に目眩がします。登り始めたボーディーとメンバー1名。ところがメンバーは途中で諦めてしまい「また会おう」と言って落ちてしまうのでした。命かかってるのに、諦めるの早過ぎ!と思いましたが、ボーディー対ジョニーの構図を作る為には余計な人だったんでしょうね。

ジョニーもエンジェル・フォールに向かい、ボーディーの後を追ってロッククライミングし始めます。ええっ、やるの?とも思いますが、もうそんなことはどうでも良いのです。同じく エクストリーム・マインドを共有する男達。でも泥棒と警察・・・切ないんですが、ドラマ部分がちゃんと描けていないのでイマイチ萌えられないところ。「もうどこにも逃げられないぞ!」と上にいるボーディーに叫んで登り始めるジョニーなんですが、もうこれって捜査じゃなくて恋でしょ?と思ってしまうわけです、でもドラマ部分が・・・(以下略)。

二人とも頂上まで上り詰めたんですが、ジョニーが捕まえようとしたらボーディーは滝に身投げし、ジョニーもそれを追ってダイブ。エンジェル・フォールの落差は世界最大で979メートル。確実に死ぬ案件ですが、二人とも生きています。これ良い子は絶対に真似しちゃダメですよ!ここからはもうファンタジーとして楽しんだ方がいいんだな、うん。滝に落ちたジョニーはパパスに助けられます。パパスによると、ボーディーの死体は上がって来なかったということ。しかしジョニーにはわかっていました。残り一つとなったオザキ8を達成する為に、またボーディーは現れると・・・。

その17ヶ月後。嵐で荒れ狂う海のど真ん中にオンボロの漁船が一隻・・・。波に飲まれる寸前の漁船を操っているのはボーディーでした。そこへ上空からジョニーの乗ったヘリが。捜査しているとはいえ、どうしてこうタイミングよく会えるのでしょうか。もうここまで来ると「どんだけボーディーのこと好きなんだよ・・・」と笑ってしまうのですが・・・(笑)。このチャレンジで恐らく命を落とすことになるだろうと知っていた二人。ジョニーはボ ーディーの気持ちを汲んでやり、彼に最後のチャレンジをさせてやるのでした。荒波に繰り出すボーディー。波間に彼の姿はもうありませんでした。鉛色の空へゆっくりと上がって行くジョニーを載せたヘリ。泥棒と警察という立場は違えど、エクストリーム・スポーツで絆を結んだ男達はこうして永遠に別れることとなったのです。

その後、ジョニーは果敢にエクストリーム・スポーツに励んでいるということが示されて映画は終ります。最後の二つのチャレンジでは、ジョニーの神出鬼没っぷりがちょっとコントみたいで面白かったですけども・・・。ドラマ部分の仕上がりが上質だったなら、おそらく伝説に残る映画になっていたかも・・・?でもまあエクストリーム映像は充分に楽しめました。ボーディーとジョニー、そしてメンバーたちみんな関西弁で言うところの「どあほう」な男たちですね。どう考えてもクレイジーなことに突き進んで行く、常軌を逸した男気を表すほめ言葉ですよ。個人的なエクストリーム・スポーツの基準として「ちょっと笑っちゃうくらい無理目な設定」というのが加えられたのでした。

余談:断崖絶壁な岩の頂上とかジェットスキーしながらとかスカイダイビングしながらシャツにアイロンをかけるエクストリーム・アイロニングというスポーツがあるそんだそうです。一度テレビで見たことあるけどアイロニストたちは真剣そのもので、その真摯な姿に私は心を打たれたのでした。エクストリーム・スポーツといっても、その定義は極めて曖昧であり、一般人が普段行っている行動でもエクストリーム化出来るものがあるそうな。一人でテーマパークに行くことも精神的なエクストリーム・スポーツになるんだそうですよ。となると東京都市部の電車通勤しているサラリーマンたちは毎朝が「エクストリーム通勤」で、さらに通勤している会社がブラック企業の場合は「エクストリーム会社勤め」。考え次第では誰でもがエクストリーム・アスリートになれるんですよ!でも本当に心身を壊すまでのエクストリームはやらないでくださいね。筆者からのお願いです。

『エクス・マキナ』A.I.と痴人の愛?




今年度「リリーのすべて」でオスカー助演女優賞受賞、そしておファスの現彼女という旬の女優であるアリシア・ヴィキャンデル(ヴィカンダーなど表記に揺れあり)が出演しているSFです。町山さん(たまむすびポッドキャスト)と夫に勧められたので観てみました。日本では未公開でしたがWikiによると6月に公開されることが決まった様ですね。


IT会社で働く冴えない男子、ケイレブ(ドーナル・グリーソン)は抽選に当たって会社の社長でIT業界のカリスマ、ネイサン(オスカー・アイザック)の別荘に招待されます。憧れの人と会えるということで舞い上がるケイレブ。ヘリコプターで連れて行かれたのは人里離れた美しい山の中にある、超ハイテクな研究施設を兼ねた別荘でした 。そこで1週間ほど滞在するケイレブなのですが、実はそこでもう一つのミッションがあったのです。それはネイサンが作った人工知能エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)をテストすること。エヴァとのテストを重ねるうちに、次第に彼女に惹かれて行くケイレブでしたが・・・というお話です。

冴えない男子と小悪魔系ルックスの女子(A.I.だけど)の組み合わせということで、なんとな~く、アンドロイド版「500日のサマー」みたいな話なのかなあ・・・と思っていたのですが、想像したよりもずっとシビアで辛口な映画でした。A.I.との恋愛?と思ってしまいがちだけど、そんなようなものではありません。でもこういう甘さが一切ない終り方の方が好きです。

このケイレブが本当に冴えな~い、残念な容姿の草食系メンズ。パッと見でイケメンじゃないキャラクターってのは、物語が進むに従って魅力が出て来たりするんですが彼は残念なまま。だが、そこがいい。俳優なのにこの残念さはスゴイな・・・と思ってしまうんですが、中の人ドーナル・グリーソンは「レヴェナント」でも非力で残念な若者として出演していました。しかし、この残念な感じが逆に良かったですね。

カリスマ社長のネイサンはヒゲを生やしていている筋肉もりもりのトレーニングフリークで、ビル・ゲイツとかスティーブ・ジョブズとかマーク・ザッカーバーグとか、そんな線の細いITカリスマとは全然違う感じ。立派なヒゲを蓄えているのでインド系ぽくも見えるんですが、演じているオスカー・アイザックはグアテマラ出身なんだそうです。SWやX-MENの新しいシリーズに出演しているそうで、なかなかの売れっ子ですね。

大自然の中にあるけど、超モダンで人工的な別荘の舞台設定がまた良かったですね。ガラス張りのリビングなんですが、自然なのは外だけでインテリアは直線的で人工的。ウッディ要素とかほっこり要素とか一切なし。もちろん部屋の中に観葉植物なんてものはありません(個人的にこれは辛い)。そんな外界と人工とのコントラストがお洒落でした。なにしろケイレブの部屋には窓がないんです。他の施設は申し分ないんだけど、これもかなり辛い。

そしてこの別荘の中にはハウスメイドのキョウコ(ソノヤ・ミズノ)という日本人の女の子がいます。彼女は言葉がわからないので一切話さないんですが、それもまた人工的。無表情がミステリアスで、スラっとしていてモデルさんみたい、彼女は誰?と検索してみたら、日系イギリス人のバレリーナ兼モデルさんなんだそうです。なるほどダンスシーンにキレがあったわけだ。



※ネタバレします。




ケイレブはA.I.のエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)とガラス越しに対面するんですが、町山さんがポッドキャストで言っていたようにエヴァちゃんがとても自分好みの顔なんですね。なぜかというと、社長のネイサンがケイレブが打ち込んだ検索ワードや好きなポルノのジャンルなどのオンライン収集したデータをもとにして、エヴァちゃんが好みど真ん中になるように作り上げていたからなのです。エヴァは最初サイボーグっぽい半透明の素材とC-3POみたいなメタル素材で出来たボディをしていますが、テストを重ねるうちに人間味が出て来て、花柄のワンピースなんかも着て来ちゃったりするんですよ(確か髪型はモンチッチみたいなベリーショートだった)。

テスト中に施設の電源が落ちてしまうアクシデントがあります。電源が落ちるということはテストを記録しているカメラも落ちるということ。そのときだけはネイサンから監視されていません。そこでエヴァは「ネイサンを信じちゃダメ」とケイレヴに告げるのでした。ケイレブとエヴァの会話が完全にプライベートになる停電が何回かあるんですが、これがケイレブのエヴァに対する心理的な距離を縮めている演出になっていたと思います。テストじゃない、直接エヴァの心に触れる会話だと思ったケイレブなのでした。

しかし世の男っつーのは小花柄のワンピースに淡い色のカーディガンっていう、おそらく昭和からあるであろう愛され控えめ系フェミニンルックが本当に好きだよなー。しかもその小花柄が洗練されておらず妙に野暮ったくて、これまた昭和の家電についていたような感じの色使いなのである・・・。ケイレブはこういうファッションを好む、という情報を前提にしての衣装なんですが、冴えない男の凡庸な好み=昭和な小花柄ってのがなんかまたグっと来ちゃいますね。

アリシア嬢の演技なのですが、やっぱりさすがの仕上がり。試験者に好意を寄せるA.I.という変な設定なんですが、可愛らしい外見をしているけれどもやはり人肌ではない冷たさと、好意を寄せているようで実は彼女の腹の底が本当は見えない、何かがあるという感じを出していたと思います。でも、もうちょっと観客をケイレブに感情移入させた方が後の展開の驚きが大きかったかも。家族の話とかもしていましたが、もっとケイレブがエヴァのことを好きになるような決定的な何かがあったりするとよかったんじゃないかな〜と思いました。

エヴァにも警告されるし、テストを重ねるにつれケイレブは次第にネイサンとこの別荘はおかしい・・・と思って来るわけです。冷涼な山の中やモダンな別荘のカットが挿入され、得体の知れない感じがよく出ていました。超モダンだけど、なんか冷た〜い感じ。好意を寄せて来るエヴァのことが気になったケイレブは、ネイサンに「エヴァにセクシャリティーをプログラミングした?」と聞くのですが、ピシャリと否定されてしまいます。そしてやはり人工的だったハウスメイドのキョウコもA.I.でした(兼、ネイサンの愛人)。エヴァはある日、停電のさなかケイレブに「ここから私を出して」と頼みます。逃避行のお誘い、キター!ネイサンからは、エヴァの試験が終ったら彼女を初期化してまた新しいA.I.を作ると聞いていたので「ここにいたらエヴァが消えてしまう!」となったケイレブは一計を案じます。

ケイレブはネイサンを飲ませて酩酊させて、キーを盗みその間にシステムをいじります。保存された映像からはネイサンが今までにA.I.を数多く作っており、そのA.I.たちが施設内で発狂したりしている姿が収められていました(アジア人のA.I.もいたが、もしかしたらネイサンはアジア系フェチなのか)。ショックを受けたケイレブは自分ももしかしたらA.I.なのかも・・・と思い、自室で腕にナイフを入れるのでした。もちろん赤い血が滴り落ちるんですが、あまりにA.I.ばかりの別荘なので何もかもが信じられなくなってしまったわけです。この追い詰められた気持ちはよくわかります。自分がケイレブでも似た様なことをやっていたのではないかな・・・と思う訳です。

さていよいよ物語はクライマックス。実は停電のときに行われたケイレブとエヴァの会話は、停電の影響を受けないカメラで撮影されネイサンにモニターされていたのです(やはり)。二人で別荘から逃げようとしていたことはバレていたのでした。このテストの真の目的とは・・・ケイレブの好みに作られたエヴァが、ケイレブをたぶらかして自分を外に連れ出すようにそそのかすことが出来るのか、ということを判定するテストだったのでした。試験者として連れて来られたケイレブは、試験する側ではなくされる側の材料だったのです。

それを告げて高らかに笑うネイサンでしたが、エヴァが部屋から出て行く姿が監視カメラに写ります。どうやらケイレブはネイサンが酔っている時にロックの設定をいじっていたようです。逆上したネイサンはケイレブを殴り気絶させ、エヴァを止めに行きます。棒で彼女を殴り破壊しようとするネイサンですが、その刹那、彼の胸を貫く柳刃包丁が。後ろからキョウコが彼を刺したのです。エヴァとキョウコが協力して創造者のネイサンをやっつける事態になってしまったのです。強打されるA.I.に飛び散る血、このカオスにおおお・・・と震えてしまいます。キョウコは強打されて壊れてしまいますが、エヴァは片腕を失っただけでした。エヴァは歩みを進め、今まで作られたA.I.が保存されている部屋に行きます。

そこで他のA.I.から失った片腕を取り、人工皮膚を取って自分のボディーに貼付けていきます。皮膚をすっかり貼付けて髪が生えた様子は、どこからどう見ても人間の女の子。クローゼットから洋服を取り、靴を履き、エヴァは別荘から出ようとします。このときの格好が白いレースのぴったりとしたツーピース(アリシア嬢がイメガをやっているヴィトンかと思いきやカレン・ミレンのものだそう)に白いパンプスのピュアなオールホワイトルックでした。エヴァはただ単に外の世界に出たかっただけ・・・というのがこのホワイトルックで表現されているのかな、と思いました。

ネイサンは廊下で柳刃包丁を胸に刺したまま息絶え、意識が戻ったケイレブはロックされた部屋から出られずにドアを叩き続けています。しかしエヴァにはそんなこと関係ありません。別荘から出て、森の中を歩きヘリコプターが迎えに来る場所(その日はケイレブの最終日でお迎えのヘリがアレンジしてあったのだ)まで行きます。やって来たヘリに乗り、連なる山脈を見下ろすエヴァ。彼女はずっと憧れていた都会に行き、見たかった複雑に絡み合う高速道路を見ます。そして雑踏の中に消えて行くのでした・・・。

そっか、そういう終り方か・・・と少し期待を裏切られた感がありますが、それがまた良かったですね。途中まで、エヴァとケイレブで手に手を取り合って逃げるのか?などと甘いことを思ってましたが、エヴァはケイレブのことなんて爪の先程も気にかけていません。見事に置いてきぼり。だが、そこがいい。細かい設定は違いますが、なんとなく谷崎潤一郎の「痴人の愛」を思い出しました。男が若い女を庇護の元に置いていましたが、いつの間にか若い女が男の手に余るようになり、最後は彼を凌駕する存在になって手ひどく裏切る、というところまでのプロットが少し似ています。常に自分より下にある存在としていつも可愛がってやっていた女が、次第にその本性を表して形勢が逆転し、男は破滅へ追いやられる・・・(女にとっては自由の獲得)というやつです。ケイレブとエヴァ、ネイサンとエヴァ、キョウコの関係と重なります。「痴人の愛」の方は裏切られた後で女の提示する条件を飲んで「復縁」し、男が飼いならされた状態で暮らすというもっと恐ろしいエンディングでしたが・・・。

社会に紛れたエヴァはA.I.ということを隠して女優となり、そのたぐいまれな演技力でオスカー女優にまで上り詰めるのでした・・・なんちゃって。A.I.のほの暗い恐ろしさみたいなのがよく表現されていた映画だと思いました。エンディングのモノクロームの幾何学模様も美しかったです。

監督のアレックス・ガーランドはこれが監督デビュー作。色々な映画の脚本を手掛けていますが、もともとは小説家でなんとプリオ主演の「ザ・ビーチ」の原作を書いた人なんだそう。「ザ・ビーチ」も楽園の暗黒面みたいなものを鋭くえぐったグっとくる話でした。煩わしい世間を捨てて自由を求め楽園に行っても、結局そこでも俗世と同じ様な人間関係だったりヒエラルキーだったりがあって、真の自由は手に入らない・・・みたいな話だったと思います。映画ではプリオ主演、ティルダ・スウィントンが楽園のボスを演じていました。アレックス・ガーランドはこういうグっとくる作風系の人なのかな。次回作も楽しみです。


『スポットライト 世紀のスクープ』ペンは剣よりも強し、を地で行く実録もの






実話ベースの社会派骨太な映画ということで、楽しみにしていました。しかし・・・しかし・・・今回も英語が難しかった・・・。マネーショート」よりはいくらかマシでしたが、敏腕記者たちが話す高速英語の聞き取りは難易度が高かったです。「マネーショート」といや、「華麗なる大逆転」という邦題サブタイトルが付いていますが、本作も「世紀のスクープ」という邦題サブが付いています。前者の邦題サブには困惑させられましたが、本作の方は内容と非常に合ってましたね。

本作はアカデミー賞の作品賞と脚色賞を受賞。 マーク・ラファロとレイチェル・マクアダムスがそれぞれ助演男優、女優でノミネートされていました。この通り、アカデミー会員も太鼓判を押すハイクオリティな映画なんですよ。スクープ の内容は聖職者による組織的な少年性暴行事件という非常にヘビーなものなんですが、当時の被害者一人一人に会ってインタビューし、記事にしていくという地味な地味な仕事に密着。記事発表の朝までの取材を静かに追った映画です。

ボストン・グローブ紙のジャーナリストに扮するのは「バードマン」のマイケル・キートン、リーヴ・シュレイバー、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、ジョン・スラッテリー、ブライアン・ダーシー・ジェームズら。彼 らが「スポットライト」というコーナー担当で、チームを組んで取材にあたります。やっぱり実話ベースってことで「マネーショート」とどうしても比べてしまうんですが、やはり新聞記者たちのキャラ立ちに期待しちゃうじゃないですか。80年代はコウモリをモチーフにした自警団的ヒーローをしていた叩き上げの敏腕デスクがマイケル・キートン、手から極太の針を出す、クマのように獰猛になるミュータントのリーヴ・シュレイバー(同じ能力を持つ弟のヒュー・ジャックマンとは決別)、いつもは温厚だけどひとたび怒らせると緑の巨大怪物になって暴れ回るマーク・ラファロ、名探偵を翻弄する手練手管にたけた女スパイのレイチェル・マクアダムス(マーク・ラファロに想いを寄せられていたりする)・・・みたいなキャラ立ちを!(中の人過去の出演作が色々と混じってますが)

でも、そんなキャラ立ちないんですよ(てか当たり前)。みんな市井の普通の人なんですね。いかにもな劇映画っぽくわかりやすくしていないところがまたいいですね。制作側の真摯な姿勢が感じ取れますよ。フィクションの中でよくあるマスコミっぽいお約束描写(原稿書いてる横には吸い殻が山盛りになった灰皿、食べ散らかした中華料理のテイクアウト、会社のソファーで寝る、家に帰ってなくて襟が汚れていくシャツ)みたいなものもほぼなかったような気がします。

このメンツの中でマーク・ラファロは若手っぽいんですけど、年齢調べたら48歳なんですね!若々しく見えるので実年齢は意外でした。「フォックスキャッチャー」の助演も記憶に新しいですが、彼が脇にいると非常に映画が安定するような気がします。ガッチリとした助演。マーク・ラファロは主演よりも脇で輝く俳優さんなのかな。彼が出てる映画のクオリティーもそこまで「あれれ?」ってのはない気がしますし。取材中も彼の誠実な感じの人柄が出ていて、なんか好印象でした。紅一点のレイチェル・マクアダムスは敬虔なカトリッ ク教徒のおばあちゃんがいるんですが、取材を進めるごとに発覚していくカトリック神父たちの闇とおばあちゃんとの間で悩むんですね。これは辛い!宗教って、一体何なんだろう・・・とまで思ってしまいますね。

清廉潔白さが求められる職業の人が立場の弱い子供を狙って、普段から性的に虐待したり暴行したりしていたのを隠蔽していた・・・というのは、韓国映画の「トガニ」を思い出しました。あの映画も実話ベースでしたが、実際に子供たちが虐待されるシーンをホラー映画のように撮っていて胸が詰まるように恐ろしい映画でした。本作はそのようなシーンはないのですが、大人になった被害少年たちの目の死にっぷりとかが被害の深刻さを物語っているような感じでしたね。

取材の内容が内容だけに、被害者から話を聞くのは困難を極めるのだろう・・・と思ったんだけど、そこまで大変という描写はなかったように感じます。もちろん途中で泣き出したりする人もいるんですが。もしこれが日本だったら、被害者に取材するのはもっと大変なんじゃないかな・・・と思いました。取材内容が固まって来た頃に9月11日のテロが発生。アメリカ国内は色々なことが自粛ムードになり、スポットライトチームの準備していた記事も「こんな時にそんな記事誰が読みたがるんだ」ということで影響を受けてしまうのでした。打ち拉がれた時にすがりたいのは神様、でもその神様の代理人が・・・というパラドックス!

結局、ほとぼりが冷めた頃に記事を発表することになるのですが、ここの描写が静かな興奮を伝えていてよかったです。もの凄い勢いで回転する印刷所の巨大プリンター、紐で束ねられた新聞がトラックで運ばれて配達されて行きます。なんでもない早朝の風景ですが、汗と血と努力の結晶がついに世に出るのです。そして朝のオフィス、スポットライト班の部屋で鳴る電話。取ってみると記 事を読んだ読者からでした。そしてまた一本、また一本と鳴る電話・・・。それは読者だったり同じように被害を受けた人だったりの反応でした。記事は大きな 反響を呼び、隠蔽されていた忌むべき事件が世の中の人の知る所となったのです。ラストで事件が起きた場所のリストが表示されますが、もう一カ所づつ読めな いくらい多くの場所で起きていたのです・・・。恥ずかしながら、こんな事件が起きていたなんてこの映画を観るまで全然知りませんでしたよ・・・。

これは字幕か吹き替えでもう一度おさらいしなくては、と思いましたね。最近では報道の姿が問われたりしていますが、こんな風に真摯に取材を重ねて真実を伝えている人たちもいるんだ、世の中捨てたもんじゃないなと思わされました。マスコミでお仕事を頑張るレイチェル・マクアダムスといえば「恋とニュースのつくり方」というBSOL映画もありますので、キュートな彼女を見たい人はこちらも是非ご覧下さい。



『ロブスター』私はオランウータン希望




奇妙な味わいを残す映画、ロブスター。45日以内にパートナーを見つけないと動物に変えられてしまうという世界で、さあどうする・・・?というお話です。もう本当に鬼の様な設定ですが・・・。設定もさることながら、出演者が非常に魅力的。主演にコリン・ファレル(昔は狂犬ぽいイメージあったけど、すっかりお腹の出たオッサンに)、彼と恋に落ちる女にレイチェル・ワイズ、独身者を組織しているゲリラのリーダーにレア・セドゥ、なんとか相手を見つけようとする男にベン・ウィショーたん。レイチェル・ワイズにレア・セドゥにベン・ウィショー、みんなダニエル・クレイグの関係者/共演者じゃないですか。

コリン・ファレルは嫁と別れて、シングルの収容所みたいなところに入所させられます。収容所といってもホテルのような個室があって、一応普通の生活が出来る場所(しかしマスターベーション禁止!ホテルのメイドによるオーガズムに至らない程度の性的刺激受容はなんと強制!)。ここで45日以内に相手を見つけないと動物に変えられてしまうのです。でも施設からの脱走者を捕まえることができれば、それに応じて日数が加算されるそうです。いいところは、変えられる動物は本人のリクエストを受け付けてくれるところ。そこでコリン・ファレルはロブスターを選択するのでした。自分だったらどうする・・・?一日中寝てても怒られない猫か、自由に空を飛び回れる鳥か、それとも人間から比較的スムーズに移行出来そうなオランウータンか・・・?・・・あれ、結構夢が広がる!(笑)




※以下ネタバレします。





ということで、コリン・ファレルは多数の男女が収容されたホテルで集団お見合いをさせられます。男性はシャツとズボン、女性は花柄ワンピースという同じ服を着せられています。服装の自由がない!と思うか、制服があってむしろ楽と思うかは見る人次第でしょう。独身者たちは時折、セミナールームのようなところに集められて「パートナーがいないとどうなるか」という寸劇みたいなものを見せられます。一人だと、食事中喉に何かつまらせても助けてくれる人がいない。女性が一人だと犯罪に巻き込まれたりする。でもパートナーさえいればこんな事態にはなりません。というのがホテル従業員のシュールな棒演技でプレゼンされます。

ベン・ウィショーたんは、鼻血をよく出す若いオナゴ(ジェシカ・バーデン)に目を付け、自らも作為的に鼻血を出し彼女の共感をゲット、カップル成立の運びとなるのでした。カップルが成立すると夜のダンスパーティーでお祝いされ出所することになります(一応、仮出所的な感じで本当にうまく行くか観察するモニタリング期間がある)。鼻血を出すオナゴといつも一緒にいた彼女の友達が、このことでケンカ別れするシーンがいいですね。カップル成立した者と、そうでない者。鼻血の子が友達に「あなたにも早くパートナーが見つかりますように」みたいなカードをあげるんですが、それを読んだ友達が鼻血の子を殴るんですよ(気持ちはわかるぞ)。結局パートナーが見つからなかった友達はヤギだか羊だかに変えられてしまうんです。

半強制的な集団お見合い、パートナー不在による不都合を説く世間、自らを偽ってのパートナー獲得戦略、結果が出た者とそうでない者との決裂、そしてその中に入れずにただ 見ているコリン・ファレル・・・。こういう現象って、どこでも起こりえるんだなあ・・・と思ったのでした。45日以内に、というのはシングルたちに対する世間の外圧がルール化されたものにも見えなくもないです。そもそも恋愛というものは意識的にしようと思ってするものではないと思っているので、こんなセットアップされた環境で「さあ相手を探して下さい」と言われるのは非常にシンドイことだなあ・・・と息苦しさを感じ、心の中に寒風がびゅうびゅうと吹きすさぶのです。恋愛と相手探しが=でない人もいるかとは思うのですが。

さてコリン・ファレルも積極的ではないものの、一人の変わった冷たい女性(アンゲリキ・パプリア)とカップル成立するのですが、トラブルになり彼女に愛犬(元々はコリン・ファレルお兄さんだったが、パートナーが見つからず犬に変えられてしまったのだった)を殺されてしまいます。そしてコリン・ファレルはホテルメイド(アリアーヌ・ラベド)に助けられ、森の中に逃げ込むのでした。その森では元は人間だった動物と、施設から逃げ出したシングルによって構成されたゲリラ部隊が暮らしていました。ここでやっとナレーターをしていたレイチェル・ワイズが登場。レイチェル・ワイズ、最近では奇跡の46歳と言われたりしてますが、本当に知的美人ですね。彼女のイギリス英語もキレが良くってわかりやすい。こんな風に話してみたいというお手本です。

このゲリラを仕切っているのがレア・セドゥ。彼女なんかボンドガールなので、こんなところにいる人ではないんじゃないかと思うんですけども・・・普通に素敵なパートナーいるでしょ?とも思うんですが、厳しく張りつめた感じもあって納得の感じに仕上がっています。非常に統制の取れたゲリラ集団で、恋愛は禁止。しかし、コリン・ファレルはメンバーのレイチェル・ワイズと恋に落ちてしまうのでした。うーん、禁止されたところでは相手が見つかっちゃうってのも・・・これは人生じゃないかと思いますよ。だから恋愛ってのは強制されるものではないんですよ。誰か名のある人が言ってるじゃないですか。「恋とはするものではなく、落ちるものである」と。

恋に落ちた二人は恐ろしいレア・セドゥや周囲にバレないように二人だけのジェスチャーを作り上げ連絡をします。社内恋愛で秘密のサインを決めておいて「今夜会える?」というのを連絡しあうサラリーマンとOLみたい・・・(笑)。 でもこういう禁止されてる中でってのがイイんだろうなあ、いや絶対イイに違いない、もうびんびんでしょ、びんびん!びんびん!と社内恋愛の経験がない私は大変に羨ましいのでした。

ゲリラはずっと森にいる訳ではなく、ビジネススーツを着て街へ行くというミッションもあります。レア・セドゥ隊長率いる出張風の一団は街で用を足したり、レア隊長の両親の家にお呼ばれしたりします。そこでフェイクの恋人同士という設定を与えられたコリン・ファレルとレイチェル・ワイズ。もう好きなだけイチャイチャするのですが、あまりにイチャイチャが過ぎるためにレア隊長から「オマエら、いい加減にしろや!」と文字通りベリっと引き離されてしまうのでした(笑)。これは現実の話ですが「007 スペクター」のプレミアでの写真を思い出してしまいましたね。夫ダニエル・クレイグを後ろからハグして、ピッタリと張り付いている笑顔のレイチェル・ワイズを撮った写真があるのですが、奥に仏頂面したレア・セドゥが写っているんですよ。レアの表情が非常に白けていてニコニコのレイチェル・ワイズとのコントラストがなんか面白かったです。写真はコチラ。

ゲリラなんですが、コリン・ファレルを助けてくれたメイドさんが実はレア隊長と繋がっていたんですね。ある夜レア隊長率いるゲリラはシングル収容所となっているホテルを襲撃します。ホテル支配人(オリヴィア・コールマン)とその夫の寝込みを襲います。銃で脅し、夫に「妻を殺せばお前だけは助けてやる」とピストルを渡すのでした。究極の選択。そしてなんと夫は妻に向かって引き金を引くんですよ。でも空砲だったんですね。呆然とする支配人夫婦。勝ち誇ったように笑うレア隊長。これはある意味死ぬよりも恐ろしいですね〜。世間で素晴らしいものと喧伝されている結婚とモノガミーの欺瞞を暴く!って感じでなんかグっと来てしまいました。

そしてゲリラに参加したコリン・ファレルは、小さな娘を与えられて家族化しながらベン・ウィショーたんと過ごしている鼻血の女の子に「こいつの鼻血、フェイクだから」と告げるのでした。あーあ、これもやっちゃった(笑)。鼻血の女の子は「えっ!」と心底驚いていた様子なので、たぶんこれから修羅場展開という感じでした。この映画の中ではあまり明確に「結婚」という定義は出て来ないのですが、もうかなり無理が来ているこの制度の存続やそれを妄信している人たちのことを風刺しながら、自然恋愛上げしているのかなという感じもするんですね。

コリン・ファレルとレイチェル・ワイズが愛し合っており、二人してゲリラから逃げようしていることを突き止めたレア隊長は、レイチェルを治療の為と騙して街の眼科医に連れて行きます。しかし、恐ろしいことにそれは全盲になる手術だったのです。視力を失ったレイチェルを助ける為に、コリン・ファレルはレア隊長をやっつけて、二人は森から逃げ出します。まったく見えなくなった彼女を助けながら、森を抜けて道路を歩き、街までやって来ました。ダイナーのようなところで、向かい合って座る二人。コリン・ファレルはおもむろに洗面所に行き、自らの目をつぶすのでした。

愛した人が全盲なので自分も同じようにするという・・・谷崎潤一郎の「春琴抄」みたいですね。こういう終り方なのか・・・と少しゾっとしました。今まで抑えた感じのコメディーっぽかったに、最後はマジかよ・・・と言う。型にはまった欺瞞多き結婚やカップリングを見せられて「こんなのやだな〜」と思わされる。やっぱり真実の愛というものに生きてみたい。でもね、真実の愛ってものは純度が高過ぎる故にこんな狂気に走ってしまうものなんですよ・・・あなたにその覚悟がありますか?と言われた様な感じがします。そのどちらにも振り切ることが出来ない私の様な人間は、その間で右往左往するしかないのでした。

監督兼脚本はギリシャ人のヨルゴス・アンティモスさん。これは過去作チェックやで・・・と思いフィルモグラフィーをチェックしましたが、実はこの作品が初の英語劇なんですね。帰省したときにチェックするボックス入りですな。ということで、私は強制されてパートナーを見つけることはできないし、かといって硬派にゲリラ活動をするガッツもないので、確実に動物行きだと思います・・・。動物はやっぱりオランウータンになることにします。オランウータンに変えられた後は、出来ればボルネオの森に放ってやって下さい。あたたかい熱帯雨林の中で、バナナやマンゴーを食べながらのんびり暮らしたいです。



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そうなったらなったで、マレーシア移住も出来るし結構幸せかも・・・? にしても高いぬいぐるみ。

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