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『リリーのすべて』エディ・レッドメイン 北島マヤ説



                                

DANISH GIRL,THE:MOVIE TIE-IN(B) [ DAVID EBERSHO…

DANISH GIRL,THE:MOVIE TIE-IN(B) [ DAVID EBERSHO…
価格:2,488円(税込、送料込)



これまでに何本か今年のアカデミー賞関連の映画を観ていますが、主演男優部門では今のところ本作が一番好きです。筆者の居住国では既に公開されており鑑賞済みだったのですが、先に日本公開される映画の感想を優先していたらアップが少し遅れてしまいました。邦題の「リリーのすべて」は恐らく岩井俊二監督の「リリィ・シュシュのすべて」をイメージしてつけられているのかな?

いや~しかし映画の1/3を過ぎた頃から、とめどなく涙が溢れて仕方がありませんでした。一気に感情が爆発するという号泣ではなく、主人公たちの切ない心情に触れて気が付いたら涙が流れているといった感じ。主演男優賞と助演女優賞にノミネートされていますが、とにかく二人の演技が素晴らしいです。昨年「博士と彼女のセオリー」で主演男優賞に輝いたエディ・レッドメインですが、今回も実在の人物に名演で命を吹き込んでいます。そしてギャビーこと助演のアリシア・ヴィキャンデルが本当にいい演技をしていたと思います。私も妻なので「夫がこうなったら、ここまで寄り添うことが出来るだのろうか・・・」と考えさせられました。この映画の素晴らしさを伝えることが出来るかどうかはわかりませんが、感想を書いてみます。







※ネタバレ第一段階(予告編程度)




舞台は20年代のデンマーク、コペンハーゲン。画家同士の夫婦、アイナー(エディ・レッドメイン)とゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は仲睦まじく暮らしていました。夫アイナーは既に知名度のある画家で、樹をモチーフにした作品を発表したりしています。妻のゲルダは美人画を描いていますが、アイナー程成功してはいません。あるとき夫婦の友人でゲルダのモデルをしていたバレリーナのウラ(アンバー・ハード)が来られず、ゲルダはアイナーに女装をさせてモデルとして使います。アイナーには女装が初めての経験でしたが、なぜかずっと探し求めていた本当の自分を発見したような気分になったのでした。遅れてやって来たウラは女装をしたアイナーに「凄く綺麗よ!アナタの名前はリリーね」と言ってユリの花束を渡すのでした。

その後、女装したアイナーを描いたゲルダの絵が評判を呼び、ゲルダは積極的にアイナーへ女装をすすめるようになります。女装したアイナーが実に美しいんですね。確かにエディ・レッドメインは線が細くて女性的なので20年代のドレスや真紅の口紅がとても似合います。ビジュアルだけじゃなくて、楚々としたたたずまいや、物腰がとってもフェミニン。普通の女よりも綺麗で女らしいのです。女装したアイナー(リリーと名乗りアイナーの従姉妹という設定)と連れ立ってパーティーへ行くゲルダ。数多の女性の中でもリリーの美しさは際立っています。そんなリリーを見初めたのがヘンリク(ベン・ウィショー)です。彼はリリーに恋をしてしまったのでした。

英国男子のエディ・レッドメインとベン・ウィショーが並んで座っているだけで、なんかテンションあがる!007シリーズでは乙女系ギーク男子 Qなベン・ウィショーですが、今回はちょっと男っぽい感じで奥手なリリーにグイグイと迫って来る役です。こういうのもええのう・・・と渋茶を啜りながら目を細める筆者。すっかり女になりきっているエディ・レッドメインも凄いけど、乙女系から普通の男子と印象がガラっと違うベン・ウィショーもなかなかのものです。しかしゲルダがヘンリクにキスされているリリーを見てしまってから、事態は次第にただの女装ごっこで留まらなくなっていくのでした。

実は、初めて女装をしたときからアイナーは違和感に気付いていたのです。それは「あれ、自分はそもそもこっちの方だったのでは・・・」という違和感。彼がドレスやストッキングにそっと手を触れたときの心のトキメキがとても良く伝わって来るんですね。筆者が小さい女の子だった頃、レースとかフリルとかリボンとかフェミニンな服のディティールに憧れていたときの視線と重なるんですよ。同時に男と女の間で揺れ動くアイナーのとまどいも伝わって来ます。アイナーは鏡の前に裸で立ち、男性器を股の間に挟んでみたりするのでした(これで「女」という宴会芸がありますが・・・)。しかし女装を重ねるごとに自身の中にある女性が覚醒し、自主的に女装をするようになっていくわけです。ひらひらと蝶々のような手の動きも本当に美しくて、前述したようにホーキング博士のときと並ぶに劣らない名演技です。

姿と心がすっかり女性のリリーになってしまった夫、アイナー。次第にゲルダの様子も変わって来ます。アリシア・ヴィキャンデルはギャビー(「コードネーム U.N.C.L.E.」)で初めましてだったんですが、ただの可愛らしい若手女優じゃなくて、すごく演技派なんだということが今回よくわかりました。チャキチャキしてて男前な女性なんですが、そんな彼女が目だけで内包された悲しみや痛みを表現しているのが素晴らしいのです。



※ネタバレ第二段階(ラストまで)



愛した男の存在が次第に消えて行くのを目の当たりにして彼女も呆然としているんですよ。そりゃそうですよね。夫が姿だけではなく心もリリーという名の別人になっていくのですから。体調不良を訴えたアイナーは医者に行き、放射線治療を受けます。でも身体には悪いところが見つからず、主治医からは性倒錯者と診断され専門の病院での治療を半ば強制されてしまうのでした。時を同じくしてリリーを描いた絵が評価され、ゲルダはパリの画壇から招待を受けます。ゲルダはアイナーを連れてパリへ引っ越すのでした。ゲルダは否定的な病院の治療に疑問を持ち、アイナーのことを守ろうとしていたんですね。性別が男から女になったというだけで愛せなくなるというのは、その人間の根本を愛していないということでもあるのではなかろうか・・・と思うんですね。ゲルダがアイナー/リリーに注ぐのは性別を超越した高次元の愛なんですよ。ここも心を打たれるのでした。

可愛らしい港町のコペンハーゲンから花の都パリへ。全編を通じて登場する建築や家具や衣装がクラシカル・ヨーロッパで本当に美しいですな(ゲルダが着ていた深緑の半袖ワンピースが欲しい)。ゲルダはパリにいるアイナーの旧友ハンス(マティアス・スーナールツ)に連絡を取り、アイナーのアイデンティティを取り戻す助けを頼みます。しかし、リリーとしての存在が日に日に強くなって行きます。パリののぞき部屋を訪れたアイナーが、ヌードの女性の仕草を真似するシーンが切なく美しい!しかしやはり自分には男性器が付いていることを悟るシーンが悲しいです。悩むアイナー、そしてそれを受け止めようとするゲルダ、キチンと締め忘れた蛇口のように筆者の目から涙が流れます。この頃から二人の間に夫婦生活はなくなり、仲の良い姉妹のような関係性になっていくのでした。

しかしやっぱりゲルダは悩み混乱していました。ほぼリリーの姿で暮らし始めたアイナーに「夫と話したい。彼を出して」と言ってもリリーは悲しく首を降るばかり。男と女、二つのジェンダーの中で揺れるアイナーと、自分に心を寄せてくれている優しいハンスに頼りたいけども出来ないというゲルダ。二人とも自分自身が引き裂かれそうになっています。アイナーはパリでもいくつかの医者にかかりますが、どれも求めていたものとは違うものでした。落ち込むアイナーにゲルダはウラから紹介されたウォーネクロス医師(セバスチャン・コッホ)と会ってみないかと持ちかけます。医師との面会で「自分は女性だと思うんです」と言うアイナーに「私もそう思います」と同意するゲルダ。外科的に性転換手術が可能だと言うことがわかり、涙するアイナーなのでした。ゲルダもついにアイナー/リリーのことを受け入れたのです。リリーの苦しみを解いてあげたい・・・でも自分が愛したアイナーがいなくなってしまう・・・しかし、愛するアイナー/リリーが望む選択をサポートすることにしたゲルダ。この複雑極まりない感情をアリシア・ヴィキャンデルは実に素晴らしい演技で表現しています。

アイナーは手術を受けにドイツへと旅立ちます。いつか子供を産める身体になることを願って・・・。そして手術の第一段階である男性器を取る手術を行いました。手術は成功し、リリーとゲルダはコペンハーゲンへ帰ります。リリーはホルモン剤を飲みながら、デパートガールの仕事を始めました。ヘンリクとも再会します(実はヘンリクはホモセクシャルで、リリーがアイナーの女装した姿であることを前から知っていたのです)。女性としての人生を歩み始めたリリーは、ゲルダにもアイナーのことを忘れて新しい人生を始めるように言うのでした。それは・・・ちょっと、ひどいんじゃないの?と思いましたが・・・。

リリーはまだ次の手術に耐える身体ではないというゲルダの反対を押し切って、第二段階である女性器形成手術に挑みます。リリーに付き添うゲルダ。ハンスも二人を支える為にパリからやって来ました。ゲルダがもう本当に出来た嫁なんですよ・・・。だって夫が急に「女になる!」って言い出したのに、女になるまで献身的に支えているんですから。これは脚本や演出や演技がよくないと「こんな出来すぎた嫁おかしくね?嫁のが変人に見えるわ!」というカタストロフになりかねないと思うんですよね。しかしゲルダが思い悩みながらもリリーに寄り添っていく過程が丁寧に描かれていたので、納得の仕上がりです。母親や姉の様な包容力でリリーを包んでくれるゲルダ、本当にすごい女性です。第二段階の手術はより複雑なものだったので、手術後にリリーは亡くなってしまうのでした。

完全な女性になることが出来たけれど、女性としての人生を謳歌することは出来ませんでした。恐らくそれでもリリーは満足だったのではないかと思います。リリーがこの世を去った後に、ゲルダとハンスはアイナーの生家を訪ねます。そこには画家だったアイナーが描いたものとまったく同じ形の樹がありました。突風に飛ばされるゲルダのスカーフ。そのスカーフはゲルダとリリーが一緒に使っていた思い出の品。風の中で遊ぶようにひらひらと揺れるスカーフを見て、ゲルダはリリーの面影を思い出し目に涙をためながらも微笑むのでした。これでEND。

この映画の素晴らしい部分は、愛する者を最後まで守って支えていくことが丁寧に描かれていることです。そこに男だとか女だとかは関係ない。関係ないんですよ!そこが胸を打つんです。原作小説があるそうなんですが、映画は小説通りではなく映画向けのアレンジが加えられているそう。原作小説自体も実在のアイナーとゲルダ夫婦をモチーフにしてはいますが事実とは違う部分もあるそうです。小説も読んでみたいですね。

ゲルダが実際に描いたリリーの絵を見ましたが、本当にどれも妖艶でした。肌の露出などはしていないのに、な〜んかエロティックなんですよね。映画の中でリリーになったエディ・レッドメインは、まるでクリムトの絵の恍惚とした女性のようで美しかったです。主演男優賞にノミネートは納得の演技。あまりにも役になりきっていて、もしかしてエディ・レッドメインって北島マヤ?と思ってしまいました。個人的には受賞してもおかしくなさそうだけど、二年連続ってのはちょっとないかなあ〜とも思います。やはりプリオに取らせてあげたいというのが正直なところです。

そして助演女優賞のアリシア・ヴィキャンデルは町山さんも仰っていたように本命視されているみたいですね。恥ずかしながら筆者はギャビーちゃんで初めて彼女のことを知ったのですが、他にも彼女出演の面白そうな作品がいっぱいで鑑賞するのが楽しみです。ヴィトンのイメガだし、おファスの彼女だし(共演がきっかけらしい)ってことで、要注目ですな。おファスは「それでも夜は明ける」のとき、会場にはおかんをエスコートしていましたが、今年はおかん&アリシアたんと一緒にやってくるんでしょうか。アリシアたんが受賞したらおファスとキスするんだろうな、衣装はやっぱヴィトンなのかな・・・と今から想像しています。


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『マネー・ショート 華麗なる大逆転』四俳優が活躍するケイパームービー風のようですが・・・

                           



色々とアカデミー賞に絡んでいるので鑑賞しました。日本版ポスター(四俳優が並んで歩いているやつ)や邦題やキャッチコピーを見てる限りでは金融界を舞台にしたケイパームービーのように見えます。アウトロー四人が集まって、それぞれの得意分野を活かしながらデカイ山を狙う!みたいな・・・。だって「華麗なる大逆転」なんだし。それに、クリスチャン・ベールつながりで「アメリカン・ハッスル」、ブラピつながりで「オーシャンズ」シリーズを連想させるではないですか。それでは金融業界のアウトロー四人のキャラクターを一人一人見て行きましょう(以下は私の想像です)。

まずは助演男優賞候補になっているクリスチャン・ベール。以前はゴッサムシティという犯罪多発都市で一人自警団をしていたが、現在はギーグな数字オタクで、膨大な量のデータを分析し今後の先行きを見通すブレーン。そして狂乱のバブル経済を生き抜いた、生え抜きの営業部長にスティーブ・カ レル。歯に衣着せぬ変人だがベテランならではの洞察力を持ち、データだけではわからない人情もカバー。そして彼の部下で営業部のエース社員がライアン・ゴズリング。甘いマスクで男女問わず顧客を悩殺。某英国スパイ顔負けに仕事と女遊びを軽々と両立させる憎い奴。最後に伝説の金融マン、重鎮のブラッド・ピット。生き馬の目を抜く金融界で、仙人のような達観した視線を持ち続け現在の地位を確立した男。キャラの濃いメンバーを束ねるチームのまとめ役。この四人がそれぞれの得意技を駆使して、大胆な一攫千金を狙う!(以上は私の想像です

でも全然そんな映画じゃなかったんですね。超勘違いでした・・・。俳優たち、チーム組みません。スティーブ・カレルとライアン・ゴズリングは繋がりが あるけど、後の二人は全然メインどころと繋がりません。

そして・・・映画の内容が、ほとんどわからなかった!!!町山さんの紹介をたまむすびポッドキャストで聴いていたにもかかわらず、なんのことやらサッパリ。私はものすごい金融オンチなんですよ・・・。恥ずかしいことに未だに証券ってなんだかよくわらかないし、トレーダーって何をトレードしてるんだか・・・ってくらいで。マーゴット・ロビー(本人役。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」前提での出演か)や有名シェフが私の様な人にもわかりや〜すく金融商品の説明をしてくれるから、そこではわかった気になるんだけどドラマ自体が全然わからない。そして二時間を越える長尺で、まったくわからない分野についての高速英語、かなりの苦行でした。ということでまともな感想文が書けません・・・(恥)。ということで思い出話でも。

まあ所詮、リーマンショックとは遠いメリケンの話。ワシには関係ないのじゃ・・・てことでスルーしようと思ったのですが、関係ありましたよ!筆者はリーマンショック時、東京にある某企業に勤めていたのですが、リーマンショックを理由に全員一律5万円減給。筆者が勤めていた某企業は金融業でも製造業でもなく、ましてやアメリカ系外資企業でもなく、私のいた部門の業績も業界内では一人勝ち状態で、家のローンを組む時に社名を一言口に出せば、営業マンがチヤホヤモードに一変するような「優良」企業だったのですが・・・。内実はかなりブラックに近い企業であるというのが社員の認識でした。

5マンですよ、5マン!家族を養っていたら即死するような減給額ですよコレ・・・。元々がたくさん貰ってたんじゃないの?と思うかもしれませんが、会社規模と知名度と年齢にしたら普通かやや少ない方だったと思います。その後、同業他社に勤める知人から聞いたところ、リーマンショックを機に業績アップした会社もあったらしい。突然の減給にリーマンショックがこの上ない強引な理由付けとして使われたのは明らかでした。・・・と、過去の恨み節を思い出し、苦々しく思ったのでした。

しかしこの四人は最後に大逆転するわけなんですが、それが全然スカッとしないように描かれていました。そこがリアルっちゃあリアルなのかな。筆者が印象に残ったのが劇中に登場したチャラいアラサーくらいの二人組ですよ。金髪と黒髪の金融マンで、住宅ローンを売っているんですが、返済能力のなさそうな人にもバンバン売って、ウェーイ!!!と調子に乗ってるんですね。高そうな服に高そうな時計。インスタントな全能感により思い上がった表情がイラっとします。

ところがリーマンショック後、失業した二人が冴えない表情で就職フェアみたいな会場にいるカットが入ります。ブースにはIKEAやKFCなどの企業名が。ここが童話「アリとキリギリス」みたいでグっときました。まあ彼らもリーマンショックの広義の犠牲者ということでもあるんですが・・・。こうして考えるとリーマンショックは様々な人の人生を狂わせたんでしょうね。太平洋を跨いだ極東にある国に住む一介の平社員であった私の人生でさえも例外ではなかったのです(しみじみ)。



『キャロル』とにかく男前なケイト・ブランシェット氏


                                       

CAROL:MOVIE TIE-IN(B) [ PATRICIA HIGHSMITH ]
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アカデミー主演女優賞と助演女優賞にノミネートされています。調べたところ筆者の居住国で公開されるのは4月・・・。日本ではもう公開されているのに、ホワーイ、なぜに?ほとんどの映画が日本よりも早く観られるのに・・・とガッカリしていました。しかし所用でハンガリーのブダペストに行くことになり調べてみたところ、こちらでは日本と同じタイミングで公開されているではありませんか。ということで中欧をまたにかけた映画鑑賞です。

女優2人は確かにノミネートに値する演技。彼女たちを彩るセット、衣装、美術そして切ない旋律の音楽と、どれも美しくて悲恋を引き立てています。でもそれ以外ではいたって普通のメロドラマかな・・・といったところ。作品賞と監督賞のノミネートがないのがなんとな~く理解できるような気がしますね。個人的に同性間の恋愛を描いた作品っていうと「ブロークバック・マウンテン」や「アデル、ブルーは熱い色」などが思い浮かびますが、それらが共通して持つ「熱量」が本作には欠けているように思います。人を好きになっちゃって、どうしようもなく好きになっちゃって、でも障害があって上手く行かなくって、でもそれで諦められないほどに好きで、もめて、泣いて、わめいて、それでもどうしようもなく好きで・・・みたいな熱さが本作ではほとんど感じられなかったのが残念。50年代の話だから時代的に同性愛はタブー視されてるし、片方は離婚するってことで子供の親権争いで同性愛が不利になったりしているし、恋を阻むドラマの要素はいっぱいあるんですけれど。もしかしたらあえて抑えた演出にしているのかもしれませんが、個人的にはちょっと物足りなさを感じました。

しかしながら、同性愛が現在ほどオープンでなかった時代という枠の中でこそ成立している悲恋のドラマでもあります。ニューヨークの高級デパートで働くテレーズ(ルーニー・マーラー)は、不幸せな有閑マダムのキャロル(ケイト・ブランシェット)に一目惚れし、彼女がカウンターに忘れたグローブ(もしかして、キャロルは故意に置き忘れた?)を届けます。それがきっかけとなり二人は親しく付き合うように。時代背景とキャロルが夫と娘の親権でモメているという障害さえなければ、普通に素敵なカップルの馴初めなんです。

ゴージャスな毛皮をまとった明らかに誘い受けなマダム、ケイト・ブランシェットが男前!ハスキーな声が男前!タバコを吸うしぐさが男前!シュッとした瞳で訴える演技が男前!ピンヒール履いてるのに娘を楽々抱っこ出来るのが男前!裸になった広い背中が男前!と、そこらのチャラい男優なんかよりもずっとダンディーで男前なんですよ。そんなキャロルに憧れる若いデパガのテレーズは大きな瞳が可憐なお嬢さん。短く切った前髪がオードリー・ヘプバーンを彷佛とさせます。テレーズはチェコ系なんですが「テレザ」じゃなくて「テレーズ」なのがいいですね。キャロルが言ったように、テレーズと呼んだ方がずっとエレガントです。ツーピースにピンヒールの靴を合わせた有閑マダムなキャロルのファッションと、シンプルなシャツやニットで可憐 な女学生のようなテレーズのファッションが対照的でした。

キャロルと夫ハージ(カイル・チャンドラー)の離婚話はかなりドロドロしていて探偵を使うところまで行くんですが、そうなるまでにひたすら「別れたくない」と懇願する夫。彼は彼で可哀相な人でしたね。夫がなぜそこまでキャロルにこだわるのかってのもイマイチよく伝わりませんでしたが。というかキャロルはどう見ても宝塚の男役風なタチの女性ですよね。

筆者が個人的に「わかるなあ」と思ったのが、テレーズが初めてキャロルの運転する車に乗るシーン。憧れの人が運転する車(密室)で二人きり。カメラがテレーズの視線となり、嬉しさと緊張で色々なところに視線が飛びます。車の速度計のあたりだったり、窓から見える商店だったり・・・。その画面もピントが合ってないんですよ。「ああ、片思いしてるときってこんな感じに視線が泳いじゃうよなあ・・・」と既視感がありました。


※以下ネタバレします。



キャロルは娘のためにテレーズとの恋愛を諦めて去り、精神科に通って同性愛の治療(当時は病気だと思われていた!)を受けるのですが、弁護士や夫の前で自分を偽ることが出来ず、夫に親権を譲ることになります(監視の元に定期的な娘との面会はあり)。そして独り身になった彼女はテレーズに再会を願う手紙を書くのでした。一方キャロルと別れたテレーズは好きだった写真関係の仕事に就いていました。キャロルからの手紙に心揺れるテレーズ。映画冒頭のシーン、レストランで向かい合う二人にテレーズの同僚が声をかけるシーンに戻ります。ああ、このときにキャロルとテレーズの雰囲気がなんだか変だったのはこういうことだったのか・・・ということですね。

ヨリを戻す提案をするのも、初めて交際を開始する時と同じぐらいドキドキするものです。しかし、相手との付き合いがどんなものかを知っているので、ドキドキの根がもっと深く張っている・・・みたいな感じでしょうか。キャロルは同棲を持ちかけるのですが、テレーズはすぐにイエスと言えません。数日後、キャロルとの待ち合わせ場所に現れたテレーズ。人でいっぱいのレストランの中、テーブルに付いているキャロルを見つけます。そしてテレーズに気が付くキャロル。これで終わりです。

その後を予感させるカッコイイ終り方なんだけど、やっぱりキャロルとテレーズの愛に見苦しいくらいの「熱量」がないから、「ふーん、そう。まあ、よかったじゃん」と言った程度ですよ。やっぱりお互い見苦しいくらいにグチャグチャになって泣いたり叫んだりするシーンが少なかったからかな〜。前述した二本の同性愛映画では、あんなに入り込むことが出来たのに・・・(特に「ブロークバック・マウンテン」は自分がジェイク・ギレンホールなのかと思うくらいに共感して号泣した)。同性愛、だけどアッサリと上品な50年代風味といったところでしょうか。

そのくらいの時代の同性愛映画というと、オードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンの「噂の二人」(1961)がありますが、この映画は本当に嫌な感じの映画でした。寄宿学校の先生シャーリー・マクレーンがノンケの同僚オードリーに片思いしているんだけど、それをいち早く感じ取った少女がいて、その少女によって破滅していくという話。もともとは34年に作られた戯曲だそうです。そのせいもあるだろうし、寄宿学校という舞台設定もあるせいで、閉鎖的で差別的な雰囲気が窒息するくらいプンプンしている映画だったことを覚えています。それに比べれば本作の同性愛タブー感はだいぶマイルドだったように思います。

しかしケイト・ブランシェットはプリオと同じくらい、どの作品でもビシッとした仕事をする人ですよね。「ブルー・ジャスミン」ではどうしようもないクソバカ女を演じて主演女優賞でしたが、今回はどうでしょう。ルーニー・マーラーの助演女優賞の方が可能性が高そうかな?と個人的に思います。



『J・エドガー』プリオの確かなお仕事っぷり&アミハマのキュートさを確認


                             

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プリオの今までのお仕事っぷりを振り返る&イリヤ・クリヤキンことアーミー・ハマーの旧作チェックということで、観ました。FBIのフーヴァー長官ことJ・エドガーについて何も知らないし、アメリカの現代史に疎い私は途中で出て来る実際にあった事件を調べながらの鑑賞になりました。その途中で、この映画のことについて調べ始め(観ながら)「えっ、これクリント・イーストウッド監督なんだ!」と驚いたのでした(遅)。

J・エドガーその人とアメリカ近代史にまったく興味がないから退屈だったんですが、なんとな〜くJ・エドガーのことが憎みきれないですね。えげつないことを沢山しているおじさんなんだけど、お母さん(ジュディ・デンチ様)や公私に渡るパートナーのトルソン(アーミー・ハマー)との関係で、弱さを見せたりしてるから不思議とキュートにさえ見えて来る。プリオの熱演によって魂を吹き込まれているからでしょうか。やはりプリオのお仕事、ビシっと仕上げていますよ。今回はハゲちらかしたり、腹がダブダブになったりしていますが、そんな身体的欠点も哀愁に昇華されていました。

出世した後ドヤ顔で昔話を語るプリオ、キング牧師のセックス・スキャンダルの音声テープをコッソリと聞くプリオ(秘書にそれを見られてしまうプリオ)、ママボーイなプリオ、ママが亡くなった後でママのドレスや装飾品を身に付けるプリオ、ホテルの部屋でトルソンと「抱く抱かない」で乱闘騒ぎになるプリオ・・・と見所もいっぱいです。

しかし妙に照明が暗い映画だったので「妙に変だな〜。うちのテレビの光量が足りてないのかも・・・?」と調節してしまいましたよ。シーンによっては顔の表情が全然見えなくて、意図していたものだったとしてもかなり微妙な感じ。だからなのか、秘書のヘレンがナオミ・ワッツだと知ったのは途中で鑑賞しながらWikiを見ていたときでした!う~む、さすがは美人だけど印象に残らない女優ナンバーワン。この秘書がハッキリと明言されてはいないんだけどレズビアンで、ずっとJ・エドガーの近くで彼とパートナーのトルソンのことを見守っているという構図がなんだか泣かせました。

そしてそして、イリヤことアーミー・ハマーなんですが、もうほんっとうにキラキラしてる!美少女!フレッシュな新人としてJ・エドガーの前に現れるんですが、目がくらむかと思うくらいペカーッと輝いていました。くりっとした青いおめめがお人形さんみたいです。筆者は「コードネーム U.N.C.L.E.」にハマって、関連のTwitterアカウントをフォローさせて頂いているのですが、色々と彼の写真(オフショット含む)が流れて来るんですよ。本当に子供みたいな無垢な人なんだなあと思う次第です。「可愛い」というほめ言葉を男性にも使いますが、彼の場合は子犬や赤ちゃんと同じカテゴリーに属する「可愛らしさ」。ローン・レンジャー」のときはジョニデと二枚看板になってるけど、誰これ?で、特に何とも思わなかったんですけれども・・・これはもう巡り合わせですね。ホテルの部屋で乱闘というのはU.N.C.L.E.でもありましたな(笑)。

しかし、不思議なのが本作における老けの速度。どう見たってJ・エドガーの方がアーミー・ハマー演じるトルソンよりも年上なのに、トルソンのが急速におじいちゃん化しています。小刻みにブルブル震えたりしていて、妙に変だな~って感じ。老人メイクもかなり盛っていたし、ちょっとコント感があるのが残念でした。まあそう言ったって「サヨナライツカ」の西島さん(及び加藤雅也)の老けメイクの破壊度には到底かないませんが・・・(笑)あんなにブルブル震えていたトルソンよりも、ピンピンしていたJ・エドガーのが先にお迎えが来てしまうのもなんか変でしたねえ。

とうことで、イーストウッド監督作品&プリオ主演作なんですが残念ながら賞レースには引っかからなかったようです。しかしお爺さん同士のBL・・・・見た目は干し柿みたいなんだけど、この2人は長年連れ添って来た歴史があるから純愛度が高い。なんだったら可愛らしいですよ。子供がそのまま大きくなった様なアミハマにキラキラした瞳で「三食どれかのうち一食は僕と一緒に食べて欲しい」(セリフうろ覚え)なんて言われたらたまりませんよ。このセリフはほぼプロポーズですな。


『スティーブ・ジョブズ』おファスが存分にスキルを発揮!さて受賞は・・・?







久々のおファス出演作。嬉しいことにおファス出演作は何本か待機しているんですよね。マリオン・コティヤール共演の「マクベス」もそう。でもこれはシェイクスピアだし、あんまり面白そうじゃない・・・。X-MEN新作は楽しみですけれども。

ということで本作ですが、遂におファスがアカデミー賞主演男優賞にノミネート。二年前は「それでも夜は明ける」で助演男優賞ノミネート止まりでしたが、今年はどうでしょう。

映画を観た限りでは、あますところなく演技スキルを発揮し熱演していましたよ。もしかしたら取るかも・・・?でもそうしたら「レヴェナント」のプリオが可哀相・・・みたいな雑感といったところでしょうか。助演女優賞ノミネートのケイト・ウィンスレットもいつものようにガッツリ盤石の演技。ゴールデングローブでは受賞をしています。そういえばプリオとケイトは仲が良いらしいので、プリオ受賞の暁にはケイトの表情もカメラに抜かれそうですな。

アップルの偉い人(ザックリ)だったスティーブ・ジョブズの変則的な伝記映画なんですが、アップル製品ばかり使っているのにジョブズさんのことはほとんど何も知らなかったんですよね。でもそんな門外漢でも、重要なプレゼンの前に巻き起こるあれやこれやを三回見ることで、彼がどんな人物でアップルがどんな変遷を辿って来たのかが理解できるような作りになっていたと思います。

三回のプレゼン前に挟まれる細かいカットのニュース映像(恐らく実際のもの?)などでドキュメンタリー感があったし、80年代から90年代後半までをタイムマシーンでぶっとばしているような感覚がありました。脚本が優れていると思いましたよ(英語が高速でついていけないところもあったけど・・・汗)。監督はダニー・ボイルですか。スタッフ関係のオスカーノミネーションは今回は残念ながらなしでしたが、よく頑張っていると思います(上から目線)。

とにかくおファスの熱演がなければ成立しなかった、というくらい主演男優が出ずっぱりの映画です(駆け出しの頃の回想シーンもあり)。しかし今回のおファスはなんだか怖い!いつものように「ウホッ、いい男!」という視線でまったく見られないんですよ。なんか怖いからなるべく近づきたくない、面倒くさ〜い人。カリスマ的であるけれども暴君なリーダーでもあったというジョブズの演技がそうさせているんだと思います。

ジョブズとおファスの顔は全然似てないんですけどね。98年のときは白髪にして黒タートルネックにジーンズという記号があったので、それっぽい感じはかなり出ていましたが。前におファスのことを知らない友人に「この人が好きなの」って写真を見せたことがありますが「神経質っぽいハンサムだね」とコメントされました。神経質っぽい!そんな彼の持ち味が今回のジョブズ役にかなり取り入れられていたのではないかなと思います。

そんな暴君の脇でガッチリとサポートするのがマーケティング・エクゼクティブであるジョアンナ・ホフマンを演じた盤石のケイト・ウィンスレットですよ。あんな面倒くさそうな人と長年働いているのもすごいし、さりげなくプライベートの面倒も見てくれたりして、実に有能!いくらカリスマでもジョブズみたいな人は嫌だけど、ジョアンナみたいな人となら一緒に働きたいもんだのう・・・と思ってしまいました。

しかし大事な新製品発表の前に色んなことが目まぐるしく起こりまくる。元恋人が娘を連れて「認知しろ、養育費よこせ」って突撃してきたり、元ビジネスパートナー(ジェフ・ダニエルズ演じる元アップルCEOのジョン・スカリー)が喧嘩をふっかけてきたり。普通の人なら大規模な会場での新製品プレゼンなんて緊張してしょうがないだろうに、ジョブズには公私ともに厄介な問題が山積していてそれが容赦なく襲って来る。それなのに全然心が折れたりしないしブレないのが凄いなあ、やっぱり常人とは違うんだなあ・・・と感心してしまうのでした。

本作の中で主要な筋になっているのがジョブズと娘との関係です。すべてのプレゼン前に娘が現れて、絆したり喧嘩したりするんですね。町山さんのポッドキャストで「リア王」のリア王と末娘の関係がモチーフになっているということを知りました。最後、98年のプレゼン前に長年の確執がとけて和解ムードになるんですが、野暮な私は「認知拒んだり、学費を旧友に払ってもらってたりしてたのに、結局は娘のことを愛していってわけ・・・?だったら最初っから可愛がれよ!」と思ってしまったのでした(笑)。

おファスもケイトも素晴らしいパフォーマンス、脚本も素晴らしい良質作品なのはわかりますが、カリスマ的なリーダーの伝記ということで個人的にはあまり好みでない題材でした。今のところ観た中では「リリーのすべて」のエディ・レッドメインの演技が良かったかな。

しかしボンダイ・ブルーのi-Mac懐かしいですね。筆者が初めて触れたパソコンがコレだったんですよ。でも使い心地は決して快適とは言えないモノでした。初期不良だったのか高頻度でフリーズしまくり、まっすぐに伸ばしたゼムクリップを何回リセットの穴に突っ込んだことか・・・。その後はウィンドウズ機を一代経て、MacBook Proに買い替えました。これはすこぶる快適に動いていて6年目に入るところ。たぶん壊れてもまたMacを買うと思います。iPodを二代に渡り酷使した後はiPhone(未だ4)にし、iPad2で電子書籍を読んでいます。アップル製品がないと生活が成り立たない、という人の一人としてジョブズさん、パーソナルコンピューターを売り出してくれてどうもありがとう。と感謝の意を伝えたいと思います。


『オデッセイ』置き去りにされたりもしたけど、私は元気です by マット・デイモン




マット・デイモンが火星にひとりぼっちになり、サバイバルする映画です。アカデミー作品賞と主演男優賞候補になっているのでチェックしました(その他、脚色、美術、録音、視覚効果、音響編集でノミネート)。誰もいない場所にひとりぼっちってのはレッドフォードが海でひとりぼっちになる「オール・イズ・ロスト」と、サンドラ・ブロックが宇宙でひとりぼっちになる「ゼロ・グラビティ」と似ていますね。けれども、本作はシリアス度合いがだいぶライト。それにひとりぼっちになる当事者だけのシーンだけではなく、地球で彼をサポートする人々のあれやこれやも描かれています。

お金のかかった上質な娯楽作品といった感じの映画で決してつまらないわけではないんだけど、個人的にはそこまで心に響きませんでしたね。や っぱり宇宙って言うのがあまりにかけ離れすぎてて・・・でも、「ゼロ・グラビティ」は視覚効果がすごかったから真に迫っていたし本当に一人でなんとかする話だったから心をつかまれたんですよね。宇宙でぼっちっていう話だから、どうしても「ゼロ・グラビティ」との比較になっちゃう。これはもう観た人は仕方のないことではないかと思うのです。

主演のマット・デイモンは確かに好演。でもほぼカメラに語りかけるモノローグだし、あんまり心の葛藤とか深みのある演技の見せ場があるわけではないので、これは高い確率で受賞ないんじゃないかな~と思います。ゴールデン・グローブのではコメディ・ミュージカル部門で作品賞と主演男優賞受賞しているのもあるし。同じくゴールデン・グローブで主演女優賞を受賞した「JOY (原題)」のジェニファー・ローレンスと同じ感じですね。

途中で通信手段も確立するのでNASAにいる仲間が全力で助けてくれるんですが、役者陣が豪華でした。NASAのトップにジェフ・ダニエルズ(「スピード」でキアヌの同僚を演じていたり、「グース」でアナ・パキンのお父さんだったり)、火星探査のディレクターにショーン・ビーン(「ロード・オブ・ザ・リング」のボロミア)、NASAの広報官にクリステン・ウィグ(「宇宙人ポール」でペグ兄の彼女)、火星探査の色んなことを取りまとめてる人にキウェテル・イジョフォー(「それでも夜は明ける」で主演)というメンツです。・・・なんか信用出来そうな感じしませんか? 特にキウェテル・イジョフォーは昼夜を問わずに色々頑張ってくれてるし、頼りになりそうな感じ。筆者の中で「アベンジャーズ」のサミュエル・L・ジャクソン、「パシフィック・リム」のイドリス・エルバに次いで上司にしたい男優入りかも(みんなアフリカ系だな)。

マット・デイモンが所属している火星探査ユニットのメンバーも知ってる顔がいっぱい。船長がジェシカ・チャステイン(「クリムゾン・ピーク」で気の狂った姉)、クルーメンバーにマイケル・ペーニャ(「アントマン」でヒーローの悪友)やセバスチャン・スタン(「キャプテン・アメリカ」のバッキー)などなど。マイケル・ペーニャは三枚目って設定だったけど、ちゃんと宇宙飛行士しててビックリしました。いつか失敗するんじゃないかと思っていたので・・ ・(笑)。バッキーはですね、ぶっちゃけ顔を覚えてないんですよ。クルーの中に若くて可愛い子がいるな、と思ってたらエンドクレジットでバッキーだということがわかりました。そういえば本作に出て来た中華系の科学者ブルース(ベネディクト・ウォン)は「キャプテン・アメリカ」や「ウルフ・オブ・ウォールストリート」にも出てた人だよね?と思ったら別人でした。



※以下、ネタバレします。



筆者がこの映画で一番心に残ったのはジャガイモの可能性ですね。ジャガイモさえあれば生き延びることが出来る。でもその栽培が大変なんですが・・・。マット・デイモンは植物学者だったので、基地に残っていた人糞(わざわざ個人別に名前を書かれてパックされている!)を肥料として使い、基地内にジャガイモ畑を作るんですよ。お水も化学の知識を使って作っちゃうし。やっぱりサバイバルで必要なのはこういう知識なんだなあ・・・と理数系の人を尊敬しちゃうわけです。てか宇宙飛行士の人達、みんな色々な理数系分野の学者さんですしね。そんで実ったジャガイモで食いつなぐんですよ。大きいのは食べて、小さいのはまた種芋に。ケチャップさえあれば、そんなに辛くないのかもな~、欧米なんてジャガイモばっかり食べてるしな~、と思うんですけど、ケチャップが切れてしまった後はカプセル薬の中身の粉末(!)をつけてイモを食べるんですよね。やっぱりジャガイモはなんらかの味が付いてないと辛いよな~と感じ入りました。

町山さんが「たまむすび」ポッドキャスト で、全編70年代のディスコ・ミュージックで彩られる!と仰ってましたが、思ったよりは控えめな感じでしたね。船長の趣味でディスコ・ミュージックしかない、ということだったので船長はディスコ世代のオッサンなんだろうと思ったらジェシカ・チャステインだったので、こっちの方は意外でした。でも私もディスコ・ミュージック大好き。好きになったのはやっぱり映画「プリシラ」のサントラからですね。マット・デイモンが寒さをしのぐ為に埋められていた放射能資源ゴミ(発熱している)みたいなのを掘り出して、その放射能ゴミで暖を取るシーンにドナ・サマーの「ホット・スタッフ」がかかってたと思うんですが、ここは何とも妙な味わいでした(笑)。

同じく町山さんが「ホット・スタッフ」にかけて「劇中で、マット・デイモンの『ホット・スタッフ』が映ります!」って言ってたんですが、筆者はこれにまったく無頓着だったんですよね。観賞後にポッドキャストを聞き直して「えっ、映ってたっけ?」と思ったくらいで。そもそもいつも映画で男優のお尻が映ると得した気分になってるんですが、今回はお尻を見ても何とも思わなかったです。マット・デイモンに興味ないからかもしれませんが。

ラストでクルーたちの乗る船とマット・デイモンが乗るオンボロなポッドが近づきます。クルーたちは地球との交信を切って、独自のやり方でマット・デイモンを助けようとするんですね。船長自らロープを使って宇宙遊泳し、マット・デイモンをキャッチしようとするんです。でもロープの長さが足りない!マット・デイモンは、それこそ「ゼロ・グラビティ」のサンドラ・ブロックみたいに宇宙服の空気を利用して空中遊泳しながら船長にアプローチするんですよ。伸ばされる船長の手とマット・デイモンの手のアップ。ここは「ゼロ・グラビティ」のときみたいに「ああああーッ!!!」と悶絶してしまいました。「魔女の宅急便」で飛行船から落ちるトンボをキキが助けるシーンが何故か脳裏に浮かびます。マット・デイモンが助かったと聞いて、NASAや全世界の人が街でウワーッ!となり、チラシみたいな紙が飛ぶシーンもなんだか「魔女の宅急便」みたい。エンドロールでキャラクターたちのその後が描かれるのも「魔女の宅急便」ですよ。 置き去りにされたりもしたけど、私は元気です byマット・デイモン なのでした。

『クリムゾン・ピーク』妄想をかき立てるゴシック・ロマンなトムヒ様

       



ギレルモ・デル・トロ監督の英国ゴシック・メロドラマ・ホラーです。ギレルモちゃん(©三池崇監督)の新作ですよ!「パシフィック・リム」(♪タララン、タララーン♪)ではロボットアニメを本当にまんま実写化して私達の胸を熱くさせてくれましたが、今回はガラっと趣を変えて人里離れたイギリスのお屋敷に何かがいる・・・というお話です。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)




19世紀末のアメリカに住む裕福な令嬢イーディス(ミア・ワシコウスカ)はホラー作家志望の女子。しかし編集者からは女性なんだからロマンス小説を書きなさいと言われてしまいます。実はイーディスには霊感があって、彼女が幼い頃に亡くなったお母さんの亡霊が見える不思議な力を持っていたのでした。幼なじみで医者のアラン(チャーリー・ハナム)はイーディスに想いを寄せていますが、イーディスはイギリスから来た没落貴族のトーマス(トム・ヒドルストン)と恋に落ちます。トーマスは自分の発明した掘削機械をイーディスのお父さんで実業家のカーター(ジム・ビーヴァー)に売り込みにやってきたのでした。ところがトーマスとその姉ルシール(ジェシカ・チャスティン)に不信感を抱いたお父さんは、探偵(バーン・ゴーマン)を使って彼らの身辺を調査。姉弟の驚愕の事実を知ります。事実を知ったお父さんのカーターは姉弟にイーディスの前から姿を消すように言い渡し、トーマスは言いつけに従いイーディスに別れを告げるのでした。しかし、トーマスのことを諦められないイーディスは彼の元へ行き愛を誓います。同じ頃、カーターが何者かにより惨殺され変わり果てた姿で発見されます。悲しみに沈んだイーディスはその後トーマスと結婚し、姉弟と一緒にイギリスへ移住。姉弟が所有する田舎の古い屋敷、アレデール・ホールで暮らすことになります。ところが、その屋敷には・・・という導入部です。

ギレルモ風味のゴシックロマンス全開な世界観がいいですね〜。建築、インテリア、衣装、どれもすごく美しく、観客をゴシックの世界へ誘ってくれますよ。ミア・ワシコウスカの無垢なキャラクターが、また毒っ気のあるイギリスのお屋敷に合う。真っ白な真綿のようだったヒロインが、どんなふうにして真紅の鮮血で染められるのだろうか・・・とサディスティックな期待も高まります。ヒロインはメガネっこな文科系で、ちょっと周りからは浮いている女子なんですが、小説を褒めてくれたトムヒ(トム・ヒドルストン)のことが気になり始め、彼と恋に落ちるのです。

トムヒ・・・この役に死ぬ程ピッタリです。血筋の良さそうな甘いマスクなんだけど、深入りするとな〜んか大変なことになりそうなダークさも感じられて・・・。黒と深緑を基調にしたお衣装が、ちょっとロキみたいでした。高貴な香りが漂うトムヒですが、プロフィールを見てみるとリアルに貴族の血筋なんだそう。筆者は映画の後半あたりで、ふと「トムヒの役はベネ様(ベネディクト・カンバーバッチ)でも再現率高そうだなあ・・・」と思ったのですが、当初はやはりベネ様にオファーされていた役なんだそうです(ヒロインはエマ・ストーンだったらしい)。しかし、セカンドチョイスのキャスティングで良かったのではないでしょうか。トムヒの、フェミニンだけどフェミニンじゃない、でもちょっとフェミニンな男性が時折見せる男っぽさにドキリ、みたいな持ち味が活かされていたように思いますし、怯える新妻は目ん玉のでっかい現代っ子風なエマ・ストーンよりもミア・ワシコウスカの方が適役だと思います。



※ネタバレ第二段階(中盤まで)





結婚したイーディスとトーマスですが、新居となるイギリスのお屋敷がなんか変。だって玄関ホールの天井に大きな穴が空いていてリアルに吹き抜け。そのまま修繕されずほったらかしにされてるもんだから床に雪が積もってるんですよ。寒そ〜、と思わず身震い。水道も錆びてて、最初は血の用な水が出たりしてます(そういや筆者が今住んでいるアパートも最初はそうだったな・・・)。トーマスのお姉さんルシールはイーディスにとって小姑になるわけですが、なんだか腹に一物抱えてそうで怖いです。弟と結婚した自分に嫉妬してるみたい・・・と思うんですが、そのものズバリだったんですよね。結婚したものの、まだ肉体関係のないイーディスとトーマス。イーディスはそれを小姑に打ち明けるんですが、それを聞いてニヤリ・・・みたいな。ふとしたことで盛り上がったイーディスとトーマスが寝室ではないけれども、いざ事を始めん!といったタイミングで「ここにいたのね。お茶がはいったわよ」とお盆を持った小姑が現れたりするんですよ。怖いな、怖いな〜。

トムヒファンのハイライトはなんといっても2人が始めて結ばれるシーン。アメリカからの手紙を受け取りに街の郵便局に出かけたイーディスとトーマスですが、雪のために郵便局の一室を借りて夜を明かすことに。そこでついに結ばれるのですが、チラっとトムヒのお尻が見られるんですよ!形の良い真っ白なお尻、それはまるで高級な水蜜桃をむいたかのよう・・・。この映画を観てヨカッタ・・・としみじみし、胸に手を当てる筆者なのでした。検索したところどうやらボディダブルの尻ではなくトムヒ自身のお尻のようでしたよ。やっぱりベッドシーンで楽しみなのは男優の尻なんですよね。ギレルモちゃんわかってる!しかし、そのままミッショナリー・ポジションで済ますのかと思ったらヒロインは着衣のままオーバーライディング・ポジションに。19世紀末という時代設定&ヒロインがそれまで処女だったということを考えると、これはかなり刺激的なのではないだろうか・・・と思った次第です。

タイトルにもなっているクリムゾン・ピークとは、雪の上にその地特有の粘土質赤いの土が滲む現象のことで、イーディスのお母さんの亡霊が「クリムゾン・ピークに気をつけなさい」と言っていたことと合致するのでした。トーマスと結ばれたものの、幽霊が何人(幽霊のカウントって「人」でいいのかな)もイーディスの前に現れ、彼女は次第に病んで行きます。血を吐き、幽霊がいると主張する彼女に小姑はひたすらお茶を出すのでした。しかしその中には毒が入っていたんですね。イーディスは隙を見て小姑のカギを盗み、姉弟から入ってはいけないと言われていた地下室へ・・・(なんとなくペローの「青ひげ」を彷佛とさせますな)。



※ネタバレ第三段階(ラストまで)



そこにはカギのかかった樽がたくさん並んでいました。樽の中には赤い粘着質の液体が入っており、明らかに人体らしきものが浮いていたのです!同時にイーディスはトーマスが今までに何人もの裕福な女性と結婚していた記録と写真を見つけます。あれ、ミア・ワシコウスカ主演でこんなパターンって「ジェーン・エア」みたい!また騙されちゃったのか〜という感じもしますが。ここで観客とヒロインはお父さんが雇った探偵がどんな調査結果を持ってきていたのか、ということを知るのです。ちょっと横にそれますが、この探偵を演じていた人バーン・ゴーマンは「パシフィック・リム」で数学博士の役をやってましたね。やはりつくづく爆笑問題の太田光さんにソックリだと思います。ヒロインの幼なじみのアラン役の人はパシリムで主役でした、そういえば(彼はちょっと印象薄いんだよな〜)。演じるチャーリー・ハナムはちょっとガタイが良過ぎてゴリラっぽい感じ。トムヒと比較すると余計そんな感じがします。

イーディスは幽霊に教えてもらい、姉弟が近親相姦の関係にあること、それを知った彼らの母親が無惨に殺されたことなどを知るのでした。アメリカから事情を知ったアランが助けにやって来ます(ゴリラっぽいなんて言ってゴメン)。早く、早く〜!イーディスのお父さんを惨殺した犯人でもある小姑は、イーディスに財産を譲渡する書類にサインさせようとします。しかしイーディスはお父さんからもらったペンで小姑を刺します。小姑はトーマスにアランとイーディスを殺すように言いますが、途中からイーディスのことを本当に愛してしまったトーマスは躊躇します。嫉妬に狂った小姑はトーマスの頬を刺して殺害。そして助けにやって来たアランのことも刺します。刃物を持ったイーディスと小姑はクリムゾン・ピーク現象を見せる雪の中で戦います。掘削機の前に現れたトーマスの幽霊の助けによってイーディスは小姑を撃退(シャベルで頭ゴイーン!というユーモラスな致命傷だったけど)。トーマスの幽霊は寂しく微笑みイーディスの前から姿を消すのでした。その後、イーディスとアランは惨劇のあった屋敷をあとにします。屋敷の中のピアノの前には幽霊になった小姑の姿が・・・。イーディスはこの体験を元に「クリムゾン・ピーク」という小説を書きあげるのでした。

やっぱり、この姉弟、真っ黒だったのね・・・という感じですが、トーマスが本当にイーディスのことを愛してしまったというのが救いですかね。一体いつから本気になったのかはよくわかりませんでしたが。イーディスのお母さんの幽霊はちょっと怖かったけど、必死に危険のメッセージを伝えようとしていたんですね。あと屋敷に取り憑いた姉弟の母親の幽霊や、トーマスの亡き妻達の幽霊も。幽霊を見たことはないのですが、もし見たら「何かを伝えようとしているのかもしれない」と気をつけた方がいいんだなあと思ったのでした。しかし亡き妻の幽霊が「こっち見てみ」と指差した先に小姑の寝室があって、そこで姉弟が近親相姦してるってのはキツイなあ〜。

「パンズ・ラビリンス」くらいの怖さを期待していたんですが、幽霊はそこまで怖くないんですよね。ホラー映画というのもちょっと違うかな〜という気がします。メロドラマとしては中編からラストが少し雑だったような感じがします。トーマスがいつからヒロインのことを本気で愛し始めたのか私には少しわかりませんでしたし、嫉妬に狂った姉がトーマスを殺害するのもちょっと唐突な印象が拭えませんでした。そこが少しもったいなかったですね。トムヒを巡るメロドラマ演出とドロドロ演出がもっと欲しかったです。

やっぱりこの映画も人を見る目がないことがトリガーになった話でしたね。トムヒはさておき、姉ちゃんが明らかにおかしいんですが。お父さんはそれに気が付いて探偵を雇うんですが、時代設定を考えるとこの探偵はかなり有能です。アメリカとヨーロッパ各地にまたがった犯罪を突き止めているんですから。その結婚、引っかかったら、まず探偵 というのは今も昔も変わらないのですね(しかしネットがある現在とはいえ、国を跨いだ犯罪を突き止めるのは民間の探偵にはなかなかハードル高そう)。

ということで、改めてトムヒの魅力を再確認した一本でした。トムヒは地毛が金髪だそうで、「マイティー・ソー」で金髪ゴリラなソー役のオーディションを受けていたと知ってビックリ。明らかに役のチョイスが真逆だろうという気がしますが・・・(ソー様はソー様でカッコイイのですが)。トムヒはクラシカルなイケメンなのでコスチュームプレイが本当に似合いますよね。最近、さいとうちほ先生の「子爵ヴァルモン」を読んだ筆者は、影響されてこんな妄想をしてしまいました。・・・以下妄想(時代背景はザックリ18〜19世紀だとお考え下さい)。

私はヨーロッパの既婚夫人。夫は年上で地位のある人ですが、多忙ゆえに留守がちです。ある日、お友達の別荘に滞在しているときに同じく滞在客である独身の貴族トムヒと知り合います。有名な美男子で彼に憧れている女性は多いのですが、独身を貫かれている謎の方。夏の夕方、トムヒと薔薇が咲いているお庭をお散歩。表面上は普通に会話をしていますが、夫とはまったく違うタイプの美男子トムヒと2人きりで心乱れています。ええ声&綺麗な英語で庭の美しさを褒めるトムヒ。薔薇の匂いをかごうと花に手を触れた私の指に棘が刺さってしまいます。「あ」と思わず小さい声を出してしまう私。その声が思いのほかセクシャルに聞こえたので、私は赤面してしまいます。するとトムヒがおもむろに私の手を取り、少しだけ出血した部分に唇を当てるのでした。血を吸いながら私の目をまっすぐに見つめるトムヒ。彼の額にたれた漆黒の髪の間からのぞく、冬の湖のような瞳。夕闇にむせかえるような薔薇の香りに私の意識は遠くなるのでした・・・。

・・・拙い妄想でお目汚し失礼致しました(爆)。


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