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『レヴェナント: 蘇えりし者』過酷な環境下でプリオ熱演、悲願のオスカー主演男優賞受賞!







一足先に本作を観た夫が「すごくいいから絶対に観て!」と何回も言って来るので、「超話題作なんだから言われなくても観るわい!そっかー、そんなにすごいのか、楽しみだな~」とウキウキしながら鑑賞しました。でも、途中で寝ました。・・・あれ・・・?妙~に変だな~?だっておかしいじゃない。アカデミー賞主要四部門でガッツリノミネートされてるのよ?去年「バードマン」で作品賞と監督賞を取ったイニャリトゥ監督の映画よ?でも・・・寝ちゃったんだからしょうがない(爆)。

クマになぶり殺されかけた瀕死の男がなんとか生き抜いて本懐を遂げる・・・というすごい話ではあるんですが「ぶっちゃけ、そこまでかな・・・?てかワシにはよくわからないのかも・・・」というキツネにつままれたような気分です。本作を観た翌日、困惑した表情の友人から「ねえaitantanmenさん、『レヴェナント』面白かった・・・?」と尋ねられました。友人もほぼほぼ私と同じ感想を抱いたようでした。面白いのが友人の旦那さんも本作を絶賛していたそうで、男受けが良い話なのかな~?と思いましたね。フロンティアの話だし、困難にあっても負けずに戦うってところが良いのかもしれません。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)



「バードマン」ではNYの劇場を舞台に再起をかけるかつてのヒーロー役者と周囲の人のアレコレをお洒落に描いたイニャリトゥ監督(町山さんの「映画ムダ話」を聴いて認識を新たにしました)。今年も新作をぶっ込んで来たのがすごいですね。しかも再びめちゃくちゃノミネートされてますし。 今回はガラっと変わって開拓時代の北米、ワイルドなフロンティアを行く男達の映画ですよ。

1823年のアメリカ大陸。ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は仲間達と一緒に狩猟中、クマに襲われて重傷を負います。仲間達に助けられて手当を受けたグラスですが、ひん死の状態になった彼は足手まといに。狩猟の隊長ヘンリー(ドナール・グリーソン)はグラスを殺すには忍びないので、彼が息絶えるまで側についていてやり、その後手厚く埋葬することにしました。その役割に志願したものはフィッツジェラルド(トム・ハーディー)と若手のジム(ウィル・ポールター)とグラスの息子ホーク(フォレスト・グッドラック)でした。他のメンバーはヘンリー隊長と一緒に先を急ぐことに。グラスと残された三人でしたが、フィッツジェラルドがグラスを殺そうとします。それに気付いた息子のホークと争いになり、ホークは殺害されてしまいます。グラスは重傷の為息子を助けることが出来ず、ただ見ていることしか出来ませんでした。フィッツジェラルドとジムはまだ生きているグラスを地中に埋めて、その場を去るのでした。

ひどいですね〜。トム・ハーディーはマッドマックスなのに!というか、やっぱり彼はこういうちょっとセコい悪役が似合ってる感じもします。グラスの息子ホークはどう見ても先住民なので、きっとグラスの息子的な存在なんだろうなって思っていたんですが、グラスの回想で先住民の妻(グレース・ドーヴ)がちょいちょい出て来るので、どうやら先住民との間に出来た子供みたいなんですよね。息子にしては、プリオの成分全然入ってないように見えちゃったんですが。

クマにズタズタにされてしまうグラスですが、クマって怖いですね〜。ライオンや虎よりも重量もあるし力もあるし猛獣じゃないですか。プーさんだとか、テディベアだとか言ってキャラ化したクマを可愛がってる場合じゃないですよ。子供たちにもクマはハチミツが大好きなちょっとドンくさいお友達じゃなくて、森で出会ったのならば死を覚悟しなければいけない猛獣だってことを教えなくていいものなのだろうか・・・とちょっと不安になりましたね(笑)。

ひん死の状態で埋められても驚くべき生命力で這い上がるグラス。彼はフィッツジェラルドへ息子の復讐を誓い、文字通り地面を這って追いかけるのです。これ本当にあった話だそうですが、すごいですね〜。極寒の荒野で、食べるものもほとんどないんですよ。しかも開拓ライバルのフランス人や敵対する先住民を避けながら、進んで行かなければならないという過酷を極める超サバイバル旅!プリオはもうものすごく頑張ってるんだけど、ここからが一気に眠くなるところです。

撮影監督は「ゼロ・グラビティ」や「バードマン」のエマニュエル・ルベッキさんで、もちろん撮影賞にノミネートされています(今回も受賞濃厚)。プリオの迫真の演技を接近して捉えるカメラワークなんですが、近過ぎて水滴や血しぶきがカメラに飛んでる(息がかかって曇ったりもしていたかも)。これってアリなの・・・?と私は思ってしまったんですが。レンズ表面についた水滴や血がカメラの存在を示してしまい、なんか一気に現実に引き戻されてしまうんですよね・・・。恐らく今の技術だったら特殊効果でそれを消すことも出来ると思うんですが、あえて残したんでしょうか。ここはちょっと謎でした。



※ネタバレ第二段階(ラストまで)



過酷なサバイバル旅を続ける中で、一番印象深かったのはプリオが馬の中で一夜を明かすシーンですね。敵の追跡をかわすために馬で爆走するプリオ。ところが崖から馬ごと落ちてしまうんですよ。プリオは木に引っかかり助かるんですが、馬は地面に激突して死んでしまうんですね。その後、プリオはナイフで馬のお腹を開いて一抱えもある臓器を取り出します。「死んでしまった馬のことをムダにせず食料にするんだな。私も馬刺食べたい・・・」と思うも、さにあらず。なんとプリオは馬のお腹をからっぽにした後でおもむろに服を脱ぎ、馬のお腹の中へ入って厳冬の夜を越すのでした。すげえ・・・・。先人のサバイバル技術、半端ねえ!!!ブリザードに見舞われた夜を無事に越して、馬の腹から出るプリオ(馬が人を出産したみたい)。馬はカチコチに凍っていますが中は快適だったようです。身支度をして先を急ぐプリオ。去り際に凍った馬をそっと撫でるシーンがなんだか良かったです。

そして後半で遂にフィッツジェラルドと対決することが出来るのですが、ここがものすごい死闘でした。復讐を胸に、想像を絶するような過酷なことを乗り越えて、乗り越えて、ようやっと・・・というストーリーは日本人にこそ受けそう。対決シーンは日本のお侍さんが戦う時代劇のようでした。ここでもプリオの頭の良さが光ってましたね。死体の背に木の幹を入れて馬に乗せ、生きているようにみせかけ、自分が運ばれている死体のふりをするという・・・。無事に復讐を遂げられて良かったですが、なんだかそれでも虚しい・・・といった感じの渋いラストでした。

うーん、地味に続くサバイバル旅の途中で意識を失っちゃったし、あまりアレコレ言える立場じゃないのはわかってるんだけど、すっごく面白い!!!と人に勧められる映画ではないです・・・(バードマンもそうだったけど)。褒めていた夫は「ストーリーにアップ&ダウンがあってよかった」とコメントしていましたが、まあ感じ方の違いがありますよね。ストーリーはいまいち入り込めなかった筆者ですが、役者陣の演技はどれも素晴らしかったと思いますよ。

こすい小悪人を演じたトム・ハーディーの助演男優賞ノミネートには納得だし、プリオの主演男優賞ノミネートは恐らく今回賞レースの大本命と言えるのではないでしょうか。だから、ずーっとアカデミー賞に関して不憫な扱いを受けていたプリオが主演男優賞を取って欲しい・・・!と祈るのみ。「ギルバート・グレイプ」で助演男優賞ノミネート、「アビエイター」、「ブラッド・ダイヤモンド」、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で主演男優賞ノミネート。・・・でも受賞経験未だになし!そう考えるとこの「レヴェナント」の役柄がなんだかプリオ自身のセルフパロディーにも思えて来ます。過酷な環境で、クマのオモチャにされ、息があるのに埋められ、地面を這いずって、馬の腹の中に入り、耐えて、耐えて、耐えて、頑張って、頑張って、頑張って・・・これでもかー!どや、アカデミー!と主演男優賞に挑むプリオ自身の姿にも見えるのです・・・。まだライバルたちの作品観てないですけど、間違いなく撮影の過酷さでは一番でしょう。もうここまでやったんだから、いけずせずに受賞させてあげなよ・・・アカデミー会員の皆さん・・・と思うのでした。

追記:フタを開けてみれば、めでたくプリオが主演男優賞受賞!いや〜、本当によかったですね。クマとウマにも助演動物賞をあげたいですね。

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『ルーム』主演男優賞にノミネートされてないのが不思議







知人が「すごく感動して泣いちゃった。たぶんもう一度観る」と褒めていたこの映画。町山さんのポッドキャストで気になっていたんですが、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたのをきっかけに鑑賞してみました。もの凄くよかったです。扱われている事件は本当にひどいものなんですが、生まれた時から監禁されていた五歳の男の子の目を通して見る外の世界の描写が本当に素晴らしかったし、ラストはこれからの希望に溢れていて素晴らしい映画でした。


※ネタバレ第一段階(予告編程度)


ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は5歳を迎えたばかりの可愛らしい男の子。ママ(ブリー・ラーソン)と一緒に小さな部屋に住んでいます。彼にとっては部屋の中の世界がすべてで、外に出たことはありません。でも優しいママといつも一緒です。ママは小さな部屋の中で出来る限りのことをジャックにしてあげています。ストレッチをしたり、読み書きを教えたり。夜になるとジャックはクローゼットの中で寝ます。オールド・ニック(ショーン・ブリジャース)というおじさんが部屋にやってくるからです。ママはある日ジャックに部屋の外の世界について教え始めます。実はママはオールド・ニックによってこの部屋に7年間監禁されており、その間にジャックを生んでいたのでした。

ママ役のブリー・ラーソンがアカデミー主演女優賞にノミネートされました。極限状態にあっても希望を失わない強い女性であり、誘拐犯との間に出来た息子だけど彼のことを心底愛しているお母さんの演技は確かに素晴らしいです。そしてジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんも、それにひけを取らない素晴らしさを見せていました。特に印象的だったのがトラックの荷台から初めて空を見た時の表情。これは本当に生まれた時から監禁されていた子のそれと同じですよ!!!演じていることを全く感じさせないこの素晴らしさ(たぶん、鑑賞中の筆者も空を初めて見たジャックと同じ表情になってたと思う)。すごい・・・、すごい!と大変に驚きました。しかし!この神演技を披露したジェイコブくんは主演男優賞にノミネートされていません。ホワーイ、なぜに?!前述の知人にこのことを告げると彼女も大変驚いていました。比べるのもアレだけど「世界にひとつのプレイブック 」のブラッドレー・クーパーよりもずっといい演技してたと思うんですが・・・。

町山さんのポッドキャストを聴いてはいたものの、ほとんど話の展開を忘れちゃっていたんですね。だから監禁から外の世界に出るということまで描かれているのを知らなかったんですよ。オールド・ニックがレイオフで失業してしまうんですが、ママとジャックが住む部屋の暖房が切られたりして次第に生活が脅かされて行くんですよ。このままオールド・ニックが経済的に困窮すれば邪魔な自分たちは殺されるかもしれない・・・と考えたママは5歳になったジャックに脱出を託して色々なことを教え始めます。



※ネタバレ第二段階(映画の中盤まで)



ママは部屋の暖房が切られたせいでジャックが病気になったことにして病院に連れて行って欲しいとオールド・ニックに懇願しますが、薬を持って来られるだけでこの計画は失敗してしまいました。一計を案じたママはジャックが病気で死んだことにして絨毯で彼を包みます。トラックでどこかに行って埋葬してほしいとオールド・ニックに頼み、ジャックを外へ出すことに成功するのでした。ここのあたりは心臓がバクバクして、ずっと手を口に当てっぱなし。5歳の今まで外に出たことのない子に命綱の役割が果たせるのだろうか、お願い、どうか、どうか・・・!!!と祈りました。

そのサスペンスとともに、外に出たジャックが初めて見る空の明るさや、吠える犬や大人のでかさなどがブン!と観客に向かって来るのです。初めて外に出た5歳児目線を映像によって追体験するというのは今までになかったことなので、ここはすごくフレッシュでした。オールド・ジャックに見つかってしまうんですが、通行人のおじさんに助けられたジャックは警察に保護されます。大事に持っていたママの抜けた虫歯を警官に見せるジャック。事件性があることに気が付いた警察はジャックの証言から監禁場所を割り出して、ママを救出することに成功するのでした。

ふわー!よかったー!!!と膝の力がヘナヘナと抜ける瞬間ですよ。再び前述の知人(幼稚園教諭)曰く「5歳の子にあのタスクは結構難しいと思う。私が知ってる5歳児の中でやれそうなのは2人くらいかな・・・」と言っていました。やっぱりそうなんだ。保護されたママとジャックは病院にいます。真っ白く広がる病室。窓からは果てしなく続く街がみえます。そこはジャックにとってはまるで別世界でした。おばあちゃん(ジョアン・アレン)とおじいちゃん(ウィリアム・H・メイシー)がかけつけて、ママと7年振りの再会に涙を流しています。

病院での検査を終えて、おばあちゃんの家へ帰ったママとジャック。その日は大勢のマスコミや街の人に囲まれての帰宅となりました。無事に帰宅したものの、ここからがまたママとジャックにとっては試練だったのです。ここがリアルですね~。劇的に助かって、よかった!で終わりじゃないんですよ。



※ネタバレ第三段階(ラストまで)



おばあちゃんはジャックのことをとても愛してくれますが、おじいちゃんはジャックのことを直視出来ません。やはり誘拐犯の子であるということが、彼をそうさせているようです。このおじいちゃんの気持ちもわからないでもないんですよね・・・。娘が帰って来て嬉しいけど、父親が誘拐犯の子を受け入れられない複雑な気持ちなんだと思います。そのことでママとおじいちゃんは喧嘩をし、おじいちゃんは自分の家に帰ってしまうのでした。おじいちゃんとおばあちゃんは離婚していて、おばあちゃんは新しいおじいちゃんのレオ(トム・マッカムス)と一緒に暮らしています。この人はいい人だったので、ジャックは少しづつ彼と仲良くなって行きます。

少しづつ、少しづつ、普通の5歳児が体験するようなことを覚えて行くジャック。ここも涙なしには見られません。ああ~、どうか幸せになっておくれ・・・と見守ります。それに外に出てからのジェイコブくんの演技が脱出時にひけを取らないくらい素晴らしいんですね。これって子役なんだよね?演技なんだよね?っ てくらいナチュラルなんですよ。

勇気のあるママはメディアのインタビューに応じることになりました。やっぱりインタビュアーからデリケートなことも聞かれちゃうんですよ。「息子さんが大きくなったときに、父親のことをどう説明しますか?」とか・・・。ママは「息子には父親がいません。誰も父親ではない、私一人で生んで育てた子なんですから」と答えるんですね。これは本当にそうだと思いますよ。あの部屋でママ一人で生んで、ママ一人でこんなに賢くていい子に育てたんだもの。しかし後に鬱状態になったママは自殺を図り、病院に搬送されます。

一方ジャックは、新しい世界に少しづつ触れて行きます。同じ年頃の子とボール遊びをしたり、おじいちゃんのレオが連れて来た子犬と遊んだり。この新しい体験がいちいち泣かせるんですよ。ああ、この子には無限に広がる未来がある。どうか健やかに幸せに育っておくれ・・・と願わずにはいられません。きっと孫がいるってこんな感じ?と、擬似的に彼の祖父母のようになった体験をさせてくれるんです。監禁されていたときからずっと女の子のようなロングヘアを保っていたジャックですが、ある日おばあちゃんにヘアカットしてほしいと頼みます。5歳児ながら自らの過去に決別して未来に踏み出そうとしているんですよ。このいじらしさに涙。髪を切ってもらった後に「おばあちゃん、愛してるよ」って言うんですが、涙が次から次に溢れて来るシーンです。

ママが病院から家に帰って来ました。ママは前よりも少し元気になったみたいです。ジャックはママと一緒に警官に付き添われ、あの部屋を訪れます。部屋は一方の壁が取り外されていました。ママと一緒に暮らしていた部屋ですが、今はまるで違ったように見えます。まるで、縮んでしまったみたい。町山さんがポッドキャストで仰っていましたが、昔通ってた小学校とか、子供の頃住んでいた街とかを大人になって訪れると「こんな小さかったっけ?」とビックリしますよね。救出されてからそんなに時間の経過していないジャックでもそう思ってるんですよ。子供の成長は早いのう。ジャックは部屋の中にある様々なモノに触れて、ひとつづつに「さよなら」と言います。ここも号泣。部屋にいたときも、朝起きると「おはよう、ベッド」、「おはよう、洗面台」、「おはよう、テーブル」とひとつひとつのものに挨拶していたんですね。それらに別れを告げるんです。5歳児ながら自らの過去に決別して未来に踏み出そうとしているんですよ(二度目)。

くうー!!!この子はどこまでオバチャンの涙を搾り取るのだ!と目頭を押さえる筆者。希望を感じさせる本当にいいエンディングでした。発端となった事件は本当に想像を絶する様なひどいものですが、そういったものをすべて浄化させるようなジャックの純粋さが輝いていました。ママも素晴らしかったけど、本当にジェイコブくんが素晴らしくてオスカー主演男優賞5年分くらいあげたいですよ。この子天才だよ!オスカーはかすってないですが、アメリカでは様々な賞にノミネートされたり受賞したりしてるみたいですね。マコーレー・カルキンみたいにならずに無事に成長して欲しいものです。

監督のレニー・アブラハムソンの手腕も素晴らしかったですね。作品賞、監督賞、そして脚色賞にノミネートされています。これには文句なしでしょう。レニー監督はおファスの「FRANK」を監督されている方でした。うーん、FRANKあんまり面白くなかったけど、これも繊細な映画でしたね。主要部門でひとつは受賞しそうな気がしますが、どうなるでしょうか。とにかく筆者には、今まで観たことのないジャンルの新鮮な映画でした。

『マン・オブ・スティール』スーパーマンの萌え要素もっと投下希望


        



ヘンリー・カヴィル主演作なのでチェック。公開時に観たという友人は「全然面白くなかった」と言っていたので、なら別に観なくていいや~、まあそもそも興味ないし~、それにマーベル映画でもないし~とスルー。それから数年後・・・まさか「コードネーム U.N.C.L.E.」で生けるギリシャ彫刻のようなカヴィル氏のエロくダンディーな魅力に目を焼かれて、彼の出演作を追いかけることになるとは当時の私は知る由もなかったのでした。

ということでスーパーマンですよ。なんかマーベル・シネマティック・ユニバースの対抗勢力としてDCコミックという出版社刊行のアメコミヒーローたちによるジャスティス・リーグというのが出来るらしい、そこにはスーパーマンやバットマンやワンダーウーマンその他大勢のヒーローがいて、アベンジャーズみたいに全員集合しちゃうらしい・・・ということで、この春の新作公開前に旧作をチェックするいい機会でもあったのでした。








※特にネタバレはしておりません。



ハッキリ言って、スーパーマンの話なのにそんなにスカっとする面白い映画ではないです。なんか暗いし、ひたすら大量の建物が壊滅されてて引くし。しかも2時間23分の長尺!それに重々しいんですよね・・・。監督は残酷&エロスがほとばしっていた「300 帝国の進撃」のザック・スナイダーですが、制作がシリアス&ダークにバットマンを撮ったクリストファー・ノーランということも影響しているのでしょうか。ノーランのバットマン、そこそこ面白かったんですけどね(特に故ヒース・レジャーのジョーカーは後世に残る名演技)。でも、ジャスティス・リーグのバットマンはクリスチャン・ベールじゃなくてベン・アフレックだとか・・・(ベンはデアデビルじゃなかったっけ?)。これには「え~」って感じ。だってクリスチャン・ベールの方がイケメンじゃないですか?

特殊効果はもの凄く頑張っててお金かかってる感じがするんだけど、なぜか爽快感とカタルシスを与えてくれない。消化不良な感じなんですよ(そんでひたすら長い)。しかし俳優陣はとても魅力的だったし頑張ってました。スーパーマンのパパにラッセル・クロウ。育てのパパにケビン・コスナー。この二人のパパが豪華かつ確かな演技力で脇をビシっと締めていましたね。ヒロインのジャーナリスト、ルイスにエイミー・アダムス。当時37歳。スーパーヒーローもののヒロインにしちゃ、結構なババアじゃ・・・?って思っちゃうんですが、そこが逆にいい。若い女優には出せない味があるし、ヒロインの年齢を高くしたことでアラフォー女性にもアピールするんじゃないかと思いました。若いカヴィル氏とのバランスもいいと思います。悪役ゾッド将軍にはヤング・クリストファー・ウォーケンのマイケル・シャノン。やっぱりこういう荒唐無稽なアメコミ映画には演技派で上手な役者さんでないと・・・と思いましたね。

そしてそして、主人公のクラーク・ケントに我らがヘンリー・カヴィル!もうこの役をやる為に 生まれて来ました!!!みたいな顔と身体。あまりに完璧すぎるので、もしかして実在の人物ではなく、すべてCGなんじゃ・・・?と思うくらいです。クラークのパーソナリティーがちょっとボンクラテイストなのがいいですね。漁船で働いているときに大きな鉄のカゴが上から落ちて来るんですが、ボーっとしていて仲間に「何やってんだ!そんなんじゃ船の上で死んじまうぞ!」って助けられる。でもその後、たったひとりで海から石油を抽出する施設が爆発しそうになってるのを助けに行くんですよ。ちょっとだけボーっとしてるけど気は優しくて力持ち。33歳になってるのに季節労働をしながら旅をするみたいな設定もいいし、育てのおかん(ダイアン・レイン)と良い関係を築いているのもいい。それに・・・そこはかとなく漂うDT感がいい!キャプテン・アメリカもそうだけど、スーパーヒーローにとって童貞設定って全然恥ずべきことじゃないと思うんです。むしろプラス、魅力、萌え要素。あんなにエエ身体しとるのに・・・スーパーヒーローやのに・・・ってギャップもたまりません。ラストではダサい黒縁メガネをかけチェックのシャツを着てデイリー・プラネットで働くことになるんですが、そのセンスにも萌え~!!!なのであります。

前述した萌えポインツは決して「どや、萌えるやろ?」と強調して描かれていた訳ではなく、筆者が勝手に汲み取ってそれを自家発電的に増幅させて萌えているのですが、こういう燃料が劇中であちこちに投下されていれば、もっともっと楽しい映画になったんじゃないかな~と思います。そう考えるとちょっともったいないですね。一作目だし長尺なんだからアクションよりも内面をもっと掘り下げて欲しかったかな。クラークはクリプトンと地球の間で色々悩んではいたんですが、それもちょっと弱かったように感じました。とにかく、素材(俳優)はいいのに調理法(演出)がイマイチ。ということで、3月 に公開される「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」に期待したいと思います。ベン・アフレックのバットマンはちょっと大丈夫かな〜って不安ですが。


『Joy 』オスカー主演女優賞ノミネート、でも映画としては凡作





さてオスカーのノミネートも発表されたし、こちらの方もチェックしていかなければなりません。なるべく多くの作品を発表までに観て、一体感を味わいたいものです。ということで、まずは手始めに軽めのものから。ジェニファー・ローレンスがまたもや主演女優賞にノミネートされている映画です。アイディア商品を通販で売って大成功した主婦のサクセス・ストーリーらしい、という程度の情報で鑑賞してきました。

う〜ん、面白くないわけじゃないけど、軽い。オスカーの候補になるにはライトすぎるような気がする・・・と言ったところです。ゴールデングローブ賞のコメディー・ミュージカル部門の作品賞と女優賞にノミネートされ女優賞で受賞していますが、アカデミー賞はないんじゃないかなあと思います(もう一度もらってるしね)。しかしジェニファー・ローレンスは業界での人気が高そうですね。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)



シングルマザーのジョイ(ジェニファー・ローレス)は一家の大黒柱。優しいおばあちゃん(ダイアン・ラッド)と、いつもテレビにかじりついているお母さん(バージニア・マドセン)と二人の子供たちと一緒に暮らしています。離婚した夫トニー(エドガー・ラミレス)が地下室に間借りしているという風変わりな家族。そこへ今嫁と別れたお父さん(ロバート・デ・ニーロ)が転がり込んできます。面倒ばかりかける家族にウンザリしているジョイ。実は彼女は発明や創意工夫に対する情熱を持っていました。ジョイのお父さんは雑誌の交際欄で知り合った新しい恋人トルーディー(イザベラ・ロッセリーニ)と付き合い始めます。トルーディーのボートで割れたワイングラスを片付けたジョイは、モップを絞る時に中にあった破片で手を切ってしまいます。それに着想を得て、取り外し出来るモップヘッドを考案し、プロトタイプを作ろうとしますが・・・という導入部です。

これは89年の話なんですが、取り外し出来るモップヘッドってアメリカになかったんだ・・・と意外でしたね。ジョイが発明したモップヘッドはそのまま洗濯機で洗えて新品のようになります!というのも売りのひとつ。えっ・・・床を拭いて汚れたモップヘッドを洗濯機に入れちゃうんだ・・・とこれもプチ・カルチャーショックですよ。友人から聞いた話ですが、欧米は洗濯機を2つ持ちして、汚いものを洗う洗濯機とそうでない洗濯機と使い分けている家庭もあるんだそうです。へえー!ちなみに筆者が住む中欧某国、義理の祖母も母も床掃除にはモップを使っています。筆者は小学校のころに学校でモップを使って以来ご無沙汰なので、どうもモップには抵抗があるというか馴染みがありません。水を絞る機械がついたバケツみたいなのがあるじゃないですか。あれに溜まった汚水を見るのも地味にイヤ・・・。日本式だと掃除機をかけて、その後ウェットのクイックルワイパーで拭くのがスタンダードですよね。

だから引っ越して来たときにクイックルワイパー的なものを探したんですよ。スーパーやホームセンターを何軒も回ったけど見つからず。ウェットになったシートは売ってましたが、スティックがない!どこにもない!!!義理の母に除菌も出来て使い捨てのクイックルワイパーの利点を説明すると「すごく合理的ね」と感心していました。ローカルも感心する商品なのにどこにもスティックが売ってない!だから帰省のときに買って持って来ましたよ、スティックを・・・。なんか情けなかったですね。こんなモノさえも日本から持って来なきゃいけない国に住んでるのかと思うと。でも思ったんですが、床面積が日本よりも広い為にウェットシートだと限界があるんじゃないかと。広いから拭き掃除の途中でウェットシートが乾いてしまうんですね。だから水で濡れ拭きしたほうが合理的で経済的なのかもしれません・・・。などと拭き掃除について長々と語ってしまいましたが、やっぱり除菌も出来るクイックルワイパーは素晴らしい商品です。



※ネタバレ第二段階(ラストまで)



ヒロインのジョイは小さい頃から何かをクリエイトするのが好きだったので、渾身の取り外しモップを作り親友ジャッキー(ダーシャ・ポランコ)と一緒にKマートの駐車場で寒空の下デモンストレーションするんですが、もちろん全然売れません。どちらかがサクラのフリをして、やっと人が集まったと思ったら警察が来て「敷地内で商売しないで下さい」と子供の前で怒られます。それを偶然通りかかった元夫にも見られます。最初はうまくいかなくって大変なんですが、やっぱりどん底描写がちょっと甘いんですよね(「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」も同じ)。こんな生活やだ、発明で一発当てて自分のビジネス切り開いたる!ってハングリー精神もそこまで強く描かれてなかったように感じます。

しかし別れても良好な関係を続けていた元夫が、通販会社の重役との間をつないでくれるんですよ。「一番仲の良い離婚カップル」と語り部になっているヒロインのおばあちゃんが言っていましたが、ヒロインの人間力が素晴らしいんですね。そしてほっぺたがプクプクの庶民派なジェニファー・ローレンスだから、応援したくなる。キャスティングは最高だと思います。しかし、彼女の演技力をもっと活かせる脚本でないのが残念と言えば残念。さて、元夫に紹介してもらった通販会社の重役ニールとは・・・ブラッドリー・クーパーでした。あれ、この二人のカップリング、それにデ・ニーロのお父ちゃん、これはもしかして「世界にひとつのプレイブック」と同じ監督かい?とここで気が付く私(遅い)。

デヴィッド・O・ラッセル監督と役者陣は「アメリカン・ハッスル」でも組んでいるので、非常に相性抜群&仕事しやすいのだとは思いますが、正直「またかよ!」って感じもしますね。「アメリカン・ハッスル」でジェニファー・ローレンスがゴム手袋してキレ気味にダンスしながら掃除するシーンは最高でしたが、この映画にはそういうドメスティックな面白みが足りてないように思いました。しかしやっぱりジェニファー・ローレンスとブラッドリーさんのスクリーン上の相性はすごくいいんですよね。ビジネスパートナーでロマンスには発展しないんですが、彼らがビジネスの関係を作り上げて行く過程はしっかりと描かれていたように思います。

通販番組でモップを売ることが決まって喜ぶジョイと家族ですが、パーソナリティーがデモに失敗したせいで大量の在庫を抱えてしまいます。ジョイは再びニールに直談判して今度は自身が番組でデモをすることに。衣装ではなく気取らないいつもの格好でテレビに出たジョイですが、初めてなので生中継に固まってしまいます。放送事故になりかけのとき、親友のジャッキーがお客さんとして電話をかけてきてくれるのでした(機転のきく、ええ友達や)。それで緊張のほぐれたジョイは立て板に水、素晴らしいデモをして注文が殺到。ここはドラマチックに撮られていて、ちょっと涙ぐんでしまいました。

その後もスマッシュヒットを飛ばしたモップですが、立て続けに不幸がジョイを襲います。愛するおばあちゃんの急逝、パテントを盗んだ会社とのトラブル、それによる多額の借金そして自己破産。しかしジョイは負けません。資料を調べ上げて有利になる証拠を掴み、直接敵側と交渉して勝利を収めるのでした。シングルマザーが持ち前のガッツで何か大きなことを成し遂げるというのは、ジュリア・ロバーツ主演の「エリン・ブロコビッチ」みたい。その後、ビジネスは順調に成長しますが、デ・ニーロのお父さんと異母姉妹と経営でモメたりもしたようです。でもお父さんの面倒を最後までキッチリ見て、揺るぎないビジネスウーマンになったジョイは昔の自分と同じように発明をする若い女性をサポートしたりもしています。小さい頃に作った紙の工作を見つめて「ここまで来たんだわ」と人生を振り返るのでした。

長いタイムスパンのお話なので難しいかもしれないんですが、なんかシーンごとに出来が全然違うんですよね。一番の盛り上がりは生中継の通販でジョイがモップを売るところ。そこは素晴らしかったんですが、あとは特筆するべきところが見当たらない平凡な出来だったと思います。家族の人数が多過ぎてメンバー各人とジョイとの絆もなんか薄まっちゃった感じがしましたし・・・(ジョイと二番目の子供はほとんど話してなかった気がする)。あとやっぱり筆者はベタな浪花節が好きなので、どん底描写をもっと描いて欲しかったかなあ。イライラしたジョイが近所のおじさんのライフルを借りて打つシーンはよかったですが、たとえばジョイがテレビばっかり見てるお母さんにキレて、テレビを窓から投げたりとかしてもよかったと思うんですよ。それで仕事が成功した後で、お母さんの部屋に新しいテレビが置いてあればなんかいいじゃないですか。

今回の感想を書くにあたってラッセル監督の「世界にひとつのプレイブック」と「アメリカン・ハッスル」の感想を読み直してみたんですが、結構けなしていました。本作もつまらない映画じゃないんだけど何かが足りない。何かが3つくらい足りないんですよ。やっぱり過大評価されてんじゃないかな〜。彼の作品を全部観た訳じゃないですが、ラッセル監督作品と筆者は合わないんだな、と思った次第です。俳優や女優を輝かせる手腕はあるのだから余計なお世話かもしれませんが、これからは兼脚本しないで監督に専念した方が良いのではないかと。あとジェニファーやブラッドレーさんに代わる新しいスターを探した方が寿命が伸びるんじゃないかと思いました。




『ノック・ノック』これこそがリアル・ゲスの極み乙女。






グリーン・インフェルノ」の監督&主演女優コンビ+キアヌのエロホラー映画です。「グリーン・インフェルノ」はまあ良かったんだけども、「食人族」と比べてしまうとどうもエグみが足りなくてちょっと残念だったんですよね・・・。やはりリアルにカメやサルを殺して食べている映画にはかないませんかね・・・。だからその分、本作に期待していたんですが見事にやってくれました。本作も「メイクアップ」という映画のリメイクなので、オリジナルと比較してしまうともの足りないのかもしれませんが、現時点では非常に面白かったと言えます。まさか「ジョン・ウィック」に続けてキアヌの映画をこんなに短期間で観るとは思いませんでした(笑)。

いつも通りなるべく事前情報を入れずにいたつもりなんですが、留守宅のキアヌの家にエロいギャルが二人やってきて大変なことになる・・・というザックリとした情報はどっかからインプットされてしまっていましたね。まあイッツオーライ。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)



モダンな豪邸ばかりが立ち並ぶ、カリフォルニアの高級住宅地。カメラはゆっくりと一軒の家に入り、誰もいない家の廊下を進みます。廊下の突き当たりにはイケメンなパパ(キアヌ・リーブズ)と綺麗なママ(イグナシア・アラマンド)、そして可愛い子供たちが幸せそうに微笑むポートレイトが飾られています。家族で全員集合している写真、各人のアップになった写真、そして子供たちが描いた絵や工作も、工夫を凝らしてデコレーションされています。ああ、きっとこの非の打ち所のないパーフェクト・ファミリーが、彼らのホーム・スイート・ホームがこの後グチャグチャに蹂躙されてしまうんだな・・・と思わず身震いがします。

アメリカ映画に出て来る家に家族の写真がたくさん飾られているのはよく見ますが、この家はかなり凝っている方で絵画みたいなサイズに大きく引き延ばしてあるものばかり 。ここ、個人的にはちょっと違和感が。クリスマスの野外電飾に妙に気合いの入っている家って、実は家庭不和を抱えていたりする・・・という話を聞いたからでしょうか、家族ラブを表現すればする程「ちょっと大丈夫なのかな?」って思ったりしちゃう筆者はヒネクレモノなのです。まあこの映画はアメリカの話なので、そんな裏読みは無用。

広くて美しい家に住む、絵に描いた様な幸せな家族。パパとママは今でもラブラブで、子供たちは父の日のプレゼントとして文字盤に彼らの写真をいっぱい貼付けた目覚まし時計をプレゼントするのでした。家の中にはカラフルなオブジェがたくさん。どうやらママは現代アートの作家のようです。これからママと子供たちは週末旅行に出かけるのですが、パパはお仕事があるのでお家でひとりお留守番。パパは名残惜しそうにママと子供たちを見送るのでした。さ~て!(もみ手)妻子が消えて、これから何が始まるのだろうか・・・とゲスな期待が膨らみます。

外は雨。パパはパソコンに向かってお仕事。彼は建築家なんですね。建築家に芸術家のカップルってのがまたコレ・・・って感じですな。すると、誰かがドアをコンコンとノックする音が聞こえます。「こんな雨の夜更けに誰だろう?」とパパがドアを開けると、ずぶ濡れTシャツ選手権の決勝戦のように、Tシャツが肌にピッタリと張り付きブラが透けているギャル二人組が震えながら立っていたのでした(笑)。キター!もうここで心の中ではガッツポーズです。

彼女達は界隈の家で行われるパーティーに招かれていたのですが、道に迷ってしまったということ。 周囲の家は週末旅行でみんな留守で(ここ伏線か)、インターホンを押し続けてここまで来てしまったのでした。タクシーもつかまらないし携帯は電池切れだし、外は土砂降りでギャルはくしゃみをしています。親切なパパはギャルたちを家に上げてインターネットを使わせてあげることに。「本当に助かります~う」という彼女たち。タクシーが来るまでに45分かかるので、その間に服を乾かしてあげるパパ。黒髪ロングの方のギャルがジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)で、金髪ボブの方がベラ(アナ・デ・アルマス)。バスローブ姿になったノリのよくて若い彼女たちに、パパはちょっとドギマギ。

最初は普通の会話をしていたのですが、だんだんとエロいテンションになっていく彼女たち。話題がセックスに なったりして緊張感が走ります(キアヌと筆者に)。バスローブもゆるい感じで着ていて、なんだったら見えるんじゃないかとハラハラします。家の中にあったDJ機材を見て「すごーい」と喜ぶギャルたち。パパは昔DJをしていたのです。DJから建築家っていうドラマチックすぎるキャリアチェンジ(しかもどちらの職業も女にモテそう)をしたパパ、またコレが・・・って感じですね。リア充であればあるほど、それがどのように破壊されていくのかという期待にブルブルと震える筆者(笑)。彼女たちがシャワーを浴びたいというので、バスルームを使わせてあげるんですが、もうここまで来るとちょっとアウトな感じですね・・・。そもそもギャルとはいえストレンジャーを家に上げちゃダメなんですよ!危機管理能力が低過ぎる(まあドアをノックノックされて開けないと話が始まらないのだが)。

頼んでいたタクシーがやっと到着しました。パパはタオルを持ってバスルームに行きます。 「おーい、君たち、タクシー着てるよ!服も乾いているから早く出なさい」とパパ。しかし、バスルームからはギャルたちがキャッキャとじゃれ合う声ばかりが聞こえます。「ちょっと、聞こえてるの?入るよ。見ないようにするから、タオルを取りなさい」とバスルームに入るパパ(これもアウトだろう)。すると「ふふふ、三人でいいことしない?」とニンフォマニアックのようなネットリした視線で迫って来るギャル二人。「ちょっと君たち!何をするんだ、やめなさい、やめるんだ!やめ・・・」と、パパはファスナーを下ろされ、ギャル二人にいいようにされてしまうのでした。

ネタ元だとこの場面はかなりエロチックなんだそうなんですが、本作は控えめなのかも。でも半透明になったシャワーブースに身体が押し付けられたりするのを外側から見たショットは、かなりのエロホラーテイストでした。クレジットには役者さんのボディダブルの名前があったので、本物じゃないみたいですね。妻子が留守中、誘惑に打ち勝てずギャル二人とメナージュ・ア・トワをしてしまったパパ・・・。あ~あ。本当、あ~あですよ。やっぱ男ってのはこうも誘惑に弱い生き物なんでしょうかね。冒頭では、パーフェクト・ファミリーが蹂躙されるのが楽しみで震えていたくせに、そうなったらなったでちょっとガッカリしたりして勝手なもんです(笑)。



※ネタバレ第二段階(ラストまで行きます)




翌朝、パパが目覚めるとギャル二人組はキッチンでパンケーキを焼いていました。しかし、キッチンがグチャグチャです。しかも ちょっと病的な感じの乱れ具合。食べ物を投げて遊ぶギャル二人(このシーンはちょっとだけ「ひなぎく」みたい)。パパは急に正気に返り「今すぐ服を着て出て行ってくれ」と言うのでした。ここから事態はどんどん深刻になり、パパはドアを開けてしまったことを禿げ上がる程後悔するハメになります。

その後ギャルたちはギャラリーへ搬出する予定だった妻のアート作品にもいたずら書きをしたりして、パパをキレさせます。キレたパパは警察に電話しようとしますが、「電話すれば?未成年淫行になっちゃうけど」と言う放つギャルたち。なんと、彼女たちはまだミドルティーンだったのでした・・・!OMFG・・・!ギャルを演じるロレンツァ・イッツォもかなり若くみえるし、金髪の方のアナ・デ・アルマスは超ロリ顔なんですよね。ちょっとキャベツ人形(80年代に流行ったおもちゃ) ぽい顔で、でもエロいという最強ロリエロ顔なんですよ。深いクソの中にはまったパパは、とにかく彼女たちを車に乗せて家の近くまで送り届けるのでした。

その夜、やりかけのお仕事をしていたパパは物音を聞き、リビングへ。後ろから殴られて気絶。それは黒髪ギャルのジェネシスでした。ちなみにジェネシスってのは「創世記」という意味があるそう。そういえば「猿の惑星 創世記」もジェネシスって読ませていましたね。アメリカ的キラキラネームなんでしょうか。パパが目を覚ますとベッドに縛り付けられていました。寝室のドレッサーでは鼻歌を歌いながら目に隈取りメイクアップをほどこしているジェネシスが。そこへ娘の学校の制服を着てブリトニーの「Baby One More Time」のPVようになったベラがやって来ます。「ね~パパ、お願い」と言ってパパの上にまたがるベラ。パパの口の中には娘のパンツがねじ込まれます。怖いな、怖いな~。もちろん拒否するパパですが、「じゃあ奥さんに今すぐFaceTimeして昨日のことを話して」と言われると、彼女達に応じるしかありません(ここの足下の見られ感が情けないといえば情けない)。ふたりの行為をスマホで撮影するジェネシス。どうやらギャルたち(特に金髪のベラ)は幼い頃に性的虐待を受けたかなんかしたせいで、こんな風になってしまったのかな・・・?という感じもします。

その後、パパは椅子に縛られ彼女たちの即席クイズショーごっこのゲスト回答者にさせられます。不正解だったら、DJ機材とヘッドフォンを使っての聴覚拷問です(やりすぎると耳が聴こえなくなるらしい)。ここでは司会者に扮したジェネシスの仕切りがよかったですね。てかジョン・ウィックが形無しですよ・・・。しかし、キアヌだと不思議と違和感がない。な〜んか押しに弱そうだし、縛られて口の中に娘のパンツをねじこまれている姿もわりとスンナリと受け入れることが出来ます。この映画に出演したのもなかなかいいチョイスではないでしょうか。スーパーヒーローとこの役を違和感なく演じられるスターってあまりいないのでは?キアヌ・リーブスの演技の幅、意外と広し!とも思います。

パパが縛られているときに、ママのアート作品を引き取りにルイス(アーロン・バーンズ)がやってきます。「しめた!」と目に光が戻るパパ。ギャル二人が留守宅を預かっているふりをして応対します。ところがギャルたちによってズタズタになったママのアート作品を見てルイスはビックリ。ママはバルセロナ育ちでガウディに影響されているアーティストなんですね。でボコボコした大きくてカラフルなオブジェを制作してるんですが、それに卑猥な落書きがいっぱいされてるんです。アートのことはわかりませんが今って何でもありみたいだし、この方が逆に現代アートっぽいのでは?と思ったりしました(笑)。ルイスは喘息の呼吸器をギャルたちに奪われ、取り返そうとしたときに横転して頭を打ち死亡。「マジ受ける~」というテンションのギャルたちは彼の死体に新聞紙を貼り、ママが作っているオブジェのように仕立てあげるのでした(「MoMAに持ってこうか」って現代アート不謹慎ギャグもあり。ママのアート作品の造形もわりと適当な感じだったりして、なんとなく全体的に現代アートをおちょくっている感もします)。ルイスとパパがママを巡って争っていたというアリバイをメッセンジャーででっちあげるのも忘れないギャルたちなのでした。

椅子に縛り付けられたパパは「どうしてこんなことをするんだ!俺はまっとうに生きて来た、いい夫でいい父親なんだ!妻を、子供たちをなによりも愛してるんだ!」とシャウトします。「じゃあなんで、昨日うちらと3Pしたのよ?」とギャルたち 。グウの音も出ません・・・。あれだけ目を覆う様な悪事を働いて来たギャルたちが吐く、目を開けられないほど眩しくてまっとうすぎる正論!!!一夜の過ちが、こんな大きな代償で帰って来るとは・・・・。まさに「チ◯コ一秒、後悔一生」ですな・・・。ギャルたちはパパを私刑にかけます。ペナルティーは死!夜明けに処刑ということで、ギャルたちはパパの側に時計を置きます。それは、子供たちが父の日にプレゼントしてくれた写真がたくさんついた目覚まし時計・・・(ブラック!)。

ギャルたちは庭にパパを埋めるための穴を掘り、家中をさらにメチャクチャにします。ママのアート作品をズタズタにし、子供部屋をめちゃくちゃにし、元DJだったパパのレア なレコードをお煎餅みたいにバリバリに割りまくります。文字通り、家庭クラッシャー!その途中でギャルたちはインテリアの中に隠されていたピストルを見つけます。パパを縛り付けていた縄をほどいて、かくれんぼをしようと提案するジェネシス。家の中のどこかに夜明けまで隠れていられたなら助けてあげるという条件を出して来ました。パパが家の外に出たら打つというルールです。ゲスいな~!でも最高だ!結局、縄を解かれて家から逃げようとしたパパはまた捕まってしまうのでした。

日が登り、パパは縄付きのまま転がされて庭の穴に入れて顔だけ出して埋められます。パパがどんなに泣き叫んでも、誰も助けに来ません。だってご近所さんはみんな週末旅行に出かけて留守なんだから!(伏線回収)。そういえば、ギ ャルたちが来た翌朝にママのアートファンでもあるオバチャンが家に「何か手伝うことある~?」ってやって来たけど、ジェネシスが追い返していたのでした。あのオバチャンが今来ていれば・・・!「なんでもやるから命だけは助けてくれ!」と言うパパ必死の懇願に、ギャルたちは家族に電話してすべてを打ち明けろと言います。今までそれは断固拒否してきたパパですが、もう本当にヤバいので「やるやる!」という感じになってます。自らの命と引き換えにしたら、何だって出来る。命があれば、何でも出来る!オマージュ・ア・イノキですよ。

パパはママの留守電に「コール911!」とシャウトしますが、すぐにギャルたちに切られてしまうのでした。ジェネシスは鈍器(ママが作った家族四人を象ったレリーフ)で地面から出たパパの頭をカチ割ろうとします。「ノー!!!」と泣き叫ぶパパ。ところが、鈍器が落ちたのはパパの頭の隣。脅しだったのです。笑い転げるギャル。実はこの二人、パパのことを事前に色々と調べ上げて、エロいギャルからの誘惑に打ち勝てる男を探すゲームのターゲットとしていたのでした。彼女たちによると、今のところ誰も打ち勝った人はいないとか。「いい夫、いい父親って言っててもみんな中身は同じよ」と冷めた目で言い放つジェネシス。そしてミドルティーンだと思われていた彼女たちはサバを読んでいたことを告げるのでした(既に二人とも成人済み)。これこそ真にリアル・ゲスの極み乙女。

一度は去りかけたギャルたちでしたがパパのスマホを返しつつ「SNS にログインしっぱなしは危険よ」と言って、制服姿のベラとパパがファックしている動画をポストしパパの目の前に置いて姿を消すのでした。その後、動画には沢山のアンフレンドリーなコメントが・・・。パパはなんとか手を土の中から出して削除ボタンを押そうとしますが、手元が狂って「イイネ!」ボタンを押してしまい「ノォー!!!」となるのでした(笑)。オープニングと同じカメラワークでメチャクチャに荒らされて落書きされた家の中が映されます。これで終わりか・・・と思ったら、ママと子供たちが帰って来るシーンでラストでした。カギを開けて明らかな異変に気付くママ。荒らされた部屋を見て「パパ、パーティーしたんだね」と言う子供。これでEND。

いやー面白かった!最高じゃないですか?タイプの違うギャル二人組でエロいというのも説得力がありましたし、ブラックな笑いが随所に散りばめられ、「家族を愛している」と公言しつつもセックスに負けてしまう男のダブルスタンダードっぷりや、「じゃあ奥さんに今すぐ電話して!」→「いやそれだけは勘弁!」という浮気をネタに足下を見られてゆすられる情けなさみたいなものも存分に描き切っていたと思います。マトリックスのネオでジョン・ウィックなキアヌがもう可哀相なくらいボロボロになって醜態を晒しまくっていましたが、逆に好感度アップですよ。ただ、どうしたって爽やかでクリーンなイメージがあるスターさんなので、もっとダブスタで欺瞞的な感じのある役者さんが演じた方が最後に溜飲が下がったかもしれませんね。う〜ん、最近離婚したベン・アフレックとか?

リアル・ゲスの極み乙女。で家庭クラッシャーなギャルたちですが、なんだか一本通った筋を感じますね。彼女たちの危険なゲームには「結婚(含む夫婦愛や家族愛)は性欲や誘惑に打ち勝つことが出来るのか?」という究極のテーマが内包されているんですよ。それを実証するために、良き夫良き父であると評判のターゲットを洗い出して調べ上げ、自らを実験台にして身体を張ってフィールドワークしている。きっと「今回のターゲットこそは、私達の誘惑にノーと言う・・・」という希望もどこかにあるんじゃないかなあ、と深読みしてしまうわけです。だから逆に彼女たちは「汝、不貞を働くなかれ」という結婚やモノガミーを信じたいのではないかなと思うんです。ゆえに、ターゲットに家族写真を見せて「本当に家族のこと愛してるの?」とか「罪悪感感じない?」と言ったりするし、去り際の彼女たちはフッと真顔になったりするんですよ。

彼女たちのそういう気持ち、筆者もちょっとわかります。まだ高校生だった頃に若い女性と浮気した親戚のおじさんの話を母親(彼女にとっては義理の兄の浮気話)から聞いたとき「ああコレで終わりだ。おじさんとおばさんは離婚するんだな」と思ったんですよ。一度誓ったものの汚された婚姻というものは、もうその時点で価値はなく終了になるものだと思っていたんですね。ところが母親は「そんなんでいちいち離婚してたら身が持たないわよ」とクールに言い放ったのです。「ええ?じゃあ、結婚の誓いを破った人とこれからも一緒に暮らすの?」と心底驚いたのでした。本当に、結婚というものは踏み荒らされていない真っ白な雪のようなコンディションを保つのがディフォルトだと信じて疑っていなかったので。今現在は劇中のキアヌの年齢の方に近づき、世の中のことを少しはわかったつもりではいるのですが。

しかし一皮剥いでみると欺瞞に満ちた家庭の内情(というかパパのダブスタ)を暴いて、矛盾に鋭く突っ込んで行くゲスの極み乙女。な二人組の所業は痛快そのもの。まあ罪のない人が一人、事故とはいえ死んでしまっているのですが。「何よりも家族を愛してる」と言うオノレの言葉にガチで責任持たんかい!という反面教師的な映画でもあるのでした。でもまあ、濡れ透けTを着たギャルが「クチュン!」と可愛いくしゃみをしてブルブル震えていたら、たいていの男は親切にしちゃいますよね(笑)。

追記(2016.6.11):ブログサブタイトルにつけた「これこぞがリアル・ゲスの極み乙女。」だが、アップ時にはホットだった話題もその後によりゲスな有名人の不倫スキャンダルが続出したために、すっかり気が抜けた炭酸飲料のようになってしまった。人の世の流れの早さを感じ無常感に浸るのであった。


『人生万歳!』紆余曲折後、み〜んなリア充に!



       



なんで観たかと言うと、ソロ・・・もといヘンリー・カヴィルが出演しているからです。ウディ・アレンの映画はまあ好きな方で色々観てはいたんですが、これは偏屈ジジイが主役ということで敬遠していたんですね。でも他でもないソロが出てるんならそりゃ、見るわい!ということでの鑑賞です。ヘンリー・カヴィルの他に「コードネーム U.N.C.L.E.」に出ていたアーミー・ハマーやアリシア・ヴィキャンデル出演映画のチェックもしなきゃなんないし、アカデミー賞ノミネート作品も観に行かなきゃいけないし、ああ~忙しい、忙しい!






※ネタバレします。


ボリス(ラリー・デヴィッド)は自他ともに認める偏屈ジジイ。頭の良いことを鼻にかけ、いつも理論武装をして相手が子供だろうと誰だろうと論破するのが得意。妻とは離婚して一人でニューヨークのアパートに暮らしています。そんなある日、南部の田舎から出て来た娘メロディ(エヴァン・レイチェル・ウッド)が彼のアパートに転がり込んできます。最初はお情けでメロディを置いてやっていたボリスですが、メロディから愛を告白されなんと結婚することに。その後、メロディのお母さんマリエッタ(パトリシア・クラークソン)とお父さんジョン(エド・ベ グリー・Jr)も彼女を追いかけてニューヨークへやって来ます。ここでひと騒動起こり、紆余曲折あったのちにそれぞれが意外な落としどころを見つけて最終的にはリア充になって行くというお話です。

そんなこと、あるわけ、ないだろ!!!
ということばかりが起こりまくるハイカロリーなコメディーなんですが、あれよあれよと見ているうちに「ハハハ、まあいっか~」という感じになる映画でしたね。どう考えてもウディ本人のセルフパロディーのような老人が主人公。ウディのオドオド感を取ってインテリヤクザ感を増幅させたようなおじいさんなんです。激情型なペシミストでもあるようで、元妻と別れ話してるときに飛び降り自殺を図りますが幸いなことに(?)命を取り留めて今は後遺症で脚を悪くしているという、ウディ・アレンのニューヨーク・コメディ映画の登場人物とはこうあるべきである、というお手本の様なキャラクターだと思います。

彼が観客に向かって自論をドヤ顔で話す話す。「おい、見ているオマエら!俺の話を聞け!」ってことなんですが、やっぱり急に映画の中のキャラクターから話しかけられるとドキっとしますよね。このメタ視点にドキッ!なんか、観客にニーッと微笑むベルモンドが出ているヌーヴェル・ヴァーグ映画みたい。でもボリスはそんなキャラにもかかわらず、同世代の親しい友達がいるんですよ。家に友達を呼んでジャズ(?)セッションとかしたりして、嫌な奴だけど文化レベルも高いおじいさんなんです。

そんなある日、彼の家へ田舎娘が転がり込んで来るんですが・・・。これどういう エロ本?って思うじゃないですか。そもそも全く知らない他人を、可愛い女の子とはいえ家に入れるのも怖いよ!(確かイーライ・ロス監督の新作「Knock Knock」では、その後大惨事に・・・)この田舎娘、演じているのは誰?と思ったら、私の中でゴスなイメージの強かったエヴァン・レイチェル・ウッドと知ってビックリ。なんか目を隈取りしたメイクしかみたことなかったんで・・・。この子がモノを知らないけど可愛らしいイイ子なんですよ。しかもその子から愛を告白されるボリス。田舎娘から見ればニューヨークの偏屈ジジイが「色々知ってるし、知的でカッコイイ」みたいに見えたんでしょうか。ボリスは最初は取り合ってなかったけど、結局メロディと結婚するんです。

ファッション的にメロディの田舎から出て来たばかり感を演出していたのが、ヘアクリップである。色がついた小さいカニみたいなヘアクリップを両サイドにつけて髪を固定しているんですが、これがダサくてさすがだなあと思いました。「SATC」でキャリーが「シュシュをしてる女がマジありえない!」って大騒ぎしてたけど、それを思い出しましたね。ヘアアクセサリーは効果的にキャラを表すことが出来る優秀な小道具なんですな。

ボリスとメロディが結婚した後で、メロディのお母さんが二人のアパートやって来ます。このお母さんが大変身を遂げるのが一番面白かったですね。メロディのお父さんと別れたお母さんはしばらくニューヨークに滞在するんですが、ボリスの友達でアート系の仕事をやっているレオ(コンリース・ヒル)がお母さんをデート(なんと日本映画祭)に誘って、彼女の写真家としての才能を見抜きます。南部の保守的な主婦が、あっという間にニューヨークで写真家に!ドピンクのツーピースを着て、十字架のネックレスを付けていたお母さんがフリーダムなボヘミアンルックの自由な女に大・変・身するんですよ。頭にはヘッドドレス代わりのスカーフを巻き、フリンジがついているバッグを持ったりして。このフリンジバッグが出ただけで、彼女がどんな女になったかがわかる。やはり小道具が光っているのでした。

さらにお母さんはレオと、そのビジネスパートナーの男性と三人で同棲するという、マルグリット・デュラスみたいな自由&新し過ぎる恋愛を謳歌。傑作なのは、お母さんを捨てたお父さんが南部からやってきて復縁を迫るシーンです。お洒落なギャラリーで開かれたお母さんの個展に現れたお父さん。ヌード写真をつぎはぎしたような作品を目の前にして「なんじゃ、こりゃあ!」とまず驚きます。そして現同棲相手の二人のメンズを紹介されるも、まったく理解が追いつかないお父さん(笑)。「アナタ、私達一緒に暮らしてるのよ。メナージュ・ア・トワ (仏語で「三人の家庭」転じて「3P」)してるの」「えっ、なんだって?」「だから、メナージュ・ア・トワ!」もうここが最高でしたね。

幸せに暮らしていたボリスとメロディでしたが、もちろんお母さんは偏屈ジジイのボリスのことが気に入りません。イケメン青年ランディ(ヘンリー・カヴィル)とメロディをなんとかくっつけようと画策するのでした。はい、出ました!ヘンリー・カヴィル。若い~!可愛い~!初々しい~!2009年だから7年前で当時25歳くらいでしょうか。この7年ほどでかなりエロく不埒に成長したんだなあ~ということが見てとれます。というか、ヘンリー・カヴィルと偏屈ジジイのボリスという対比も月とスッポン過ぎてクラクラしてしまいますね。最初はイケメンにアプローチされても「私結婚してるのよ!」と突っぱねていたメロディですが、やはりイケメンと恋に落ちてしまうのでした(羨ましい)。

メロディから心変わりを告げられたボリスは取り乱さず、しかし寂しそうに「そうか、こんな日が来ることはわかってたよ」と言うのでした。しかもそのときのメロディは田舎から出て来たばかりの頃とは違って、ボリスの影響でちょっと深イイ会話みたいなのが出来るようになってたんですね。ピグマリオン(「マイ・フェア・レディ」の元ネタとなったギリシャ神話)の顛末は、育てて来た女の独立、巣立ち・・・いや切ない。そして、また悲観的になったボリスは前回と全く同じように投身自殺。しかし、通行人の女性の上に落ちたのでまた死にませんでした(笑)。その通行人の女性ヘレナ(ジェシカ・へクト)を病院に見舞うボリス。彼女の職業は占い師でした。「じゃあなんで、俺が落ちて来るのを予想出来なかったんだ?」とボリスが言うと「・・・たぶん、わかっていたのかも」とボリスを愛おしげに見つめる彼女。なんじゃそりゃ。

一方、メロディのお父さんですが、妻が新進気鋭のアーティストになって男二人と同棲しているのにショックを受けて、バーでうなだれながら独り酒。すると止まり木にいた男性客が話しかけて来ました。他人に「実は・・・」と打ち明けているうちになんとなく仲良くなって、彼と恋人同士に。大晦日の夜、ボリスと占い師、メロディとイケメン、お母さんと男二人、お父さんと彼の新しいボーイフレンドが大集合し、新年のカウントダウンを行います。紆余曲折あったけど、みんなが素敵な相手を見つけてとってもハッピー!!!なんじゃこりゃ〜、と大団円を迎えますが、またボリスが観客に向かって話しかけます。「Whatever works !(原題)」と・・・。

ハハハ・・・と苦笑い&リア充羨ましいという感情が混じった感じの最後でした。しかしメロディの両親を真逆に大変身させちゃうニューヨークってすごい街だなあ。世界中の人が何かを求めてニューヨークに行くってこういうことなのかなあ・・・などと思ってしまいました(笑)。しかし目当てのヘンリー・カヴィルだけに限って言うと、この映画のみではまだまだどういう才能を持ってる役者さんなのかは全然未知数でわかりませんね。この後も変遷をチェックして行きたいと思います。


『ジョン・ウィック』映画でもぼっちになったキアヌ

        

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キアヌ主演のアクションである。キアヌの映画を観るの、ものすっごく久しぶり・・・。とにかく元気そうでよかった!という感じですね。グーグルで「キアヌ」って検索するとサジェスチョンに「キアヌ ぼっち」って出ますよ。そんなところがなんとも言えないキュートさ&親近感を感じさせるハリウッドスターなのです。例によってタイトルと主演俳優以外まったく情報を入れずにの鑑賞です。


※特に核心部に触れるネタバレはしませんが、まっさら鑑賞をご希望の方はご注意ください。







タイトルロールのジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)は愛する妻(ブリジット・モイナハン)と死に別れた男。妻の葬儀で旧友と思われる男マーカス(ウィレム・デフォー)が顔を出します。ウィレム・デフォーが出てるってだけで「この映画は面白いんじゃないか・・・?」と期待値が少し上がります。恐らく「ニンフォマニアック」効果です(笑)。ジョンが家に帰ると、宅急便が。それは亡き妻が生前、彼の為に注文しておいた子犬でした。妻からの手紙を読み、男泣きするジョン。

この犬がビーグルの子犬なんですが、また可愛いんだ。ジョンにすぐ懐いて、一緒に寝たり背中にしがみついたりしてるんですよ。これで少しでも悲しみが癒えればいいんだがのう・・・と見守ります。しかし、ジョンが住んでいる家がめっちゃモダンな豪邸。あのー、ジョン・ウィックさん、お仕事は一体何を・・・?と彼のスペックが気になる筆者。カッコイイ車も複数台持ってるし、気になる~!そう、彼の仕事とは?まさにそこがこの映画のポイントなのでした。

ムシャクシャしたとき、ジョンは車で飛行場みたいなところに行き顔パスで入れてもらうんですよ。広い敷地内で思う存分車を走らせ、キュキュキュキュキュキュ〜!!!とハンドルさばきを披露するジョン。仕事、売れっ子のカースタントマンなのかな?と思うんですが、さにあらず。カッコイイ車でおでかけしたジョンはガソリンスタンドで給油しているときに、あるロシア系のチンピラ(アルフィー・アレン)から話しかけられます。「その車、いくらよ?」と嫌な感じで聞かれるんですが、「売り物じゃないんで」と断るジョン。すると「買えないものなんてねえんだよ」とチンピラがロシア語で言います。そのロシア語を解したジョンはさらにピシャリとした態度で断るのでした。

その後、チンピラは子分を連れて夜中ジョンの家に押し入り車を強奪。ジョンに暴行を加えて車を奪い、愛犬を殺して去って行くのでした。あああ、心の拠り所だった愛犬が・・・。押し入られた後、ジョンは自宅の隠し部屋に行き 、たくさんある武器を前にして何かを決心します。このロシアのチンピラは街を牛耳るロシアン・マフィア、ヴィゴ(ミカエル・ニクヴィスト)のドラ息子ヨセフでした。ヨセフの所業を車解体工場のオーナー(ジョン・レクザイモ)から聞いたヴィゴはバカ息子に言います。「このバカたれが!あいつが誰だかわかってんのか?お前、伝説の殺し屋ジョン・ウィックを怒らせたな!」と・・・。そう、ジョン・ウィックはその世界では超有名なヒットマンだったのです!(遅い?)

ということで、鉛筆だけで六人を殺した伝説のヒットマン、ジョン・ウィックは愛犬の仇を取る為、街のロシアン・マフィア壊滅に立ち上がるのでした・・・というお話です。キアヌが映画でもぼっちになってしまったわけか。いや~、でもやっぱり全く情報入れてなくて正解でしたね。豪邸に住んでるキアヌのお仕事、何~?って好奇心をかき立てられたし、バカ息子と同じようにマフィアの親父からキアヌの正体を聞いて「えっ・・・まさか、そんな奴だったとは!」ってビックリ出来ましたよ。このバカ息子のヨセフを演じている俳優さん、バカさ加減やどうしようもないドラ息子っぷりが結構上手です。でもどっかで見たことあるんだよな~って調べたら、なんとビックリ、ポップシンガーのリリー・アレンの実弟だったんですね!彼のことを歌った「アルフィー」って歌もあるって・・・?私、アンタの歌を仕事しながら聴いてたよ!と噂はよく聞いていた友人の弟に初めて会ったみたいな気分になったのでした(笑)。

ロシアン・マフィアのヴィゴがなんとか交渉しようとするも、お仕事モードに入ったジョンは聞く耳を持ちま せん。ヴィゴは何人も部下を送って彼を消そうとしますが、逆に壊滅状態に追い込まれるのでした。ガンアクションがメインの映画なんで、もうドンパチドンパチやり合うんですけど、結構アッサリとしたお味だな~って思いましたね。キアヌの顔のように、なんとなくお醤油風味のサッパリさがある。キアヌは柔道の背負い投げみたいな技も何回か披露していましたが、それもスパーン!!!って瞬時に決まる必殺技みたいな描き方じゃなくて、よっこらしょ!と文字通り敵を背負うのが妙にリアルな時間尺だったりして。例えば、主演がトム・クルーズだったとしたら、いかにも仕事が出来る男です!凄腕です!みたいな感じで実に手際良くパッパと敵をやっつけるように描かれそう。でもキアヌは前半のヌボーっとした 感じのままで、比較的淡々と片付けて行くという印象がしました。演じている人のキャラの違いでしょうかね。別にこれはこれでいいかもしれないんだけど、ジョンが持つ復讐の熱量とか、敵がやられて「ザマー!!!」っていう爽快感とかをもっと演出して欲しかったなという気がします。

面白かったのが、殺し屋の世界ってのがちゃんと描かれているところ。皆フリーランサーの一匹狼なんですが、個人個人の繋がりがあったりして仲良かったりするんですよ。妻のお葬式に顔を出してくれたウィレム・デフォーも同業者の友達だったんですね。殺し屋が泊まる高級ホテルもあるし、すべてを心得ているホテルマン(ランス・レディック)もいたりする。ホテルの地下には会員だけしか入れないバーがあって、その世界の重鎮(イアン・マクシェーン)が、おそらくいつも同じ席で飲んでたりします。この重鎮、裏世界に顔が利くお方なんですが、情もあってキアヌにターゲットの居場所を 教えてくれたりするんですよ。キアヌの泊まっている部屋で妙な物音がすると、隣室に泊まっていたこれまた同業者の友人がランニングと下着だけで「大丈夫か?」って様子を見に来てくれたりする。殺伐とした世界観にある人情味が、なんか嬉しいんですよね。あと殺し屋専用のお掃除サービスってのがあって、「ディナーの予約を頼む」って電話すると自動車保険のサービス並みにすぐ来てくれて完璧にお仕事してくれるんですよ。こういう裏の世界の後始末をするお爺さん(デヴィット・パトリック・ケリー)も職人っぽくてカッコイイのでした。

アクションは終盤に行けば行く程盛り下がっていくのがちょっと残念でした。しかし考えてみればヤクザもビビる殺し屋なのに、どうして序盤ではチンピラにやられるほど弱かったのでしょうか?寝込みを襲われたというのを差し引いても、ちょっとあまりに弱すぎでしょう。好意的に解釈すれば、過去を封印し一般人として暮らしていたから弱かったのであって、復讐を決意したときに殺し屋スイッチがオンになったってことなんでしょうかね。早くも二作目も制作決定しているそうな。筆者は続編を待望するほど、面白い!!最高!とは思えませんが、キアヌが出るのなら見てみましょうという感じですかね。ぼっちになったキアヌがこれ以上どんな可哀相な目にあうのかちょっと心配ですが。


『プリデスティネーション』究極の自己完結を見た


       


    
この映画もTwitterでベスト10内にあげている方が多かったのでチェックしてみました。たぶん、多くの方が勧めていなければ観ていなかっただろうという作品ですね。個人的には、なんかつまんなそうなSF~?んでもってイーサン・ホーク主演~?ないない!ってビジュアルなんですが、やはり皆さんが褒めていたように、驚きに溢れた映画でした。

そもそもイーサン・ホークにSFって合わないし!って思ってたけど、「ガタカ」がありましたね。あれは元嫁ユマ・サーマンとジュード・ロウが優秀な遺伝子を持つ人間で、イーサン・ホークはそうじゃないって映画でしたっけ。遺伝子ってか、顔の構造が美しいかどうかで決まってねーか?と思いましたが・・・(イーサンファンの方 ごめんなさい)。ちなみに友人Iはイーサンのことを言及するとき「柳沢慎吾に似た人」という枕詞を必ず付けています。








※ネタバレします。



この映画はイーサン主演というよりは共演のサラ・スヌークの映画でしたね。彼女とはこの映画で初めましてなんですが、初登場のバーでのシーンはちょっと線の細い男性だと思っていました。その男性ジョンがバーテンダー、イーサン・ホークに驚くべき身の上を語り出します・・・。映画は大きく2つに分けてジョンのパートとバーテンダーのパートに分かれているんですが、ジョン/ジェーンのパートの比重が高いです。そちらの方がずっとずっと驚きに満ちていて独創的。だからちょっと全体的なバランスが微妙かな〜と思ってしまいましたね。

このジョンというバーの男性客が「俺が小さい女の子だった頃・・・」と語り始めるんですが、そのときにエッ!とまずびっくりするんですよね。凝視すると少しおナベ感があるんですけど。彼はかつてはジェーンという名前の女性でで、生まれてすぐに孤児院の前に捨てられそのまま孤児院で育てられました。成人した頃にある宇宙関係機関にスカウトされて、訓練を受けるようになります。そして彼女はある男性と巡り会って娘を授かりますが、男性はある日突然消えてしまうのでした。そしてジェーンは出産したばかりの娘を何者かに奪われてしまいます。出産後に、ジェーンは両性具有だということがわかります。延命のために男性になる手術を受け、以後男性のジョンとして生きて来たのでした。これだけでもすごい身の上です。

サラ・スヌークがジョンとジェーンを演じているんですが、ガラス玉のような青くて大きな目が印象的な、どことなく猫のような印象を与える人だなあ〜と思いました。確かに、女性にしてはちょっと男性的、男性にしてはちょっと女性的。中性的な感じの女優さんなんですよね。その身の上話を聞いて、時空警察のエージェントであるイーサンはジョンのことを後任にしようとスカウトし、タイムマシン(楽器ケースになってて、ロックダイヤルが付いておりそれで目的の年月日を設定)で過去へ行くのでした。

で、そこでジョンは過去の自分、つまり女性だった頃のジェーンと出会います。そしてなんとジョンとジェーンの二人は恋に落ちてジェーンは妊娠。娘を産むのでした。あれ・・・?あれれれ・・・?そうなんです、全部自分なんですよ。時空を超えて性別の違う自分がセックスし、子供が生まれる。まさかのセルフ生殖なんです。そしてその子はイーサン・ホークが病院から誘拐して孤児院の前に捨てられ・・・。ってことは自分を自分が生んでいる訳で・・・。これぞ究極の自己完結。自分だけしかいない生のループがぐーるぐる!ぐーるぐるったら、ぐーるぐる!筆者の目玉もぐーるぐる!この驚きはちょっと今までに体験したことがない種類の驚きでしたね・・・。

このインパクトがあまりにも大きかったもので、もうひとつのパートは「ああ、そうでっか。年寄りになったイーサンが過去のイーサンに殺されるんですな」と、「炊飯器に米と水を入れたらご飯が炊けるんですな」という日々の常識と同じぐらいのテンションで超ナチュラルに受け入れちゃうんですよね。イーサンの演技はよかったけれどもジョン/ジェーンパートが終った後は、なんかイマイチ蛇足だな〜といった感じがしてもったいなかったです。

ジョンとジェーンは生まれ変わりというわけではないけど、この驚きに満ちた生の営みループ感にはちょっと「クラウド・アトラス」みたいなスケール感を感じました。本作のポスターやDVDパッケージなんかだと、イーサン・ホーク主演の「マイノリティ・リポート」みたいな時空アクションって感じなのかな〜って印象が強いですけどね。アイディアは素晴らしかったけど、それに苦悩する人間模様みたいなものをもっと掘り下げるて描いたらより良い映画になったのではないかなと思いました。


『ヴィジット』夜中老婆奇行非常恐怖






いや~これも怖かった。何気に初シャマランですよ。あ「シックス・センス」は昔テレビでチラッとみたかな。とにかくその程度です。最近、周囲の人々から「映画好きなaitantanmenさんのことだから、スターウォーズはもう全部みたんでしょ?」(これエピソード1公開時から言われてる)とか「ロッキーの最新作楽しみですね」とか言われることがあるんですが、私どちらのシリーズも未見です・・・。もちろんスターウォーズでダースベイダーが「アイムユアファーザー!(スコー)」って言うのと、最後に試合に勝ったスタローンが「エイドリアーン!」って絶叫するのは知ってますよ。まあどちらも世代じゃないんでね・・・。すると友人Iがまた「映画ブログやる資格なし!」ってバッサリ言うんですけど。いや、もともとこのブログは映画ブログじゃなかったんですが、最近は他のネタがあまりないだけで・・・。いずれにせよ本当に申し訳ないことです。そのうちチェックします。

ということでヴィジットなんですが、血も出ないし、禍々しい武器も何もない。老人が住む家の中だけなのに、まさかここまで恐ろしいとは・・・。老人ホラーってジャンルあったっけ?

シングルマザーのお母さん(キャスリン・ハーン)と一緒に暮らすベッカ(オリビア・デヨング)とタイラー(エド・オクセンボールド)の姉弟は、一週間おじいちゃんとおばあちゃんの家にお泊まりに。実はお母さんは若い頃にお父さんと駆け落ち同然で家を出て以来、両親とは勘当同然で実家に帰ってなかったのです。この度、孫達だけで遊びに行くことになりました。お姉ちゃんのベッカは学校の課題としてこの帰省をビデオカメラで記録することに。その為、ほぼ全編にわたってベッカのPOV(Point Of View Shot:主観ショット)手法を使った映画になっています。

ベッカは15歳くらい、弟のタイラーはちっこいので小三くらいか・・・?と思ったら13歳という設定なんですね。まあ小三にしてはいちいち言うことが生意気だったので納得です。でも彼がとってもクソ生意気で可愛かったですね。フリースタイルラップがすごく上手なんですよ(MCネームはT・ダイヤモンド)。列車で田舎に到着したら、おじいちゃん(ピーター・マクロビー)とおばあちゃん(ディアナ・デュナガン)が迎えに来てくれました。会うのは初めてだしちょっぴり緊張したけど、とても優しいおじいちゃんとおばあちゃん。これから楽しい一週間が始まります。・・・ところが、おばあちゃんたちの様子がちょっと変・・・という導入部です。


※ネタバレします。



おばあちゃんちの就寝時間は9時半。コドモじゃないんだから・・・とぶーたれる姉弟。夜中にベッカはキッチンへクッキーを取りに行きます。「えへへ、だってお腹が空いちゃったんだもん☆」と言うことですが、夜中の廊下で彼女が見たものは・・・・・・・ボエーーーーーーーッ!ゲロゲロゲロ・・・と、すごい勢いで嘔吐しているババア、もといおばあちゃんでした。老女が暗闇で嘔吐・・・妖怪ゲロ吐きババア!ということでもう最初っから「え・・・何コレ・・・」ってなるんですよ。翌朝おじいちゃんにさりげなく聞いてみると「胃腸をこわしていたんだよ」と明らかにはぐらかされるのでした。

おばあちゃんちでの一日一日が過ぎる度に「Tuesday」とかいう文字が入るんですよね。この文字が鮮血のように真っ赤なのも怖いです。最終日には一体どうなってしまうのやら・・・?という効果があるんですよね。でも嘔吐以外は別におかしなところはないし、きっとお年寄りってこんなもんなのかもな、と納得する姉弟。おばあちゃんちの外はひたすら牧草地みたいになっていて、納屋があります。納屋の床下のような場所に入り込んで、かくれんぼをするベッカとタイラー。すると、背後に何者かの気配が・・・。白髪の貞子みたいなものがボンヤリとしゃがみこんでいます。するとそれは顔をあげずにシャカシャカともの凄いスピードで追っかけて来るのでした・・・。絶叫して逃げる姉弟。床下から出ると、それはおばあちゃんでした。しかもこの寒いのにパンツを履いていない・・・。

その他にもおばあちゃんの奇行は続きます。また夜中に物音がして恐る恐るドアを開けると、おばあちゃんがものすごい勢いでリビングをバタバタバターッと駆け抜けていたり、全裸のおばあちゃんが壁を猫のように引っ掻いていたり・・・。夜中の老婆ってだけでも怖いのにこの奇行! !!おじいちゃんはおばあちゃんに比べればだいぶまともなんですが、姉弟が「おじいちゃーん!」と呼びかけて明らかに聞こえているだろうと思われるのに無視したりしてます。ある時、納屋にいるおじいちゃんを探しに行ったら、使用済みの大人用オムツがいっぱい取ってあるし・・・。あれ~?妙~に変だな~・・・となった姉弟はお母さんにスカイプで報告。ボーイフレンドとバカンス中のお母さんは事の重大さがよく伝わっておらず「年寄りだからそんなもんなんじゃない?」というテンションです。

おばあちゃんの家にはお菓子を持って来てくれる近所の女の人(メンタルクリニックで働いているおばあちゃんからカウンセリングを受けていた)や、おばあちゃんたちがボランティアをしている病院の人などが訪ねて来ます。病院の人は、応対したベッカに「先週、おばあちゃんたちはボランティアに来る予定だったのに来なかったから、どうしたのかなと思って・・・」と言うのでした。ここでカンの良い方はもうわかるでしょう(私はまた違和感のみでわからなかった)。筆者は聞き逃していたんですが、おばあちゃんちのルールとして「地下室には行ってはいけない」というのがあったんですね。これがわかっていたら、もうピンと来る場面ですね(でも逆に聞き逃していてよかったかも・・・)。

ベッカはおばあちゃんにお母さんとのことをインタビューしようと試みます。最初は和やかにインタビューに答えていたおばあちゃんですが、だんだん核心に触れる質問(「お母さんが出て行ったとき、どう感じた?」とか)に迫って来ると、急に狂い始めるのでした。「おばあちゃん、ごめんね!辛かったんだね、もういいよ」と止めますが、またほとぼりが冷めた頃にインタビューを試みるベッカ。するとおばあちゃんはまた同じように核心に触れる質問に来ると様子がおかしくなり狂い始めるのでした。

一方、タイラーはおばあちゃんの奇行に堪え兼ねてビデオカメラでリビングに隠し撮りしようと提案します。最初は躊躇していたベッカですが、結局隠しカメラを置くことに。翌日に隠しカメラを再生してみると、夜中にまた奇行に走るおばあちゃんが映っており、なんと隠しカメラに気付いたおばあちゃんも映っているのでした!おばあちゃんが「見ぃ~た~な~」とばかりにカメラの方へヌッと現れるのです!バレてるやん!その後、おばあちゃんはオニババのごとく刃渡りの長い包丁を持って姉弟の寝室へと向かうのですが、ドアが開かずに諦めた様です。そして、なぜか律儀にカメラをもとの位置に戻しておくおばあちゃん・・・。

もうこのビデオ見た時点で逃げればいいのに・・・と思うのですが。姉弟はお母さんにスカイプ。「おばあちゃんたちは今どこにいるの?」と聞かれ、庭に出ていたおじいちゃんとおばあちゃんをウェブカメラで映します。「・・・落ち着いて聞きなさい。あの人たちはおじいちゃんとおばあちゃんじゃないわ」と言うお母さん。ヒー!コール911、ライトナウ!姉弟は平静を装ったまま家から逃げようとしますが、「どうしたの?今夜はゲームをやるって約束じゃない」とおばあちゃんたちにドアのところで捕まってしまいます。ドアの向こうにある樹には、お菓子を持って来てくれた女の人がプラーンと吊るされていました・・・。

話は前後するかもですが、おばあちゃんがベッカにオーブンの中を掃除してほしいと頼むシーンが二回出て来ます。ベッカが身体半分を入れて掃除をしていると「もっと奥まで入って掃除してちょうだい」と足がすっぽり隠れるまで中へ入るようにと促すおばあちゃん・・・。このまったく同じやりとりが繰り返される天丼ギャグ(?)も、とってもヒヤヒヤするところです。一回目はベッカとおばあちゃんだけでしたが、二回目はタイラーもいたような。てっきりヘンゼルとグレーテル的な展開になるのかと思ってしまいました。しかし15歳の女の子が全身入っちゃうんだから、アメリカのオーブンってデッカいな〜。

緊迫しながらも笑わせるシーンもあるんですよ。Fワードを言いたい時は、女性ポップシンガーの名前をかわりに言えば良いんだ!と言っていたお茶目なタイラー。例えば「FU*K!」の代わりに「シャキーラ!」とか・・・(笑)。この代替え語を使う妙案は、前に知人から聞いたことがあります。子供たちに「汚い言葉を言いたい時は、代わりにサムシングスイートな、例えば『キャンディー!』とか『チョッコレート!』と言いなさい」という教育的な苦肉の策なんですよ。おじいちゃんたちとゲームをさせられているときに、ベッカは中座する振りをして禁じられていた地下室へと足を踏み入れます(てか、そんなとこ行かずに早く逃げろ・・・)。ベッカがおらず窮地に立たされたタイラーは「ケイティ・ペリー!」と呟くのでした(笑)。

ベッカが地下室へ足を踏み入れると、そこには撲殺された本当のおじいちゃんとおばあちゃんの遺体が・・・。そして血の付いたメンタルクリニックのユニフォームが・・・。今ゲームをしているおじいちゃんとおばあちゃんは精神病患者で、本物を殺してなりかわっていたのです!だから早く逃げろと・・・・。この後、姉弟は恐怖のズンドコに突き落とされるのでした。しかし、いついかなるときも、生命に危険が及んでいる緊急事態でさえもカメラを決して離さなずに記録し続けるベッカ、将来はたいしたドキュメンタリー作家になるのでは・・・?と思わずにいられません。まあ映画の制約上、映らなくなったら終わりですからしょうがないですね(笑)。

ついに正体を表したおじいちゃんとおばあちゃん。ベッカはおばあちゃんに取って喰われそうになり、潔癖性を自認しているタイラーはおじいちゃんの使用済みオムツを顔になすり付けられます(直接生命に危機が及ばないとはいえ、これはキツイな)。しかし勇気を出して反撃(恐らくおじいちゃんとおばあちゃんは死亡?)。危機を脱した二人は家の外へ。そこにはお母さんと警察が到着したばかりで、お母さんと固く抱き合う姉弟なのでした。あー、よかったよかった・・・。

その後、まだベッカとタイラーが小さくてお父さんと一緒に暮らしていた頃の幸せだった映像などが挿入され、家族って素敵というエンディングになります。お母さんは若い頃に勘当同然で家出したわけなんですが、意地を張りすぎてついには仲直りの機会を逃してしまって後悔していたんですよ。まあよく考えたら、そこまで仲違いをしていた親にいきなり孫達だけで会いに行かせるいうのは変なんですが。そしてエンディングロールの直前「弟がどうしてもって言うので、これを入れます」というテロップが出ます。え?弟ってシャマランの?と思ったんですが、タイラーことT・ダイヤモンドのソロラップが入ってエンディングです。いや〜二人ともPTSDトラウマレベルの大変な目に合ったのに、よく頑張ったよな・・・とホッコリする終り方でした。とにかく弟のラップが本当に生意気かつ可愛いんですよね。

老人がなんだか怖い、ってのはどことなく日本人には馴染みのテーマではないでしょうか。特に老婆。日本の昔話でも迷った旅人が山中にある親切なおばあさん家に招かれ、宿と食事を提供してもらい歓待されるけど、夜中にふと目を覚ますと障子に角を生やした老婆が出刃包丁を研いでいるシルエットが・・・みたいな話ありますよね。それの現代アメリカ版みたいな感じの映画だなと思いました。

あと役者がみんな無名の人なのが逆にいいですね。おばあちゃんがジュディ・デンチ様とかじゃない無名の女優さんなのがいいですよ(デンチ様だとしても迫真のクオリティーは保証済みですが)。観客がいままでに観たことがない顔の人がやってこそ恐ろしさが増すのだと思います。おばあちゃん役のディアナ・デュナガンは、痩せてて品のいいカントリー風な生活が似合いそうな感じの老女なんですが、そのおばあちゃんが干し柿のようにしぼんだお尻をさらしてやる奇行もショッキングさが際立ってたんだと思います。

シャマラン監督は近年、残念な作品続きでラジー賞の常連だったそうなんですが、本作で復活と見なされている様です。この映画でラジー賞の常連ながら素晴らしい仕事をした映画人を表彰する「名誉挽回賞」を受賞したんだとか。ラジー賞にそんな賞があるとは。なかなか粋ですね。ソースはこちら

『ウォールフラワー』繊細さが光る、リア充へのシンデレラストーリー


       

ウォールフラワー [ ローガン・ラーマン ]

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強烈な映画の後は後味爽やかな青春ものを・・・ということでチョイスしてみました。本当、ソーダ水みたいな爽やかさのある映画でしたねえ・・・。でもそれだけじゃない複雑で繊細な味わいの映画でした。主人公の男子高校生チャーリー(ローガン・ラーマン)は、いじめられていた過去を持つ男の子。高校に入ってもパッとしない日々が過ぎ去るのをただ待つのみと思っていましたが、美少女サム(エマ・ワトソン)とその義理の兄パトリック(エズラ・ミラー)と出会い、灰色だった世界が変わって行く・・・というお話です。






小学生、中学生、高校生というのは、学校とクラブ活動がすべてみたいなもんじゃないですか。だからそこで快適な環境にいないということは人生真っ暗と同じなんですよね。そこでいじめられたり、友達がいなかったりってのは毎日が針のむしろみたいなもんですよ。子供の社会ってのは学校がすべてなんです。チャーリーは幸運なことにそこでかけがえのない友人(しかも校内で一目置かれるほどイケてる)に出会うことが出来たし、素晴らしい先生(ポール・ダノ)にも出会えた。これってすごく幸せなことなんですよ。ロクな友達、先生しかいない学校生活ってのも全然普通にあるわけですから。十代の多感な時期に、どういう人と付き合うかってことはその後の人生において非常に重要だと思うんですよね。

しかし非リアみつるからリアみつるへ華麗に転身するチャーリーが本当に羨ましいですよ。サムとパトリックが上から目線でフックアップしてやるよ、って感じじゃなくって、ちゃんとチャーリーの本質を見抜いて友達になっているのがいい。それにサムとパトリックがスクールカーストの上位に君臨するステレオタイプな人達じゃないのがお洒落じゃないですか。個性派な生徒でカーストとは距離を置き独自のコロニーを作り上げている。しかもそのコロニーにも知的で感じのいい子たちが集まってるって言うね・・・。チャーリーは本当はサムのことが好きなんですけど彼氏持ちのサムには言い出せなくて、なりゆきでコロニーのメンバーの女子(ちょっと太めだけどいい子)と付き合うことになって迫られたりするんですけど、現役DK(男子高校生)から見れば充分に羨ましいシチュエーションではないでしょうか。

メインを貼る役者たちが皆素晴らしかったですね。美少女サムを演じるショートカットのエマ・ワトソンが輝いていました。本当に本当に素晴らしい女優さんになったんだなあ・・・という感じですよ。美しい茶色の瞳から滲み出る気品と知性がないと、この役は演じられなかったでしょう。エマちゃんの凄いところは、どうしようもないバカ女も同じくらいのハイクオリティーで出来るところです(例えば「ブリングリング」のキャラクターとか)。

サムの義理の兄パトリックを演じるのはエズラ・ミラー。私はこの映画で初めましてなんですが、陽気なゲイ(でも反面傷つきやかったりする)を安定した演技で熱演していました。彼はちょっと日本人っぽい顔をしてますよね。綾野剛に顔の感じが似ています。パトリックの話し方や身振りを見ていたら、デザイナーのアレキサンダー・ワンのことを思い出しました。彼も華奢で可愛い系の人ですよね。主人公チャーリーのローガン・ラーマンも初めまして。一見地味で道端に落ちてる石ころのような目立たない少年なんですが、主演としての存在感があるという相反するものを持っていたと思います。彼の繊細な演技なくしてはこの映画は成り立たなかったでしょう。

脇役ですが、チャーリーの国語の先生役で「アントマン」のポール・ダノが出てました。今回はダメ人間じゃなくてちゃんとした大人ですよ!(当たり前か)。先生はチャーリーの文学的素養を見抜いて、色々とおすすめの本を貸してくれるんですよ。先生は「華麗なるギャツビー」を貸してくれるんですが、やっぱりアメリカ文学っていったらギャツビーなんでしょうかね。

感動的なのは、やっぱり走ってる車から顔を出して一人タイタニックポーズをするシーン。「この瞬間こそ、僕らは無限だ」というチャーリーのモノローグ。これだけでオバチャンもう落涙!青春時代の最もプレシャスな瞬間が見事に切り取られているんですよ。甘・・・甘・・・甘酸っぺー!!!!!!思わず心の中のBGMとしてスピッツが流れちゃうんですよ(世代ですな)。でも青春時代の素晴らしい部分だけではなく、三人が抱えるトラウマみたいなものもさり気なく描かれています。チャーリーは大好きな叔母さんが交通事故で死んだことをずっと自分のせいにしていたんですが、セラピーを受けて叔母さんから性的虐待を受けていたことを思い出すんです。サムも幼い頃にお父さんの友達にいたずらされていたり、パトリックは裏切られた恋人から「カマ野郎」と罵られたり・・・。このバランスがまたフラジャイルな思春期感を出していたと思います。

しかも驚くべきことに、原作者と監督、脚本は同じ人!スティーブン・チョボスキーさんという方なんですが、なんて多才な方なんでしょう・・・とため息しか出ませんね。しかもこれが監督処女作ですよ。原作は99年に出版され大反響を呼び、映画化のオファーがたくさんあったそうなんですが、機が熟すまで待ったのが吉と出たのでしょうね。なんか変態チックな映画ばかり喜んで鑑賞している汚れた私が褒めるのもなんですが、青春の様々なきらめきがギュッとつまったこの映画、大人の人にこそ観て欲しいですね。


『ハイテンション』過激で陰惨!生理的嫌悪感が持続する仏産スプラッター


       

[DVD] ハイテンション

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価格:1,468円(税込、送料別)



あ~~~~怖かった。本当に怖かった。「マーターズ」の感想を書いた時にコメントを頂いた方から本作のことを教えてもらい、今回鑑賞してみたわけなんですが。フランス語圏のホラーってどうしてこんなに怖いの?と、またまた度肝を抜かれました。個人的には深淵なテーマ性のある「マーターズ」よりも本作の方がずっと単純な分、恐ろしかったですね。フランス語圏のホラーは英語圏のそれとは全然違う怖さなんですよ。もっと根源的というか生理的というか・・・黒板を引っ掻いたときの「キィィィィ〜〜〜ッ」って音みたいな嫌~な感じが最初から最後まで持続するんですね。「嫌だな、嫌だな~、怖いな、怖いな~」って鑑賞中は始終筆者の中の小さな稲川淳二がビクついていましたよ。

タイトルもなんだか怖いですよね。ハイテンションって・・・。個人的には日本のお笑い番組でやっていた「寝起きハイテンション選手権」(本当に寝て、朝起こされてカメラの前でどれだけハイテンションになれるかという企画)とか思い出しますが、そういうお笑いとは真逆のハイテンションですから・・・。どんな得体の知れないハイテンションなんだろうか・・・と胃にズドーンと来るんですよ。


予告はこちら



※ガッツリとネタバレします。



女子大生のマリー(セシル・ド・フランス)は友人のアレックス(マイウェン)と共に田舎にあるアレックスの実家を訪れます。家族に挨拶をして夜もふけ皆が寝静まった頃、怪しいボロボロの錆びたトラックが家の前に横付けされ、大きなカミソリを持った太った中年男(フィリップ・ナオン)が出て来るのでした・・・という導入部。冒頭に「ずっとあなたを離さない・・・」と独り言をループする裸足の女のカットが入りますが、カンの良い方ならばもうここでオチがわかるのかもしれません。私は鈍いので途中違和感を感じつつも最後まで、まるっと騙されました。確かに映画を振り返る とヒントが散りばめられているんですよ。

まずマリーはショートカットでちびTシャツにデニムを着たボーイッシュな女の子(余談だが、筆者も学生のころはこんな格好だった)。彼女はタバコを一服するために家の外へ出るんですが、そのときにアレックスがシャワーを浴びているのを見ます。その後、寝室に戻ったマリーはヘッドホンで音楽を聴きながら自分を慰めるんですよ(そのときに中年男がやってくる)。「ああ、この子はレズビアンなんだな」ってことが提示されるんです。しかし、そこから怒濤のように中年男がアレックスの家族を殺し始めるので、そっちに飲み込まれてしまうんですよね。

中年男は、まずお父さんと犬を殺します。階段の手すりを支える柱の間にお父さんの顔を入れて 動けなくして、タンスをスライドさせて首にぶつけると首チョンパ(そして血がドバー)。書いてるとアホみたいだし、過剰すぎるホラー描写はコメディになるというセオリーがあるじゃないですか。アメリカ映画なんかだと血がドバドバ出てるけどポップで面白い感じになることがよくあるじゃないですか。不思議と本作にはそういうアメリカのホラー映画が持っている「隙」というか「愛らしさ」が一切ないんです。ただ、生理的に不快なドン引きがあるのみ。これは不思議ですよね~。やってることは一緒なのに、どうしてこう神経を逆撫でするような嫌~な感じに出来るんでしょうか。

中年男はその後、アレックスの部屋に行き鈍い物音と悲鳴が聞こえるわけですが、マリーは恐ろしくて部屋から出ることが出来ません。でもアレックスの叫び声がやまないので殺害されてはないようです。 中年男はリビングに飾ってあった家族写真を見て、アレックスの顔の部分だけを破って懐に入れます。ここで彼がアレックスのストーカーで彼女に執着するあまりに彼女の家族を殺害するのだということがわかります。一番心臓がバクバクしたのは中年男がマリーの寝室をチェックするシーンでした。マリーは乱れたシーツを直し、滞在客の気配を消してベッドの下に隠れます。中年男が洗面台の蛇口が濡れてないかチェックするんですよ。コワ~ッ!入念すぎるだろ!そいやさっきマリーはダイレクトにそこから水を飲んでいました。絶対バレる!!!と怯える訳ですが、何故かバレないんです。ベッドの下なんてベタな場所絶対に見つかると思っていたのに中年男は部屋を出て行きます。ここもヒントですね。

しかし時代設定 がちょっと謎。マリーは携帯を持っていないんですよ。どうやら固定電話しかない世界みたいなんですね。2003年の映画でしたが、ここは少し不思議なのでした。マリーはアレックスの部屋へ忍び入ると、彼女は鎖で拘束され猿ぐつわを噛まされていました。マリーが「シーッ、私よ」と言ってもアレックスは泣きながら声をあげるばかり。少なくともマリーは無事なのだから、ここは静かにしておいた方が生存の確率が上がるのに・・・と思っていたのですが、ここもヒントですね。

マリーは固定電話を探して両親の寝室へ向かいます。電話があった!と思ったら誰かがこちらへやって来る音がするのでクローゼットに隠れます(ここもまたベタな隠れ場所)。マリーがドアの隙間から見たものは惨殺されるア レッ クスのお母さんでした。首をスパっと切られ、返り血が真っ白いクローゼットに飛びます。中年男は執拗に何回もお母さんを刺して殺害。男が去った後でマリーはクローゼットから出てお母さんを看取ります。お母さんは「なぜなの・・・」と言って息絶えるのでした。色々な解釈が出来ますが、ここもヒントですね。アレックスには小学生くらいの弟がいたんですが、トウモロコシ畑に向かって逃げる弟も鉄砲で殺されてしまいます。子供だけが妙にアッサリとした方法で殺されているのは、やっぱりPTA的なものに気を使っているんでしょうかね。

中年男は拘束したアレックスをトラックの荷台に入れ、他にも生存者がいないか辺りを伺います。キッチンに向かったマリーは電話を見つけますが、電話線が切られてい ました。外に出たマリーは扉が半開きになったトラックの中にいるアレックスの元へ行き「私が助けてあげるから、しっかり!」と励ますのですが、そのままトラックの扉が閉められ男は車を発進させるのでした。あれ?マリーがいたの見えなかったんだ?と違和感が残りますが、もうここらへんになると、かなり濃厚にヒントをばらまいているのでしょう。

ここまでが田舎の家を舞台にした惨劇です。周囲をトウモロコシ畑に囲まれた一軒家なので、いくら叫んでも誰も来ないという設定。マリーとアレックスが家に向かう途中でトウモロコシ畑の中に迷いこむシーンも、特に何も起きないんだけど嫌~な感じがビンビン!ザザザ・・・と風が吹いているだけなのに、畑の中に超変態の殺人鬼が潜んでいる様な不穏な 雰囲気がビンビンなんですよ。ビンビンなんですよ!(二回目)その畑のそばに中年男のボロボロのトラックが停まっていて、男が女の生首を農道にボトっと落とすシーンがあり、こいつが夜やってくるんだな・・・という演出になっています。この部分は不要だし、なんかおかしくね?という意見もあるようです。確かにそれもわかるんですが、もう勢いに飲まれて細かいことはどうでもよくなる・・・というマジックにかかってしまった筆者なのでした。

あと中年男の顔がハッキリと見えないんですよね。特に目は絶対に映さない。でも太ってて体臭がキツそうで小汚い、みんなが想像するであろう殺人犯の汚いオッサンというビジュアルなんですよ。彼はアレックスに執着していて、このままどこかに監禁しようと思っている様です。しかし・・・ここで筆者の頭の中に疑問が。アレックスって、タレントのフィフィみたいな顔じゃね・・・?」ということなのですよ。特に拘束後グチャグチャに泣いている顔が。「・・・なんで、このオッサン、そこまでフィフィに執着してるわけ・・・?マリーの方が全然可愛いじゃん?」となってしまうんですよね。

ということで、アレックスを演じているマイウェンさんはについて調べて観ました。名前と顔がエキゾチックな通り、アルジェリアとベトナムの血を引いています。フィフィはエジプト人なので北アフリカ系のルックスは納得。彼女はリュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」で真っ青な宇宙人オペラディーヴァ を演じていた人なんだそうです!あー、いた!確かにいたね!懐かしいですな~。しかも彼女は16歳という若さでベッソンとの間にできた子を出産しているそうですよ。「フィフス・エレメント」と言えば映画好きの方はご存知の通り、ベッソンと主演女優のミラ・ジョボビッチがデキた映画でもあります。てことは、旦那をミラジョボに取られちゃったのか。ベッソンは昔「ニキータ」の主演女優アンヌ・パリローとも結婚していたことがあるし、なんか色々凄いなあと思いました・・・。

さて、ここからはお家を出て、ガソリンスタンドと森編になります。スタンドで給油する中年男。マリーはトラックから出て店へ助けを求めに行きます。あれ、カギかかってると思ったんだけど、どうやって出られたんだろうか・・・?と思うんですが、ここもヒントなのかな。隠れながら店まで到達することができました。よかったー!早く、早く助けを・・・!と気持ちが急ぎます。マリーは店のお兄さんに通報を頼みますが、そのときに中年男がやって来ます。マリーは棚の後ろに隠れ、お兄さんは中年男を接客。「一番いい酒を出せ」と言われたお兄さんがケースからお酒を出し振り向くと、斧の一撃が。はい、やはりお兄さんも殺されてしまいました・・・。その後、中年男は店を出ます。マリーは店の電話から警察に助けを求めますが、現在地がよくわかりません。「場所がわからないんだったら、どうしようもできませんねえ〜」と警察。そうこうしているうちに、男が車を発進させたので「もういいわ!」とマリーは電話をガチャ切りするのでした。順序は前後するかもしれませんがスタンドのトイレ でもマリーと中年男の隠れんぼ的なシーンがありました。結局またマリーは見つからないんですが、ここもヒントですね。

スタンドにあった車を盗んで、マリーはトラックを追いかけます。トラックは深い森の中へ。追跡していると、いつの間にかトラックがマリーの後ろに付いているではありませんか!サディスティックな笑みを無精髭だらけの汚い口元に浮かべた男はマリーの車をあおり、車は樹に激突。車から這い出たマリーは打ち捨てられた温室へ逃げ込みます。何か武器になるものを探したマリーは木の棒に有刺鉄線を巻き付け、それを握りしめます。マリーを探す懐中電灯。マリーは武器を持ってそちらに近づきます。ところが、ユラユラと動く懐中電灯は紐で括り付けられたダミーでした。それに気が付いた瞬間、 後ろから男がマリーの首を絞めます!ヒー!キモイ中年男だけど意外と頭いい!ここで死闘が起こるわけですが、形勢逆転したマリーは男の上に馬乗りになり叫びながら有刺鉄線が付いた棒でタコ殴りにするのでした・・・。例によって、死んだ!と思ったのになかなか死んでなかった!というお約束がありますが、それでも完全な勝利です。よかった・・・。

またまた順序が前後するかもしれませんが、通報を受けた警察が例のガソリンスタンドにやってきます。血の海になった店を見て「応援をよこせ」と呟く刑事さん。店内の防犯カメラを再生すると・・・斧でお兄さんに一撃を加えるマリーの姿が映っていました。ここで完全なネタバレです。あー、そうだったのね、自分オチだったのね・・・。劇中を通して感じていた違和感の意味が解ける瞬間ですよ。それはまるで詰まっていた水道管にパイプユニッシュを流したかのようなスッキリ感でもあり、何で気が付かなかったんだという一抹の悔しさでもあり。

マリーはトラックの方へ戻り、アレックスを解放しようとします。「アレックス!もう大丈夫よ!」と親友に抱きつくマリー。しかし、アレックスは怯え切っていてマリーに「来ないで!」と叫ぶのでした。一体どうしたの?とマリー。すると森から中年男がチェーンソーを持って爆走して来るではありませんか!ええーっ、死んだはずだよ、お富さん!まさかの中年男リバイバルですよ。そこへ偶然通りかかった車があり、アレックスは助けを求めるのですが中年男(=マリー)がフロントガラス越しにチェーンソーでドライバーを切り刻んで殺害。もうこれ以上は・・・食べられません、お腹いっぱいです!という感じ。更に車の中のアレックスにチェーンソーが迫るという阿鼻叫喚も。そして結局マリーは正当防衛でアレックスに刺されて倒れるのでした(中年男はいつの間にか消えてた)。

あー、怖かった・・・。そしてオープニングシーンに逆戻り。「ずっとあなたを離さない・・・」と言っているのは精神病院に収容されたマリーだったのです。ガラスの向こうにいるアレックスを見つけたマリーはパッと輝く様な笑顔になり、手かせをはめられた手を広げるのでした。はあ~、すごいものを見てしまった・・・という感じで思わずグッタリする観賞後・・・。でも、最後の最後まで救いがない感じもイイですね!ラストでさえもホッと一息とか安心とかさせてくれない、手綱を一瞬でも緩めない演出が凄い。始終、観客もテンションを張りつめっぱなし、すなわちハイテンション!なんですな。ギャグにまったくかすりもしないドン引きなスプラッター殺害シーン、劇中ずっと持続する、なんだかジメっとしてて生理的に嫌~な感じ。この演出は見事としか言いようがないです。どうしてアメリカのホラーとはそこが違うのか?それはやはりフランスとアメリカの精神性の違いなのでしょうか。筆者には上手くその違いを言語化することができません。

監督兼脚本のアレクサンドル・アジャは当時若干25歳。まさにアンファン・テリーブルである。筆者は知らなかったんですが「ヒルズ・ハブ・アイズ」の監督もアジャさんだったんですね。これは昔観ましたよ(夫が勧めて来た)。「あ、コレ町山さんが言ってたやつだ〜!」と思いました。「サランドラ」ってホラー映画のリメイクなんだそうです。ヒルズも面白かったですね~。当時、私はあまりこういうジャンルの映画って観てなかったから、それだけ衝撃も大きかったです。俳優も無名の人ばかりなのもなんか怖かったし。「世界は、まだまだ、広い・・・」と思わされましたね。その後、アジャ監督は「ピラニア3D」なども手掛けている様です(こちらは未見)。フレンチ・エクストリーム・ホラー界にはまだまだ恐ろしい色々な作品があるみたいなので、少しずつ鑑賞していきたいですね。まあ刺激が強過ぎるので、観るのはあと三ヶ月後ぐらいでいいですけど・・・(笑)


『のんき大将脱線の巻』邦題が可愛い、動く絵本のような作品

        




プラハ先輩からプレゼントしてもらったDVDで鑑賞しました(もう一本は以前感想を書いた「ゲンスブールと女たち」)。ジャック・タチの映画、実は観るのが初めてです。でも、のんき大将のことは知っていましたよ。オリーブにリバイバル上映の広告が出ていたからです(確かシネ・ヴィヴァン六本木だったと記憶)。ジャック・タチと言えば、お洒落な映画ポスターの定番。「ぼくの伯父さん」の青を基調にしたポスターは、その当時お洒落な人の自室によく飾られていたものでした(そのもう一枚が赤を基調にした「欲望」のポスターですね)。

秦 早穂子さんが書いた「影の部分」という本にジャック・タチと出会ったときのことが書かれていましたが「いかにもスラブ系といった風貌」といったような記述があったと思います。私は「へえ、タチってスラブ系だったんだ」と驚きました。フランスにはタチというスーパーがあるし、てっきりフランスの血だと思っていたので。調べたところ、オランダとロシアのハーフなんだそうで、本名はタチシェフと言うんだそうです(ちなみにチェコ語で「タチ」は「お父さん」)。

本作はタチが監督、主演、脚本を兼ねた作品でなんと1949年の映画です。舞台はフランスのド田舎。小さな村(一応カフェと郵便局がある)は年に一度のお祭りでソワソワしたムードが漂っています。そこへ郵便配達人のフランソワ( ジャック・タチ)がやってきて、ドタバタ騒動を繰り広げる ・・・という実に牧歌的なストーリー。村には民族衣装的なものを着たババアがいて、いつもヤギを連れながら何かを観客に説明します(全然聞き取れなかった)。

フランソワは自転車で郵便配達をしている途中、村の広場にお祭りのポールを立てるのを手伝ったりしますが、全然うまく行きません。勢い余って自転車ごとカフェに突っ込んで二階の窓から出て来たり、手紙をヤギに食べられたり・・・。アクションで笑わせる感じの映画なのが語学力のない私にはこれ幸い。チャップリンとかバスター・キートンとかそういうスラップスティックコメディ系統の笑いなんですね。ちょっとドリフに通ずる部分もあるかな。子供からお年寄りまで楽しめて、とにかく懐かしい感じです(ドリフだったらSEで「アーッハ ッハッ!」という笑い屋のオバチャンの声が入っていそう)。私が観たバージョンはカラーだったんですが、もともとモノクロ映画で後からカラーの加工がされたんだそうな。だからか鉛筆画に水彩絵の具をチョチョっとのせた様な淡い色彩でなんだか動く絵本のような味わいがあります。

お祭りではテントの中で映画が上映されています。アメリカのドキュメンタリー映画なんですが、郵便配達人がスタントマンも真っ青なアクロバティックな技を次々と見せるというもの。それを見た村人が「アメリカの郵便配達すげえ!!!それに比べて俺らのは・・・」というテンションになってしまうんですね。村人たちにそんな風に言われてしょげてしまうフランソワ。今までが絵本の中のように平和だっただけに、ここは結構辛いんですよ。

思い立ったフランソワはアメリカ式に業務効率化(といっても自転車を高速でこぐ程度なんだけど)します。必要以上にチャカチャカと動いて迅速に郵便を届けまくるフランソワ。しかし、ヤギを連れたババアから「そんなに無理するこたないんだよ。ここにはここのテンポっつーもんがあるんだからさ」←(解釈適当)と言われて、思い直すという展開です。そしてお祭りは終わり、移動式遊園地の回転木馬を乗せたトラックがゆっくりと去って日常が戻って来るのでした・・・というホッコリしたお話です。

筆者個人はフランス(他のヨーロッパ諸国もだけど)ってのは、どんなにアメリカが「U.S.A.アズ ナンバーワン!」と声高に叫んでも「ああ、そう」と華麗にスルーする感じかと思ってたので、これはちょっとだけ意外でしたね。なんだったらアメリカのことを文化のない新興国として下に見ているような感じもしていたし。昔の田舎の人はまだ純粋で単純に憧れちゃったりするのかな。まあそこが素朴で可愛らしいですけどね。

秦 早穂子さんの本によると、この映画は日本で全然当たらず、そのために「ぼくの伯父さん」を買い付けるのが大変だったそうです。あと原題「祭りの日」というタイトルが弱いので配給会社の偉い人が「のんき大将脱線の巻」と名付けたとか。私はこの邦題大好きですよ。のんき大将ってネーミングが本当にピッタリで可愛いです。日本で当たらなかったというのはちょっと意外な気もしますが。ただ90分ずっ~と同じ調子でドタバタギャグなので、60分くらいに編集すれば愛すべき佳作として、より知られる作品になったんじゃないかなあと思いました。



「勝手にしやがれ」や「女は女である」を買い付けた秦さんの自伝的小説。60年代のフランス映画ファンなら必読です。

          

影の部分 [ 秦早穂子 ]

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『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』ホームズ93歳、もうひとりの「あの女(ひと)」と日本






サー・イアン・マッケランが93歳のホームズを演じる!というニュースをキャッチしてからずっと楽しみにしていました。聖典でもホームズは引退後に海が見渡せる田舎で養蜂をしながら老後を送っているという設定になっています。その設定を引き継ぎながら、邦題にも付いている忘れられない「最後の事件」の創作を付け足して晩年のホームズと家政婦の息子との心の交流を描いたヒューマンな作品になっています。

イギリス人監督による純イギリス映画なのかな~と思ったら、監督は「 ドリームガールズ」のビル・コンドン監督でちょっと意外でした。感想は・・・よかったです!ホームズがヨボヨボで痴呆気味になっちゃって、ワトソンくんもマイクロフトもハドソンさんもみーんな鬼籍になっちゃってひとりぼっち。ああ、親しい人が皆行ってしまって、一人だけ長く生きるって辛いなあ・・・切ないなあ・・・嫌だなあ・・・筆者は家族や友達よりも先に死にたいなあ・・・と思わされるんですよ。でも、それでも生きて行く。ホームズファンでなくても感じ取れる普遍的なメッセージがあるんです。


※ネタバレします。


93歳のシャーロック・ホームズ(イアン・ マッケラン)は田舎の一軒家で住み込み家政婦のムンロー夫人(ローラ・リニー)とその息子ロジャー少年(ミロ・パーカー)と一緒に静かな余生を送っていました。ホームズはロジャー少年に養蜂の手ほどきをして、少年もホームズになついています。二人の間にはおじいちゃんと孫のような関係が出来上がっていました。しかし進む痴呆。ホームズはロジャーの名前さえも覚えられなくなって来ていたのです。そして、彼には引退を決意させた最後の事件がありました。その事件は長年、彼の心の奥に引っかかっていたのです。思い出せるうちに最後の事件のことを書かなければ・・・とペンを取りますが、なかなか上手く行きません。最後の事件の他にもう一つ、ある日本人 男性ウメザキ(真田 広之)とのエピソードも同様に忘れられない思い出として残っていました・・・というあらすじです。

上に貼った予告編には登場していますが、筆者は真田広之が出てることを知らなかったんですよね。だからオープニングクレジットを見て「ええっ?!」と驚いてしまいました。真田広之・・・いまや英米の映画に登場する日本男優はほぼ彼では?(女優は菊地凛子)というくらい出てませんか? ホームズが引退後に日本へ旅行したエピソードで出て来るんですよ。ホームズ聖典と日本との関係と言えば、ライヘンバッハの滝でモリアーティー教授との死闘で使われた日本の武術「バリツ」じゃないですか。ホームズ、日本へバリツ留学?と思いましたがそうではありません。植物の研究に行ってたんですね。戦後すぐくらいの日本が舞台なんですが、やっぱりセットにちょっぴり違和感があるのは否めません。特に食堂がなんか中国みたいだったのがちょっと残念でしたね。まあ素晴らしい映画なのでこれは重箱の隅なんですが。

ホームズはウメザキと一緒にヒロシマへ行き、原爆投下の傷跡生々しい焼け野原になった街を見ます。そこでは家族を失った男が自分の周囲に並べた石のサークルの中で懸命にお祈りをしていました。「あの石は彼の亡くなった家族 を表しているのです」と説明するウメザキ。そしてホームズは焼け野原に生えていた山椒の一種(?)を採取してイギリスに帰ってからも大事に育てているのでした。

しかしサーのホームズ、さすがですね。サーはまだ70代ですが、ちゃんと93歳に見えるんですよ(老けメイクもあると思いますが)。さすがのホームズも年波には勝てず、痴呆とかになって家政婦さんのローラ・リニーに迷惑かけたりしてるんです。ホームズは実験の途中で意識を失ったりしてるのでローラ・リニーは「もうお義父さん、本当にいい加減にしてくださいよ!」というテンション。手がかかる舅を世話する嫁感アリでした。しかし頭脳や精神はまだしっかりしてるんですよね。ロジャー少年の子役がまた可愛いこと。ホームズとロジャー少年が一緒に養蜂をしたり海水浴したりするシーンが本当に微笑ましいんです。田舎の風景も美しいし。そういやホームズと子供って取り合わせも聖典パロディ含めてレアな気がしますね。

さて回想で語られるホームズを引退させた最後の事件とは、非常にミステリアスなものでした。依頼人のケルモット氏(パトリック・ケネディー)の妻アン(ハッティ・モラハン)の様子が近頃おかしいので探って欲しいというもの。二回流産をしたアンは精神のバランスを崩してしまい、夫のすすめもあってグラスハープを習い始めました。アンは次第にグラスハープにはまり、足繁くレッスンに通うようになります。そこから彼女の様子がおかしいのに気が付いた夫は彼女を尾行して、教室へ行くのですが先生から彼女は来ていないと知らされるのです。一 体彼女は何をしているのか?ということなんですが、ちょっとだけ聖典の「唇の曲がった男」の導入部に似てるなと思いました(妻と夫の立場が逆ですが)。回想のホームズも、もちろんサーが演じるのですが、可能ならおファス(マイケル・ファスベンダー)にして欲しかったかも・・・なんて思ってしまいました。だってマグニートの若き頃はおファスですからね(笑)。

若いホームズと言えば、サーが映画になった自分の冒険を観に行くシーンがあります。ここでホームズを演じているのはニコラス・ロウ。彼はスピルバーグ総指揮の映画「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」(1985)で、ティーン時代のホームズを演じたお方です。この映画、筆者も観たことがあります。ティーン時代という設定なんですが、ワトソンくんとも既に友達になっており一緒に冒険をするという映画(確かモリアーティー教授もいた)。劇中でホームズには美しいガールフレンドがいるのですが、彼女が冒険の途中で死んでしまったので以後は彼女に操を立てて女嫌いになるという泣かせる話でした。「へー、あの男の子がねー、立派になっちゃって」と思ったらもうニコラス・ロウはアラフィフでした。でもあんまり変わってない。本作でのニコラス・ロウはジェレミー・ブレットがドラマで着てたみたいな黒いタイとスーツを着ていて、それも嬉しかったです。

アンは薬局で毒物にもなる薬を買ったり、夫の銀行口座からお金を引き出したりと怪しい行動を取っていました。夫を殺害か・・・?と思いきや、実は薬は自殺のためでお金を引き出したのはは自分と子供たちのお墓を作るためという 悲しい悲しい理由だったのです。それを見抜いたホームズは、彼女を諭します。そのやり取りの中でアンが「私と孤独を分け合ってくれませんか?」と言って、ホームズもそれにちょっと揺らいでしまうんですよね。ホームズ自身が選んだことではありましたが、彼もずっと孤独でした。孤独な二人の魂が交差するのが伝わって来る素晴らしいシーンなんですが、演じているのがサーなので(サーはゲイをカミングアウトしている)ちょっとだけ引っかかってしまいました。だからおファスだったら・・・などと妄想してしまったわけです。もちろんホームズは「旦那さんのところに戻りなさい」と言って彼女も納得し薬を捨てるんですが、結局線路に身を投げて自殺するのでした。こんな悲しい事件がずっとホームズの心に残っていたのです。彼はアンが忘れて行った手袋と、彼女の写真を今も大事に取っておいてあるんです。切ないのう・・・。いわばアンはもう一人の「あの女(ひと)」なわけですよ。

しかし心理描写が非常に丁寧な映画でした。ホームズとアン、ホームズとロジャー少年、ロジャー少年とお母さん、どのダイアローグシーンもキャラクターの想いがじわ~っと伝わって来るんですね。そういう丁寧に出汁を取った様な演出が重ねられてきているから、アンが自殺したと知った時や、可愛いロジャー少年がスズメバチに刺されて意識不明になってるシーンでは、もう「ええ~っ!!!」と観客も打ちのめされるんですよ。

痴呆が進んで行くけれども昔の忘れられない思い出を断片的にプレイバックし続けるホームズを見てると、先述したように「ああ、親しい人が皆行ってしまって、一人だけ長く生きるって寂しいなあ・・・辛いなあ・・・切ないなあ・・・できれば家族や友達よりも先に死にたいなあ・・・」と思ってしまうんですよ。私は特に子供の頃からホームズ物語に親しんで来ていて現役時代の彼のシビレル様な活躍を知っているからなおさら、名探偵の老境を見るのが辛い。ラスト近くで、ロジャー少年が回復してホームズと一緒に再び暮らすことになります。海の見える丘に座ったホームズは自分の周囲に石を並べます。「この石はワトソンくん、これはマイクロフト、これはハドソン夫人・・・」そして、ヒロシマで見た祈る男のように彼も亡き愛する人々へ祈りを捧げるのでした。


過去への感謝を持ちながら今現在周囲にいる人と心の交流を持ち、一日一日を生きて行く、というラストに落涙。そしてワトソンくん、マイクロフト、ハドソン夫人と石を並べるホームズ、アンに「私もずっと孤独だった」って言ってたけど、違うよ!理解のある素晴らしい人々に囲まれてとっても幸せだったじゃないですか!いつも献身的な友人で相棒のワトソンくん、助けてくれたり仕事をくれたりしたマイクロフト兄さん、面倒くさい下宿人だったホームズを母親のようにひたすら受け入れてくれたハドソンさん。ホームズが93歳にしてやっとそれを認められるようになったんじゃないかな・・・とも思えるのです。ホームズファンとしてキャラクターに思い入れがあるから落涙、落涙でした。アンだって辛い思いをして孤独だったかもしれないけど、あんなにいい旦那さんがいたのにもっと早く気付くことが出来ていれば・・・と思うと切ないですね。

そして、サーもどうか長生きして色々な映画に出てね!と思ったのでした。似た様な観賞後の気持ちとしてマイケル・ケイン主演の「Youth」を思い出しましたよ。どちらもおじいさん映画として素晴らしい出来になっています。ちょっと思ったのですが、おばあさん映画「マルタの優しい刺繍」や「人生、いろどり」や「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」は、おばあさんなのに新しいビジネス始めちゃったりしてパワフルだけど、おじいさん映画は過去への感傷とか死への不安などがメインになっている感じがしますね。「ラストタンゴ・イン・パリ」でも似た様なことを書きましたが、やっぱり女はリアリストで、男はロマンチストなんでしょうかね。

同じくホームズを題材にしたパスティーシュ映画「シャーロック・ホームズの冒険」もご覧頂けると嬉しいです。



バーゲン戦利品 2016年冬



2016年冬のバーゲンの記録です。


ザラのコート



・コート(ZARA)

正確にはクリスマスに買ってもらいました。写真を探しましたが、すでにオフィシャルサイトからはなくなっていたので似た様なコートの写真で・・・。グレーのツイードのコートが欲しかったのでちょうどよかったです。そして、この国でザラのバーゲンは12月27日からだということがわかりました(一昨年も去年もそうだった)。しかしザラは他のブランドみたいにあんまり値下げを積極的にしてませんねえ。Promodの気前の良さを見習って欲しいです。


2016バーゲンその2


・ワンピース×3(Promod)


Promodのセールはなんと今年はクリスマス前から始まっていました。早い!このワンピースはみんな同じパターン、カッティングです。確か半額の500コルナ(2500円)くらいだったかな。最初に真ん中の柄ワンピースを試着して、首の開きとかフィット感が気に入ったので色違いで黒いワンピースを二着買いました。リトルブラックドレスはずっとずっと欲しかったんですよ。一着はベルベットでバレエとかオペラとか観に行くとき用(そんなに頻繁に行きませんが、今まで一張羅のワンピースを毎回着用していたので・・・)。もう一着は普通の化繊で普段使い用です。私は米澤よう子さんのパリジェンヌ本の大ファンなんですが、本によくリトルブラックドレスのシーン別着こなしみたいな提案が載っているんですよね。そんな風に楽しめたら良いなと思います。



2016バーゲンその1


・シャツ (Promod)

ミーティングなどでちょっとシュッとした格好をしたいとき用に買いました。シルエットがとても綺麗で5キロくらい痩せてみえます!(当社比)。これも半額で400コルナ(2000円)くらいでした。

・ミラーワークの付いたシャツ (MANGO)

はい、出ました、エスニック!ミラーワークが付いたとなれば買わない訳にはいかないでしょう。もちろんインド製です。でも秋冬物だからシックにベースは黒。半額で500コルナ(2500円)でした。これで大好きなパラクパニール(ほうれん草とカッテージチーズのカレー)を食べに行きたいと思います・・・。

以上、2016年冬のバーゲンの記録でした。

以前に買って良かった冬の定番という記事を上げました。来年こそは買いたい、Glen Princeのカシミヤストール。今はチェックが気になっています。



         




買った/もらったもの 2015 秋冬



2016年の映画に行く前に、2015年の秋冬のファッション備忘録です。


2015その1



・ダルメシアン柄のグローブ(gloves)

数年前から欲しかったglovesのダルメシアン柄の手袋をついに買いました!といっても去年の冬の終わりにバーゲンで買ったので、約一年ほど前の話です。半額で1万円くらいでした。glovesのハラコグローブは大好きでレオパード柄も持っています。このお洒落な手袋の凄いところは普通の地味カジュアル服が一気に格上げされることです。一回、駅で知人と待ち合わせして慌てたせいで片方落としてしまい、そのままその場を立ち去りそうになったことがありました。幸い気が付きましたが、ああ恐ろしい。以前スーパーでレオパード柄も同じく片方落として、親切なおじさんに拾って頂いたことがありました。どちらの柄も、もし片方だけになったらもう一度買う、それくらい気に入っています。楽天でのお取り扱いはこちら→<WINTER SALE>【アウトレットセール】Gloves グローブスダルメシアンハラコ×ラ…

・ゴールドのピアス(ノーブランド)

義理の母マミンカからのプレゼント。近所の宝石屋さんで 買ったもので、ノーブランド。パッと見た時は「あ~、好みじゃないわ・・・」と思ったものの喜んでつけました。マミンカ曰く「一ヶ月以内だったら同じ店にある別の同額商品と交換可能だから、気に入らなかったら言って頂戴ね」ということだったので、夫を通じて頼もうと思っていました。「デザインはいいけど、 私には(強調)似合わないんです」ってことで・・・あくまで非は似合わない私にあるというアピールのつもりです(笑)。その間にマミンカから食事に招待されたので、このピアスをつけてみたんですが意外とイイ!私はボタンタイプの耳たぶ内に収まるピアスや、ゆらゆら揺れる大ぶりのものは持っているんですが、耳たぶからちょっと出る感じのものは持ってなかったんですね。さりげないけどピアスして るって感じが出ますよ。ちょっとカタい席にもつけられそうなので交換しないことに決めたのでした。人からのプレゼントでお洒落の幅が広がった好例かもしれ ません。

・バケットバッグ(Vigneron)

これもマミンカから。黒いレザーのバケットバッグがずっとずっと欲しくて「これこれこういうバッグが欲しいんだけど、どこにも売ってない」と言っていたらクリスマスプレゼントに買って来てくれました。デザイン、大きさ、ハンドルの長さとすべてが理想通りで狂喜乱舞しました。マミンカのセンス、あなどれない!




2015その2


・デニムシャツ(Promod)

夏のバーゲンがだいぶ後半になったころにゲットしましたが、前の記事に間に合わなかったのでこちらに記録。割引率が思ったよりも低くて少し考えましたが、結局購入しました。確か3000円くらいだったかな。私はシャツカラーが似合わないんですよ。なんか顔が地味だからかシャツカラーを着ると信金の制服みたいになっちゃうのです。サイズ36なんだけど、胸元の開きが思いのほか大きくて「やはりフランスの服だのう・・・」と思ったのでした(Promodはフランスのファストファッションブランド)。だから下に長袖のカットソーを着てレイヤードアイテムとして使用しています。


・ライトダウン(MANGO)

帰省した時にユニクロで買おうと思っていたのですが、忘れてしまいました。MANGOでまるっきりユニクロみたいなダウンが売っていたので購入。確か日本円にして8,000円くらいだったと思います。プロパーで買ってしまいました。ライトダウンはヨーロッパでも受け入れられたらしく、EUからの観光客も旅先で急に寒くなった時のアウターとして活用している様 子。しかも質感的に「ユニクロだよね?」というものを着ている方も多いです。軽くて暖かいのもいいし、付属の巾着の中に入ってポータビリティーに優れているというのもいいですね。話は変わりますが、イラストレーターの米澤よう子さんのパリジェンヌ本が大好きです。刊行されたものは全部持ってて引っ越し先にも持って来たのですが、3~4年前の本だと「ダウンはモコモコしてるしスタイリッシュじゃないから、パリジェンヌ的にはノン!」みたいなことが書いてあるんですね。しかし、この数年で劇的に改良されたダウンのお陰で今年刊行された本には、ユニクロとまでは書いてないけどライトダウンのシーン別着こなしが載ってました。パリジェンヌ的にウイになったライトダウン、だから筆者も 買ったというわけではありませんが(照)。ちなみに右端に映っているのは壁に貼った黒猫のステッカーです。



2015その3


・エプロンドレス(ヴィンテージ)

ローカルのヴィンテージマーケットにてゲット。店主曰く、別々の服からテキスタイルをカットしてリメイクしたものだとか。でも作りかけ・・・。しかし可愛かったので買ってしまいました。150コルナ(@750円)だったけど、作りかけだったから値切ればよかった・・・。しかも試着をせずに買ったので家に帰って小さいことが判明。どーすんのこれ・・・ということで姪っ子に譲ろうと思います。夫曰く、このワンピースのテキスタイルはチェコの民族衣装的なものなんだそう。だからきっと姪っ子の方が似合うでしょう。

・アフリカンテキスタイルのトップ(ヴィンテージ)

同じくローカルのヴィンテージマーケットでゲット。200コルナ(@1000円)でした。ヴィンテージものを買うのは15年振りくらい。昔はお金もないしファストファッションもなかったので「センスと時間を使ってお洒落なものを探す!」と張り切り、週末は渋谷の古着屋の棚に埋もれていたものです。当時はTシャツをよく買ってましたね。アメリカの子供がサマーキャンプで着てた様なTシャツ(「オレゴン サマーキャンプ 88」 みたいな文言入り)を見つけてはよく着ていました。古着のTシャツって生地がいい感じにクタっとしてて着心地もよかったのです。15年ぶりの古着、タグを見てみたらナイジェリアのものだとわかりました。




・リュックサック (ハーシェルサプライ)



仕事用に、そのまま書類をザッ!と入れられるリュックを探していた時に見つけました。どうやらカナダのリュックサックメーカー、ハーシェルサプライはこの国でも流行っているようです。ちょっときれい目な学生風の人が男女問わずよく持っています(ハーシェルといえばコレ、のダブルベルト使いの大きなリュックを持っている人が多い)。ローカルの小売店で1500コルナ(7,500円)でした。夫は私がコレをしょってると「高校生みたい」と言って敬遠しますが、女子からは「カワイイ!」と評判です。

以上、2015年の秋冬の記録でした。



『コードネーム U.N.C.L.E.』年越しムービーに選んで大正解!!!


                        


サントラも買い!



大晦日の夜、この映画を観ながら年を越しました。いや~、この映画で本当よかったんじゃないの?という感じ。2016年は景気のいい年になりそうですよ。この映画、タイトルはなんとな〜く見たことがあったんですが、ホント全然ノーマークでした。Twitterで色々な方の2015映画ベスト10を見ていると、この映画が結構ランクインしていたので「コードネームが叔父さん・・・?それとも伯父さん・・・?でもまあ試してみよう」ということで鑑賞したんですがね。ちょっと、この映画のこともっと早く教えてよ〜!って感じでしたね~。やっぱり新作にはアンテナを貼っておかないダメ!と思ったのでした。

監督はガイ・リッチーってのも知らなかったし、60年代スパイ映画ってことも誰が出てるのかも 知りませんでしたし。でも知らないづくしってのは逆に幸運だったとも思えるのです。それだけ楽しみが大きくなるのですからね。60年代、東西冷戦まっただ中。米国CIA敏腕スパイのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)は、東ドイツから科学者テラー(クリスチャン・ベルケル)の娘ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)を西ドイツへ連れて行くミッションの途中で、ソ連KGB敏腕スパイのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)の妨害を受けます。しかしなんとか西ドイツへ脱出したソロとギャビー。ところがCIAとKGBがタッグを組まなければならない事態が発生します。ナチに傾倒するイタリアの大富豪アレクサンダー(ルカ・カルヴァニ)とヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)夫妻が、海運会社を隠れ蓑にして核兵器を作ろうとしていたのでした。これを阻止するために鉄のカーテンを越えて米ソが共同戦線を張ることに。しかし性格も仕事のスタイルもまったく正反対のソロとイリヤは、協力してミッションをやり遂げることが出来るのでしょうか・・・?というお話です!

いや~、あらすじを書いてるだけでなんだかワクワクしますね~。やっぱりスパイアクションの舞台は冷戦時代ですよ。でもって核ミサイルを発射直前で止めないと!正しいスパイアクションはこうあるべき!と、テンションがあがります。007なんかだと英MI6対ソ連みたいな対抗の図式ですが本作は、水と油みたいな米ソが協力するってのがまたいいじゃないですか。米CIAの敏腕スパイ、ナポレオン・ソロはいつも三つ揃いのスーツをビシっと着たクールなイケメンで女好きという007のコピーみたいなキャラクター(ヘンリー・カヴィルは007の最終候補に残っていたらしい。納得)。もともと泥棒だったので何かを盗むのがお手の物。演じるのは新スーパーマンのヘンリー・カヴィルです。実は筆者は彼とこの映画で初めましてなんですが、彼がも~う笑っちゃうくらいのイケメン。ハンサム。男前。美男。色男(んでケツアゴ)。彫刻のような美貌が過ぎてなんか面白ささえ感じちゃうんですよね(笑)。声と話し方がエロいのも素敵です。

対するソ連KGBの敏腕スパイ、金髪の大男イリヤ・クリヤキンはハンチングを被った冷徹な武闘派でソロと比べるとちょっと若い。優秀なスパイではあるんですが、怒りのコントロールが出来ずモノを壊しまくるという困った人でもあります。劇中何回も「クリヤキン、キレる・・・?キレる・・・?キレた!」というシーンがありました(笑)。演じるのはアーミー・ハマー(筆者はカフェでの顔合わせのときにアミハマだと気が付いたのだった )。彼の映画は「ローン・レンジャー」を観てますよ(これは退屈だったが)。彼もカヴィル演じるソロとはタイプは違えどイケメン。ロシアなまりの英語も完璧。このタイプの異なるイケメンが二人で頑張るってのが最高のご馳走なのですよ。アメリカとソ連、黒髪と金髪、軟派と硬派、このコントラストがたまらなくいいじゃないですか!!!二人とも超優秀なスパイだけど、方や女好き、方や怒りのコントロール出来ずって欠点さえも愛おしいですよ。

そんな男スパイ二人の中に入るのがドイツ人のギャビーちゃんです。男勝りな自動車整備工という設定ながら、オードリー・ヘプバーンや野宮真貴も真っ青の素敵な60年代ファッションを取っ替え引っ替えします。演じるアリシア・ヴィキャンデルさんも初めましてなんですが、「アタイ」という一人称が世界一似合う女優ミシェル・ロドリゲスを細くして可憐にした感じの人です(ラテン系かと思いきや、アリシアさんは スウェーデン人なんだそう)。彼女はただ守られるだけじゃなくて結構強い(これ伏線ですな)女の子です。タイプが真逆のイケメン二人に小粒でピリリとした女子というこのトリオのバランスもとてもいいと思いますですよ。

ガイ・リッチーの「シャーロック・ホームズ」二作は個人的には「う~ん・・・?」という感じだったけど(筆者は一応、聖典遵守派。でもベネ様のはイイ)、今回は手放しで面白かったですね。編集もスタイリッシュだしテンポもいいし。それに悪役も美しい!悪役ヴィクトリアを貫禄たっぷりに演じたVOGUEな感じの女優さんは一体誰〜?と思ったら、「華麗なるギャッツビー」に出ていたエリザベス・デビッキさんでした。しかもまだ20代中盤なんですね。それであの美しきヴィランっぷり(Sっ気も凄かった)、恐れ入りました。彼女の盛りに盛ったイタリアンマダム的デコラティブルックが、可憐なギャビーちゃんとコントラストでまた良しでした。美男に美女に60年代ファッションにと本当に目の保養になる映画です。イギリスMI6の偉い人ウェーバリーがヒュー・グラントですよ。さすがに老けた感じは否めないけど、いわゆるみんなが想像するヒュー・グラントっていう軽妙な演技で観客をニヤニヤさせてくれました。しかしCIA、KGB、MI6が揃い踏みって凄いですね。







※以下、ネタバレします。




気に入ったので二回も観ちゃいましたよ〜。アメリカとロシア、水と油な二人なんで最初はお互いのことを信じてなくて、盗聴器を仕掛け合ったりしてるんですよね。ソロが「俺の部屋にロシア製の盗聴器がこんなに」って盗聴器をイリヤに投げるんですが、イリヤも「俺の部屋にもアメリカ製のがあった。ローテクだな」って言って同じくらいたくさんの盗聴器を投げるんですね。他にも敵の核がある秘密基地に忍び込む時に、金網を切る道具でも競い合ってるんですよ。ソロのはハイテクなペンチみたいのだけど、イリヤのはレーザービームみたいな熱で切るハイパーガジェット。当時、ソ連の方が技術力は上だったのかなあ〜なんて思ったりしました。秘密基地から逃げるときに、ベスパにさりげなく2ケツしてるのが可愛かったですね。こういうディティールに胸キュンしちゃう私も腐女子の素質アリでしょうか?

音楽の使い方も洒落てます。諜報活動をしてるときにはワクワクさせるハイテンポの音楽がかかってノらずにはいられないし。と思えばローテンポな「ヒロシです・・・」の音楽(「Che vuole questa musica stasera」邦題は「ガラスの部屋」)がイリヤのピンチにサンドイッチを頬張るソロのバックで流れたりする。ニクいなあ。でも、ソロはイリヤのことをちゃんと助けてあげるんですよ。逆にソロがヴィクトリアの罠にかかって昏睡状態になり怪しい拷問椅子(007新作もこんなのに座らせられてたな)に括り付けられたときに、イリヤが助けてくれるんですよね。これでおあいこになってちょっとホッとしました。


日本人には「ヒロシです・・・」で有名なあの曲





その後、ソロたちが秘密基地に忍び込んだことを知ったヴィクトリアが彼らがホテルにいるかどうか確かめに来るんですが、なんとか間に合ったソロ。イリヤが盗聴器(まだあったのね)をオンにして彼の部屋の様子を盗聴すると、そこからはソロとヴィクトリアの喘ぎ声が・・・というオチ。翌日、イリヤがソロに対して妙にカリカリしていたのがもうね・・・。

しかし萌えなのはソロとイリヤのブロマンスだけではなく、イリヤとギャビーもなんです。この二人は任務のためフィアンセということにされるんですが、任務を通じてお互いを意識していくんですね。ホテルの部屋でバトルした後で、イリヤがギャビーを抱っこしてベッドに運んで寝かせてあげるのにも萌えだったし、ギャビーの太ももにつけた盗聴器の調子をイリヤが見るシーンも萌えなんですよ。しかもギャビーに触れる手が冷たくないように手をこすり合わせてあたためるイリヤ・・・優しい。こういう役割は女好きのソロがやるのかと思ったら気を利かせてバルコニーに出てるし(そもそもギャビーちゃんは全然ソロのタイプじゃないっぽいけど)。ギャビーとイリヤがキスしそうになると邪魔が入って慌ててパッて離れるのも萌え〜。ということで、BL的にもノンケ的にも色んな萌えがキラキラと散りばめられているのでした。

もうひとつ上手いなと思ったのが、後半で敵陣に攻め込むときの画面処理ですね。漫画みたいに画面が分割されて、サクサクと攻めて行くのが説明されるんですよ。ここは重要なシーンではないので普通にカメラ回したらダレちゃって退屈するところ。それをお洒落かつ合理的に処理していて、上手いなあと思いました。こういう演出は別に新しいわけではないと思うんですが、分割画面の中が赤かったりズームにされたりと工夫が凝らされていましたよ。やはりガイリチはこういうところが洒落てるのう。

めでたくミッションコンプリートした後、ソロとイリヤにお互いのボスから核兵器の情報が入ったテープを手に入れろ、必要なら相手を殺せ!という非常に非情なミッションの命令が入ります。せっかく仲良くなったのに、また敵同士になっちゃうの・・・?と切ないところ。しかし、それを溶かすのがイリヤのお父さんの古い腕時計だったのです。イリヤはチンピラ(ヴィクトリアの部下だった)に盗られたお父さんの形見の時計をとても大事にしてたのをソロはしっかりと覚えていて、たまたまではあったんですが時計を取り返すことが出来てたんですね。ソロとイリヤがピストルとナイフを準備し、戦うのか?と思ったら「そいや、こんなの見つけたよ」とソロが時計をイリヤに投げるんですよ。ええ話や・・・(涙)。

二人は機密が入ったテープを燃やして酒を交わすという実にピースフルなエンディングです。「いやあ感動的だなあ」とその場に現れたMI6のウェーバリーとギャビー。ウェーバリーはこのメンバーで新しいチームを作ることになったと告げます。コードネームはU.N.C.L.E.( United Network Command for Law and Enforcementという意味)。「え、マジで?!」となったところにソウルフルなニーナ・シモンの「Take Care Of Business」が流れ、新たにチームとなった各人のスパイファイルがフィーチャーされるエンディング・・・。「イクー!!!」(©宇多丸さん)となる瞬間である。スパイファイルによると、ウェイバリーはアル中だか薬中というアディクトで、ソロは日本語を話せるそうで、イリヤは柔道とチェスが得意で、ギャビーは自動車整備の他にバレエが出来て、現在ロシア語学習中だそうな。こういう細かい設定もいいですねえ・・・。


ニーナ・シモンのファンキーなナンバーがいい!(歌詞がセクシャルなのも意味があるのか?)





ってか今回はチーム結成までのストーリーですけど、続編あるの?!検索してみたところ、現在のところ具体的な話は出てないみたい・・・。ヘンリー・カヴィルやアーミー・ハマーは「そうなったら本当に嬉しいよ!」というテンションみたいですね。私もお星様にお願いしておこうとおもいます。しかし、このインタビュー画像、二人とも髭もじゃだ!ヘンリー・カヴィルはイギリス人なんで素のときはイギリス英語なんですね〜。






2015年はスパイ映画の当たり年だったようで「007 スペクター」や「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」「キングスマン」などが公開されました。この中で、アンクルがダントツに好きです!60年代スパイ映画って舞台設定もハートわしずかみだし、シリアスすぎない軽妙さとテンポのよい演出にグットミュージック、そして魅力的な俳優たち。出来ればもうちょ〜っとだけ、米ソ諜報員プライドの張り合いみたいなのと、BL的萌え要素を上乗せして欲しかったかな。本当、次回作も作って欲しい。二人のバディ感をもっと感じたいですよ。また監督はガイ・リッチーで。お星様、お願い!

余談:アンクルが好き過ぎて、Twitterで色々検索しています。素敵な写真とかイラストとかがいっぱいあって、Retweetやお気に入りボタンを押しまくっています。よかったら筆者のTwitterもご覧下さい。映画やアンクルがお好きな方、是非お友達になりましょう!→@aitanpraha


『男性・女性』仏語もっとがんばりましょう

        

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一応、今年の目標として週に映画二本というのがあります。できればそのうちの一本はフランス映画にして語学の勉強を兼ねようと考えていたのですが・・・甘かった。作品によっては、のべつまくなしに話して話して話しまくる、高速で話してなきゃ死ぬのかってくらい話すのがフランス映画。しかもゴダールですよ。学生時代に一度観てるから大丈夫かな~と思っていたのですが、会話の中身が全然わかんない・・・。撃沈なのでした。







66年冬のパリに住む若者達のちょっと政治的な青春スケッチという感じの映画です。新聞社で働く青年ポール(ジャン・ピエール・レオー)は新人歌手のマドレーヌ(シャンタル・ゴヤ)のことが好きになり、彼女の友達エリザベート(マルレーヌ・ジョベール)とカトリーヌ(カトリーヌ・イザベル・デュポール)と一緒にキャッキャするという話です。66年というとベトナム戦争とか東西冷戦とか大きな出来事が進行真っ最中でした。

映画に出て来るうら若き女の子たちにレオーの声を借りて「社会主義についてどう思う?」と質問するゴダール。「え~、わかんな~い」と答えるマドモワゼル19歳。みたいなインタビューが挟まれたりします。劇映画だったのに急にドキュメンタリーっぽくなって「あれっ」と思うんですね。でもなんだか耳が痛いですよ。社会主義についてどう思う?なんて聞かれても筆者はまともな意見を述べられやしません。

内容に関しての話が出来ないので、女優の話でもしましょうか。シャンタル・ゴヤは本当にアイドル歌手で、その後は子供たちのための歌を歌う「歌のお姉さん」のような活動をしていたそうです。彼女のアルバムを1枚だけ持っていますが、フランス・ギャルみたいな感じの曲ですね。後年になってから知ったんですが、彼女はフランスとカンボジアのハーフだそう。モノクロ画面では彼女の黒い髪と黒い目がコントラストを作っていて印象的だなと思っていたんですが、アジアの血が入っていたんですね。

カトリーヌ役を演じたカトリーヌ・イザベル・デュ ポールはレオーと翌年「出発」で共演します。この二人が出ているシーンは「出発」を彷佛とさせて、観たばかりだったので「おおっ」と思いました。スクリーン上の相性がかなりいいのが伝わって来ます。

エリザベート役のマルレーヌ・ジョベールは、なんと「300 進撃の帝国」やボンドガール役でおなじみエヴァ・グリーンのお母さんなんですね。そう言われるとミステリアスな目元がちょっと似てるかも。エヴァ・グリーンが主演した「ドリーマーズ」では最初の方にレオーがちょっと出てるし、現場でエヴァ・グリーンとレオーがどんな話をしたのかな~などと考えると楽しいです。

あとは、B.B.ことブリジット・バルドーが本人役で出ています。レオーはいつものセカセカしたナイーブな男の子なんですが、今回はなんとな~く、ふかわりょうっぽい?と思いました。なんでだろう。あとは、やっぱり60年代のファッションですね。冬という設定なんだけど、女の子はスカートスタイルにタイツを履き、足首が見える靴を履いてます。可愛いんだけど寒くないのかな~ 。昔の冬の方が今よりずっと寒いと思うんですが、この時代の映画を観ると女優さんがみんな薄着でコートもそこまで防寒性を重視してなかったりするものなので不思議なのでした。

『シャイニング』恐怖の「レッドラーム」

        

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よく見ると白目剥いてるんじゃなくて右側を見ているだけ・・・?


タイトルは聞いたことあっても未鑑賞の名作シリーズですよ。恐怖というよりも何か災難だったな〜って感じの映画でしたね。だって、善良な親子三人がホテルの冬期管理人を引き受けたことによって狂ってしまった肉親から斧で追っかけられて命を狙われ、あげくの果てには死者も出すという事態なんですから・・・。レンタルショップでジャック・ニコルソンが白目を剥いているジャケットは本当に昔っからよ〜く見かけてたんですよ(昔、ホラーは苦手だったので借りてなかった)。てっきり彼の白目がシャイニングってことかと思ってたんですが、シャイニングというのは彼の幼い息子が持っている特殊な能力のことだったのです。原作はスティーブン・キングで、ちょっとサイキックな感じの話なんですね。原作者キングは映画の出来を認めていないみたいなんですが。







※ネタバレします。



幼稚園の年長さんくらいのダニー少年(ダニー・ロイド)は別人格のトニーという少年になって話し出すという現象をたびたび起こしていました。お母さんのウェンディ(シェリー・デュバル)は心配して専門のお医者さんに診せたりしていますが、その年齢の子供に特有のイマジナリーフレンドみたいなものなので、特に異常はないとのこと。そのころお父さんのジャック(ジャック・ニコルソン)はあるリゾートホテルの冬期管理人の面接を受けていました。首尾よく仕事をオファーされたお父さんは、妻子を呼び寄せて冬の間クローズされたホテルを管理しながら暮らすことになります。ところがそのホテルは・・・というお話です。

前にホテル の管理人をしていた男は、冬の間に発狂して妻と娘(双子の姉妹)を斧でバラバラにした後に自殺したということなんですが。もうホテル自体が大島てるもビックリのでっかい事故物件なんですよね。ホテルのマネージャーは一応面接のときに「前にこんなことあったんだけど、大丈夫かな?」って確認してはくれるんですが、お父さんは二つ返事で引き受けてしまうんですよね。お父さんは以前学校の先生だったんですが今は小説家になるために作品を書いているので、冬に静かなところで執筆出来るというのもこの仕事の魅力だったんですね。ホテルが冬期休業に入る日、家族にホテルの中を案内した料理長であるディック(スキャットマン・クローザーズ)は、ダニー少年と同じ能力をもっていました。彼はその能力のことを「シャイニング」と言います。ディックは一家に一抹の不安を残してホテルを去るのでした。

シャイニングのあるダニー少年 はホテルに住み始めてから早速、「一緒に遊ぼうよ」と言ってくる殺害された双子の姉妹の亡霊を見たり、エレベーターホールに大量の血が洪水のようになだれ込んでくる幻影を見たりしています。これは結局、この場所が呪われていたということなんでしょうかね。お父さんは小説を書きたいんだけど全然書けなくて、そのフラストレーションやネガティブなバイブスが媒介となってしまい前任者の恐ろしい呪いを引き寄せてしまった・・・という感じなのかなあと思いました。

誰もいないだだっ広いホテル、しかも雪で閉ざされていて完全な陸の孤島状態なんですが、これも怖いですね。めっちゃ高い天井とかボールルームとか、広い空間がぼんやりとした不安をかき立てます。客室の応接セットの色がなぜかライトなパープルだったりして、アメリカ70年代後半の色使いもなんだか不気味です。昼でも充分怖いのに、夜になったら、もう・・・って感じですよ。しかも殺人事件も起きてるし、客観的に見てよくこんなところで管理人やる気になったよなあと思います。

ダニー少年の子役が非常にうまかったですね。普段の子供らしいところと別人格のトニーで話してるところの違いが見ただけで歴然としているのが素晴らしかったです。彼が「レッドラーム」「レッドラーム」と連呼するところが嫌でしたね~。子供のくせに、赤いラム酒?と思ったら、アナグラムで「REDRUM」→「MURDER」・・・ヒイイイイイー!!!!そして彼が書いた鏡文字が鏡に映ってMURDER・・・。ここが個人的には恐怖のどん底でした。憑依されたような子供が言ってるのがまた怖い。

お父さんは、やっぱり才能がなかっ たのか全然書けなくってお母さんに当たってばかりなんですね。お父さんは誰もいないはずのボールルームがお洒落した客で埋まっているのを見たり、バーテンにお酒をついでもらったりと幻想を見出しました(お父さんはお酒が原因で過去にDV問題を起こしていたのですが)。ジャック・ニコルソンはもともとコワオモテ俳優だし、面接のシーンからちょっとおかしな人に見えるので、狂って行くと言ってもあまり怖いな、怖いな~って感じもないんですよね。斧を片手にした姿を見てもむしろ「お前ならやると思ってたよ!」という・・・。お母さんのシェリー・デュバルは一見不思議ちゃん風なのがちょっと怖かったです(笑)。この方は「ポパイ」実写版でオリーブ役をやっていた女優さんだそう。

「ニッポンダンディ」金曜日の 高橋ヨシキさんの映画コーナーでも本作がよく紹介されますが、必ずジャック・ニコルソンが斧でバスルームのドアをぶち壊すシーンが出るんですよ。ヨシキさん曰く、お母さん役のデュバルだけ何度も何度もテイクを重ねて精神的に追い詰めて、この歴史に残るドア斧恐怖シーンが出来たんだそうです。斧のニコルソンも怖いけど、追い詰められて怯えまくるデュバルの演技も怖いです。しかし映画作りってやっぱり精神をすり減らすものなんですね。まあこうして後々語られる名シーンになってよかったですけども。このシーンは後年の様々な映画でオマージュされてますしね(「キングスマン」で洗脳された主人公のお母さんが幼い娘のいる洗面所をこじ開けようとするシーンとか似てました)。

ダニー少年は雪の中、お庭にある生け垣で作った迷路の中を逃げます。斧を持ったお父さんが追いかけて来るんですが、ここは恐怖というよりは かなり寒そうに見えるので、役者って大変な仕事なんだなあ・・・と思いました。ジャック・ニコルソンのお父さんはコート着てないですからね。連絡が付かないことを心配してはるばるフロリダからやってきた料理長のディックはお父さんに斧で殺されてしまうんですが、彼の乗って来た車(豪雪でも運転出来る特殊なやつ)でお母さんとダニー少年は逃げ出します。翌日、カチコチに凍ったジャック・ニコルソンのカットが入り(明らかに蝋人形チックなんですが時代のせいでしょうか。それとも狙っていたのかな)、ホテルの中に飾られた宴会の写真へとカメラが迫って行きます。1920年代の独立記念日のパーティーで、真ん前に笑顔で映っているのはジャック・ニコルソンなんですよね。でも劇中も1980年あたりだとすると年齢が合わない・・・。その他にも237号室の全裸浴槽女とか、お母さんが目撃する犬の着ぐるみをきた男とか、説明されてないファクターがいっぱいあります。町山さんの映画ムダ話を聞いてみないと・・・。

なんとなくですが、もし現代でリメイクするならジャック・ニコルソンのお父さん役はレオナルド・ディカプリオがいいんじゃないかな~と思いました。なんとなくこの二人、顔の構造が似てやしませんか?きっと演技派のプリ夫ならオリジナルを越えた超絶に怖いお父さんをやってくれそうな気がします。斧も似合いそうだし。この二人、共演してたっけ?と思って検索してみたら、こんな動画を発見。プリ夫、ええ人や。





『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』ロメロだよ、それくらい見とけ!

        




桐島、部活やめるってよ」の中で、神木龍之介くんが映研の部員に「ロメロだよ、それくらい見とけ!」って言ってたので、ロメロ監督の代表作ともいえる本作を鑑賞しました。カラーかと思ったらモノクロ!68年の映画なんですね・・・。この時代の映画っていうとヌーヴェル・ヴァーグとかになりますが、ヌーヴェル・ヴァーグは今見ても色あせない新鮮さがあるものの、本作は「さすがに68年のホラー、やっぱ古いな〜(苦笑)」という感じ。ホラー映画といっても「あ〜」とか「う〜」とか言いながらスローでゆっくりゆっくりと向かって来る敵なので、なんか牧歌的な感じも漂っています。しかしゾンビ映画の元祖といわれる作品であるオリジネーター感はやはり感じられますよ。


※ネタバレします


しかもゾンビ映画でありながら、ゾンビたちによるカニバリズムもある!モノクロだからそこまで刺激的な画にはなっていませんが、カニバリズムかよ〜!と最近「食人族」関連でフィーバーしていた筆者は不思議な巡り合わせを感じましたねえ。ゾンビとかカニバリズムって今現在でもヒット映画のモチーフになってますし、そのダブルアタックで来るというのは68年当時かなり刺激的だったのではないかと思います。

あと前から言われていたことですが、改めてペグ兄の「ショーン・オブ・ザ・デッド」はかなりこの映画の影響を受けていることがわかりました。この映画の中でペグ兄たちが「あ〜」とか「う〜」とか言ってゾンビの真似をしながら逃げるというシーンがありますが、やっぱりそう思いますよね。篭城した家から逃れるためには、フェイクゾンビになって行けばいいんじゃないかなあ〜とずっと映画を観ている間中考えていました。

家に篭城したメンバーのうち、トレンチコートの女の子バーバラと落ち着き払ってその場でベストの対策を次々と実行に移すアフリカ系青年はきっと助かるんだろうな〜と思っていましたが、まさかの全滅なのが意外。アフリカ系青年は最後まで助かったのにもかかわらず、救助に来た警察にゾンビだと勘違いされてど頭を打ち抜かれる・・・という実に可哀相な結末でした。ゾンビ達の緩慢な動きの通り、まったりとした映画なので特別おすすめはしませんが、ゾンビ映画の歴史をきちんと学びたい人にはマストだと思いました。





本作のヒロイン、バーバラちゃん。髪型とトレンチコートが「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーヴみたいで素敵でした。こういうルックは米仏問わず当時のア・ラ・モードだったんだなという感じ。





篭城メンバーであるクーパー夫妻の娘のカレンちゃん。ずっと寝ていて、作中で映るのはちょっとだけだったけど、こんなに愛らしいお人形として発売されていました。



『戦場のメリークリスマス』BLを超越した何か

         



あけましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願い致します。昨年は新しい仕事を始めたこともあって、なかなか映画を観る時間と余裕がありませんでした(忙しかったというよりは、時間管理がヘタだった)。今年は週に二本を目標に頑張りたいと思います。

この映画、クリスマスに観ましたが、クリスマス映画ではなく反戦映画でした・・・って何を今更、ですね。あまりにも有名なテーマ曲の雰囲気と邦題のせいで、てっきり冬の映画かと思っていたんですよ。戦いで疲れ果て、冷たい大地に腰を下ろしている兵士達に雪が舞い落ちる。非情で理不尽な戦いの場にもクリスマスはやってくる・・ ・みたいなね。そういうイメージがあったんですが、舞台はインドネシア。熱帯なんですよ!これは意外でしたね。でもって、本作のことをBLにフォーカスした映画だと思ってたんですよ。なんかのパロディーだかコントで、男二人がキスをしたらその瞬間に♪タララララン、タラ、タラララ、 タララララン♪と「戦場のメリークリスマス」が流れるというシーンを観たことがあったので。まあBL要素はあるにはあるんですけど、それだけの映画じゃないのだということが今回わかったのでした。




監督は「愛のコリーダ」の大島渚。役者陣は坂本龍一にデビッド・ボウイにたけしという、公開から32年を経ても充分に異色な組み合わせ!特にお笑いタレント専業であった当時のたけしの起用はものすごい冒険だったんだろうなあと思います。しかし、この起用が吉と出たのは言うまでもありませんね。たけしの存在感が、役者力が凄かった。ラストカットではもちろん泣かされましたよ。この出演が将来の北野武監督の礎のひとつになったのであろうと考えると胸アツですし。筆者はたけしのモノマネで頻出されるリリック「ファッキンジャップくらいわかるよ、バカヤロー!」はこの映画のセリフだと勘違いしていたので、出るのを今か今かと待っていたんですが、出典は「BROTHE R」だそうです 。ちなみに筆者がたけしのモノマネをするときのリリックは「ダンカン、バカヤロー!」です(たぶん松村邦洋がよく使ってるからかな)。

日本語ができるイギリス兵の捕虜ローレンスを演じたトム・コンティの知性と優しさをたたえた黒い瞳もよかった。日本語の息継ぎとか文の切り方とか、ネイティブから見ると「日本語のセリフを丸暗記したんだろうな」と思ってしまう不自然さはあるにせよ、彼の誠実なキャラクターがあるせいでノイズにはならない程度。短いセリフは見事でした。収容所で繰り返される暴力を目の当たりにしたローレンスの目の表情に「同じ人間同士なのに敵味方に分かれて争って・・・何の意味があるんだろう?」という無力さみたいなものを滲ませた演出になっていたと思いま す。

捕虜収容所にやって来た新しいイギリス兵セリアズがデビッド・ボウイなんですが、もう彼がメチャクチャかっこいいんですよね。乱れた金髪、不敵な眼差し、罠にかかった美しく気高い野生動物みたいな雰囲気があるんですよ。坂本龍一が一目でメロメロになるのもわかるというものです。しかし当時の日本軍の偉い人ってみんな英語上手なんだなあ~と感心してしまいました(笑)。一方で、への字口がチャーミングな若き坂本龍一。子供の頃、坂本龍一はこんなにシュッとしてる美形で音楽の天才なんて凄いなあと思っていましたよ(そういえば子供の頃、ジュリーと坂本龍一の見分けがつかなかった)。演技力はやや未熟なのは否めませんが、デビッド・ボウイのトリコになっていくヨノイ大尉を熱演していました。

ヨノイ大尉(坂本龍一)とその部下ハラ軍曹( たけし)の日本側ペア、捕虜のローレンス(トム・コンティ)とセリアズ(デビッド・ボウイ)のイギリス側ペアという国籍による組み合わせと、ヨノイとセリアズのBL(といっても圧倒的なヨノイの片思いなのだが)ペアとハラとローレンスの奇妙な友情ペアというエモーショナルなペアが交差する作りになってるんですね。ヨノイが特別な理由もなくセリアズの待遇にこだわったりしているので「ちょっとそんなに厚遇したらバレるんじゃないか・・・?」と心配していましたが、案の定部下の一人が「ヨノイ大尉殿を惑わせる異分子!」ということでセリアズを殺そうとしたりします。もちろんセリアズもそのことは分かっていて、それであの有名なキスシーンになるんですが。BLだ♪BLだ♪キャッホー!と言っていたのが恥ずかしくなるくらい、性別とか人種とか色んなファクターを超越してるような素晴らしいシーンなんですよね。言葉足らずで上手く言えないけど、もっと崇高な感じの何かを感じました。ベルトルッチ(この作品が縁となり後に坂本龍一に「ラストエンペラー」の作曲を依頼)が「映画史の中で一番美しいキスシーン」と絶賛するのもわかります。

セリアズの故郷にいる弟との回想シーンもありましたが、ローティーンくらいのセリアズと8、9歳くらいの弟との回想シーンから、ボウイ演じる大人になったセリアズと、まったく成長していない弟のシーンに移って行くんです。あれ?弟成長してなくね?彼は成長が止まってしまう難病なんだろうか、とバカなことを考えてしまったんですが、これは恐らく現在のセリアズが回想に入って行った感じの演出なんですね。捕虜収容所もその性質からすべて男性キャストで、この映画はこのまま男しか出て来ないで終るんだろうなと思ったら、回想シーンの教会に女性がいたのでそれがちょっとだけ残念なような気がしました。まあエキストラでほぼ書き割り的な使われ方をしていたんですけども。ラストシーンはもう涙涙で、戦闘シーンは一切ないのにも関わらず(自害とかはあったけど)戦争の理不尽さを浮き彫りにしているように感じました。たけしの「メリークリスマス!メリークリスマス、ミスターローレンス!」というセリフと表情が素晴らしかった。そして♪タララララン、タラ、タラララ、 タララララン♪・・・坂本龍一の音楽ですよ!

タイトルだけは知ってる名作というのがいっぱいありますが、イメージ先行で「こういう話でしょ?」と思いこんでいることもあるので、やっぱり実際に鑑賞してみなければいけないなあと思った次第です。映画鑑賞のバランス的には一応、新作(公開数年の新しめも含む)と旧作、洋画と邦画(数が限られるけど)、ジャンル的にはホラーとそれ以外みたいな感じでやっていけたら理想ですね。まあそのときの気分で観たいと思ったものを観ているんですが。新旧問わず、今年もたくさんの素敵な映画と巡り会えますように。



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