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『かぐや姫の物語』ジブリにしてはアダルト要素もあり

         



日本の夏といったらやっぱりジブリ映画!ということでDVDで鑑賞(公開は2013年の秋でした・・・)。予告編を映画館で見たときは、非常にアグレッシブな印象を受けましたね。憤怒で顔を歪ませたように見えるかぐや姫が全速力でダッシュして、脱皮するように着物を次々と道に打ち捨てていくという予告編だったので「ああ、これはきっと普通のかぐや姫じゃなくて、きっと戦うお姫様の話なんだろうな~。ジブリだからナウシカみたいに?それとも月繋がりでセーラームーン?」というように思ってたんですよね。

最近はハリウッドでもおとぎ話を大胆に新解釈したりツイストを加えたりしている映画が多いじゃないですか。「マレフィセント」や「ヘンゼル&グレーテル」みたいに。だからそんなニューウェーブな感じで来るんだと思ってたんですが、そうではなく、誰もが知るかぐや姫のストーリーそのままのお話だったんですね(幼なじみの捨丸兄ちゃんやお付きの女童は映画オリジナルキャラ)。



※誰もが知るお話ですがオリジナル要素もあるので、一応ネタバレしますと言っておきます。



「姫の犯した罪と罰」というコピーは正直よくわかりませんでした。物語の中に秘められた要素に基づいて色々と考察するよりは、すごく個人的なことにこの映画重ね合わせて泣いたという感じ(いつもそうか)。可愛い娘を授かって泣く泣く嫁に出すまでを二時間という短いけど濃く美しい時間の中で疑似体験するようにも感じられるんですよ。ダアダアと言いながら転がる可愛い可愛い赤ちゃんと、その子を愛しげに見守る翁と媼(老人なんだけどキャラ造形がものすごく可愛い)を見てるだけで勝手にジワジワと涙が出て来るんです。そんでまた赤子の成長が早いんだ!なにか衝撃を受けると1.3 倍くらいに大きくなるんです。乳飲み子だったのが、あっという間に歩き出し幼児になって野を駆け回るように。その成長の早さもまた切なくって泣けるという・・・。あまりに早く大きくなるので赤ん坊は村の子供たちから「竹の子」を呼ばれるようになります。

翁にチイチイこと地井武男(これが遺作)、媼に宮本信子という超芸達者なベテラン俳優さんを揃えています。さすがジブリ映画のキャスティング。この老夫婦の声だけで、どんなにこの竹から生まれた赤子が可愛がられているかすごく伝わって来るんですね。声を先に録音して後から絵をつけるという方法で製作されたので、赤子を見て彼らがほころんだりする動きが生きてる人間みたいに超ナチュラル。赤子をお姫様のように大事に大事に育てようと思い立つ翁なんですが、竹の中からお金や着物を見つけて本当の上流階級の姫として育て上げなければと思ってしまうんですよね。姫のことを思うばかりに姫の望まない環境へ連れて行ってしまうこの親心も切ないし、チイチイの演技がまた本当に素晴らしいので遺作だと思うと胸がキュッとするんですよ。

さて幼児になった竹の子は、ある日ウリボウ(イノシシの子供)を見つけます。可愛いウリボウと遊んでいると、隠れていた母イノシシが竹の子に向かって突進。そのピンチを助けてくれたのが捨丸兄ちゃん(高良健吾)なのでした。もうここで私は捨丸兄ちゃんに一目惚れ。シュっとした涼しげな目元をしていて、山のことをなんでも知っている捨丸兄ちゃんの声をあてるのは高良健吾(熊本県出身)さんですよ。私は日本に帰っていたとき父方の親戚がいる熊本を訪ねました。5時に夢中で同じく熊本県出身のハコちゃん(岩下尚史)が「熊本の男は八割がた、高良健吾!」と言っていたので楽しみにしてたんですよ。熊本市内のあるレストランで、父と親戚と夫と昼ご飯を食べていたら、父が「あそこに高良健吾がいる」というので、何を言ってるんだと一笑に付したところ・・・本当にいたのです!少し離れたテーブルに本物の高良健吾さんがっ!緊張してじっくり見ることは出来なかったのですが、色が白くてビックリするほどお顔が整ってました。まるで白蛇の化身のような美貌の青年でした(服はカジュアルだった)・・・。熊本で高良健吾さんと遭遇出来たことが、この夏一番の思い出といっても過言ではありません。そんなエピソードもあるので、私も捨丸兄ちゃんのことを好きになったわけです(笑)。

竹の子がだいぶ大きくなって捨丸兄ちゃんの年に近づいたある日、翁は竹の子(朝倉あき)を都に連れて行ってしまいます。大好きな山里を離れて都へ上がるんですが、住むところはすごいお屋敷で綺麗な着物もイッパイ!竹の子は「わーい!」とテンションあげあげになっちゃうんですね。あんなに野生児だったのに!ここは「まあでもそんなもんかのう・・・イイところに住んでイイ服着せてもらえれば嬉しいよな」と思ったのでした。お屋敷には姫をいっぱしのレディに育て上げるための家庭教師、相模(高畑淳子)と身の回りの世話をする女童(田畑智子)もいます。竹から出て来た金のおかげで成金になった翁は、貴族の斎部秋田(立川志の輔)に「なよ竹のかぐや姫」という名前を付けてもらうのでした。

野生児だったかぐや姫をしつけるために相模は手を焼きますが、ふとしたときにレディの片鱗を見せるかぐや姫。やっぱり高貴な血筋がそうさせるのでしょうか、観客としてはちょっとドキっとさせられます。屋敷の中にはベルサイユ宮殿のプチ・トリアノンのごとくカントリーライフを過ごせる東屋と小さな庭があり、媼とかぐや姫はそこで機織りをしたり野菜を育てたりしています。「も~、いつまでもそんな農民みたいなことをして!」とすっかり貴族になった翁(笑)。やがて、美しいかぐや姫の噂はあっという間に都に広まり、お金持ちの求婚者が殺到。「なんたる幸せ!」と上機嫌にな る翁。そもそも都に出て来たのは上流階級のお姫様として教育し、出来るだけ身分の高い貴族のもとへ嫁がせるためだったのでした。しかし娘を持つ親の心ってのは平安の世からそんなに大きくは変わってないのですね(笑)。思えばうちの親も子供の頃はピアノやお習字を習わせていましたし、ちゃんとした会社にお勤めしている常識人との結婚を望んでいたんじゃないかと思います。まあ私は結果、母親を「夢と違う」と言わせて泣かせてしまったわけですが・・・(苦笑)。しかし親も親で、ずっと子を見てればどんな人生を歩む人になるのかわからないんだろうか?と思いましたが。

前後するかもしれませんが、かぐや姫は牛車で出かけたときに偶然に捨丸兄ちゃんに再会します。捨丸兄ちゃんは街で 仲間と鶏を盗もうとしていたのでした。かぐや姫と視線が合い、「竹の子・・・?」と鶏を手に立ちすくんだ兄ちゃんは捕まってフルボッコにされてしまいます。それを牛車の中から見ているかぐや姫・・・。もう、二人は永遠に交わることのない世界に生きているのです。外は雨が降りしきっているのがまた切ないですね。

五人の有力貴族が姫にプロポーズをしてきます。車持皇子(橋爪功)、石作皇子(上川隆也)、阿部右大臣(伊集院光)、大友大納言(宇崎竜童)、石上中納言(古城環)らです。キャラ造形が声の持ち主に似てます(伊集院のキャラが可愛かった)。ただ橋爪功なんかは実年齢考えると、かぐや姫なんて孫やひ孫みたいなもんなんじゃないの?激しくロリコンじゃな・・・と思ったのですが(でも宇崎竜童にはそういう感じはしないのが不思議)。おおかぐや姫、あなたは伝説の宝物のごとく美しい!とそれぞれ、中国かどこかにあるとされている秘宝にたとえてかぐや姫を褒めちぎる貴族たち。「じゃあそのブツを持って来いや!」とかぐや姫が無理難題を押し付けます。子供の頃に絵本を読んでいて、一番面白かったのがこのエピソード。蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣(こんなグッズが。ちょっと欲しいぞ)、龍の首の玉・・・などと妖しさときらびやさが混然となった宝物の名前を聞くだにワクワクするじゃありませんか。そういえば、熊本の父の実家に一冊だけあった絵本が「かぐや姫」でした。熊本ー>高良健吾ー>かぐや姫で、なんだか長い時を経て私の中で点と点が繋がった気がします。

しかし、そんな伝説の宝物なんぞあるわけもなく職人を雇ってフェイクをでっちあげる者もあれば、本当に取りに行ったはいいもののトラウマ作って帰って来たり、本当に死んじゃったりとどれも実を結ばないのでした(そういや、蓬莱の玉の枝のように宝石をつけた木は筆者の居住国の土産物屋でもよく売っています。結構可愛いのでお土産におすすめかも)。なかでも一番のイケメン、石作皇子(上川隆也)は「宝物は探したけどありませんでした。宝物よりも私の真心をどうぞ!都を捨てて憧れの田舎で一緒にカントリーライフしましょう!」とアプローチします。むむ、そう来たか・・・と思い、実際にかぐや姫もかなり心を動かされています。あれ?あれれれ?このまま結婚しちゃうのかい?と思ったら、すんでのところでかぐや姫と石作皇子の北の方(朝丘雪路)がスイッチするというオチでした。私はデブスのババアとすり替えたのね、と思ったけどこの方は石作皇子の正妻なんだそうです。そういえば誰か忘れたけど貴族が宝物を持ってやって来たときに、召使いだったかが「寝間の準備を」みたいなことを言っていました。ちょっと生々しいですね!この映画はジブリなんだけど、ディティールが妙にアダルトタッチな部分があるんです。これがまずその1。

一番簡単そうな宝物「燕の子安貝」にチャレンジした石上中納言が、高所から落ちて腰の骨を折ったかで死亡・・・。それを聞いたかぐや姫は「わたしも、偽物なのよ!」と泣きながらプチ・トリアノンを荒らします。そんなに言うなら、あんな無理難題出さなきゃいいじゃん・・・とも思うんですが。幼い頃は、お金持ちになびかないかぐや姫、カコイイ!と思ってたけど、親心のなんたるかを少し理解するようになった今では「あんなに大事に育ててもらったんだから、翁の気持ちを汲んでやって一番マシなのと結婚してやりゃいーじゃん」と思うようになったのでした(笑)。

さて、かぐや姫の噂は御門(中村七之助)のところまで行き着き「そこまでして有力貴族との結婚を拒むということは、余との結婚を望んでお るに違いない 」と、大変な勘違いをさせてしまいます(笑)。この御門のキャラ造形がアバンギャルドでしたね~。アゴが鋭角に尖っていて、衣の肩にパッドが入ってるみたいなシルエットで・・・バブル時代の黒服みたい。御門はかぐや姫を訪ねます。当時は高貴な女性が顔を見せる=男女の関係OKという考え方なので二人の間には御簾が垂れ下がっているのですが、なんと御門は強硬突破し、いつの間にかかぐや姫の後ろに回って姫を抱きすくめるんですよ。キモッ!!!キモッ!!!とかぐや姫に猛烈な勢いで拒否されてしまうのでした。この、いつの間にか後ろにいて「よいではないか」というのもジブリにしては妙にアダルトタッチ、その2です。

この御門のキモイ行為が引き金となって、かぐや姫は月の世界に帰りたいと強く願ってしまいます。しかしそう願ったのは御門に抱きすくめられたときだけで、いつまでも翁と媼の側にいたい地球にいたいというのが本心。引き裂かれる思いで月からお迎えがやってくる十五夜を待つことになるのでした。この映画ではお迎えの前にオリジナルのエピソードがあります。もちろん捨丸兄ちゃんとの関係をなんとかしなければなりません。媼はそんなかぐや姫の気持ちを汲んでか牛車を出して、かつて住んでいた里に向かうのでした。前にかぐや姫がお披露目会からダッシュして走り去り里に戻ったときは誰も住んでいなかったのですが、樹々が育ってまた村人が戻って来ていました。 その中に捨丸兄ちゃんの姿が!しかし捨丸兄ちゃん、赤子を肩車しています。もう何もかもが遅過ぎたんですよ・・・。

再会した二人ですが「竹の子、俺と一緒に逃げよう!」(!!!)という捨丸兄ちゃんと、「もう遅いの!」というかぐや姫。捨丸兄ちゃんからのオファーがまた、本気が滲んでいて思わず「逃げる、私、捨丸兄ちゃんとならどこへでも行く!私を連れて逃げてっ!」とすがりつきたくなっちゃうんですよ(笑)。妻子ある思い人から一緒に逃げようと言われるなんて・・・それともさっき肩車してた子供は捨丸兄ちゃんの子じゃなくてコミュニティーの子だったのか?そういうオチもあるかもだけど、これもかなりアダルティー、その3です。そこから二人は空を飛びます。飛行シーンはジブリならではの美しさ。書き忘れましたが、セル画を使ったアニメ絵ではなく鉛筆で書いた ラフスケッチがそのまま動いているような絵柄も素晴らしいです。死ぬ程労力と時間を費やしている贅沢な映画ですね。空を飛びながら「私のことをしっかり抱いていて!」とさけぶかぐや姫。「抱いているよ、こうして抱いているよ!」と捨丸兄ちゃん。これもなんだかアダルティー、その4です。夢の様な飛行シーンでしたが、これは捨丸兄ちゃんの夢でした。「竹の子!」と叫んで野原で目を覚ます捨丸兄ちゃん。そんな彼の元にさっきの子供が「お父ちゃーん!」と駆け寄ります。その後ろには彼の妻が。「お、おう・・・」と立ち上がって子供を抱き上げる捨丸兄ちゃんでしたが、嫁のキャラ造形が線で適当にシャシャッと描いた様な微妙さ。夢から覚めると微妙な顔の嫁と子供がいる現実があるというのは、ジブリ映画にしては珍しい悪意演出だなあと思いました(褒めてる)。ここもアダルティー、その5ですね。

とうとう十五夜がやってきました。お屋敷の外には軍隊が置かれ、女童も長刀を持って待機しています。翁と媼もかぐや姫をしっかりと抱いて離しません。しかしそんなことをしても無駄で、月から雲に乗ってやってきた仏様のご一行は難なくかぐや姫を連れて行ってしまうのでした。月のご一行様はまるで平安風のエレクトリカルパレードみたいでしたね。なんか月ではなくて極楽浄土にファーストクラスで連れてってくれるような、ありがた~い気分になり心の中では手を合わせてしまっていました。かぐや姫と翁と媼の別れのシーンでまた涙。何かと言うと自分を物語に同化させたがる私は親元を離れる自分がかぐや姫で、翁と媼が両親だと思ったりしてまた涙(気持ち悪くてすみません)。そして逆に翁と媼視点で、可愛い乳飲み子の頃から手塩にかけて育てた娘が手を離れる悲しみを想像して涙。ここは披露宴の合間に流される生い立ちスライドと花嫁の手紙の5億倍は泣けるんですよ。

仏様が黄金の冠をかぐや姫の頭に乗せると、それまでの記憶は一切消える仕様です。しかし、地球が遠くなった頃にかぐや姫は何かを思い出して涙を流すのでした。もうラストは常時涙がこぼれてしまい「八日目の蝉」と並ぶくらいの落涙量。やっぱり血が繋がってなくとも親子の絆っつーのはテッパン中のテッパンなんですね。また挿入歌がいいんです。「天女の歌」というタイトルで里の子供たちが歌う「♪とーり、む ーし、けーもーの♪」という童歌のようなナンバーで前半にも繰り返し歌われるし、かぐや姫が月に連れて行かれた後で女童が子供を引き連れてこの歌を歌うんですね。大いなる自然とそこに生きる人間の営みを歌っていて、日本人だったらノスタルジックな気分に包まれてしまうんですよ。素晴らしい映画だったので劇場で観てないことが悔やまれますが、たぶん劇場で観ていたらメイク剥がれちゃってたと思うんで家鑑賞でよかったっちゃよかったのかもしれません。高畑監督の盟友であるパヤオ(宮崎駿)は「あれで泣くのは素人」とバッサリぶった切っていますが、パヤオ監督作品よりも高畑監督の映画の方が泣くかも。筆者の母親は「おもひでぽろぽろ」で号泣していましたし(私は子供だったから意味がわからなかった)、ババアを泣かせるテクニックは確実に高畑監督の方があると思ったのでした。



こういう名場面を象ったグッズもあって思わず欲しくなる。ジブリは商売上手だな〜。

         



         

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『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』ペグ兄はボンクラ男子界の最高峰

        



ペグ兄旧作の旅、第一弾はこれです。しかし字幕なしで高速ノンストップでかまされるブリティッシュギャグを理解するのは、私には至難の業。ちゃんとセリフを理解出来ておらず状況だけを追うという感じでした。そのため感想文というよりは、どんな印象を受けたかをザックリとまとめてみたいと思います。







予告編を見る限りは単純明快なコメディー映画っぽいんだけども、とにかくセリフが高速(しかもひとつひとつが長い)!日本帰省から戻って字幕なしオリジナル復帰作第一弾目としては明らかにミスチョイスでした。あらすじは単純明快です。かつての悪ガキ仲間が故郷に集まって、昔は出来なかった地元パブのハシゴをするというもの。悪ガキ軍団の中心となるのがペグ兄演じるゲイリー(サイモン・ペッグ)、その他はでぶっちょのアンディ(ニック・フロスト)、顔の長いスティーブン(パディ・コンシダイン)、不動産屋のオリヴァー(マーティン・フリーマン)、ビー玉の様な目のピーター(エディ・マーサン)です。ニック・フロストはペグ兄の盟友なのでおなじみ。あ とジョン(from SHERLOCK)もいます。私的に一番セリフのリスニングが難しかったのがマーティン・フリーマンですね。SHERLOCKもオリジナル言語で何回か観たことがあるのですが(もちろん先に日本語吹き替え版を観ている)、それでも結構難しかったのを思い出しました。

さてこの悪ガキたち、現在はオッサンになって家族を養うために仕事をし、ローンを払うために仕事をし、というくたびれ気味の中年になっています。しかし一人だけ違うのがペグ兄演じるゲイリー。アル中の彼は定職なし妻子なしの超絶フリーダムを満喫中(テンションも高い)。そんなペグ兄に久しぶりに招集をかけられ集まるオッサンたち。その時点でみんな結構付き合いいいじゃんって思いましたが。地元に帰り、色々なバカ話をしながらビールを 一気してマグをテーブルに置いたら次の店へ。どのパブも色んな趣向を凝らした名前なんですが、内装や客層がほぼ同じなのが可笑しいです。筆者の居住国もビールどころなので居酒屋がいっぱいありますが、だいたいどこの店も雰囲気とか出してる料理とかが一緒。しかし明らかに混んでる店とそうでもない店があって面白いです。イギリスのパブはよく布張りのソファなんかが置いてあるので、まったり飲めそうなのがいいですね。紅一点として「ゴーン・ガール」でゴーン・ガール役を演じた、ロザムンド・パイクが出て来ます。マーティン・フリーマンの姉だか妹だかって設定なんですが、死ぬ程似てないですね(笑)。常々ロザムンド・パイクはコメディっぽい顔の女優だと思っていましたが、今回は彼女のコメ ディエンヌぷりがうまく活かされていたように思います。

パブはしご酒でダレ気味になったところで、この映画はまったく別の映画になってしまうんです。なんか周りの人間が人間じゃなくてロボットになってるんですよ。目を光らせて攻撃してきたり、頭や腕や足がもげると青い血が出たり。それでギャーッ!となるわけなんですが、私個人はそういう映画よりもそのまま現実路線でメンズ版「ヤング・アダルト」みたいな映画になった方が面白いんじゃないかなと思いました。ロボット(ちゃんと「ロボット」がチェコ語起源だということが説明される)とのバトルもなんかお腹いっぱいになるくらい見せられるし。しかしみんなただの酔っぱらいのオッサンなのに結構戦闘能力は高いんですね。あとあれだけビール飲んでるのにペグ兄以外のキャラクターがトイレ行くシーンがあんまりないのがトイレの近い私には気になりました(笑)。

しかしペグ兄(兼 脚本)最初から最後まで大活躍ですよ。同じく盟友であるエドガー・ライト監督の映画だし、輝いてる!イキイキしててまるで水を得た魚のよう・・・。こんなボンクラ男子な脚本だし本人もイギリス版ボンクラ男子のまま主演だし、それがそこそこヒットしてるしで、ボンクラ男子界の最高峰じゃないですか。そもそもエドガー・ライト監督ってどんな人?と思って検索すると、意外とイケメンでびっくり(写真によってかなり差があるが)。しかも女優のアナ・ケンドリックと付き合ってたそうです。

ということで、言葉の壁もあってあまり乗れなかった映画でしたがペグ兄がボンクラ男子界に君臨するスターだということは、よ〜くわかりました。引き続きペグ兄の旧作はチェックしていこうと思います。

『ジヌよさらば~かむろば村へ~』二階堂さんのクリーミーな太もも



       

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これも帰りの飛行機で観ました。やっぱりANAの映画ラインナップは微妙・・・。飛行機に乗る時の楽しみっていったら、今劇場公開中の映画がタダで観られる(もっとすると日本公開前の映画も観られたりする)っていうのが唯一の楽しみじゃないですか(機内食で最後の和食を食べることを除けば)。洋画の一押しが「ワイルド・スピード」の最新作ってのも微妙に古かったし!まあ洋画は置いといて、なんか賞とかも貰ってる日系エアラインなんだから邦画は新作話題作充実させてくれないと困ります。だから、こんな微妙な映画を観ちゃうんですよ。






※決定的なネタバレはしませんが、未見の方はご注意下さい。


お金恐怖症になって銀行を退職したタケ(松田龍平)は、お金を一切使う必要のない自給自足の生活をするために東北の寒村、かむろば村へやってきます。寒村の村人はそんなタケの性癖に驚きますが、彼のことを暖かく迎えてくれるのでした。しかし思わぬトラブルが続出し、なんとタケは村長選に出馬することに。さて、どうなる?!というザックリあらすじです。

かむろば村の村民がみんな個性豊か、というかクセモノぞろいなんですね。村長で村唯一のスーパーあまのを経営する与三郎に阿部サダヲ。その妻亜希子に松たかこ(この夫婦キャスティングは「夢売るふたり」と同じ)。スーパーあまののパート、いそ子さんに片桐はいり(バイク好きで「あの胸にもういちど」ばりのレザースーツを着用)。村で唯一?の女子高生、青葉ちゃんに二階堂ふみ。青葉ちゃん のポン引きをやっているヤクザに荒川良々。村の守り神でカメラ好きな、なかぬっさんに西田敏行。などなど。

そんな村人達とタケが繰り広げるドタバタコメディなんです。村人がみんな芸達者なのですごく楽しそうだし雰囲気も良くて、それを見ている限りはまあ楽しい映画です。しかし、なぜタケはそんなにジヌ(東北弁で銭のこと)にアレルギーを持ってしまったのか?がちゃんと提示されていないし、ジヌなしで暮らす苦労や滑稽さの描写も足りないように思います。ヒートテックいっぱい着込んでるけど寒いってそりゃ当たり前だろ!と思いましたが。そもそもキャッシュが苦手なら全部カード決済しちゃえばいいんじゃね?と思いましたけどね。

それでも楽しい田舎暮らし描写の裏には村長と旅館のおかみさん(中村優子)との間に子供がいて周知の事実であるとか、旅館のおかみさんと訳ありそうな板前さん(オクイシュージ)と村長の過去とかシリアスな話もいくつか出て来ます。それを持って来るのが多治見(松尾スズキ)という謎の男。その松尾スズキが村長の妻、松たかこに岡惚れして事件を起こす流れになります。基本的にトーンは同じなんですが、話が話だけになんか急に重さが来ちゃって、能天気な田舎暮らしとのバランスがとれてなくてすごく気持ちが悪かったです。あと気になったのがロケーション。小さなスーパーがひとつしかない超過疎の村って設定なのに家と家の間が狭くて普通の住宅街みたいに見えました。

松たかこは若い頃すごく清純派なイメージだったけど、こういう少しトウのたった人妻という役がすっかり馴染んでいるように思います。彼女がシュミーズ(確か若草色のサテン地だったと思う)姿で座椅子にくくりつけられているシーンがあるんですが「ああ、こういう エロさは男性が好きそうだなあ」と思いましたよ。中年のエロス担当でいえば、旅館のおかみさんの中村優子も淡い色の着物を着たしっとりとした和風美人で素敵でした。一方、若いエロ担当は女子高生の二階堂ふみ。タケが600万円越の貯金を持っていると知って近づきゴロゴロと寝転がりながら預金通帳を見るんですが、スカートの中が見えそうで見えないけどちょっと見えてるみたいな絶妙のカメラワーク。思わず二階堂さんの太ももにむしゃぶりつくタケが言う「だって太ももが・・・」というセリフ、英語字幕では「Your tights are creamy! 」になっていました。なるほどクリーミーってそういうふうにも使えるのか、と思いましたね(笑)。タケと村人たちのやりとりもつまらないって方には、これらのちょいエロシーンが見どころだと思います。以上!

『駆込み女と駆出し男』食わず嫌いだった大泉洋



        



帰りの飛行機の中で観ました。ANAって映画のラインナップが今ひとつな気がする・・・マイレージ集めているから乗るんですが、もうちょっとなんとかなりませんかね。だってこの映画が邦画のおすすめナンバーワンだったんですよ。もっと色々フレッシュな新作話題作あるんじゃねーか?と思うんですが・・・(既に本作のDVDもリリースされているし)。邦画だからチョイスしましたが、正直ピンと来なかったです。本格時代劇でキャストが豪華なのはわかりますけど、なんだかもったいない。予告編が、時代劇なんだけど現代にも通じる女性まわりの社会問題を現代的なセンスで時にコミカルに時に人情味豊かに描いてます・・・という感じだったから、こりゃ面白そうだと思って観てみましたが、期待はずれでした。






※ネタバレします。



時は江戸時代。当時は妻の側からの離婚をするには幕府公認の駆け込み寺ってとこに駆け込んで、二年経たないと離婚出来ないという女性に厳し~いシステムでした。その駆け込み寺は鎌倉にある東慶寺。周辺には長老役の樹木希林やその甥っ子で医者見習いの中村信次郎(大泉洋)が暮らしています。そこへお吟(満島ひかり)と、じょご(戸田恵梨香)が駆け込んできます。お吟は愛人である堀切屋三郎衛門(堤真一)から、じょごは夫の重蔵(武田信治)から逃げて来たのでした。

そもそも私は主演の大泉洋が苦手です。典型的な三枚目役者なのはわかるけど、なんか気持ち悪い(ファンの方ごめんなさい)。顔もダメだし、あの陰毛みたいなクルクルパーマもダメ。そういえば朝ドラ「まれ」に大泉洋が出てますが、息子役の俳優もクルクルパーマですね。クルクルパーマ、恐ろしい遺伝力・・・。そんな彼が主役の映画なんで大丈夫かな~と思ったんですが、意外と大丈夫だったんですよ。むしろ、話が進んでいくごとに大泉洋の性格俳優的な良さがお出汁のごとくジワジワとしみ出して来て、彼のことが魅力的に感じられました。劇中の大泉洋は、DV夫の武田信治(好演)から逃げて来た戸田恵梨香演じるじょごさんと次第に惹かれ合っていくんですね。二人とも薬草を探しに山へ入るんですが、山の中でこっそりと待ち合わせするんですよ。このへんはなんだか応援したくなっちゃうキュートさなんですよね。完全に食わず嫌いでした。でも苦手なのは相変わらずなので彼の出ている作品を積極的に観ることはないと思いますが・・・。

大泉洋と戸田恵梨香の恋愛の他にも色々エピソードが詰まってます。医者の卵をしつつも小説家になる夢を捨てられない大泉洋を怒りながら応援する戸田恵梨香も後にいい奥さんになりそうでよかった。この二人にはケミストリーがあったと思います。しかし、満島ひかり演じる江戸のいい女、お吟さんと彼女の駆け込みを助けた戸田恵梨香の姉妹愛のような友情とか、病気の末期を堤真一に見せたくないから駆け込み寺に来るくらい彼のことを愛していた満島ひかりの気持ちとか、セリフやシーンでは語られるけど「え、そうだったの?本当にそう思ってた?」みたいな薄さなのが残念。どれもいいエピソードなのにもったいないです。俳優さんの演技は良かったと思うので、これは描き方の問題か。他に俳優さんで良かったのが武田信治ですね。イケメンだけど仕事しない、妻の目の前で浮気する、暴力振るうのフルコースなクソヤローっぷりが良かったです。

コミカル描写も何カ所かあって、男子禁制の駆け込み寺に医者の卵の大泉洋が検診に来るんです 。でも駆け込み寺の女たちを直接見たり触ったりは出来ないという面倒臭さ。しかしある患者に浣腸をしなければいけない事態になってドタバタするんですが、大泉洋が患者の直腸から引っこ抜いた指を高くかざして見るみたいな演出は寒いな~と思いました。あと、想像妊娠した駆け込み寺の女の演技が、コミカルにしたいのかどうしたいのかよくわからずにイライラしたり。全体的なつくりはまったくの本格時代劇で、まるでNHKの大河ドラマのように建築とか衣装とかシッカリとした時代考証をしている感じがありましたね。題材は現代に通じる普遍的なものだし、俳優陣も上手な人を集めているのに脚本と演出が残念でもったいないな〜と感じてしまいました。

とりあえずANAはもうちょっと邦画のセレクションを充実させて欲しい。筆者からのお願いでした。

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』凄腕”使い捨て”スパイのお悩みに共感


     

        



これも日本で観て来ました。とても面白い映画でアタリの部類に入る方だったんだけど、鑑賞した日は居住国への帰国2日前だったので、ちょっとテンション的に下がり気味だった筆者・・・。楽しかった帰省ももう終わりで、次に帰って来れるのは、早くても一年後・・・。ズドーン・・・。みたいな・・・(たぶん本意でない海外在住をされている方だったら、この気持ちをわかって頂けるでしょうか)。いや、もちろん居住国に帰ったら帰ったで、本当にありがたいことに数少ないですが友人もいるし、薄給で不安定だけど仕事もあるんです。居住国の生活リズムに慣れてしまえばなんてことないんですが、年を経るごとに帰省終わりのブルーが強くなる気がするのはどうしてなんでしょうね。だんだん自分の中の日本が遠くなっていくからでしょうか・ ・・。まあそんな状況下での鑑賞なので的確に面白さを押さえられていないかもしれませんが、感想を書いてみます。








※まずは予告編程度のネタバレです。




さて、今回のトムちんですが通算でもう5作目なんだけど、衰えるどころか「よくこの年(53歳)でこんなのやるよな・・・」って観客を引かせるくらいのアクションを連発しています。冒頭なんかまるでコントみたい。敵方の軍用機飛行場でベンジー(サイモン・ペッグ)が遠くから飛行機のドアをリモートハッキングで開けようとしています。でも開かない。司令室みたいなところではブラント(ジェレミー・レナー)が「ベンジー、早くしろ!」とせかしています。でも開かない。すると、イーサン(トム・クルーズ)が急にどこからかガバっと登場。ここで笑いそうになる筆者。滑走路を走っている飛行機にしがみつき、 メインビジュアルの あのシーン になるわけです。加速中の飛行機に素手でしがみつく(しかも服装はスーツ)って何なの・・・誰もそんなこと頼んでないし!とニヤニヤしてしまいます。このシーンは相当気に入られていたようで、エンドクレジットでトム・クルーズの名前が出る時にも静止画像で使われていました。

いや~、しかしこうして続編を観られるって嬉しいですね。先に出た三人とルーサー(ヴィング・レイムス)が揃って「ああ、またコイツらと会えたな」みたいな懐かしさがこみあげますよ。今回はCIA長官としてアレック・ボールドウィンも仲間入り。どうやら今後、IMFメンバーと絡んで行くのか・・・?みたいな感じでしたが。今回はなんとトムちんたちスパイが所属するIMFが解体の危機!タイトルにも入っている悪の軍団ローグ・ネイション(解雇された元スパイなどからなる「ならず者の集団」)の追跡と壊滅など盛りだくさんです。

私が不思議に思ったのが、煮くずれたジャガイモ顔ことジェレミー・レナー演じるブラントがお偉いさんいっぱいのデカいミーティングに出席していること。ミッション・インポッシブルのチームの中でも一番若いのに現場じゃないんだってことです。確か前作では名物の「敵方の極秘データが隠されている難攻不落の小部屋に忍び込み、上から吊るされて危機一髪」というパートをトムちんに変わって担当していましたよね。だからてっきり「ジェレミー、次のアクション要員は任せた!」(byトムちん)みたいな流れなのかな~って思ってたんですよ。後進に道を譲る感じかと思ったら今回のオー プニングであのスタントだったので、そんな気はさらさらないようです。死ぬまで現場主義、なトムちん。まあ逆に現場に出てないトムちんなんてミッション・インポッシブルでもなんでもないか。ジェレミー演じるブラントは後半の危機的状況になったときに「よりアッパーな組織にこの状況を通報するべき!」みたいな、どちらかというと権威より的な発言もしていたしで、あれ~?変だなあと思っていたら、彼の肩書きは「分析官」なんですね。現場よりも内勤っぽい肩書きなのでした。

このシリーズに皆勤賞なのがヴィング・レイムス演じるルーサーです。私はてっきり2からの出演かと思っていたのですが、1にも出ていたんですね。確かIT担当だったはず・・・でもペグ兄が演じるベンジーもITですよね。まあいいのか?今回はペグ兄のベンジーが結構フィーチャリングされてましたが。ゾンビとかSFとかが大好きなボンクラ男子がそのまま大人になり、そういう映画を作って主演している。それがペグ兄なんです。ボンクラ男子の最高峰にいる人ですよ。そんなバックグラウンドがあるから彼が現場に出てると、なんかしくじりそうでハラハラしてしまうというポジションになってるんですね。前作では微妙なホテルのボーイ役をやっててハラハラさせられましたし、イーサンと軍に忍び込んでるときも「(離ればなれになっちゃったイーサンと)奥さん、残念だったね」的な「今それ言う?」みたいなやりとりもありましたし。今回のオープニングアクションでは軍用機の違う方のドアを開けたりして他メンバーから叱られたりしてましたし、閑職に追いやられてゲーム三昧(だけど人が来る前にちゃんと画面をお仕事モードに切り替える)だったりして、チャーミングなんですよ。ツイッターでも呟きましたが、ペグ兄は誰かに似ている。尖ったアゴ が誰かに似ているぞ・・・と思ったら マイケル・シーン(「トワイライト」シリーズに出て来る幹部吸血鬼などでおなじみ)でした。ペグ兄の男前ダイヤルを全開にしたらマイケル・シーンになるんですよ。実はペグ兄、イケメンの要素を秘めてるんですよね~。

さて、今回の紅一点はレベッカ・ファーガソン演じるイルサです。彼女がすごく良かったですね。イーサンが窮地に陥ったときに助けてくれる謎の美女なんですが、ルパンを決して裏切らない峰不二子みたいな存在なんですよ。あるときは深いスリットの入ったドレスの裾をはためかせてオペラにやってきたり、あるときは黒いレザーのオールインワンに身を包んでバイクで爆走したりと見せ場もいっぱいあります。ちなみに峰不二子というのはモロッコでのバイク爆走シーンからで、 黒いレザーのオールインワンを着ていたから思いついたのでした(不二子ちゃんの元ネタはマリアンヌ・フェイスフルの「あの胸にもういちど」)。レベッカ・ファーガソンの顔がいいんですよね。ただ美人ってだけでなく微妙に肌のハリがゆるくなってて、適度にババアなのがいいんです。アップになったときの知性と大人の女性の色香を感じさせる目の演技もいい。そんなしっとり系美女がビックリするようなアクションを炸裂させるんですから、もう最高なんですよ。アラサー美女のアクションっていうと映画版「チャーリーズ・エンジェル」みたいに、女性のアクション=華麗に舞う!みたいなヒラヒラした軽やかなイメージがあったんですが、イルサさんのヒザ蹴りだったりはドスッ!と入る様な重さだっ たり相手側の骨がバキッ!と折れる様な感覚があったのもよかったです。イギリスの諜報員って役だったけど、ちょっと英語になまりがあったので不思議に思っていたらレベッカ・ファーガソンさんはスウェーデン出身だったのでした。これからオファー殺到して大変なことになるんじゃないかと思いますが、楽しみですね。



※ここからネタバレ本格化します。



今回の敵、ローグ・ネイションの元締めはソロモン・レーンという老スパイです。彼が各国の諜報機関を解雇されたり殉職したと思われるスパイをリクルートして悪の軍団を作っていたんです。演じるのはショーン・ハリスという俳優さん。ベテラン俳優さんなんですが、私は初めましてでした。人間味を消したナイフのような冷たさで、狡 猾に部下を操るという悪役です。あまりセリフを発しないのも不気味でした。同じく悪役でMI6の上官アトリーを演じたのはサイモン・マクバーニーで、彼は既得権を離さない老害みたいな演技がよかったです。マクバーニーさんはどこかで見たことあると思ったら「博士と彼女のセオリー」で、ホーキング博士のお父さん役をやっていました。

ここからはアクションについて書いていきたいと思います。ロンドンのレコードショップでレーンの手に落ちたイーサンは地下牢みたいなところに閉じ込められ、東欧人と見られるゴロツキたちにリンチされます。そこにイルサがいて助けてくれるわけなんですね。地下牢ってことで特に目を引くような場所ではないんですが、2対大勢の肉弾戦が見応えありました。 イーサンが助けてくれたイルサに「僕たち会うの初めてだよね?」と言ったりするのが可笑しいです。

ウィーンのオペラ座の舞台裏での格闘、これはちょっと地味だったかな~という印象。ウィーンってのがまた地味なのかもしれませんが。色んな舞台装置を使いながら敵と戦うんですが、こういう公演中の舞台裏での戦いってのは他の映画でもいっぱいありますしね。屋根の上から逃げるときも、もっとドラマチックに出来たのにという感じがしますが、まあ映画の全体的なバランスを考えてのことかもしれません。筆者は失礼ながらオーストリアの首相を暗殺しても、あんまり国際情勢は混乱しないんじゃないかな・・・などと思ってしまいました。

本作のアクションの目玉は、水中にある極秘デ ータ保管場所に行きデータをダミーと取り替えるというものです。水中っていっても普通の水槽ではなくて、ものすごい水圧がかかってたり、なんか制約があって酸素ボンベを使えなかったりと、色々手ごわい設定になってます。潜水で息を止められるのが5~6分くらいで、その間に任務を完了出来なかったら死、というもの。イーサンとイルサとベンジーは入念に計画を練って実行に移す訳ですが、あれだけ計画したはずなのにタンク中にある撹拌用?のスクリューみたいなのにイーサン激突。ちょ!!!ってなっちゃうじゃないですか。しかもそのときに本物とダミーのカードがふわ~っと手から離れてどっかいっちゃうし!時間はどんどん過ぎていくし!と手に汗握らされるわけです。しかも上ではベンジーが敵 方を装ってデータをダウンロードしようとしてるんですね。もし水中ミッションが上手く行かなかったらベンジーも死ぬんです。カードをなんとか回収して差し込まないと!しかし本物とダミーのカード、色が同じで見分けがつかん!!!イーサンは50/50に賭けたように見えたわけですが、これがうまくいかないと映画になりませんからね。

お次はバイク&カーチェイスシーン。水中で意識不明になったのにもかかわらずトムちんが敵をチェイスします。個人的に気になったのが、着替えのシャツの柄かなー。なんか赤系のヘビ柄っぽいシャツなんですが・・・まあ似合ってましたけど。このシーンはトムちんがノーヘルだったので、良い子は絶対真似しないでね!という感じ。顔が地面すれすれになるくらいのカーブなんかはハラハラさせられました。

アクションの他に印象に残ったのがイルサのセリフです。彼女はローグ・ネイションに潜入してデータを手に入れたものの、元々の所属先であるMI6のアトリーからは「データ空やで。もう一回やり直してんか」的なことを言われてしまいます(実はアトリーが敵側で、データを細工して消去していたのだが)。超仕事が出来る敏腕スパイも、上司がダメだと意味ないんですよ。「そんな・・・」と失望するイルサが「結局、私たちは上司の持ちゴマでしかない・・・。どんなに働いても所詮使い捨てなのよ!」と苦々しく言うんです。これはサラリーマンだったらガーン!と刺さるセリフですよ。同行した友人Iもこのパンチラインがドスっと入ったようで「あのセリフ効いたわ・・・」と言っていました。私はサラリーマンでなくなってから数年が経ちますが、鵜飼いでしかない上司から鵜のごとくいいように扱われていたのでこの気持ちよ〜くわかりますよ。結局、部下を生かすも殺すも上司次第・・・。007だってM(ジュディ・デンチ)という理解のある上司がいるから輝けるんですよ(from 「007 スカイフォール」)。直属の上司も大事だけど所属先の組織も大事。IMFが存続出来なければイーサンたちに仕事も来ないんです。IMFは「君もしくは君のチームメンバーが危険に陥っても当局は一切関与しないからそのつもりで」とは言いつつも、ミッションに必要なリソースやコストは惜しみなく提供してくれるんですから。いくら凄腕スパイでも所属先がないと活躍のしようがないんですよ。だからIMF解散の危機に独自でローグ・ネイションを追いかけることはすごく骨が折れることだし、そんなミッションに集まってくれた友達がいるというのも凄いことなんですね。だって業務外の仕事なんですから。そんなこんなで、スパイアクション映画では意外と組織で働くということの難しさについても考えさせられるのでした。

ベンジーがローグ・ネイション側に捕らえられてしまいます。ヘッドフォンと爆弾をつけられたベンジーがレーンの言葉をイーサンに伝えます。人質の声を使って交渉をするというこの手法は「SHERLOCK」でも登場しました。さて最後はラスボス・レーンとイーサンの接近戦です。レーンは60代くらいなんですけど、結構肉体派のトムちんと渡り合っています。戦いの途中でイーサンが地下に落ちて、さあどうなる?!と思ったら、お見事な作戦が待っていました。とどめを刺そうと地下に落ちたレーン、横にはイーサンがうずくまっています。しかし次の瞬間、隠されていたガラスの水槽がレーンの真下から現れてガラス箱の中に捕われてしまいます。そして現れるIMF、チーム男子と紅一点のイルサ。レーンは中から発砲しますが強化ガラスなのでビクともしません。そしてロンドンのレコードショップでトムちんがされたように白い煙に巻かれるのでした。いや〜、このシーンはスっとしましたね。見事、IMFの勝利!

そしてイルサとの別れのときが。ハグするイーサンとイルサ。「私を見つけ出すのは簡単でしょ」と意味深なセリフを吐いて去るイルサだったのでした。今後、彼女は登場するのでしょうか?でも今後、恋愛とかになったら映画として微妙になりそう。とにかくレベッカ・ファーガソンは魅力的でした。そしてIMFは解散の危機をまぬがれたのでした。めでたし、めでたし!面倒くさかったから詳細は省いたけど、MI6が英国首相に内密で進めていた裏プロジェクトが明らかになるまでとか、なかなか見応えがありました。

しかしトムちんは若い。
レベッカ・ファーガソンがアラサーでトムちんはアラフィフ。親子でもおかしくないくらい年が離れてるんですけどね、ジイさんが年甲斐もなく若い女を追いかけてるようには全然見えないどころか、同年代でちょいトムちんの方が上なのかなってくらいにしか見えません。静止画を見るとお肌とかやっぱりピチピチでないのは分かるけど、動画では全然衰えを感じさせないのが凄いと思いました。さて、友人Iお気に入りのペグ兄ですが私は旧作を「ホットファズ」と「宇宙人ポール」くらいしか見ていないので、ペグ兄旧作発見の旅に出ようと思います。

『ジュラシック・ワールド』クリスプ・ブレッドさんカコイイ!



        


これはレゴのゲーム版。レゴでも主役、オーウェンのカッコ良さが出てると思いませんか?



日本で観て来ました。巨人(進撃の)に恐竜、なんだか夏休みだな~って感じです。なんでもこの映画の興行収入がすごいことになっているらしい。現在、全世界の興行収入一位は「アバター」(ちなみに筆者はDVDを持っていたのに未見)、二位は「タイタニック」で「ジュラシック・ワールド」は三位なんだそうです。うーん、タイタニックと比べたら、個人的にはタイタニックの方が断然面白いと思うけど。しかし同行した友人Iは「すごく面白かった。たぶんあの子(映画に登場する恐竜マニアの弟)と同じ顔をしてスクリーンを見つめてたと思う」とコメント。いや決してつまらなくはないんですけど、まあ非常に良く出来たパニック映画かな~、うんうんって感じですね 。怖さで言えば 、筆者が子供の頃に観た「ジュラシック・パーク」の方がずっと怖かったです。私は「ジュラシック・パーク」からの続編「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」と「ジュラシック・パークIII」があったのを知らなかったんですが、妹によると「2が一番面白いよ」とのことでした。むむ、1よりも面白いのか?それは観てみなければ・・・。







※今回はネタバレなし!でも事前情報を入れたくない方はお気をつけ下さい。


しかしあれだね、毎回毎回ジュラシック施設は大惨事が起きて大変だな!1のリチャード・アッテンボローおじいちゃんからインド人富豪(イルファーン・カーン)が買い取ってまた営業してるってことなんですけども、なんでこう毎回毎回恐竜が逃げ出すのでしょう。「逃げ出さないと話が始まらないじゃん」と友人I。まあそうなんだけど・・・。それを言っちゃあおしまいヨ、ってやつですかね。そういや、ラボにいる中華系の研究者(B.D.ウォン)は一作目にも出ていた人なんだそうです。あんな惨劇が起きたのにまだ同じ職場で働いてるんだ、しかも遺伝子操作でもっと凶悪な恐竜まで作っちゃってるんですよ。

今回、逃げる役になる子供たちは小学生の恐竜マニアのグレイ(タイ・シプキンス)と高校生でテンション低めのお兄ちゃんのザック(ニック・ロビンソン)です。二人の両親は、なんか関係が暗礁に乗り上げちゃってるみたいで微妙な空気。そんな中、兄弟はジュラシック・ワールドでキャリアウーマンしている叔母サンのクレア(ブライス・ダラス・ハワード)を訪ねて遊びに出かけるのでした。ブライス・ダラス・ハワードは赤毛でツンとしたポッシュな雰囲気の女優さんです。お父さんは映画監督のロン・ハワードなのは有名ですね。「ヘルプ」では黒人を差別する奥様役で出ていて、なんとう◯こパイを食べさせられるという役でした。今回のツンツンしてる女の役ですよ。ブライスさんは数年前にケイト・スペードのキャンペーンガールをしていて、すごくキュートでした。50年代ハリウッドのヴァンプ女優みたいな魅力のある人だなあと思います。

そんなキャラクターなので本作でも仕事が第一、結婚や子供は興味ないわって役なんですね(姉に「アンタも子供を持てばアタシの気持ちが分かるわよ」的な説教をされる)。真っ白いシルクのブラウスにスカートで、高いヒールを履いて人をアゴで使うような女なんですよ。とにかくいつも仕事、仕事だから 甥っ子たちが遊びに来てもアシスタントに世話をさせてたりします。甥っ子の弟の方は恐竜ワールドに来て目を輝かせていますが、お兄ちゃんはテンション低め。ガールフレンドと離ればなれになったのが寂しいからみたいなんですが、のわりにワールドに遊びに来ている女の子たちに目がいったりして、しょうがねえなあって感じです(笑)。

一作目でしつこく子供たちを追いかけていた小さいけど頭が良くて凶暴な肉食獣、ヴェロキラプトルも登場。今回は一匹一匹に名前があって、わりとしっかりと飼いならされているみたいです。それを飼いならしているのが、元海軍のオーウェン(クリス・プラット)です。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のお調子者男が今回は寡黙なガテン系に扮してい ます。オーウェンとヴェロキラプトルの間には主従関係のようなものが出来ていて、アクシデントで彼がオリの中に閉じ込められても襲わずにいるんですね。オーウェンのまわりには同じくヴェロ(長いので省略)の世話をする友人のバリー(オマール・シー)や、ヴェロを軍事目的に使おうと企むヴィック(ビンセント・ドノフリオ)らがいます。時折フランス語を話すアフリカ系のバリー、どっかで会ったことあると思ったら「最強のふたり」の人でした。「X-MEN:フューチャー&パスト」にもチョイ役で出てたし、結構ハリウッド進出してんのね。

ワールドでは客足を伸ばす為に、遺伝子操作でより強く凶暴な肉食獣「インドミナス・レックス」が作られたばかり。インドミナスというのはラテン語で「飼いならすことのできない」という意味だそうで、そんなの作っちゃダメじゃんって感じなのですが、これが恐ろしく頭がいい。サーモメーターから姿を消す為に体温を調節したり、人間の裏をかいたりできるんですよ。狡猾なんですよ!そんなヤバいやつなので、インド人富豪はオーウェンに飼育ケージのコンサルを頼みます。それをクレアが伝えに行くんですが、どうやらこの二人は以前一度だけデートして合わなかったようです。ツンツン女と肉体派なガテン系飼育員とでは、合うわけないよなあって感じ。そしてその後お約束通りインドミナス・レックスが逃げ出してサア大変!というお話です。

フー、導入部が長かった・・・。今回はですね、私は恐竜よりも主演のクリス・プラットの魅力に開眼いたしました!ガーディアンのときは、彼の魅力が まったくわからなかったんですよ。ただのアメ人のにーちゃんじゃん、て感じで。でもね、今回は役が良かったのかもしれませんが、すっごくカッコ良かったんです。余計なことは話さない、とにかく非常時にめっぽう頼りになる、リアルにアブソリュート・ハンクな肉厚バディだし、いいじゃん・・・と・・・。劇中で兄弟が彼の八面六臂の活躍を目の当たりにして「マジかっけー・・・」というシーンがあるけど、私もそれにハゲ上がる程同意ですぞ!!今年のセクシエストマン・アライヴのタイトルはおそらく彼のものになるんじゃないでしょうか・・・(去年は次点だったらしい。一位はソー様ことクリス・へムズワース)。

観賞後「クリス・プラット、カッコ良かった~」という私に、ブっと吹き出 す友人I。「本当にベタな白人好き・・・」と言われたのでした。Iが言うところのベタな白人ってのはキャプテン・アメリカのクリス・エヴァンスだったり、ライアン・ゴスリングだったりと誰もが認める王道的なマッチョイケメン(金髪碧眼の傾向アリ)なんだそうです。ベタで何が悪い!「メジャーを知らずしてマイナーを語るな」と言ったのは友人Iじゃないか!ということで、クリス・プラットさんについて調査を開始した私。残念ながら既婚で嫁はアンナ・ファリスですよ。BSOL映画「運命の元カレ」に出ていた女優さんですね。クリプラさんもちょこっと出ていたらしい。気が付かなかった・・・。希代のバカ映画「ムービー43」では夫婦共演していたそうで(汚い方のシモネタだった)。そもそもクリプラさんは 昔おデブちゃんだったらしい。努力してイケメンになったってのもいいじゃないですか。

友人I曰く某国内系ポータルサイトで「クリス・プラット」を検索するとサジェスチョンで「クリスプ・ブレッドではありませんか?」と言われていたそうです。カリカリのパンかい!そういえばこの某国内系検索サイトは「デカいチョコレート」と検索すると「デカいチンコではありませんか?」とサジェストしていたんですよ(笑)。今はさすがにどちらもちゃんと出て来るみたいですが、私達の間では「クリスプ・ブレッドさん」ということになってしまったのでした。その為サブタイトルがそうなっているのです。

色々調べると、クリスプさんが俳優になったのはレストランでバイト中に女優のレイ・ドーン ・チョンに会って、仕事を紹介してもらったとありました。レイ・ドーン・チョンは「人類創世」(面白いので本当におすすめです)で全裸で白塗り原始人の役をやった女優さんですよ。そしてなんとクリスプさんはインディ・ジョーンズのリブート版で主演の候補に上がっているとか!!!もう色々、個人的にヤバい!!!という感じです(大学の考古学教授にしてタフ冒険野郎なインディは子供の頃から私の理想のメンズなのだ)。うーむ、でも二代目インディはどうなんでしょうね・・・。ちょっと心配な気がするけど、大丈夫なのかな。まあそうなったら絶対観に行くと思いますけど(笑)。

さてクリスプさんの話はこのへんにして、ツンツン・ヒロインのクレアですよ。真っ白いお洋服に高いヒールの靴を履いていたんですが「これでアクションするのかな〜?」って思ってたんです。そしたらシャツのボタンを外してキュッと結んでアクション仕様に(シャツの中にはラベンダー色のキャミ着用)。真っ白い服がだんだん汚れて来るんですが、私が気になっていたのが靴。恐竜に追いかけられてますからね、爆走するんですよ。「会社に置いてるスニーカーに履き替えたシーンがあったかな?」と疑問だったんですが、実は最後までヒール靴だったんですね。よくヒールが折れなかったものだし、途中で裸足にならなかったなあと妙なところで感心しました。髪型も最初はストレートだったんだけどジャングルの湿気のせいかウェービーヘアになってました。

恐竜は、知能の高いインドミナス・レックスも悪くなかったんだけど、やっぱりラストでガチンコ対決のために満を持して登場したTレックスに「おお」となりました。弟くんがインドミナスのことを「歯が少ない」って言ってたら、牙がびっしりと並んだデカイ顔のTレックスが登場。どことなくゴジラのような風格も身に付けてたし、さすがスター恐竜で「よっ、Tレックス屋!」とかけ声をかけたくなりましたね。その他には巨大プールの中にいる肉食の恐竜がよかったです。ジョーズをイワシみたいに一口でバクーッ!といくあれですよ。実は一番怖いんじゃ・・・と思いましたが。そうそう、翼竜のみなさんもいい感じにワールドの客をカオスに陥れてましたね。空から攻撃されて大変!ってシーンは小学生のころに読んだコナン・ドイルの「失われた世界」を思い出しましたよ。しかしこの話、子供心に全然おもしろくなくて「コナン・ドイルってシャーロック・ホームズみたいなメガヒットを飛ばす人なのに、この小説は冴えないなあ・・・」と子供心に思ったものでした。まあいずれにしろ、ワールドで飼われている肉食恐竜たちにとってはこの映画は無礼講の食べ放題バイキングですよね(笑)。

さて、本作は既に続編の制作が決定しているとか。しかしコリン・トレボロー監督もすごいですね。長編二作目でいきなりクリーンヒット(しかも興行成績三位のヒットだし)。映画監督というのは経験を積み重ねることが大事な職業かと思っていましたが、例外もいるんですね。エニウェイ、クリスプ・ブレッドさんの今後にも期待です。夏休み映画としてもデートムービーとしても女子会ムービーとしてもおすすめです。

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』やっぱり気になる巨人の股間

                                               



友人Cakeyが「何にでも使える魔法の前売り券」を恵んでくれたので、帰省中に夫と観て来ました。7月後半のツイッターのウォール(って言うんだっけ)を見ていると話題はこの映画のことばかり。でも二部構成で後半公開時には日本にいないことを考えると、う~んどうしようかな~と二の足を踏んでいたのです。Cakeyどうもありがとう。

私は原作漫画もアニメも未見。だからかは分かりませんが、完璧ではないけれど結構面白いと思いました。「面白かったね」と観賞後の夫(同じく原作未見)に同意を求めたら「人食い巨人というアイディアはいいけど、全体的にはダメ」とのこと(上から目線だな) 。世の中の賛否もパックリ分かれている映画だそうで、こういうのも珍しいんじゃないでしょうか。

なんといっても、脚本を書いたうちの一人が映画評論家の町山智宏さんなんですよね。私らの映画の先生、町山さんですよ。町山さんと初めて出会ったのがサブカル野郎御用達の雑誌「TV Bros.」のコラムでした。確かアメリカのおかしなセレブとかテレビ番組とかについて紹介するものだったと思います。誌面ではご自身のメールアドレスも公表されていて、同意でもそうでなくてもオープンに読者と語り合うみたいなスタンスが「なんか、すげーアメリカって感じだなあ・・・(ちなみに当時の私はメールアドレスを持つ直前くらいだった)」と思っていました。内容も結構過激で刺激的なものが多くて、そのコラムから受け取った印象は「気鋭の映画ジャーナリスト(怒らせると怖い)」というものでありました。

そして時が流れ、そんなにサブカル野郎でもなくなった私ですが、たまたま「ウィークエンドシャッフル」のポッドキャストに出会います(この番組と原作漫画の関係も深いよう で)。すると、あの町山さんが出演されているではないですか。町山ってあのTV Bros.の・・・?とドキドキしましたが、音声で聞く町山さんはポワ~ッとした語り口の優しい優しいオジさまでした(怒らせると怖いってのはそのまま。「ハートロッカー」や「セッション」など色々議論がありました)。それからは「キラキラ」や「アメリカ映画特電」や「たまむすび」のポッドキャストをチェック、友人Iと町山さんの著書を貸し借りし合うという現在に至る・・・というわけです(こっちにも何冊か持って来たのだった)。まあ一言で言うとゆる~いファンなんです。






※ネタバレします。



というわけで映画なんですが、面白かったし後編の予告の挟み方も良くて「ああ、後編がみたい・・・」と思わせられる出来でした。ただ、妙~に変でぎこちなかったのが前半。エレン(三浦春馬)、アルミン(本郷奏多)、ミカサ(水原希子)の三人が壁の外の世界に憧れ、壁を崩す巨人と遭遇しパニックに巻き込まれるという一連のシーンです。とにかく説明セリフが多過ぎる!おぼろげですが「こ、これは、XX年前にXXが、XXしたXX・・・!」みたいに逐一キャラクターに解説させちゃってる場面に違和感を感じました。それが数カ所あったので「クドい!」「画面見てればわかるっちゅーねん!」「観客バカにしてんのか?」とイライラしてしまったんですね。ミカサはそのときに巨人に食べられてしまったようなんですが、実はお腹に傷を作っただけで最強戦士として蘇って来ます。一体あの巨人たちからどうやって逃げることが出来たのか?こちらも気になりますが後編で詳細が語られるのでしょうか。

しかしノーマルな巨人(壁を壊した巨人じゃない方)の気持ち悪さよ!顔がキモめな日本人ってのがいい。いや~っ、絶対コイツらには喰われたくないわ~って思いますもん 。人間をフライドチキンのように「むんず!」とつかみ、「ゴバッ!」と丸呑み(よだれがたれてる)。たまに口に入れる前に食べやすくちぎったりしてアレンジも加えています(ストリングチーズのよう・・・)。これ、子供だったらトラウマになるレベルですよ(褒めてる)。ちなみにレーティングはPG12。

巨人の顔は、一応男と女があるみたいだし女に見える巨人は乳房もあるようなので「じゃあ、股間はどうなってんのよ?」と思って見てみると巨人の股間は全員が何もないつるつるの丘になってるんですよ。「生殖器がない・・・。制作側は面倒くさいことをスキップしやがってるな!」と思いましたが、後にハンジ(石原さとみ)が丁寧に説明してくれます。巨人には生殖器が なく、死んでもすぐに死体が消えてしまうので、その生態の詳細を調べることが出来ないんだそうです。なにそれ・・・なにその巨人側に都合の良過ぎる設定は!!と気絶しそうです(繁殖方法がわかってないと言いながらも、後に赤ちゃん巨人というのも出て来るのだが)。まあ人間と同じように繁殖するって設定だとして生殖器があっても色々と映像の処理に困るでしょうが・・・。そして、首の後ろを切ると死ぬということだけしかわかっていないんですよ。巨人に立ち向かう為には立体軌道装置というワイヤーの機械で上まで登り、二刀流で首の後ろを切るというアクロバティックなスキルが必要になるのでした。

そんな中、颯爽と現れたのがミカサとシキシマ(長谷川博己)。二人は目にも留まらぬ 早業で巨人をバッタバッタとなぎ倒していくのでした。ずっとミカサが死んでいたと思ったエレンは驚きますが、どうやらミカサはシキシマにスキルを磨かれると同時に男女の仲になっていたようです(ここは説明セリフなしで、シキシマがミカサにリンゴを食べさせる描写だけでわかるようになっていてよかった)。シキシマは映画オリジナルキャラだそうで、原作ファンからは評価が低いみたいですが、特に思い入れのない私はマアいいんじゃないかと思いました。エレンやアルミンたちが子供なのに比べて、明らかに大人で経験もあるシキシマは頼りになりそうだし、どんな現場でも常に冷静沈着で余裕なのが素敵~と思ってしまいましたよ。

終わりの方でボロボロになったエレンが「それでも戦うんだ !」と気を持ち直すシーンは、胸アツになるようになっていました。ここの盛り上げ方は個人的にちょっと町山さんの息吹(?)を感じたところ。町山さんが「バットマン ダークナイト ライジング」の脚本のアラを解説して「俺の考えたバットマン」というのを語っているポッドキャストを何回か聞きましたが、本当に町山さんの妄想バットマンの方が断然面白いんです。スタジアムの民衆が「バットマン!バットマン!」とシュプレヒコールして、空にバットサインが浮かぶシーンとか、映像化されてないけど本当に胸アツ。そういうのと似た熱をこのシーンには勝手に感じたのでした。

結局、エレンはアルミンを助けて巨人に喰われてしまうわけですが、ただじゃ終らないのが主人公。なんと内側から別の巨人として食べた巨人を突き破って出て来ます。中から出て来た巨人は別の巨人どもをフルボッコに攻撃。皆が「な、なんだこの巨人は・・・こいつは味方なのか ?!」と驚いている一方で、ミカサは巨人がエレンの魂を持っていることに気が付きます。首の後ろを切ると、気を失ったエレンが出て来るのでした。巨人の正体とは・・・もしや、人間だったのか?!というところで前半終了です。うーん気になる・・・。しかし後編公開が約一月後というのがスピーディーでいいですね。一年後とかだったら「これまでのお話」みたいなのがないと忘れてそうだし。マーベル映画なんて続編は二、三年後だからこれは嬉しいですよ。しかし、筆者が住んでいる地域での公開は今のところないみたい・・・。結局一年後までお預けとなってしまうのでした。

余談:原作漫画を描いた諫山創さんは、子供の頃「地獄先生ぬ~べ~」のトラウマを受けた子供たちの一人だったそう です(ちなみに筆者も子供だったけどティーンネイジャーだったのでそこまでの恐怖を感じることができなかった)。「ぬ~べ~」が彼に与えた影響は多いそうで、壁を壊す巨人の造形は「ぬ~べ~」の左手に封じられていた地獄の鬼、覇鬼からインスパイアされているらしいです。そして人を食らう恐ろしい怪物というのは「ぬ~べ~」に出て来た「人食いモナリザ」がインスパイア元のひとつだそう(出典:グランドジャンプ 2014年21号)。このモナリザは絵なんですけど夜な夜な絵から抜け出して動物や人を食らうという恐ろしい妖怪でした。今やメガヒットとなり日本を代表するコンテンツとなった「進撃の巨人」ですが、そのインスパイア元が「ぬ~べ~」とは嬉しいではないですか。しかしインスパイア元の実写化はスケールも乏しく伝説のネタドラマとして語り継がれるであろうクオリティなのが、ちょっと可哀相になったりします。「ぬ~べ~」をローカルの知人にもおすすめしているのですが、みんな反応がイマイチ薄いです・・・。やはり「進撃の巨人」や「NARUTO」や「デスノート」が好きみたい。「ぬ~べ~」は日本の民俗学も学べるし、アクションありエロありで楽しい漫画なのにな~。でも筆者はそんな「ぬ~べ~」が 大好きなのでした。

『リアル鬼ごっこ』斎藤工はカンボジア人?

       



「リアル鬼ごっこ」を鑑賞しました。日本では夏休みで色んな大作が公開されている中、実に微妙な選択・・・・ですよね。わかっています。本作観賞後、若い男性の三人連れが「クソ映画決定だな」と話しながら帰って行くのを友人Iが見たとか見なかったとか・・・。しかも筆者は鑑賞中に船をこいでしまい、途中の記憶がありません・・・(わざわざ映画館に観に行ってるのに、実にもったいない話)。しかしながら前売り券を買ってまで観に行った映画のことを書かないわけにはいかないので、覚えている範囲で書いてみます。

結論から言うと退屈だったのですが、若者トリオが言ったように「クソ映画」とバッサリ斬ってしまうのは、少しだけ可哀相という感じがします。ザックリ言うと、三人の女の子(でも同一人物)が容赦なく襲いかかって来るあり得ない事態と戦いながら、自己を探すというストーリー。筆者は原作未読のため、純粋に映画としての感想になります。






※ネタバレします。



ミツコ(この名前は園作品に頻出のヒロイン名だが、監督の初恋の人の名前らしい)は可愛い女子高生。演じるのはトリンドル玲奈です。楽しい修学旅行中でしたが、正体不明の風に襲われてミツコ以外の生徒が全員即死してしまいます。映画の最初の方にある女子高生のショッキングな大量死シーンというと「自殺サークル」(これは名作)を思い出しますね。それに、なんでもスパーッと真っ二つに切って行く殺人風というアイディアは面白いです。アイディアは面白いけど、でもそれだけっちゃそれだけな気もしないでもない・・・。それにアイキャッチなシーンはここだけでした。

ヒロインは修学旅行中のJKミツコ(トリンドル玲奈)→挙式直前の花嫁ケイコ(篠田麻里子)→陸上部のJKいづみ(真野恵里菜)と演じる役者が変化していきますが、本質的にはどれも中身がトリンドルちゃんの「ミツコ」であるという設定のようです。ミツコのことをサポートしてくれる親友アキ(桜井ユキ)はずっと同じ役者で、彼女は各ヒロインが置かれた世界のルールのようなものを熟知しているようです。筆者は陸上部のミツコのパートだけ寝てしまったのですが、どうやらミツコは自身があるゲームの中のキャラクターで、自らの意志を持たない持ちゴマのような存在だったことに気が付きます。

「そんなのいやだ!私は自分の人生を生きたい!」と必死で抵抗するミツコ(再びトリンドル玲奈)は、高校の同級生シュールが言っていたことを思い出します。シュールは枯れ葉を地面に落としてみて、このようなことを言います。「こうやって枯れ葉を気まぐれで落としたとしても、この枯れ葉が落ちる位置は運命によって定められていて、それ以外のところに落ちることはあり得ない。運命からは逃れられない。でも逃れる方法があるとすれば、自分で運命から逃れようと意識する前に自分がやりそうもないことをやるんだ」と・・・。

私も子供の頃に似た様なことを考えていたことがあるので、これにはハッとさせられました。でも意識する前に自分がやりそうもないことをやるってのも運命によって事前にプログラミングされているのでは・・・?などと考え出すと夜も眠れません。ゲームの中のキャラであることから逃れようとするミツコは、自分を誘惑する謎の男(斎藤工)を殺します。この殺人が「意識する前に自分がやりそうもないことをやる」行為となって、ゲームの世界は崩壊。ミツコは真っ白い世界の中に横たわり心の平安を得て終るのでした。「どんなに絶望的で閉鎖的な世界にいたとしても、一念発起して自らの道を切り開くことが大事やで」みたいなことなのでしょうか。まあこれは私のイージーな解釈なのですが・・・。

オール女性キャストによる映画かと思いきや、今をときめく斎藤工がキーパーソン的な役で後半にちらっと出演しています。今をときめく斎藤工って書いたけど、実は私ほぼ彼のことを知りません。「昼顔」って いう不倫のドラマで有名になったエロいイケメン俳優で「5時に夢中!」の内藤さんがラブコールを送っている人という知識くらいで、エンドロールで名前が出た時に「ああ、これが内藤さんの・・・」とわかった程度です。

斎藤さんは真っ白いブリーフ一丁でベッドに横たわり、自分の横をポンポンと叩いて「おいで」というシーンがあるのですが(劇場内では少し笑いが漏れていた)、観賞後に友人Iが「そりゃ行くだろ・・・」と呟いていました。そのわりに、友人I(普段ドラマなどは見ない)も斎藤工のことを知らなかったらしく「あのエロい人は誰?」と言っていました。私が知る限りの情報を与えると「やっぱ人気あるんだ。これから『昼顔』見る・・・」とのこと。しかしファンの方には申し訳ないのですが 、私は斎藤さんが普通のタイ人にしか見えない。画像をググって、じっくりと顔を見てみるとカンボジア人にも見えます。というより、カンボジアのバイヨン遺跡に掘られた男性の顔に見える(参考画像は過去のカンボジア旅行紀を)。鼻が高くて立派で唇が厚いところなんかソックリじゃないですか?

『八日目の蝉』タオルケットで涙を拭う



       




ご無沙汰しております。今年はちょっと忙しい帰省を送っており、気が付いたら感想文が溜まってしまっていました。さてこの映画、実に号泣なのでありました・・・。ポトッ、ポトッ・・・という落涙どころか、次から次にジャンジャカジャカジャカと涙が溢れて来てティッシュペーパーじゃとても追いつかない・・・。しまいには側にあったタオルケットをつかみ取り、とめどなく溢れる涙を拭いていました。ぐおお・・・いい映画じゃねえか・・・なんで今まで観てなかったんだ・・・と後悔。永作博美演じるおっ母さん(血が繋がってないどころか、誘拐犯なのだが)の深い深い愛情にビシ!バシ!ビシ!!!と打たれる二時間ちょいなのでした(長尺だけど中だるみも感じず)。

私にしては珍しいことに先に角田光代さんの原作を読んでたんですよ。確かに面白いし考えさせる小説だったけど、別に小説自体はそこまで私の中では強く印象に残ってるわけではなかったんですよね。 ロードショーのときも「あ~映画になったのね」と思ってただけでスルーしていました。でも、その映画が凄かった、凄かったんですよ。テレビドラマにもなっていて、友人の浦鉄さんによるとそちらの出来もかなり良いとのこと。映画を観賞後に早速ドラマもコンプリートしたのでした。

映画と連続ドラマ、それぞれに優れた部分を活かしたつくりになっていたように思います。ドラマは長さを活かしてヒロインを取り囲む人の人生もちゃんと描いていたし(その昔、岸谷五朗ファンだった私は五朗さん演じる不器用だけど優しいというテッパン設定な漁師に萌え~。くったびれたジャンパー着てるのがまたイイんだよな・・・)。一方、映画では省略されている部分も結構あるんですよね。でもそれが逆に誘拐犯と子の絆にフォーカスが置かれていていいんですよ。永作博美と井上真央の演技が本当に素晴らしいです。これなんか賞取ってんの?取ってんだよね?(※報知映画賞、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞等を受賞しています)



予告編





※ネタバレします。


ていうかこの話、諸悪の根源は全部ぜーんぶお父さん(田中哲治)じゃん・・・って思いましたが。だって本来は愛する対象であるはずの三人の女性を自分のせいで苦しめてるんですよ。まず本妻(森口瑤子)を不倫で裏切っています。そしてその本妻は愛人に生まれたばかりの子供を取られてるし、子供が戻って来た後も実の娘と普通の親子関係が築けずに苦しんでいるんですよ。お父さんは愛人(永作博美)にも本気ではなかった為、将来の具体的なことをごまかし続けて不倫を続行。ついには妊娠した愛人に堕胎させ、その後に愛人は本妻の子供を誘拐、犯罪者になってしまいます。娘(井上真央)には幼児になるまで誘拐犯に育てられたという凄過ぎる生い立ちを与えてしまい、戻って来た後も普通の親子関係が築けない母と同様にギクシャクしているという・・・。いわば男の身勝手さに振り回されて人生が狂ってしまった女たちのブルースでもあるのです。

まあ、愛人の希和子(永作博美)もダメンズウォーカーなんですよね。なんでも男の言いなりになってるし。ほぼ同時期に本妻が妊娠していたというのもショックでしょうし(もちろん本妻にとってもショックなことは言うまでもない)、堕胎した後に「がらんどう!」と罵られるのも精神的に来ると思います。心身ともにボロボロになった希和子は、本妻が生んだ6ヶ月の女の子を抱えて逃げるのでした。確かに誘拐という犯罪ですが、希和子が受けていた仕打ちを考えるとまあ致し方ないかな・・・と思ってしまいます。逃亡先のホテルで夜泣きをする赤ん坊の薫(希和子が自分の子供に名付けようと思っていた名前)にどうすることも出来なくて、咄嗟に母乳をあげようと思いつくのですが「でないか・・・でないよね・・・」と呟くシーンが切ないです。この映画で素晴らしいのが説明セリフがほぼないこと。色々と複雑なシチュエーションなので補足説明が必要な部分もあると思うのですが、そこらへんの処理が実に洗練されていたように思います。映像作品なんだから見てわかるものをセリフで語らせるほど野暮なことはありません。ヘタな脚本家だったら「でないか・・・”おっぱい”でないよね・・・」と言わせてるかも?

その後、友達の家を経て行く当てもなく彷徨う希和子はエンゼルホームという訳ありな女性たちのシェルター兼新興宗教団体に身を寄せることになります。キリスト教ベースのようなアーミッシュのような感じで、隔離された場所でオーガニックフードを作りながら自給自足している人達なんですね。特にうさん臭い感じはしませんでしたが、エンゼルさん(余貴美子)の肩に手を乗せて欧州言語ぽいものを話している人が面白かったです。そこで希和子は久美/エステル(市川実日子)と知り合うのでした。市川実日子は相変わらず透明感があってイノセントな雰囲気のする女優さんです。オリーブ少女だった私には懐かしい。エンゼルホームでの制服が世田谷あたりのオサレ酵母パンのお店っぽくて可愛かったですね。赤ん坊だった薫はそこですくすくと成長するのでした。

映画では過去と現在が交錯して、恵理奈/薫が現在どんな大人になっているかを見せます。成長した恵理奈(井上真央)は、どこかほの暗さの漂う女子大生。世間と馴染めずに孤立しています。そんな恵理奈も希和子と同じように、妻子ある男性と不倫をしていたのでした。そして同じく婚外子を身ごもってしまったのです。この相手の男が塾講師の岸田(劇団ひとり)なんですが、このキャスティングがいいですね~。「一見ごく普通に見えるんだけども、よく見ると微妙にキモいという既婚の男」感がいいんですよ。買って来たケーキを落としてグシャ!もよかったです。そんな恵理奈に当時の事件のことで取材をしたいとフリーライターの千草(小池栄子)が近づきます。実は千草もエンジェルホームの出身で、幼い頃に恵理奈/薫と一緒に遊んでいた仲間だったのでした。小池栄子が巨乳を封印して(っていちいちそれに触れるのも正当な評価ではないかもしれないけど)男性恐怖症の地味な女性を好演しています。千草は恵理奈に希和子と薫が生活していた小豆島への取材旅行を提案するのでした。

エンゼルホームがマスコミに叩かれ、いずれは自分が潜伏していることがバレてしまうと悟った希和子は、久美の力を借りてホームを脱出します。久美が渡してくれた実家の住所を頼りに小豆島へ渡るのでした。幼い薫を連れての逃亡の旅・・・。誘拐犯と何も知らない被害者の子供であることが嘘の様なくらい、二人は親子なのです。希和子は薫のことを全身全霊で愛し、守り抜くお母さん。薫はお母さんの愛情を一身に受け、生きる希望となった可愛い可愛い子供なのです。血も繋がってないし、犯罪の上に成り立っている親子関係なのですが、そこには純粋な親子愛があるわけなんですよね。希和子は久美の実家の製麺工場で雇ってもらうことに。久美のお母さん(風吹ジュン)によくしてもらい、島でのつつましくも幸せに溢れた親子の生活が始まるのでした。

小豆島編は、自然も風土も眩しいくらいに美しく島の人々はみな暖かく、まるで天国のような場所として描かれています。これは小豆島にかなり行ってみたくなりますね~。それでフェリー乗り場であのシーンを再現したりして。すっかり日焼けして方言を話し島の子になった薫を、目を細めて見つめる希和子。ずっと、このまま、この生活が続けばいい・・・と思っていましたが、思わぬところから足がつき二人を引き裂くことになってしまうのでした。このフェリー乗り場前のシーンはもう涙なしで見ることが出来ません。ああ、ああ、親子を引き裂く何てなんとむごい!と思えてしまうのです。警察に確保されても最後の最後まで薫のご飯のことを心配する希和子は、誘拐犯ではなく本当に慈愛に溢れたお母さんなんですよ・・・。

過去のことを忘れていた現在の恵理奈でしたが、千草と共に小豆島を旅するにつれて少しづつ昔のことを思い出していきます。昔よく遊んだ場所、通った道、そしてフェリー乗り場・・・。だんだんと幼い日の遠い記憶が蘇り「あのとき、私はあの人にあんなにも愛されていたんだ・・・」ということがわかっていくんですね。最後に希和子と薫が二人で一緒に写真を撮った写真館の主人として田中泯さんが出ていますが、実に印象的でした。幼い自分をさらった誘拐犯ではあるけれども、本当に愛してくれた優しいお母さんだった希和子からの愛情を思い出した恵理奈は走り出し、お腹の子と一緒に生きて行くことを決心します。「私、もうこの子のことが好きだ・・・」と言うセリフにも泣。そしてエンドロール、オレンジ色に染まった小豆島の海を背景にして流れる中島美嘉の親子の愛を歌った歌にも号泣。タオルケットを引き寄せて締まりの悪い蛇口のようになった私の両目。母の愛に打たれてノーリーズンで号泣、そして美しい夕陽のラストというと、まったく毛色は違うけど韓国映画「母なる証明」を思い出してしまいました。

原作小説のテーマは「母性」だと言われています。希和子と薫のように、血が繋がっていなくても親子になれる。恵理奈のお母さんと恵理奈のように、血が繋がっていてもなんらかの理由で上手く行かなくなることもある(こちらは後に和解へと向かって行くような描かれ方でした)。特に愛していた男の子供というわけでもないけれど、まだ生まれていないその子を愛することは出来る。こういう異なった三つの母子関係を描くことで「母性って一口に言ってもな、その中身は色々あるんやで」ということが言いたかったのかなあ・・・と感じました。

タイトルになっている蝉ですが、このモチーフの登場のさせ方は少し唐突な感じがしないでもなかったです。このへんは時間が足りなかったのかも?だいたいが七日で死んで行く蝉。しかしまれに八日目まで生きる蝉もいるらしい。同期がみんな死んじゃって悲しいけど、きっと長く生きられた分だけ素晴らしいものが見られるのではないだろうか・・・ということなんですね。「世の中にある素晴らしいもの、美しいものを愛する子供にいっぱい見せてあげたい」というようなセリフが希和子と、時を置いて恵理奈から出ますが、この気持ちは筆者もよくわかります。情操教育上にも子供の頃に出来るだけ見聞を広げておくことが大事だと思うんですよね。この世は美しい、だからよく見ておきなさいというポジティブなメッセージに溢れているんですよ。ラストは非常に美しく感動的な終り方でしたが、得意の矮小化をするとやっぱり諸悪の根源は、ズルズルと不倫をしていたいい加減なお父さんってことで三人の女性をこれだけ苦しめた罪は重いです。不倫はイカン!!!しかしその不倫というのが古今東西の数多ある傑作フィクションを生み出すモトとなっているのも事実であるのでした。

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