@itan-journ@l praha

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

チェコっとお出かけ:第6回 プラハ・カフェ放浪記


最近、プラハの有名カフェに行く機会があったので、どんな印象だったかを書いてみたいと思います。名付けてプラハ・カフェ放浪記。もちろん元ネタは吉田類さんの「酒場放浪記」です(うちの父親は下戸のくせにこの番組が好きで必ず録画しているのだった)。

カフェ・ド・パリ
カフェ・ド・パリのHPはこちら(ホテル・パリのレストランページ)


カフェドパリ

写真を撮るのを忘れてしまったので、ガイドブックの写真です。



パリケーキ

これが、1904年から脈々と続くパリケーキだが・・・。


ホテル・パリの下にあるカフェがカフェ・ド・パリです。名刺なんかには「カフェ・ド・パリ プラハ」と書いてあって、パリにあるんだかプラハにあるんだか少し戸惑ってしまう感じです(笑)。思ったよりずっと小さいカフェで、ウエイターさんたちは古き良きギャルソンルックです。内装は写真で見た方がずっと素敵です。雨の午後にフラリと訪れましたが、私達の他に2組ほどのお客がいるだけでした。お茶の時間だったので、紅茶とケーキをオーダー。頼んだケーキは英語だと「Paris cake」といって1904年から不変のオリジナルレシピで作られているケーキだそうで、話のタネになるかと思って頼んでみたんですがお値段が160コルナ(@800円)くらいしてビビりました。プラハのケーキは70コルナくらいからあって、100コルナを越えると「おおお、高いな・・・」という感じです。

紅茶は銘柄を忘れてしまいましたが、可もなく不可もなくという感じでした(でもチェーン店のよりはやや美味しい)。そして問題のパリケーキですが・・・デカイ。そして甘くてマズい。外側の白い部分は分厚いマジパン(舌触りが荒い)でコーティングされていて咀嚼するにもひと苦労。内部のチョコレートムースらしき物体はチョコの風味もなくひたすら重い食感。核として入れられた桃のコンポートは最安値のカンズメでしょう。一口すくって口に運び「ううう・・・」とうなってしまいました。もちろん完食はなし。義理の母マミンカに報告したところ「シミ(仏語で化学)がたくさん入ってるから、そんなの食べちゃダメよ」と言われてしまいました。

サービスも共産主義的で、笑顔一切なし。私の拙いチェコ語も通じず、残念な午後でした。化粧室はオールドヨーロッパという感じで可愛らしかったです。



カヴァールナ・オヴェツニー・ドゥーム

カヴァールナがある市民会館のHPはこちら。

オヴェツニードゥーム2

シャンデリアが個性的。


ミュシャのモザイク画で有名なアールヌーヴォーの館、市民会館(オヴェツニー・ドゥーム)。中にはプラハの春音楽祭が行われるスメタナホールや展覧会が出来るスペースもあって、チェコの文化芸術の殿堂といった建物です。以前にはここで行われたアールヌーヴォー展を見に行きました(アール・ヌーヴォーな午後 前編後編)。市民会館の一階、入って左側にあるのがカヴァールナ(カフェ)です。右側はフレンチレストランだそうで、高そうだけど行ってみたいなあ・・・。このカフェには以前、家族と来たことがあるのですが、内装が素晴らしくアールヌーヴォーに浸り切ってカフェタイムを過ごすことが出来ます。しかし。ツーリスト向けのお店にありがちですが、どれも高くてあまり美味しくないんですね。もともとはカフェ・インペリアルに行くつもりだったんですが、満席だったのでこちらにやってきた私と友人のY嬢。二人ともウインナコーヒーをオーダーしました(写真なし)。お値段は70か80コルナ(@350円、400円)ほどでした。

内装は相変わらず素晴らしく、特に照明がキラキラでかなり浸れます。私達が行ったのは金曜の夕方でしたが、ピアノとサックス(トランペットだったかもしれない)の生演奏がありました。しかし恐ろしくヘタクソで、だったらスメタナのCDをかけてくれた方がずっといい雰囲気になるのにという感じ。ツアーコンダクターさんに連れられてやってきた日本人観光客の団体さんもいたりして(おそらく旅行会社でテーブルを押さえている?)非常にツーリスティックな場所です。ケーキは100コルナ(@500円)で、ワゴンにのってサーブされます。種類は多いですが「これ、オヴォツニー・スヴェトゾル(庶民的なデザートチェーン)から卸してるんじゃないか・・・」というくらい外見がソックリです。なぜならケーキがとてもカサ高。日本のケーキの1.75倍から2倍の高さがあり厚みもすごいです。この繊細さの一切を排除するデカさがいかにもチェコのケーキであり、マズそうに見える原因・・・。そのためオーダーはしませんでした。

ウインナコーヒーのホイップクリームはまったく味がせず、コーヒーもニアリー泥水で風味なし(グランドカフェ・オリエントで飲んだのも泥水コーヒーでした)。そしてぬるいという三重苦でした。ここではビールかワインをオーダーすればハズレがないんじゃないかと思います。


スラーヴィア

スラーヴィアのHPはこちら。

スラーヴィア

夜も大勢の人が憩っていて、雰囲気もいい。


スラーヴィア3

メドヴニークにはフォークが刺さっていた。このサーブ方法はプラハの他のカフェでも見かけた。
運ぶ途中でフォークだけがチャリーンと床に落ちなくて良いのかもしれない。


市民会館のカフェの後、ベトナム料理を食べ食後のカフェということでスラーヴィアに来た私達。スラーヴィアは故ヴァーツラフ・ハヴェル大統領も通った老舗カフェ。国民劇場のお向かいにあるので、芸術関係の常連さんも多いそうで文化系の香りが漂うカフェです。アーティストがコーヒー一杯で粘って芸術論を戦わせている、みたいな・・・?そんなことはなく、ここもツーリストが多い有名店。でもジモティーも多くて、バランスがとれた客層は居心地が良いです。窓側の席からはヴルタヴァ川が見えます。友人Iが来たときにここでランチを食べました。とても美味しかった〜。でもコーヒーとケーキがダメでした。カフェなのに。

Y嬢がなぜかこだわっているメドヴニーク(ハチミツのケーキ。値段忘れた)とキャラメルカフェラテ(70コルナくらい。@350円)をオーダー。カフェラテはキャラメルの風味豊かだけどコーヒーが泥水でもれなくぬるいという感じでした(こんなこと書いているが、私はY嬢にご馳走してもらったのだった)。メドヴニークはチェコや他のスラブ圏で作られている代表的なケーキですが、クリームの舌触りが重くて二人とも一口食べただけでギブアップ。う〜ん、プラハのコーヒーとケーキってどうしてダメなんでしょう。美男不在の街なのに甘味もダメって冗談キツいぜ、プラハ!コーヒーのヌルさはもう壊滅的で、日本みたいにすぐに飲めないくらいのアツアツのものが供されることに慣れている身としてはカルチャーショックですよ。チェコ人って猫舌なんでしょうかね・・・。

スラーヴィアでは以前、知人から「皇帝フランツ・ヨーゼフが大好物だったパラチンキ(パンケーキ)」をご馳走してもらったことがあります(Wikiによるとこれかな?)。少し崩したパンケーキの上にホイップクリームとラズベリーソースがかかっていて、ベリー類が乗っかっているデザートでした。その方はチェコ人で「街一番のパラチンキ」と仰っていたのですが・・・味はいたって普通でしたー!ごめんなさい。やっぱり日本ってデザートのレベルが高いんだなあ・・・。チェコに観光で来た方はあまり期待しないで下さいね。ちらと他のテーブルを見回したところ、やはりビールやワインを飲んでいる人が多かったです。あ、でもスラーヴィアのグラーシュは美味しかったですよ。

サービスは担当の人によってまちまちです。笑顔で冗談を言う人もいれば、氷のように一切の感情を排除したような人も。感じのよい人に当たれば良いですね。


ということで、有名な三カフェの個人的印象でした。かなり上から目線で、性格の悪さが滲む文章になってしまい反省しています・・・(でも正直な感想です)。お店やメニュー選びの際、この記事がひとつの参考になったとしたら幸いです。

CREA Traveller Unforgettable Praha 偉大なる王を戴く王国へ 泣かせるプラハ 幻想のプラハ城巡り 美しい旋律が響く四大劇場 旧市街ラビリンスを探検 悪魔の水路からカンパ島へ 文豪が愛したスタラー・フチの森 最旬・可愛い雑貨&カフェ (表紙キャプション)  

プラハに刻まれた記憶を巡る旅 プラハの夜は音楽とともに更ける ボヘミアの森の温泉リゾート 素顔のカフカ ちょこちょこチェコ案内 チェコ雑貨に夢中 プラハ郊外の小さな町へ (目次より引用)

クレア・トラベラーシリーズのプラハ特集は、とにかく写真が綺麗で雰囲気たっぷり。非常に美しいプラハの街並を眺めているだけでも楽しいです。王道の観光名所に加えて、劇場や音楽ホールの情報もあるので本場のクラシックコンサートやバレエ、オペラを観たいという人にはおすすめです。もちろんおしゃれなレストランやショップ情報も。電子書籍ならスマートフォンやタブレットに入れて持ち歩けるからラクチンですね。

スポンサーサイト

『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』なんと瑞々しい・・・


             


話題の恋愛映画トリロジー、実は一作も観たことがなかったのです。恋愛映画があんまり好きじゃないってのもあるんだけど・・・でも続編が結構リアルにしょっぱい味わいだと聞いたので、この際トリロジーをコンプリートしてみようと一作目からの鑑賞です。

一作目は96年公開ですか・・・!イーサン・ホークもジュリー・デルピーも若い!!!中央ヨーロッパを行く列車の中で偶然出会ったアメリカ人青年ジェシー(イーサン・ホーク)とフランス人女学生セリーヌ(ジュリー・デルピー)。車内で意気投合した二人は共にウィーンで下車し、明日の朝ジェシーの飛行機が出るまでをウィーンで一緒に過ごします。街歩きしながら色々なことを語り合い、そして当然のごとく恋に落ちるのですが、別れは明日の朝。期限付きのランデブーを楽しむつもりだったけど、離れ難くなったり、現実を見てしまったり、そしてまた離れ難くなったり・・・。24時間にも満たないウィーンでのデートが実に瑞々しく描かれた恋愛映画の傑作ではないですか!(←20年ほど遅い)


※ネタバレします。


続編出来るのもわかるなあ~という感じですが、あのラストに続編ってのもまた野暮な気がしないでもない・・・まあ、一体どっちなんだと言われると困ってしまいますけど。私は個人的にイーサン・ホーク(柳沢慎吾に似ているby友人I)が、あまりカッコイイと思えないので、そこまで彼らの恋愛にガンはまり出来なかったんですが、それでもすごくいいですね。若者二人が当時のジェネレーションXっぽく描かれておらず、本が好きな普通の若者として描かれてるのがタイムレスな魅力になっています。若さと、旅先と、偶然と、色んな劇的要素が混じり合ってのケミストリーが本当にいいんですよ。それをあますところなく捉えて、ちょっと知的でお洒落な映画に仕上げて来たというこの感じがね。冒頭で流れるクラシック音楽も格調高くて素敵です。

列車内でケンカをするドイツ人夫婦のおかげ(?)で、偶然に知り合ったジェシーとセリーヌ。この倦怠期の夫婦が彼らの未来・・・?と思ってしまうのは「ブルー・バレンタイン」や「ふたりの5つの分かれ路」なんかのカップル崩壊映画ばかり観て来ているせいでしょうか。ともかく知り合って食堂車でお茶することになります。そこで色々なことをトークする二人。この初対面でもトークがはずむってのが、もう息が合ってる証拠ですよね。しかし普通、何をやっている人なのかとかお互いの国のことから探っていって共通の話題を探して行くと思うんだけど、いきなり死んだおばあちゃんがホースのミストの中に見えた話とか、ちょっとエキセントリックですね。

列車がウィーンに到着しますが、ジェシーが一晩ウィーンを一緒に散歩しないかとセリーヌを誘います(宿を取るお金がないから)。ここで彼女を説得するジェシーの言葉が三部作を貫くメタ構造にがっつりとヒット。「もし未来に君が結婚して夫と幸せじゃなかったら、今まで出会った男たちことを考えるだろう。例えば僕みたいな別の男と一緒になってたらどうだったかしら?って。でも僕は実はきみの未来の夫と同じくらいパっとしない男だ。ウィーン下車でそれを知っただけでも『ああ、どの男も同じようなもんなんだから、やっぱり今の夫で良かったんだわ』って思うだろうよ」みたいなことを言うのです。でも二作目の後で二人は一緒になってるわけで「ふむ、これが運命ってものかのう・・・」と時空が少し歪んだ様な実に実に不思議な気分になりますね。これはトリロジーのことを知っていて観る未来人目線ですが。

市電に乗りウィーンを巡る二人。その間にも彼らのダイアローグは止まりません。会話のネタが絶えないってのも大事ですね。去年行ったウィーンが出て来るからちょっと楽しみだったんだけど、いわゆるウィーンの誰もが知る有名スポットがじっくりと映るシーンはほとんどなくて、雰囲気のいい裏道とか小さなレコードショップとか古いカフェとか無名の人が眠る墓地とか、本当に何気ない街角ばかりが出て来るんですよ。この、こなれ感がニクいですねえ・・・。観光客の誰もが食べてるウィンナーシュニッツェルとかザッハートルテとかそんなの食べてるシーンが皆無なんですよ(デーメルとホテルザッハーいかないの?)。あとさっき列車からウィーンに降りたばかりなのに、彼らの佇まいがまるでジモティー。リアルジモティーから話しかけられるのもドイツ語ですよ。なんでしょうね、この違いは・・・。日本人観光客ってどこにいてもすぐわかるじゃないですか。ウィーンはヨーロッパの街だから欧米系のジェシーとセリーヌがすぐ馴染むのもわかるけど、東南アジアとかにでも観光観光して浮いてなくて、こなれていてリラックスしてるのは欧米系の方が多い気がするんですよね〜。

古いレコードショップの視聴ブースに入って、ちょっと意識してしまう二人。ジェシーがセリーヌを見ているとき、セリーヌの視線は別のところを捉えていて、セリーヌがジェシーを見ているとき、ジェシーの視線は別のところを捉えている。でももうビンビンにお互いのことを意識し合ってて、狭い狭い視聴ブースは恋のガスが充満しきっている!あとはきっかけとなるマッチが一本あれば・・・みたいなシーンがいいですねえ。演出もいいし二人の演技もいい。二人とも当時はまだ若いですが昔からいい役者さんだったのねえ・・・と思いました。

その後レトロな遊園地に行き、観覧車からサンセットを見る二人。セリーヌから積極的にキスを迫ります。楽しい楽しいデートは続き、カフェに入ったり、占い師のおばあさんに手相を読んでもらったり、流しの詩人に即興で詩を作ってもらったり。その間にも二人は話し続け、そこから結婚観や宗教観など深い話もするようになります。いかにもウィーンなレトロなカフェで「国の親友に電話してる設定」でお互いがお互いのことをどう思ってるのか告白するシーンがあるんですが、これも「くぅ〜」って感じですよ。こういう設定がワンクッションあると、恥ずかしくて言えないことも言えちゃったりするんでしょうか。ええのう、ええのう・・・。そうこうしてるうちに真夜中になります。ジェシーはバーのオーナーにお願いして代金後払いで赤ワインのボトルをゲット(セリーヌはその間にテーブルからワイングラスをくすねる)。外で寝転び星を見ながらワインを飲みます。「私達は寝ない方がいいわ」と言っていたセリーヌですが、若い二人に何も起きないわけないじゃないですか。あ〜リア充ええのうというね・・・。しかしウィーンも野宿出来るくらいだし結構安全なんですね。

翌朝、残されたわずかな時間を背中に感じながら歩く二人。心なしかテンションも下がって元気がありません。駅で、セリーヌの乗る列車を見送るジェシー。もともとはビフォアサンライズのつもりだったけれどもサッと別れることが出来なくって思わず抱きついてしまうシーン、このへんは私がもう少し若かったら号泣メンだったと思います。二人は半年後に同じ駅の同じホームで会う約束をして別れるのでした。住所や電話番号も交換せずに!いや、若いのに粋ですね〜。今はSNSがあるから探そうと思えば探せちゃってそこで繋がれちゃうけども・・・。そうしてセリーヌは列車でフランスにジェシーは飛行場へ向かいます。別れた後、彼らが何とも言えない表情をしていて、それを静かに撮っているのがいいですね。セリーヌの方が心なしかサッパリしていたように見えましたが。

そして昨日、彼らがウィーンでいた場所が次々と映されます。裏道、カフェ、遊園地、墓地、そして空のワインボトルとグラスが残された芝生・・・朝が早くてまだ人影もまばらです。でも昨日、確かに彼らはそこに存在していた。そこにいてお互いの体温や視線を感じながら恋に落ちたのです。この無常観と表現したら良いのでしょうか・・・儚い感じもまた切なくていいんですよね。この映画のベースには脚本も担当したリンクレイター監督の実体験があるそうで、納得。プロセスにリアリティーがあるんですよね。舞台はウィーンですが、街が出しゃばってないのもいいですね。有名観光スポットを沢山映したらプロモーションビデオっぽくなっちゃいそうだから、渋い裏道ロケーションで正解なのでしょう。何よりもメインなのは二人のエンドレスなダイアローグなんですから。ということで、次に観る映画は「ビフォア・サンセット」です。

チェコっとみつけた、こんなモノ:第31回 Mixa のCleansing Micellar Water


Mixa2.png


水色とサーモンピンクの淡いトーンがフランスって感じがする〜(笑)。


「チェコっとみつけた、こんなモノ」は、私がチェコで見つけたチェコっと可愛い、ユニーク、便利 etc・・・なものを雑談しながら紹介するというコーナーです。日本では見かけないもの、お土産にすると良さそうなものを中心にピックアップしています。 ただしチェコで見つけたモノが対象なので、チェコ製ではないものも含まれます。その点は何卒ご了承下さい。

久々のチェコっとみつけたのコーナーです。今回はチェコのものではなくフランスのもの。日本にいた頃、クレンジングはオイル派もしくはジェル派だったのですが、チェコに来て以来すっかり拭き取り派になってしまいました。引っ越してから最初の冬ははそれはもうお肌がG.A.S.A.×2、つまり ガサガサ!で「これがヨーロッパの乾燥・・・」と恐ろしく思ったものですが、今は身体が適応してしまったのが当初ほどの乾燥はなくなりました。でも何故拭き取り派か?というと、出来るだけ顔を水と接触させたくないんですよ。何故かというと水で洗うとその後の乾燥がひどくなる気がするからです。

えー、顔洗わないの?と昔の自分だったらビックリしてしまうと思うんですけども、洗いません!メイクと汚れを拭き取るのです。確かにこちらではあまりウォッシュタイプのリムーバーって見たことがないですね・・・。といことで、ビオデルマのメクアップリムーバーを愛用していたのですが(パリのシティファルマで買いました)、使い切ってしまったため新しいのを探すことになりました。チェコでもビオデルマは売ってるんですが、近所のdm(ドイツ系ドラッグストア)でプロモシされていたMixaを買ってみることにしました。

こんなブランド、知らない!と思ったものの、敏感肌向けのようだったので買ってみました。以下、箇条書きで商品の特性を書いてみたいと思います。

・1924年にフランスで始まった敏感肌用のブランド。
・皮膚科医指導のもとに処方されている。
・ポンプタイプで使い勝手が良い。
・敏感肌用なので超低刺激。
・アイメイクもスルリと落ちる(ビオデルマとほぼ同様の使い心地)。
・メイクだけでなく顔の汚れも落とせる。
・ビタミンB5とローズエキス入り(微かにバラの香りがする)。
・パラペン、アルコールフリー。
・コンタクトレンズをしている人でテスト済み。
・200mlで109コルナ(@545円。dmにて)。

もっと商品特性を知りたいと思って、フランス本国サイトに行ってみましたが、この商品がない!なぜ?商品名で検索するとチェコ語の情報ばかりが出て来ました(チェコのMixaサイトはこちら)。この商品をブログでレビューしている女子もチェコ人ばかりだし、商品自体の裏の説明もチェコ語とスロバキア語だったし、もしかしてチェコ向けの商品ってことなんでしょうか・・・?そうするとチェコっとみつけた的には嬉しいですが。商品の裏には以下の質問のうち2つに該当する人向けに作られていると表記がありました。私は・・・強いて言うなら1と3かな。

1. 肌が外部環境(冷たい空気、硬水など)に敏感に反応してしまう。
2. 顔を洗った後、肌が赤くなったりヒリヒリしたりする。
3. 水で顔を洗った後、つっぱってしまう。

ということで、本当に敏感肌で悩んでいる人の為の商品のようです。クレンジングはこの他にもミルクタイプとか別のウォータータイプなんかがありましたし、保湿クリームやCCクリームなんかも出ているみたいです。ちなみに私はこの商品を現在リピート使用中。もともとラロッシュポゼの製品が好きでBBクリームなどを使っていたのですが、ラロポよりもお値段が安いので他の製品も良ければMixaに移行もアリかな~と思っています。

MixaはdmROSSMANNなどのドラッグストアでよく見かけます。dmの方が色々な場所にあったり、モールの中に入っていたりするので便利かもしれません。あと他にもビオコスメやビオ食材、お菓子も売っているのでお土産探しに丁度いいお店だと思います。

『砂の女』トラウマ映画館に加えたい



             



蜘蛛巣城」を観に行ったときのメンバーで行って来ました。またまたフィルム・コンシェルジュのチアキ(仮名)が「これいいんじゃないでしょうか」とリコメンドしてくれた一本です。安部公房の小説が原作で「砂の女」はチェコ語にも翻訳されて結構人気があるのだとか。突然、日常から不条理下に置かれた人間の心理ということでカフカの「変身」とも相通じるものがあるのではないか、などと浅学ながらに考えたりしたのでした。

思えば60年代くらいのモノクロ映画ってヨーロッパ(特にフランス)ものはよく観てるんだけど、日本の映画となるとほとんど観たことがないんですね。だから、日本人から見ても充分エキゾチックに見えるというか・・・。古いヨーロッパ映画っ て街並は今とほとんど同じだけど、邦画だと街並も違うし着てるものも、話し方も違うからかもしれません。主演は岡田英次と岸田今日子。岸田今日子さんはまだご存命かと思ったら既にお亡くなりになっていたんですね・・・。岡田さんは「二十四時間の情事」にも出ていました。この映画では少し中年ぽさが増してるけど相変わらずイケメンでいらっしゃいます。

予告編↓(youtubeに本編まるごと上がってました・・・)




※ネタバレします。




とある日本の田舎の砂丘で植物採集をする男(岡田英次)。村人から今晩の宿として民家に泊まってはどうかと言われます。その言葉に甘えることにした男は低い土地に建てられた砂の崖に囲まれた粗末な民家に向かいます。そこはさながらアリ地獄のような家で、縄梯子で下に降りると一人の女(岸田今 日子)が男を出迎えるのでした・・ ・。はい、嫌な予感的中~!男はそこから出られなくなってしまうのです。村人から縄梯子を外されて外へ出られなくなってしまうんですね。それでも最初は必死で砂をかいて出ようとするんですが、アリ地獄のようにかいてもかいても下に落ちてしまうのです。刻々と変化する砂の表層がモノクロームの画面に映えて、まるで砂粒に意志が宿っているかのように見えます。サラサラとした砂肌は実に美しく、そして実に恐ろしい。

アリ地獄に入る前に砂丘で休憩している男が「身分証明書・・・戸籍謄本・・・健康保険証・・・免許証・・・」とありとあらゆる種類の証明書のことを考えるんですが、そんな紙キレで存在を確認出来る世界と全然別の世界がこの砂丘なんですよ。「僕が失踪したってことがわかったら、警察が探しに来る。無断欠勤が続いているし、部屋のテーブルの上には読みかけの本だってそのままだ 」と男は言うんですが誰も、だーれも探しにこない。日常に開いた怪しげな穴から恐ろしいアナザーワールドに放り込まれてしまったも同然なんですね。こんなにいとも簡単にリアル世界から隔絶されてしまうんだ・・・という怖さもあるんですよ。

岸田今日子はアリ地獄に巣食うウスバカゲロウ女で、イケメンの岡田英次を交尾の後でムシャムシャと食らうのかと思ったら(それはカマキリか)彼女はずっと受け身な存在として描かれています。夫と娘を砂嵐で亡くして、でもここを離れることが出来ない非力な女として存在しているのです。「砂かきに人が必要なのですみませんが、ここにいて下さい」という感じです。しかし岡田英次は都会的で知的なイケメンなんですよ。あり得ない事態なのにそこま で取り乱してなくって「ああ、たぶんこの男はココに居着いてしまうんじゃないか・・ ・」とわりと最初の方で観客は予感してしまうんです。岡田英次、顔立ちがハッキリしているけどバタくさくない程度の顔で、なんか押し切られてしまいそうな優しい感じは役所広司っぽい、とチアキが言ってましたが、納得。

一晩だけ泊まるつもりだったから、朝支度をして出ようとするシーンがあります。裸で横たわる女をボーっと男が見ているんですよ。あれ、夜伽付きってことだったのかな・・・?アナザーワールドのものを食べたり、そこに住む女と契ったりすると前の世界に帰れなくなるという神話や民話なんかであるパターンですが。ちょっとこの辺はよくわかりませんでした。男は外に出ようと試みるんですが出ることが出来ずに結局は、なし崩し的に女と夫婦同然の生活を送るようになるんですね。二人が情事を行うシーンは直接的なシーンではありませんが、実にエロティック。ノーメイクの岸田今日子(若い)は決して美女ではない田舎のおばさんなんですが、彼女の後れ毛なんかもとてもエロく見えます。男と女が二人でいればこうなるしかないでしょ、という感じでちょっと心がザワザワします。「東京の女の人って皆綺麗なんでしょ」と自虐的に言う女。「くだらん!」と一喝する男。女はよく都会への憧れめいたことを口にしますが、男はその度に否定します。ここもいいですね~。都会を知らない者は憧れ、知っているものは「そんないいもんじゃないよ」と否定するんですよ。結局それぞれが思い描く東京はそれぞれの心の中にしか存在しない理想郷、みたいな・・・?

時々村人がやってきて配給をアリ地獄の中に落として行きます。生活に慣れたかのように見えた男は民家の中にあるものを使って、密かに脱出の道具を作り始めるのでした。ある朝、女が寝ているのを見計らって脱出す る男。すると村人たちが追いかけて来ます。逃げる男。逃げても逃げても砂丘から出られず、底なしの部分にはまって腰まで埋まってしまいます。仕方なく助けを呼んで村人に救出され、またアリ地獄の民家に軟禁されるのでした。

この逃亡事件から更に男は大人しくなります。カラスを生け捕りにする装置を作りますが(カラスの脚に手紙を付けて飛ばす為)、その装置は偶然にも水蒸気を液化する貯水装置になることに気が付きます。砂地に桶を埋めて、その上に紙やビニールを敷いておくだけで水が溜まるんですよ!この装置はたしか「オールイズロスト」でもレッドフォードがボートの上でやってなかったっけ・・・。砂漠でもこうして水を得ることが出来るんですね。この仕掛けは覚えておくと便利かも!男はその貯水装置の観察日記をつけ始めるのでした。脱出事件後の男と女はもう長年連れ添った夫婦のような安定感。女がタライの中に立った男の身体を洗ってやるシーンがエロかったです。まさかムーミンにエロスを感じてしまうとは思いませんでした。

それから更に時間が経過し、男は村人に「海が見たい。見張り付きでいいから、海を見る為に外へ出してくれないか。もう数ヶ月も大人しくしているんだから」と言います。「相談してみる」と言って村人は消えました。その夜、アリ地獄のまわりにお面や水中メガネを付けて顔を隠した村人たちが火を持って集まりました。「おーい!海が見てえんだろー!かあちゃんとのアレ見せてくれたらよー、そしたら海見せてやっからよー!」と村人たち。エグい・・・!この映画で一番エグいシーンがここです。男は戸惑うものの「でも、やるしかないかも!」と妙に素直になって、嫌がる女を組敷きます。ええー、やるんだ・・・とドン引きする私達。ここで急にドンドンドンドンドン!と、狂わしい和太鼓の音が流れ、下から炎で照らされた鬼のお面をつけた顔がアップになったりしてトラウマ度満点の演出に。また、ひえー、とドン引きする私達。周りにはほっかむりした村人たちしかいなかったのに、太古や鬼のお面の顔は彼らの心象風景なんでしょうか・・・。結局、女が全力で拒否した為にエグい宴は開かれなかったのでした・・・ホッとした。これもちょっとしたトラウマ映画ですよ・・・。なんかお面って怖いんですよね。特に日本のお面が・・・。呪術的な雰囲気が不気味。

寒さが増して冬になりました。女が身体の不調を訴えます。「助けてくれー」と村人を呼ぶ男。村人(獣医)が触診すると、女はどうやら子宮外妊娠をしているようです。女を外に出して医者に診せなければならず、村人は女を外へ出します。女は「いやだよう・・・」とアリ地獄から出たくなさそうです。残された男の前には村人が外し忘れた縄梯子が。じっと縄梯子を見る男。今なら誰にも見られることなく 外へ出られます。男は外へ出るのですが、海を見ただけでまたアリ地獄へ戻るのでした。「逃げようと思えばいつでも逃げられる。出るのは今日でなくてもいい。それよりも僕が考えた貯水装置のことを村人に教えないと・・・」と日誌を付け始めます。その画面に被るように裁判所の公式文書が出ます。それは男が失踪して7年が経ち、公的に失踪者として認定されたという内容の文書でした。終わり・・・。

いや〜、なんなんですかねえ・・・深いんですよ、これは・・・。心理学用語で「ストックホルム症候群」というのがあるのを思い出しました。この映画だとまたちょっと状況が違うんですけど、知らない異性と軟禁されているといつの間にか情が芽生えるし、何もないに等しい環境下でも生き甲斐を自分で見つけるようになるというのが人間なのでしょうか・・・。そのままだと発狂したり鬱になったりしてしまいそうだから、状況に適応して生存していく、みたいな・・・?人間の適応能力ってちょっと怖くもありますね。最初からアリ地獄に住んでいた女も無理矢理連れてこられた男とは違うものの、本質はきっと同じ様な気が。治療の為に外に出されるけど嫌がっていたので、女にとっては男と二人だけで築き上げた居心地の良い砂だらけの小宇宙から引きはがされることがストレスだったのかもしれませんね。映画では男は独身設定でしたが原作では妻帯者なんだそうで、こっちの方がまたグっときますねえ。不条理に取り込まれた人間は受け入れて適応し、ささやかな幸せさえ見つけようとするのか。これが人間の根源なのでしょうか、いやはや深いです。

観る前は「難しそうだな〜」と思ったけど、びっくりトラウマシーンもあって充分に楽しみました。やはり内外で高い評価を受けているそうで、カンヌ審査員特別賞受賞、アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、キネマ旬報ベストワン作品賞、などなど・・・。機会があったら原作も読んでみたいですね。もしかしたら世間で失踪者となっている人は、砂丘にいるのかも・・・とちょっと怖い話風でまとめてみました。

チェコっとお出かけ:第5回スタートニー・オペラで「ラ・ボエーム」を鑑賞

スタートニー・オペラで上演されたプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を友人のノワちゃんと(仮名)観に行って来ました。普段は映画館の暗闇に紛れてばかりで観劇には滅多に出かけないのだけれども・・・。ノワちゃんの友人でヴァイオリン奏者のブレ様(仮名)がオペラのオーケストラピットで演奏するということで、そのブレ様からのご招待。オペラなんて何年振りでしょう・・・。

スタートニー・オペラはの最寄り駅はムゼウム駅。馬に乗った聖バーツラフの奥に博物館がありますが、その向かって左側にモダンな作りの博物館(古い博物館は修復中らしく、展示物は今こっちに移動しているそう)があり、その隣がオペラ座です。パリのオペラ座なんかと比べると小さくて質素な感じの建物ですが、中が素晴らしかったです。

ロビーに入るなり「ここ来たことある・・・」と記憶が呼び戻されました。ずっと前にドボルザークのオペラ「ルサルカ」を夫と観に行ったことが・・・(夫もオペラに興味がない為、誰かからチケットを頂いたのだろう)。ルサルカは簡単にいってしまうとチェコ版「人魚姫」です。海がないチェコだからルサルカが住んでるのは湖という設定でした。

ラ・ボエームって名前のスパゲッティ屋が前の会社の近くにあったな、そういえば・・・ということで無知な私は事前にWikiでストーリーを調べました(リンク)。悲劇なんですが、例のごとく矮小化して考えると芸術家気取りのフリーターに病気持ちの彼女が出来るけど、病気のせいで別れる別れないとゴネて、結局最後は満足な治療を受けることが出来なかった彼女が死んでしまうという話ですよ!「とにかく就職しろ」というメッセージでしょうか・・・(もちろん違います)。悲恋なんですが「いつまでも実体のない夢を追ってボヘミアン気取りだと、ロクな目にあわない」というメッセージを感じてしまうのは、私がヒネクレモノだからですね(ちなみにノワちゃんの方はラストで落涙していた)。最近は「ばしゃ馬さんとビッグマウス」みたいに夢をあきらめる方に美学を感じてしまうのもあるかもしれませんね。



オペラ

白亜の壁に金の装飾がほどこされたロビー。




オペラ4

こじんまりとした作りなのがまたイイ。


オペラ2

壁収納フェチの心をキャッチしたパンフレット差し。



オペラ5

休憩所にあった壁から彫刻。
フレビチキ(オープンサンド)は一皿40コルナ(@200円)で、これが意外と美味しかった。急いで食べたので写真ナシ。



オペラ6

桟敷席の豪勢さに圧倒される。


オペラ16

後部座席の屋根もこの通り。



オペラ7

上を見上げるとシャンデリア。天井の装飾も隙間がないくらいに凝らされている。
義理の母マミンカはシャンデリアが落下する恐怖症で、劇場などではシャンデリアの真下に座ることはないそう。


オペラ8

桟敷席はプライベート感たっぷり。
ひとつひとつに鏡が付いていて、それがまたゴージャス!


オペラ9

彫刻も付いてます!



オペラ24

下から見上げてもゴージャス、全方位。



オペラ19

いつか桟敷席で見てみたいのう・・・。
オペラは全編イタリア語なんですが、舞台の上にチェコ語と英語の字幕が出るようになっています。長文だと結構読むのが大変!で、字幕が舞台よりかなり上の方にあるので字幕読んで、視線を下に移動して舞台見て・・・と結構忙しかったです。やっぱりあらかじめストーリーを頭に入れておいてヨカッタ。みんなイタリア語を話している(歌っている)けど、ブレ様によるとキャストはチェコ人やロシア人が多いのだそうです。

そして終演後、なんとブレ様が私達をバックステージとオーケストラピットに連れて行ってくれました!舞台は思ったよりも全然奥行きがあって、とっても広い!!(当たり前だけど)大道具さんがバラしの真っ最中でした。私は学生時代、演劇部員だったのでなんだか懐かしい感じも・・・。舞台がはねた後の独特な雰囲気、いいんですよね。セットの木材の匂いが漂っていたりして、それもいとおかし。そしてオーケストラピットも意外と広かった!桟敷席の高いところに座ると伴奏者が見えるようになってるんですね。


裏オペラ22

オーケストラピットから見た客席。



裏オペラ23

譜面台には「ラ・ボエーム」の楽譜が立てかけてありました。



裏オペラ11

バックステージにある出演者、関係者用バーにも連れて行ってくれました。
なんか芸術の香りがします・・・。


裏オペラ12

既に扮装をといた役者さんが仲間と祝杯を上げたりしていました。



オペラ24

おまけ:誰もいなくなった客席に座る筆者。
ノワちゃん、ブレ様、素敵な一夜をありがとう!



CREA Traveller Unforgettable Praha 偉大なる王を戴く王国へ 泣かせるプラハ 幻想のプラハ城巡り 美しい旋律が響く四大劇場 旧市街ラビリンスを探検 悪魔の水路からカンパ島へ 文豪が愛したスタラー・フチの森 最旬・可愛い雑貨&カフェ (表紙キャプション)  

プラハに刻まれた記憶を巡る旅 プラハの夜は音楽とともに更ける ボヘミアの森の温泉リゾート 素顔のカフカ ちょこちょこチェコ案内 チェコ雑貨に夢中 プラハ郊外の小さな町へ (目次より引用)

クレア・トラベラーシリーズのプラハ特集は、とにかく写真が綺麗で雰囲気たっぷり。非常に美しいプラハの街並を眺めているだけでも楽しいです。王道の観光名所に加えて、劇場や音楽ホールの情報もあるので本場のクラシックコンサートやバレエ、オペラを観たいという人にはおすすめです。もちろんおしゃれなレストランやショップ情報も。電子書籍ならスマートフォンやタブレットに入れて持ち歩けるからラクチンですね。

『二十四時間の情事』知的な反戦映画のよう

                             



語学学校で同級生だったチアキ(仮名)から日本関連の映画が上映されると聞いて、行って来ました。アラン・レネ監督の追悼上映の中の一本です。原題は「ヒロシマ モナムール」。タイトルとおぼろげな内容(ヒロシマで日本人男性とフランス人女性が恋に落ちる)だけは知っていましたが、まあ有名な作品だし観ておこうかと・・・・。脚本は「愛人」でおなじみのマルグリット・デュラスです。

予告編↓





感想としては・・・ヒロシマ(男)とヌヴェール(女)、それぞれ戦争によって愛するものと引き裂かれたトラウマを持つ二人(二つの街)が、自身の体験談を共有し傷を分かち合い愛し合うことで前を見ようと試みる、知的な反戦映画なんだな~といったところです。男を演じるのは岡田英次、女はエマニエル・リヴァでどちらも役名がついていないことからもそのように意識する方向に持って行っているのでしょう。

映画の仕事(女優?)としてヒロシマにやって来たフランス女は滞在先のホテルで日本男と関係を持ちます。「君はヒロシマで何も見なかった」という男に女はヒロシマで見たものを説明します。原爆資料博物館の展示、フィルムに収められた原爆投下直後の被爆者の姿 、川、etc....しかし男は「君はヒロシマで何も見なかった」と繰り返します。その間に情事をする二人の背中や腕が映されるのでした。「あ~、なんか難しそうな映画だなあ・・・」と私の心の中は薄曇り。私は日本人ですがヒロシマには行ったことがないし、被爆者の映像は初見。あ~、ヒロシマとは言わずともせめてナガサキ(九州に住んでいたことがあるので)は見ておくべきだった・・・と後悔するのでした。

二人は情事をしていますが出会ったばかりのよう。女は映画のロケでヒロシマにやってきた女優で、男は建築関係または政治関係(だからフランス語が話せる)のようです。出会ったばかりなのにしばらく付き合っていたような安定感を見せる二人。とても自然です。いや~、しかし岡田英次は美人なフランス女と並んでも全然ひけを取らないイケメンです。イケメンっていうのも軽く聞こえるので、ハンサムで教養のある(そしてレディーファーストという概念も持っている)日本人男性といったところでしょうか。フランス女が夢中になるのも納得のキャスティングだと思います。59年の映画なんですが、こんな男優さんもいたんですねえ。いや~知りませんでした。

普通のラブストーリーとして見ると、やっぱりお互いに似た様なトラウマを抱えていると共感度がグっとあがるんでしょうね。喫茶「どーむ」(原爆ドームから取られたネーミングであることは明らか。ちなみに原爆ドームを設計したのはチェコ人のヤン・レッツェルで、原爆投下前はセセッション風の建物だったらしい)にて、二人はビールを飲みながら昔の話をします。女はヌヴーというフランスの寒村出身で、ドイツ兵と初めての恋に落ちて逢い引きを繰り返していました。ところが戦局が変わるとドイツ兵は村人から殺されてしまい、気が狂った彼女は地下室に閉じ込められてしまうのでした。

彼女の話も充分悲しいけど、やはり罪のない数多の命を一瞬にして奪った原爆と比べてしまうと・・・ですね。Wikiによると直接の当事者ではないフランス人がどこまでヒロシマの悲劇を理解することが出来るのかということがテーマになっているんだそうです。ヒロシマの化身のような存在の岡田英次と同様のトラウマ体験で理解し合い、愛し合うことでヒロシマを理解するという風に解釈したんですが、うーん、やっぱり愛・・・という落としどころになるんですねえ。でも、愛ってなんだ?と考え始めるとまた難しくなってしまいそう。私の脳のHDはもう領域がないため、この辺で思考停止したいと思います・・・。

明日フランスに帰らなきゃならないという時間の制約が効いてましたね。しかし広島から東京に列車で行くのも大変そうだなあ〜。駅の待合室でおばあさん(漫画に出て来る様な着物を着た田舎のおばあさん)を挟んで二人が座っているシーンがなんだか可笑しいです。おばあさんが「この人(フランス女のこと)、おとこのひとなのかね?」と岡田英次に聞くんですが、そんなわけないじゃん(笑)。「いいえ、フランス人です。僕は彼女を愛しているんですが、もうすぐ彼女はフランスに帰らなければならないんです」と岡田英次。その後、女は夜の街を彷徨います(結局、列車には乗らなかった)。男は「ヒロシマで、僕と一緒にいてくれ」と言います。「あなたはヒロシマなのね」「僕はヒロシマだ」「私はヌヴェール」「君はヌヴェールだ」このセリフから二人はお互いの街を体現した存在であることが示唆されます。そしてFIN。

うーん、難しかったなあ〜。セリフがすべて理解出来たわけでもないし、私にはちょっとポカーンな映画でもありました。それに私は例の通りで、わりとクダラナイ部分がひっかかったりしてて、岡田英次って地元に住んでて奥さんもいるのに喫茶店であんなに女性(しかも目立つ美人な外国人女性)と親密にしてて大丈夫なんだろうか・・・田舎だし噂に尾ひれがついて駆け巡るのでは?とヒヤヒヤしてました(そういうリアリティーラインを気にする映画ではない!)。一方、チアキはフランス女が泊まっているホテルのドアノブの位置が高過ぎやしないかと思っていたんだそうです(笑)。予告編でも映ってるけど、確かに変な位置にあったのでした。

しかし邦題がよく考えるとぶっ飛んでますね。24時間の情事って・・・それって耐久レースみたいな?と中学生男子のようなことを考えてしまうのでした(おそらく二人が知り合ってから@24時間の出来事を描いてるからってことだと思います)。あと脚本がデュラスだからといって「ラマン」な映画だと期待してはダメです。ははは・・・。

『シャーロック・ホームズの冒険』シャーロッキアンへのヴァレンタイン・プレゼント(byスティーヴン・モファット「SHERLOCK」プロデューサー/脚本家)

        


邦題はグラナダTV制作、ジェレミー・ブレット主演のドラマと同じなんですが、1970年制作のアメリカ映画です。原題は「The Private Life of Sherlock Holmes」。私はこの映画のノベライズを高校生くらいのときに読んだことがありました(今も実家にあるはず)。ノベライズは「シャーロック・ホームズの優雅な生活」というタイトルになっていて創元推理文庫から出てましたね。優雅な生活・・・なんか面白そう!それにカバーの絵が上のものと同じで、エンターテイメントっぽいところが気になって買ったのだと思います。半裸のセクシーな女性のカットも、なんだかワクワクさせられるではないですか!ちなみに映画のノベライズだということは後から知りました。その昔に映画も一度観ていたんですが、もう忘却の彼方だったので再度鑑賞してみることにしました。




↓これが予告編。にもかかわらず、かなりネタバレしているけど、いいのだろうか・・・。




※ここから小ネタバレしますが、ラストの大ネタには触れません。しかし 、まっさらで鑑賞したい方はご・注・意!




いや~、ぶっとびましたね~。だって、聖典ではダイレクトにセクシャルな描写ってないじゃないですか(当時の倫理観等ではそのようなことを書けなかった為、裏に隠された意味を研究している本などはあります)。だから、このパスティーシュを読んで「マージーでー?!」って嬉しい喜びを押さえきれなかったことを昨日のことのように思い出しますよ。パスティーシュと呼ばれる贋作小説の類は読んだことがあったのですが、聖典の雰囲気をそのままなぞった本格派のばかりだったんですね。だからこの自由過ぎるパスティーシュには本当に驚かされたんです。まず嬉しい驚きは最初の章からいきなりやって来ます。ホームズがロシアのプリマドンナに子種くれ!って言われたり(頭のいい子を生みたいからだそうだ。まあわからないでもないが・・・)!それを断る為にホームズが実はワトソンくんと「実に楽しい独身男同士の5年間の共同生活」を送って来たと言ったり!うっひゃー!と目ん玉が落ちそうになるくらい飛ばしてるんですよ。あー、やっぱりこういう二次創作ってあるんだ・・・私独りが妄想してるだけじゃないのね・・・って暖かいものがジョワ~っと胸の中に広がったのでした。

しかしそれは序章に過ぎなかったのです。後の章ではホームズが謎の依頼人美女からいきなり全裸で迫られたり、その美女が全裸のままホームズのベッドでしどけなく寝てるのをワトソンくんとハドソンさんに見られて勘違いされ、「彼女の身体は実に興味深かったよ(実は転写されたインクが付いている手のひらのことなんだけど)」とホームズがサラっと答えちゃったり。キャー!!!いやーっ!!!マジでーっ!!!とウブなJKシャーロッキアンには心臓がバクバクするような豪速球をどんどん投げこんで来るんです。なんかツボわかってる!この作者、ツボがわかってるよ・・・!と感激したのでした。ノベライズは別の人ですが、原案と脚本はあの有名なビリー・ワイルダー監督。「サンセット大通り」、「麗しのサブリナ」、「7年目の浮気」、「アパートの鍵貸します」など往年のハリウッドの名作をガンガン撮ったすごい人。実は監督もシャーロッキアンだったんですねえ。

それにBBC制作、ベネディクト・カンバーバッチ主演「SHERLOCK」っぽいところもいくつかあって、「ああ絶対『SHERLOCK』の制作者の人はコレ見てるな・・・」って思ったんですね。実際にシャーロックに会った人が「思ったより小さい」って言うのとか、独身男のルームシェア=ゲイ同棲説だとか、シャーロックの前に美女がいきなり全裸で現れるとか、その美女が彼のベッドで勝手に寝てるとか、その美女がらみの事件でマイクロフトに「弟よ、お前は騙されてたんだよ」と諭されてしまうところとか・・・。で、この映画を観た後に以前買った「シャーロック・ホームズ映像読本」を紐解いてみると・・・アッサリその通りだと書いてありました。せっかくですので、「SHERLOCK」プロデューサーのモファット氏のコメントをここに引用させて頂きます。


「我々の大のお気に入りは、ビリー・ワイルダーの映画『シャーロック・ホームズの冒険』(70)です。コメディですが、まさにシャーロック・ホームズファンにとってヴァレンタインのプレゼントみたいなものです。ホームズへの愛で一杯だ。これまで作られた中で、最高のシャーロック・ホームズ映画です。さらに、コメディであるが故に、かえって原作のことがよく分かるんです」
ースティーヴン・モファット 洋泉社「シャーロック・ホームズ映像読本」P.116 /L1.-11.


んも~、モファット氏大絶賛じゃないですか!しかも「シャーロック」シーズン2の「ヴェルグレービアの醜聞」のラストシーン(アイリーンが外国で処刑されたという訃報をマクロフトが運んで来る)はこの映画へのオマージュなんだとか(さらに「シャーロック」ではそれにひとヒネリ加えられています)。やっぱり、やっぱり~。ということで、多くのシャーロッキアンが絶賛するこの映画の感想、行ってみましょう!



※ここから本格的にネタバレします。



ホームズの死後50年が経過し、公開された新たな冒険譚・・・。それは、彼の私生活にかかわる内容であるため今まで秘されていたものだった・・・というプロローグ。タイトルロールにのせて銀行に保管されてあ ったホームズの私物ボックスが開けられ、思い出の品が次々と取り出されます。ディアストーカー、パイプ、、拡大鏡、注射針 、221Bのプレート etc・・・あまりにもベタといえばベタな品々ですが、もうこれだけでファンだったら5億点出しちゃうところでしょう。こういった小物類だけで「ああホームズね」ってわかるのもキャラが立ってる証拠なのです。

221Bの居間で面白い事件がない!とコカインを打ったりして退屈をしのいでいるホームズ(ロバート・スティーブンス)にワトソンくん(コリン・ブレークリー)が「白鳥の湖」のチケットをもらったから行こう、と彼を劇場に連れ出します。両俳優さんもこの映画で初めましてなんですが、ロバート・スティーブンスはうーん、はっきり言って私のホームズ像とイメージが全然違う・・・ホームズって感じはあんまりしません。ヴィクトリア時代の紳士風なのは同意なんだけど、もっと若くてイケメンがよかった・・・。なんだかスティーブンスさんは年期の入った トーキー映画の俳優っぽいんですよね。ワトソンくんは、みんなが想像するちょっぴりお茶目なおじさまで同意。この映画ではホームズからおホモだちにされるし、下僕役にされちゃうしで可哀相です。初めて観た時は真剣に観ちゃったけど、この映画はモファット氏が言ってるようにかなりコメディーなんですね。「ププッ!」と笑っちゃうやりとりもタップリあるんです。

バレエを観た後でロシアのプリマドンナ、ペトロヴァの控え室にホームズだけ呼ばれます(ワトソンくんは若いバレリーナたちから接待)。ペトロヴァさんはバレリーナを引退し、これから子育てをしたいとのこと。「それは結構ですな」とホームズは言いますが「英国一の頭脳を持つあなたに子供の父親になって頂きたいのです。ストラディバリウス を差し上げますからベニスに1週間一緒に旅行しましょう」と言われてしまいます(笑)。あまりのオファーに困惑してしまうホームズ(ここは、もっと萌える感じにして頂きたかった)。するとそこへ酔っぱらったワトソンくんが「◯◯◯ってロシア語どういう意味?」と顔を出します。それでひらめいちゃったホームズはゲイ同棲をでっち上げるのでした。これ・・・こんなこと言っちゃって大丈夫なのかな・・・?とおせっかいながら今後の二人の評判が心配に。だってホームズを演じるスティーブンスが見ようによっては年期の入ったゲイにしか見えないんですよ。彼のセリフ回しもゲイぽいし。その噂はパーティー会場にあっちゅーまに広がり、ワトソンくんのまわりには男色のバレエダンサーたちがクネクネと寄ってくるのでした(笑)。

ことの顛末を知って怒り心頭で221Bに帰って来るワトソンくん。案の定ケンカ(てか痴話ゲンカ?)になってしまうのでした。そりゃそうだ。ワトソンくんの立場に立ってみればな~。「もう一緒に住んでられない!同居は解消!てか女性と結婚しろよ!」とまくしたてるワトソンくん。そしてハッと気付いたように「君の今までの人生で、女性を愛したことがあるのかい・・・?」と聞くワトソンくん。「あるよ」と即答するホームズ。なんかここも妙にドキドキさせられてしまいます!!!聖典では一度も恋愛したことないってなってるんですけど・・・。でも聖典ホームズは恋愛感情に振り回されると推理に支障をきたす、みたいなことを言ってる ので恋愛時の制御出来ない感情とかは知ってると思うんですよね~。まあホームズの恋愛に関しては諸説あるのですが。と、いうことでロシアのバレリーナ編はここで終わります。このチャプターは子種おねだり、同性愛、ホームズと女性という超過激なトピックをぶっ込むためにあるようなものですね・・・(汗)。だが、それがいい。

次のチャプターが冒険編です。221Bに謎のびしょ濡れ美女(ジュヌヴィエーヴ・パージュ。「昼顔」でドヌーヴ様が所属してる置屋の女将役をやっていた女優さん)が運ばれて来ます。彼女はテムズ川で溺れていた所を通りがかりの御者に助けられ、221Bの住所を持っていたので運ばれて来たのでした。その美女は記憶喪失らしく、何もわからないと繰り返すだけなのでした。うーむ、この出だしはドラマチックですねえ~。服や靴から彼女がガブリエルというベルギー人であり既婚者だということを推理するホームズ。しかし錯乱した彼女にこれ以上質問は出来ないということで、取りあえずワトソンくんの寝室に寝かすことに(ワトソンくんはカウチで就寝)。明け方、起きていたホームズのところに謎の美女ガブリエルが全裸のままやってきます。全裸美女キター!!!彼女は寝ぼけていて、ホームズを夫だと勘違いしているようです。手がかりを引き出す為に夫のふりをして彼女に話を合わせるホームズ(さすが)。彼女は「あなた、来て、早く・・・」とベッドに横たわります。全裸美女からのお誘いキター!!!しかしホームズは彼女の手 のひらに「301」 という文字が転写されているのに気が付いたのでした。

ジュヌヴィエーヴ・パージュがまたエロいのがいいですね~。もちろんヌードだということがわかる程度のカメラワークにおさまっていますが(細かいけど、何故ベルギー人の夫と英語で会話するのだろうか)。最初みたときは全裸美女のインパクトで色々吹っ飛んでしまったんですが、リプレイしてみるとホームズが彼女を見た時に「ハッ」とした顔をした後、平常心で夫のふりをしたりする表情の小技演技が効いています。彼女に抱きしめられて実に微妙な表情をするのもいいですね。とりあえず本作の中では恋愛経験があるってカミングアウトしてるホームズなんですけど、なんか色々複雑だろうな~と心中をお察しするわけですよ。ホームズが美しいガブリエルに魅了されているようにも見えるんですよね。

翌朝、カウチで目覚めたワトソンくんは背中が痛いのでハドソン夫人にヒザで背中を押してもらいます(笑)。そういえば彼女は?ホームズはどこにいった?ということでホームズの寝室を開けると、ガブリエルが裸で寝ているんですよ。「・・・!」と顔を見合わせるワトソンくんとハドソン夫人(爆)!「あ、あいつ・・・困っている依頼人に早々と手を出したんだな・・・」と勘違いするのです。そこへ絶妙なタイミングで爽やかにホームズがご帰宅。また同性愛のときのようにホームズに食って掛かるワトソンくん。しかしホームズはしれっと「その通り。彼女の身体は実に興味深かったよ」と言います(てかホームズ、わざと言ってるだろw)。 身体っていうのは手のひらのことで「301」の番号はラゲッジタグの番号だったんです。ホームズは駅へ行って彼女のラゲッジを取ってきたんですね。ラゲッジを開けるとガブリエルが言っていた通りピンクのマリブフェザーがついたネグリジェが入っていました(しかし欧米のネグリジェってセクシーなのが多いよなあ)。

目覚めたガブリエルに荷物を見せると、自分が誰だったのか思い出したようです。彼女はイギリスで行方不明になった鉱山技師の夫探しを依頼するためにやってきたのでした(その途中で誰かに襲われて川で溺れそうになった)。夫が雇われていた会社の住所に行ってみると、ボロい空き家になっていて大きな鳥かごの中にカナリヤが沢山飼われていました。カナリヤのカゴに敷かれていた地方紙がスコットランドのものだったことから、そっち方面の事件だと目星をつけるホームズ。ここでコメディっぽいところは空き家のドアが引き戸になっていて、引き戸と壁の隙間に大人三人が隠れられるスペースがあったってことですかね(笑)。かさばるガブリエルの広がったスカートも収納出来るんだからかなり広いです。そうそう、空き家に上の方から侵入するんですが先に降りたホームズがガブリエルを受け止めるんですけど、彼女を下ろすときに一瞬見つめ合うんですよ。ここもちょっと切ない感じになってました。

彼らが空き家にいる間に、手紙が配達されます。それはマイクロフトから弟にあてた手紙でした。手紙には「ディオゲネスクラブで待っている。私の計算が正しければ今は11時40分のはずだ」とあり、ワトソンくんが時計をみると11時43分でした。「マイクロフトの計算は間違いないはずだから、君の時計を直した方がいいね」というホームズなのでした。う~ん、この下りもイイ!マイクロフトの卓越した機械人間ぽさが出てます。マイクロフト役はクリストファー・リー。長いキャリアを持つベテラン俳優で「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのサルマン役で知られています。Wikiによると90歳を越してご存命。彼はこの映画の前に別の作品でホームズを演じていており、マイクロフトとシャーロックどちらも演じた俳優なんだそうです。しかしグラナダにしろBBCにしろ本作にしろ映像作品になると兄弟なのにビジュアル系統が全然違うのが浮き彫りになりますね。マイクロフトからは国家機密に関わることだから、ベルギー人技師の捜索から手を引くようにと言われてしまうのでした。

しかしこれで手を引くわけありませんね。ホームズはワトソンくんとガブリエルと三人でスコットランドに向かいます。アシュダウン夫妻とその下僕という設定で・・・(笑)。もちろん前述した通り下僕になるのがワトソンくんです。ここでガブリエルが怪しい動きを見せます。荷造りのふりをして221Bの窓から日傘をパタパタと開け閉めします。外にはそれを見ている怪しい1人の紳士が・・・。ここで彼女は普通の依頼人ではないということが観客に明かされるのでした。インヴァネスへ行く夜行列車に乗った三人、”アシュダウン夫妻”は寝台車、ワトソンくんは二等車です。寝台車でワトソンくんからもらったストランドマガジンを読むガブリエルは、ホームズが過去に発言した女性観を音読します。「女性というものは信用できない。どんなに有能な女性であっても」・・・これは聖典「四つの署名」でホームズが言ったことです。このセリフが本作の伏線にもなっているかのようですね。ここでホームズがバイオリンの先生の娘と婚約していたことと、その彼女が挙式の前にインフルエンザで死んでしまったというオリジナルエピソードが語られます。プリマドンナ編で「(女性を愛したことが)あるよ」と言っていたのはこれだったんですね。だから女性は信用できないんだ・・・とホームズは語るのでした(笑)。確かノベライズだと、この後ホームズがガブリエルとかなりイイ雰囲気になる描写が書かれていた様な・・・気がするんですけど、本が手元にないんで確認出来ず。

翌朝インヴァネスについた三人はホームズが空き家で見た地名の場所へ行きますが、そこは墓地でした。大人の棺と子供の棺が二つ運ばれて来て埋葬されています。遺族や友達は誰も来ておらず、花もない。墓堀人夫によるとネス湖で転覆したボートに乗っていた父親と子供二人だということでした。ネス湖にはモンスターがいるから近寄らない方がいい、と警告されるホームズたち。ネス湖のネッシー伝説は日本でも有名ですね。子供の頃に読んだ不思議図鑑に写真が載っていて「本当にいるんだ・・・」と怖かったのを覚えています。この映画はそのネッシー伝説をカモフラージュとして使っていて、なかなかうまいですね。さすがビリー・ワイルダー監督。

その後、埋められたばかりの墓の前へ小人たち(英語でmidgets)がやってきてお祈りをします。彼らはホームズが以前依頼されて断った案件のサーカス団から行方不明になった軽業師なのでした(ここ、ちょっと都合良くリンクしすぎだけども。前半で出て来た小さい事件が伏線になっているパターンは「SHERLOCK」でもよく見ますね)。六人の軽業師が行方不明になって、墓の前にいるのは四人だけ・・・小さい二つの棺桶は彼らの兄弟。では大きい棺桶には・・・掘り返してみると、行方不明になっていたガブリエルの夫が入っていたのでした。彼の棺には死んだカナリアが三羽おさめられていました。泣き叫ぶガブリエル。どうやらこの事件はただの行方不明事件ではないようです・・・。

ホテルに帰り、技師の夫の指輪とガブリエルの指輪を見比べるホームズ。金属の変色から夫の死因が溺死ではないらしいと推理するホームズですが、ガブリエルは泣いているのに無神経過ぎる。ここもホームズぽいちゃぽいですけど・・・。「ご主人の死の真実を突き止めるのに泣いていてばかりではダメです」と言うホームズ。正論はわかるけども、もうちょっとデリカシーが欲しいところです。銅が緑に変わっているので、化学変化で有毒なガスが発生したのが死因というホームズ。カナリヤは有毒なガスを探知する能力があるので、夫は何かを掘削していたのではないかという推理です。ホテルの窓から見える湖にネッシーを見たというワトソンくんは大騒ぎ。「想像力のせいだよ。論理的になりたまえ」と言うホームズに「いつも想像力を使えって言ってるのは誰なんだよ!」と反撃するワトソンくん。ここはよく言った!という感じでクスっと笑みが漏れてしまうところでした。

三人はガスを掘っている拠点と思われるめぼしい城をまわり、捜査を続けます。その途中、ワトソンくんは夜行列車で会った修道士たちに再び会うのですが、その修道士のうちの一人が221Bの外でガブリエルの日傘暗号を読んでいた男だったのでした。三人は修復途中の城を見付けますが、ただの歴史的な修復にしてはセキュリティーが厚い。そして城の中にはカナリアの箱が運ばれていました。しかし地元の男達に追い払われてしまい内部を伺うことは出来ず。明らかに怪しいですね~!その後、ボートでネス湖から城にアプローチすることにしますが、霧のネス湖で彼らが遭遇したのは・・・ネッシーでした!もとい、ネッシーの首をつけた潜水艦(当時はまだ開発途中だったので、ホームズは潜水艦ではなく機械仕掛けの何かだと思っていた)だったのです。一体、誰が何の為に・・・?と謎が深まった頃、宿にアシュダウン氏宛てではなくホームズ氏宛てのシャンペン付きお迎えの馬車が。

既に身元が割れていたんですね。向かった先は例の城でレッドカーペットが敷かれていました。「アシュダウン氏」とマイクロフトが登場。もうお兄ちゃんにはかなわないって感じがしますね!英国当局は軍事目的の潜水艦「ジョナ」を極秘で開発中だったのでした。ネッシーをカモフラージュにして人々を遠ざけていたのです。ガブリエルの夫は技師として働いていましたが、試運転のとき事故でアクロバットの小人(狭い潜水艦の中に適しているという理由)と共に死んでしまったのです。だから彼らは秘密裏に埋葬されたんですね。そこまではまだ想定内・・・。さらに衝撃の事実がマイクロフトから告げられます。ガブリエルは英国と敵対するドイツのスパイで、ドイツ当局はホームズを使って英国潜水艦開発の場所を突き止めようとしていたのでした!!!本当のガブリエルはドイツ当局に殺され、エージェントのイルザ・フォン・ホフマンスタールに成り代わられていたのでした・・・。ガブリエルはスパイの女だったのです!だ、だ、だまされていた・・・ホームズショック!ここのマイクロフトとホームズのやり取りは非常に「SHERLOCK」のアイリーン・アドラーの回ぽいです(テレビのマイクロフトの方がより辛辣だけど)。

レッドカーペットは視察に訪れた女王陛下のためのセッティングでした。ホームズが女王陛下に紹介されたときに陛下から「もうあのキスのお相手と婚約なさったの?」みたいなことを聞かれていましたが・・・これってホームズが婚約詐欺をした「犯人は二人」のことなんでしょうか・・・でも後続する会話と全然噛み合ない・・・。おかしいな〜と思ってDVDで何回かその部分を聞き直したのですが、どうやら私の耳がバカだったようです。陛下は Are you engaged in one of your fascinating cases in the moment? と言っていたので「今何か面白い事件を捜査してらっしゃるの?」と言っているようなのでした。私には fascinating cases (面白い事件)が、fascinating kisser (魅惑的なキスの相手)に聞こえてしまったのです。be engaged in (従事する)be engaged with (婚約する)で熟語も意味が違うことに気が付いておらず・・・。ああ、私のバカバカ!もう耳から色ボケになっちゃってるみたいです。更に「いつ、ドクターワトソンはこの事件のことをお書きになるのかしら?」と陛下から聞かれますが、「この事件は失敗談なので、出版はされないと思います」と答えるホームズなのでした(笑)。

しかしマクロフトが自信満々で潜水艦をプレゼンテーションしたにもかかわらず「水面下からこっそり敵を攻撃するための道具なんてイギリス紳士の名に恥じると思わないのですか!」と陛下からアッサリ却下されてしまいます(笑)。「やれやれ、我々二人とも女性にしてやられたな」と弟。かなりコミカルなシーンですが、潜水艦開発で犠牲になった人もいるので不謹慎っちゃ不謹慎ですよ。転んでもただでは起きないマイクロフトは「この潜水艦にドイツのエージェントを載せて爆破させちゃおう」と鬼畜なことを言うのでした(汗)。「どうやって?」と聞くホームズ「お前とフロイライン・ホフマンスタールの親密な関係を利用させてもらうよ」と笑うマイクロフト。やはりお兄ちゃんにはかなわない・・・。

ホテルに帰ったホームズはしばし思案して、ガブリエルを起こします。窓の外には例の修道士たちが見えます(日傘暗号待ち)。「『城の下』とはドイツ語でどう言うんだね?」と彼女に聞くホームズ。「さあ、ドイツ語はよくわからないわ」という彼女に「君の友達が外で待っているんだがね、冷えるといけないから早く教えてあげた方が良いんじゃないかね、フロイライン・ホフマンスタール」と告げるのでした。モールス信号になっている暗号を日傘で送るホームズ。身元がバレたガブリエル、もといイルザは、もうわざとらしい仏語訛りをやめてドイツ語訛りになっています。訛りフェチとしてはなかなかグっときますね。ここでなにもかも明るみに出た上での探偵と女スパイの会話が、異業種ではあるけれども同じカタギでない世界に身を置く者同士の独特な連帯感というのかなあ〜お互いの実力を認め合っている感じがしていいんですよね。

ワトソンくんが「またネッシーが出た!」とやってきます。双眼鏡で見てみるとネッシーは水中で爆発し、水面に聖書が浮かんでくるのでした。「ジョナ(三日三晩魚のお腹の中にいた聖書の人物)の中で死ぬとは修道士にぴったりの最後だね」と鬼畜発言のホームズなのだった。事件の顛末がワトソンくんにだけ明かされないのが効いてます。マイクロフトがイルザを迎えにやって来ました。彼女はスイスとドイツの国境で イギリスのエージェントと交換されるということです。逮捕されると思っていたのに予想外の好条件に驚くイルザ。「これは弟のアイディアでね」とマイクロフト。ここでホームズがまた微妙に切ない表情をするんですよね~、切ない・・・。見つめ合うホームズとイルザ。何それ?今初めて聞くんですけど・・・?というワトソンくん。このシーンはもう最高ですね。また音楽がいいんだ。チャララ~ラ、ラ~♪ってメロディーが哀愁とムードタップリで、ロマンチックなシーンになるとかかるんですよ(音楽は「ベン・ハー」でオスカー作曲賞を受賞したミクロス・ローザ)。女に惚れそうになって出し抜かれて、でも助けてやって・・・って切ないのう、切ないのう!

一部始終を見ていたワトソンくん。「ホームズ、説明したくなかったらしなくていいよ。でもさ、これストランド誌に書かないと・・・ドイツのスパイの事件なんだから!」しかし実に切ない表情で去って行く馬車を窓から見送るホームズの横顔を見て、「あっ、でもさ、ストランドに書かないって約束するから、友達として、今回の事件のこと教えてくれないかな・・・?」とうるさいワトソンくんに、「静かに。私的なメッセージを読もうとしているのから」というホームズ。イルザは日傘のモールス信号で「アウフ、ビーターゼン・・・」と送るのでした。このシーンのジュヌヴィエーヴ・パージュの表情もなんとも言えず、いいですね~。一切の感情を排した冷たい女スパイの顔になってるんですが、それでもホームズへの想いが滲んでいる表情なんですよねえ・・・。いやお上手。

こうして事件は終わりいつもの221Bの日常になるんですが、ホームズとワトソンくんが朝ご飯を食べているとマイクロフトから手紙が来るんですよ。その手紙には、イルザが諜報活動をしていた日本のヨコハマで逮捕され秘密裏に処刑されたということが書いてあったのでした。彼女は日本でアシュダウン夫人という偽名を使っていたとも・・・。ショックを受けるホームズ。「ワトソンくん、あれはどこだね?」と訪ねます。コカインですよ。あれだけ健康に悪いからと反対していたワトソンくんですが、隠し場所(本の背表紙がカバンになっていた!)を教えます。「隠すの、上手くなったね」と言って注射針を手に自室へ消えるホームズ。ワトソンくんは机に向かい、このストーリーを執筆し始めるのでした。終わり・・・・。

いや〜、ドイツの美貌の女スパイとの淡い恋・・・切ないです。DVDをおさらいすると、最初の私物ボックスオープンシーンで楽譜があることに気が付きました。そこには「イルザ・フォン・Hに捧ぐ シャーロック・ホームズ作曲」と書いてあるんですね〜。ううう・・・。懐中時計の中には彼女のポートレイトが入っているんです(最初見たときはアイリーン・アドラーかと思ってた)。いや〜ん、こんなロマンチックストーリーだったとは・・・。原題のプライベートライフってこういうことだったのね〜。モファット氏がコメントしているように、まるでシャーロッキアンへのヴァレンタインギフトですよ!!!こんなロマンスなパスティーシュを作ったワイルダー監督凄いです。なんか私達に不足しているものをかなり甘くウェルメイドに仕上げて投入してくれた感があります。なんと構想10年らしい。そして制作費が36億円(!!!)らしいです。でもって元々はかなりの長尺だったようなんですね。でも今でも2時間5分くらいで充分長いんですけども。長いんですけど非常によく出来てるので、そりゃもうあっという間。もっと色んなエピソードちょうだい!ちょうだいよ!って欲しがってしまいます(日本で出てるDVDにはカット部分の一部が特典映像がついているらしい)。

ただ、やっぱりロバート・スティーブンスのホームズがどうも私は合わないような気がする・・・。演技は超絶に上手なんですけど、前述したようになんか微妙にカマっぽいんですよね。あ〜、もしも、もしもこの映画の主演がジェレミー・ブレットだったら私、もう萌え萌え萌え死んでるかも・・・。ハア〜(ため息)・・・。ノベライズもかなりよく書かれていて、想像力次第では脳内映画上映も出来そうなくらい。なので、小説もおすすめです。あなたの頭の中だったらジェレミーだってベネ様だってキャスティング可能。人間の想像力は無限大なのですから・・・。


『X-MEN: フューチャー&パスト』みんな仲良く!

                                             



遅ればせながら観ました!新作を観る前に友人IからもらったDVDで旧作の復習・・・。「X-MEN2」「X-MEN: ファイナル ディシジョン」「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」(感想は割愛)を観て、飛行機の中で「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」も復習しました。X-MENのシリーズって2以降の続編がナンバリングされてないから一体どの順番通りに並んでるのかイマイチよくわからない!だからWikipediaで順番を調べて観ました(笑)。ちなみに第一作と「ウルヴァリン: SAMURAI」は鑑賞済みです。プハーッ、これでX-MENの旧作全部チェックしたぞ!



※ネタバレします。



ということで、最新作なんですが・・・豪華です。ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)が未来から過去へ行くという話なので新旧キャストが大・集・合。ファースト・ジェネレーションでミュータントをスカウトしてまわる若きチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)とエリック(マイケル・ファスベンダー)が、酒場でウルヴァリンに声をかけて「うせろ、ボケが!」って言われる短いシーンがあるじゃないですか。そのとき「ああっ、なんて豪華なの」って思ったけど(私はヒューヒューとおファスにハートを奪われたことがあるので)、今回はこの3ショットが増えてて嬉しかったです 。最近続いていたおファス不足も解決ですよ。 やっぱりおファスはカッコいい・・・。おファスとマカヴォイが袂をわかってから初めて会って、なんか気まずそうなのも「う~ん」と味わい深いんですよね。まあ、おファスは結局裏切っちゃうんだけど!

本作はミスティーク(ジェニファー・ローレンス)というX-MENユニバースにおけるファム・ファタルを巡る話、という印象。ミスティークは旧シリーズにおいてややイロモノ的な扱われ方をしてきたミュータントなんですけも。実は若きプロフェッサーXの妹的存在であり、彼に恋慕を寄せるも叶わないという過去がありました。後のマグニートー(ネーミングはたしかミスティークがしたんだっけ)、エリックと出会いミュータントとしての生き方を考えるようになった彼女はマグニートー派に鞍替え。彼とやったのかやってないのかは知らないけど、とにかくそういう微妙な関係にあったわけですね。そして本作ではエリックとも決別し自らの意志で動くようになったわけです。暗殺もいとわない過激派として・・・。チャールズとエリックが飛行機の中でちょっと辛そうに、気まずそうにミスティークのことを話すシーンがあるんですけど、ここもなんか歴史が滲んでていいですね。そういえばハンク(ニコラス・ホルト)もミスティークと前作ではイイ感じになっていたんでした。う~む、いつものように矮小化して考えるとサークルの委員長から反委員長派に乗り換え、その間に部の会計係とも関係があって部内の人間関係をかき回すだけかき回してサッと退部しちゃった奔放な女子大生みたいだな、ミスティーク・・・。

私は、マカヴォイさんってあんまりピンと来なかったんですよ。彼の主要な作品は見てるんですけどもいつも「ふーん」って感じでした(「つぐない」の演技は素晴らしかった)。でも今回初めてイイかも・・・って思いましたね。お坊ちゃんキャラで理路整然としていたんですけど今回は荒れ果てて、いつもとは違った魅力を感じました。英語も一番聞き取りやすくて綺麗です。マカヴォイさんはプラダの秋冬キャンペーンのモデルもやってますね。しかしなー、しょうがないとはいえマカヴォイ→パトリック・スチュワート、おファス→イアン・マッケランってやっぱ無理ある・・・わかってはいるんだけど、ここのつなぎ目は似てなかっただけにもう一工夫欲しかったかもしれませんね。サー・イアン・マッケランは未来でかなりヨボヨボになっちゃてて、ちょっと心配になってしまいました。取りあえず本作を無事に撮り終えることが出来てヨカッタ・・・みたいな安堵感がありましたね(演技かもしれないけど)。サーは新作映画で93歳のシャーロック・ホームズを演じるそうで、こちらも楽しみです。

前述した通り一気に旧作の抜けてる分を見たんですが、本作は「X-MEN: ファイナル ディシジョン」と「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」のおまとめローンならぬ、おまとめ続編だということ。うーんワールドがパラレルになってて、正直おバカな私はついてくのが大変で「え?え?」となってしまう部分も・・・(恥)。ファイナルディシジョンでプロフェッサーXは死亡(でもおまけ映像では生きてた)、マグニートはミュータント治療ワクチンを何本も打たれたせいで、特殊能力を持たない普通のおじいちゃんに(でもおまけ映像ではちょっとチェスの駒を動かせそうな感じだった)。で、ディストピアな近未来にプロフェッサーXとマグニートが仲直りしているんですけども・・・。う~む、ここは各自が脳内補填をするしかないのでしょうか。ちょっと戸惑ってしまいました。ウルヴァリン映画のおまけシーンでプロフェッサーXとマグニートーが一緒にいたから、もうそれで「そういうことになりましたんで」ってことなんですかね。

結局60年代のミスティークによるセンチネルロボット開発者トラスク( ピーター・ディンクレイジ)暗殺を阻止したことで一端リセットされたから、ファイナルディシジョンでの犠牲等はチャラになっちゃったってことなんですよね。最後の幸福な学園シーンではジーン(ファムケ・ヤンセン)もスコット(ジェームズ・マースデン)もいましたし。しかし前述した二作の続編ってことで、かなり効率のいい方法で話を片付けた感があります。次回作は新メンバー(若年の方)によるものだし、まったくすごいコンテンツですね。X-MENは!ということで、以下箇条書きで感想です。

・荒廃した未来世界、センチネルロボットに押され気味のX-MENですが、ニュージェネレーションのミュータントたちがかなり頑張って食い止めています。中にはファン・ビンビン演じるワープ能力を持つブリンク、オマール・シー演じるエネルギー吸収能力を持つビショップなどが。中国女優のビンビンさんって「バイオハザードV」にも出てなかったっけ・・・と思ったらビンビン違いでした。しかもバイオハザードの感想のときも自分で指摘してるし・・・。こちらのビンビンさんも綺麗ですけど、メイクがすごかったな。セリフが「はいっ!」だけだったけども・・・。オマール・シーは「最強のふたり」にも出てたアフリカ系の人ですが、全然出てるのわかりませんでした。今後に期待?

・未来のウルヴァリンはさすがにちょっと白髪もあったりして老けてます。思えばヒューヒューと出会ったのはX-MENの第一作目でした。このワイルドで渋い男は誰なの?!と思った記憶がありますね。その頃は確か殆ど無名だったんですよね。うーん感無量。正直一作目のときは微妙なキャスティング布陣だな〜って思ったんですけど、その後皆出世してハル・ベリーはオスカー女優になりましたしね。今ではX-MENにキャスティングされることがステイタスな感じもしますよ。ミュータントはみんな個性豊かなんですけど、共通しているのが真面目で清潔感があるところですかね。私生活での異性問題とか借金とか暴言とか逮捕とかのスキャンダルがみんなない。私生活に問題ない系なんですよ!エクスペンダブルズと真逆!優等生な感じがして好感が持てます。あ、ジェニファー・ローレンスはちょっと写真流出事件がありましたけど、ミスティークで全裸仕事してるのでダメージもそこまでないんじゃないかと。

・旧作のウルヴァリンを見て、この人すげー苦労してるんだなあ・・・と不憫に思いました。今、「地獄先生ぬ〜べ〜」に再びハマってるんですがウルヴァリンとぬ〜べ〜ってちょっと似てませんか?!一見ダークヒーローぽい風貌で、毛に特徴があって(ウルヴァリンはヘアスタイル、ぬ〜べ〜は眉毛)、手に特殊能力を持ってて戦闘能力が高いし、生徒思いで生徒たちからも話のわかる先生だと信頼されているし(ウルヴァリンも一応先生ですよね?)、自己犠牲もいとわずに生徒を守る強さと優しさを持っていて、大切な女性を守れなかった過去があるし(ウルヴァリンはジーンとケイラ、ぬ〜べ〜は美奈子先生)、職場で好きな女性がいるが相手にされていない(ウルヴァリンはジーン、ぬ〜べ〜は律子先生)ところが共通点でしょうか?もちろん違うところもいっぱいあるんだけど、なんとなくそう思ってしまいました。

・ウルヴァリンもいいけど、おファスもね!ってことで、初登場のクイックシルバー(エヴァン・ピーターズ)が特殊な独房に投獄されているマグニートーを脱獄させるシーンが超面白かったですね。ストイックな囚人服で独房に投獄中のおファスにも萌えてしまいました(変態?)。このクイックシルバーくん、原作ではマグニートーの息子らしいんですが、そこの処理は今後どうなるんでしょ。とにかく彼の能力がすごい。超超超高速で動くことが出来るんですよ。ピストルを撃って弾丸がモノに当たるまでの刹那が、高速で動く彼には2〜3分くらいの時間になるんです。だからすべての人を出し抜くことが出来るんですね。これってもしかしてミュータント最強の能力なのでは・・・?また彼が生意気盛りの高校生ってところが小気味良いじゃないですか。弾道を味方から外しつつも、ちゃっかりと敵側にイタズラしちゃうところが面白いです。アベンジャーズではクイックシルバー役をアーロン・テイラー・ジョンソンくんが演じるそうです。こちらも楽しみ!

・自らの意志に突き動かされ単独で行動するミスティーク。レイブンのときのジェニファー・ローレンスちゃんは顔がふっくらしてて、まだやっぱり若いな〜って感じがします。ファム・ファタルって言うよりもやっぱり女子大生という感じがしちゃうんですよね。ベトナム語とフランス語を話してましたよ。パリのメトロでマグニートーと話をするシーンがあるんですけど「こんなに近くで君を見るのは久しぶり」って言われてたから、やっぱり恋愛関係にあったんですかねえ・・・。でも悲しいですよ、その男にも消されそうになっちゃうんですから!結局、最後はチャールズの和解に応じてトラスク暗殺をあきらめてくれたミスティーク。いや〜、よかったよかった。チャールズたちの思いをくんでくれたんですね。これでチャールズとミスティークも和解したし、チャールズとエリックも和解の方向へ行くのでしょう、よかったよかった。でも次回作でこの対立構造がなくなるとすると、それはそれで新しいネタ考えないといけないから大変?それともまたパラレルワールド作っちゃえばどうにでもなるっちゃあ、なる?

・映画全体はイイ出来だったと思うんだけど、いまいちセンチネルロボットの驚異みたいなのが伝わってこなくて残念な気もします。未来世界はほぼ暗闇だったから、どれだけヤバいロボットなのかがビジュアル的にちょっとわかりにくかった。開発者トラスクの野望みたいなのも私にはちょっと理解出来ず。俳優さんのインパクトはあったけど彼の動機をもう少し掘り下げてくれればよかったんじゃないかなあ〜。ヤバさで言えば旧作のミュータント能力消去ワクチンの方がずっとリーサルウェポンのように思えます。

・Wikiによると、X-MENの次回作は時系列的に本作の続きで舞台は80年代だとか。そうするとまたチャールズとエリックが仲良しなのを見られるんでしょうか。しかし80年代ってファッション的にどうなんだろう・・・ウルヴァリンがケミカルウォッシュのジーンズ履いてたりするのかな・・・(ウルヴァリン出るかわからないけど)。でもジーンやスコットやストームの子供時代も描かれるそうだし、クイックシルバーくんも続投、新しいキャラで「マジックマイク」こと肉厚バディのチャニング・テイタムが出演するそうで、楽しみです(彼もストリッパー役やってたけど清潔感がありますよね)。



『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』秋の男祭りが開幕・・・


          


夫と観に行って来ました。町山さんおすすめのドクロ入り黒Tシャツ(エクスペンダブルズのユニフォーム)は残念ながら二人ともワードローブの中にはなかったので、普通の服で行ってしまいました。思えば、このブログに引っ越して来てから初めての映画鑑賞は「エクスペンダブルズ2」だったのです・・・。もっとソフトでお洒落な女性向けな作品で新ブログ一作目を飾りたかった〜とゴネていたのを思い出します。あれから2年、未だに一作目は観ていません(笑)。

いや、今回も楽しかったですね〜。今回はレギュラーメンバーは事情があってディスミスされて代わりにヤングジェネレーション・エクスペンダブルズが出来あがるんですよ(みんなアラサーくらいで旧メンバーと比べたら超若いのだ)。でもレギュラー陣がスタローンに「兄貴、俺たちナシで行くなんてそりゃないぜ!!!」と参加して、新旧エクスペンダブルズとハリソン・フォード、アントニオ・バンデラス、シュワちゃんが加わって悪の枢軸メル・ギブソンをやっつけるという話です。まあ豪華。う〜ん、でも私ヤング世代の人誰も知らないのよね・・・(あ、そういえばトワイライトシリーズで、エドワードの兄ちゃんやってたケレン・ラッツがいました)。私的にはここにキャップ(クリス・エヴァンス)とかソー様(クリス・へムズワース。実の弟リアムは2に出てた)とかチャニング・テイタム(「マジックマイク」のセクシー肉厚バディ)とかが出てたらかなりヤバかったかも〜と思いましたよ。

おっさん側の新メンバーとしてアントニオ・バンデラスが出ています!私はその昔、バンちゃんに入れあげてたことがあって、スペイン時代の作品からずっと彼が出ている映画を追いかけていたのですよ。やっぱりスペイン映画のバンちゃんがカッコイイ。変態だけど純粋な「アタメ!私を縛って」とかキュートで良かったですし、最近では「私が、生きる肌」とか(どちらもアルモドバル監督ですね)。一筋縄ではいかない傑作がいっぱいあります。そういえばスペインに住んでいたY嬢から聞いた話ですが、Y嬢はバンちゃんと小学校の頃同じクラスだった男性と話したことがあるそうです。その彼曰く「子供の頃のバンデラスは、授業中なのに校庭に飛び出して遊んでいるようなやんちゃ坊主だった」そうです!なんかちょっとわかる気がする〜。この映画のバンちゃんはひたすらベラベラ話しているおっさんで、「デスペラード」のようにセクシーさを振りまきつつ仕事はしっかり仕上げるみたいな感じは皆無(涙)・・・。コメディも出来るのはわかるけど本当におじいちゃんになってしまう前にもうちょっとセクシーラテンラバーな路線で活躍して欲しいな〜、ともったいなく思ったりします。

そいやハリソンも新メンバーですよ。私が子供の頃の理想の男性はインディ・ジョーンズだったことは前にも書きましたけど・・・もう中の人もすっかりおじいちゃん(72歳だって)!インディやってた頃は本当にカッコ良かった・・・大学教授なのに命知らずの冒険野郎っていう文武両道感がたまりませんでした。私が一番好きなのはやっぱり「魔宮の伝説」です。高校時代に住んでいた福岡に「魔宮の伝説」ってカラオケボックスがあって学校帰りによく行ってたなあ。本作の中でハリソンがバンちゃんに話しかけるシーンがあるんですが、バンちゃんが急にキレてスペイン語でうわーっと話し出すんですよ。これってもしかして元祖BSOL映画「ワーキング・ガール」からの演出?ヒロインがバンちゃんの嫁メラニー・グリフィスでハリソンはその相手役だったんですよね〜ってこれも随分昔の映画だな〜。

さて、そんな新メンバーを入れつつもやっぱり抜群の安定感を見せる旧チーム。特にジェイソン・ステイサムが今回も輝いてました。前に友人たちと映画の話をしていて、友人あみーごが「ジェイソン・ステイサムが、ほっ、本当にっ、かっ、かっ、こよくっって」と話しながら引きつけを起こしそうになっていたのを思い出します(でもその映画の名前忘れた・・・)。ステイサムはあんなイカツイ風貌なんですけど、スタローンと話してるときすごく可愛い少年みたいな笑顔を見せるんですよ。二コーっと笑うシーンが何度かあって、ギャップ萌え。彼のちょっと枯れた男らしい声もたまりません。エクスペンダブルズの自家用機内ではスタローンの助手席がステイサムでフィックスなんですよね。そこで素敵にニコーっと笑うステイサムが見られるんですよ。やっぱりスタローン×ステイサムの関係は不動で、バンちゃんが自家用機の助手席に座ってたら「そこどけ。クリスマス(ステイサムの役名)が来るから」ってスタローンに言われるんですよ。腐女子的には「んふふ、やっぱりね・・・」って感じなんですが(笑)。で、「え?クリスマス?今は6月だけど・・・」みたいにボケちゃうバンちゃん・・・(涙)。

スタローンも健在ぷりをこれでもかとアピール。私生活でも邪悪になっちゃったメル・ギブソンとの素手タイマン戦も見応えあったし、最後はエクスペンダブルズ実行部隊最高齢なのに凄いギリギリアクションをかましてくれてスゲー!ってなっちゃいました。若手たち、あんな凄いアクション見せられたらもうスタローン御大に付いて行くしかないっしょ!みたいな感じじゃないでしょうかね。しかしスタローンが凄いのはそれだけじゃない。若手の紅一点(ロンダ・ラウジー)に「あんたがもう少し若ければ・・・なんてね☆」って言われてるしさ!たしか2でも中国人のオナゴにそんなこと言われてなかったっけ、スタローン。アクションだけじゃないのが凄いですよ(脚本にも関わってるから?)。私はステイサムがいいですけどね。そういや2に出てたステイサムの彼女どこいったんだろ。打ち上げ会場にいなかったぞ。別れたのかな、ふふふ(笑)。

腐女子といえば、日本に帰省したときに実家にあったセーラームーンの全員プレゼントとか付録とかを「まんだらけ」に売りに行ったんですよ。そしたらBL同人誌のコーナーに洋モノ(?)もあって、「エクスペンダブルズ」はもちろん「アベンジャーズ」とか「シャーロック」とか色んな映画やドラマがBLのネタにされてて「ほおお〜」と驚いたのでした。中でも一番驚いたのが「映画泥棒」ですね。劇場で映画を観る前に必ず上映される「映画の盗撮禁止。不審なカメラを見つけたら劇場スタッフまで」っていう盗撮禁止広告みたいなのがあるじゃないですか。カメラを被った泥棒をパトカーサイレンを被った警察が追いかけるみたいな。あの二人(?)でBLの同人誌を見つけてしまって「こ、こんなものまで・・・」と感心しました。たかだか2分くらいの広告なのに、腐女子の想像力は果てなく広がるんですねえ・・・。

このことを友人の浦鉄さん(やや趣味人)に話したところ「BL愛好家はなんでもそんなふうに変換出来る。例えばペットボトルだって・・・」とそのときたまたま私達の目の前にあった綾鷹緑茶とジャスミン茶でBL設定を作り上げてしまったのでした。その他にもテレビとリモコン、東京タワーとスカイツリーなど出されたお題に次々とビシっとはまるBL設定を繰り出して来る浦鉄さん・・・(私達は驚愕したけど、本人曰く愛好家の人に比べれば全然だとか)。なんだか人間の想像力に無限の可能性を感じた夏でもあったのでした・・・。

『スノーピアサー』ジュノちゃんは、もっと出来る子

         



さて、ここからはチェコで見た映画の記録になります。なんかもっとお出かけした!とかコレ買った!とか、そういう記事を書きたいのは山々なんですけど・・・日本から帰って来てからホームシックにかかってしまい引きこもって映画ばかり見ていました。あと18年ぶりに「地獄先生ぬ〜べ〜」にハマって(そう、実写化のニュースを見て懐かしくなって動画やネットで読める漫画を見てばかりいました)・・・。昔は「面白い漫画だな」と思ってるくらいだったんだけど・・・大人になって見るとぬ〜べ〜を「男」として見ている自分に驚いたり(笑)。やっぱり男は強く、そしてなにより優しくないと!!!と改めて思ったのでした(普段のアホでスケベなぬ〜べ〜とのギャップもいいのよね)。ゆきめちゃんも一途で本当に可愛いんですよねえ・・・。ぬ〜べ〜とゆきめちゃんのカップル大好きです。ということで、ぬ〜べ〜についてはこれくらいにしておきましょうか(汗)。

韓国の鬼才、ポン・ジュノの初英語作品です。ポン・ジュノ監督でキャップ(クリス・エヴァンス)主演っていうことなので劇場に観に行きたかったんだけど、いつの間にか終わってた・・・みたい。もうDVDになってました。一足先に鑑賞した友人Iは「主演の人、キャップに似てるな~って思ってたら本人だったんだ」と証言していました。 まあこの映画ではずっとヒゲ面なのでわからなくもないです。しかしもったいない。キャップはヒゲ面でニットキャップ、寒い話だから脱がずにずっと長袖着てるんですよ。あれ・・・?クリス・エヴァンスなら取りあえず脱がせとけ!って業界の掟はどうなったのでしょうか(「運命の元カレ」を参照のこと)。

近未来、なんか天変地異があって地球が激サムになり、生き残った人類は一年かけて地球を一周する特急列車「スノーピアサー」に乗車しています。列車の最後尾車両はスラム街のようになっていて、そこにいる最下層の人間たちは最低限の食べ物で強制労働をさせられていたのでした。この列車、最後尾から車両を移動すると全く違う世界が広がってるんですよ。レストラン、温室、プール、サウナ、学校、ディスコ、水族館、寿司屋、美容室・・・あとなんかあったっけ。列車から一歩も出なくても(というか出たら寒さで死んじゃう?)生活出来るようになってるんです。ポン・ジュノってすごいアイディアマンなんだなあ〜と思ったら、この原作はフランスのバンドデシネなんだそうですよ。なんかコジャレタテーマだからイマイチ持ち味の泥臭くてド迫力な展開がなくて、普通の映画な仕上がりになっちゃっていたのが残念です。もっともっとズガーン!!!と頭と心を打ち抜かれる様なインパクトある映画を期待していたんですけどね・・・それこそ「母なる証明」みたいなね。

キャップの役の掘り下げ方も、なんか浅い。クリエヴァ自体は出来る子なんだから、もっといい演出方法があったのではなかろうか。ひもじさから赤ちゃんを食った話をさせるよりも「え・・・?もしかして赤ん坊食った・・・?」みたいに思わせる方法もジュノちゃんなら余裕で出来るだろうに。しかし、キャップとソン・ガンホが一緒の画面にいるっていうのも凄いなあと思います。かたやキャプテン・アメリカ。かたや韓国映画界きってのおっさんエース俳優。サムギョプサルがハンバーガーになってしまったみたいな妙な豪華さが。ソン・ガンホは英語わからない設定だったんだけど、途中から翻訳機なしでキャップと意志の疎通をしていて「ほ、本当は話せるのでは・・・?」と思ってしまいました(ちなみに「ケセッキ」は英字幕だと「asshole」)。ガンホさんの娘役コ・アソンちゃんは「グエムル」でもガンホさんの娘役だったんだそうで、息ピッタリですね。

列車内のプレジデントはティルダ・スウィントンですよ。なんか入れ歯みたいなのを入れて顔が変わっちゃってましたけど。彼女がカウンターで鮨をつまもうとしたら、キャップから「お前はこれ食っとけ」って最下層のご飯(黒いゼリーみたいなの)を渡されるんですよ。この黒いゼリーの成分は、なんとゴキブリ!ここはインパクトありました。パッと見、香港とかで食べられている亀ゼリーみたいなんですよね。でも妙〜な粘り気のあるテクスチャーがキモかった。小学校の車両は先生(アリソン・ピル)も子供たちも妙にテンションが高くてインチキな子供番組みたいでよかったです。最下層のオカン役で「ヘルプ」のオクタヴィア・スペンサーも出ていました。やっぱりこういう虐げられながらも太く生きてる女性役に安定感が。列車を作った創造主はエド・ハリス。エド・ハリスが焼いてくれているステーキに懐柔されなかったキャップは偉いと思ってしまいました(そもそも肉を見たことがなかったのかも)。

映画として全然面白くないわけじゃないけど、なんか印象が薄い。ジュノちゃんならもっと出来るでしょ〜?って業界人崩れみたいな感想を持ってしまいましたよ。なんか監督の濃いめな持ち味が全然生かされてなくって、悪い意味で量産されるアメリカの商業映画になっちゃった感じ。フックが全然ないです。個人的にこういう虐げられていた貧乏人が奮起して下克上、みたいな話は自分を重ねられそうだから大好きなんだけど、そういう「やったれや!(オー!と全員でコブシを上げる)」みたいな盛り上がりもなかったしな〜。スノーピアサーのデザインは素直に凄いと思いました。まあこれも原作からのビジュアルかもしれないんですけど。公式HPを見たところ列車のセットはチェコにあるバランドフ・スタジオに設置されたらしいです。なんでもバランドフ・スタジオは欧州最大規模のスタジオなんだそうで・・・知らなかった!つーことは、ジュノちゃんもキャップもチェコにいたってことですよ。いや〜、なんか嬉しいなあ〜。バランドフ・スタジオは見学も出来るみたいなので、いつか行ってみたいですね。

『ダメ男に復讐する方法』これがケイト・アプトンか・・・!

         



飛行機の中で観ました。いや~、こういう洋モノBSOL映画久しぶり!(BSOL映画についての私の個人的見解はこちらを)たまにはこういうのもいいやね~。BSOL映画ばかり連続して見ると頭がパッパラパーになっちゃいそうですけど。またキャメロン主演ってのがいいじゃないですか~。やっぱりBSOL映画のヒロインにはキャメロンですよ。しかし、キャメロン主演だけどまだ日本では公開決定してないみたい。まさかのDVDスルー・・・?


予告編↓





ニューヨークの弁護士事務所でバリバリ働くキャリアウーマンのカーリー(キャメロン・ディアス)は才色兼備の肉食系女子。そんな彼女に新しい彼氏マーク(ニコライ・コスター=ワルドー)が出来ます。すごくスイートな彼氏だし身体の相性もバッチリということで父親(ドン・ジョンソン)に彼氏を紹介しようとするのですが、マークに急用(家の水道管が破裂したとか、そんなチンケな理由)が出来てしまい約束は延期に・・・。セクシー水道屋のコスプレをしたカーリーは内緒でマークの家に行って驚かせようとするのですが、ドアを開けた女性は彼の奥さんケイト(レスリー・マン)でした。彼が既婚者だということを知ってスッと冷めるカーリー。しかし奥さんのケイトは、何故かカーリーとこの悲喜劇を分かち合おうと彼女の家や職場に押し掛けます。最初は引いていたカーリーですが、何故かケイトと仲良しになってしまうのでした。結託した本妻と愛人は仕返しにマークの鼻を明かしてやろうと彼の周りを調べ上げます。すると第三の女の影が・・ ・。それは若くてピチピチで巨乳のアンバー(ケイト・アプトン)でした。彼女も仲間に加わり、三人の女達の仕返しが始まりまるのでした・・・と、ここまでは予告編。



※ストーリーに関わる大きなネタバレなしですが、まっさらなまま鑑賞したいという方はお気をつけ下さい。



キャメロンは撮影当時41くらい?お顔のシワ等は増えてる感じですがスレンダーな体型は不動のままで、ボディコンシャスでモードなピターっとしたワンピースが似合います。オフィスはガラス張りの超モダンなところだし、フラットは白を基調としたアーバンなお部屋(ワシの寝室くらいのクローゼット有り)。これ、バブルの頃のトレンディードラマかね・・・?というくらいスカした感じがたまりません。いや、これはまさにトレンディードラマなんじゃないの?キャメロンが浅野温子でレスリー・マンが浅野ゆう子で、ニコライ・コスターが石田純一って言う・・・。そうすると第三の女のピチピチ巨乳ケイト・アプトンは篠原涼子あたりか?まあ冗談はこれくらいにして・・・。キャメロンの秘書役でニッキー・ミナージュが出てますし、レスリー・マンの弟役でガガ様の彼氏テイラー・キニーが出ています。こういうミーハーめなキャスティングもたまりません。

ニッキーはいつものニッキーよりオフィス対応な格好してるけど、すごいおしり。キャメロンには仕事そっちのけで恋愛のアドバイスをビシバシかますホットなアシスタントという役柄です。こんな弁護士事務所あるか!って感じなんですけども、まあそこはBSOL映画なんで。キャメロンの「彼氏」役のニコライ・ラスター=ワルドーは顔からして絶倫そう。顔がデカクてアゴが立派で鼻がデカいのが私的絶倫顔のポイントです。愛人が二人いたってだけでなく、ペーパーカンパニーとか作って悪いことしてたっていう最悪な男なんですが、化けの皮がはがされて行くに連れてだんだんトホホホホ・・・なキャラクターになっていくのが愉快でした。

専業主婦の本妻を演じるレスリー・マンは「ジャングル・ジョージ」(ブレンダン・フレイザーの肉体美は必見)のヒロインだった人か・・・。「フィリップ、きみを愛してる!」や「ブリングリング」を観ましたが、いくつになっても天然ボケの不思議少女みたいなキャラクターの女優さんです。とにかく、うるさい!恐らく夫の浮気発覚で精神的に不安定になっているのか、始終ペチャクチャペチャクチャ・・・・と、のべつまくなしにしゃべっているのです。そしてデカい犬を連れてキャメロンの家に押し掛け「ねえ〜入れてよ〜」って来るんですが、コメディ映画じゃなかったら通報ですよ。ファッションはケイト・スペードみたいな古き良きグッドワイフスタイルでした(そういえば酒飲んでカゴバッグに吐いてたな。私も人の車で気持ち悪くなったら自分のバッグに吐こうとは思うけど、ちょっとひるんじゃいますよね)。

そして本記事のサブタイトルにもなっているケイト・アプトンが二人目の愛人役として出演してるんですが・・・わたしゃ、ビックリしましたよ!ぬわんじゃこらー?!って松田優作じゃないですけれども、この巨乳は誰っ?!と仰天してしまったわけです。劇中でもビーチでスパイしていたキャメロンとレスリー・マンが双眼鏡でビキニ姿の彼女を見て「ちょ!!!!」「何これ?!!!!!」と絶叫していましたが、そんな前ふりも全然やりすぎじゃない。白いビキニ(わかってる!)姿のケイト・アプトンがビーチを楽しそうに波打ち際を走ってるんですけど、豊かな胸がボヨヨヨヨ〜〜〜ン!って上下に揺れるんですよ(もちろんスローモーション)。見ていたキャメロンが悔しがって彼女の後を追いかけるんですが、チャーリーズエンジェルなどでかつてはその位置にいた(といってもバストサイズでは及ばないが)キャメロンがピチピチの新人の後を「こんにゃろ〜!」と追いかけるというのがまた味わい深い。「ベスト・フレンズ・ウェディング」は遠くになりにけりですなあ・・・。

ケイト・アプトンという名前は友人Iがくれるゴシップ雑誌などで知っていたけど、新しいヴィクシーエンジェル?くらいにしか思ってなかったんですよ。調べてみたところヴィクシーはやってなくて、スポーツイラストレイテッド(セクシー美女が水着でカバーを飾るアメリカのスポーツ雑誌)やヴォーグの表紙を飾ったこともあるグラマラス系モデルさんらしいです。とにかくおっぱいがすごい。直径が人の顔くらいあります。ご存じない方は「kate upton」でグーグル画像検索してみて下さい・・・。おっぱいもいいけど、彼女の顔がまたいいんですよ。モデルさんなんだけど、親しみやすい顔というか悪く言うとチープな顔。まだ若いのであどけない感じも残っていて、顔の絶妙な位置にホクロがあってセクシー。でもってブロンドというアメリカ人が考える理想のプレイメイトを具現化したら、ケイト・アプトンになるんじゃないかと思うくらいです。おっぱいと比べると彼女のおしりは普通なんですけど、uptonってファミリーネームもエロいな!ともう何でもエロく見えて来るわけです。

・・・などという感想を書いていたら、アメリカでセレブのiCloudアカウントがハッキングされるという事件が発生。流出セレブの中にケイト・アプトンの名前も!こういう事件ってたまにありますけど、みんなどうしてセルフのヌード写真やプライベートビデオ(ぼかした言い方)を撮るのでしょうか・・・?特にアメリカ人ってそういうの好きな印象があるけど(香港スターの写真流出もそういえば昔あったっけ)。やっぱり普段からそういったものをを撮っておかないとセレブとしての自意識や美意識って磨かれないのかな〜。凡人にはよく理解出来ませんが・・・。ということで「とにかくケイト・アプトンが凄い」ということを覚えておいて下さい!

追記:長らく日本未公開だった本作ですが、16年1月にDVDがリリースされ、邦題が決定したのでアップデートしました。

『俺はまだ本気出してないだけ』堤真一のダメ男な魅力が全開

         


英語のタイトルは「I'll Give It My All... Tomorrow」でした(笑)。


帰りの飛行機の中で観ました。貴重な邦画鑑賞、これで最後か・・・。私はスターアライアンスのマイレージを貯めてるので大体いつもルフトハンザなんですけど(前は安さでアエロフロートだったけど、なんか最近はちょっと怖くなってきてしまいました)、機内エンターテイメントにわりと最近の邦画が3~4本入ってるので嬉しいですね。韓国映画や中国映画もあるけど日本語字幕がないので、これはなんとかして欲しいなあと思います(英語字幕は読む速度が遅くなってしまって付いて行くのが大変)。



※ネタバレします。




40過ぎのしがない男、シズオ(堤真一)が漫画家になると宣言して会社を退職。その後、作品をボツにされ ながらグダグダの生活を送り「よ~し、これから本気出しちゃうぞ!」というところで終わるお話です。映画のほとんどがシズオが家でグダグダしたり、バイト先で悪ふざけをして年下の店長に怒られたり、居酒屋でダラダラ飲んだりしているシーンなんですね。シズオの幼なじみでバツイチの修(生瀬勝久)や、バイト先で知り合った市野沢(山田孝之)のエピソードもありますが、特に大事件が起こる訳でもなく毎日がほげほげと過ぎて行くのを普通に撮った映画です。しかし、これが退屈の一歩手前で妙~な心地良さを運んで来る。なんでだろう・・・。おそらく、堤真一の魅力に依る部分が大きいのではないでしょうか。

まず堤真一はカッコイイ。カッコイイけども絶妙なコメディーセンスを持っている。自分がお馬鹿になりきることの楽しさを知っているような印象があるんですよね。普通は40過ぎのオッサンがファストフードでバイトなんて痛々しくて正視出来ないでしょうが、堤真一だとそんな悲壮感がまったくない。その逆に、こんな面白い先輩がいるバイト先楽しそう、みたいな・・・。天真爛漫でお茶目。いい意味で深みがないのが良いのですよ。朝からゲームやってたり、部屋で大の字になって爆睡してたりする姿も、確かにだらしないっつっちゃだらしないのだけれども、ギリギリのところで上品さと清潔感があり、むしろ母性本能くすぐる系。ということで、堤真一の可愛らしいダメ男な魅力が爆発なのである。中の人はアラフォーではなくアラフィフなのに、これはすごいことではないですか。ちなみに私のお気に入りのシーンはバイト先で勝手にシェイクを飲もうとして、ノリノリでシェイクを作っているシズオの後ろ姿です(もちろん、あとで25歳の店長に見つかって叱られる)。

シズオと一緒に暮らすお父さんは石橋蓮司で、娘の鈴子は橋本愛。私はてっきり橋本愛ちゃんのことをシズオの妹だと思ってたんですよ。シズオが鈴子にお金を借りるシーンがあって、そこで年齢が出るんですね。シズオ(42)、鈴子(17)って。これに限らずシズオが情けないシーンでは必ず登場人物の年齢差がテロップで出る演出(笑)。ずいぶん年の離れた兄妹だのうー、まあ石橋蓮司がおとっつあんだから、ありなのかなって思ったら、娘だったんですよ。シズオが漫画家として成功した夢を見るんですけど、そこでお姫様に扮した鈴子が連れてる幼い息子に「おじいちゃん」って言われてたから気付いたんです。シズオ、こんなに可愛くて利発そうな娘いるんじゃん!全然ダメじゃないじゃないですか。しかしその娘は怪しげなマッサージパーラーで働いていることが後にわかります。

シズオの脳内ではシズオと同じ顔をした神がいて「お前このままじゃヤバいよ・・・」と忠告したり、子供の頃のシズオ、高校生のころのシズオ、サラリーマンのシズオ、と色々な年代の自分が集合して今後の話し合いをしたりしているんですよ。これ、自分の脳内でも同じことが行われていたとしたら・・・ゾっとします。たぶんどの年代の自分もたいして違わない夢見がちで適当なことを言ってそう。経年による精神の成熟が見て取れないのが一目瞭然になりそうで怖い・・・。しかし神様は「ヤバい」と言っているけどもシズオはまだ会社を辞めて一ヶ月しか経ってないんだから、そんなに焦ることもない気がするなあ。一ヶ月なんて全然余裕。焦るのは半年くらい経ってからでいいじゃんって思いますけどね(経験から)。新卒からアラフォーまで働いたら失業保険も長い間もらえるだろうしネ!

シズオは編集者さんからボツ続きにされ(それでもちゃんとプロの編集さんが時間裂いてくれるんだからマシ?)、渾身の力作でなんとか小さな賞をゲットします。しかしシズオ以上に大きな転機を迎えたのが生瀬勝久演じる幼なじみの修。彼は離婚していて、月に一回くらい幼い息子と二人で過ごせるようなんですね。息子は全然自分になついてくれなくて「何が食べたい?」と聞くと「パン」とそっけない答え。それがきっかけで修は美味しいパンを見つけるためパン屋巡りをするようになり、ついには脱サラしてパン屋を開業することになるんですよ。シズオのバイト先の仲間だった山田孝之演じる市野沢を誘って二人で一緒にパン屋をやろうじゃないか、ということになるのです。

山田孝之はパツキンのよくわからないイマドキの若者っぽいんですが、実は結構ちゃんとしている奴という役どころ。ホストクラブで働くことになるんですが、そこにはリストラされた部長クラスくらいのおじさんが下働きとして働いてるんですよ。クラブのマネージャー(もちろんおじさんよりずっと年若)から口汚く罵られたりしているおじさんをかばったりして、パツキンだけど筋が通ってる男の子なんです。山田孝之の寡黙でちょっと怖そうな感じが活かされた配役ではないでしょうか。修の別れた妻は水野美紀で、別の人と再婚することになってるんですが修がパン屋を開いたら息子も喜んで、そんで「私も一緒にやるわ」とヨリを戻すような雰囲気になるんですよ。いや〜、なんか突然な感じでいつもの私だったら「こんなに上手く行くわけねーだろ!ケッ!アホか!」と毒づく展開になりそうなんだけど、あーよかったなあ・・・と素直に思えるんですね。ここも不思議と心地よいのです。

怪しげなマッサージパーラーで働いている鈴子と店で鉢合わせしてしまったシズオは、怒るわけでもなく「ちょっと父親っぽいお願いしてもいいかな?あのバイトは、もうやめなさい」と娘に言います。「うん、わかった」と素直にうなづく鈴子。二人は晴天の下、河原を歩きます。「よーし、俺、明日から本気出しちゃうぞー!」とシズオは青い空に向かって叫ぶのでした。これで終わりです。それだけと言ってはそれだけの話なんですが、なんかちょっと元気が出る不思議な映画でした。堤真一も良かったけど、脇もみなさんそれぞれ素晴らしかったと思います。

監督と脚本は福田雄一さんという方でフィルモグラフィーを見ると「HK/変態仮面」や「女子ーズ」など、面白そうな作品が並んでいます。ふわー、またチェックしなければいけない監督さんが増えてしまいました。邦画は帰省中に観たいのは観たんだけど、それでまた気になる監督さんや俳優さんがいっぱい出来ました。チェックするのたぶん来年になっちゃうだろうな〜・・・と切なさいっぱい。もうこうなったらプラハでミニシアターとか経営しちゃいたい・・・。

『オルカ』シャチを怒らせたらマジでヤバい

        


ジャケットはB級ぽさ炸裂ですが・・・。


さて、日本帰省時に観た映画はこれで最後です。日本帰省、楽しかったなあ・・・。銀ブラして、夏のバーゲンをあさって、温泉行って、舟盛り食べて、うなぎ食べて、たこやき食べて、牛タン食べて、小龍包食べて、かき氷食べて、あんみつ食べて、ガガ様のライブ行って、新大久保行って・・・。色々な夏の思い出での中で印象に残ってるのが鴨川シーワールドに行ったことです。チェコは海がないから久しぶりに海の生き物を見たかったのです。

そんな私の切ない願いを友人たちが叶えてくれました。鴨川の海辺にある海鮮料理が自慢の宿で一泊し、翌日は鴨シーへ。いや~、感激しました。今まで行ったことなかったんだけど、まさかこんなに素晴らしいところとは。特にシャチのショーが良かったです。シャチとトレーナーのお姉さんが曲芸を披露してくれたのですが、なんでしょう・・・彼女たちの種を越えた絆に感動してしまい思わず涙が・・・(横を見たら友人あみーごも泣いてた)。数日後、ツタヤの良品発掘コーナーで「オルカ」を見つけた訳です。実はポッドキャスト「伊集院光の週末ツタヤに行ってこれ借りよう」でも紹介されていたので、知っていたのですが、個人的にタイムリーなシャチの映画なのでレンタルしてみました。



※ラストのネタバレはしませんが、まっさらなままで鑑賞したい方はお気をつけ下さい。



カナダの北の方の漁村が舞台です。海でフィールドワークを行っていた海洋学者のレイチェル(シャーロット・ランプリング)はサメに襲われそうになったところを、漁師ノーラン(リチャード・ハリス)の船に助けられます。海中に残された助手のケン(ロバート・キャラダイン)にサメが迫ったそのとき、シャチがザバーッと現れてサメをガブーッと補食するのでした。シャチを水族館に売ると高値になると聞いたノーランは、レイチェルの反対をよそにシャチを捕獲するために海に出ます。ノーランはその後、海で誤ってメスのシャチを殺害。さらにそのメスのシャチは妊娠していたのでした。ノーランは家族であったオスのシャチから復讐のために付け狙われるようになるのでした。

制作されたのは77年で、もう40年程前の古い映画なんですね。当時はジョーズが一世を風靡していた頃で、サメ以外にも色んな野生動物が人を食い殺しまくるパニック映画が乱作されていたそう。オルカもその流れで同様のパニック映画だと思われていたそうですが、獰猛な野生のままの動物が人を食い殺す映画ではなく、人間に家族を殺された個体がその人間(と周囲の人間)に目には目を的な復讐を行うというリベンジ映画の性格が強い作品なのだそうです。制作はディノ・デ・ラウレンティス(「キングコング」やハンニバルシリーズを手掛けた大物プロデューサー)、音楽はエンニオ・モリコーネ(60年代から活躍する映画音楽家。「ニューシネマパラダイス」が有名)ということでジョーズの流行にのって作られた作品ではないことは明らかでしょう。ランプリング様も出ているし。

最初に海の中でたわむれるシャチがたくさん写るので、シャチで涙を流して来たばかりの私としては「萌え〜」なんだけども、この可愛いシャチが後でリベンジに燃える復讐の鬼になるわけなんですよ。でもシャチ可愛いって、実は認識違いなのかも・・・英語ではキラーホエールって言われてるし、学名Orcinus orcaは「冥界からの魔物」という意味があるそうで、可愛いだけじゃない生き物のようです(そういえば「海の食物連鎖の頂点にいる」ってショーでも言ってなかったっけ)。でもだからこそショーは感動的なんですよね。この映画では「よく撮れたなあ」というくらい野生のシャチのショットがたくさん。しかもシャチも結構な役者で、楽しく遊んでいるところ、悲しみを嘆くところ、復讐に燃えてるところ、となんとなくその時々の感情も不思議と伝わって来るんですよね。

ランプリング様が大学で講義してるシーンでシャチの知能の高さを知る訳ですが、本当に頭がいいみたいなんですよ。ある意味では人間よりも利口かもね、みたいな話になってシャチの胎児が人間のそれとそっくりという図が出て来ます。へえ、そうなんだ〜と思ったらこれは伏線でした。ノーランが殺してしまったメスのシャチを船でつり上げるんですが、そのシャチのお腹からショックで早産された胎児がボトっと飛び出すんですよ・・・(もちろん作り物です)。なんかピンク色してて、人間みたい!オーマイガーッ!!!と、ここはグロテスクで悪趣味なホラーテイストで作られてましたねえ。シャチの悲しみの鳴き声も人間の金切り声みたいで、不気味でした。嫁とそのお腹の子を殺されたオスのシャチが海の中からノーランの顔を「復讐してやる・・・」としっかり見てるんですよ。シャチの瞳がアップになるんですけど、なんか死んだ魚の目みたいな半透明のボヤーンとした感じの瞳なんですね。シャチの目ってあの白いところじゃないんですよ(当たり前なんだけど)!で、その目が涙を流してたりするんです・・・。

そこからシャチはなぜかノーランでなくノーランのいる漁村にダメージを与えて行きます。停泊中の漁船をバラバラにしたりして、漁村の連中から「おまえ、オルカさ怒らせただな。おまえの命ひきかえでねえと、奴は大人しくなんねえ。おまえが奴とカタをつけるしかねえんだべ!」(セリフ適当)と言われます。その後、頭のいいシャチは石油のパイプを破壊してなんとその先にの半島にあった発電所みたいなインフラ施設を爆破・・・(マジで頭良過ぎる)。爆発して夜空に燃え盛る工場をバックにザッパーン!と勝利のジャンピングをするシャチ・・・怖え、シャチ、怒らせるとまじ怖え・・・!!!さすがにこの爆発シーンは合成感アリアリだったんですけど、なんかそれが逆に邪悪になったクリスチャン・ラッセンの絵みたいで奇妙な味わいなんですよ。

そういったインフラ攻撃の次はノーランの身内攻撃で仲間が次々と殺されて行きます(まあ沖に出るからなんだけど)。覚悟を決めたノーランはシャチと対決するために海へ出ることにします。責任を感じたランプリング様は彼に同行することに。実はノーランも妻と子を亡くしており、敵ながらシャチの気持ちがわかる風です。船でどんどん沖の方へ進んでいくと例のシャチが海上に半分浮かんでヒレをパタパタさせています(これ鴨シーでも見た様な)。これが「俺に付いて来い」ということなんですよ。流氷が漂う北の海、そこがシャチの選んだ対決の場なのでした。人間とシャチなのですが、どちらも同じ悲劇を背負った者同士で奇妙な連帯感みたいなものすら芽生えて来てるんですよ。そこらへんがまたドラマでジョーズとは違うところでしょうか。

そこまで盛り上がったけれどラストは「まあ、やっぱりそうなるか」という感じで少し尻下がりになってしまうんですけれど。ここから読み取れる教訓は、知能の高い野生の動物をむやみに傷つけてはイカン!特に妊娠したメスを殺すのは御法度!ということでしょうか。野生の動物に触れる機会、普通の人だったらほとんどないですけども。ランプリング様が出演される意味もあまりないっちゃないですけど、知的ビューティーなので美人すぎる海洋学者役はなんか納得。またスラっとしていてスタイルがすごくいいのでただのシャツとかパンツとかを着ていてもVOGUE?ってくらい決まってました。この映画を観た後に鴨シーに行ってシャチショーを見ると、また違った感想を持つことでしょう・・・。シャチはただ可愛くておりこうさんなだけじゃない、そしてシャチを怒らせたらヤバい、ということがしっかりと心に刻み込まれた夏なのでした。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。