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『楊貴妃』京マチ子様は美しいが・・・



       
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名画座で行われていた溝口健二監督の特集、二本目は「楊貴妃」です。ハリウッド映画「SAYURI」(「メモワール・オブ・ゲイシャ」の映画化。日本からは渡辺謙と桃井かおりが出演していた)のとき、日本人の芸者役がなんで揃いも揃って中国人なんだよ、しかも言語は英語!おかしいだろ!って憤慨していたけど、中国の歴史ものを日本人監督、日本人キャストでとおの昔にやってたんですね。

中国、唐の時代に傾国の美女とされた楊貴妃が玄宗皇帝の元に召され、自ら命を絶つまでの話です。私は受験の時世界史選択だったので、玄宗皇帝といえば良い皇帝として絶頂期の唐を治めていたけど楊貴妃を寵愛しすぎのせいで文字通り国が傾き安史の乱を招いた・・・というザックリ情報はなんとなからく覚えています。あと楊貴妃は豊満な美女でお肌ツルツル、フルーツのライチが大好きでひとたび「ライチが食べたい・・・」と呟けば、家来のものが馬を走らせ季節でなくてもどこからか調達してきたというエピソードが有名です。

楊貴妃を演じるのは京マチ子様、玄宗皇帝を演じるのは森雅之で「雨月物語」のコンビですね。この映画での京マチ子様は目鼻立ちのクッキリとした風貌に見えます。最初は田舎から出て来た料理番の娘だったのですが、親戚の楊国忠(小沢栄)に目を付けられ後宮にあがることになります。まあ最初から品があって綺麗なんですよ。話し方も綺麗だし。そうして楊国忠の政治的足がかりとして皇帝の側に配置されるのですが、お妃を亡くして失意の玄宗皇帝から拒絶されるんですね。でも芸術に通じた楊貴妃はすぐに皇帝の心をゲットし、貴妃の座に収まるのでした。

映画の時間にして90分そこらなので、とにかく展開がスピーディー。だからその分濃度が薄い映画になってしまっていたのが残念でした。皇帝があっという間に楊貴妃を気に入るシーンでは笑いが起きていましたし・・・。歴史のスケールが大き過ぎて誰にも感情移入出来ないし、気が付いたら国が大変なことになってるしで、え、これで終わり?なんだかなあ〜と不完全燃焼な感じ。あとやはり中国史劇なのに言語が日本語ってのも妙に変でした。まあ京マチ子様は気品があってお美しかったですが、それだけっちゃそれだけな映画かも。本国中国ではファン・ビンビン主演で楊貴妃の歴史ドラマが作られているそうで、こっちの方が面白そうです。やはり歴史上の人物の一生を描くにはまとまった尺が必要なんだと思います。

映画の感想が薄くなってしまったので、ジャズミュージシャンの菊地成孔さんによる「京マチ子の夜」のクリップを貼っておきます。


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『ヤング・アダルト・ニューヨーク』ヒップスターに翻弄される40代夫婦の青春日記



       


ニューヨークに暮らすまだ大人になり切れていない40代の夫婦が、20代のヒップスターな夫婦と交流して様々な体験をし、結果少しだけ大人になる・・・?という映画です。ELLEの映画レビューでこの映画のことを知り、最近こういうシティもの(タイトルに街の名前が入っている人間喜劇という認識)を観ていないな~、面白そうと思って鑑賞してみました。原題は「While We're Young」ですが、今回は邦題の方が映画の内容と合ってる気がします。

ジョッシュ(ベン・スティラー)とコーネリア(ナオミ・ワッツ)はニューヨークに住むDINKS夫婦。夫の職業はドキュメンタリー映像監督で、妻はプロデューサーかなんかです。夫婦同士で仲良くしていた友人カップルに赤ちゃんが誕生し、お祝いに駆けつけますが、マタニティーハイ気味の夫婦に引く二人。友人夫婦は違う世界の住人になってしまったし、今までの様な付き合いはもうしばらく出来ないだろう・・・と考えてしまうのでした。

そんなときジョッシュの講演を聞きに来ていた二十代の夫婦、ジェイミー(アダム・ドライバー)とダービー(アマンダ・セイフリッド)と知り合います。世代差がありますが、若い彼らの自由なライフスタイルや思想に影響を受けたジョッシュ夫婦は、彼らと親しく付き合うように。刺激的で楽しい付き合いにのめり込むジョッシュ夫妻でしたが・・・というあらすじです。

ノア・バームバック監督の映画を観るのは初めてですが、この家がの舞台がニューヨークなこと、都会派人間コメディなことで、ポスト・ウディ・アレンとも言われている様です(ジュリー・デルピーもそうでした)。確かに、ジョッシュ夫婦が若いジェイミー夫婦に影響を受けて行く過程が短いシーンでテンポよくポンポンと繋がれて、あれよあれよという間に親しくなっていくのはウディ翁の映画みたい。この短いシーンの連続の中にナオミ・ワッツによるヒップホップダンスに代表される若干イタい中年子供のあがき、みたいな意地悪視点があるのもぽいです。そういえばナオミが出ていた「恋のロンドン狂騒曲」も皮肉加減が最高の映画でした。




※ネタバレします。




コメディーですが、よくよく考えてみるとなかなかに切ない話ですよ。仲良くしていた友達夫婦と共有するものがなくなっちゃって気落ちしていたところに、若く新しい友達夫婦ができた。彼らの自由な気風に影響されて「うちらもまだまだ若い!青春できるじゃん!」と有頂天になるものの、実は彼らの思惑は別のところにあり、単に利用されていただけだった・・・という・・・。ジョッシュ夫妻の妻コーネリアのお父さん(チャールズ・グローディン)が有名ドキュメンタリー作家だったので、同じく映像作家志望のジェイミーの若夫婦は彼らに近づき、キャリアの踏み台にしようとしていたわけです。

ジョッシュ夫婦は自分たちの選択で子供を持たないことにしたのかと思っていましたが、妻コーネリアは過去に二回流産を経験していたんですね。これは思いのほかヘビーで閉口するしかありませんでした。でもその話題が出た後でヘビー過ぎない仕上がりにしたのは、映画のバランス上正解だったのではないでしょうか。映画を観ていると、子供がいないからジョッシュ夫妻はいつまでも大人になれないのでは?といった印象も与えられるのですが、なんとなくそんな単純なものではないと思うんですよねえ。うまく言えないけど子供の有無に関係なく、その人が持つヤング・アダルト性は死ぬまでそんなに変化しないような気がしているのです。

私がリアルだな、と思ったのが赤ちゃんが生まれた友人夫婦の夫のセリフ。夫は妻の出産でパタ二ティー・ハイになり、赤ちゃんの超音波画像をタトゥーにして腕に入れるほどになるのです。しかし実際に赤ちゃんのお世話が始まると、やはりちょっと戸惑い&お疲れ気味に。夫が家にやってきたベン・スティラーに「この子は素晴らしいよ。でもすごく大変だ。実際、思っていた程すべてがハッピーというわけじゃない」(セリフうろ覚え)みたいなことを言うんですよ。普通の映画だと対立構造を作って、子供がいる側のリアルってほとんど描かれていないような気がするんですが(SATCのドラマ版は特にそうでした)、こういう視点が映画に奥行きを与えている気がしましたし、それが母でなく父となった人からの本音がポロリ、というのはとても珍しいなと感じたのでした。

最近、日本のメディアでは負け犬論争を引き起こした「結婚する/しない」を更に過ぎて「子供がいる/いない」の対立構図を炎上を期待して打ち立てている傾向があるような気がしています。そういったトピックの最後に「子供がいてもいなくても、お互いに色々あるし色々大変」という喧嘩両成敗的な締めがあったりする場合がありますが、だったら最初からあおるんじゃねえよ!ってガクっとすることも。まあ今の時代にホットで注目されて、盛り上がれるトピックということなんでしょうね。

さて一方のジェイミー若夫婦のライフスタイルは、いわゆるヒップスターな感じ。「ヒップスター」という言葉はこっちに来てからよく友人から聞いており、明確な概念はないけどなんとな~く、こういう人達のことなんだろうな・・・というぼんやりとしたイメージが出来上がっていました。いわゆるお洒落なライフスタイルにコダワリのある今時の若者ということなんですが、ただのお洒落じゃなくてプレッピーでビンテージライクな、少し懐古主義的なものを好む人達(でも最新情報にアンテナは高感度)。服装は古着や定番をベースにして、ミックス&マッチなお洒落が好き。男女共にフェー ドラ帽や太い黒縁のメガネをよく着用しています。男子はマスタードイエローのスキニーパンツが好きな様子。交通手段は自転車で、若いオーナーが立ち上げたばかりのインダストリアルなインテリアの中でコダワリのコーヒーが飲めるカフェに集い、アート談義をする。こんな感じ(笑)。

ジェイミー若夫婦の踏み台事件を経たジョッシュ夫妻はその一年後、ついに外国から養子を迎えることにします。その地へのフライトを待つ空港のロビーで、夫婦は二歳ぐらいの小さな男の子がスマホで遊んでいるのを見かけます。スマホを持って大人の真似をして「もちもち」と話したりしている、それはそれは可愛らしい子なんですが、夫婦は何かギョッとしたものを見たときの様な微妙 な表情になるのです。ここも印象的でしたね。「あら可愛い」と微笑むのではなく「俺ら、こんなのを迎えようとしてるのか・・・」みたいなリアルさがにじんでいて良かったと思います。もちろん彼らは養子を愛して大切に育てるでしょう。でも、やっぱりちょっと大丈夫なのかな・・・というような絶妙な感じがよかったと思います。

平均寿命がどんどん長くなる中、40代ってのはその半分か人によっちゃまだ前半部。だから、ジョッシュ夫妻みたいに悩んで突っ走って壁に激突したり、激突したまま走り続けてイタさをさらしたりしたって、全然いいじゃない?というか、そういったことを体験するのは別に青春時代だけ若者だけの特権というわけでもないでしょう。長い目で見れば人生はその大小や頻度の差あれど、そういったことの繰り返しなのではないでしょうか。と、世間的には40代のいい大人と言われる年頃になっても妙に落ち着いてしまわずに、一生懸命生きるキャラクターが痛々しくも愛しく思える映画だったのでした。


『妖精たちの森』純粋さゆえの恐ろしさ

        



映画評論家、町山智浩さんの「トラウマ映画館」で紹介されていた一本です。やっぱりこういう観た後に「ジャリッ・・・」とくる映画は定期的に観て行きたいですね。トラウマ映画館で紹介されて来た映画は「マドモワゼル」、「尼僧ヨアンナ」、「追想」を観て来ました。これで4本目だからあと21本も残っています。DVDレンタル屋さんにないものも多いからコンプリート出来るでしょうか・・・?

予告編↓







※ネタバレします。




19世紀末くらいのイギリスの田舎にある大邸宅が舞台です。その邸宅には子供の姉弟二人と使用人たちが暮らしています。子供達の両親は不慮の事故で亡くなってしまったんですね。でも彼らの親戚にあたる貴族は子供たちを引き取らずに、そのまま子供たちを使用人にまかせることにします。邸宅には家政婦のグロース夫人(ソーラ・ハード)と家庭教師のジェセル先生(ステファニー・ビーチャム)、下男のクイント(マーロン・ブランド)がいて、子供たちの面倒を見ているのでした。

子供たち、姉のフローラ(ヴァーナ・ハーヴェイ)と弟のマイルズ(クリストファー・エリス)はローティーンくらいの年頃。お姉さんのフローラは13歳くらい、弟のマイルズは9歳か10歳くらいに見えます。子供達は森の中で色々と面白いことを教えてくれる下男のクイントと遊ぶのが大好き。沼でガマカエルを見つけるのですが、クイントが火をつけたタバコをカエルに吸わせるんですね。カエルはクイント曰く「タバコが好きだから」吸って吸って吸い続けて、体全体がパンパンふくれてきます。そして最後は破裂して死んじゃうんですよ。導入部のこのカエル爆破シーンからなんとなく不穏な空気が出ています。「好きなことで死ねるなら幸せなんだ」的なことを言うクイント。この言葉が後で取り返しのつかない事態を招く伏線になっているのです。

粗野で教養のないクイントは、美人な家庭教師のジェセル先生にちょっかいを出しています。クイントを演じるマーロン・ブランドは、ちょっと太ってて馬小屋で馬の尻を叩いているのが似合いそうな下流の男なんですが、な~んか独特のセックスアピールを醸し出してるんですよねえ。粗野で荒々しい肉体労働者な感じと世を斜めに見ている屈折した感じが相まって、すごくエロいんですよ。この作品のあと「ラストタンゴ・イン・パリ」に出演するんですが、この役が布石になっているような印象を受けたりもして。始めはジェセル先生がクイントから一方的に来られて迷惑してるのかなあと思ってたんだけど、この二人はもうすでに男女の関係だったのです。馬小屋の藁の上で強引に・・・?みたいな展開かと思ったら、クイントは夜な夜な先生の床に忍び込み先生はそれを受け入れているのでした。

クイントと先生は典型的なSとMの関係のようです。先生の寝室に来たクイントは先生を縄でものすごく複雑に縛り上げます。そしてスパンキング&言葉責め。昼間は知的でおしとやかな先生はクイントのされるがままになり快感を感じているようです。個人的にはこの先生が脱いだときの裸体が実に美しく、そして実にエロくてビックリしました。弟のマイルズはクイントと先生の営みをそっと影から見ています。翌日、姉のフローラを縄で縛ってベッドの上に寝かせ、鞭の様なもので叩くマイルズを見たグロース夫人は仰天します。「一体何をやってるのです?!」「セックスだよ!」と無邪気に答える姉弟。おやまあ!と当時の女性なら気絶しかねない強烈さです。マイルズ夫人はクイントを毛嫌いしていて屋敷に入ることを禁じていたのでした。彼女はクイントと先生の関係を知りながら、自身はどうすることも出来ないでいます。

子供達はクイントと先生が愛し合っていることを知っていて、クイントに「先生と一緒になればいいのに。先生もそうしたいって思ってるよ」的なことを言ったりしますが、家庭教師と下男では階級が違うためそうなることも難しいようです。子供達は先生にも同じことを言っています。大好きなクイントと先生が結婚してこの家で一緒に暮らせばいい、僕たちの新しいお父さんとお母さんになればいいじゃないか・・・と思っていたのかもしれません。子供達の無邪気な提案にクイントも先生も少し悲しそうに首を振るだけでした。子供達がそう提案する度にクイントが独特の死生観というか恋愛感を呟くんですね。冒頭のカエル爆発のときに言っていたことと似ていますが、本当に誰かを愛したら殺したくなる、死だけが完璧なものであり、死のみによって真の愛は成就する・・・みたいなことだったと思います。このことが子供達に繰り返し話されます。クイントは子供達に伝える目的ではなく自身に言い聞かせるようにこの言葉を噛み締めているように見えます。

子供達への悪影響を懸念したグロース夫人は、親戚の貴族に手紙を書いて状況を知らせようとします(恐らくクイントと先生をクビにする提案込み)。それに気が付いた子供達は大好きなクイントと先生を離ればなれにしたくないということで、一計を案じます。ドールハウスの中に入れていた手作りの人形(クイント、先生、夫人、姉弟と邸宅に住む人をかたどったもの)からクイントと先生の人形を取って燃やす子供達。まさか、まさか・・・!そう、子供達は純粋すぎるゆえにクイントの言葉を真に受けて、クイントと先生の真の愛を成就させるために彼らを殺そうとするのです。フローラは森の中の湖につけられたボートに穴を開け、クイントとの逢い引きということで先生を誘い出し、泳げない先生を溺死させます。湖の岸辺に上がった先生の遺体をクイントが発見した直後、マイルズがクイントから教わった弓矢で彼を殺害します。「クイント、これで先生とずっと一緒だよ!」と言って純粋な表情のまま矢を射るマイルズ・・・。

こうして二人は殺害され、子供達のもとには新しい家庭教師の先生がやってくるのでした。ここからの話が「ねじの回転」というゴシックホラー小説のストーリーで、「妖精たちの森」はその前日譚なんだそうです。純粋なゆえに、凶行を犯してしまった子供達・・・ジャリっと来ますでしょう。原作では子供達の年齢はもっと下らしいですが、映画の内容が内容のため原作よりも年が上の設定にされているそうな。お姉さんのフローラ役の子役は子供に見えるけど当時19歳だったんだそうです。町山さんはこの映画をテレビで、ちょうど弟マイルズくらいの年齢のときに観たそうで。こりゃあトラウマになるでしょうね・・・そもそもSMセックスシーン等があるので、R-15くらいにはなりそうだから子供は見ちゃダメ!映画なんですが。でも心が柔軟な子供時代にこの映画を観られたということは大人になったときに振り返ると芸術的には結構良い体験なのではないでしょうか。もうどうあがいたって子供時代の心には戻れませんからね。ということで1トラウマ、ごちそうさまでした。

余談:マーロン・ブランドのことを色々と調べていて見つけたのが「サヨナラ」という映画。アメリカ軍人と日本女性の悲恋を描いた映画のようです。日本女性を演じたのはナンシー梅木という女優さんで、本作で東洋人初のオスカーを受賞したそうです。チラッと映画を見たんですが、このナンシー梅木さんは森三中の大島美幸さんを細くした様な感じの人です!うーむ、演技は評価されているけど、コレが日本女性の代表(=当時の最高峰美女)だと思われるとちょと正直困るかな・・・みたいな感じなんですが(汗)。岸恵子さんのエッセイで、この役は最初岸さんにオファーされていたということを読んだことがあります。岸さんご自身もマーロン・ブランドの大ファンだったそうで。しかし事情があって出演を断ってしまったそうです。もし岸さんが演じていたら・・・と思わずにはいられませんが、ナンシー梅木さんでオスカー受賞ということはきっと悪くないのでしょう。機会があったら「サヨナラ」を観てみます。

『夢売るふたり』火事ダメ、ゼッタイ!

        



こちらもリストに入れていた一本です。「女の嫌な面がいっぱいでドロドロしている」という評判を聞いていたので、恐らくリストに入れていたのでしょう。どうやら私は最近こういうドロドロしたものを欲しているようです。現代ニッポンの病巣ぽいシーンがある映画「ヒミズ」「ふがいない僕は空を見た」も観てますしねえ・・・。

なんでそんなものばっか選んで観てるんだよ・・・と我ながら思いますが、外国映画では味わえないものがあるからだと思います。外国映画でも胸がえぐれるような話、やりきれない話、トラウマになりそうな話、そりゃあいっぱいあるけど、やっぱり日本映画で見た方が一番リアルに感じられるから・・・でしょう。日本の設定で、日本人俳優が日本語で演じるからこそ、身につまされたり怖かったりするのだと思います。

ということで、結婚詐欺をする夫婦のお話「夢売るふたり」なんですが・・・私にはあんまり引っかかりませんでしたね。なんだかツルっとした印象で、普通っちゃ普通。「女のドロドロ」って聞いてたから、もっと「うへえ~、まるで自分の嫌~な部分を拡大ルーペで見せられてるみたい~」っていう感じを期待していたのですが・・・。最近観た結婚詐欺映画だと「クヒオ大佐」がありましたが、結婚詐欺に引っかかる女性心理が全然描かれていないんですよ。本作も田中麗奈のパートがあったものの、そんなにフックはありませんでした。「結婚詐欺」ってテーマがタラバガニだとしたら、まるでカニ味噌を食べずに身だけ食べて捨ててしまうようなもったいなさを感じます。タイトルが「夢売るふたり」なので、一体どんな「夢」を売ってくれるんだろうかってワクワクし過ぎたのかもしれませんが。

それに結婚詐欺ってネタやエピソードの宝庫だと思うんですが、正面から取り扱っている映画はあまりないような気がします。邦画だとクヒオ、洋画だとアメリカ映画の「ハートブレイカー」(シガニー・ウィーバーとジェニファー・ラブ・ヒューイットが母娘で結婚詐欺をするコメディ)くらいかなあ〜?同タイトルでフランス映画の「ハートブレイカー」がありますが、こちらは別れさせ屋のお話でした。前々から思っていたのですが「婚活サイト連続殺人事件」は絶対に映画化させるべきですね。監督は園子温さん、主演は藤山直美さんが希望ですが年齢を考えると、う~ん、園監督のミューズ神楽坂恵さんにシャーリーズ・セロンの「モンスター」ばりの役作りをして頂いてってのはどうでしょうか。てか調べたら、すでにこの事件をモチーフとした寺島しのぶ主演のドラマがあるみたいです。見たいな、見たいな~。しかし、しのぶはいい女優だけど、太ってな~い!藤山直美さんもやはりドラマで木嶋香苗役の噂があるようですが、実際のところはどうなんでしょうかね~。

ということで、前置きが長くなってしまいました。映画の感想です。


※ネタバレします。


貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)は庶民的な小料理屋を営む夫婦。ある日、店が家事で焼けてしまいすべてを失った二人は、新しい店を持つための資金調達として結婚詐欺を思いつくのですが・・・。

この映画で一番「うわ~」と辛かったのが家事で小料理屋が焼けてしまうシーン。え、まさかそんな焼き鳥から出火なんて・・・って思うんですが、火を消そうとして慌ててしまい、揚げ物の油が入った中華鍋が落下、一気に火の手が広がってしまうんです。こういうお店では厨房に小さい消化器を設置していないのだろうか・・・と思いますが、まあ火事にならないと話が始まらないので仕方ないか。

しかしこのシーンは本当に夫婦が可哀相でなりません。住居が一緒じゃなかったのだけが不幸中の幸いか。妻の里子はラーメン屋でバイトを始めたりして、さっそく生活の立て直しをはかっていますが、夫の貫也はパチンコ行ったりしてフラフラしてます。しかも妻の職場のラーメン屋にケチつけたりしてるし。それでも妻が夫を見限ったりしないのが偉いなって思いますよ。演じる松さんは梨園のプリンセスですが、力強く働く庶民の女性の役が似合いますね。

夫の貫也役の阿部サダヲさんは、背も低いしカッコ良くもない普通の男性なんですね。優しいっちゃ優しいのかもしれないけど、ぶっちゃけ私的にはあまり魅力を感じませんでした。ここもこの映画に乗れなかった理由かも~。阿部さんは魅力的な方だと思うんですが、私はちょっと異性として見られないかな。友達にはすごくなりたいですけどね。

あるとき貫也は、小料理屋の常連のOL玲子(鈴木砂羽)と一夜を共にしてしまうわけですが。玲子は不倫相手からもらった手切れ金を「こんなお金いらないから」と彼に握らせる訳です。ものすごい分厚い封筒だったので五百万はあったかのではないかと・・・。「 必ず返すから!」と逃げ帰る貫也。家に帰って来て、妻の里子に「偶然、昔の友達に会っちゃってさ~、お金借りられたんだよ!」と嘘 をつきますが、そんなん数秒で見破られてしまう訳で。

浮気されたことに怒り心頭の里子。ものすごい顔でパンをもりもり食べるシーン、素晴らしいですね。手切れ金に火をつけて、入浴中の夫にむけてばらまく里子。湯船のお湯をどんどん上げて行く里子。夫が入れようとした水を脚で方向を変える里子。女を怒らせたら怖い・・・。

ここから転じて二人は夫が騙し役、妻が裏方の結婚詐欺コンビになるわけですが、具体的に「結婚詐欺やろうよ!」という話し合いのシーンはありません。詐欺なんですが、女性たちを騙して大金をせしめても、次の店が軌道に乗ったら返すという信念のもとに詐欺をしているんです。部屋の壁に銀行の封筒(お金をくれた女性の名前入り)と借用書を貼って、二人で拝んでいるので全然悪人という感じはしません。今、書いていて気が付いたけどこれって「結婚」詐欺ですかね・・・?

結婚詐欺って、結婚をちらつかせてお金を引き出したりする行為だと思うんですが、貫也は結婚の「け」の字も言っていなかった様な・・・。単に付き合っている男女間のお金の貸し借りではないかと思うんですが。しかも「◯◯だから、お金を貸して欲しい」と切り出さず、女性の方から切り出させていたしな~。騙しのテクニックみたいなのをポンポン見せてくれるのかと思っていたので、ちょっとここも肩すかしでした。「夢」売ってたかね・・・。いや貫也と過ごす時間が「夢」なのか・・・?

田中麗奈は仕事もいまいちで結婚を焦るOL咲月役でしたが、彼女の妹役(医者の妻) がプッチ風のプリントワンピースを着ているんですよ。でもバッグが普通!ハイブランドのバッグを持たせて欲しかったと思いました。貫也が騙す女性の中に、重量挙げ選手のひとみ(江原由夏)という人がいるんですが、この人がすごい存在感でした。初め男性かと思っちゃったくらいで。顔がロバートの秋山に似てるんですよ。妻の里子がターゲットにしようとするんですけど、貫也はひとみちゃんがちょっと可哀相だな・・・って思ってしまうんです。デブでブスだから?いや、それ以上にひとみちゃんはすごく純粋でひたむきな子だからです。

重量挙げ一筋で、ものすごく頑張っていて素直。そんなひとみちゃんに人間的に魅了されてしまうんですよね。そんなキャラクターなので、 ひとみちゃんの対比として田中麗奈や割烹料理屋の女性客たちをもっとエグ味のあるキャラにした方がよかったんじゃないかと思いますねえ。ターゲットの前では「妹」ということにしてある里子の入院費が300万くらい必要という嘘をでっちあげるわけなんですが、しっかりもので優しいひとみちゃんはすぐにネットで保険のこととか調べるんですよ。「ねえ、こんな保険制度があるみたいだよ!」とペラペラ話し始めますが、イライラした貫也は「そんな一度に言われてもわからん!」って九州弁でキレてしまうんです。このシーンはリアルでよかったですね。うちの親のケンカを見ているようでした(笑)。

平行してターゲットになったのは風俗嬢の紀代(安藤玉恵)です。彼女の雰囲気もなんかリアルでした。 こういう気もいいし金払いもいい風俗嬢っていそうだよな~と 。演じる安藤さんは色んな映画に脇役で出ている方なので、「ああこの顔知ってる」とサブリミナル効果にかかった気分。彼女のヒモ(暴力を振るうチンピラ)がアパートに乗り込んでくるんですが、こいつよく見るとカッコよくね・・・?と思っていましたよ。後で調べたらびっくり、伊勢谷友介さんでした。全然わからなかった・・・。いやあっぱれ。

そして同じくターゲット、ハローワーク職員でシングルマザーの滝子(木村多江)。木村多江は本当に薄幸な役が似合うよなあ~。この映画では女性と仲良くなって相手の懐に忍び込むプロセスがザックリ省略されているので、次のシーンくらいでもう貫也が彼女の家で、彼女の父と息子と和気あいあいと夕食を食べているんですよ。「あの人、公務員だ し入りはガッチリしてるんだ」と里子に話す貫也 ですが、里子は最近また面白くないようです。怒鳴る夫と「はいはい、あらもうこんな時間」と聞き流して仕事をし出す妻、ここもリアル!再び、うちの親のケンカ(というか父親が一方的にギャーギャー言ってるだけ)を思い出します(笑)。

思い詰めた里子は、ターゲットの滝子の家に行きますが留守。台所に置いてあった貫也の出刃包丁をつかみます。それを握って滝子の家を出る里子でしたが、階段ですべって落ちてしまい、包丁はどこかに転がり落ちてしまいました。凶行が防げてよかった・・・とホッとするんですが、地面に落ちた包丁が・・・気になる!!

咲月(田中麗奈)が依頼した探偵(笑福亭鶴瓶)が、貫也の動向を押さえていました。車の中から写真を撮るシーンがあったのですが、そのときに隣に座っていた探偵助手が「息もできない」「マジック&ロス」のヤン・イクチュンさんらしいです。で、滝子の家で貫也が滝子の息子とご飯を作っているときに探偵と咲月が乗り込んでくる訳ですよ。しかしな~、咲月よわざわざ探偵雇って調査するほどのことかね?と思いますよ。交際当時も妻がいたこと知ってた訳だし、自分の好意でお金を貸した様なもんですからね。

そして訪れる修羅場・・・。もみ合ってると、滝子の息子が「えーい!」って無邪気に鶴瓶を何かで刺すんですが、それが里子が持ち出した包丁だったんですよね。うわ~・・・何もわかってない子供がたまたまそこに転がっていた包丁で人を刺しちゃうんですよ。鶴瓶死んでしまうの?と思ったら助かっててホッとしましたが ・・・。時を同じくして、新しい店を構える予定の物件の中で、図面などを見ていた里子が何かに気が付いたように出て行き、走り出します。風でバラバラと飛んで行く図面。虫の知らせでしょうか、きっと里子は貫也のことをとても愛しているんだろうなあ・・・と思いましたが。火事になって、犯罪ギリギリのこともやったけれども、火事にさえならなかったら、きっと慎ましくも幸せに暮らしていた夫婦だったんだろうなあと思いますよ・・・彼らに関わった人もみんな幸せになってないしな~。ってことは、火事ダメ、ゼッタイ!ってことが裏テーマか?←(違います)

その後、貫也は堀の中へ。里子はどこかの漁港で働いています。別々のところにいる二人ですが、魂のレベルでまだ繋がりがあるような描写があり、とても切ないです。 出所したらまた頑張ってお店やって欲しいなあ・・・と思う訳ですよ。結婚詐欺映画を期待してしまったけど、これは夫婦映画ですな。最初は惚れたはれたがあって一緒になるわけですが、年数を経て人類愛っぽさが出て来るのが熟成された夫婦(めおと)と言うものかもしれません・・・。そう思って振り返ると、なんだか腑に落ちる様な気がしますね。

『欲望』90年代後半、このポスターが流行っていた

        



パリで9.9ユーロにてゲットしたDVDです。そもそもその日は、同じくパリでゲットしたマチュー・カソヴィッツ監督の「憎しみ」のDVDを観ようと思っていたのですが、ストリートの仏語がまったくわからずに断念・・・(じゃあストリートじゃない仏語ならわかるのかっていうと、それはまた別の話ですが・・・)。字幕もついてないし、無謀だったかも・・・言葉がわからない外国映画のDVD 13ユーロ、プライスレス・・・。

ということで「欲望」を観ることにしました。これはミケランジェロ・アントニーニというイタリアの有名監督の映画ですが、ロンドンあたりが舞台になっています。この映画も「ナック」と同様に小西康陽さんのエッセイで知った様な気がします。で、学生のときに観てそのまま記憶 の彼方という流れも同じ。しかし映画を観たことはなくてもこのビジュアル見覚えあるという方、多いのではないでしょうか。

90年代後半、渋谷系の若者の間では「欲望」のポスターを部屋にドーンと貼るのが流行っていたんですよ(それと双璧をなすのがジャック・タチの「僕の伯父さん」のポスター。スカシ派は欲望でほっこり派はタチだった)。インテリア雑誌でよくある読者の部屋訪問という企画だと、必ず1人くらいは「欲望」のポスターを自室に貼っている人がいたものです。

かく言う私も、ポスターではないんですがTシャツを持っていましたねえ・・・。白地にこのビジュアルがドーンとプリントされたTシャツで、確か大中で2,000円もしなかったような・・・(しかしなぜ大中で売っていたのだろう)。ただ大中で2,000円以下というクオリティーなので、一回洗濯すると見事に色が褪せてしまって悲しかったです。

大学生のころサブカル中二病を発症していた私は、まだ観てもないのに「欲望」Tシャツで学校に行き、映画好きと思われるフランス語非常勤講師に「aitantanmenさん、この映画好きなの?!」ってビックリされたりしました。「まだ観てないんです」と言うと、先生はガッカリされていましたが・・・。黒いカーディガンを羽織って「欲望」Tシャツを着るのが大好きで、「なんか赤と黒でアニエスみたい」って1人で思ってましたね(笑)。

と、鮮烈なビジュアルが先行してしまいがちな映画ですが、内容はいたって不条理!ちょっと難しいオトナの映画という感じです。

主人公のトーマス(デビット・へミングス)はファッションフォトなんかを撮っている売れっ子フォトグラファー。ある日、トーマスは朝の公園で密会しているカップルを遠くから撮影します。カメラに気が付いたカップルの女性(ヴァネッサ・レッドグレーブ)がネガを渡して欲しいと彼を追いかけてくるのですが、断るトーマス。彼女が帰った後で、写真を現像してみると何かが映っていることを発見してしまいます。引き延ばしてみると、そこには死体が・・・というあらすじ。

一見サスペンスフルな展開で、怖いな、怖いな~となってしまうのですが、そういう映画ではありません。結局、誰が何の為に殺人を行ったのかは最後までわからないし(というより、ストーリーが謎を追求していない)、ヴァネッサ・レッドグレーブの目的もわからないし。顔を白塗りにした前衛劇団みたいな集団はなんなのかもわからないし、トーマスが骨董屋でプロペラを買うのもわからないし、画家の友達とその彼女とトーマスがどういう関係だったのかもわからないのです。

わからない、わからないことだらけ!これが不条理というものなのね・・・ということはなんとなく伝わるような気がしますが・・・。真面目に筋を追うよりは、当時のファッションや雰囲気を味わいつつ、ぼんやりとした不条理感に身を委ねてしまうのが良いのかなあと思います。

主演のデビット・へミングスは決してイケメンではないんだけど、独特な雰囲気を持った俳優さんだと思いました。ちょっと中川礼二に似ている様な気もしますが。彼の服が何気ないけどカッコイイ。薄いブルーのシャツにホワイトジーンズを合わせて、黒いジャケットを羽織っているという。暖かくなったらこのコーデちょっと真似したいかもしれません。女性ならクラッチを持ってもお洒落かも・・・。

ヴァネッサ・レッドグレーブはさすがの美しさ。知的なエロさとでも言えば良いのでしょうか。あの衣装のネッカチーフみたいなのは、やっぱりシャツだけ脱いだときの効果を考えているのだろうなあ。近年でもなかなかこんな雰囲気を出せる女優さんもいないのでは・・・と思います。ヘアスタイルや全体の雰囲気がちょっと「男と女」のアヌーク・エーメっぽいと思いました。

ジェーン・バーキンが出ていることも書かなければなりません。モデル志望の若い女の子の役で出ていて、ヌードもあります(しかしこのシーンの必要性もまったくないので、それも不条理だ)。ジェーンは若い頃の方が顔立ちが濃い気がす るので、フランスに行ってからの方が綺麗だと思いますが。それでもデビット・へミングスと友達の女の子と3人でいるシーンでも、ジェーンのスター性みたいなものを感じます。なんか輝きが違う!という感じでした。

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