@itan-journ@l praha

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『メッセージ』ばかうけが授けてくれたものとは・・・






予告編を見たときは「正体不明の宇宙人がやってくるSFか・・・」と思い気に留めていなかったのですが、町山さんのたまむすびPodcastを聞いて「ん?ただのSFじゃないんだ」と認識を新たにし、普段はSFやアクションなど全く見ない知人(「ルーム」を勧めてくれた人)が褒めていたので興味を持ち鑑賞してみました。

夫と一緒に観に行ったのですが彼は普通のSFアクションだと思っていた為、どうやら肩すかしだったようです。「インデペンデンス・デイ」や「マーズ・アタック!」みたいな作品を期待してはダメ!(原題が「Arrival」てのも誤解しやすいのかも)SFな設定で展開する非常にヒューマンでファミリーな映画なのでした(だから「ルーム」絶賛の知人が褒めていたのもわかる) 。夫は「ラストが甘過ぎた」という感想を述べていましたが、まあその気持ちもわからないでもないです。

主人公のルイーズ(エイミー・アダムス)は言語学者。ある日地球に12基のばかうけ、もとい正体不明の宇宙船がやってきます。この宇宙船のビジュアルが日本人には「ばかうけ」に見えると話題になってました。他にも柿の種やハッピーターンなどに見えるという意見があるようです。要は細長い米菓なんですね(笑)。しかし圧倒的マジョリティーは「ばかうけ」で、ポスターに印刷された宇宙船に実際のばかうけを重ねた画像があってフォルムが見事に一致していました。あー食べたい。

で、このばかうけ宇宙船の中に生命体がいて各国は彼らとコミュニケーションを取ろうとします。アメリカでは言語学者のルイーズが軍の偉い人(フォレスト・ウィティカー。相変わらず左右の目が非対称なのが気になる)に頼まれ、物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)らとチームを結成し彼らの目的を探るためコミュニケーションの糸口を探すという導入部です。


※ネタバレ第一段階(ラストには触れず)。


私は通訳以前に、この宇宙人たちとのコミュニケーションが可能なのだろうか?(そもそもコミュニケーションという概念があるのだろうか?)というもっともっと前提のところから真摯にアプローチしていくルイーズの姿に好感を持ちましたね。まあ学者としてはとても若い彼女が(しかも教えている大学も名門ってより普通の私学っぽかった)なぜ大抜擢されたのだろう?もっと大御所で権威ある学者さん が大勢いるのではないだろうか?などとも思いましたが。軍人のフォレスト・ウィティカーが「早く奴らの言ってることを訳せ!」とルイーズにせっつくんですが、ファクトをひとつひとつ積み上げて行かないと解読なんて出来ないんですよね。それを知的に説明するのがよかったです(オーストラリア大陸のカンガルーの話は有名だけど本当の話じゃなかったのか!)。

思い出したのがベネ様主演の暗号解読の映画「イミテーション・ゲーム」でした。ナチスの暗号解読をするために集められた数学者たちの話ですが、1つの規則性を見つけることが解読の糸口になるんですよね。本作は現在が舞台なのでパソコンもあり解析作業はだいぶ楽なはずなんですが、やはり非常に苦労するんです。宇宙人はタコみたいなビジュアルで触手から墨のようなものを出し文字らしきものを出すんですが、その文字が墨絵のようであり、紙のランチョンマットに付いたワイングラスの染みのようであり、なんとも不可解な代物なんですよ。

しかもその文字を引き出すまでにも苦労してるんですね。視覚的な助けがないとということで、ルイーズは紙に自分の「人間」という単語や名前を書き「わたしは、人間。わたしは、ルイーズ」というところからスタートしてるんです。モノには名詞があるってところからの説明。もう気が遠くなりそう!でもそのアプローチしかないわけなんですよ。思えば人間同士だって言葉が異なる人々と初めて接触したときは、そういう試行錯誤を重ねて辞書やフレーズ集を作って行ったんだなあ・・・ と胸アツになるわけです。まあ人間同士だったら「これ美味しいから食べてみて〜」と食べ物をプレゼントとかの方法もあるんですが、相手は正体不明のタコ宇宙人。そんな彼らとコミュニケーションの入口に立つということがとても崇高な使命のように見えて、ルイーズ頑張れ!と応援したくなるんですね。

このミッションの途中途中でルイーズは病気で亡くなった娘との思い出を回想します。赤ちゃんの頃から幼児、ローティーンになるまで様々な思い出がフラッシュバックするんですが、娘との会話から様々なヒントを得るんですね。この娘、家族というのがSF設定の裏に隠された本当のテーマなわけです。ふむふむ、愛する娘との思い出がこの仕事を成功に導くことになるんだろうなあ、とこのときは考えるわけなんですが・・・。



※ネタバレ第二段階(ラストまで)。話がちょっと前後するかもしれません。




少しずつタコ宇宙人たちのリサーチを重ねて行くことにより文字のデータがたまり、墨絵と単語がペアになった簡単な辞書が作られて行くんですよ。これって映画の設定上はどんなロジックになってるんでしょうかね。本当にひとつひとつ意味があって機能するように作られていたらすごいなあと思います(リュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」ではミラ・ジョボビッチの話す宇宙語は適当じゃなく本当に通じるように作ってあり、ジョボビッチはベッソン監督とその言語で話していたと読みましたが。ちなみにベッソンとミラ・ジョボビッチはこれがきっかけでデキており、ベッソンは当時のパートナーのマイウェンと別れている。マイウェンはその後女優兼映画監督になり「モン・ロワ」などいい映画を撮ってます)。

宇宙船はロシア、中国、ベネズエラ、英国、日本の北海道など他の国にも来ており各国が国の頭脳を結集してコミュニケーションを取ろうとしているんですが、誤解と言うか誤訳?が起きてしまうんですね。宇宙人が「武器」という単語を含む墨絵を吐いたので皆に緊張感が走るんです。先走った中国が戦闘態勢を取り他の国も中国に続きそうな勢いになるんです。でも心優しいルイーズとイアンは「武器という単語は1つめの意味の解釈で、他にも意味があるはず」と思うんですね。欧系の言葉なんかだと第一義の他にも色んな意味があって使う状況によって意味が変わっ て来ることがありますが、恐らくそんな感じなのかな?

ここは話の展開上仕方ないと思うんですが、ルイーズとイアンがちょっと優等生過ぎるかな~などと思ってしまいました。得体の知れない宇宙人相手に性善説を疑わないナイーブな人達のようにも見える・・・。ヘビープロテクションの防護服を脱いで宇宙人相手に「ほら、怖くない」とナウシカ的なアプローチもしちゃうんですよ。ブラック・コメディーなマーズ・アタックなんかだと、いの一番に殺されるタイプです(笑)。もちろんそのプロセスでルイーズとイアンの心も近づいて行くんですね。ここは、私的には職場恋愛アコガレを刺激されたのでした(参照作品:「砂漠でサーモン・フィッシング」)。

でもタコ宇宙人はそんな優しい二人に答えてくれる んですよ。アメリカ軍の悪い人たちが宇宙船内に仕掛けた時限爆弾に気付かず、船内で対話を試みる二人を助けてくれるんですね(しかも彼ら一匹?はそのせいで命を失うのだった)。娘との思い出を回想するルイーズは娘の名前「ハンナ Hannah」の由来について思い出します。「ママ、私はどうしてHannahなの?」「前から読んでも後ろから読んでも同じだからよ」そう、ハンナは回文だったのです。それがヒントになったようで、ルイーズの解読にアクセルがかかります。ルイーズは一人で宇宙船の中に向かい、残った一匹と対話をします(この時点ではもう文字を介さずテレパシーのように話が出来る設定?普通に話しているように見えた)。

娘のハンナが「動物の言葉を一緒に研究していたころのパパ(別居中)とママ」の絵を書き、粘土でタコ宇宙人を作っていたシーンがあったので「もしかして・・・?」と思っていたんですが、実は娘ハンナの回想は回想ではなく未来だったんですね。ハンナはルイーズとイアンの娘だったんですよ。で宇宙人が「ルイーズ、君は未来が見える」って言うんですが・・・。えー何それ?とちょっとビックリ。しかも、宇宙人の言葉が字幕で出て来るんですが・・・現地語オンリー!オリジナルと思われる英語字幕が見当たりませんでした。これはキツい!「え、え?」と混乱してしまいました。つまり「武器」と訳された言葉は「道具(未来が見える特殊能力)」みたいな意味合いで使われていたらしいです。紛らわしい!けどルイーズたちの推測は合っていた訳ですね。そういや日本語でも「資格を武器にして転職する」みたいに使いますな。

Wikiのネタバレによると、宇宙人はこの「道具(未来が見える特殊能力)」を人間に授けにやって来たと。なぜなら遠い未来に彼らは人間に助けてもらわなければならない事態になるから、そのときのために・・・ってことらしい。そんで今ルイーズにこの能力を使って戦いを回避させよ、ってことらしい。ふむ。でもちょっと待って、あんたたち宇宙人がこんなふうに正体不明に来たから世界が臨戦態勢になってんじゃないの・・・?とも思うんですが。あと高度な宇宙生命体なら一瞬で「道具」を脳にインストールする方法とかないの・・・?とかも思いますね(そしたら映画が成立しないか・・・)。これは私が語学を勉強する度に常々思ってることで、新しいソフトウェアをPCにインストールするように言語習得も簡単に出来たらなあ〜と思っているからです。しかしその「道具」が運用出来るのは今のところルイーズ一人なわけであって、どうやって継承して行くのだろうか・・・などとも思う。心配し過ぎですかね(笑)。

その「道具」を使ってルイーズが未来を見ると中国の最高指揮命令者のシャン将軍(ツィ・マー)と国際的なパーティーで話すシーンが浮かんできました。シャン将軍はルイーズにお礼を言い「あのときあなたが私に電話をして、亡き妻の最期の言葉を言ってくれなかったら、どうなっていたかわかりません」と言うんですね。それ、それだよ!それ何て言ったの~?ってことなんですが、中国が宇宙人を攻撃する前に聞き出してシャン将軍に電話しなければならない!というハラハラシーンになってました。ルイーズが話す中国語も字幕は出てなかったので意味は不明ですが・・・。原作小説の作者が中国系アメリカ人なんですね。そのせいなのか宇宙人が描く文字は墨絵のようでオリエンタルだし、回文が出て来ることからグルグル回るってことで輪廻転生の哲学を連想させ東洋的なコンセプトがあるのかなあ~とも思いました。ルイーズは中国語を話せる設定なんですが、彼女の中国語はネイティブにはどのように聞こえてるんでしょうかね。

あとはご想像通りですね。シャン将軍がわかってくれて(しかし彼が野暮な人でなくて本当によかったよ・・・)攻撃は中止、ばかうけ12基は宇宙に帰って行ったのでした。さて未来を見たルイーズ、イアンとの間に可愛い娘が産まれますが、イアンとは別れて娘は若くして病気になり他界することは既に知っているんです。それでも、この人生を受け入れますか?ということなんですが・・・。ルイーズはそうすることを望むんですね。ポジティブに描写されていますが、これはかなり辛いんじゃないでしょうか。イアンと別れるのはよくあることだしいいんだけど、娘がってのは・・・辛過ぎる。まあ、それでもルイーズは娘と一緒に生きる時間があることを選んだってことですかね。うん。

私的にはルイーズに未来が見えるってところから、かなりぶっとび設定だな~って思いました。そして帰ってからWikiを見て自分の理解度の確認作業でしたね(笑)。夫が言った通り、ちょっと甘い終り方ってのもわかる。そしてヒューマンドラマとして高評価なのもわかるし、その逆で「ハア?」となっている人がいるのもわかる・・・という作品なのでした。ロッテン・トマトでは現在のところ94%フレッシュですよ。これはちょっと驚き。もっと票が割れてるかと思いました。一方でおファス主演、今こちらの劇場でも多くロードショーされている「アサシンズ・クリード」は現在17%・・・まあこれは予告編からして微妙でしたけど。たぶん観に行かないと思います(笑)。

しかし主演のエイミー・アダムスは最近いい仕事ばかりしてますね。カヴィル氏演じるスーパーマンの彼女だし、トム・フォード様の「Nocturnal Animals (原題)」ではシリアスないい演技もしてるし。「魔法にかけられて」の頃はBSOL映画女優っぽいなって思ってたんですが、アカデミー賞にも何回も何回もノミネートされてるし。本作もオスカーに絡んで来ると言われていますが、どうなるのか楽しみです。

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『マグニフィセント・セブン』「七人の侍」は観たけど「荒野の七人」を忘れてた・・・



        
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お正月一発目に鑑賞した映画は黒澤明の「七人の侍」でした。名作時代劇映画を見て少しでもお正月気分を盛り上げようと思ったのです。いや~しかし、こんな長い映画だと思わなかった。3時間半くらいあるんですね。途中で休憩を挟むんですが(画面に「休憩」と出る)こんな長尺は久しぶりだったので思わずスナックの袋を開けてしまいました。個人的には正直そこまで超面白い!という映画ではなかったのですが(やはり長い)世界中で名作と言われているのはよ〜くわかりました。

野武士との激闘の末に七人の半分以上が戦死したけど、それでも立派に戦いました。彼らのことは英雄として村で語り継がれるでしょう・・・というラストなんでしょうな、と予想したら農民は次の田植えで大忙し。特に侍たちがお礼を言われていたり労われているシーンなどなく、丘の上に即席で作られた各人の墓標に日本刀が刺してあるのが映されます。それを見て生き残ったリーダーの志村崇が「結局、勝ったのは農民だ」とつぶやくシーンが切ない!このシビアな感じがすごくよかったですね。

さて「七人の侍」からの、最新リメイク作である本作なんですが。その前に「荒野の七人」という西部劇版リメイクがあるんですね(存在は知っていたが)。元ネタは「七人の侍」ですが本作は「荒野の七人」のリメイク。順番的にこっちを鑑賞してから最新作だなと思ったのでした。完全に順番を間違えてます。この何かのミッションのために集められた個性豊かな七人というフォーマットは、その後定番となり世界中で様々な「七人」映画が作られたとか。私が好きなイタリアの泥棒映画「黄金の七人」もそのフォロワーなんだそうです。へえ~。

「黄金の七人」と言えばモンキー・パンチ先生の「ルパン三世」が影響を受けている映画としても有名です。「七人の侍」も例外ではなく、例えばここに登場する寡黙な剣豪、久蔵(宮口精二)。常に冷静沈着で仕事はビシッと決める渋い男。いわゆる私達日本人も想像する「サムライ」の決定版みたいなキャラクターなんですが、これルパンの五右衛門に似てるな~と思ったらやはりモデルになっているとされる説があるそうです。そして「荒野の七人」で久蔵のアメリカ版はジェームズ・コバーン演じるナイフ投げの名人ブリット。あれ、コバーンといや吹き替えは小林清志。小林清志のもうひとつの代表キャラと言えばルパンの次元大介です。このブリットも次元のモデルになっている説があり、こちらも納得。どちらも主役の脇を固めるキャラですが、寡黙で百戦錬磨。仕事ができる男ってのが共通点ですね。

蛇足ですが不二子ちゃんのキャラは「あの胸にもういちど」で全裸に革のジャンプスーツでハーレイを飛ばすマリアンヌ・フェイスフルや「黄金の七人」でお宝を手にした後必ず裏切るセクシー美女のロッサナ・ポデスタからインスパイアされ、ルパンのキャラはジャン・ポール・ベルモント主演の様々なアクションコメディー映画にインスパイアされているそうなので「ルパン三世」は古今東西様々な映画からそのエッセンスを受け継いでいるようですね。だから軽妙洒脱でお洒落なんだろうな。




※以下、ネタバレ含みます。



さて本作の感想ですが、よく出来た西部劇アクション映画でした。若干ベタ?とも思われる部分もあったけど、それでよし。西部劇らしく馬が乱れピストルを早撃ちし合うアクションはカタルシスを与えてくれたし、個性豊かな七人のメンバー(人種的にも欧系、アフリカ系、メキシコ系、アジア系、先住民とポリティカリー・コレクトな感じ?)も皆よかったです。ただ集まった七人がどうしてこの仕事を引き受けたのかっていうのがイマイチよくわからなかった(英語のせいかもしれないけど)。ここは侍リクルート部分にたっぷりと時間をかけた「七人の侍」にはかないませんね。

リーダー志村崇の役は賞金稼ぎのデンゼル・ワシントン。メンバーはマジックが得意なガンマンのクリス・プラット、射撃の名手イーサン・ホーク、巨漢の山男ヴィンセント・ドノフリオ、クールなナイフ投げのイ・ビョンホン、メキシコ系アウトローのバスケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、先住民の青年で弓の名手レッド・ハーベスト(マーティン・センズメアー)という布陣です。彼らに仕事を依頼する未亡人エマが先日見た「ガール・オン・ザ・トレイン」にも出ていたヘイリー・ベネット。 七人がオールスターキャスティングじゃなくて知らない俳優さんも出ていたんですが二人だけだったので、キャラ分けは完璧でした。私は外国人の顔の区別が得意じゃないんですが、やはりエスニック系とデブが混じると識別しやすいですね。

本作の監督、アントワーン・フークアは「トレーニング・デイ」を撮った人なんですね。これもデンゼル・ワシントン(オスカー主演男優賞獲得)&イーサン・ホークでした。しかし・・・「トレーニング・デイ」では新人デカだった初々しいイーサン・ホークが本作ではすっかり初老の域に!老け込んだね~という感じなのに対して、デンゼルは全然変わってない不老っぷり。お肌もスベスベなのでした。

本作で一番おいしい役はクリス・プラットだったんじゃないかな〜と思います。「七人の侍」で言うなら三船敏郎の菊千代的なポジションなのかな~?全くそれというわけでもないんですけど、女好きっぽい描写がチラチラとあったので。しかし彼「ジュラシック・ワールド」のときカッコいいと思ったけど、なんか太った・・・?彼みたいなタイプは気を抜くとすぐに太りそうな感じがします(笑)。散り際がすごくよかったですね。敵のモブは銃弾を一撃くらったらすぐ死ぬんだけど、クリス・プラットは数発まともにくらっても全然死なない(笑)。そこはまあいいんです。クリプラはひん死の状態なのに敵前まで来て、それでも戦おうとするんですよ。もう死ぬなってときにタバコが吸いたくなって、火をつけようとするんですがつかない。彼の気迫に圧倒された敵は最後のタバコくらい吸わせてやろうと火を付けてやるんですね。ニヤっと微笑むクリプラ。それで死んだと思ったら・・・実はその火を爆弾に付けて敵もろとも自爆するという最期でした。

次においしいのが初老になっちゃったイーサン・ホークかな。ひょろっと弱そうに見えて、実は遠くからでも標的に命中させることが出来るロングライフルの使い手なんですね(百合の紋章をベストに付けていたのでフランス系?)。決戦前夜に逃げちゃうんだけど、戦いのさなかに戻って来てバンバン敵を倒して行くんですよ。一回いなくなっただけに、戻って来た時は「おおー!」って感じで盛り上がるんですよね。最期は教会の塔の上から援護射撃で次々と敵を仕留めるも、敵側の巨大な回転バズーカに倒れてしまうんですね。

一番のイケメンがナイフ投げのイ・ビ ョンホンだったと思います。恐らく「七人の侍」の久蔵ポジション、「荒野の七人」のジェームズ・コバーンボジションなのかな。寡黙設定だし外国人だし、もしかして一切しゃべらない設定とか・・・?と思ったら普通にしゃべってました(笑)。アクションにキレがあったし、自身もシャープなナイフのような身体でしたね。ビョン様でウエスタンといえば「グッド・バッド・ウィアード」を思い出しますね(悪役だったけど)。これも超面白かった~。しかもビョン様もうアラフィフ!なのにこの若さとイケメンぷりはすごいです。

志村崇役のデンゼルはアクションというよりもアップになった演技パートの方が印象的でした。ラスト近くで敵のピーター・サースガード(部下でもすぐに撃つ残酷な悪役っぷり。サースガードはちょっと痩せた?)を追い詰めて負傷させます。でも 殺さずにサースガードが火を放って燃え尽きた教会の中に引き入れ「ここで今までやってきた悪行を悔いて、殺して来た人たちに祈れ!」と言うんですね。どうやらデンゼルも大事な人をサースガード一味に殺されたという過去があったようなんです。気持ちはわかるけど、ラスボス的悪人は即死させないとゼッタイに後から反撃されるの法則・・・と思ったらやはりでした。しかし未亡人のエマがサースガードを射殺してデンゼルは助かるんですね。未亡人としては夫(イケメンのマット・ボマーが演じていた)の復讐を果たせた訳です。

「荒野の七人」を見ていないのでどうだかわかりませんが、戦闘の方法がユニークでした。町の周りに塹壕を掘ってその中に潜んで発砲したり、敵をギリギリまで近づけて仕掛けておいた爆弾をちゅどーん!と爆発させたり。「七人の侍」では一つを残して村の入口を塞ぎ、一騎づつ村の中に入れて大勢で攻め確実に数を減らして行くという戦法でした。しかし一騎だけ中に入れさせるってのが結構難しそうですよね。志村崇が「攻めるより守る方が難しい」と言ってたけど本当にそうだな〜と思いました。あと、決戦前夜に侍の中で一番若いメンバー勝四郎(木村功)と惹かれ合っていた村娘の志乃(津島恵子)が一夜を共にするんですが、それを知って激怒する志乃のおとっつあん(藤原釜足)に、誰か忘れたけど七人のうち一人が「決戦前夜の男女間のこういうことは城でもよくあること」と諭すように言うシーンが味わい深かったです。しかしどちらの映画も敵味方入り乱れる戦いでよく間違って味方を撃攻撃しないもんだなあ・・・と感心してしまいました。

戦い後、七人のうちデンゼル含む三人が生き残ります。町を去る三人にお礼を言う人々。「彼らこそがマグニフィセントなのだ」という未亡人エマのモノローグに戦死した四人の即席の墓標。「荒野の七人」のメインテーマがかかり、各キャストのミニハイライトシーン&クレジット。最後に7の数字上にメンバーの顔が揃いエンディングです。いや~、ガンアクションもすごかったしデンゼルもクリプラも柳沢慎吾(イーサン・ホーク)もビョン様もかっこ良かったし、満足感がありました。七人が「西部警察」みたいに横にずらっと並んで歩くシーンも何カ所かあってチーム男子感も十分見せてくれましたし。これで各人のキャラ付けをもう少しして、ドラマ部分を充実させてくれれば言うことなしのパーフェクトだったと思います。「荒野の七人」を見ていればまた違った感想を持つのかもしれませんが・・・。ということで、新たな宿題が出来たのでした。


『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』珍しく普通の男を演じてるヴァンサンが見られる貴重な映画

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こんなヴァンサンのビジュアルもファンには嬉しいわけで。


五日物語」と「美女と野獣」を鑑賞してヴァンサン・カッセル熱が再燃し、彼について検索などしていたらこんなELLEの記事を発見しました。何?ヴァンサンが愛すべきダメ男を演じるって?これは観なきゃイカン!しかし、私はこの映画の存在を前から知っていたんですね。居住国で毎年行われるフランス映画祭の中のラインナップに入っていたのです。ヴァンサン出演だけど、フランス語についていけなさそうだからスルーしてたんですよ。

しかしヴァンサンが変態(from「変態村」「破戒僧」)でも野獣(from「美女と野獣」「ジェヴォーダンの獣」)でもギャング(from「ジャック・メスリーヌ」「イースタン・プロミス」)でもクセモノ(from その他すべてのヴァンサン出演映画)でもない、普通の生活の中にいるダメ男を演じるということでダメ男好きの私はそれに突き動かされて鑑賞してみたのでした。まずどういう話がザックリ知りたいと思い、普段はなるべく見ないようにしている予告編をチェックしたところ、セリフが少なくわかりやすいものだったということも背中を押したのでした。





「モン・ロワ」は「私の王様」という意味ですが、タイトルから連想してちょっとBSOL風味のラブコメ映画なのかな~って思ってました。ダメな男なんだけど、どうしようもなく魅力的で私にとっては王様の様な男だから、色々尽くしちゃうのよね~。でも私は幸せだからいいの!みたいな。そんな王の座に君臨するのがヴァンサンってことで、最高の映画じゃないですか?と思っていたんですが。しかし、内容は「ブルーバレンタイン」を思わせる現在と過去が交錯するカップルの蜜月から離婚、その後の共生までを描いた話です。途中ドラッグ中毒や自殺未遂なども出て来てちょい重いんですが、観賞後の印象は軽やかでした。

監督はマイウェン。この名前はどこかで聞いたことが・・・と思ったら、フレンチ・エクストリーム・ホラーの「ハイテンション」に出ていた女優さんでした。へえ、こんないい映画を撮るんだな~と驚き。脚本も兼ねています。非常にリアルな肌触りなので「これ経験談だよね」と思ったらやはりそうでした。マイウェンと元パートナーの間に起こった出来事がたたき台になっていて、自殺未遂を計るパートナーの元カノであるモデルはリアルではカレン・マルダーだったそうです。知らなかった。ちなみに本作の日本公開は17年春だそうです。

ヒロインのトニー(エマニュエル・ベルコ)はスキーで脚を負傷して、海辺にあるリハビリ施設で過ごしています。そこで治療を受けながら、彼女とかつての夫ジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)との10年間に渡る思い出を回想するという構成になっています。弁護士のトニーは、仲の良い弟ソラル(ルイ・ガレル)とその彼女バベス(イスリッド・ス・ベスコ。監督マイウェンの妹)とクラブに出かけます。そこで偶然に昔から知っていたレストラン経営者のジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)に再会します。そこから彼との蜜月が始まり、トニーは妊娠し、二人は結婚式をあげます。しかし、それを知ったジョルジオの元カノであるアニエス(クリステル・サン・ルイ・オー ギュスティン)が自殺未遂を起こし、責任を感じたジョルジオは彼女の世話をすることに。一方、それに耐えられないトニーは家を出て行こうとします。このままではうまくいかないと悟ったジョルジオはトニーの住むアパートの向かいに部屋を借り、別居の結婚生活を提案します。険悪だった二人の仲ですが、息子の誕生を機に和解します。しかし、二人の結婚生活はアップダウンの激しいものでした・・・というお話です。




※ネタバレします。




なんといっても、ヴァンサンが普通の市井に暮らすカタギである男を演じているのが貴重!あ、元嫁モニカと結婚するきっかけとなった「アパートメント」でも一応普通の男役でしたっけ。そういう普通の男役が極端に少ない俳優ヴァンサン・カッセル(ラブストーリーにもほぼ出てないですよね)。この映画では、そんな彼と出会い(再会)、初デートし、初ベッドインし、妊娠検査薬を一緒に見て、結婚式して、妊婦検診一緒に行って、立ち会い出産をする・・・と、カップルとしての幸せなプロセスを追体験できるという、ヴァンサンファンならたまらないシーンがいっぱいなのです。てか今までいかに普通とかけ離れた役ばかりやっていたんだ、ヴァンサンという感じもしますが(汗)。

あとこの映画のヴ ァンサンはとにかく陽気!場を盛り上げておどけたりして、周囲の人々を楽しませることが大好きな人なんですね。だから一緒にいるとすごく楽しいんですよ。いつものクセモノ演技とはまったく違う優しい眼差しもいいし。何度か彼のインタビュー画像を見ましたが、本作のキャラクターは素のヴァンサン・カッセルに近いんじゃないかなと思いました。クセモノといえばヒロインの弟役ルイ・ガレルもいつもクセモノを演じることが多い俳優ですが、この映画では普通に姉思いのいい弟でしたね。

まあでも蜜月は長くは続かないんですよ。既に妊娠中から亀裂が入り、カップルとしては空中分解しかけ。だからこそ短くも濃い蜜月時代が輝くんでしょうかね。息子が産まれたので、そのためにやり直したりするんですがやはり暗礁に乗り上げてしまうんですね。夫は見知らぬ女(と言い張っているが)と浮気するし、妻は精神的に不安定になり薬を飲むよ うになりますが飲み過ぎて危ない状態になったりするし。これじゃお互いによくないってことで結局離婚することになるんですが、離婚した途端に関係がよくなったりするのがまた面白いところですね。この離婚=不仲ではないってところが、なんとなくヨーロッパぽい感じがします。フランスのミュージカル映画「愛のあしあと」でも別れた夫婦が再会してベッドインしたりするシーンがありましたっけ。

元夫婦と息子で一緒に旅行するシーンがあるんですが、これが本当に楽しそうなんですよね。わざわざ結婚という選択肢を選ばなくても、というか選ばなかった方がずっと幸せそうに見えるので、何故二人が結婚をしたのかが不思議です。そして夫が妻にカルティエの腕時計(しかも金の)をプレゼントするんですよ。前は負債を抱えていて家具を差し押さえられていたのに、たいしたもんです。ラッピングがなかったから中古かもしれないけど、羨ましい~。

息子抜きのときでも二人の友好的な付き合いは続いていたんですが、妻のキャリアが上向きになってくると夫が嫉妬するようになるんですよね。あれ、夫ってそんなキャラだったっけ?って思うんですが明らかに面白くない様子。ヴァンサンの演技も陽気な今までと全然違って、不穏な周波数を出すようになります。この辺の切り替えが上手いなあ~という感じ。この時点でもう10年くらいの時が経過しています(息子も大きくなっている)。

監督や主演の二人のインタビューを見ましたが、この映画はお互いに愛し合っているけれど、一緒に歩むことが出来ないカップルの悲喜劇を描いているのだそうです。若い頃だったら「愛し合っているなら、何があっても添い遂げられるはず!」と固く信じて疑っていませんでしたが、大人になった今は「そういうカップルは山ほどいるに違いない・・・」と思えるようになりましたねえ。人生色々、夫婦/カップルも色々、なんですよね。

ラストシーン、妻と息子の学校の先生との面談が行われているところに夫がやってきます。息子は学校の成績も良く先生にも褒められていて、嬉しそうな妻と夫。面談の間に二人の間で交わされる視線は穏やかで、嵐が過ぎ去った後の海原のような平和さです。妻は夫の横顔をじっと見つめます。愛しあったり、喧嘩したり、色々あったなあ・・・という視線。これが実に味わい深いんですね。

映画のいいところは色々なこと を追体験出来るというところですが、私自身もヴァンサンと色々あった10年間を過ごした様な気分にさせてくれました。あと、ヒロインの現在であるリハビリの様子が挟まれていて嵩高になっていた構成もよかったと思います。この構成は決して物語の濃度を薄めることはなかったし(そもそもずっとカップルのアップダウンを見させられたら、観客もくたびれてしまうだろう)まるで、お好み焼きに入れたキャベツのようにいいボリューム感を出していたと思いました。評価も良かったようで、フランスのアカデミー賞的なセザール賞では主要部門で軒並みノミネート。カンヌではトニー役のエマニュエル・ベルコが主演女優賞受賞したし、パルムドール賞にノミネートされたということだそうです。

ということで、珍しく普通の男を演じている「私の王様」ヴァンサンとの波乱に満ちた10年間を追体験できる貴重な貴重な映画なのでした。


『迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険』聖典を大胆にアレンジした傑作コメディ



                                

今は日本語版がないっぽいですが、YouTubeでフルムービー上がっているのでご興味のある方は是非に。


しあわせへのまわり道」でベン・キングスレーを見て、「本当いつまでも変わらないなあ・・・」と思い、そういえば私が初めてベン・キングスレーを認識した作品は本作だったと思い出したのでした。初めて観たのはたしか十代のときで、世の中にはホームズのパロディ映画がいろいろあるのを知ったのもこの頃。聖典は結構シリアスな話が多いですが、ギャグあり、お色気ありの自由過ぎるパロディ映画を知って、創作の可能性を感じたものでした。

本作もかなり大胆にアレンジが加えられている作品で、なんとホームズは雇われ役者で、世間からはただの助手と思われていたワトソン君が真の名探偵だった!という楽しいお話です。ホームズを演じるのはマイケル・ケインで、ワトソン君はベン・キングスレー。どちらも英国の名優で、配役も素晴らしいことは言うまでもありません。




↑予告編。




↑マイケル・ケインのドヤ顔にニヤニヤしてしまう劇中からの抜粋シーン。「ものをただ見てるだけじゃダメなんだよ君、観察するんだ!」というのは「SHERLOCK」でもありましたね。

しかし、ホームズといえば鷹のような鋭さが持ち味のジェレミー・ブレットだった子供の私にとって、ふてぶてしい中年で(ちょっと太ってて)酒好きで女好きのホームズというのはかなりの衝撃なのでした。そんなんでも憎めないホームズをマイケル・ケインが実にチャーミングに演じています。一方のワトソンくんですが、当時の私はベン・キングスレーがインドハーフなのを知らず、普通にイギリス人のおじさんだと思ってました。近年ではエスニックな役柄が多いですが、本作ではイギリス英語が素敵。彼のインドなまりもかなりリアルですし、芸達者なんですね。

切れ者のワトソンくんとだらしないホームズという原作とのギャップをとことんギャグにしながら、正調ドタバタ喜劇で最後の最後はちょっといい話。ハドソン夫人、レストレード警部、モリアーティー教授、ベイカー街イレギュラーズと原作でもおなじみのキャラが揃って登場するし、世代を問わず楽しめる映画になっています。

当時、ちょうど同じぐらいに観たパロディ映画でやっぱり衝撃だったのがビリー・ワイルダー 監督の「シャーロック・ホームズの冒険」(しかしホームズ作品のこの似たり寄ったりの邦題、なんとかならないものか・・・)。この映画はホームズとワトソンくんのゲイ同棲話や、ホームズが子種をねだられる話や、謎の全裸美女や、ネス湖のネッシーやらと、色んな話が豪速球で詰め込まれていてファンにはたまらない作品です。これに関しては長文感想を書いているので、よろしければ上記リンクからどうぞ。

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』四俳優が活躍するケイパームービー風のようですが・・・

                           



色々とアカデミー賞に絡んでいるので鑑賞しました。日本版ポスター(四俳優が並んで歩いているやつ)や邦題やキャッチコピーを見てる限りでは金融界を舞台にしたケイパームービーのように見えます。アウトロー四人が集まって、それぞれの得意分野を活かしながらデカイ山を狙う!みたいな・・・。だって「華麗なる大逆転」なんだし。それに、クリスチャン・ベールつながりで「アメリカン・ハッスル」、ブラピつながりで「オーシャンズ」シリーズを連想させるではないですか。それでは金融業界のアウトロー四人のキャラクターを一人一人見て行きましょう(以下は私の想像です)。

まずは助演男優賞候補になっているクリスチャン・ベール。以前はゴッサムシティという犯罪多発都市で一人自警団をしていたが、現在はギーグな数字オタクで、膨大な量のデータを分析し今後の先行きを見通すブレーン。そして狂乱のバブル経済を生き抜いた、生え抜きの営業部長にスティーブ・カ レル。歯に衣着せぬ変人だがベテランならではの洞察力を持ち、データだけではわからない人情もカバー。そして彼の部下で営業部のエース社員がライアン・ゴズリング。甘いマスクで男女問わず顧客を悩殺。某英国スパイ顔負けに仕事と女遊びを軽々と両立させる憎い奴。最後に伝説の金融マン、重鎮のブラッド・ピット。生き馬の目を抜く金融界で、仙人のような達観した視線を持ち続け現在の地位を確立した男。キャラの濃いメンバーを束ねるチームのまとめ役。この四人がそれぞれの得意技を駆使して、大胆な一攫千金を狙う!(以上は私の想像です

でも全然そんな映画じゃなかったんですね。超勘違いでした・・・。俳優たち、チーム組みません。スティーブ・カレルとライアン・ゴズリングは繋がりが あるけど、後の二人は全然メインどころと繋がりません。

そして・・・映画の内容が、ほとんどわからなかった!!!町山さんの紹介をたまむすびポッドキャストで聴いていたにもかかわらず、なんのことやらサッパリ。私はものすごい金融オンチなんですよ・・・。恥ずかしいことに未だに証券ってなんだかよくわらかないし、トレーダーって何をトレードしてるんだか・・・ってくらいで。マーゴット・ロビー(本人役。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」前提での出演か)や有名シェフが私の様な人にもわかりや〜すく金融商品の説明をしてくれるから、そこではわかった気になるんだけどドラマ自体が全然わからない。そして二時間を越える長尺で、まったくわからない分野についての高速英語、かなりの苦行でした。ということでまともな感想文が書けません・・・(恥)。ということで思い出話でも。

まあ所詮、リーマンショックとは遠いメリケンの話。ワシには関係ないのじゃ・・・てことでスルーしようと思ったのですが、関係ありましたよ!筆者はリーマンショック時、東京にある某企業に勤めていたのですが、リーマンショックを理由に全員一律5万円減給。筆者が勤めていた某企業は金融業でも製造業でもなく、ましてやアメリカ系外資企業でもなく、私のいた部門の業績も業界内では一人勝ち状態で、家のローンを組む時に社名を一言口に出せば、営業マンがチヤホヤモードに一変するような「優良」企業だったのですが・・・。内実はかなりブラックに近い企業であるというのが社員の認識でした。

5マンですよ、5マン!家族を養っていたら即死するような減給額ですよコレ・・・。元々がたくさん貰ってたんじゃないの?と思うかもしれませんが、会社規模と知名度と年齢にしたら普通かやや少ない方だったと思います。その後、同業他社に勤める知人から聞いたところ、リーマンショックを機に業績アップした会社もあったらしい。突然の減給にリーマンショックがこの上ない強引な理由付けとして使われたのは明らかでした。・・・と、過去の恨み節を思い出し、苦々しく思ったのでした。

しかしこの四人は最後に大逆転するわけなんですが、それが全然スカッとしないように描かれていました。そこがリアルっちゃあリアルなのかな。筆者が印象に残ったのが劇中に登場したチャラいアラサーくらいの二人組ですよ。金髪と黒髪の金融マンで、住宅ローンを売っているんですが、返済能力のなさそうな人にもバンバン売って、ウェーイ!!!と調子に乗ってるんですね。高そうな服に高そうな時計。インスタントな全能感により思い上がった表情がイラっとします。

ところがリーマンショック後、失業した二人が冴えない表情で就職フェアみたいな会場にいるカットが入ります。ブースにはIKEAやKFCなどの企業名が。ここが童話「アリとキリギリス」みたいでグっときました。まあ彼らもリーマンショックの広義の犠牲者ということでもあるんですが・・・。こうして考えるとリーマンショックは様々な人の人生を狂わせたんでしょうね。太平洋を跨いだ極東にある国に住む一介の平社員であった私の人生でさえも例外ではなかったのです(しみじみ)。



『マン・オブ・スティール』スーパーマンの萌え要素もっと投下希望


        



ヘンリー・カヴィル主演作なのでチェック。公開時に観たという友人は「全然面白くなかった」と言っていたので、なら別に観なくていいや~、まあそもそも興味ないし~、それにマーベル映画でもないし~とスルー。それから数年後・・・まさか「コードネーム U.N.C.L.E.」で生けるギリシャ彫刻のようなカヴィル氏のエロくダンディーな魅力に目を焼かれて、彼の出演作を追いかけることになるとは当時の私は知る由もなかったのでした。

ということでスーパーマンですよ。なんかマーベル・シネマティック・ユニバースの対抗勢力としてDCコミックという出版社刊行のアメコミヒーローたちによるジャスティス・リーグというのが出来るらしい、そこにはスーパーマンやバットマンやワンダーウーマンその他大勢のヒーローがいて、アベンジャーズみたいに全員集合しちゃうらしい・・・ということで、この春の新作公開前に旧作をチェックするいい機会でもあったのでした。








※特にネタバレはしておりません。



ハッキリ言って、スーパーマンの話なのにそんなにスカっとする面白い映画ではないです。なんか暗いし、ひたすら大量の建物が壊滅されてて引くし。しかも2時間23分の長尺!それに重々しいんですよね・・・。監督は残酷&エロスがほとばしっていた「300 帝国の進撃」のザック・スナイダーですが、制作がシリアス&ダークにバットマンを撮ったクリストファー・ノーランということも影響しているのでしょうか。ノーランのバットマン、そこそこ面白かったんですけどね(特に故ヒース・レジャーのジョーカーは後世に残る名演技)。でも、ジャスティス・リーグのバットマンはクリスチャン・ベールじゃなくてベン・アフレックだとか・・・(ベンはデアデビルじゃなかったっけ?)。これには「え~」って感じ。だってクリスチャン・ベールの方がイケメンじゃないですか?

特殊効果はもの凄く頑張っててお金かかってる感じがするんだけど、なぜか爽快感とカタルシスを与えてくれない。消化不良な感じなんですよ(そんでひたすら長い)。しかし俳優陣はとても魅力的だったし頑張ってました。スーパーマンのパパにラッセル・クロウ。育てのパパにケビン・コスナー。この二人のパパが豪華かつ確かな演技力で脇をビシっと締めていましたね。ヒロインのジャーナリスト、ルイスにエイミー・アダムス。当時37歳。スーパーヒーローもののヒロインにしちゃ、結構なババアじゃ・・・?って思っちゃうんですが、そこが逆にいい。若い女優には出せない味があるし、ヒロインの年齢を高くしたことでアラフォー女性にもアピールするんじゃないかと思いました。若いカヴィル氏とのバランスもいいと思います。悪役ゾッド将軍にはヤング・クリストファー・ウォーケンのマイケル・シャノン。やっぱりこういう荒唐無稽なアメコミ映画には演技派で上手な役者さんでないと・・・と思いましたね。

そしてそして、主人公のクラーク・ケントに我らがヘンリー・カヴィル!もうこの役をやる為に 生まれて来ました!!!みたいな顔と身体。あまりに完璧すぎるので、もしかして実在の人物ではなく、すべてCGなんじゃ・・・?と思うくらいです。クラークのパーソナリティーがちょっとボンクラテイストなのがいいですね。漁船で働いているときに大きな鉄のカゴが上から落ちて来るんですが、ボーっとしていて仲間に「何やってんだ!そんなんじゃ船の上で死んじまうぞ!」って助けられる。でもその後、たったひとりで海から石油を抽出する施設が爆発しそうになってるのを助けに行くんですよ。ちょっとだけボーっとしてるけど気は優しくて力持ち。33歳になってるのに季節労働をしながら旅をするみたいな設定もいいし、育てのおかん(ダイアン・レイン)と良い関係を築いているのもいい。それに・・・そこはかとなく漂うDT感がいい!キャプテン・アメリカもそうだけど、スーパーヒーローにとって童貞設定って全然恥ずべきことじゃないと思うんです。むしろプラス、魅力、萌え要素。あんなにエエ身体しとるのに・・・スーパーヒーローやのに・・・ってギャップもたまりません。ラストではダサい黒縁メガネをかけチェックのシャツを着てデイリー・プラネットで働くことになるんですが、そのセンスにも萌え~!!!なのであります。

前述した萌えポインツは決して「どや、萌えるやろ?」と強調して描かれていた訳ではなく、筆者が勝手に汲み取ってそれを自家発電的に増幅させて萌えているのですが、こういう燃料が劇中であちこちに投下されていれば、もっともっと楽しい映画になったんじゃないかな~と思います。そう考えるとちょっともったいないですね。一作目だし長尺なんだからアクションよりも内面をもっと掘り下げて欲しかったかな。クラークはクリプトンと地球の間で色々悩んではいたんですが、それもちょっと弱かったように感じました。とにかく、素材(俳優)はいいのに調理法(演出)がイマイチ。ということで、3月 に公開される「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」に期待したいと思います。ベン・アフレックのバットマンはちょっと大丈夫かな〜って不安ですが。


『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』ホームズ93歳、もうひとりの「あの女(ひと)」と日本






サー・イアン・マッケランが93歳のホームズを演じる!というニュースをキャッチしてからずっと楽しみにしていました。聖典でもホームズは引退後に海が見渡せる田舎で養蜂をしながら老後を送っているという設定になっています。その設定を引き継ぎながら、邦題にも付いている忘れられない「最後の事件」の創作を付け足して晩年のホームズと家政婦の息子との心の交流を描いたヒューマンな作品になっています。

イギリス人監督による純イギリス映画なのかな~と思ったら、監督は「 ドリームガールズ」のビル・コンドン監督でちょっと意外でした。感想は・・・よかったです!ホームズがヨボヨボで痴呆気味になっちゃって、ワトソンくんもマイクロフトもハドソンさんもみーんな鬼籍になっちゃってひとりぼっち。ああ、親しい人が皆行ってしまって、一人だけ長く生きるって辛いなあ・・・切ないなあ・・・嫌だなあ・・・筆者は家族や友達よりも先に死にたいなあ・・・と思わされるんですよ。でも、それでも生きて行く。ホームズファンでなくても感じ取れる普遍的なメッセージがあるんです。


※ネタバレします。


93歳のシャーロック・ホームズ(イアン・ マッケラン)は田舎の一軒家で住み込み家政婦のムンロー夫人(ローラ・リニー)とその息子ロジャー少年(ミロ・パーカー)と一緒に静かな余生を送っていました。ホームズはロジャー少年に養蜂の手ほどきをして、少年もホームズになついています。二人の間にはおじいちゃんと孫のような関係が出来上がっていました。しかし進む痴呆。ホームズはロジャーの名前さえも覚えられなくなって来ていたのです。そして、彼には引退を決意させた最後の事件がありました。その事件は長年、彼の心の奥に引っかかっていたのです。思い出せるうちに最後の事件のことを書かなければ・・・とペンを取りますが、なかなか上手く行きません。最後の事件の他にもう一つ、ある日本人 男性ウメザキ(真田 広之)とのエピソードも同様に忘れられない思い出として残っていました・・・というあらすじです。

上に貼った予告編には登場していますが、筆者は真田広之が出てることを知らなかったんですよね。だからオープニングクレジットを見て「ええっ?!」と驚いてしまいました。真田広之・・・いまや英米の映画に登場する日本男優はほぼ彼では?(女優は菊地凛子)というくらい出てませんか? ホームズが引退後に日本へ旅行したエピソードで出て来るんですよ。ホームズ聖典と日本との関係と言えば、ライヘンバッハの滝でモリアーティー教授との死闘で使われた日本の武術「バリツ」じゃないですか。ホームズ、日本へバリツ留学?と思いましたがそうではありません。植物の研究に行ってたんですね。戦後すぐくらいの日本が舞台なんですが、やっぱりセットにちょっぴり違和感があるのは否めません。特に食堂がなんか中国みたいだったのがちょっと残念でしたね。まあ素晴らしい映画なのでこれは重箱の隅なんですが。

ホームズはウメザキと一緒にヒロシマへ行き、原爆投下の傷跡生々しい焼け野原になった街を見ます。そこでは家族を失った男が自分の周囲に並べた石のサークルの中で懸命にお祈りをしていました。「あの石は彼の亡くなった家族 を表しているのです」と説明するウメザキ。そしてホームズは焼け野原に生えていた山椒の一種(?)を採取してイギリスに帰ってからも大事に育てているのでした。

しかしサーのホームズ、さすがですね。サーはまだ70代ですが、ちゃんと93歳に見えるんですよ(老けメイクもあると思いますが)。さすがのホームズも年波には勝てず、痴呆とかになって家政婦さんのローラ・リニーに迷惑かけたりしてるんです。ホームズは実験の途中で意識を失ったりしてるのでローラ・リニーは「もうお義父さん、本当にいい加減にしてくださいよ!」というテンション。手がかかる舅を世話する嫁感アリでした。しかし頭脳や精神はまだしっかりしてるんですよね。ロジャー少年の子役がまた可愛いこと。ホームズとロジャー少年が一緒に養蜂をしたり海水浴したりするシーンが本当に微笑ましいんです。田舎の風景も美しいし。そういやホームズと子供って取り合わせも聖典パロディ含めてレアな気がしますね。

さて回想で語られるホームズを引退させた最後の事件とは、非常にミステリアスなものでした。依頼人のケルモット氏(パトリック・ケネディー)の妻アン(ハッティ・モラハン)の様子が近頃おかしいので探って欲しいというもの。二回流産をしたアンは精神のバランスを崩してしまい、夫のすすめもあってグラスハープを習い始めました。アンは次第にグラスハープにはまり、足繁くレッスンに通うようになります。そこから彼女の様子がおかしいのに気が付いた夫は彼女を尾行して、教室へ行くのですが先生から彼女は来ていないと知らされるのです。一 体彼女は何をしているのか?ということなんですが、ちょっとだけ聖典の「唇の曲がった男」の導入部に似てるなと思いました(妻と夫の立場が逆ですが)。回想のホームズも、もちろんサーが演じるのですが、可能ならおファス(マイケル・ファスベンダー)にして欲しかったかも・・・なんて思ってしまいました。だってマグニートの若き頃はおファスですからね(笑)。

若いホームズと言えば、サーが映画になった自分の冒険を観に行くシーンがあります。ここでホームズを演じているのはニコラス・ロウ。彼はスピルバーグ総指揮の映画「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」(1985)で、ティーン時代のホームズを演じたお方です。この映画、筆者も観たことがあります。ティーン時代という設定なんですが、ワトソンくんとも既に友達になっており一緒に冒険をするという映画(確かモリアーティー教授もいた)。劇中でホームズには美しいガールフレンドがいるのですが、彼女が冒険の途中で死んでしまったので以後は彼女に操を立てて女嫌いになるという泣かせる話でした。「へー、あの男の子がねー、立派になっちゃって」と思ったらもうニコラス・ロウはアラフィフでした。でもあんまり変わってない。本作でのニコラス・ロウはジェレミー・ブレットがドラマで着てたみたいな黒いタイとスーツを着ていて、それも嬉しかったです。

アンは薬局で毒物にもなる薬を買ったり、夫の銀行口座からお金を引き出したりと怪しい行動を取っていました。夫を殺害か・・・?と思いきや、実は薬は自殺のためでお金を引き出したのはは自分と子供たちのお墓を作るためという 悲しい悲しい理由だったのです。それを見抜いたホームズは、彼女を諭します。そのやり取りの中でアンが「私と孤独を分け合ってくれませんか?」と言って、ホームズもそれにちょっと揺らいでしまうんですよね。ホームズ自身が選んだことではありましたが、彼もずっと孤独でした。孤独な二人の魂が交差するのが伝わって来る素晴らしいシーンなんですが、演じているのがサーなので(サーはゲイをカミングアウトしている)ちょっとだけ引っかかってしまいました。だからおファスだったら・・・などと妄想してしまったわけです。もちろんホームズは「旦那さんのところに戻りなさい」と言って彼女も納得し薬を捨てるんですが、結局線路に身を投げて自殺するのでした。こんな悲しい事件がずっとホームズの心に残っていたのです。彼はアンが忘れて行った手袋と、彼女の写真を今も大事に取っておいてあるんです。切ないのう・・・。いわばアンはもう一人の「あの女(ひと)」なわけですよ。

しかし心理描写が非常に丁寧な映画でした。ホームズとアン、ホームズとロジャー少年、ロジャー少年とお母さん、どのダイアローグシーンもキャラクターの想いがじわ~っと伝わって来るんですね。そういう丁寧に出汁を取った様な演出が重ねられてきているから、アンが自殺したと知った時や、可愛いロジャー少年がスズメバチに刺されて意識不明になってるシーンでは、もう「ええ~っ!!!」と観客も打ちのめされるんですよ。

痴呆が進んで行くけれども昔の忘れられない思い出を断片的にプレイバックし続けるホームズを見てると、先述したように「ああ、親しい人が皆行ってしまって、一人だけ長く生きるって寂しいなあ・・・辛いなあ・・・切ないなあ・・・できれば家族や友達よりも先に死にたいなあ・・・」と思ってしまうんですよ。私は特に子供の頃からホームズ物語に親しんで来ていて現役時代の彼のシビレル様な活躍を知っているからなおさら、名探偵の老境を見るのが辛い。ラスト近くで、ロジャー少年が回復してホームズと一緒に再び暮らすことになります。海の見える丘に座ったホームズは自分の周囲に石を並べます。「この石はワトソンくん、これはマイクロフト、これはハドソン夫人・・・」そして、ヒロシマで見た祈る男のように彼も亡き愛する人々へ祈りを捧げるのでした。


過去への感謝を持ちながら今現在周囲にいる人と心の交流を持ち、一日一日を生きて行く、というラストに落涙。そしてワトソンくん、マイクロフト、ハドソン夫人と石を並べるホームズ、アンに「私もずっと孤独だった」って言ってたけど、違うよ!理解のある素晴らしい人々に囲まれてとっても幸せだったじゃないですか!いつも献身的な友人で相棒のワトソンくん、助けてくれたり仕事をくれたりしたマイクロフト兄さん、面倒くさい下宿人だったホームズを母親のようにひたすら受け入れてくれたハドソンさん。ホームズが93歳にしてやっとそれを認められるようになったんじゃないかな・・・とも思えるのです。ホームズファンとしてキャラクターに思い入れがあるから落涙、落涙でした。アンだって辛い思いをして孤独だったかもしれないけど、あんなにいい旦那さんがいたのにもっと早く気付くことが出来ていれば・・・と思うと切ないですね。

そして、サーもどうか長生きして色々な映画に出てね!と思ったのでした。似た様な観賞後の気持ちとしてマイケル・ケイン主演の「Youth」を思い出しましたよ。どちらもおじいさん映画として素晴らしい出来になっています。ちょっと思ったのですが、おばあさん映画「マルタの優しい刺繍」や「人生、いろどり」や「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」は、おばあさんなのに新しいビジネス始めちゃったりしてパワフルだけど、おじいさん映画は過去への感傷とか死への不安などがメインになっている感じがしますね。「ラストタンゴ・イン・パリ」でも似た様なことを書きましたが、やっぱり女はリアリストで、男はロマンチストなんでしょうかね。

同じくホームズを題材にしたパスティーシュ映画「シャーロック・ホームズの冒険」もご覧頂けると嬉しいです。



『マーターズ』想像の斜め上を行く映画

         

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ご無沙汰しております。ここのところ仕事等で忙しく半月以上も更新が空いてしまいました。少しづつですが映画も観ています。久々の映画はフランス語圏カナダの映画「マーターズ」。なんか凄い映画らしいと噂で聞いて、鑑賞してみました。

主要2キャラクターのうちの一人、大き過ぎるトラウマを抱えたリュシーを演じるミレーヌ・ジャンパノワ。中国とフランスのハーフで、独特な美貌の持ち主です。ゲンズブールの伝記映画ではセルジュ最後の恋人バンブー(彼女は中国系ベトナムとドイツの ハーフ)を演じていました。もう一人のヒロイン、アンナを演じるのはモルジャーナ・アラウィというモロッコ系の女優さんです。この二人が大変な目に・・・という映画ですが、大変な目って言っても常人が考えつく様な大変さではありません。特にアンナは今までに映画であまり見たことのない凄いことになってしまいます・・・。しかし実によく出来た映画でしたね。



予告編ですが、観てみようかなと思っている方は予告を観ないまま本編の鑑賞をした方が良いかも。





※ネタバレします。




ミレーヌ・ジャンパノワ演じるリュシーは子供の頃に何者かによって廃墟に監禁されて拷問を受けていましたが、逃げ出して生き延びることが出来た少女です。少女を監禁というとロリコンによる性的暴行か?と思うのですが、それはなし。じゃあ臓器を取り出して闇で売るのか?と思いきや、それもなし。ただ単に痛めつけられるだけだったのです。施設に入ったリュシーはそこでモルジャーナ・アラウィ演じるアンナと出会い友情を育みます。しかし、リュシーはあまりにひどく拷問されたので、いつも何かに怯えていて時にヒステリーを起こすのでした。

それから15年後・・・。
シーンは一気に変わり、とある家族の朝の風景になります。高校生くらいのお兄ちゃんと中学生くらいの妹がいて、お父さん、お母さんがいる家庭。お兄ちゃんに彼女が出来たらしく、妹は興味津々でメールかなんかを盗み見ようとしてじゃれあっています。冷蔵庫には妹が水泳大会で優勝した新聞の切り抜きが。微笑ましい日曜日の朝の風景ですが、お母さんが地面を掘り返して水道管を直しているのが少し奇妙な感じ(ここは都会ではなく、人里離れた山荘ですよという説明ショットの為か)。仕事を終えたお母さんは小さな死んでいるネズミを持ち帰り、子供たちに見せます(それを見てウエー、となる妹)。そこへドアベルがなり、お父さんが出ると女が一人立っていました。いきなり銃で打たれるお父さん。血みどろになって倒れます。

あれ~?妙に変だな~、と思う間もなく、女は家に押し入りお母さんと子供たちを次々と銃殺。血だらけになる朝の食卓。実はこの女の正体は成長したリュシーで、水泳大会の記事から昔自分を拷問していた夫婦であることを見つけて復讐しに来たのでした。まあね、あれだけトラウマしょってたら殺すよね・・・と思いますが、本当にこのどこにでもいる夫婦が事件に関与していたのか?とも思います。朝の食卓シーンが、あまりにもホームドラマのようだったので。リュシーは全員殺しますが、またトラウマに襲われてしまいます。ゴラム(from 指輪物語)みたいなガリガリに痩せた裸の女が彼女を攻撃してくるのです(実写されているけど、リュシーの想像上の人物)。外で襲撃を見守っていたアンナは、錯乱したリュシーから連絡をもらい現場にかけつけます。アンナはリュシーを落ち着かせますが、精神を病んだリュシーは自殺して果てるのでした。

ここまででまだ前半ちょっとですよ!一体この映画は何なんだ・・・と固唾をのんで見守るほかありません。タランティーノ映画のように血だらけになった山荘ですが、なぜかアンナはここから母親(無論、幼い頃に施設に入っていたくらいなので親子関係は良くなさそう)に電話したりします。電話なんか使ったら足がつくし、アンナは手を下していないんだから早くお逃げ!!!とヤキモキしてしまいますが、 アンナは壊れた本棚が地下室に繋がっていることを発見します。地下室っつったって、アレでしょ?ワインとかを置いておくカーブじゃないの、フランス語圏なんだし~と思いきや、さにあらず・・・さにあらずっ!!!

降りてみると、小綺麗な廊下があってそこには拷問されていると思われる複数の写真が飾ってありました。怖い・・・怖い!あの人畜無害そうに見えた家の下に、こんなものがあったなんて・・・。ゾワワワワ・・・と思ってしまいます。さらにアンナがその先に行くと、真っ暗な部屋がありました。嫌だな、嫌だな~、怖いな、怖いな~。てかアンナ、そんな深部に足を踏み入れてないで、早く逃げんかい!!と思いつつも、中どうなってるんだろ~、見たいな、見たいな~と、ダークな 好奇心が疼くのです。本当に人間って・・・。

そうしたら案の定、そこには人がいたのでした。人っていっても、私達が普段「ああ人だ」と認識するような形態でなく・・・。筆者にはここが一番衝撃的でしたね。骨と皮だけになったほぼ全裸の女性なんですけど、鎖につながれていて顔がロボコップみたいな鉄の仮面をかぶせられているんです。鉄の仮面といっても、ヨーロッパ風拷問具じゃなくてフューチャリスティックなSFっぽい感じ。ハイテクなんですよ。それが怖い・・・。怖いよ〜!!!あの上に住んでいた夫婦がこの事態のレスポンシブルだってのも怖いよ〜!!!あんなに普通の朝の風景を繰り広げていたってのに・・・。ハア、なんて映画なんだ一体・・・。

親切なアンナは監禁されていた女性を助けだし、お風呂に入れたり拘束具を取ろうとしたりします。その頭についていたSFな拘束具はかぶせてあるだけじゃなくってクサビのようなものがついていて頭部に固定してあったのです・・・。もうなんなの、これ・・・と度肝を抜かれてしまうわけなんですが予告編だと、この監禁女性のビジュアルが早々に出て来るので本当に鑑賞前に予告編観なくてよかったと思うんですけど。

惨劇のあった家に、リュシーの死体と監禁女性といるアンナですが、早く逃げた方が・・・と思っていたところ謎の武装集団が家にやって来ます。監禁女性は銃殺され、アンナは彼らに拘束されてしまうのでした。この集団のリーダーのようなオバチャン、マドモアゼル(カトリーヌ・ベジャン)がやってきて、アンナにこの集団のミッションなどを語ります。私は原語で観たのでハッキリとはわかりませんでしたが、若い女性をこのように監禁虐待して何かの教義を達成しようとしているカルト集団ということらしいです。このマドモアゼルが太っててメガネかけて頭にターバン巻いてて、ドレスデザイナーの桂由美さんみたいでした(DVDパッケージの右上参照)。

もちろんアンナが次の生け贄です。だから早く逃げろって言ったのに・・・。暗い地下室に閉じ込められ、排泄のため穴の開いた椅子に座らされ、身体的虐待を受けさせられるアンナ。このシーンも痛い・・・ってか胸に重〜い、嫌〜なものがこみ上げて来る鬱シーンです。ひたすらそれが続いて「もう勘弁して・・・」とデリケートな人なら途中退席かもしれません。食事は野菜のポタージュのような流動食のみ。オラ、食べろとばかりにスプーンで口に押し込まれるんですが「秋になったし、そろそろグリンピースのポタージュでも作ってみようかな」などと思ってしまいました。私はデリケートからは程遠い人間のようです。ひたすら続く虐待と流動食、それを担当している男女が上部の住宅では普通の夫婦として暮らしているみたいなのがまた凄いです。これがあいつらのやり方だったわけですね。

ところがある日、一切の感情を排して接していた彼らが親切になるんですよ。「アンナ、よく頑張ったわね」みたいに。そしてアンナは隣にあった手術室に連れて行かれて謎の手術を受けます。嫌だな、嫌だな〜。怖いな、怖いな〜。その手術は皮膚をすっかり除去するという手術だったのでした。一体・・・。皮を取られて赤い筋肉が露出し、リアル人体模型になってるんですよ・・・。漫画「地獄先生ぬ〜べ〜」で人体模型の妖怪が出て来ますが、リアルにこれが追いかけて来るんだったら、そりゃあ相当に怖いだろうな〜と思ったのでした。そうしたら、絶望と想像を絶する苦しみで廃人になったアンナの目に光が戻る一瞬があるんですね。ピカッと光るんです。その後、家にたくさんの黒塗り高級車が集まり、中からお金持ちやセレブと思われる人々が降りて来ます。マドモワゼルの側近エチエンヌ(ジャン=マリー・モンスレー)が集まった人々に向けて興奮気味に吉報を伝えます。「アンナが覚醒した」みたいなことを言っていたように思いますが。おお、と喜ぶ人々。

ああこれ、やっぱりカルトだったんだな〜。今まで生け贄にされてきた若い女(含む昔のリュシー)はアンナが達した境地(瞳キラーン☆)を目指して監禁虐待されていたんだ・・・とわかるわけです。満を持して、マドモワゼルがアンナの元へ向かい「何を見たの?」と彼女に尋ねます。アンナはボソボソと何か言いますが、もちろん観客には何を言っているのかわかりません。彼女が想像を絶する虐待の果てに見たものとは、彼女が辿り着いた究極の状態とは・・・?!と、カルト集団のメンバーのように色めき立ちますが、おそらくそれが何かは映画内で明かされないのでは・・・という渋い予感もします。

その後、バスルームでメイクを落としているマドモワゼル。エチエンヌがドアの外から「マドモワゼル、皆さんお待ちですよ」と声をかけます。「あんな、エチエンヌ・・・。疑うことをやめたらあかんでえ・・・」というようなことを言い残し、ピストルで自決するマドモワゼルなのでした。やはりアンナが見たものは明かされませんでした。そして「マーターズ」の意味が解説されて映画は終ります。ギリシャ語で「目撃者」という意味を持っているそうです。アンナの瞳キラーン☆のその輝きは遥か宇宙の銀河系のようにも見えましたが・・・もちろん、それは常人が見ることを許されるようなものではないのかも・・・。それか、皆が期待していたような素晴らしいものではなく、凡庸なものが映っていてそれでマドモワゼルは絶望して自決したのかもしれません。実に色々な考え方が出来る映画ですよ。

この映画はニューフレンチエクストリームというジャンルを代表する作品だそうで、公開時は賛否両論沸き出し話題になった映画なんだそうです(全然知らなかった〜)。エクストリームな描写もそうだけど「えっ、そのためにここまで?」という動機がすごい、憎しみとかエロとか金とかいう一般的な次元の感情に突き動かされての所業ということじゃないのが空恐ろしかったです。アメリカのホラーではちょっと見られない、暗さと恐ろしさ。ヨーロッパの拷問博物館とか見て思いますけど、かなりの変態ですよ。




『マジック・マイク XXL』♪テルミーワイッ♪← I Want It That Way /Back Street Boys (1999)

                               



マジック・マイクの続編、これは楽しみにしておりました。しかもタイトルが「マジック・マイク 2」じゃなくって「マジック・マイク XXL」・・・。これって、やっぱりあそこのあそこが、そういうこと?いや~ん、刺・激・的☆と身をよじっていたのですが、筆者が居住する国でのタイトルは「Bez kalhot XXL」となっていました。直訳すると「ズボンなし XXL」・・・。あまりにもまんまなので、苦笑。AVのタイトルかよ・・・。そんなタイトルがつけられている為、劇場内が暗くなってからコソコソとゴキブリのように入場したのは言うまでもありません。

さて、続編なんですが・・・これが前作とは全然違うテイストの映画でビックリしましたね。もちろんストリップティーズのシーンを目玉に作られてはいるんですが、前作は夢を叶えるためにストリッパーをやりながら色々なことを経験して成長するメンズの甘酸っぱい青春ドラマ、という感じでしたね。続編はロードムービー。ストリッパー仲間とストリップ選手権が開催される土地へ向けてワゴンに乗り込み出発、道中様々な人たちと出会いストリップし、最後は濃いめのストリッ プで締めるというストーリーでした。

ロードムービーは別にいいんだけど、前作にあった深みが全然なくなってるんですよ(監督がソダーバーグから交代しているのもありますが)。前作は家具ビジネスで自営するという夢を追いかけて夜な夜な舞台に立つストリッパー・マイクの挫折と栄光を描いてて、マイク青年の細かな心の動きなんかもちゃんと追ってたんですね。悩み多きマイクだけどいざ舞台に立つと観客をマジックの世界に誘うという感じだったんで、余計に身体の美しさやエロさが引き立っていたように感じたんだけど、二作目はそういう影のエロスは跡形もなくなくなってて、それが残念でした。あと前作で私の5億点を優雅にかっさらっていったマコ(マシュー・マコノヒー)が続投してない ってのも残念でしたね。その間にオスカー取っちゃったからギャラが高くなっちゃったのかも。






ちなみに前作の予告編↓






※ネタバレします。


前作から三年後。目出たく夢だった家具オーダーメイドのビジネスを始めたマイク(チャニング・テイタム)ですが、その実はあんまりうまく行っていません。そんなとき昔の店のストリッパー仲間から呼び出され、ストリップ大会に出場しないかと誘われるマイク。工場で作業しながらも、勝手に身体が動いてしまいダンスを始めるマイクは思い切って参加することにします。何か不満げに虚空を見つめるチャニング・テイタムを見ていると、この映画「フォックスキャッチャー」だっけ?と思ってしまいますが、この映画のチャニング・テイタムはビックリする程浅いキャラクターなんです。そういえば前作で登場したアレックス・ペティ ファーの姉ちゃん、ブルック(コーディー・ホーン)ですが、前作ラストではマイクとハッピーエンドになってましたよね。今回は全然登場しないし、どうしたんだい?と思ったらやっぱり別れていたんですよ。かなりいいカップルだと思ってたのに、これは残念。

昔の仲間というのは前作から引き続いて出演 している甘いマスクのソフト系イケメン、ケン(マット・ボマー)とビックディック・リッチー(ジョー・マンガニエロ)、元レスラーのターザン(ケビン・ナッシュ)それに加えてラテン系のティト(アダム・ロドリゲス)らです。特に和名「デカマラのリッチー」ことジョー・マンガニエロさんが今回は大活躍していました(笑)。マンガニエロってファミリーネームもなんか巨根っぽい・・・。しかも変換すると「漫画にエロ」にもなる(笑)。このジョー・マンガニエロさん、なんかラテンっぽいけどそれだけじゃない感じがして魅力的だなあと思いエスニシティを調べてみたところ、イタリアとオーストリアとアルメニアの血が混ざっているとか。なるほど。ちなみに巨根はもちろん映ってませんが、美しいお尻を披露していました(デカマラっていうからにはバックショットのみでもモザイクが必要だと思うんですけど、どうなんですかね)。ちなみにマンガニエロさんは、ラテン系セクシー女優No.1のソフィア・ベルガラと婚約しているそうです。窒息しそうな特濃カップルですな。

さて、キャンピングカーに乗り込んで一路開催地を目指すストリッパーたち。そういえばデカマラのリッチーさんが「ストリッパー」じゃなくて「メール・エンターテイナー」という名称にこだわっていました。ストリッパーっていうとなんかチープで場末なニュアンスがあるけど、メール・エンターテイナーってなんか自立した感じでカッコイイ。確かにこれはいいネーミングですね。道中、意識高い系のチャニング・テイタムが「各自新ネタを用意しようぜ!」といい出し、モチベーションの上がったメンバーが「オー!」と気合いを入れるシーンがあります。ドライバー役のトビアス(ガブリエル・イグレシアス)も気合い入れに引き入れられますが、そのせいで車線をはみ出して車が壊れてムチウチに。入院したトビアスを置いて、メンバーは知り合いを頼りながら旅を続けることに。

話は前後するかもしれませんが各自新ネタを用意しようという流れで、デカマラのリッチーさんがスタンドのコンビニ店員のお姉さん(まったくの無表情)をダンスで笑顔にするというタスクを課せられます。最初はムードじゃなかったリッチーさんですが、何故かバックストリートボーイズの「I Want It That Way」がかかり、ノリノリでダンス(笑)。この曲は五時に夢中金曜日のコーナー「ジャンのハンサム天気予報」で毎週聴いているので馴染みがある曲です。リッチーさんはセクシーにコンビニを踊りながら練り歩き、スナック菓子の袋を野獣のように破ります(笑)。そしてドリンクコーナーからペットボトルを取り出し、股間の前でシャンペンを抜くように発射させます(笑)。そしてレジまで踊りながらやってきて「すみません、おいくらですか?」と聞いたリッチーさんに微笑む店員のお姉さん。「やったぜ!」とガラス越しに盛り上がるマイクたち・・・。ここがこの映画の白眉でした。ラストのストリップシーンよりもここが良かったですね。今回はデカマラのリッチーさんに5億点!!!!そうそう五時に夢中と言えば、途中で寄ったナイトクラブで舞台に上がっていたオカマがマツコ・デラックスみたいだったし、火曜黒船のえんどぅみたいなダンサーもいました(笑)。

マイクたちが次に訪れたのが大きなお屋敷。ここはストリップクラブでマイクが昔働いていたところでした。クラブのオーナーでありMCのローマ(ジェイダ・ピンケット・スミス)とマイクは昔、男女の仲だったようです。ここはステージショーじゃなくて部屋ごとにストリッパーがいて様々なパフォーマンスが真近で見られるわけなんですが、客のオナゴたちがおひねりを投げ過ぎてるんじゃないか?と思いました。やっぱりおひねりってのは「ここぞ!」というときに投げるのであって、いつも飛び交っているのはちょっと変だと思うんですよね。オーナー兼MCのローマが煽りに煽って客をあたためていくプロセスが興味深かったですね。ローマの館でスターなのがアンドレ(ドナルド・グローヴァー)というメンズ。ストリップだけじゃなくてラップの方のMCもするという新キャラでした。しかしアメリカのオナゴたちは、こういう弾けられるところがあってええのう・・・日本だとカラオケボックスくらいじゃないか?とアメリカの健全なメール・ストリップティーズ文化が羨ましいです。

アンドレをドライバーとしてローマに高級車を出してもらったマイク一行。アンドレとハンサムなケンさんが自分たちの仕事について語り合う場面がさりげないけど良かったです。「お客さんに喜んでもらえたらのなら、それでいいんだ」!これですよ。この気持ち、すべての商売の基本なんじゃないかと筆者には響いたのでした。

さて次に向かったのも大きなお屋敷です。メンバーのティトの友達が住んでいるということなのです。美しい調度品が揃えられたお屋敷の中ではマダムたちが酒盛りをしていました。ティトの友達のお母さんナンシーを演じているのがアンディ・マクダウェル。久しぶり〜な感じです。「グリーン・カード」とかでは、おぼこい文学少女なキャラでしたが今回は熟れに熟れた熟女です。誘われて一緒にワインを飲んでいると妙に可愛い子が登場。この女の子、ゾーイ(アンバー・ハード)とマイクは実は一度会っていたんですね。前半に登場したビーチパーティーのときに少し話したことがあったんです。そのシーンでは顔がよく映っていなかったのでわからなかったのですが、実はその子と再会したのでした。アンバー・ハードはジョニデと結婚した若手美人女優ですが、やっぱり一際輝いてますね〜。服はカジュアルでシルバーやターコイズのアクセじゃらんというヒッピーぽい感じ。それもすごく似合ってました。カメラマン志望ということなのですが、可愛いのでそれ目当てで男性カメラマンにアシスタントとして雇われたりしてクサっているという女の子の役です。

一方、デカマラのリッチーさんはアンディ・マクダウェルとしっぽりという展開でした(笑)。翌日、また高級車を出してもらって会場へ向かうマイク一行。お金持ちの女性をたらし込んで、車を出してもらうという流れがいいですね。コンテスト会場に向かうと、ローマとアンドレたちが待っていました。彼らも一緒にパフォーマンスをします。本番までホテルにこもって新ネタを仕込むメンバーたち。今回はお客さんにも参加してもらう形式のパフォーマンスにガラリとシフトチェンジ。舞台に上がってもらったお客さんあをリフトしてアクロバティックなダンスをしたりするのです。やっぱり、印象に残ったのがデカマラ・リッチーさんのパフォーマンス。結婚式を挙げた後、初夜で新郎が野獣に変わるという演目でした(笑)。大掛かりなSM器具を使ったりするところは「フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ」の影響ですかね。

最後はマイクのパフォーマンスでしたが、スキル的には上がっているかもしれないけどストリップっぽくはなかったなあ。ストリップってのは、じらしながら一枚一枚脱いで行くごとに客のテンションが上がって行くものじゃないですか?会場に来ていたゾーイちゃんを舞台に上げて、色々とおもてなしのダンスをするんですが、アクロバティック過ぎて目が回りそうでした。やっぱりじっくりとカラダの美しさを堪能したい派な人には前作の方がおすすめです。前作はコスチュームもよかった。肉体労働者の作業服やトレンチコート、そして上半身裸にタイとカフスだけのテッパンコーディネート。やっぱりシチュエーションって大切なんですよ。それに萌えってのは服装から来るものだと思うし・・・。メンバー全員で上半身裸にジーンズを履いて、ポーズを決めるシーンが一番よかったかも。やっぱりオーソドックスに弱い筆者なのでした。

コンテストが終った後でケガをしていたトビアスが車と一緒に戻って来て、独立記念日の花火をみんなで見上げて終わり、というただそれだけの話でした。それで終わりかよ!とも思ったけど、こういう感じで終るのが正解だったかも。思ったよりマイクのストリップシーンが少なかったのがちょっと残念でしたが、その分デカマラのリッチーさんがとても頑張っていたと思います。評価も前作より落ちているので、おそらく三作目は・・・ない・・・かな?とも思いますが。はっ!今気が付いたけど、タイトルのXXLって本作の功労者であるデカマラのリッチーさんに捧げられている・・・?そう思ったらすごく納得が行きました。これは彼の映画なのね。



作品中の白眉、デカマラ・リッチーさんのコンビニストリップシーン。すごく面白いので、映画を見終わった後にオカズシーンとしての鑑賞がおすすめです。






同じくデカマラ・リッチーさんの新ネタ「挙式後に野獣になる新郎」






『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』ジュディ・デンチ様のファッションスナップ付き!





私の憧れオババ・No.1のジュディ・デンチ様主演、ヒットした「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の続編です。筆者の居住国では今年の春あたりにあった国際映画祭で封切りされていたみたいですが、観に行くことが出来ず残念に思っていました。やっと観られた!と思ったら日本公開はなんと来年の春ということだそうな・・・。マーベル映画とかの大作映画はわりとすぐに日本公開されるようになりましたが、そうじゃない作品は今も1年くらいギャップがあるみたいですね。

私が今まで旅行した土地の中で、実に忘れ難い印象を残したインドのジャイプール。そのジャイプールを舞台にした老人たちの群像劇ですよ。一作目はすごく良くて少し泣いちゃったんですが、二作目は・・・うーん 、かなり微妙・・・と言わざるを得ません。一作目の出来が良かっただけに非常にモッタイナイことです。しかしこの続編でさらに後に引きずるようなエピソードもあって、三作目あるのか・・・な・・・?みたいな少しキレの悪い終り方でもありました。

一作目から少し時間が経ったと思われるある日 。マリーゴールド・ホテルの若オーナー、ソニー(デーヴ・パテール)とホテルのマネージャーになったミュリエル(マギー・スミス)がアメリカに行くところから始まります。ホテルのフランチャイズ化のためスポンサーを探しに行ったんですね。マリーゴールド・ホテルを評価するために覆面の調査員が派遣されるということになり、新しいお客に敏感になるソニー。そんなある日、ホテルに二人のご新規さんがやってきます。一人は初老男性チェンバース(リチャード・ギア)、もう一人は中年の女性のラヴィニア(タムシン・グレイグ)。ソニーはチェンバースのことを調査員だと思い、失礼のないように張り切りますが、やや空回り気味。

ホテルの住人たちもみんな元気です。イヴリン(ジュディ・ デンチ)は80歳を間近にして新しい仕事をオファーされています。前作でハッピーエンドになりそうだったダグラス(ビル・ナイ)とはまだ親しい友人という関係のまま。金持ちインド人との結婚を狙っているマッジ(セリア・イムリー)は相変わらずで、「カーマスートラ」を参考書にしていたノーマン(ロナルド・ピックアップ)は恋人が出来たものの、その彼女が浮気をしているのではないかと悩んでいます。ソニーは婚約者のスナイナ(ティナ・デサイ)といよいよ結婚ですが、何故かすれ違う日々・・・ということになっています。ホテルのビジネス拡充と関係者、宿泊者たちのプライベートがザワザワするという第二作です。




※ネタバレします。デンチ様のファッションスナップは本文の後!





私がこの映画をあまり好きではない大きな理由として、ソニーがウザいし、うっとうしいってこと。今回は彼の出番が多い脚本になっているため、空回りする場面が多くてイライラするし 、彼のインドなまりの英語の聞き取りが非常に面倒くさいんですよ。そんなになまってるのに、なんで文法完璧なんだよって思うんですよね(これは嫉妬か)。ソニーの家族やお友達はみんなインドの中流以上なのでインド人同士で話すときも英語なんですが、ヒングリッシュの洪水に疲れてしまいました・・・。結局ソニーは自分で何一つ築いていないおぼっちゃまなんですよ。ホテルをポンともらっただけ。そもそもオーナーの器じゃないのに張り切り過ぎて痛いし、あからさまに客を依怙贔屓するし、婚約者には子供みたいに嫉妬してるし。んで、結局は二軒目のホテルをアッサリゲットしてるしで、ムカつくんですよ!そもそもレセプションのところに大きな自分の写真を置いているところが嫌。私だったらそんなオーナ ーが出しゃばってるホテルには泊まりたくありません。

前回のヒロインだったデンチ様ですが、脚本がソニーと新ゲストのリチャード・ギアに時間が裂かれているため思ったよりも出番が少ないです。でも、まだまだ筆者のアコガレ要素をタップリと持っているキャラクターなんですよ。なんと今回は輸出向けテキスタイルの現地バイヤーのお仕事をオファーされます。う、う、う、うらやまディ~~~!!!(うらやましい、を超えるレベルのうらやましさを表す流行語by爆笑問題の太田光)インドのキラキラしたピンクタウン・ジャイプールで、民芸品に関わる、お仕事!!!私も脱サラしたあとでそういうお仕事をするのを夢見てました・・・。そして相変わらずさりげないインドシックなスタイリングが素敵です。歳を取ると顔や首のシワから視線をそらせるためにアクセサリーはデコラティブなものに変わって行きますが、繊細な天然石のジュエリーがお似合い!素敵!ますます私のアコガレ・オババの地位を固められたデンチ様なのでした。

そんな異国でも自然体で生き、素敵なお仕事までオファーされちゃうデンチ様にメロメロなのがビル・ナイおじいちゃん。周りのインド人にも「彼女と結婚しちゃいなよ」とすすめられていますが、まだイギリスに帰った妻(ペネロープ・ウィルトン)と離婚が成立していない様子です。ビル・ナイおじいちゃんは英語ガイドのバイトなどをやっていますが、インド人の子供にリモートで資料を読ませてそれをそのまま言うという実に面倒くさいことをしています。ヒングリッシュは相当わかりにくいけど、インド人の子供がしゃべる英語はもっとわからなかったですね。ネイティブなら問題ないのでしょうけれど。

新ゲストのアメリカ人、チェンバースには日本でムッシュー・オランジーナしてるリチャード・ギア。メンバーのマッジが「あらイケメン♪」とさっそく目を付けますが、ぶっちゃけ私はギア様の魅力がよくわからない・・・。彼が若い頃からよくわからないんですよ。なんか線でシュッシュッと適当に描いた様な顔じゃないですか?リチャード・ギアがソニーの未亡人であるお母さん(リレット・デュベイ)にアプローチするんですが、なんかこれが生々しかったですね。リチャード・ギアって昔、インド人女優にハグして何度もブチュブチュとキスしたせいで厳格なインド社会からモラルに反するバッシング受けてませんでしたっけ・・・? 調べたら、その事件後に別のインド人モデルとも交際してたそうで、ギア様は結構なインド女性フェチのようです。それを見越してのキャスティングなんですね、きっと(笑)。

ホテルのメンバーの中では若手のマッジ(セリア・イムリー)は今回、「真実の愛」を見つけます。他のメンバーは70代80代なんだけど彼女はまだ60代。まだまだ若いんですよ!むしろこのホテルではピチピチの方!二人のインド人富豪を両天秤にかけて「どちらにしようかな~」と考えていましたが、その富豪のお屋敷に連れて行ってくれる運転手の人柄に触れて彼に好意を持って行くんですね。自分の気持ちに正直になったラストシーンでは運転手の彼に「今日はどちらのお屋敷ですか?」と聞かれて、何も答えず微笑むマッジなのでした。

そんなこんなで、迫ってくるソニーとスナイナの結婚式。豪華な式だったので「ああ、『モンスーン・ウェディング』エンディングね」と思いました。色々あったけども豪華で感動的な結婚式が挙げられ、みんなで踊って騒いで今までのゴタゴタはすべて水に流しハッピー!!!という映画の終り方です。しかし、さにあらず。ソニーは結婚式会場にホテルのマネージャーであるミュリエルの姿が見えないことに気が付いて、彼女をスクーターで探しに行きます。ミュリエルはその前に通院しているシーンがあったのですが、どうやら健康上の問題があることが判明していたんですね。ソニーの結婚式等々を壊したくないからという理由で引っ込んでいたのです。

そして、映画はエンディングに。ソニーとスナイナは新婚旅行に向けて出発し、マッジはお金じゃなくて愛を選ぶというハッピーエンド。デンチ様とビル・ナイおじいちゃんも、どうやらこの先上手く行きそう。ミュリエルが最後の最後どうなるかは描かれません。彼女は置き手紙を置いてそっとホテルを去るのみなのでした。「there is no present like the time」と言って・・・。調べたところこれは英語のイディオムで「今が最高の時である」「今ほどよい時はない」から転じて「思い立ったら吉日」などと訳されている様です。前作ではラストに「年を取っても新たなチャレンジはあるから、それに向かって行こう」という明確なメッセージが提示されましたが、今回は同様のものが中盤ごろに現れます。今回の一番重要なメッセージがミュリエルの置き手紙にあったものだとすると、彼女が去り際に言う遺言のような言葉だけにちょっと悲しいラストでした・・・。

とにかく今回はとにかくソニーの未熟さと、頑張ってないのにドンドンと与えられるお坊ちゃまぶりにイライラしましたねえ。これがもう少し押さえられていれば、二作目も傑作になったかもしれないのに。それとも年長者になるとこういう未熟者のことを「若いっていいわねえ〜」みたいに大きな心でとらえられるようになるんでしょうか。思えば、ソニーのやつはアメリカへの資金繰り旅行のときだって、大きいプールがあるいいホテルに泊まって優雅にトロピカルドリンク的なものを飲んでましたよ。あ~イライラする。負け犬根性が染み付いた私には、やっぱりスコット(「アントマン」)のような負け犬キャラに共感しちゃうのでした。





ということで、お口直しにこの映画でデンチ様がお召しになっていた衣装のファッションスナップです!
※一作目と二作目まぜこぜです。



デンチ様

オレンジのワンピースを引き立てるのは渋色のアイテム。
ストールをお買い物して嬉しそうなデンチ様。




デンチ様2

オールホワイトスタイルに合わせるのはペイズリー模様の明るいストール。すべてコットンで軽やかな印象に。
荷台で運ばれるデンチ様。



デンチ様3

賑やかで色とりどりのマーケットを見て回るのもホワイトスタイルにして逆映え。
シンプルなアクセサリーがシックなアクセントに。




デンチ様4

淡い淡いブルーのストールが優しげ。
見えにくいですが、このネックレスが天然石で可愛かったのです。




デンチ様5

シャツとストールを優しいラベンダートーンで統一。
こんなキラキラしたものがイッパイのジャイプール、もう一度行きたい!



デンチ様6

共演のマギー・スミス様と。およばれには透け感のある光沢素材でおめかし。
黒真珠のネックレスがシックです。マギー様のクラッチも素敵。




デンチ様9

ピアス、ネックレス、時計、ブレスレット、リングとすべてがさりげないけど上質なものを。
エスニックなカジュアルスタイルをクラスアップ。




デンチ様10

ふわっと軽そうなチュニックにもしっかりとアクセサリーを合わせてシックにまとめています。
手に持ったお帽子もアクセントに。




デンチ様11

一枚目の写真のコーデを着回し。柿色のストールを垂らして同系色のグラデーションを。




デンチ様13

地味色チュニックにオレンジのストールとバッグを合わせてアクセントに。
エスニックなバッグの二個持ちがさすがです。



デンチ様15

太めのシルバーバングルが効いてる!
二重になったステーションネックレスもさりげなくアクセントになってます。




デンチ様16

映画のインタビューを受けたときのグラビア写真。
淡いエメラルドグリーンとゴールドの色合いが美しい!



デンチ様14

映画のプレミアにて。幾何学エスニック模様のジャケットをサラリと余裕で着こなす、この貫禄!



デンチ様17

めずらしくデコラティブなネックレスのデンチ様。
パッチワークのバッグはお気に入りらしく何度も使い回していました。

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