@itan-journ@l praha

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『光をくれた人(The Light Between Oceans)』切なく美しいが、もう一歩切り込んで欲しかった





あれは確か去年の正月。ELLEの記事で「別れたはずのマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデルが一緒に年越し?」という記事を読んでビックリしたんでしたっけ・・・。そもそも付き合ってたってことも知らなかったかもしれませんが、その二人の出会いのきっかけになった作品がコレです。その後、ヨリを戻した二人は仲良く連れ立ってオスカー授賞式へ(しかし二人ともノミネートってすごいな)。今も交際が続いている様です。

そんなきっかけになった作品、いったいどんな映画?と調べてみたら「ブルー・バレンタイン」や「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のデレク・シアンフランス監督による切ない夫婦の物語だとか。これは観るしかないと思い鑑賞したのでした。一次大戦後すぐくらいの時代もので原作小説があるそうなので、そのせいなのかタッチは非常に正統派なクラシックスタイルの映画でしたね。役者もおファス、アリシア、レイチェル・ワイズと美しさと実力を兼ね備えた人ばかり。そして話の中身が切ない・・・。非、常~に切ない話なのでした。


第一次世界大戦の激戦からトラウマを抱えて帰って来たトム(マイケル・ファスベンダー)は、オーストラリアの小さな無人島にある灯台守の仕事を得ます。本島で出会った娘イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と恋に落ちて二人は結婚。美しい小さな島で夢の様な新婚生活を送る二人。やがてイザベルは妊娠しますが、流産してしまいます。その後再び妊娠したイザベルですが今度も残念な結果になってしまうのでした。深い悲しみの中で暮らす二人でしたが、ある日ボートが漂着します。その中にはすでに亡くなった成人男性と、泣き声をあげる赤ん坊が入っていたのでした。トムは灯台守としてこのことをレポートしなければならない立場でしたが、イザベルは赤ん坊の世話をするうちに離れ難くなっていきます。ついにトムはイザベルに説得されてレポートをせずに亡くなった男性を葬り、赤ん坊を二人の子として育てることにします。

赤ん坊はルーシーと名付けられ、イザベルとトムの愛情を受けてスクスクと育ちます。ある日、本島の教会で行われたルーシーの洗礼式でトムは墓の前に佇む一人の女性(レイチェル・ワイズ)を目にします。何か気になったトムは彼女が去った後で 墓標を見に行くと、一人の男性と女の子の赤ちゃんが海で遭難して死亡してここに眠っているということ、日付がトムたちのもとにボートが漂着した時期と一致すること発見します。トムはその女性、ハンナの元へ匿名の手紙を送り、赤ん坊は無事で大事に育てられていることを伝えるのでした。ハンナは生きている娘を探そうとしますが・・・。というお話です。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)



前半はトムとイザベルのラブストーリーなんですよね。トラウマを背負ったダークな目をしたトムが明るいイザベルに惹かれていき、文通で愛を育んで行くのがロマンチックに描かれます。手紙を読む二人の背景にある海や空がすごく綺麗。お手紙には、シンプルで飾らないストレートな愛の言葉に溢れているわけなんですよ。ええのう、ええのう!そして手紙の上でプロポーズ &快諾が行われ二人は目出たく結婚するのでした。おファス、最近ではアメコミだったりゲーム原作映画だったりと現実離れしたフィクショナルな役が多かった印象ですけども、やっぱりこういう普通の役も上手いんですよねえ・・・。普通の男にしちゃイケメン過ぎやしないだろうかとも思ったりするんですが、色々あって暗くなった感じがよく出てて全然浮いてませんでしたね。

そして新婚生活が始まるんですが、ここも本当に夢のように幸せに撮られてるんですよ。孤島なので基本自給自足。カントリーライフを送りながらラブラブ、ラブラブする二人の新婚シーンがいっぱい。トムにもよく笑顔が見られるようになりました。まあこの幸せ描写はこの後の二人にやってくる悲しみの前フリなんですが、 だからこそ素晴らしく見えるんですね。イザベルは妊娠初期の嵐の夜、身体に異変をきたして流産してしいます。悲しみにひたる夫婦でしたが、しばらくしてまたイザベルが妊娠します。今度は妊娠中期くらいまで成長しますが、ある日同じように身体に異変が起こりまた残念な結果に。丘の上には産まれなかった子供たちへ捧げられた二つの十字架が刺さっています。その前で佇むイザベル。あまりの悲しみの為か赤ん坊の泣き声の幻聴まで聞こえて来ました。

ところが、それは幻聴ではなく本当に赤ん坊の泣き声だったのです。波間に漂うボートには既に亡くなった男性と泣く赤ん坊が入っていたのでした。赤ちゃんを保護する夫婦でしたが、トムは職務からこのことをレポートしようと灯台へ行こうとし ます。しかしもう少しだけ赤ちゃんと過ごさせて欲しい、というイザベルの願いを聞くことに。やはりというか情が移ってしまい、夫婦はもう赤ちゃんを手放せなくなってしまうんですね。またこの赤ちゃんが可愛いんだ。アイボリーの毛糸で編んだ帽子とかカーディガンとかベビー服も可愛いんですよ。服が可愛いといや、イザベルの服も白や生成りを基調としたロマンチックな服で可愛かったです。

それで夫婦は亡くなっていた男性を埋葬し、女の子にルーシーという名前を付けて自分たちの子として育てることにするのでした。またこの子育てパートも幸せいっぱいに描かれています。子供を望んだものの何らかの事情があって出産できず、よその子を法的に問題のある方法で自分のものとし、愛情たっぷりに育てるというのはちょっと「八日目の蝉」みたいですね。当時はDNA鑑定とかないし、戸籍的な書類も管理が緩かったであろうと思われるので、このまま何もなければルーシーは二人の娘ということで疑いようもなかったことでしょう。

ところがトムはルーシーの産みの母が存在し、彼女もまた夫と娘を失って深い悲しみの中にいるということを知ってしまうのです。ルーシーの産みの母ハンナはドイツ人青年と恋に落ちて結婚しルーシー(本来の名前はグレース)を産みますが、時代柄周囲からの風当たりが強く苦労が多かったことが回想で語られます。それを知り自責の念にかられたトムは、ハンナに匿名の手紙を送り彼女の娘の無事を知らせるのでした。これがきっかけとなり運命は大きく変わって 行くのです。二回も流産をした後に念願の子供を抱くことができたイザベル、ある日突然に夫と子供を同時に亡くしてしまう悲劇に見舞われたハンナ、真実を知ってしまい板挟みになるトム・・・。みんなそれぞれに辛い、それぞれに可哀相、それぞれに切ない。ああー、誰のせいでもないというのになんと過酷な運命なんでしょうか、と思わず空を仰ぎたくなってしまいますね。



※ネタバレ第二段階(最後まで)




ここからは切ないシーンのてんこ盛り。本島で開かれた灯台関係のパーティーでトムと娘を連れたイザベルはハンナと偶然会ってしまうんですね。ハンナは母親の勘とでも言ったらいいのでしょうか、イザベルが連れている娘が生きているとされる自分の子では・・・と思ったようなんですね。ハンナの妹から事件のことを聞いたイザベルもまた、ルーシーが彼女の娘であることを知るのでした。やはりルーシーを本当のお母さんに返した方がいいのではないか、というトムでしたが「もう遅過ぎる」とイザベルは反対します。本来なら情が移る前に心を鬼にして返すべきでしたが、もうルーシーは4歳。今更、イザベルにはこの子を返すだなんて考えられないことでしょう。確かに遅過ぎたのです。

ここから夫婦の秘密がバレるのかバレないのか?というサスペンス要素が加わって来ます。でもトムはきっと本来の状態に戻した方が良いと思っていたんですね。ルーシーが漂着したときのボートにあったフクロウのおもちゃ(ガラガラ的な?)を、ルーシー生存の証拠としてハンナに匿名で届けてしまうんですよ。そしてハンナが警察に通報し 、おもちゃが証拠品として新聞に載ってしまいます。それを見たトムの知り合いの船乗り(昔からトムとイザベルの家に遊びに来ていた)が通報し、警察がやってきてトムは連行されてしまうのでした。ハンナの夫殺害の嫌疑がかけられ拘束されるトム。イザベルとルーシーも引き離されてしまいます。

もともとハンナの夫は漂着していたときから死んでいたんですが、取り調べを受けたイザベルはトムの無実を証明することができませんでした。取り乱していたし、ルーシーと引き離されたことでトムのことを恨んでいたという感じがしました。牢屋にいるトムから送られた手紙も読まずに引き出しに閉まったままです。ここはちょっとイザベルひどいなって思いましたね。トムだって思い悩んでの末やったことだし、そもそもの発端は自分たちが勝手にしたこと。実の母ハンナには娘と暮らす権利があるのは言うまでもないんだし、トムのこと助けてあげなよ・・・あんなにラブラブだったじゃん・・・って思ってしまうんですよね。それにまだ若いんだから子作りだってできるじゃん、とも思いますが流産を二度も経験した立場にないのでこの辺はなかなか簡単には言えませんが・・・。

ハンナの元に返されたルーシーが彼女を母親と認めず(初めて会ったオバさんと同じだから当たり前なんだけど)イザベルの元に帰りたがって泣いたり、灯台へ戻ろうと迷子になったりと本来の状態に戻った側も色々と大変なんですよね。「八日目の蝉」では結局戻された娘が大人になるまで生みの母親とうまく行きませんでしたが。ようやくトムからの手紙を読んだイザベルは彼の元へ走り、警察へ証言をするのでした。この手紙もまた泣かせるんですよ。若干トム自己犠牲が過ぎるし、いい人過ぎるだろ!って思ったりもするんですが。この映画では手紙を読むシーンがいちいち素晴らしかったですね。

それから月日は流れて50年代になります。トムは釈放されまたイザベルと暮らしていたことが示されます。ある日、引退したトムの家に一人の若い女性がやって来ます。それは大人になったルーシーでした。彼女は赤ちゃんの息子をトムに見せに来たのです。イザベルは既に亡くなった後でしたが、彼女が生前にルーシーに宛てた手紙が読まれるんですね。そこには血が繋がっていないけど、大事に愛情深く育てた娘へのメッセージが。ルーシーが幼かった頃の回想シーンもたっぷりで、思わずグっとくるシーンです。結局泣きはしなかったんです が、喉にこみ上げてくるものがありました。ルーシーは4歳まで大事に育ててくれた二人に感謝し、再びトムを訪ねることを約束して帰って行きます。これでEND。

シアンフランス監督、思ったよりもずっと正統派でまとめてきたなって感じでしたね。画面は美しいし、役者はみんな素晴らしいパフォーマンスだし、切なくていい話ではあったんだけども・・・。ちょ〜っと綺麗すぎてフックが足りないんじゃないかな〜という感じがしました。とにかくすべてが美し過ぎたような。夫婦仲や子育て描写やその後の子の奪い合いも通り一遍的といえばそんな感じで、もっとリアルな部分というか観客に「ああ、あるよね・・・」って共感させる部分が欠けていた様な気もしないでもないです。ここがもっとリアルにジャリっとくる感じで描けていれば泣けたのかもしれません。役者陣の表現ポテンシャルは十二分にあるだけにもったいない。お手紙を読むシーンはどれも美しくて素晴らしかったのですが。本編で泣かなかった私ですが、なんと観賞後にトレーラーを見て落涙。自分でもビックリしました。しかしトレーラーの方が泣けるってどういうこと?って感じですが、編集のテンポがよかったからかも。すごく良く出来た予告編だと思います。

ところで最近のニュースでおファスが「しばらく休むつもり」と言っているのを見ました。最近は本当に出ずっぱりだったから、少し休むのもいいでしょうね。これから40歳になるし俳優としての脂が益々のって来るんじゃないですかね。休養後にはもっと人間ドラマに重きを置いた映画にも出て欲しいなと思います。「フィッシュ・タンク」とか「ジェーン・エア」とか「SHAME」とか「危険なメソッド」みたいな作品ですね。あと出来ればこの上なくセクシーで危険な男として、オカズになるような女性向けのエロティック・スリラーみたいなのにも出て欲しいな~、なんて思うのでした(笑)。


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『裸のジャングル』「アリエン!」は「行くぞ!」の意味



       
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なぜか年末になるとこういう映画が観たくなるものです。「食人族」や「グリーン・インフェルノ」みたいな奥深い未開のジャングルに分け入って行く話がね・・・。ということでマンハントものの傑作「裸のジャングル」ですよ。まあ原住民に取って喰われやしないんですが、捕まると命がないという究極のサバイバルゲームの話です。


※ネタバレします。



19世紀末か20世紀初頭あたりのアフリカの奥地。ヨーロッパの列強国が相次いで入植し、占領や象牙の乱獲を行っていた時代です。象牙を取る為に奥地に入っていた欧系の一団があり、主人公の男(コーネル・ワイルド。監督・制作・主演を兼ねている)はこの一団に雇われたガイドのような仕事をしています。彼も欧系なんですが現地語が少しできるんですね。奥へ分け入って行くと、原住民の男達の一団と出くわします。彼らの出で立ちは裸に毛皮のパンツや羽の首飾りをつけた、まさに「土人」!ヒー、と思うんですが彼らは実に友好的な態度で接して来ます。

「ここから先は俺らのシマなので入っちゃダメとは言わないけども、あんまりむやみやたらに荒らさないでね。そこんとこよろしく!という感じなんですが、傲慢な白人のオッサンは主人公の男が治めるのも聞かず「俺に指図すんな!土人が!」と彼らをまったくリスペクトしないで先に進むのでした。その後、一団はゾウの大群を見つけてむやみやたらに撃ちまくり、象牙を乱獲。ゾウがもうバンバン撃たれて行くんですが、このシーンは町山さんのPodcastによると記録映画からありものの映像を貼付けたものなんだそうです。しかし、残酷〜。ゾウさん可哀相!という感じでいたたまれません。

さっき「食人族」の話が出ましたが、この映画ではそのような直接的な動物虐待描写や殺人描写はないんですよ。カメラワークで隠されている。殺人シーンなんかでは赤い花が画面にかぶさっていて「この奥で何が行われているかは、お察し下さい・・・」という奥ゆかしい演出になっています。血のりも真っ赤なペンキみたいだし、リアルさはないんですね。その分、ゾウさんが撃たれるシーンはリアルなので強烈でした。そこまでして象牙欲しくないよ!

ひとしきり乱獲を終えてキャンプをしている一団でしたが、怒ったさきほどの原住民に襲撃されて捕らえられてしまいます。彼らの村に連れて行かれ、コブラに噛まされたり蒸し焼きにされたりする白人たち。そらー、言わんこっちゃない・・・。食人族じゃないだけいくらかマシでしたと言うものです。やっぱこういう僻地ではローカルに逆らっちゃいけないんですよ。主人公の男はエエ身体をしているので(コーネル・ワイルドは元オリンピックのフェンシング選手らしい)裸にされマンハントの獲物として逃げることを許されます。ローカルの狩りゲームの獲物として使われるんですね。ヒー、これもすぐ殺されないとはいえ結構嫌だ〜!と思うんですが。

しかし主人公の男が結構、いやかなり高スキルのサバイバル&戦闘能力の持ち主だったわけです。アウェーでローカル相手のゲームなのに強いこと強いこと。あっという間に一人殺してサンダルやパンツや武器などの装備を奪い、逃げ続けるのでした。ちなみにローカルに捕まったあたりから英語のセリフは一切なくなります。現地語のみ(もちろん字幕なし)。わかるセリフが一切なくてもこれだけ面白いってのは、原始人が火を探しに行く傑作映画「人類創世」を思い出します。ちなみにローカルが話す言葉で「アリエン!」というフレーズがあるんですが、これは何度も何度も出て来るのでシチュエーションから「行くぞ!」という意味だなと理解できました。

町山さんはメル・ギブソンが監督した「アポカリプト」が、本作に対してオマージュというレベルを越えて類似していることを仰っていましたが、私はもう「アポカリプト」をほぼ忘れかけていたのでその点ではよかったですね。あと本作の邦題には「ジャングル」と付いているのですが、そこから想像されるうっそうと生い茂った熱帯の樹々、湿気、みたいなのはないんですよ。ジャングルじゃなくてサバンナ。ひたすら乾燥していて大地に木が点々と生えているみたいな、これぞアフリカという風景ですね。簡単に山火事がおこせるくらい乾燥してるんですよ。

とにかく逃げる男のサバイバル&戦闘スキルが高い。ローカルをうまく騙したりして何人も殺してるし、接近戦のときは地面の砂で相手の目をつぶししたりして本当に感心してしまいました。敵をまくために山火事を起こすシーンも凄い。頭いい〜!(しかもうまく行っている)と舌を巻きましたよ。ゲームの途中途中で、サバンナの動物たちの実際の映像が挿入されたりしていて飽きさせません。鳥に食いつくヘビとか、カエルを飲み込むカエルとか、争うサルとジャガーとか(てっきりサルが獲物かと思ったら、対等にケンカしていて驚いた)。う〜ん、野生の王国!って感じですね。子供の頃見てましたが、ドキュメンタリーチックな構成で結構怖かった気が。その点、関口宏が司会だった「わくわく動物ランド」はホッと出来るのでした。

ファッション的にはローカルが履いているサンダルがお洒落でした。今のレディースのペタンコサンダルみたいなベルト使いで、なんだったらレオパードやゼブラのファー飾りがついてたりするんですよ。今現在にも通用するお洒落さ。というより実際にこういうところからインスピレーションを受けているんでしょうかね。今年はファーが付いたサンダルやスリッパが流行っていたみたいですが、けっこう上級者向けのアイテムですよね。

逃亡の途中で別の集落に辿り着いた男ですが、そこがアラブ系?の武装集団に襲撃され集落の男たちが奴隷として略奪されていくのを見ます。思わず義憤にかられて助太刀をする男。隠れていた子供を助けるために彼も戦うのでした。その後で男は滝壺に落ちて流されるのですが、それをその子供が助けてくれるんですね。言葉はまったく通じないけど親愛の情が通じた二人は一緒に旅をすることに。ここで少しだけ英語が出て来るんですが、そういやこの人、白人だったんだっけと思い出すわけです。

その後、子供と別れてまたサバンナを行く男。疲労もマックスに達した頃、やっと入植しているヨーロッパのものと思われる建物が見えて来ました。よかった〜。これで助かる!と思いきや、ローカルの追っ手がすぐ後ろまで迫っていました。追われる、逃げる、あーあともう少しというところで力尽きて横たわる男。あわやというところで建物から兵士が出て来てローカルたちに発砲。散るローカルたち。すると、リーダー格だったローカルの男が「もう俺らも逃げるわ。お疲れさん、そんじゃ」という具合に男に合図し去って行くのでした。男とローカルたちの間にサバイバルゲームを通じた友情みたいなものが出来ていたんですね。「俺ら、お互いによくやったじゃん」みたいな。昔の少年漫画でありそうな、土手で殴り合いをして疲れ果てた後で笑い合い友達になるみたいな感じでしょうか。男子はこういうサッパリした感じがいいですねえ(本作の場合は殺るか殺られるかなんで、もっとエグいけど)。これでENDです。

いや〜、プロットは単純そのものだし、セリフがないのにこれだけ面白い映画が作れるというのは凄いですね。そういえば森瑶子さんが「真の男らしさというのは、無人島で生き長らえる能力。火を起こし、食べ物を取ることが出来る男でないと(=ヤワな男じゃダメなのよ)」みたいなことをエッセイで書いてらしたのを思い出したのでした。まあ無人島なら周りに海がある分、貝や魚が取れるだろうしジャングルがあればトロピカルフルーツもあるかもしれません。しかしサバンナというのはライオンもウロウロしてるし乾燥してて食べるものがほぼないので(男が唯一取ったたんぱく源はヘビと集落から盗んだ焼き鳥みたいなもの)ずっとずっと難易度が高そうです。






本作に登場するサンダルは、
もっとベルト使いが激しいものだけど
ザックリしたイメージ的にはこんな感じ。

タイツと合わせて秋冬仕様ですな。
でも実際使うとファー部分が汚れちゃって
気になっちゃいそう。







もっとイメージに近いのはこっちですね。
このブランドのスエードサンダルを
持っていましたが、とても柔らかくて
履きやすかったです。

『美女と野獣』♪子犬の横に〜は、あな〜た〜(ヴァンサン)♪





五日物語」でヴァンサン熱が再燃して、コレを観てみました。「え、ヴァンサンのファンならとっくに観てるんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃると思いますが・・・。私の居住国でももちろん上映されていたんですよ。しかし子供向けの映画はだいたい字幕じゃなくて現地語吹き替えなんですね。なので「そりゃあダメだっぺ」とあきらめていたのでした。まあオリジナル言語でもハードル高いんですが、よく知っているお話だし仏語の勉強で非習熟者向けにリライトされたのを読んだことがあったのでチャレンジしてみました。

レア・セドゥがベルで、ヴァンサン・カッセルが野獣というキャスティングからしてドンピシャな本作。監督は「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ。ヴァンサンはジェヴォーダンの獣で、タイトルロールを演じていましたので(15年前の映画なのでネタバレしてもいいですよね?)「ああ、獣繋がりね!」と納得。しかし、野獣時のヴァンサンは素顔出演ではなくCGなのでした!て、ことは呪いが解けてからヴァンサン・カッセルになるってことですよ。あれ〜、妙〜に変だな〜、だっておかしいじゃない、50がらみのコワオモテ俳優、ハリウッド映画ではクセモノ外国人役を一手に引き受けてるヴァンサンが王子だなんて!(もちろん私はそういうところが好きなんですが)フランスの子供たち、とくにおとぎ話に憧れている女児たちはこれを一体どう受け止めているのだろうか・・・。しかし、ワインやチーズなどの時間が経てば経つほどウマいという発酵食文化を持ち、異性にも成熟した好みを持つと言われる国だけに、ヴァンサン王子ってのも全然アリなのかもしれない・・・などと考えてしまったのでした(でも明らかに女児たちのパパよりトシだよね)。

レア・セドゥは「スペクター」でボンドガールにもなりましたが、よく見ると顔は地味なんですよね。目はちょっと腫れぼったいし、ほっぺに肉がついてて西洋版のおかめみたいな感じ。体型もポッチャリしている。一歩間違うとイモっぽい(死語)感じになると思うんですよ。でも透明感があって、ちょっと不機嫌気まぐれな表情がやっぱりフランス女優って感じですね。今回は気だてのいい娘役ですが、お城の中で野獣に見せるどこか反抗的なまなざしが印象的でした。



※以下、ネタバレします。


今回の美女と野獣は少しヒネリが加わっています。ディズニーとかのスタンダードなものは最後に野獣にかけられた呪いが解けてイケメン王子がジャジャジャジャーン!と姿を現すことになってるけど、本作はヒロインのベルの夢の中に野獣になる前のヴァンサン王子が登場。そして彼と今はいない元カノの悲恋が語られるという構成になっています。おとぎ話の相手役に元カノがいたってのも、ちょっと新しいんじゃないでしょうか。まあ50がらみの王子だから過去がどれだけあっても不自然ではありませんね。

この元カノが、なんと森の妖精だったのです。ヴァンサン王子はそのことを知らずに彼女を愛していたのでした。この王子は悪い人じゃあないんだけど、ちょっと傲慢な面があり自然へのリスペクトみたいなものがないというキャラクター。狩りが大好きでいつもお連れのものを連れては森で動物をハンティングしてるんですね。高貴で傲慢な男ってのは「五日物語」の王様とも役柄が被りますね。元カノは「寂しいからあまり狩りに行かずに私と一緒にいて」とお願いするのですが、王子は狩りへの欲望を押さえることが出来ず、ずっと追い求めていた黄金のシカを仕留めます。矢がシカに命中したと思ったら、なんとそのシカが愛する彼女だったんですよ。彼女は森の妖精だということを告白し、怒り狂った彼女の父親(大きな力を持つ精霊)がヴァンサン王子を野獣にし、お付きのものや猟犬の子犬たちの姿も別のものに変え、お城を植物で覆ったのでした。たくさん出て来るワンコたちがすごく可愛いんですが、姿を変えられたバージョンは「カワイイ」な感じを妙に強調したCGで、なんかちょっと興ざめしてしまいました。ヘタにディズニーっぽさは狙わなくてもよかったのに。

あとは、物語がヒロイン自身によって昔話として語られる構成なのが新しかったですね。物語が子供たちのベッドタイムストーリーとして語られるんですが、途中から語り手の女性=ヒロインのベルであるということがしっかりと重なってきて、今現在のベルは母親になっているということがわかるんですよね。彼女が語るお話自体は野獣がヴァンサンになったところで終っているんですが、後日談があるんですよ。母親になっているってことは・・・ってことですよね。ベルは商人のお父さんが落ちぶれた後に引っ越した田舎の家に住んでいて、子供たちが寝た後で家の周りに広がる畑に出ます。すると逆光で野良仕事から子犬たちを連れて帰って来る男のシルエットが・・・。そう、それがヴァンサンなんですよ!ここで私の脳内に鳴り響くのは小坂明子の「あなた」です。♪子犬〜の、横に〜は、あな〜た(ヴァンサン)、あなたが〜♪ なんですよ。

よく聴くと悲しい歌なんですが・・・。



夕方、野良仕事から帰って来るヴァンサンを出迎えるなんてメッチャ幸せじゃないですか!夕陽に照らされて輝く田舎の風景、家の中では引退したベルのお父さんと可愛い子供たちが眠っています。もう、これ以上の幸せはないッ!という最高のエンディングなのでした。よく考えると、以前は自然を服従させることに喜びを見いだしていたヴァンサン王子が、今は考えを改めてカントリーライフを送っているって変化も描けていますよね。ということで、満足のいく仕上がりになっていました。

『バニー・レークは行方不明』ここ最近の中で一番の恐怖



   


町山智宏さんの「トラウマ映画館」でその存在を知り、アメリカ映画特電のPodcastも聞き(もちろんネタバレ前に停止)はや数年・・・。やっと観ることが出来ました。いや~、怖かったですね~(心なしか水野晴夫調)。血なんか一滴もたれないし、幽霊もモンスターもゾンビも殺人鬼も食人族も一切登場しないのに、これだけ恐ろしいとは・・・。昔のアメリカ映画って凄い、と思ったのでした。

まずはオープニングクレジットからして何か怖いんですね。手が出て来て黒い紙(スクリーンと同サイズになっている)を破ると、下からタイトルやクレジットが出て来る。破る、出て来る、というこの繰り返しが何か不穏なムードをかき立てるんですよ。洒落てるんだけど、 なんか怖い・・・。このオープニングは伝説的な有名グラフィック・デザイナー、ソール・バスによるものだそうです。ソール・バスのお仕事について調べてみると日本でもたくさんしていたようで、なんと京王百貨店の紙袋(ブルーのトーンで鳥がたくさん羽ばたいているシルエット)も彼によるものだとか。ひえー、実家の押し入れにいっぱいある!(母親がため込んでいる)そういやあの鳥もソール・バスのテイストかもねえ・・・と思わぬ身近っぷりに驚いたのでした。







舞台はロンドン。アメリカからやってきたばかりの若い女性アン(キャロル・リンレー)は、幼稚園に娘のバニーを迎えに来ました。娘は今日、幼稚園に入ったばかりなのです。しかし、どこを探しても娘の姿が見えません。先生や給食のおばさんに聞いても誰も娘のことを知らないと言う。不審に思ったアンはロンドン先住で特派員の仕事をしている弟のスティーブン(キア・デュリア)に来てもらい、警察を呼んでバニーを探します。ニューハウス警部(ローレンス・オリビエ)が捜査に当たりますが、調べれば調べる程バニーの存在自体が最初からいなかったのでは・・・?という展開に。アンはアメリカから引っ越して来たばかりだったので娘の写真や荷物も手元になかったのでした。それでもアンと弟スティーブンはなんとかバニーを探そうとしますが・・・というあらすじです。


※ネタバレします。


町山さんが「フォーガットゥン」や「フライトプラン」が本作品のフォロワーだと仰っていましたが、それらの映画の結末を知っていても見事に騙されてしまったというか、楽しめましたね。アンを演じるキャロル・リンレーが繊細で少女のように若いしちょっとメンヘルっぽく見えるので、途中からやはり娘の存在は彼女の妄想ではないのか・・・いや、本当に娘がいたのかもしれないけど、アメリカで何かあって娘と別れなければならなかったとか、娘が既に死んでいるとかして彼女は気が狂ってしまっているのでは?というようにも見える。まあ最初から娘が出て来ないので、そういう風に見えても全然不思議じゃないんです。

しかし「フライトプラン」はジョディー・フォスターの娘が一緒に飛行機に乗り込むところがバッチリ映っていたし、窓に指でハートを書いていた跡が浮かび上がるので絶対に飛行機の中にいるってことがわかる作りでした。まあこの映画もつまらなくはなかったけど、やっぱり娘は存在しているってのが観客に提示されているのでジョディー・フォスターが狂っている疑うと言うよりは応援するという感じになっていたと思います(パイロット役のショーン・ビーンが怪しいと思っていたが)。

しかしオリジネーターの本作はヒロインが必死になって娘を探せば探す程、精神バランスを崩してしまった可哀相な人に見える。娘が娘がって言ってるけど本当にいるの?いないの?実は最初からいないんじゃ・・・?というように見事に誘導されるわけです。ヒロインと弟は家庭の関係かなんかで幼い頃から助け合って生きて来ており、姉弟ですが親密すぎてちょっと夫婦や恋人同士のようにも見えるんですね。弟を演じているのは「2001年の宇宙の旅」でボーマン船長を演じたキア・デュリア。顔が美しく整いすぎていてちょっと怖さも感じさせる美男です。顔が整いすぎていて人間離れ、もしくはロボットぽい、というのは「プロメテウス」のマイケル・ファスベンダーみたい。もし「バニー・レークは行方不明」が今から10年以上前にリメイクされたとしたら弟役はおファスで決定だなと思ったのでした。

しかしヒロイン、アンの大家さんのおっさん(ノエル・カワード)がネチャ~っとしてて気持ち悪かったですね。このおっさんがいつの間にかアンの部屋の中に勝手に入り込んでいたり、アンの腕にさりげなく触れようとしたりしてでも触れそうで触れなくて非常にウザキモでした。アン、早く逃げてーっ!って心がザワザワしましたよ。この大家のおっさん、明らかに怪しげなんだけど娘をさらったのは不思議とコイツの仕業ではないという気がしましたねえ。なんでだろう。中の人、ノエル・カワードはもともと脚本家でゲイなんだそうです。でもアンに迫って来る演技は素晴らしいウザキモさでした。彼に助演男優賞を差し上げたい。

あまりにも娘の存在を客観的に証明する物証がなくって途方に暮れるアンですが、ちょっと前に娘の壊れたお人形を修理に出していたことを思い出すんですよ。人形職人のところへ行くのですが、夜の人形修理屋が怖い~!天井まである大きな棚に半裸や腕や脚のもげた人形がズラーっと飾られていて、それがボウっとした光で照らされてるんですよ。まあこれが全部おかっぱの日本人形だったりなんかしたら、もっともっとオトロシイですが‥‥。で、そこでアンは娘の持っていた人形を見つけて喜び、後から来た弟に「あったわ!」と渡すんですが、アンがどこかへ行った隙に弟がその人形を壊してしまうんですね。

あれ~、妙~に変だな~、だっておかしいじゃない、弟だって必死で姪っ子を探していたはずなのに・・・。弟が車のトランクを開けると、そこには眠っている幼女、すなわちバニーの姿が・・・。はい、犯人は弟だったのです!!!そりゃ登場人物は少ないし、犯人は大家のおっさんか、学校の先生たちか、ドンデン返しで実はヒロインかとか思うじゃないですか、もちろん弟もメインキャストなので容疑者になり得るんだけど、なぜか「そう来たか!」と思わされてしまいました。しかし真に恐ろしいのは犯人が弟だと判明した後なんですよ。

弟は姪っ子であるバニーを殺そうとしますが、間一髪でアンがそれを見つけます。「やめてーっ!」と弟とバニーの間に入るのかと思ったら、アンは「そんなところにいたのね!さあ遊びましょう!」と子供に語りかけるように言うのです。そうしたら弟が「うん!何して遊ぶ?」とこれまた子供のように返答します。弟、狂っていました。実は狂っていたのはアンではなく弟の方だったのです・・・。弟は働いているので社会生活を営めるくらい普通の人に見えるんですが、アンに執着するあまり彼女の娘バニーを僕らの邪魔をするいらない子だと思い、手にかけようとしていたのでした。

アンは必死に弟の気をそらすために楽しい遊びを提案します。そのうちにバニーも目を覚まし、三人は夜の庭でスキップをして楽しく遊び始めます。アンはかくれんぼを提案し、弟を鬼にします。ノリノリでカウントダウンを始める弟。その隙を見てバニーを温室に隠して助けを呼びに行こうとするのですが、何故か数を数えていたはずの既に弟が温室の外にいてこちらを見ている!ヒイイイイ!ということで、ここが一番恐ろしかったシーンでした。それに夜の庭でいい大人がキャッキャと遊んでいるのも狂気じみていて怖かった・・・。前述した通り、フィクションの世界では恐ろしい人達がたくさん描かれてますよね。幽霊やモンスターやゾンビや食人族(これは実在してるか。NHK特集見たかったなあ)などなど・・・。でもそんなの現実のすぐ側にいる狂った人間に比べたら全然なんですよ!タガが外れてしまった人間こそが一番恐ろしいのだということを改めて感じたのでした。きっと10年以上前のおファスでリメイクしても見事なマッド演技を炸裂してくれたことでしょう・・・。

アンがブランコに乗って弟に押させているところに、警察が来て一件落着となり一応ハッピーエンドです。すべてを知ったローレンス・オリビエ演じる警部がアン母子に労いの言葉をかけるんですが、そんな落ち着いてる場合かよ!てかお前も今までバニーの存在疑ってたろ!って思ってしまいました(笑)。

最後に、こんな「バニー・レークは行方不明」は嫌だ!というネタです。バニー・レークを演じた子役の名前(スキ・アップルビー)がオープニングクレジットにも表示されているんですが、よく邦画である「◯◯◯◯(子役)」とか「◯◯◯◯(劇団ひまわり)」とかのクレジットだったら、もうその時点でほぼネタバレですね(笑)。


『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』女性版ペグ兄&おデブのニックみたいなペア



       


ゴーストバスターズ」のリブート版が面白かったので、同じ監督&主演女優×2で作られた本作をチェックしてみました。そーいえば、こんな映画、あったねえ・・・という感じでしたが「どうせくだらないBSOL映画だろう」と思ってスルーしてたんですよね。BSOL映画ってのはスター映画でもあるわけです、メインの女優か男優で知ってる人出てないとあんまり観る気にならないんですよ。しかし、私は甘かった。この映画はなんと、オスカー脚本賞と助演女優賞にノミネートされていたそうで。知らなかった・・・。なんかもっと、こういうところを宣伝でアピールした方が良かったのでは?などと思ったのでした・・・(自分が知らなかっただけだけど)。

いや~、しかし面白かったですね。細かい所でちょっと引っかかるところもあったけど、すごく楽しめるBSOLコメディ映画でした。主演と兼共同脚本のクリステン・ウィグ、助演女優賞ノミネートのメリッサ・マッカーシーのこの名コンビぶりは女性版のサイモン・ペグ&ニック・フロストみたい!(ちなみにペグ兄&ニック・フロストの「宇宙人ポール」ではクリステン・ウィグがペグ兄の相手役で登場してましたな)クリステン・ウィグ、背もスラっとしてるし脚も綺麗(だから衣装はみんなミニ丈?)、顔はちょっとコミカルさが隠しきれないけど美人といっていいでしょうね。私は最初彼女を「ローラーガールズ・ダイアリー」で見た時に「シンシア・ニクソン(SATCのミランダ)そっくり」って思ったけど、見慣れて来るとそうでもなかったです。

一見BSOL映画なんだけどエロネタ、ゲロネタ、うんこネタが盛り込まれ、最後はちょっといい話で終るという映画でした。大人の女性が出て来る映画にうんこネタってのはSATCの映画二作目を思い出しますね。SATCでもメキシコ旅行でシャーロットがお腹下してたし、アメリカ人の中では南米の食べ物ってちょっと危ないという認識なんでしょうかね。

ヒロインのアニー(クリステン・ウィグ)は30代後半くらいの独身女性。お菓子作りが好きで婚約者とパティスリーを営んでいたのですが恋愛もビジネスもうまく行かず、今はシングルで母親のツテで見つけた宝石店で働いています。アニーにはセックスフレンドのテッド(ジョン・ハム)がいますが向こうはシリアスな関係になる気はさらさらない様子。そんなとき幼なじみで親友のリリアン(マーヤ・ルドルフ)がボーイフレンドと結婚することになり、メイド・オブ・オナー(花嫁介添人のリーダー)を頼まれました。複雑な心境ながらも親友のために奮闘するアニーですが、同じくブライズメイドとして加わったリリアンの婚約者の上司の妻ヘレン(ローズ・バーン)と張り合うことに。他にも一癖あるブライズメイドたちが集まり、この結婚式は一体どうなる?!そしてアニーは幸せを掴めるのか?!というお話です。


※ネタバレします。


BSOL映画のヒロインはだいたいにしてトホホな境遇に置かれることが多いですが、アニーはちょっと気の毒なくらいトホホです。デブな兄妹とフラットシェアしてるんですが、言いがかりをつけられて追い出されちゃうし(ちなみに妹の方は「バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!」にも出演しているおデブ女優のレベル・ウィルソン)、仕事場の宝石店でも婚約指輪を買いに来たカップルについ悪態をついてしまって上司に怒られるし(「愛してるからと言ったって所詮は他人。誰も、誰も信用出来やしないのよ」という囁きがかなり笑えるが)。母親(ジル・クレイバーグ)には「今が一番のどん底だと思いなさい、後はよくなるばかりよ」と励まされるも、アニーの場合まだまだ底があって落ちて行くという可哀相さ。親友リリアンにとって、よかれと思ってしたことが思いもよらない形で裏目に出てしまい大勢の前で醜態を演じてしまったりと、自分の人生だけじゃなくて親友との長年の友情にまでもヒビが入る始末です。さすがに私はアニーほどのどん底に落ちたことはないですが、仕事なし(面接してもしても採用されない)、彼氏と破局、高校時代からの友人二人と絶交、ひどい肌荒れに次々と襲われて、やることなすこと絶不調だった24歳の頃のことを思い出したのでした。でもまあ24歳なんて全然若いし、いくらでもリカバリーが可能だと今になって思います・・・。

でもアニーには素敵な出会いもあるんですよ。バックライトが壊れたままフラフラ運転をしていたら、警官のネイサン(クリス・オダウド)に止められてキップを切られそうになるんですが、この警官がアニーのパティスリーの常連だったことからキップを免れるんですね。で、偶然にコンビニや道で彼に会ううちにイイ感じになってベッドインするんですよ。このお巡りさん、セフレのジョン・ハム(絶倫なんだけどデリカシーゼロっていう、このキャスティングがいかにもでまたイイ)よりまともで良さそうな男じゃん、よかったのうアニー・・・と思うんだけど、ネイサンからまたケーキ作りしなよ!と励まされて嫌になって逃げて来るんですね。うーん、そんなことで逃げなくても、と思うんだけどまあアニーにとっては触れられた くなかった古傷ってことなのかな。

しかし米国の結婚式ってのは披露宴だけじゃなくてその前に色んなイベントがあってしち面倒くさいものだなあ・・・と今回思いましたよ。この映画でも婚約パーティー、花嫁とブライズメイドたちの食事会兼打ち合わせ、バチェロレッテパーティーや旅行、ウエディングシャワー(新婚カップルへの贈り物をあげるパーティーらしい)などなどが出て来ます。しかもいちいち着ていく服だとかプレゼントだとかを考慮しなければならなそうな、ちょっとワンランク上のパーティーばかりなんですわ。またパーティーのテーマが決まってたりすると、ドレスコードもそれに合わせたものが設定されたりでこれも超面倒くさそう。それならば休日を半日または一日犠牲(失礼)にして一張羅を着込み、 3万円を払っておけば立派に義理を果たすことができる日本の結婚式のがいくらかマシかもなあ、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こんなしち面倒くさい風習がいくつもあるからこそ「私のセンスの見せどころ!」と張り切る女性というのもいるわけで、ローズ・バーン演じるセレブ妻のヘレンなんかはその典型なんでしょう。ヘレンはSATCでいうとシャーロットみたいなコンサバで良家の奥様スタイルの女性。根は悪い人じゃないんだけど財力にモノを言わせたパーティーを開催したり法外な価格のプレゼントを選んだりと、ヒロインのアニー(シングル、失業中、貧乏)をイライラさせるキャラクターでした。でもそんなヘレンには女友達がいなかったし、ステップマザーとしても夫の連れ子たちから軽んじられてたんですよね。だからその穴埋めとしてパーティーのオーガナイジングに必死になっていたのかなという感じでした。しかし招待客へのお土産が子犬って、ちょっと常軌を逸してる気が・・・。金持ちの考えることはわかりませんな。

にしてもアニーが出したパーティーのアイディア(テーマはおフランス)をヘレンに勝手に使われるし、アニーのお金はかかってないけど心づくしの手作りのプレゼントを開けた後にヘレンからの金にモノを言わせたプレゼント(パリご招待のエアチケット)が出て来るってのは可哀相・・・。私だったらパーティーのテーマ盗用は責めるかもしれないけど(しかもアイディアを出した時にヘレンは乗り気じゃなかったくせに)、100歩譲って親友が喜んでくれるならヨシとしよう。でもプレゼントの引き立て役になったら、恥ずかしいやら自分が情けないやらでその場から消えてしまいたくなっちゃうかも・・・。これはコメディだからアニーがウオリャー!とブチぎれてマリー・アントワネットが食ってそうなそびえ立つケーキをグチャグチャにしたり、お庭にあるチョコレートの吹き出る噴水をぶっ壊したりするんですが(笑)。しかしその所業の前にアニーは小汚いレストランに皆を連れて行って食中毒騒ぎを起こしてるし、ラスベガスへのバチェロレッテ旅行を台無しにしているし(お酒を飲ませたヘレンも悪いのだが)、さすがにその後にコレかよ・・・ってことで親友リリアンも怒ってしまうんですよね。

お洒落なドレスショップでの上からゲー、下からブー、の惨劇シーンは悪趣味ながらも面白かったですね。今までもみ手をしていたドレスショップのマダムが「ここではやめてー!」と手のひらを返す態度になっていたのもうけたし、食中毒になったアニーとヘレンが滝の様な汗を流しながら我慢し合うのも見応えがありました。しかしリリアンは超高級のウェディングドレスを着たまま道路の真ん中で失禁(しかも大きい方)・・・。可哀相ですが、もちろんドレスは買い取りですね(苦笑)。

しかし親友のリリアンも、もう少しアニーの気持ちや今どんな状況かを汲んであげて寄り添ってあげられないものかのう・・・と思うんですが。ちなみにリリアン役のマーヤ・ルドルフのお母さんはあの名曲「ラヴィンユー」のミニー・リパートンなんですね!「ラヴィンユー」はマーヤ・ルドルフへの子守唄が原曲で、お母さんのミニー・リパートンは31歳の若さで夭折しているとか。それを踏まえて再び「ラヴィンユー」を聞くと涙がちょちょぎれます。ちなみにマーヤ・ルドルフのパートナーは映画監督のポール・トーマス・アンダーソンらしい。有名な家族がいる女優さんなんですね。

親友とも最悪の形で決裂してしまったアニー。そんなアニーが宝石店に立って、親友へのプレゼントを探しに来たローティーンの少女の接客をするシーンも最高です。「永遠に友達なんて、幻想なのよ」と言うと少女と醜い言い争いになり(相手は子供なのに・・・)最後には「うっせー惨めな独り身のババア!」と言われ、思わず放送禁止用語で返したら仕事もクビ(しかしアメリカで哲学者のカントの話をするときはどうするのだろうか)。もうここまで来たら「毒を食らわば皿まで」で、とことん落ちたらいい・・・とも思ってしまいます(笑)。

さてそんなどん底のアニーにハッパをかけてくれたのが同じくブライズメイドで、リリアンの婚約者の妹であるメーガン(メリッサ・マッカーシー)です。デブで残念なキャラクターなんですが、ブライズメイドの中では一番のキャリアウーマン。そんな彼女が「何しょげてる、オラ、友達がいないって?そんなお前に語りかけてる俺が友達じゃないってのか?オラ、オラ、オラ!」と相撲部屋のぶつかり稽古みたいにしてドンドン攻撃して来るんですよ。メーガンは高校時代からいけてなかったし、友達もいなかったけどそれを強さに変えて猛勉強し政府関係のセキュリティーの仕事で重役についていたのでした。恐らくはこのハッパ演技で評価されて助演女優賞ノミネートなのかなって思うんですが、にしては短いシーンなんですよ。でも温かみがあっていいシーン。しかしそもそもメーガンはそこまでアニーと友達だったっけ?ってのも思ってしまうのでした。ちなみにその年に受賞したのは「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」で黒人メイドを演じたオクタヴィア・スペンサーでした。メリッサ・マッカーシーはずっとノーメイクで出ているのでデブだけどイマイチこの人がゴーストバスターズと同じ人か自信がなかったんですね。でもラストでバッチリアイメイクをしているのを見て「ああ同じ人だ」と思ったのでした(笑)。

同じく引っかかったのが、アニーにむげにされた後のお巡りさんですね。彼、ちょっと強情すぎやしませんか?玄関前でアニーのお詫びケーキを見つけたもののすぐに家の中に持って帰らないし(その後の説明セリフで食べたことがわかったけど)、リリアン行方不明で助けを乞うアニーたちにガンとして反応しようとしないし(まあそれがギャグのトリガーになるのだが)。こんなに頑固な男だったんだ、もし付き合うとなっても色々と大変そう・・・などと思ってしまったのでした。

しかしやっぱり冠婚葬祭シーンってのは、人間ドラマの宝庫なんですよね。みんな慣れないことに一生懸命取り掛かって滞りなく終えよう、末永く思い出に残るものにしようと心を砕くわけだから、時にうまく行かなくなったり諍いも起こったりする。思わぬ人間の本性が垣間見えてギョッとしたりもするわけです。結婚式ではないですが伊丹十三の「お葬式」を思い出してしまいました。最後は歌って踊ってのエンディング。色々あったけどめでたい!歌って踊ろうというラストはインド映画の「モンスーン・ウェディング」みたいでした。

さて、私が気になったのがヒロインのアニーが劇中ほぼずっと着用していたネックレスです。金のりんごを図案化したようなチャームが付いているそれはキュートなネックレスなんですが、てっきりティファニーのアップルだと思ってたんですよね。でも実はA.P.C.のものらしく、残念ながら現在は入手できないようです。アニーのキャラクターにすごく合っていて、思わず私も欲しくなってしまったのでした。ところでBSOL映画でティファニーといえば、最近では「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」でブリジットがずっとプラチナのオープンハートを付けていたのが印象的でした。結婚式にまで付けていたので本当にお気に入りだったんでしょうね。

関連リンク:
Where to get Kristen Wiig’s 'Bridesmaids' necklace (or something just like it)

リンク先でも「これが似てるよ」って紹介されていた。欲しくなってしまう。




『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』43歳で妊娠、高スペックイケメンに奪い合われるなんて・・・



                       
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相変わらずベタな選曲のサントラもいいです。


うちらのブリジットが帰って来た!
それも1作目から15年ぶりに!!!ということで、行って参りました。最初は「主演女優の顔も変わっちゃってるし、はたして劇場で観る価値はあるのだろうか・・・」と思っていたんだけど、友人Iから「ブリジット is アイタン。アイタン is ブリジット。観に行かない選択肢はない」(なぜ私がそこまでブリジットなのか根拠は不明・・・)と言われたので行くことにしました(笑)。

1作目は笑えて時々身につまされて、少女漫画の鉄板パターンを踏襲していて実に良質なBSOL映画だったと思います。その点、海外ロケして気合いが入った2作目はちょっとハズしていた感じがあって正直イマイチの出来でした。2作目ってたってこれも12年も前ですよ。それから今作「ベイビー」の企画が持ち上がっているというニュースを目にしたりしていましたが、やっとやっと実現したわけですね。

ファーストシーン、あのおなじみのロンドンのフラットでひとり、パジャマを着てボーッとソファに座っているブリジット・ジョーンズ(レネー・ゼルヴィガー)が映されただけでもう笑いがこみ上げて来る。そして「オールバイマイセルフ」ではなくラップに乗せてエアカラオケをするブリジット。ピンクと紫のクレジットも懐かしいです。43歳になったブリジット、前2作でマーク・ダーシー(コリン・ファレル)とハッピーエンドだったんですが、どうやら別れてしまっている様子。マークは他の女性と結婚していたんですね。えー、あんなに2本の映画でマークが運命の人だって盛り上げておいてそりゃないぜ・・・って感じですが。

そしてブリジットシリーズといえばヒュー・グラント演じるプレイボーイのダニエル・クリーヴァーですが・・・。なんと彼、飛行機事故で他界しています。お葬式(しかしあちらのお葬式は派手な帽子や肌を出したレーシーなワンピースなど服装が自由なんですね)に集まったのは、親友シャザー(サリー・フィリップス)と同じく親友のジュード(シャーリー・ヘンダーソン)、ゲイのトム(ジェームス・カリス)もいたかな。そしてマークも妻を伴って訪れていました。ぎこちなく挨拶をするブリジットとマーク、しかしマークはいつもブリジットに何か言いたげというか、険しくも複雑な表情をしているものである。ここら辺が女心をくすぐるのかもしれない・・・というか私の様な人間は自分に都合のいいように解釈しちゃうんですよね(笑)。

しかしみんなもれなく老けている。15年振りなんだから当たり前なんだけど、スクリーン越しでも女優陣は明らかに肌の水分量が抜けているのがわかります。実際の年齢はアラフィフなんだからしょうがないか。今の技術を使えば若く見せることはいくらでも可能なはずですが、あえてやっていないのでしょうね。シャザーとジュードは子持ちになっており、なんとゲイのトムまでパートナーと養子を迎えるプランを立てています。少し取り残された感じのするブリジットなのでした。

一方、お仕事の方は順調でレポーターからニュース番組のプロデューサーになっています。しかし、仕事っぷりは少し、いやかなり残念ですね・・・(笑)。番組のアンカーウーマン、ミランダ(サラ・ソレマニ)と一緒に休暇を取り、野外キャンプの音楽フェスに出かけます。しかしミランダが女子アナなのにモテてないってのが驚き。日本ならチヤホヤされる職業なのに。そこでブリジットはイケメンなナイスミドル、ジャック(パトリック・デンプシー)と運命的な出会いをします。もうここが何百年前の少女漫画なんだよって感じですが。ぬかるみがたくさんあるキャンプ場で、真っ白いトップ、パンツ、華奢なサンダルばきのブリジットはドブにはまってしまいます(これでもか、ってくらいのドジ女演出)。それを笑いながら助けてくれるのがセクシーなジャックなんですね。しかも彼の方がブリジットのことを気に入っている様子。そんなこと、あるわけ、ないだろ!!!って感じなんですが(笑)。

フェスで飲んでるときのブリジットの服が可愛かったですね。エスニックなトップにショートデニムパンツ、ウエスタンぽいブーツにマルベリーのショルダー(これは兼お仕事バッグとしても使用)でした。出演アーティストとしてエド・シーランって人が本人役で出てましたが、どうやら有名な人のようです(無知すいません)。酔っぱらったブリジットはテントを間違えてしまいますが、そのテントがさっきドブから起こしてくれたイケメンのテントだったのです!そのまま二人は一夜を共にするのですが、ブリジットは翌朝こっそりテントを抜け出すのでした。てかよく考えるとパトリック・デンプシーのようなセクシーイケメンが、ぼっちでフェスに来てる訳ないと思うんですが・・・。まあ次へ行きます。

ロンドンへ戻ったブリジットは時を置かずして、親友ジュードの子供の洗礼式に招かれます。子供のゴッドマザーになったのがブリジットで、ゴッドファザーになったのが、なんとあのマーク。ジュードの子供を抱いて、ゴ ッドマザーとゴッドファザーだけで写真を撮られますが、2人の間のぎこちなさは消えていません。しかし2016年の洋画で人々が「江南スタイル」で踊り狂っているとは思いませんでした・・・。マークは江南(地名)について真面目に語り出すし、相変わらずです。なんとマークは妻と離婚をすることになったそうです。そしてやはりブリジットに未練が・・・。その夜2人は一夜を共にするのでした。これでヨリが戻ったかと思いきや、やはりブリジットは前のときと同じようにうまくいかなくなるのでは、と考えてマークの元から去るのでした。

さて。時を置かずして2人の男性と交わったブリジット。やがて体重が増え始め、ジーンズが入らなくなったりします(しかしこうなるのは妊娠数ヶ月経ってからでは・・・ )。妊娠したかも?でもコンドームは使ったし・・・。しかしブリジットが使っていたのはバッグの底にずっとあった古い古い期限切れのコンドーム(このズボラさよ!)。妊娠検査薬で調べてみると「Pregnant」のデジタル表示が・・・。妊娠した!ということでコメディーが動き出します。

妊娠といえば2作目でスイスかドイツのスキーリゾートに来たブリジットが、マークとの間に子供が出来たかも?と思いゲレンデからそのままシャーッと薬局に滑り込み、薬局の人に「キンダー(子供)が・・・とお腹がふくれるジェスチャーと破れかぶれのドイツ語で妊娠検査薬を買うというシーンがあったっけ。そのときは妊娠してなかったんですが、なんと今回43歳にしてビンゴを当ててしまったわけです。病院に行ったブリジットは産婦人科医のローリング先生( エマ・トンプソン。「二ツ星の料理人」でも脇でお医者さん役でした)に超音波で赤ちゃんを見せてもらい感激。でも父親は?音楽フェスで一夜を共にしたイケメンはどこの誰かもわかりません。

そうしたら、彼の正体が判明。女子アナの友達ミランダがテレビで彼を見たというのです。彼、ジャックはアメリカ人のIT実業家で大金持ちなのでした。番組でジャックをゲストに招き、メイクさんを使って秘密裏に彼のDNAサンプルを手に入れようとするブリジット(笑)。しかしブリジットが番組スタッフだということがジャックにバレてしまい、二人は顔を合わせることに。そこでブリジットは妊娠したこと、彼が父親であるかもしれないことを告げてしまいます。幸い、ジャックは独身(マジかよ!)。ジャックはブリジットをサポートすることにするのでした。

一方、マークにも同様に告白するブリジット。報告を聞いた後で、一旦部屋を出て再び戻って来るマーク「僕の今までの人生の中で、一番素晴らしいニュースだ」と言うのでした。やっぱりマーク、わかりにくい(笑)。ブリジットはマークにもジャックにも、もう一人父親候補がいることは内緒にして産婦人科に付き添ってもらうのでした。なんか自ら状況を面倒くさくしているけど、まあ安定期に入るまではそっとしておいた方がいいのか?でも結局2人が揃ったときにブリジットは正直にどちらが父親かわからないって言うんですよ。一番大事なのは無事に赤ちゃんを産むことだから、というブリジットにジャックは同意しますが、堅物なマークは怒ってしまいます(てか、当たり前か)。マークとジャック、父親はどっちかわかりませんが、出産まで二人は張り合うことになるのでした。



ということで、ここまでが予告編などで触れられている部分です。
※ここから先はネタバレを含みます。



邦題には「ダメな私の最後のモテ期」とあるのですが・・・43歳で妊娠し、IT長者と人権派弁護士という高スペックなイケメンに奪い合われるブリジットのどこが「ダメな私」なんでしょうか・・・。まあ父親がどっちかわからん、ってのがダメなのかもしれませんが・・・でもどっちに転んだとしても安泰この上なし!だし、43歳で妊娠(しかも高齢出産の妊婦が悩むであろう色々な描写はナシ)なんて負け犬サヨナラ逆転ホームランではないですか。そう、ブリジットは昔からそうなんですよ。1作目だってヒューヒューとコリン・ファースが殴り合いの末レストランにもつれ込んで大騒ぎするくらい、奪い合われていたわけで。♪ケンカをやめて~二人を止めて~、わたし~のために~、あらそ~わないで~♪をまんま地で行っている訳です。

ブリジットこそが最高のモテ女!1作目では「そのままの君が好きなんだ」ってすべての女子が夢見るであろう究極の愛の言葉をドロップされているし(またこの頃のコリン・ファースがいいんだ〜)。1作目のブリジットっつったら、デブだしヘビースモーカーだしドジだし料理できないし(スープを作ろうとしたら何か正体不明の青い液体状のものになってた)・・・。料理っていや、私もその昔、夫と付き合っていた頃まったくできなかったんですよね。私が自炊をしないことを知っていた同僚女子は「これだけ料理しないで、男と付き合えてるってのが凄い」とほめ言葉 なのか何なのかよくわからないことを言ってくれましたが、世の中の女子ってみんな男心をつかむために料理してるんだなあ・・・と思ったのでした。あ、こういうこところが友人Iがブリジットisアイタン説を唱える所以でしょうか。

父親はどっちかわかりませんが、ブリジットのパパ(ジム・ブロートベント)やママ(ジェマ・ジョーンズ)やウナおばさん(セリア・イムリー)、友人たちはみんな妊娠に歓迎モードです。そうそう、43にして授かった子宝なんだから父親なんてどうでもいいんですよ。子供は社会の宝っ!そうこうしているうちにブリジットの腹はどんどん大きくなり、母親学級に2人の父親候補と参加し、ゲイカップルに間違われた彼らの代理母だと思われたりします(笑)。しかし産休に入る直前に仕事でトラブルが発生、前から嫌な奴だった年下上司(女優名調べたけど不明)と売り言葉に買い言葉でケンカしてしまい、勢いで仕事を辞めてしまうのでした。

大きなお腹を抱えて、仕事もないしお金もないし家のカギが入ったカバンも置き忘れる始末・・・(本当にしょうがないな)。そうしたらしばらくブリジットの前から姿を消していたマークがやってきてくれるんですね。やっぱりマークが本命だと思うのはこういうとき。ヒロインが困った時や寂しい時に現れてくれるんですよ。・・・都合良すぎ?その前にマークが家でダサいクリスマスセーターを見つけて、ブリジットと初めて会ったときを回想するシーンがあるんですが、これが1作目から挿入されてるんですね。2人とも若い~!!!特にレネー・ゼルヴィガーはプニプニしててはち切れそうな水分たっぷりお肌、まだあどけない感じもあって実にカワイイんですよ。本当に、どうして整形なんかしちゃったんでしょう・・・。設定としては当時ブリジットは32歳。私は公開当時まだうら若き乙女だったので30越えたら何となくアウト、みたいな感覚があったんですね。だから「32歳でシングルなんて本当に気の毒・・・」って思ってたけど、今振り返ってみると32歳なんてめちゃ若いですね。

予定日より早く破水してしまったブリジットを抱えて、マークは病院へ。しかし渋滞にハマり近所のピザ屋の配達用トゥクみたいなので病院へ向かいます。このピザ屋のオーナーが緊急事態なのにしっかりピザ宅配もやっているシーンは笑いました。途中でジャックもジョインし、父親候補2名におっ抱えられて病院へ。病院の回転ドアに頭をガンゴンぶつけられながら運ばれるブリジットに笑ってしまいました。古典的なドタバタなのにこれだけおかしいのも凄い。ここのシーンでブリジットが着ている青いフワフワのアウターが可愛かったです。ブリジットが出産をするシーンではこちらも力み、無事に息子が産まれたシーンでは思わず涙。しかし出産しても父親がどっちかわからないってのがすごい事態だな。エマ・トンプソン演じるお医者さんが「さあもうハッキリさせましょう」と2人にDNA検査を促すのでした(笑)。そういやマークとジャックがケンカしていたときに、ジャックはコンドーム付けていなかったと言っていましたが、キャンプ場のシーンでボロボロになったコンドームの箱がちらっと映ってたかな~。

そして1年後・・・ブリジットはついに純白のウエディングドレスに身を包み、結婚します。花嫁を待っていたのは、やはりマークでした(私の記憶が正しければマークはこれが三回目の結婚のはず)。ブリジットのパパママも、マークのパパママも嬉しそう。てか役者さんが生きててよかったよ。もうここまで来るのに何年かかってんだ・・・つかよかったのう、ブリッジ!!!と私もすっかりブリジットの長年の友人気分ですよ。結局ジャックは父親ではありませんでしたが、今では彼らの良き友人です。1歳になった息子(超可愛い)を抱っこして幸せそうなブリジットなのでした。めでたしめでたし。

そして風に舞う新聞が映り、死んだはずのヒューヒュー演じるダニエルが奇跡的にどこかで発見されたという記事が映るのでした(笑)。私は幸せな気持ちで映画館を後にしたのですが・・・このブログを書くにあたって調べたら、なんとポストクレジットシーンがあったようなんですね。ちょ、みんなマーベルに影響されすぎ!という感じですが、ブリジットとマークと息子が揃ってダサいクリスマスセーターを着ている写真?が映るんだそうで。今度観る機会があったら最後まで観なきゃ・・・。出来としては1作目以下、2作目以上といったところですね。でもシリーズのファンなら必見。きっと幸せな気持ちになれることでしょう。世界中のブリジット・ジョーンズに幸多からんことを!


          


『裸のランチ』官能文芸映画にあらず



                       
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裸のランチ(Blu-ray Disc) [ ピーター・ウェラー ]
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タイトルから長年の間、エロ官能文芸ものだと思っていたのですが・・・。まあ主人公は作家なんですね。しかしなんかデカい虫が肛門のような(見たことないけど)口を開いて悟り切った様な調子で人語を話し、ヌメヌメした肌質の半魚人みたいな怪物が捕らえられて逆さ吊りにされた上に頭から生えている触覚を人に吸われ、人と虫とが合体したようななんとも形容し難い巨大な虫がカサカサとゴキブリのように這い回る(この人間と他の生き物の合成形みたいな気持ち悪い生物は、ちょっと「ポゼッション」のタコ人間みたい)・・・という、常人が理解可能な域をいともやすやすと突破した凄い映画、それが裸のランチなのであります。

ア、ア、アバンギャルド ・・・。本当にわからない映画でしたね・・・。まあ、たまには大人の情操教育ということで、難しめの映画も良いでしょう。幸いにして町山さんの映画ムダ話のポッドキャストと、高橋ヨシキさんの映画解説がとてもよい参考書になったのでした。

今回手抜きが甚だしくてすみません・・・。どんな映画なのか、またその解説は無料で聞けるヨシキさんの解説をどうぞ!





『二ツ星の料理人』役者陣は魅力的なのだが、何かが足りない


        
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二ツ星の料理人 [ ブラッドリー・クーパー ]
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ブラッドリー・クーパー主演のシェフ映画です。これもTwitterでどなたかが教えて下さったので知ったんですね。ブラッドリーに片思いするダニエル・ブリュールという図式だけで「観る」と決めたのでした。キャストも皆魅力的なキャラクターで、落ちぶれた料理人が再起をかけるストーリー(「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」みたいですな)も面白かったんだけど、何かが足りない、なんなんだろう・・・という何かが惜しい映画でした。

パリの一流レストランで働いていたシェフのアダム(ブラッドリー・クーパー)が、その荒くれ気質から色々なトラブルをやらかして身を滅ぼしかけていたものの、もう一度出直してミシュラン最高の栄誉である三ツ星獲得を目指すという縦軸に、彼を取り巻く人々との友情や軋轢や愛といった横軸をからめたオーソドックスな構成。まずは主演のブラッドリーさんですが、才能あるイケメンシェフだけど狂犬というキャラクターには納得。パリ時代に相当色々やらかしていたということが他の人のセリフでも語られますが、説明セリフだけじゃなくて「ああ、この人色々あったんだろうな、昔な〜」という雰囲気が出ていました。ダメな人ではあるけど職人としての腕は一流というキャラクター造形はよくありますが、それが退屈に見えないのはやはり旬のイケメン役者の魅力故でしょう。

そんな彼のビジネスパートナーになるのを渋りつつも実は彼に心を寄せているというレストランのマネージャー、トニーにダニエル・ブリュールです。このキャスティングがいいんですね!まるで人気俳優を自由に使った二次創作のような配役ではないですか。ダニエルの森のリスさんのような可愛らしいルックスと抑えた演技が良かったです。彼がブラッドリーさんに片思いしていることを見抜く女医さん役でエマ・トンプソンが出ていました。こういう脇にも大女優を使っていて豪華です。

そう、とにかく役者が売れっ子ばっかり。ブラッドリーさんと腕を認め合いながらも衝突し、そして最後にはロマンスが芽生えるという気の強い女性シェフ役にシエナ・ミラー。パリ時代の同僚で悪友にオマール・シー( 「最強のふたり」のアフリカ系俳優)、ブラッドリーさんの尊敬する亡き師匠の娘で元カノ役にアリシア・ヴィキャンデル、グルメ評論家にウマ・サーマン、などなど・・・。なんだかキラキラしていて民放のトレンディドラマかい?というような感じの配役ではないでしょうか。

化粧っ気のない凄腕女シェフでシングルマザーのシエナ・ミラーのサバっとした感じでありつつ、作る料理は繊細というのは「王様のレストラン」の山口智子みたいでしたね。あのドラマももう20年くらい前か・・・懐かしい。シエナの役が山口智子だとすると、ブラッドリーさんの役が唐沢寿明、アリシア・ヴィキャンデルが和久井映見(戸田奈緒でも可)、オマール・シーの役が江口洋介という90年代トレンディドラマ風妄想キャスティングが出来上がりました。

そうそう、他店 で働くライバルシェフ役の人(マシュー・リス)は初めましてですが、彼も主人公にものすごいライバル心を燃やしているけどボロボロになった主人公にオムレツを作ってあげるという優しさを持ち合わせたキャラクターでよかったです。バターと卵で作るふわとろオムレツというのは、簡単なように見えて実に奥が深い料理。石井好子さんのエッセイで読みましたが、この卵料理が上手に作れてこそ料理人として一人前だそうですね。私も何度かやってはみたんですが、炒り卵になりかけのぐちゃっとした何か違ったものが出来てしまいます。

もうひとつ、お料理描写で鍋に入れた素材にチャッチャッチャ!とリズミカルに火を通しながら、スプーンで鍋の中にあるソースを何回も何回も素材にかけるというシーンがありました。フランス料理の厨房が出て来る映画でたまにこのテクを見ますが、こうすると味が染みるんでしょうかね。今度真似してみようと思いました(ふわとろオムレツ作れないけど)。

前述しましたが、登場人物がだいたいどっかで見たことのあるキャラ設定ばかりなんだけどキャストが魅力的だから陳腐になってないんですよね。やはり旬だったり売れてたりする役者マジックによるものなんでしょう。しかし、キャラクターは魅力的なんだけどイマイチ話に深みがない・・・。もちろん三ツ星を獲得するためにレストランスタッフ一丸となって奮闘するプロセスは興奮しますし、主人公が怒ったりトラブルに巻き込まれたり裏切られたり・・・と起伏はあるものの、なーんだかカッチリと心がこの映画にはまらなかった。最後は厨房で働く人は皆ファミリー、ということで文字通り同じ釜の飯を食って、やっと狂犬シェフのアダムはキャリアと居場所を取り戻した・・・という終わりなんですが、ここは出来が良い映画だったら終るのがすごく残念、彼らのことをもっと見たい!と思わされるところでしょう。しかし、まあそういう着地になるやあねえ・・・という至極平常心な感想なのでした。

監督は誰だあ~い?(何故かにしおかすみこ風)とチェックしてみたら「8月の家族たち」を手掛けたジョン・ウェルズ監督!あれ~、あの映画は誰一人幸せな人が出て来ずで相当に面白かったのに、どうしちゃったんだろう?きっと脚本が悪かったのね、と本作の脚本家をチェックしてみたら「堕天使のパスポート」や「イースタン・プロミス」といった心震えるロンドン移民名作を手掛けたスティーヴン・ナイトで した。あれ~?こっちも妙~に変だな~。まあ出すものがすべて出来が言いわけではないということはわかっていますが、ちょっとどうしたんだろうといった感じが拭えないのでした。



『ハイ・ライズ』スタイリッシュなタワマン映画



                        
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High-Rise [ J. G. Ballard ]
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この映画のことを知ったのはTwitterで、どなたかが全裸で股間に本を置いて日光浴をするトムヒ様の写真をあげていたからです(確か本には「ようこそ」と書いてあったような)。高層マンションを舞台にした、住人同士のドロドロが描かれる人間ドラマといった趣にも惹かれて鑑賞してみました。

日本でもタワーマンションに住むことがステイタスで、低階層より高階層の方が高いという認識があるようですね。この映画でも同じで、低階層の住人が上にコンプレックスを持っているみたいな描写がありました。全然話は変わりますが、タワーマンションのことを「タワマン」って略すじゃないですか。この略称が非常に卑猥なものに見えて来るのは私だけでしょうか・ ・・。

画面が非常にスタイリッシュ。もちろんその中に住まうトムヒ様(細身のスーツをビシっと着ていて、職業はお医者さん)もスタイリッシュ。タワマンの中で開催されるパーティーもスタイリッシュ。ということで、スタイリッシュづくしだったのでした。最上階にお住まいなのは、このタワマンを建築したジェレミー・アイアンズ様です。舞台設定が70年代あたりなんですが、衣装やインテリアや小道具などが本当にぽくて、画質がクリアじゃなければ当時そのままな雰囲気だったと思います。

しかし、内容はあんまりハッキリと覚えていません・・・。
もっとタワマン内の人間関係ドロドロで、でもそのドロドロから抜け出せなくって、みたいな人間臭~い話なのだろうかと思ったのだけど、そこまでの粘度はなく。トムヒ様が臨月妊婦と不倫したり、シエナ・ミラー演じるシングルマザーと関係もったりするんですけどね。あと自殺者も出るし。でもスタイリッシュなのでそのあたりもなんだかサラ~っとしてるんですよ。で、結局最後はタワマン内のパワーバランスが壊れて、無秩序に支配されていく・・・みたいな話なのでした。

うーん、わからんな!と思い、例によって町山さんの映画ムダ話を購入。解説を聞いたら「え、そんな単純な話だったんだ」と拍子抜けしてしまいました。ご近所付き合いがテーマの話じゃなくて階級社会闘争の話だったんですね。いや、タワマンの中で格付けが行われているっぽいことは感じられるんですが、それが私のように鈍い観客にもわかるようにはあまり描かれていないんですよ(予告編では強調されていたが)。例えば「高階層の奥さんはヨーカドーじゃなくて成城石井で買い物してる、キー!」みたいなヒガミのセリフなんかが低階層の主婦から吐かれていたらわかるんですけど(笑)。まあ縦社会ってことなんでしょうか。タワマンはこれ以上ないくらいのその象徴なんですが、いまいちそこまでピンと来ませんでした・・・。

町山さんによると、構造的には縦になった「スノー・ピアサー」だということです。なるほど!あとは「エリジウム」も宇宙の金持ちVS貧乏という意味では同じだと。なるほど!そう考えると腑に落ちます。支配層への下克上なんですね。でも本作がなぜわかりにくかというと、主人公のトムヒ様がスタイリッシュなタワマンライフを享受可能な中産階級であるという点じゃないでしょうか 。

「スノー・ピアサー」のクリエヴァは生まれたての赤子を食べるくらい食糧がないところの住人、「エリジウム」のマット・デイモンは超絶ブラック企業で文字通り使い捨てにされる労働者。その主人公たちがド底辺からド根性で支配層にガチンコ勝負を挑む!というストーリーなので大変にわかりやすくて共感しやすかったんだと思います(私がこういう浪花節が好きなせいもあるけど)。ルーク・エヴァンス演じる低階層住まいの夫が主人公ならもっとわかりやすかっただろうけど、そうじゃないところがこれまたスタイリッシュなんでしょうかね。


『ブルックリン』大西洋を股にかけた二股?







本年度のオスカー主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、作品賞、脚色賞の候補になっていた作品です。一言で言うと、ちょっと大人になった「魔女の宅急便」みたいな女子の上京物語といった感じでしょうか。しかし、途中まで爽やかだったけど途中からは「あれっ、な~んかヒロインの軸がブレブレ!」という爽やかだけじゃ終らないリアルな人間味のようなものが出ていたような気がします。


※ネタバレします。


50年代、アイルランドの田舎。町の小さな食料品店で働くエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は二十歳くらいの女の子。年老いた母と病弱な姉ローズ(フィオナ・グラスコット)と暮らしています。食料品店の女主人ミス・ケリー(ブリード・ブレナン)は嫌なババアだし、住んでる所は田舎だし・・・ということでエイリシュの将来を心配した姉ローズはアメリカに移民した知り合いの神父様に手紙を書き、エイリシュを渡米させることを頼むのでした。

家族と離ればなれになるけれども姉に説得され、よりよい未来を求めて旅立つエイリシュ。彼女がアイルランドを離れるシーン、まだ映画序盤なのに落涙。お姉さんの親心がまた染みるんですよね。私も姉だけど、果たして妹にこんな素晴らしいことしてあげられるだろうか・・・と思うわけですよ(思えば姉は妹の渡米を考えた時点で既に・・・と考えるのも切ない)。またシアーシャちゃんが可愛いね!これからきっと都会で「麗しのサブリナ」ばりに変身してしまうんだろうけど、田舎で育った純朴なリンゴのほっぺをした女の子って感じで「ああ、彼女の前途に幸多からんことを・・・」と見守ってしまうんですね 。アイルランドなまりも可愛いんですよ。

さてアメリカ東海岸(ざっくりだな・・・)に到着したエイリシュ。これから身一つでどうするの?と思いきや下宿や奉公先なんかもしっかりアレンジしてあって安心です。下宿は同郷の女子ばかりで特にムカつくビッチもおらず和気あいあいだし、奉公先は高級デパート。全然大丈夫じゃないですか。キキなんか、まだ13歳なのにまったく知らない土地で住む所も仕事も自力で探さなきゃいけないんですよ。私、アラフォーだけどそんなん無理(それに面倒くさい)!しかし魔女宅は今改めて考えるとすごい設定だな~。しかし職場が田舎の食料品店からニューヨークの高級デパートなんてものすごいキャリアアップじゃないですか。

もし私だったらたちまち 上京テングになって、田舎を上から目線で見下ろしこき下ろすようになると思うのですが、心優しいエイリシュは全然そんなことありません。いつも心はアイルランドの家族と共にあり、姉と文通しながらホームシックに耐えているのです。たまにホームシックがつのって泣いちゃうこともあったり。そんなとき、エイリシュは姉が手紙を出したフロード神父(ジム・ブロートベント)に会いに行きます。アイルランド移民のコミュニティーに参加してホームレス炊き出しのボランティアをしたりする中で、エイリシュは少しづつ元気を取り戻して行きます。

この同郷コミュニティーのあたたかさってのがまた染みますね・・・。私も海外に住んでいる身で、普段から同国人の先輩やお友達には随分とお世話になっているので、よくわかります。ジム・ブロートベント演じる神父様もいい人で、エイリシュの聡明さを見抜いた神父様は彼女に会計学の夜学コースに通うことを勧めるのでした。ここも地味に素晴らしいポイント。身を立てるには実学を勉強ですよ。勉強に集中することで新生活にも適応出来るだろうし、ホームシックも和らぐだろうし。羨ましいのは新たに外国語習得の必要がないってことですね。だって同じ英語なんだから。そうするとアイルランド人ってのは移民としては結構適応が楽ですね。

昼はデパートで仕事、夜は夜学という生活にも慣れたエイリシュは下宿の女の子に誘われて、アイルランドのダンスパーティーに参加します。そこで運命の出会いが!(しかし、とんとん拍子だな)イタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と知り合い、親しくなるのでした。彼はイタリア系なんだけど、アイルランドの女の子が好きでパーテ ィーに来ていたのです。うーん、まあ別にいいんだけど私はこういう人はちょっと微妙ですね。国籍ありきで恋愛してる感じがするし、その国の女性のステレオタイプ(例えば、絶滅危惧種だけど三歩下がって付いて行く大和撫子)を求められているようで・・・。まあ私の感想はどうでもいいので続けます。ちなみにトニーを演じるエモリー・コーエンは「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」で、ブラッドリー・クーパーさんのバカ息子役を演じていた人でした。

彼氏をゲットしたエイリシュのNYライフはますます絶好調。彼の実家へ食事に誘われたエイリシュは、下宿でスパゲッティーを食べる練習をします。当時のアイルランドには麺がなかったんですね!しかし昔のヨーロッパで麺を食べていたのはイタリアくらいだし、そっちのが珍しいのか。彼実家での食事もうまく行き、デートを重ねて行く二人。なにもかもが順調でしたが、突然の悲劇がエイリシュを襲います(やはり、このパターン)。

アイルランドにいる姉ローズが亡くなったと知ったエイリシュは悲しみの中、帰省することに。彼氏のトニーはエイリシュが帰省する前に彼女にプロポーズ。二人は誰にも知らせずに市役所でひっそりと結婚の登録を済ませ、晴れて夫婦となったのでした。

久しぶりに故郷へ帰ったエイリシュ。お母さんは一人になっちゃって心細そうだし、親友は良さそうな相手を勧めて来るしで、なんとなく周りが彼女をアイルランドに留めておく方向になっています。親友から紹介されたのは良家のお坊ちゃんジム(ドーナル・グリ ーソン)。親友カップルとエイリシュとジムと出かける機会が多くなり、トニーとはまた違った魅力のジムに心を開いて行くエイリシュでしたが・・・という展開。あれ、アメリカでの生活がまるでなかったかのよう!というように見えるんですが、この感じ、まあわからなくもないです。私もベースがある海外にいるときは日本での生活がどんなんだったかをほとんど忘れていますが、日本に帰省して二三日経つと「私、海外で生活なんかしてたっけ?」というようにガラッとモードが切り替わるんですよね。

このジムを演じているドーナル・グリーソンは「エクス・マキナ」でトホホなIT青年を演じていました。本作だと彼だと気付くのにちょっと時間がかかったんですが、それはちょっとイケメンに撮れてるってことなんですね!知的で落ち着いた感じのメンズで、育ちも良さそう。そしてエイリシュは亡き姉がパートでやっていた会計の仕事を期間限定で引き継ぐようになります。仕事も楽しいし、会社の人からフルタイムの誘いも受けて、だんだんとアイルランド残留に心が傾いて行くんです。トニーからのマメに来る手紙にも返事を保留するようにまでなってしまうんですね。なんとなくジムとの縁談もまとまりかけている。でもエイリシュはトニーと結婚しちゃってるんですよ!このまま何もなかったことになんて出来ないでしょ?!とモヤモヤするんですが・・・。

そこで、食料品店のババア、ミス・ケリーがやらかしてくれるんですよ。わざわざエイリシュを呼び出して「私の親戚がブルックリンにいるんだけど、アンタと男の人が市役所で結婚の登録してるのを見たって言うのよ。でもきっと人違いよね〜?」(セリフうろ覚え)と言うんです。それがきっかけとなって、エイリシュはトニーのもとに戻ることにしたのでした。もちろん「ヤベッ!重婚バレそう!」みたいな感じではないですよ。彼女は毅然として「ええ、それは私の夫です」と言うんです。

お母さんに涙ながらに結婚したことを告げ(しかし大事な報告を後回しにするとロクなことにならない・・・)、名残惜しい故郷を後にして再び船上の人となるエイリシュ。船の上にはまるで初渡米のときの自分のような初々しくもあぶなっかしい若い女の子がいて、彼女に旅や新生活についてアドバイスするエイリシュなのでした。もう何も知らない女の子じゃない、私はトニーとアメリカで生きて行くと決めたのよ!という決意が滲んでいます。何も知らなかった女の子が、恋を経験し、自分で人生を選び取る過程を実に繊細に表現したシアーシャちゃんの演技は素晴らしかったです。そしてトニーの元に帰ってハッピーエンド。

まあ良かったなと思うんですが 、数年後または十数年後のエイリシュがこの選択を後悔してないといいな・・・と天の邪鬼な私は思う訳です。よく母親から「あのとき、パパの他にも別の人がいてね~、あの人と結婚してればよかったかな~」などと聞かされていたのでね。まあ母親が別の人と結婚していたら私はこの世存在していなかったわけで、父と結婚してくれてよかったんですが、人生のレール上にはそういった「たられば」が何個か転がっているものなのでしょう・・・。

しかし、エイリシュはトニーと結婚していなかったら恐らくそのままアイルランドにいただろうし、食料品店のババアのアシストがなければトニーのことを思い出していなかったかも?かも?そう考えると、たかが紙切れ一枚の結婚って重いんだな~という感じですね。ジムとは清い交際で終ったし、二人きりになることもほとんどなかったものの、心は完全に浮気してたようなもんです。だからそれなりに感動的なラストだったんだけれどもエイリシュが本当に心の底からトニーのことを愛していて戻った、というようには消化出来ない「つかえ」のようなものが残りました。まあ人生そんな簡単に白黒つけられたもんじゃないと思うけど・・・。

このように地元と新天地でつがってもいい、と思えるメンズに巡り会ってるし、技能を生かした職もあるしで恵まれたエイリシュですが、またまた天の邪鬼な私は困難の多い上京物語というものも見てみたいと思ってしまいましたね。意気揚々と上京したものの全然うまく行かなくて、地元に帰ってもまたそれは地獄・・・みたいな方がリアルだと思うし、多くの人の共感が得られそうです。シャーリーズ・セロン様の「ヤング≒アダルト」みたいな方が個人的にはやっぱりグっと来るし好きですね。


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