@itan-journ@l praha

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『ドント・ブリーズ』こういう映画だったとは・・・ネタバレはダメ、ゼッタイ!



      



観て来ました、ドント・ブリーズ。大金が隠されているという盲目の老人の家に三人の泥棒の若者が押し入ったら、その老人は視覚以外は驚異の能力を持つ殺人マシーンでした、というお話ですが・・・。いい意味で「えっ、こういう映画だったのか」と裏切られる作品でした。

1行あらすじを聞いた限りでは「因果応報、ザマー!」となって溜飲が下がる話なのかな~って思ったんですが、泥棒側の若者、特に紅一点のロッキー(ジェーン・レヴィ)ちゃんには色々と事情があって泥棒してるんですよね。育児放棄、アルコール中毒、失業中の母親とその彼氏がいる劣悪な家から幼い妹を連れて家を出たいという目的があって。んで仲間たちと盗みを働いては盗品を売ってお金を作っているんですが、盗みの元締めからは足下を見られててアガリを出してもほとんどピンハネされているという状態。

ロッキーちゃんの仲間はアグレッシブなマネー(ダニエル・ゾヴァット)とお坊ちゃん風のアレックス(ディラン・ミネット)です。アレックスのパパは警備会社に勤めているので、そこから警備システムの裏側をついて簡単に家宅侵入ができるというわけです。舞台はかつて自動車産業で栄えたけれど今は廃墟が多いデトロイトということで、警察を呼んでも来るのにえらい時間がかかるという制約も効いています。まどろむロッキーちゃんの指先に止まったテントウムシをアップで映した画像は、ちょっとソフィア・コッポラ風?デトロイトで青春ホラーっていうと「イット・フォローズ」を思い出しますね。

ある日、仲間のマネーが近所に盲目の老人宅があり、そこには彼の娘が自動車事故で亡くなった際に加害者から支払われた大金の示談金が保管されているという情報を持って来ます。それは彼らにとってもかなりのデカい山。でもうまく行けばもう盗みを働く必要もないし、家を出ることも出来る・・・ということでロッキーちゃんたちは決行を決意します。

ところが・・・ギャー!という話なんですね。その家に住んでいるのは盲人だけど筋肉ムキムキの退役軍人のおじいちゃん(スティーヴン・ラング)。最初は軽い仕事かと思って忍び込んだものの、あっという間にマネーが射殺されロッキーちゃんとアレックスはお金を取ったものの、老人の家の中に閉じ込められてしまい ます。ちょっとでも物音を立てたら、殺られる・・・それこそ息をする音でさえも聞き分ける老人、すなわち「ドント・ブリーズ」なんですが実はそこまで老人の感覚が研ぎすまされているかというと、そうでもない。同じく盲目の凄腕刺客で比較すれば、座頭市の方がずっとシャープな印象です。私が「ドント・ブリーズ」というタイトルから想像したのはキョンシーですね。キョンシーが至近距離に来たら息を止めないと殺られるんですよ。テンテンちゃんたちが息を止めてキョンシーが通り過ぎるのを待つシーンは今でもよ~く覚えていて、苦しくなります(自分も息を止めていたから)。




※ここからネタバレします。

















怖い、怖いと評判を聞いていたので、疲れていない体調がいい時を選んで鑑賞したわけなんですが。途中まで「うーん、これ怖いかなあ。思ったより普通じゃね?」という感じ。しかし、ロッキーちゃんとアレックスが地下室に隠れてから驚愕の事実が発覚するわけです・・・。地下室の電気を付けたら、そこに拘束された誰かいるんですよ。ヒイッ!「マーターズ」か?とビックリするんですが。

それは若い女性で天井と繋がっている拘束具を付けられ、口にはガムテープが貼られていました。彼女はロッキーちゃんたちにある新聞記事の切り抜きを見せます。それは彼女、シンディー(フランシスカ・トロシック)が昔老人の娘を車で轢き殺してしまったが、無罪放免になったという記事でした 。娘を殺された老人はシンディーを誘拐監禁していたのです。シンディーが繋がれている座敷牢みたいなスペースがあってそこには下にマットレスが、壁にはクッションが敷き詰められているという、噂に聞く精神異常者の自殺を防ぐ為の部屋のようで、それも怖いんですね。

ロッキーちゃんたちはシンディーを助け出し地下室から外に通じるドアを開けますが、ドアが開いたと思ったらそこには老人がいて銃で撃って来るのでした。流れ弾によりシンディーが死亡。シンディー死亡に気付いた老人は彼女を抱き上げて号泣。ジジイが「マイベイビー!」と言っていたので「?」となるわけです。シンディーは亡き娘のかわりなのか?とも思うのですが・・・。

そこからまた暗闇の地下室での悪夢の様な追いかけっこ が続きます。しかしアレックスは何回も「死んだ!」と思ったのにしぶとく生きてます。ジジイから至近距離で撃たれたりしてるように見えるんだけど。まあ彼が生きてないとダメなんですが。二階にある娘の部屋だった場所から、通気口を通じて逃げるロッキーちゃん。途中でジジイの飼ってる猛犬が通気口の中に入って追っかけて来るんですよ。この猛犬の助演っぷりもよかったですね。犬とはいえジジイをしっかりサポートして、なかなかに嫌~な手ごわい敵でした。たしか動物タレントのアカデミー賞的なものもあったと思うので、この犬は是非ともノミネートされてほしいですね。

なんだかんだでロッキーちゃんはジジイに捕まってしまうんですが。目が覚めた時はシンディーがいたクッションの座敷牢にいて、拘束されていたんですよね。マネーやアレックスはすぐに殺されていたのに、ロッキーちゃんは何故生かされているんだろう。やっぱ女だからワイセツ目的?とも思うんですが、私の想像の斜め上を行く理由でした。ジジイは亡くなった娘のかわりになる子供をシンディーに産ませる為に監禁していたのです。ジジイによるとシンディーは妊娠しており、死んだシンディーを抱き上げて「マイベイビー」と言ってたのは腹の中の子に対して呼びかけていたんですね。

だから今度はロッキーちゃんがシンディーの代わりになるんですよ。レイプされるのか?と思ったら、ジジイは冷蔵庫を開けて何かをあたため始めます。ロッキーちゃんに何か薬を飲ませようとしているのかと思ったんですが、 ジジイはあたたまった白濁した液体をスポイトに入れます。「俺はレイピストじゃねえ。9ヶ月だ、9ヶ月我慢して子供を産めば自由にしてやる」と言い、スポイトをロッキーちゃんに挿入しようとするんですよ。うげー!!!!もうここから盲目老人から逃げるというただのホラーじゃなくなり、圧倒的なクレイジーさが加わって何か別次元のものになるんですよね。

前半の盲目老人アクションは、もはや前フリ・・・。やっぱりどこか病んじゃった人の内面ってのが本当に一番恐ろしいんですよ。私が今まで観て来た映画で子供を渇望し過ぎて狂っちゃったキャラクターというのはだいたい女性でしたが(そんでもってロクなことにならない)、このようなジジイがってのは珍しいパターンです。百歩譲って娘を失った悲しみがあるいうのは理解出来なくもないんで すが、これはあまりにも常軌を逸している。またそうまでしてでも子供をっていう欲望が空恐ろしくもあるんですね。しかし家庭用冷蔵庫で保存しコンロで温めるって、こんなんで人工授精って出来るんでしょうか・・・。

ロッキーちゃん危うし!のところをしぶとく生き残ったアレックスが助けてくれるんですが。その後で拘束を解かれたロッキーちゃんが「ふざけんなー!」とジジイを蹴り倒し、スポイトを口に突っ込むシーンはさすがに溜飲が下がりました。この後また一悶着あって結局アレックスは殺されてしまいますが、ロッキーちゃんは家の外に出ることに成功します。停めてあった車の中で猛犬との戦いもあり(窓ガラスが犬のヨダレでベタベタに汚れる演出がいいですね)。そしてジジイは悪役らしく何回かリバイバルして生き返り(オープニングシ ーンがぐったりしたロッキーちゃんを引きずって歩くジジイの後ろ姿だったから、やっぱり捕まっちゃうんだろうな・・・って思いましたが)。でもロッキーちゃんは機転を効かせてジジイに逆襲します。

警備システムを作動させてジジイを動揺させ、工具で殴って地下室に落とします。ジジイもこれでお陀仏か・・・とホッとしますね。この映画、なんと上映時間はたったの88分!すごく短い映画なんですよね。でも始終このテンションでもっと長かったらヘロヘロになっちゃうかもしれないんで、これくらいで丁度良いんでしょう。ロッキーちゃんは妹を連れてどこかへ逃げようとしているところです。やっと訪れた休息。海のある憧れのカルフォルニアへ旅立つのです。コーヒーショップにあるテレビからは昨夜の事件の報道が流れています。思わず立ち上がって見に行くロッキーちゃん。なんとジジイは生きており、病院へ搬送され順調に回復へと向かっているとのこと。ええー!死んだはずだよ、お冨さん!ということで、しぶとい悪役っぷりにあっぱれ(もちろんトランクに閉じ込めた猛犬も生きているだろうな)。これでENDです。

いや~・・・こういう映画でしたか・・・という感じで、なんか最後まで払拭できない嫌~な感じの薄膜が張った様な印象でしたね(褒めてます)。孫がいてもおかしくないジジイが自分の子供を産ませようとしているってのが衝撃で、いくら娘を亡くしているからといっても空恐ろしかったです。捕まったら「ルーム」的展開になるところでした・・・。

よく出来てるなと思ったのが盲目凄腕ジジイから逃げろ!というアクション部から、ジジイの暗部をサイコスリラーぽく見せるホラー部のデュアル構造ですね。やっぱりお化けよりもモンスターよりも食人族よりも狂っちゃった人間が一番怖い・・・と改めて思ったのでした。現時点でWikiによると、監督のフェデ・アルバレスさんが続編の可能性を示唆しているらしいです!続編ではジジイのキャラクターに焦点が当たった作品になるとか・・・。うーん、やっぱりそうですか。これだけのキャラだから一作で終るのもったいないと思ってました。生き残ってるしね。ということで怖楽しみに待ちたいと思います。




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『ドクター・ストレンジ』3D以上の鑑賞を強くおすすめ



       


なんだか世界中で大ヒットしているらしいという噂を聞いて行って参りました、ドクター・ストレンジ。まあマーベルなのでいずれにせよ行くつもりだったのですが。今回新たにMCUに参加するヒーローなんですね。で、演じるのはベネ様。正直、ドクター・ストレンジしてるときの彼はヒゲだし白髪見えてるしで、あんまり個人的にはグっと来ないのですが・・・。やっぱりどうしたってシャーロックの印象が強いし、シャーロックのときが一番イケメンだからかな。そいや相棒のジョン(マーティン・フリーマン)は「シビルウォー」に役人みたいな役で出演していましたね。

面白くなかったわけじゃないけど、正直私はそこまで刺さる映画ではありませんでした。ドクター・ストレンジのキャラクターはちょっとマイルドなトニー・スタークって感じ。ものすごい自信家で皮肉屋。一度打ちのめされてドン底に落ちたものの、努力の末に這い上がってヒーローになるという展開も似てる。合間合間に小さいギャグが入るみたいな展開もアイアンマンぽいっちゃぽい。でもトニー・スタークほどの人間的魅力があるかと言うと、それはちょっと疑問。俳優としてということなら、ベネ様の方がダウニーたんより好きなんだけど、どうしてかなあ・・・。というわけで私はそうでもなかったのですが、夫には面白かったようで「続編も絶対に観に行く!」と申しておりました。

それはさておき、この映画はとにかく特殊効果が凄い。これは・・・さぞやお金かかってるんだろうな~とマーベル側の気合いみたいなものを感じました。「インセプション」みたいに街がブワーっと折り畳まれたり折り紙みたいになったり、もう色んな方向に広がって展開していったりするスペクタクルがふんだんに入ってるし、未体験の異世界へ飛ばされるシーンなども映像として見応えタップリ(手の五本指が手になりさらにその指から手が出て・・・みたいなシュールな映像も)。私達は2D鑑賞だったのですが(貧乏だからいつも2D・・・)この映画は3D以上での鑑賞を強く強くおすすめ致します。




※核心部に触れるネタバレはなしです。




天才神経外科医のスティーブン・ ストレンジ(ベネディクト・カンバー バッチ)は、難しい手術を次々と成功させて万能感に酔っていました。ところがある日、交通事故で負傷しなんとか一命は取り留めますが、外科医の命とも言うべき指が麻痺して思うように動かせなくなってしまいます。同僚で恋人のクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は献身的に彼を支えますが、時間が経ってもなかなか現実を受け入れられないスティーブンの元を去って行くのでした。

スティーブンは同じく麻痺に苦しんでいたもののそれを治癒させたジョナサン(ベンジャミン・ブラット)という男から、ネパールのカマル・タージに行けというアドバイスをもらい旅立ちます。そこで会ったのはアンシエント・ワン(ティルダ・スウィントン)という高僧のような女性でした。彼女の特異な能力を見たスティーブンは弟子にしてもらうことを頼みます。最初は断られたものの受け入れられ、弟子のモルドー(キウェテル・イジョフォー)やワン(ベネディクト・ウォン)と共に修行に励むことになります。一方、アンシエント・ワンにはカエシリウス(マッツ・ミケルセン)という敵がおり、一味は虎視眈々と世界の破滅を狙っていたのでした。特殊能力を身に付けたスティーブンはカエシリウスたちを阻止する為に立ち上がります。

・・・というザックリ導入部です。

おしゃれなマンションに住んでいて、高級時計も死ぬ程持っているスティーブン。高級車を飛ばしデートへ向かいますが、ものすっごい見通しの悪いカーブ連続の山肌の道路で、スマホに出ながら運転(それも複数台追い越しながら)という危なっかしさ。あー、このままじゃ事故るよアンタ、事故る・・・と思っていたら案の定クラッシュなのでした(まあ事故に合わないと始まらないんだけど)。このときにしていた高級腕時計の裏にクリスティーンからの愛の言葉が掘ってあるんですね。ガラスが割れて時が止まったままになってしまうんですが、スティーブンはその時計をネパールでも大事に持っているんですよ。この時が停まった時から彼の人生がまったく変わってしまったということなんでしょうね。ちなみにブランドはジャガー・ルクルト。モノにもよりますが、だいたい安いもので100万円くらいする時計です!

ネパールへ渡ったスティーブンですが、中の人ベネ様は若い頃にインドのチベット仏教寺院で英語を教えた経験があるそうな。意外とスピリチュアルなものにもオープンな感じがしますね(理詰めのシャーロックなイメージと逆だからかな)。裏通りで泥棒に囲まれ襲われたスティーブンを助けたのがモルドーというカマル・タージの修行者でした。モルドーを演じるのはベネ様と「それでも夜は明ける」で共演済みのキウェテル・イジョフォーです。彼は生真面目な役とそうでもない/全然違う役をやることがありますが、やっぱり生真面目な方がなんとなく合ってるかなあ。でもちょっと真面目で潔白過ぎるかも、と思ったらこれが伏線になるんですね。

モルドーに連れられて師匠のアンシエント・ワンとの対面を果たすのですが、原作ではこのキャラクターはチベット人男性らしいんですね。うーん、そう言われると私の頭に浮かぶキャスティングはケン・ワタナベ、チョウ・ユンファくらいかなあ・・・真田広之はちょっと違うという感じ。しかし、監督のスコット・デリクソンはアンシエント・ワンを男性じゃなく女性にしたかったらしいです。しかしアジア人のオバチャンだといわゆるドラゴン・レディ的女傑なステレオタイプになっちゃうし、若いとオタク受けする萌え系になっちゃいそうってことで、西洋人の俳優にしたんだそうです。ホワイトウォッシングだという批判もあったそうですが、ティルダ・スウィントンの起用は慧眼であったと思います。もともとストイックで両性具有的な魅力を持つ女優さんですし「オルランド」で女性も男性も演じています。それだけではなく、浮世離れした凄い何かを持っている人というキャラクターは彼女以外考えられないのではないでしょうか。

カマル・タージの図書室で司書的なことをやっているワン役にベネディクト・ウォン。この中華系の俳優さんは色んな映画で見ますね。「オデッセイ」で科学者の役をやっていました。フィルモグラフィー調べたら 「堕天使のパスポート」にも出てる。てことはキウェテル・イジョフォーとも共演してるんだ(ティルダ、ベネ様、キウェテル、ウォンと全員イギリス人ですね)。デブなんだけど、いわゆるただのデブキャラではなく、何かしらのソリューションを運んで来る知性派という感じの人ですね。ハリウッドの伊集院光的な・・・?

敵役は「鳥顔のナイスミドル」マッツ・ミケルセンですよ。悪くないけど、ちょ~っとだけ太ってて身体が重そうかな・・・と思ってしまいました。鳥顔のシャープさが活かし切れてないというか・・・。マッツの実兄、ラース・ミケルセンも悪役としてベネ様と共演済み。「SHERLOCK」のシーズン3で恐喝王マグヌセンという悪役をしてました。兄弟ということで同じDNAを持ってる感じはするんだけど、マッツのがやはり鳥顔でエロいフェロモンが出ていると思います。でも本作でのマッツ・ミケルセンの悪役、ちょっとインパクトが足りな いんですね。お付きのものも何人か従えてるんですが、彼らは完全に書き割り的な感じだったし、悪の野望ってのがイマイチよくわかりませんでした(私の英語力不足もあるけど)。

ベネ様の彼女役はレイチェル・マクアダムスですが。彼女も優秀な医者なんだけど、ドクター・ストレンジになったベネ様に何回もオペを頼まれてドタバタしてたりするところがちょっとBSOL映画のキャラクターぽい感じ。しかしレイチェルは、ちょっぴりドジで可愛いんだけど医者役をやっても違和感ないんです、というラインを体現できる女優さんなんだと思います。衣装がほとんど緑の手術着でちょっと可哀相だったけど・・・。レイチェルはガイ・リッチーの「シャーロック・ホームズ」でホームズの宿敵兼訳ありの女、アイリーン・アドラーをやっていました。本作で間接的にシャーロック(ベネ様)とアイリーン(レイチェル)という作品をクロスしたホームズ&アイリーンのカップリングになっているんですね。そう考えるとしっくりくるキャスティングです。まあ原作のアイリーンはドジ可愛い女じゃなくって、ホームズと互角以上に渡り合う頭の良い女性なのですが。

今更ですが、ドクター・ストレンジってのは本名なんですね。スティーブン・ストレンジという名前の天才外科医がヒーローになったから、すなわちドクター・ストレンジ(ヒーローにならなくても同じか)。キャラクターやアクション自体よりもその舞台となる不思議な世界の描写の方が魅力的に見えるのはいいのか悪いのか。さすがに扇子を持って戦うティルダ・スウィントンはかっこ良かったけど、その他のキャストのアクションはあまり印象に残らないんですよね。東洋的思想がベースにあるヒーローだから、空手やカンフーみたいな型を使ってもっとカッコ良く火の輪っかを出したりしたら良かったのかな〜。う〜む・・・。ということで、大ヒットしているようですが個人的にはあまりピンと来ない映画でした。俳優さんは好きな人ばかり出ているんですけど、なんかもうちょっとの工夫でもっともっと良く出来たんじゃないかなあ〜と思ってしまったのでした。

ちなみに私がマーベルで好きなのはぶっちぎりで「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」。で次点だと「マイティー・ソー」です。どちらもキャップとソーの一作目ですね。この二作はヒーローも魅力的だったし、話の展開もすごく好きでした(そういえば、どちらもプラトニック・ラブがある)。さて今回はおまけシーンがふたつ。ひとつはタイトルやメインキャストのクレジットの後で、もうひとつはいつものようにすべてのクレジットが流れ終わった後です。これからのアベンジャーズにドクター・ストレンジが絡んで来る感じの作りになってました。うーむ、そうだとしたらストレンジはトニー・スタークと似てるからぶつかるのかな、それとも仲良くなるのかな。あとは忘れちゃいけないスタン・リー様のカメオシーンですが、後半に出て来ます。相変わらずキュートでいらっしゃるのでした。


『ティファニーで朝食を』かなり不思議ちゃんなヒロインだし、猫ハケーンで号泣だし



                        
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最初にこの映画を観た時は中高校生ぐらいだったでしょうか。もうオードリーとお衣装が素敵過ぎて瞳キラキラ~☆、その他のディティールは結構忘れてしまっていたんですが・・・。大人になってから見直してみると、また違った味わいのある映画なのでした。

ホリー(オードリー・ヘプバーン)はニューヨークのアパートメントに名無しの猫と暮らす美しく若い女性。彼女はドレスアップしてパーティーに出かけることがお仕事のソーシャリストです。高級娼婦とされているものもありますが、なんせオードリーなのでそういった生臭さはまるでありません。だからこの感想の中ではソーシャリストということにしておきます。自由気ままに生きる浮世離れした都会の妖精・・・それがホリーなのです。まあオードリーの輝いていること。彼女のスタイルでないと着こなせないであろうタイトなIラインのドレスもうっとりですが、部屋の中で着ているガウンのシルエットの美しいことったらありません。一体、このとき体重は何キロだったんだろう。



※ネタバレします。




そんなホリーのアパートに新しい住人が。売れない作家のポール(ジョージ・ペパード)が上の階にやってきました。実はこのポール、上の部屋を愛人用に借りている有閑マダム(彼女のアッパーなスタイルも素敵)の若いツバメだったのです。ポールがホリーの兄フレッドに似ていることから親しいご近所付き合いが始まるのでした。ジョージ・ペパードは長身の金髪碧眼なので、なんとな~くアーミー・ハマーに似ているかもと思いました。リメイクするならこの役はアミハマで、ホリー役は願わくば「コードネーム U.N.C.L.E.」のギャビーことアリシア・ヴィキャンデルにやって欲しいけど共演はしばらくなさそうなので、斬新にルピタ・ ニョンゴ(「それでも夜は明ける」でオスカー助演女優賞)なんてどうだろう、などと思ったのでした。

さて、オードリー演じるホリーですが、大人になって見てみると結構なレベルの不思議ちゃんで軽度の社会不適合者です。いつもカギを忘れて夜遅く帰宅し、就寝中の隣人(後述)をブザーで叩き起こしてアパートの玄関を開けてもらう。大きいとは言えないアパートで夜に大音量で音楽をかけてどんちゃん騒ぎをする。ほぼ初対面のメンズ、ポールが寝てる所にガウン姿でやってきて一緒のベッドで寝てしまう。そうかと思えばお金持ちの男性(ルックス不問)を探して、いつの間にか彼と婚約している。しかし、思いのほかアッサリとふられてしまう(しかもそれを新聞や手紙で知らされる)。実はド田舎出身で若い時に身売り同然で結婚していたが夫は良い人で、お互いに親愛の情もあったが「私は野生の鳥と同じなの。カゴの中では生きられないのよ」と言って彼と帰るのを拒む(でもお金持ちの男性とは結婚したがっているという矛盾)。ポールとデート中に万引きをけしかけ、店のものを窃盗する。ポールと寝たものの、いつの間にかまた別のお金持ちと婚約して外国に移住しようとしている、などなど・・・。

ちょっと周りにいたらお近づきにはなりたくないタイプではないですか・・・?しかしオードリー・マジックとも言うのでしょうか「うへえ~、なんか嫌だなこんな不思議ちゃん・・・」と思ってもニューヨークのおとぎ話に昇華されてエグ味がほぼしないのが凄いですね。中高生のときはこういった部分にまったく引っかかりを感じなかったので、私も少し大人になった?

あと中高生のときはハッピーエンドのラストシーンしか泣かなかったんだけど、途中で落涙するシーンが結構あるんですね。ホリーの田舎に住んでいる夫ドク(バディ・イプセン)が上京して田舎なまり丸出しで 、ポールに思い出話をしんみりと話す場面、ホリーがドクにバスターミナルで別れを告げるシーン(前述した野生の鳥の比喩が出て来る)、大好きな兄のフレッドが戦死したことを知ってホリーが取り乱すシーン、などです。ラスト直前で捨てた猫を探すシーン、そして猫が見つかるシーン。もう確実に歳を取って涙もろくなっています。特にここ数年で猫好きになったので、裏路地にあるゴミ箱の間から「ニャー」と猫がひょっこり出て来るシーンなんてもう号泣メンなのでした。

さて、日本人として避けて通れないのが同じアパートに住む日本人男性のユニオシ氏(ミッキー・ルーニー)問題です。東洋人をカリカチュアライズしたキャラクターで、Wikiを読む限りかなり当時から問題視されていた感じが伝わ って来るのですが・・・。私は初回鑑賞のとき、実はそこまで気にならなかったんですね。確かに小柄なアメリカ人俳優がこれでもかというくらい特殊メイクで目を細くして、出っ歯にしているのは見ていて気分の良いものではありません。しかしユニオシ氏は完全にコント。松ちゃんが金髪のカツラをかぶり、付け鼻をして「パーティーいかなあかんねん」というのと同じレベルのギャグなんだから、そこまで目くじらたてることはないのではないかとも思うのです。それにユニオシ氏は50年代のニューヨークに一人暮らしながら、着物を着て、布団で寝て、茶道を嗜み、檜風呂に入るという結構なクオリティーのジャパニーズ・ハイライフを送っている点がすごい。ここはいいんですが、なぜ起きて必ず頭をぶつける高さに提灯をつり下げているのかは地味にイライラしたのでした(笑)。

あとはティファニー宝石店の懐の深さですね。ドクがポールに思い出話をしたときに食べていたスナック菓子に入っていたおまけの指輪。この指輪にティファニーで刻印を彫って欲しいというドキュンも甚だしいお願いをするホリーとポールですが、中年の男性店員がそれはそれは丁重に承るんですよ。またその承り方が知的でユーモアもあって、実に粋なんですね。ティファニーすげえ!ということで、株が爆上がりしたんじゃないでしょうか。初めて映画を観たときも思ったんですが、映画の真似をする人が出現して困ったのでは・・・(まさかティファニーで朝食をオーダーする人はいないと思うが、ウインドーを見つめながらパンをパクついたことがある人はきっと多いに違いない)。そこで調べてみました。今日現在のティファニーでは残念ながら、正規品でないと刻印サービスは受けられないそうです(当たり前か)。ティファニーのFAQはこちら。


ということでヘンリー・マンシーニがこの映画の為に作った不朽の名曲「ムーン・リバー」を聴いて締めとしましょう。






『ターザン REBORN』ヌケない・・・



                     


劇場で見た予告編がたいへん面白そうだったので「行きたい」と夫にせがんでいたのですが、彼は興味がなかったらしく断られました(「インデペンデンス・デイ」の新作の方がよかったそう)。やっぱり男子受けしないですかね~。「ザ・イースト」でカッコいい~!となったアレクサンダー・スカルスガルド主演ですよ。彼がメジャー系映画のヒーローをおそらく初めて務めた作品じゃないでしょうか。あのアレクサンダーが!腰ミノ一丁で(正確にはズボン)!ジャングルを駆け巡る!ウホッ!ヒロインのジェーンは今売れているマーゴット・ロビー、悪役は最近ハリウッドの悪役商会シェア独り占め感のあるクリストフ・ヴァルツという安定のキャスティング。監督はハリーポッターのシリーズ後半を手掛けた人らしいです。

うーん、ところが ・・・残念ながら期待した程の出来じゃなかった・・・。何が悪かったのかな~。ロマンチックなアドベンチャー映画って作りにとらわれすぎて小さくまとまっちゃった、みたいな・・・?ジャングル描写が思ったより暗めだったこと・・・?そんでもってな〜んか作り物感があったこと・・・?野生動物たちが大挙して登場するのにそれを活かしたアクションが少なかったこと・・・?ターザンが始終寡黙な男で「ジャングル・ジョージ」みたいな愛嬌がなかったこと・・・?ツタに捕まってるのに「アーア、アーッ!」ってシャウトしなかったこと・・・?マーゴット・ロビーが全然エロくなかったこと・・・?クリストフ・ヴァルツの自らは手を汚さない系の悪役っぷりにもうお腹いっぱいってこと・・・?サミュエル・L・ジャクソンさんが出てるのに「マダファカ!」って言わなかったこと・・・?などなど・・・、思い浮かびますが。

やっぱりジャングル描写が生ぬるい・・・ってことが一番じゃないですかね。ここ最近私が観てるジャングル映画と言えば「食人族」や「グリーン・インフェルノ」など、まさに緑の地獄!と言うべきエグさで危険がいっぱい、食うか食われるかの場所でしたから・・・。この映画の中で危険な目といや、森の中でゴリラと出くわしたり、川の中でカバの大群に踏まれそうになったり、ワニに喰われたり(ネタバレ)ということくらいですから。文章だと恐ろしげに見えるかもしれませんが、なんかイマイチ真に迫ってなかったんですよねえ・・・。一応敵として原住民も登場するんですが、この方々も食人はしないようだし、妙に統率が取れていてそこまでプリミティブな感じもしなかったですね。

アレクサンダーのターザンですが、ジャングルからイギリスに帰って5年。寡黙だけど英語が上手です。どんなスピードラーニングを使ったんでしょうか(笑)。ターザンのキャラクター造形がイマイチよくわからないというのもダメな原因かも。いつもテンション低めで、嬉しいのか怒ってるのか悲しんでいるのか・・・がちょっとよくわかんないんですよね〜。いくらイケメンでもこんなエモーションの乏しい人とだったら付き合えないかも、私・・・。

映画も新生ターザンを目指して、ステレオタイプな表現から離れよう離れようと工夫を凝らしている感じなんですが。例えばジャングルに帰ったターザン が兄弟ゴリラと決闘して負けたりする。ジャングルに帰って来たからと言って水を得た魚のようになるわけではないんですね。でもそこが敗因となったというか、ジャングルの中で特別すごい!って言うアクションがあるわけでもないし、戦ったりするシーンが妙〜に地味だし・・・。でも我慢して観てればいつかクライマックスが来るのかな、来るのかな〜と待たされて結局来ないで終了・・・。主演俳優は超イケメンでいい体してるし、予告編やポスターはあれだけそそるのに!というまるで「ヌキどころのないAV」(©町山さん)のような映画なのでした。

最近、テレビで「ジャングル・ジョージ」が放映されたそうですが、どうせならこっちを観た方がいいですね。これは徹頭徹尾コメディーで子供向けなんですが、主演のブレンダン・フレイザーが身体、キャラともに素晴らしいんですよ。アレクサンダーも身体はすごく作ってると思うんだけど、シュッとしていてどこかしらスタイリッシュな感じ。一方ブレンダンの方は逆三角形バディでリアルな野生感が出てるんですよね。あとジョージの天然ボケというキャラクターが萌えるんです。あれだけエエ身体してるのに、森の王者なのに、樹にぶつかったりしてるのがカワイイ。ジョージは人間界に連れて来られて服を着せられたりするんですが、服の下にあのエエ身体があると思うとまたグっとくるんですよね(笑)。

ということで、DVD旧作になるまで待っても大丈夫な一本なのでした。


『デッドプール』劇場で踊り出す人を初めて見た







13歳の誕生日を迎えた知り合い(北米在住)の息子が、誕生日にどこに連れて行って欲しい?と聞かれて「デッドプールを観に行きたい」と言ったそうな。それで親子は映画を観に行ったそうですが、町山さんのたまむすびポッドキャストを聴いて、あれ・・・妙~に変だな~。だっておかしいじゃない、デッドプールは子供向けではないのでは・・・?と思っていたのですが。調べたところこの映画はR指定。R指定ってのは17歳以下の子供は保護者同伴ならOKってことみたいです。R指定の映画を子供が鑑賞出来るか否かは、保護者のキャパシティーにかかっているわけか・・・。オープンな親でよかったな13歳の息子!

ということで私たちも観に行って来ました、デッドプール。これは原作がマーベルなんですね。でもポスターでは赤い全身タイツの男が身体をよじっていたり、手でハートを作っていたりして、妙にふざけてるのばっかりだったので、アンチヒーローな感じなのかな~と思っていました。そして異様に評判が良いらしい。町山さんのたまむすびポッドキャストを聴いた感じだと、バイオレンスとエロとおふざけが絶妙にブレンドされている映画な感じですが・・・。

結果、やはり面白かったです!例によってセリフの隅々まで全部理解出来たらより楽しめたかとは思うんですが、思わず声を出して笑っちゃうところが何カ所もありました。私が行った回はレイトショーで、観客はほぼ大人か若者。前列に20代前半くらいの女子たちが座っていたんですが、とにかくギャグへの反応が良くてコロコロ笑う(ドリフのコントに挿入されていた笑い屋のおばちゃんかと思うくらい)。そしてしまいにゃ踊り始めたんですよ(座ったまま)。彼女たちのリアクション込みで楽しい鑑賞でした。


主演のデッドプールを演じるのはライアン・レイノルズ 。彼は「グリーン・ランタン」ってDCコミックのヒーローをやってて、前に飛行機の中で観ましたが・・・おそらくブログに感想を残してないってことは書く手間が惜しいほどつまらなかったってことでしょう・・・。ほとんど記憶にありません。やはり大コケしたんだそうです。同じグリーンでも「グリーン・ホーネット」は面白かったですが。ライアン・レイノルズにはそのトラウマがあり、その後のキャリアはあまりパッとしていなかったようです(現妻のブレイク・ライブリーとはグリーン・ランタンで共演して結婚)。

しかし彼がデッドプールを演じているのはこれが二度目なんですね。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」で既にデッドプールやってるそうなんですが、私はこちらも記憶に残っていません。レイノルズはDCとマーベルどちらも出演しているんですね(ベン・アフレックもそうか)。ちなみにマーベル映画のおかみさん(©町山さん)ブラック・ウィドウを演じるスカーレット・ヨハンソンは元妻。今後シネマティック・ユニバースが広がったとしても共演はもしかしてナシ?

私はぶっちゃけライアン・レイノルズという俳優にそこまで強い印象はなかったので、本作を観て「へー、こういうの出来る人なんだー」と少しビックリしたわけです。自虐もするし、メタ視点の入ったギャグも言うし。いまいち微妙な位置にいるイケメン俳優だと思ってたけど今回見直したわけです。でも彼、私にとってはイケメンというよりイケメンになったねずみ男って感じです。顔が長いからですかね~。

レイノルズはアメリカのピープル誌が毎年やっているセクシエストマン・アライブに、2010年に選ばれているんですが、冒頭の超スローモーションシーンで車からレイノルズが表紙になったピープルが飛び出してました。こんな風にメタ的な自虐ネタを最初にぶっ込んでくるので「んん?この映画、なんかクセモノ?」と思ったわけです。ピープルネタはもう一度あって、次の2011年のセクシエストマンになったブラッドリー・クーパーが表紙になった雑誌の上に、デッドプールが荷物をドカッと置くギャグがありました(笑)。

赤い忍者のような全身スーツを着た始終話し続ける妙な奴、このデッドプールがどう して誕生したのかということがアクションを交えながらデッドプール自身のおふざけいっぱいの語り口で語られます。もともとデッドプールことウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は裏社会の何でも屋みたいなことをして日銭を稼いでいるアウトローでした。あるとき夜の蝶をしていた美しくてセクシーなバネッサ(モリーナ・バッカリン)と出会い二人は恋仲に。ところがウェイドはガンに侵されており、幸せな生活が一転します。そんなある日、ウェイドは怪しげなスカウトの男を通じて先進医療の実験台になることに。施設でフランシス(エド・スクライン)という男からミュータント薬を投薬され、不死身のミュータントになってしまったのです。でも副作用みたいなので肌がやけど状態に。絶望したウェイドは施設を破壊し脱出、以後は赤い全タイを身に付けたデッドプールとして生きることになったのでした。


ずいぶんと、とっ散らかった映画なので以下は箇条書き感想にさせて頂きたいと思います。




※ネタバレします。





・悪役のアジャックスことフランシスですが、ワルな感じのイケメン。私はウェイドより彼の方がカッコいいと思いました。しかし「フランシス」って名前が散々ネタにされていたけど、これって英語圏ではダサイ名前なんでしょうか。欧州では各国語にローカライズされたフランシスの呼び方があるんですが、特にからかわれているケースを見たことがないのでちょっと不思議でした。彼は悪役としての存在感がもうちょっと欲しかったですね。

・フランシスの右腕、エンジェルダストを演じるのが「エージェント・マロリー」のジーナ・カラーノ 。彼女は生けるギリシャ彫刻のヘンリー・カヴィルと交際の噂があったようですが・・・カヴィル氏、こういうガチな武闘派な女性がタイプ?!と失礼ながら大変驚いてしまいました。イメージと全然違ったので・・・。

・ウェイドの彼女、バネッサを演じるモリーナ・バッカリンは初めまして。いい女なんだけど、ちょっと年くってる?といった印象でした。町山さんが解説してくれていましたがバネッサが実にいい彼女で、時節に合わせたプレイをしてくれるんですね。ついこの間は世界女性デーでしたが、それにちなんだプレイが素敵でした。私の女友達でこのプレイがやりたいとパートナーにお願いしている人がいますが、やはり男性側にはちょっと抵抗があるようです。まあ人それぞれですが、こういうプレイはお互いの信頼関係がないと出来ないものだと思うので、一瞬だけれどなかなかいいシーンだと私は思います(笑)。

・フランシスにされた人体実験でミュータント化したデッドプールですが、不死身ってのはなかなかいい特徴ではないですか?手首を切っても再生するんですが、その再生のスピードが遅い!すぐに手がにょきっと生えて来るわけではなく、時間をかけてゆっくりと赤ちゃんみたいな手が生えて、それが大きくなるという感じ。そこまでスーパーな設定じゃないんですね。

・マーベル・シネマティック・ユニバースとの繋がりは、アベンジャーズじゃなくてX-MENと。ミュータントになってしまったので、チャールズのX学園からの熱心なスカウトが来ています(しかし、デッドプールを学園の先生として雇用するのはどうなのだろうか・・・)。X学園からの助っ人として、鉄のターミネーターみたいなコロッサス(ステファン・カピチーチ)と火の玉みたいにエネルギーを放出するネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)がやってきました。コロッサスの英語はロシア語なまりがすごいけどなんだか聞き取りやすかった。

・ネガソニックちゃんはまだティーンエイジャーで若いので、デッドプールとのジェネレーションギャップを使ったギャグが受けました。スキンヘッドのネガソニックちゃんを見て「お前リプリー(「エイリアン」でシガーニー・ウィーバーが演じた強い女)かよ」って言うシーンがあるんですが「このオヤジ何言ってんだ」といった風。なんとネガソニックちゃんには通じないんですね!ヒエー!と思いましたが、ネガソニックちゃんは90年代後半生まれだと思われるので、そりゃ知らんだろうな〜。

・デッドプールの名前の由来となったバーを経営する友達ウィーゼル(T.J.ミラー)ですが、ここも町山さんの解説を聞かなければわからなかったところ。デッドプールになる前のウェイドは危ない橋ばかり渡っていたので、友達がウェイドの名前をデッドプールリストに載せていたんですね。誰が先に死ぬかリストはちょっとブラックが過ぎますが、英語圏の雑誌なんかではクリスマス前までに、どのセレブカップルが別れるか?リストという企画をよく見ます。これ私も大好物ですね。

・導入部とラスト前でデッドプールをタクシーに乗せるインド系のドライバーとのやり取りも面白かった。彼はデッドプールに感化されて恋敵を消そうとするんですね。ラスト前で登場したときにはトランクに拉致した恋敵が入っている(笑)。それを聞いたデッドプールが妙に嬉しそうに、何回も「あとは、ほら、もうわかってるよね」みたいなキルのジェスチャーをするのが面白かったですが。こんなライトに殺人をすすめる人、X学園に入れちゃダメだと思うんだけどなあ・・・(笑)。

・そしてバカなことに敵陣へ向かう前に調達した武器(たしかハローキティーのバッグに入ってなかったっけ?)をそのタクシーに忘れるデッドプールたち。タクシーは検問で捕まるとうカットがその後にあるのでインド系ドライバーの末路が・・・。

・デッドプールとコロッサスとネガソニックちゃんが三人で、バネッサを拉致したフランシスがいる廃墟の工場みたいなところに戦いに行くシーンで、DMXの”X Gon' Give It to Ya” がかかるのですが、ここで前述した前列のギャルがヒップホップなダンスを踊り出したんですよ。この音楽はギャグで一瞬中断されるんですが、またプレイされると踊り出すギャルたち。長年映画館の暗闇に身を沈めてきたけれども、踊り出す人を見たのは初めて・・・あんたたちは、世界で一番この映画を楽しんでるよ!と思ったのでした。







・ウェイドは生き長らえて(しかも不死身になったのに)、最愛の人バネッサになかなか会いに行けないんですよ。その理由が、副作用で顔の皮膚がケロイド状になってしまったからということ。だからデッドプールのスーツは顔もバッチリ覆ってある全身タイツなんですよね(通気性がちょっと心配)。お前・・・散々下ネタしゃべくり散らかして来ておいて、今さら花も恥じらう乙女か!って思いますけど、バネッサはそんなこと全然気にしないと思うんですよね。生きてるだけでいいじゃないですか。そしてやっとバネッサと対面するんですが、「アンタ、生きてるのにどうして連絡しないのよ!」と殴られてしまいます(当たり前)。まあハッピーエンドでいいんですけどね。

・そんなこんなで変な映画なんですけど、最後はちょっと泣けました〜。アメリカではバレンタインあたりに公開されたというのも頷けるラブストーリーになってるわけです。彼氏に無理矢理連れて来られて、全タイの妙ちきりんな男がひたすら軽口を叩きながら人をバンバン殺す映画なんてヤダ〜、と言っていた女子も納得のフィニッシュ。むせび泣くようなイントロの「ケアレス・ウィスパー」(デッドプールのスマホに入ってた)に乗せて、近年稀に見るようなオーソドックスさ加減のラブストーリーとして終るのでした。ひゃ〜、そんな着地だとは思わなかった〜。

・マーベル生みの親のスタン・リー様は、バネッサが働 くストリップクラブのDJとして登場。嬉々として演じていらっしゃいました。ほんとチャーミングな方ですねえ!御年93歳ですよ。これからもお元気でいて欲しいです。

・おまけシーンは、バスローブを着たデッドプールが「え、君たちまだいたの?デッドプール2のチラ見せ映像はないよ。早く帰った帰った。あ、ゴミはちゃ〜んと持ち帰ってね」ってことでしたが、続編ではケーブルというキャラが出るということが明かされます。キーラ・ナイトレイがキャスティングされるかも?という冗談もありましたが、最後の最後までメタ視点のギャグを忘れないデッドプールなのでした。

余談:近くの席に座った観客のリアクション込みで忘れられない映画といえば、トビー・マグワイヤの「スパイダーマン」ですね。私の近くに3人組の中学生男子が座っており、劇中大はしゃぎしていました。逆さまになったスパイダーマンとMJことキルステン・ダンストが雨の中キスするシーンがあるじゃないですか。そのときキルステンがノーブラなんですよね。それにハッと息を飲み、お互いに飛びつく男子たち。そして終演後のロビーで「シュー!」という声と共に、手から見えないクモの糸をくり出す男子たち・・・。本当にオマエら可愛いなあ、とソロで来ていた私(求職中)はちょっと羨ましく思ったのでした。


『男性・女性』仏語もっとがんばりましょう

        

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一応、今年の目標として週に映画二本というのがあります。できればそのうちの一本はフランス映画にして語学の勉強を兼ねようと考えていたのですが・・・甘かった。作品によっては、のべつまくなしに話して話して話しまくる、高速で話してなきゃ死ぬのかってくらい話すのがフランス映画。しかもゴダールですよ。学生時代に一度観てるから大丈夫かな~と思っていたのですが、会話の中身が全然わかんない・・・。撃沈なのでした。







66年冬のパリに住む若者達のちょっと政治的な青春スケッチという感じの映画です。新聞社で働く青年ポール(ジャン・ピエール・レオー)は新人歌手のマドレーヌ(シャンタル・ゴヤ)のことが好きになり、彼女の友達エリザベート(マルレーヌ・ジョベール)とカトリーヌ(カトリーヌ・イザベル・デュポール)と一緒にキャッキャするという話です。66年というとベトナム戦争とか東西冷戦とか大きな出来事が進行真っ最中でした。

映画に出て来るうら若き女の子たちにレオーの声を借りて「社会主義についてどう思う?」と質問するゴダール。「え~、わかんな~い」と答えるマドモワゼル19歳。みたいなインタビューが挟まれたりします。劇映画だったのに急にドキュメンタリーっぽくなって「あれっ」と思うんですね。でもなんだか耳が痛いですよ。社会主義についてどう思う?なんて聞かれても筆者はまともな意見を述べられやしません。

内容に関しての話が出来ないので、女優の話でもしましょうか。シャンタル・ゴヤは本当にアイドル歌手で、その後は子供たちのための歌を歌う「歌のお姉さん」のような活動をしていたそうです。彼女のアルバムを1枚だけ持っていますが、フランス・ギャルみたいな感じの曲ですね。後年になってから知ったんですが、彼女はフランスとカンボジアのハーフだそう。モノクロ画面では彼女の黒い髪と黒い目がコントラストを作っていて印象的だなと思っていたんですが、アジアの血が入っていたんですね。

カトリーヌ役を演じたカトリーヌ・イザベル・デュ ポールはレオーと翌年「出発」で共演します。この二人が出ているシーンは「出発」を彷佛とさせて、観たばかりだったので「おおっ」と思いました。スクリーン上の相性がかなりいいのが伝わって来ます。

エリザベート役のマルレーヌ・ジョベールは、なんと「300 進撃の帝国」やボンドガール役でおなじみエヴァ・グリーンのお母さんなんですね。そう言われるとミステリアスな目元がちょっと似てるかも。エヴァ・グリーンが主演した「ドリーマーズ」では最初の方にレオーがちょっと出てるし、現場でエヴァ・グリーンとレオーがどんな話をしたのかな~などと考えると楽しいです。

あとは、B.B.ことブリジット・バルドーが本人役で出ています。レオーはいつものセカセカしたナイーブな男の子なんですが、今回はなんとな~く、ふかわりょうっぽい?と思いました。なんでだろう。あとは、やっぱり60年代のファッションですね。冬という設定なんだけど、女の子はスカートスタイルにタイツを履き、足首が見える靴を履いてます。可愛いんだけど寒くないのかな~ 。昔の冬の方が今よりずっと寒いと思うんですが、この時代の映画を観ると女優さんがみんな薄着でコートもそこまで防寒性を重視してなかったりするものなので不思議なのでした。

『TOKYO TRIBE』ネバ エバ ダーイ!



                          



日本に帰省したときに園監督の「リアル鬼ごっこ」を観ましたが、これよりも去年本作の方を観ておくべきだった・・・(公開のタイミングが滞在時期とズレてはいたけど)と後悔。とにかくクレイジー!ク、クッ、クッツ、クッ、クッ、クレイジー!(スクラッチ)常識を軽く超えたクレイジーな世界観は「マッドマックス/怒りのデスロード」を超えてると個人的には思います。園監督の映画は私にとって真っ二つに「イイ・・・!面白い・・・!」ってときと 「意味不明・・・全然わからない・・・」というときの差が激しい映画です。あと本作のように鮮血ブシャー!とかおっぱいぼろ~ん!とかが出て来るドギツイ作風(代表例「冷たい熱帯魚」)と、内に籠ったような静かで考えさせられる地味めな作品(代表例「希望の国」「紀子の食卓」)の差も激し過ぎる気がします。その両方を持ち合わせた作品(代表例「自殺サークル」)もありますね。幅広いテイストがあるということ含めて園作品の魅力なのかもしれませんね。





原作漫画は未読なので、映画について感想を書いていきたいと思います。ラップミュージカルという体で展開される映画なのですが・・・まず背景が筆者好みでした。東京とソウルとバンコクと台北の歓楽街を全部まぜこぜにしたような亜細亜的猥雑さの漂う街なんですよ。すべて調布の日活スタジオで撮影されたんだそうです(筆者は東京時代この近くに住んでいたのだ)。粘り着くような熱帯夜、乱立する屋台の熱気、非合法のものを売る行商人、ターンテーブルを前にした謎のババア、あからさまにエロ要員のミニスカポリス・・・最高だ!!!と、なってしまうんですね(笑)。

ブクロで悪いお薬をさばいているメラ(鈴木亮平)のもとにパトロール中のミニスカポリス(佐々木心音)がツカツカとやってくるんですが、この彼女がエロい!案の定エロ要員として描かれるんですが、のっけからコレか・・・!と見ている方の期待値もガン上げですよ。そこからメラによってTOKYO都内に群雄割拠するTRIBEの説明に入るんですが、わかりやすいし面白いし最高じゃないですか?ブクロ、新宿、渋谷、練馬、高円寺と各街のカラーに合わせたTRIBEたちがいるんですよ。練馬はもちろん練マザファッカー!(その昔、ダウンタウンの番組で中川家のお兄ちゃんが練マザファッカーのところにホームステイするという番組で知った)そして、TOKYOを牛耳っているヤクザの親分に仏波(竹内力)というのがいて、メラはその右腕的存在。仏波/メラ勢力対他のTOKYO TRIBEという抗争が始まる・・・というお話です。

もうこの映画は結構なカオスでどこから書いていいかわからないので、俳優さん別に箇条書き感想とさせて頂きます。

・メラを演じる鈴木亮平のカラダがすごい。紐パン一丁でムキムキのバディーを見せてくれます。カラダだけじゃなくてちゃんと狂犬な感じもあってよかったですね。個人的にビックリしたのが、若手女優のおっぱいが見えてるシーン。私が知る限り、イケメン俳優が若手女優のおっぱいと一緒に写っているときはほぼ恋愛映画でのシリアスな濡れ場とかに限定されると思うんですが、鈴木亮平はそうじゃないのがすごいな・・・と妙なところで感心してしまいました(それに、そういうシーンこそ園子温の映画だなという感じがします) 。そもそも紐 パンとかになってくれるって時点で鈴木亮平がすごいのかも。「HK/変態仮面」のDVDも持って来たので観るのが楽しみです。

・仏波役の竹内力のコッテリ加減がすごい。このメチャクチャな世界観に君臨するマフィアということなんですが、予告編見たときから「うへえ~!」(良い意味で)と思ってました。ホタテマンこと安岡力也と区別がつかないですが、ホタテマンの方は既に他界されているので存命の方が竹内力です。竹内力にはイタリアの血は入ってない様ですが、それもちょっと意外ですよね。演技はそこまで達者ではないと思うのですが、もうその存在感だけでいいというタイプの役者さんですね。新しい「マッドマックス」ではイモータン・ジョーの吹き替えを担当されてるらしい(笑)。要はディストピアに君臨する悪いボスってことで凄くよくわかります。仏波にお茶を注ぐメイドが仏波様をたたえるラップをしてましたが、微妙にヘタなヒューマンビートボックスでなんか面白かったです。

・仏波の息子のンコイが窪塚洋介。彼はナチュラルボーンクレイジーな役者さんなので、この世界観に難なくなじんでいます。本当、生まれたときからブッパタウンにいるんだろうなという感じ。彼の部屋の家具が「時計じかけのオレンジ」のミルクバーに出て来るのとほぼ同じなんですよ。ミルクバーの家具はプラスチックだったけど、本作のは白塗りにされた本物の人間ってことでクレイジーでした。その椅子に腰掛けるのが似合う俳優は窪塚洋介以外に考えられません。マッドだぜ!ラップはヘタクソだったけど。

・仏波の妻エレンディアを演じるのが叶美香。美香さんと竹内力の夫婦ってのもコッテリ加減がすごいです・・・胸焼けしそう。セリフはないんですが、それがよかったですね。竹内力におっぱいを揉みしだかれてましたけど、不自然な感じに見えなかったので本物なのでしょうか?でもあの大きさは本物では無理な気がする・・・などと、今更美香さんのおっぱいについて日本から遠く離れた国で考えている筆者(笑)。園作品だと、こういう役は神楽坂恵さん(監督の奥さんでもある)が担当して来ましたが最近はあまり映画に出てないぽい・・・と思ったら新作「みんな!エスパーだよ!」ではバッチリ登板されています。これも観たいなあ~。

・仏波の娘KESHAには中川翔子。ブルース ・リーを崇拝するしょこたんは、あの黄色いトラックスーツを着てヌンチャクを振り回すシーンが少しだけありますが、園監督の映画に出られてしかも趣味まで出すことが出来て幸せ者だなあ・・・と思いました。

・武蔵野あたりのファミレスに集うピースフルなTRIBEの海役には現役ラッパーのYOUNG DAIS。準主役なんですが、周りのキャラが強烈なので彼がすごくマトモに見えます。服も気持ちラッパーっぽいけど普通だし。ラップは一番上手だったと思います。ラストで結局、この抗争は鈴木亮平演じるメラが海のチ◯ポの大きさに嫉妬して起こしたみたいなオチがついてしまうのですが(笑)。みんなで銭湯に入ってるシーンの中、海さんを嫉妬の眼差しで見つめるメラというカットがあります。もちろん海さんの前は写りませんが、バックショットから前のブツが見えてないんですよ!じゃあ大きくないじゃん!と最後にコケそうになりました(参考サイズ:「SHAME」のファスベンダー)。

・ファミレスTRIBEのリーダー格のテラに佐藤隆太。なんか昔はワルだったみたいで海やまわりのTRIBEたちがリスペク トを捧げる人なんですが、全然凄い人に見えなかったのが残念。週末は草野球やるのが趣味の気のいいサラリーマンにしか見えないんですよ。特に見せ場もなくそのまま抗争で死んでしまいましたが。原作読んでないのでイメージが合ってるかどうかわからないのですが、真木蔵人か坂口憲二が演じたらよかったんじゃないかなあと思いました。

・仏波の一味に捕われるふりをして乗り込んだ女の子、スンミに清野菜名。彼女は可愛かったですね~。なんかヤング吉瀬美智子みたいな顔をしてるんですよ。実は強い子で敵とアクションするんですが、彼女が蹴りを入れる度にパンチラするという演出になっていました。「愛のむきだし」でも満島ひかりが戦いながらパンチラしてましたね。園監督は「パンチラ するパンツは絶対に純白でなきゃいかん」という信念を持っているそうです。清野菜名さんは下着姿にもなってました。いや~眩しかった。脱いでもパンチラしても掃き溜めの様な場所にいても、石鹸のような清潔感が漂う女優さんって貴重ではないですか。彼女のラップシーンはむしろカットしたほうがよかったかも。

・スンミのお父さんで仏波も恐れるカリスマの大司祭が、園作品常連のでんでんさん。出番はすごく少なかったんですが、実に楽しそうに演じていたように感じます。最近色んな映画に脇役で出演されていてお忙しそうですが、また「冷たい熱帯魚」ばりの怪演を期待したいです。

・狂言回しのMC・SHOWに染谷将太。彼のラップは上手いとは言えないけど結構よかったと思います。ただのグレーのフーディーなんだけど、そ れもなんだかお洒落に見えました。「TOKYO TRIBE, never ever die」のフローが頭の中をループして離れません。

しかしラップのスキルにキャスト間でものすごい差があるのが致命的。そのデコボコが本作の完成度に大きく影響していて非常に残念だなあ・・・と思いました。ラップ素人のキャストは全員プロに猛特訓してもらうか、モブのTRIBEを演じていた現役ラッパーに代ラップさせるとかした方がよかったんじゃないかなあ~と。それ以外の背景だったりキャスティングだったりが良い分、非常にもったいないと思いました。

そうそう忘れていましたが、プロレスラーの高山善廣さんが仏波宅の用心棒役で出ていました。今、東京MXで放送されていた「ニッポンダンディ」金曜日の動画を見ているんですが、園監督と高山善廣さんが金曜ダンディーなんですよね。園監督はその作風から相当にエキセントリックな人なんだろうなと思ってましたが、確かに変わってるっちゃ変わってるけど意外とロマンチストだったりシャイだったりする面があって可愛らしい人だなあという印象ですね。園監督は番組アシスタントのサヘル・ローズさんのファンだってことで「いつか映画に出てくれないかなあ」などと言っていました。リップサービスだと思ったら、次回作では本当にサヘルさんがキャスティングされてて嬉しくなりましたよ。まあ、私がその映画を観られるのは早くても来年になりますが・・・。楽しみに待ちたいと思います。てかそれ以前に鑑賞しなきゃいけない園作品もいっぱい!

『天使が消えた街』実録犯罪モノかと思いきや・・・


            

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このカーラちゃんの表情もミスリードを狙っている気がする・・・。



ダニエル・ブリュール主演で、カーラ・デルヴィーニュちゃんも出るし、実際に会った事件をモチーフにした私の好きな実録犯罪モノかと思い鑑賞。実録犯罪モノは洋画よりも邦画や韓国映画の方が身近に感じられるんですが、まあ洋モノも悪くなかろうと思って・・・。2007年にイタリアで起きた「ペルージャ英国人留学生殺害事件」が元になっている映画です。この事件、筆者はボンヤリとしか覚えてないんですが・・・確か英語圏からイタリアに来た女子留学生が二人でルームシェアしてて、そのうち一人が殺されて残った一人が容疑者になるという事件だったなあ~という程度。きっとダニエル・ブリュールがその事件を追う刑事かジャーナリストで、カーラちゃんが容疑者か被害者の女子学生なんだな、んで女子留学生二人の心の闇とか覗けちゃうのかな、きっと表面上は仲良くルームシェアしてても実は壮絶なマウンティング女子みたいな事態とかあんだろ~な~って思うじゃないですか。原題は「The Face of an Angel」だし、天使みたいな顔してその実・・・という怖い話なんだろうな~ワクワク!・・・と。でも違う、そうじゃない(鈴木雅之)。全!然!違う映画なんですよ。

ちなみに邦題が似ている映画として「消えた天使」というリチャード・ギアとクレア・デーンズが出ている女性失踪事件を扱った映画があります。この映画に友情出演的にアヴリル・ラヴィーンが出てるんだけど、アヴリルとカーラちゃんがブロンドだし、なんとなく雰囲気が似ているからきっとこの二作を混同する人が出て来るんじゃないかと思うのですが。クライムサスペンス好きの私の母親なんかがツタヤで間違えて、まんまとレンタルしそうなニオイがぷんぷんします。しかも邦題を検索したら堂本光一主演の同名テレビドラマもありました。もうちょっと邦題の付け方、考えた方がいいんでないの・・・?


予告編





※ネタバレします。



ダニエル・ブリュール演じる主人公トマスの職業は映画監督。この事件をモチーフとして映画を作ろうとイタリアへリサーチにやってきた人で、確かにこの事件に取り憑かれた男として描かれます。しかし私の当初の期待は前半で脆くも打ち砕かれます。事件の裁判傍聴シーンもいっぱいあるんだけど、なんか全体的にフワ~っとしてる。あれ・・・おかしいな、あれ・・・?事件そのものや関係者にフォーカスしていくというよりも、主人公トマスの心象風景みたいなものに時間が裂かれています。あれ・・・この映画、ちゃんとクライムサスペンスにする気あんのかな・・・・?犯人突き止める気あるのかな・・・?と戸惑っている間に、トマスはケイト ・ベッキンセール演じるジャーナリスト、シモーヌと男女の関係になったり、事件にハイエナのようにたかるタブロイド紙記者と対立したり、離婚した妻との間にいる娘のことを思ったり、事情を知る謎の地元人エドアルド(バレリオ・マスタンドレア)に意味深なことを言われて翻弄されたり、英国人留学生のメラニー(カーラ・デルヴィーニュ)と友情を築いたり・・・。ちょ、ちょ、ちょ、犯人誰か突き止めなくていいわけ?事件のこともっと掘り下げなくていいわけ?と私は置いてきぼりにされてしまったのです。期待していたカーラちゃんは、ビッチなマウンティング女子でも天使のように可哀相な被害者でもなく特別に事情を知る女でもなく、本当にただの一留学生だし。あれ~、妙~に変だな~?と肩すかしを食らってしまうのです。

ラッシュ/プライドと友情」などに出ているダニエル・ブリュールはアンパンマンみたいな顔をしてる童顔の俳優ですが、今回は9歳の娘がいて離婚歴があるくたびれた男の役です。彼がどうしてこの事件にそこまでのめり込むのかがイマイチわからなかったんですよねえ・・・。殺された留学生のエリザベス(サイ・ベネット)のことを離れて暮らす自分の娘に同化させていたのか?とも思ったんですが、そこらへんもフワっとしてましたし。

そもそもですが、被害者のエリザベスと容疑者のジェシカ(ジュヌヴィエーヴ・ガウント)がどちらもブルネットの茶色い目の女優で非常に似てるんですよ。欧州に住んでいるのに欧系の顔を識別するのが苦手な筆者には紛らわしかったです。こういう場合はどっちかを金髪か赤毛にして欲しいところ・・・(笑)。最初、映画監督のトマスはクライムサスペンスを作ることが頭にあったみたいなのですが、事件を深く知ろうとすればするほど世間が飛びつく様なスキャンダラスな要素に違和感を覚えて行きます。そして映画プロデューサー達との会議で「ダンテの『神曲』の構造を取り入れた、愛と人生の探求モノにしたい」みたいな発言をして、一同ポカーン・・・という。そりゃそうだろ!って感じですが。私は後からググって知ったのですが「神曲」にはベアトリーチェという女性が登場するんですね。トマスの娘の名前がベアトリーチェなので、娘の不在が彼の心に影を落としているということのようです。と同時に「これはただのクライムサスペンスではなくて、もっと心理的な深い映画なんですよ」というこの映画自体のスタンスの表明ということになっている感じです。

そもそもどうして世間がこの殺人事件でそんなに盛り上がってるのか?と思ったら、容疑者のジェシカが可愛いかったからってことだったんですね。ふむ。映画の中では被害者も可愛かったけど、モチーフとなった事件は不謹慎ながら容疑者の方が確かに美人です。美人が普通の容姿の女の子を殺すよりも、その逆の方が私にはグっとくるものがありますね。これやっぱり積年のルサンチマンなんでしょうか(笑)。それに木嶋香苗容疑者だって、そうじゃないですか。「こ、こんな容姿で、結婚詐欺・・・?!」って方がずっと面白いしドラマだと私は思うんですが。あ~婚活サイト殺人事件、園監督が映画化してくれないかなあ。お星様にお願いしておこうと思います 。

ということで、映画の中の映画からクライムサスペンスであることを辞めてしまった本作ですが、真犯人は謎の地元人エドアルド?と思わせるシーンもあって、ここは少しドキドキしました。この人はイタリアの田舎に住んでる割にはおっさん英語上手じゃん、という感じなんですが。「俺は誰よりも事件のことをよく知っている。脚本も書いたから読んでくれ」と自信満々なエドアルドの自宅で映画のスクリプトを読むトマスが、そこで偶然に犯行に使われたのと同じナイフを発見するんですね。咄嗟にそれを持ち去り、ホテルの部屋の引き出しに入れておくんですが、翌日引き出しを開けると跡形も無くなくなっているという・・・。どゆこと?あー、やっぱりリアリティーを求めてはダメかとガックリしてしまうんですが。 エドアルドはイタリア警察の捜査のズサンさについて語っていましたが、それについてはなんだかわかる気がします。ヨーロッパの地方や小国なんて先進国にある都会に20年ほど遅れを取っているという感じですからね(筆者体感)。

監督脚本する映画の路線も定まらないし、事件も容疑者が捕まっているものの真実はわからないし、ということで混乱しているトマスの前に気さくな英国人留学生のメラニー(カーラ・デルヴィーニュ)が現れます。メラニーは親しくなったトマスにドラッグ調達の便宜を図ってくれたりするのでした。私は動くカーラちゃんを初めて見たのですが、いい意味でモデルっぽくないんですね。パリコレやヴィクトリアズシークレットのショーに出てるスーパーモデルさんなんですが、映画だとそのオーラが全然違う 。確かに細いんだけど、市井になじむスタイルの良さというか。学生役なので服装もファストファッションで買ったようなカジュアル服を着ていて、本当に学生に見えるのがすごいと思いました。で、性格が気さく!サバサバ女子!そもそもこの役が子供っぽくってほぼ性を感じさせないのです。疲れ切ったトマスは、この子とハッピーになるんだろうかな〜と思ったけどそれもナシ。小料理屋の美人女将のように疲れきった中年男の心は癒しますが、それだけなんですよ。一緒に旅行行って同宿しても何もナシで終るんですが、それがいいんですね。悲しい雰囲気に支配された映画の中で、明るい彼女の存在が一服の清涼剤となっていました。

そして、トマスは若くて楽しい盛りに命を絶たれてしまった被害者エリザベスに想いを馳せて映画は終ります(結局、映画の企画は頓挫してしまったっぽい)。観賞後はポカーン・・・だったけども今こうして振り返ると、若くて美しくて前途ある娘さんの死は彼女を愛していた人達(特に被害者の父親がクローズアップされていた)にとっては耐え難い苦しみであり本当に悲しいことであって、自分の娘には限りある命を精一杯生きて欲しい・・・みたいな意味も込められているのかなあ、という気がしました。トマスにとって被害者エリザベス、娘のビー、友達のメラニーが同一線上にあって、それぞれが「青春の中で絶たれた生命」、「これから青春を迎える生命」、「青春のまっただ中の生命」を象徴していたのかなあ・・・という。一方の容疑者ジェシカは少し悪い子な感じに描かれていましたが、彼女が真に無実だったとしたら「青春を社会的に奪われた生命」ということになるのかなあ。いや深い話ですよ。この映画を観て一番感じ入ること来るのは、やはりトマスのように家庭の事情でなかなか会うことが出来ない小さい娘を持つお父さん方なのではないでしょうかね。

監督はマイケル・ウィンターボトム。名前をちょくちょく聞くことはあるのですが、実はあまりよく知りません。昔にレイチェル・ワイズが出ていた「I want you」という映画を観たことはあるのですが、記憶が飛んでいます。彼の「ひかりのまち」というロンドン群像劇は面白そうなのでいつか観てみようと思います。

『ドリーマーズ』青春で、やがて切なきエロゲー・ヌーヴェルヴァーグ風味

       



昔観た、忘れてしまっている旧作を観てみようという気分になってDVD鑑賞。この映画は公開当時にも観ていたんですけど、かな~り記憶が薄れていました(エロシーン以外)。ちなみに当時書いた感想はこちらです。今と比べて随分とアッサリした感想文ではないですか。しかし、この頃からボカシ問題について多いに感心があったことが見てとれます。

ボカシはね~・・・芸術作品への冒涜ですよ!だって作品に加工をした時点でそれはオリジナルではなくなってしまうんですから。性愛という人類にとって永遠のテーマを扱った映画にボカシをかけられたら、作品の真意もボカされてしまうと思うんですが・・・。性器の結合部がボカシというのなら百歩譲ってまだわかります。倫理的にイカンってことで(でもそれをR-18でやるっていうのは到底理解できない)。でも性器そのものだけが普通に映っているシーンでボカシというのはこれいかに?だって毎日見てる体の一部分ではないですか。そこをワイセツだと思ってボカシてしまうしまう方が妙~にワイセツって気がするんですがね。ということで、ヨーロッパに住んでよかったことのランキング上位に「映画が無修正」というのが食い込んでいる訳です。でも「ニンフォマニアック vol.1 vol.2」を観た後だと、どの映画も「あ、こんなもん?」と思えてしまいます・・・(笑)。これを越える衝撃に出会える日は来るのでしょうか・・・?

舞台は68年のパリ。なんか文化人や学生が大勢集まってデモをしています。パリにはシネマテーク・フランセーズという世界の映画のアーカイブを保存した文化施設があるんですが、この施設はアンリ・ラングロワという映画おたくのコレクターが集めた古い映画のコレクションを基にした文化的に非常に重要なもの。トリュフォーやゴダールを始めとするヌーヴェル・ヴァーグの作家たちはシネマテークのコレクションをたくさん観てそこから映画のセンスを吸収したそうな。だからシネマテークが、彼らの作品作りにおいて多いなる影響を与えたとか。アンリ・ラングロワは当時シネマテークの代表でしたが、時の文化大臣アンドレ・マルローから財政支援を打ち切られてクビにされてしまいます(どうやらラングロワは政府とシネマテークの運営を巡ってモメてたらしい。ちなみに文化大臣のマルローはカンボジアで遺跡盗掘経験がある変わった人。カンボジアのバンテアンスレイ遺跡には彼が盗掘した後戻された女神像があり、「東洋のモナリザ」と呼ばれています。筆者も見物に行ったことがあります。)。文化大臣マルローによりラングロワがクビにされたのでシネマテークが閉鎖されてしまい、映画関係者や学生らが中心となって抵抗した運動がありました。このデモが反体制運動として有名な5月革命の一部であるそうです。

当時はDVDがなくて映画を劇場で鑑賞するしかなかっただろうから、映画それも古今東西の珠玉の名作を含んだアーカイブが見られないとなったら「ピュタン、ふざんけんな!」という感じでしょう。私が当時の現場にいた人間だったらきっとデモに参加すると思います。だって映画が観られないなんて、そんなの何を楽しみに生きて行けばいいんですか?本作の主人公マシュー(マイケル・ピット)とイザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)もその中にいた若者たちだったのでした。

アメリカから交換留学でフランス語を学ぶ為にやってきたマシューは名画座的なところに通って映画を観る日々を送っていました。シネマテーク・フランセーズのデモでフランス人のイザベルとテオに出会うマシュー。同じ様な黒髪を持つミステリアスなイザベルとテオは双子の姉弟でした。このデモシーンは、ヌーヴェルヴァーグ好きなら思わず興奮してしまう場面です。68年当時のジャン・ピエール・レオーと現在のレオーがまったく同じテンションで熱弁を振るっていて胸熱に・・・。68年当時のレオーはトリュフォー監督の「夜霧の恋人たち」のアントワーヌとまったく同じなんですよ(当たり前なんだけど)!映画のためデモに立ち上がったレオーはトリュフォー監督の自伝的作品の主人公であるアントワーヌ・ドワネルを演じ続けた役者であって、アントワーヌというキャラクターはトリュフォーであって、トリュフォーもまたデモの中心的な人物で映画おたくが高じて作家になった人であって・・・。もうレオー=アントワーヌ=トリュフォー監督なんですよね。三者は互いに切り離して考えることが出来ないんですよ。それは映画の中の話だと思っていたんですが、カメラが回っていないところでもそんな感じが伝わって来て嬉しかったです。「夜霧の恋人たち」はアンリ・ラングロワに捧げられた作品で(たしか献辞されてたはず)、ファーストカットは閉鎖されたシネマテーク・フランセーズのドアの画から始まっていたと思います。でも映画自体はすごくベタな青春物語なんですよね。ドワネルもので、この映画が一番好きです。


「夜霧の恋人たち」予告編↓





しかし、つくづくレオーも不思議な俳優です。子役(アントワーヌ役)でデビューして以来、どの映画でもほぼ同じようなキャラクターを演じているのですから(おじいさんになっても)。どの役でも一貫して、情けなかったり、繊細だったり、ピュアだったり、ナイーブだったり、だらしなかったり、いい加減だったりで、まるでアントワーヌの変形バージョン。スクリーンの中のアントワーヌがじわじわと浸食していき、その後のレオーに影響を及ぼしているとしか考えられません。だから、アントワーヌなのかレオーなのかトリュフォーなのか、はたまた映画なのか現実なのか、という境がこの上なく曖昧。映画のままの人生をオフスクリーンでもそのまま歩んでいるとしか見えない不思議な人なんですよね。この映画のあとにベルトルッチ繋がりで「ラストタンゴ・イン・パリ」を観ましたが、そこでもレオーはまんまトリュフォーみたいな映画青年を演じていて「ブレないなあ・・・」と思うのでした。「ドリーマーズ」はヌーヴェル・ヴァーグをオマージュ&リスペクトしているため、シーン抜粋や同じ音楽を被せたりしている場面もあって、また胸熱なのでした。んだから、旧ブログにも書いた通り「ああヌーヴェル・ヴァーグの青春をドリカム編成でやっちゃうんだな」と思ったりするんですが、この映画はもうちょっとエロいし深い作品なんですね。


※以下、ネタバレします。


あっという間に親しくなったマシュー(マイケル・ピット)と双子のイザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)。テオはマシューを家に招待します。双子の家はパリのシャンゼリゼ通りのあたりににある大きなアパルトマン。 シャンゼリゼ界隈で産まれたイザベルが初めて喋った言葉は「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン!」。そうすると「勝手にしやがれ」でジーン・セバーグがシャンゼリゼ通りで新聞を売るシーンになるんですよ。ク~ウ!やっぱ最高だな、ゴダールって!と思う訳です。私はもともと60年代のファッションが好きで当時のフランス映画を観るようになったんですが、そこからもうヨーロッパへの(正確にはフランスへの)憧憬をかきたてられまくったんですよ。特に「勝手にしやがれ」には影響を受けて、髪もベリーショートにしてしまったし(黒髪のモンチッチみたいになりました)、渋谷でニューヨーク・ヘラルド・トリビューンのロゴが入ったTシャツを一生懸命探したものです(結局見つからなかった。 ジーン・セバーグが着てたのと同じモデルを作れば絶対に売れると思うのだが・・・)。

双子のお父さん(ロバン・レヌッチ)は有名な詩人で、お母さん(アンナ・チャンセラー)はイギリス人(だから双子は英語が上手)。一緒にご飯を食べているときに、マシューはぼんやりとライターとテーブルクロスの模様が同じ長さになっていることに気が付くのでした。お父さんから「君、ぼんやりしているね。何を考えているんだい?」と言われて正直にライターと模様のことを話すマシュー。これが逆によかったみたいで双子家族に気に入られるのでした。この家族は一見リベラルな感じなんですが(双子は親の前で堂々とタバコ吸ってるし)、どうやらお父さんは「デモなんかやったってしょうがない」というスタンスのようです。テオとお父さんの意見が対立し気まずい雰囲気で夕食が終わるのでし た。マシューはそのまま双子の家に泊まることに。夜中にトイレに起きたマシューは、イザベルとテオが裸で一緒に寝ているのを目撃します。「なんかこの双子、変だぞ・・・?」って雰囲気なんですが、トイレを見つけることが出来なかったマシューは洗面台に放尿するのでした(テオの歯ブラシにおしっこがかかってしまうのだった)。

翌朝、マシューは双子から「ユー、もう下宿引き払ってこっち来ちゃいなよ!」と言われるのでした。憧れのパリ、魅力的な双子、そして双子の親は旅行中、これなんてエロゲー?状態です(笑)。前後するかもしれませんがマシューは郷里のお母さんに手紙を書きます。「やっとフランス人の友達が出来たんだ」と・・・。映画の知識があるマシューのことを気に入った双子は 、三人でルーブル美術館を駆け抜ける記録にチャレンジしようと持ちかけます。これがゴダールの映画「はなればなれに」の中でアンナ・カリーナと二人のメンズがやっていたシーンの再現なんですね。彼らのタイムを抜こうということなんですよ。現在の三人が走っている姿にオリジナルのシーンが重なります。これもフォーウ!とテンションが上がるってことなんですが・・・実は、私、「はなればなれに」未見なんですよね・・・。レンタルで探したりしたんですが、まだそのころはDVD出てなかったみたいで見逃し続けていたんですよ。今度帰ったら観たいと思います。

映画好きな双子(古典もよく観てる)の間で、映画のワンシーンを再現してタイトルを当てるという遊びが行われます。負けた方は勝っ た方の言うことを絶対に聞かなければいけないというもの。その絶対の度合いが半端ないんです。イザベルに負けたテオは、マレーネ・ディードリッヒのポスターを見ながら、二人が見ている前でマスターベーションをするという罰を受けるでした。本当に実行するテオ。マシューはドン引きです。やっぱりこの双子、どこかおかしい・・・ということなんですが。エヴァ・グリーンとルイ・ガレル、ミステリアスな黒髪と眼差しを持つフランスの若手(当時)が双子というキャスティングも最高なんですよね。二人とも退廃的なセクシーさがあって、実は近親相姦でしたって言われても全然不思議じゃない感じがします。約10年が経過した現在、より不埒な色気を纏って脂が乗ってますしね~。とにかくキャスティ ングがいいんです。そういえば、この映画のことを最初に知ったのはアルマーニの広告ででした。メインキャストの三人をイメージキャラクターにした広告で、モダンな感じなんですが映画のストーリーを引きずった雰囲気がありました。アルマーニの広告はこちらから見ることが出来ます。

ある夜、テオがマシューに映画クイズを出しますが、マシューは負けてしまいます。テオが出した罰は目の前でイザベルとセックスしろというものでした(罰ゲームがいちいちエロいが、確かにそうしないと楽しくないのかもね)。マジで・・・?とまたドン引きするマシュー。しかしイザベルはやる気満々です。双子によって服を脱がされたマシューは、パンツの中にひっそりと隠してあった水着姿のイザベルの写真まで見つけられてしまうのでした(テオに服を借りた時に写真をくすねていたのだ)。これは恥ずかしいですね~!裸にされて何もかもバレてしまったマシューはやけくそになってイザベルとセックスをします(その間、テオはなぜか目玉焼きを焼いているのであった)。しかし・・・奔放に見えたイザベル、実はこれが初めてだったのでした!それに気が付いたマシューは更にイザベルに夢中になってしまうのでした。しかしエヴァ・グリーンの乳首の直径は何センチあるんでしょうか・・・。色は綺麗なピンク色だけど何度見てもちょっと驚いてしまうところです。

はい、とうとうやってしまいましたね。ここから三人でいるときはほぼ裸というシーンばかりになります。親がいないのをいいことに、勝手に高いワインを空けたりして酒池肉林のゼブラタイムに突入するのでした。しかしゼブラながら、だんだんとダメダメな生活に転落していきます。イザベルはまともな料理をつくれないし、家にある食材を使い切ってしまい、食料品を買うお金もないのでテオが裸にジャケットをひっかけてアパルトマンのゴミ箱をあさり、食べられそうなものを取って来る始末・・・。結局1本のバナナを三人で分け合うのでした。それでもまだ楽しそうです。働かない、勉強もしない、ちらかった家に半裸でグダグダしながら、ゴミ箱からあさってきた果物を食べる・・・う~ん、デカダンス!沢木耕太郎先生が「深夜特急」の中でフランス人バックパッカーの僻地での沈みっぷりが半端ない、と書いていたのを思い出しましたよ。旅先で底辺まで落ちて、じっと退廃の中に停滞するパッカーは多いけど、特にフランス人は落ちる所まで落ちて、その沈みっぷりがかなりディープなんだそうです。今風ポップに言うと「外こもり」ってやつなんでしょうか。しかしあれだね、フランス人がやってると、何か放浪して客死したランボー(Notスタローン)みたいに文学の香りがしますね(笑)。私がフランス信者だからそのように変換されてしまうのでしょうか・・・。

半裸グダグダ生活を送りながらも、戦争や社会のことについて激しく議論したりしているんですが、もう本当にお笑いなんですよ。自分らは社会的役割を全く果たしてない子供で、でも身体的には子供じゃないから性欲もあって閉じこもって色々とエロ行為にふけっている。ベトナム戦争に従軍しているマシューの友達が見たら「一体コイツらは何をやってるんだ?」と思うのではないでしょうか。社会についてどんなに激論を戦わせても、大人をねじ伏せる様な正論を言うことが出来ても、論破することが出来ても、結局「で、おまえ働いてんの?自分で家賃払ってんの?税金は?」って言われたらグウの音も出ないお尻の青い子供たちでしかない。掲げる理想は高くてご立派だけれども、家の中で机上の空論を夢見ているドリーマーズたち・・・。まあ、それはそれでお笑いなんですが、どこでも若者っていうのはこんな感じで似たり寄ったりじゃないですかね。親がいない家で好き放題、堕落してエロいことして本などのリアル体験じゃないことに基づいて知った口をたたいて。若者ではなくなった今、若い人達が青い理想論をカマしてたりする方が健全なように感じます。

双子はマシューの下の毛を「愛の証明のため」に剃ろうとしますが、マシューは拒否して「君たち、どこかおかしいよ!双子だからって一緒に裸で寝たり、風呂に入ったり」と、とうとう思っていたことをぶちまけます。それがごく普通だったイザベルには逆にマシューのことが理解できません。マシューは「もっと普通のカップルみたいなことがしたいよ」と言ってイザベルをデートに誘います。あんなに奔放でセクシーに見えたイザベルは、なんと普通のデートも経験がないのでした。久々に街に出たマシューはパリの街の変化に驚きます。至る所にガレキでバリケードが作られ、電気店のテレビではデモが国中に広がっていることを伝えていました。ドリーマーズが家で半裸退廃生活を送っている間、世間は動いていたのです。二人がデートから帰宅すると、テオが部屋に女の子を連れ込んでいました。彼の部屋のドアを狂ったように叩き、叫ぶイザベル。楽しいデートをしたものの、やっぱりイザベルとテオの間には自分が入り込めない何かがあるのだ・・・とマシューは悟るのでした。

マシューは親秘蔵の高いワインを飲みながら理想論を振りかざすテオに、ストリートで起きていることを直視するべきだと告げます。ここでマシューとテオがちょっと危ないムードになるんですが、原作小説では二人が男色をするシーンがあるそうです。原作だとマシューは双子のどっちともと肉体関係を持つんですね。こう書くと最初は色々とドン引きしていたマシューが一番変態じゃないか!という感じなんですが。その後、居間に作ったテントの中で三人はワインを飲み眠りにつくのでした。翌朝、双子の両親が家に帰って来ます。両親が見たものは、荒れ果てた家とテントの中で眠る裸の三人の姿でした。驚いた両親はそのまま三人を起こさず、小切手を置いてまた出て行くのでした・・・。

先に目を覚ましたイザベルは置かれた小切手に気付き、両親に見られたことを知ります。絶望した彼女は台所からガスチューブを引いてテントの中に入れ、眠ったままの二人と自殺しようとします。しかし窓から石が投げ入れられてマシューとテオが目を覚まします。ストリートで何かが起きている!と外を見ると大勢の群衆が「表へ!表へ!」とシュプレヒコールをあげながらデモ行進をしているのでした。それを見て、外に飛び出した三人。何かに目覚めた様子のテオが群衆の中に入ります。群衆の目指す先にあるのは機動隊でした。燃える車、手製の火炎瓶を投げる活動家たち・・・。テオも火炎瓶を持ち、戦おうとします。暴力に対抗するには文化を、銃より本を持つべき、戦争に行くぐらいなら投獄された方がマシ・・・と言っていたテオが。マシューは「今君がやろうとしていることこそが暴力じゃないか!」と必死でテオを止めようとしますが、テオはマシューを振り切ります。テオはイザベルの手を取り、燃え盛る衝突の中に突進して行くのでした。マシューは彼らとの決定的な違いを悟り、ひとり群衆をかきわけて去って行くのでした。エディット・ピアフの「Non, je ne regrette rien(「なにも後悔しない」という意味。邦題は「水に流して」)」がかかり、END・・・。






両親にすべてを知られて自殺しようとするイザベルでしたが、何が彼女をそこまで駆り立てたのでしょうか。テオとも関係があったことを親に知られるのがショックだったとか?(しかし描写的に三人が裸でいたというだけで、プレイの証拠を示すものは何もないのですが)泊まりに来たマシューが裸で寝ている双子の姿を見るくらいなので、恐らく親は知っていたんじゃないかと思うんですけどねえ。ちなみに双子の腕にはお揃いのアザがあるんですが、これが何かを意味していたんでしょうか。しかし、小切手を置いて親にそっと立ち去られるというのも恥ずかしいっちゃ恥ずかしいですね。映画好きで教養もあって、言うことだけはご立派、しかし親にお金をもらわないと生命を維持していけないというのが、あー恥ずかしい。筆者も学生時代はそんな感じでした。当時の自分を思い出して、こっ恥ずかしくなっちゃいましたね。まあ、それがいわゆる学生ってものかもしれませんが・・・。本当に今振り返って思うと、生意気な口は自分で家賃払ってから言えって感じです。

ドリーマーズたちの蜜月は短くも燃え上がりましたが、最後は決別で終わるのでした。結局マシューと寝てもイザベルはテオの言いなりだったし、マシューは双子の間には入ることが出来なかったのです。最後にマシューは「ダメだ、こりゃ・・・」とデモ現場から立ち去りましたが、双子たちは戦おうとします。外に出たら、家で言っていた意見とは反対になってしまったんですね。「今、社会は動いている。暴力には反対だけど自分には一体何が出来るのか・・・」と考えて大人になったマシュー。一方「暴力反対。でもこのデモ見たらやべえ、参加してえ!」と目を輝かせて群衆に飛び込む青臭いテオの対比が印象的です。マシューはパリに来て成長しましたが、双子は若者のままのように描かれていました(イザベルに至っては自分の意見を述べているシーンもない)。マシューにとって双子はドリーマーから「大人」(諦めることを覚えた人という意味込みで)になる通過儀礼装置のような役割を果たしていたんだと思います。あんなに淫らで楽しい時を過ごしたのに、なんだか切ないですね。きっとマシューの胸には68年のパリと双子のことが、いつまでの青春の一ページとして残るのでしょう。しかし三人の役者が本当に素晴らしくて、見直してみてよかったと思いました。

『時計じかけのオレンジ』♪アムスィ~ギニザレイン♪

                       



昔観た、忘れてしまっている旧作を観てみようという気分になってDVD鑑賞。この映画のタイトルは映画好きな方じゃなくても一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。映画にハマり出した学生時代に、雑誌や本でよく目にしたものです(同じく「2001年宇宙の旅」も)。「ああ、きっと映画ファンならば一度は通らなくてはならない作品なんだろうなあ・・・」と思って観た訳なんです。それから長い年月が経ち、この前夫のDVDコレクションの中から発掘。「あ~これ昔観たなあ」と思いましたが、なんとなく気が向いたのでもう一度観てみることに。これが内容をほとんど忘れていたんでビックリしました。

邪悪な少年たちが悪の限りをつくす映画であるってことは覚えていたんですが、まさかこんなに刺激的な映画だったとは・・・。起きているのにもかかわらず、ハッと目の覚めるような感覚って言うんでしょうか。きっと初めてドラッグをやるときって似た様な感覚があるのではないだろうかと思いましたねえ(もちろん経験ないですが)・・・。もう40年くらい前の映画なんですが、今でもかなり衝撃的な内容なので当時のセンセーショナルっぷりや如何に、ですよ。キューブリック監督って天才なんじゃないか?!って改めて思ったんですよ。


予告編↓



※ネタバレします。


アレックス(マルコム・マクダウェル)は悪友たちとお揃いのユニフォームに身を包み、夜な夜な外で悪さをしています。このユニフォームがまた変なんだけどお洒落なんですよ(確かファッション雑誌でスタイリストさんが「衣装が印象的な映画」として挙げられるケースが多かった様な)。黒いツバ付きの帽子に白いツナギ(局部を保護するカバーが付いたベルト着用)で黒いワークブーツを履いているんですよ。この黒いワークブーツ、どうやらドクターマーチンのようです(こちらのまとめ参照)。私も去年買いました。

この悪童たちが「雨に唄えば」を口ずさみ踊りながら、浮浪者をボコったり金持ちの家に押し入って、奥さんを暴行したりするんです。♪アムスィ~ギニザレイン♪ ボコッ!♪アムスィ~ギニザレイン♪ バキッ!という、一度見たら忘れられない映画史に残る鬼畜シーン。す、すごい・・・狂ってる!と観客としてはテンションが上がってしまうんですよねえ・・・。だからか「暴力を誘発する映画」ということで有害指定を受けたりしたこともあるみたいなんですが、すごく挑発的な映画なことは間違いないですね。Wikiによると「雨に唄えば」は、たまたま主演のマルコム・マクダウェルが歌える歌がこれだったことで採用となったらしいですが、牧歌的なミュージカルソングが「鬼畜の所業なり・・・」なシーンに奇妙にマッチしていて鳥肌が立ちます。そういえば筆者は小学生のころ運動会で「雨に唄えば」の曲でダンスしたことがあります。 レインコートを着て傘も持って踊ったっけ。はたして先生は「時計じかけのオレンジ」のことを知っていたのだろうか。

主演のマルコム・マクダウェルの顔がすごくいいんですよね。この顔がこのわけのわからない邪悪な映画にハマりすぎてて怖いくらいです。最初、彼の邪悪な目(下まつ毛がつけまつ毛)のアップに不穏な音楽から始まるんですけど、このオープニングからしてもうヤバいんですよね。それでアレックスの目のアップからグーっと引いて行くとミルクバーになるんですけど、このコンセプチュアルなバーのインテリアも狂ってるんですよ。 白いウェービーヘアのマネキンがたくさんディスプレイされていて、テーブルも仰向けの四つん這いになったマネキンでお腹の上に飲み物を置くようになってるんです・・・前衛的すぎるし変態すぎる。そして客はマネキンの胸から出たミルクをコップで受けて飲むというクレイジーな店。マネキンの上にセリフみたいなのが浮いてて、そのフォントがポップでまた洒落てるんだ。ちなみにやはりと言うべきか、このバーを模したお店が実在しているようです。

あと印象的だったのがアレックスが女の子二人(男性器の形をしたキャンディーをしゃぶっているw)をナンパするレコード屋。ミルクバーとかレコード屋とかのエッセンスが入ってるお店って90年代の渋谷あたりにいっぱいあったような気がします。 みんな少なからず影響を受けていたんでしょうか。あと思い出したのがヒスです。ヒステリック・グラマーのTシャツ(2万近くする)にミルクバーにあったフォントがプリントされていたような・・・。こうして昔の映画を観てみると点と点が繋がって行くようです。

そして悪童たちが話す符丁、ナッドサット言葉というらしいんですがスラブ語起源のものが多いんですよね。「リュドヴィク・ヴァン(ベートーベン)をスリシェット(聞く)してるときに・・・」みたいなセリフがあってチェコ語と同じだと思ったら、そういうことらしいです。うん、こういう近未来荒廃世界にスラブ語って合う~!だってなんか得体が知れなくて不気味なんだもん(スラブ語関係者の方々すみません。それも魅力ってこと で・・・)。

あれだけ鬼畜の所業をしてきたアレックスが、実は両親と実家住まいってのには当時の私はビックリしたものですが、当時から実家住まいのサイコ犯罪者が増えたので、むしろ実家住まいだろうなという感じがします。おかんが原色のウィッグかぶっててビニールっぽい服を着ててヤバいです。家に帰ったら、お気に入りのベートーベンをかけて下のつけまつ毛を取ってリラックスするアレックス。私が前半で印象的だったシーンは、レコード屋でナンパした女の子二人と自室で3Pするシーンですかね。ウィリアム・テル序曲(ひょうきん族のテーマでもおなじみ)が超ハイパー高速でかけられて、プレイする3人を超早回しで撮ってるんですよ。服着たり脱いだりプレイしたり、着たり脱いだりプレイしたり、チャッチャカ、チャッチャカしてて笑ってしまいました。

アレックスが逮捕されるきっかけになった猫オバチャンの家もヤバかったです。猫が死ぬ程いて、巨大な男性器のオブジェが飾ってある家(そのオブジェでオバチャンは撲殺されるのだ)。仲間に裏切られて一人だけ逮捕されたアレックスは刑務所に入りますが、そこで大人しくしていたので矯正プログラムの被験者となって別の施設に行けることになりました。アレックス、まだ14歳だったのかい・・・と私はドン引き。てっきり18くらいだと思ってた。ちなみに中の人マクダウェルは当時29歳だそうです!

その矯正方法が、またすごくて暴力的な映像をひたすら観させられるというものなんですが、目を閉じられないように特別な道具で目を強制的に開けさせるんですね。アレックスの顔はただでさえ怖いのにその目がパカーと開きっぱなしになるという(目薬を常時さしてもらう仕様)・・・。ギョエーとなっているアレックスの顔と珍妙な機械の取り合わせで悪夢的なビジュアルになるのでした。この辺もまるっと忘れていましたね。覚えているのはコスプレして悪事を働いている場面だけで。しかしそれもむべなるかな。アレックスが逮捕されてから物語は一気に勢いが落ちて行くのです。このまま 終わらずに、矯正されたように見えてまた悪事を働いちゃうんでしょ?と私は思ったんですが。映画評論家の町山智宏さんの本作に対する一考察(個人の方がポッドキャストを文字おこしされたもの)が、しっくり来たのです。

刑務所で模範囚になって、矯正プログラムに参加して、ようやっとシャバに出る訳ですが・・・。実家に帰ると自室には全然知らない男が下宿してて両親ともうまくやってるんですよ。しょぼくれて外に出て行くと、浮浪者にお金くれって言われて振り返ると昔ボコボコにしたおじいさんで、逆にボコボコにされ、昔の不良仲間は警官という権力側の職に就いていて彼らからもボコられるというトホホな展開に。ボロボロになったアレックスが助けを求めた家 が 、かつて押し入った作家の家だったんですね。犯された奥さんは自殺して老作家がムキムキのゲイ(介護職)と一緒に住んでいるんですよ。作家は「お前は、あのときの・・・!」って気が付くんですが、後で仕返しをするために食事を与えたりして保護するんですね。

お風呂を貸してもらったアレックスが、バスタブに浸かって歌うのが、また「雨に唄えば」(笑)。またこの歌声をリバイバルでスリシェットすることが出来て観客もハラショーな気分になるというものです(笑)。でもって部屋に閉じ込められちゃって矯正プログラムのときのベートーベンを大音量でかけられます。アレックスはパニックになって窓から飛び降りるのでした。でも死ねなかったんですね。矯正プログラム適用を推進した大臣が自らの政治生命のために、入院中のアレックスに謝りに来ます。「別にいいですよ」とアッサリ大臣を許すアレックス。ここで大臣にご飯を食べさせてもらうシーンがあるんですが「あーん」と口を開けてご飯を待ち受けるアレックスの顔が最高なんですよね。マルコム・マクダウェル=アレックスとして長年語られ続けられるわけ ですよ。今マクダウェルさんはおじいさんになってますが、老けのせいでマイルドないい感じのお顔になってて安心しました。

最後は・・・やっぱり矯正なんかされてないよ、ってことなんでしょうかね。そしてオリジナルの「雨に唄えば」が流れてエンディングです。映画の最初となんら変わりのない悪人に戻った訳ですけど、やっぱりウルトラヴァイオレンスだったときにもう一度返り咲いたアレックスの姿を見てみたい・・・と思ってしまいましたね。町山さんが仰ってたとおり「あのときのお前、輝いてたよ!もっと見たいよ!」というフィーリングなんだと思います。映画というフィクションの中では、やっぱりそういうものを見たいじゃないですか。間だもの(みつを)。ということで、旧作名画鑑賞でした。ドクターマーチンに足を入れる度に私はアレックスのことを思い出すでしょう。そして「雨に唄えば」をハミングするでしょう。映画の影響とは凄いものです。


           

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