@itan-journ@l praha

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『ガール・オン・ザ・トレイン』ああ人違い・・・

          


「ガール」つながりのサスペンス「ゴーン・ガール」が好きな人は気に入ると思う、と中瀬親方が仰っていたので、鑑賞してみました。うーん、つまらなくはないけど「ゴーン・ガール」の方がずっと出来はいいですね。おそらく原作小説のが100倍は面白いのでしょう。しかし、登場人物が少な過ぎるので謎解きというよりは、人間関係のドロドロを楽しむ感じの作品なのかな。

しかし・・・海外住まいで洋画をよく見ているのにもかかわらず外国人の顔を判別するのが苦手な私には(日本人の顔も区別するのも得意とは言えないのだけど)まったく向いていないタイプの映画でした。これは映画の出来うんぬんじゃなくて私の顔判別能力の低さによるものなので・・・。しかも動く電車に乗りながら距離が離れた位置から外国人さんを識別するなんて、難し過ぎる!(笑)


※以下、ネタバレします。



その1:レイチェルの元夫とアナの現夫は同じ人?→YES

まずはヒロイン、電車の中からお外を眺めて妄想するのが好きなレイチェル(エミリー・ブラント)の夫の顔です。レイチェルが眺めているのはかつて自分が元夫トム(ジャスティン・セロー)と住んでいた家。今は元夫とその現妻アナ(レベッカ・ファーガソン)と彼らの間に産まれた娘が住んでいます。トムを演じるジャスティン・セローはセサミストリートのバート(だっけ?顔が長い方)を邪悪にした感じの俳優でジェニファー・アニストンの現夫としても有名な人で、彼が出演している映画も何本も見ています。しかし、レイチェルとかつていちゃついていた夫と、今マイホームパパをしている夫が同じ人だってすぐに気付かなかったんですよね。話の流れで「あれ、夫は同じ人なのかな」って納得したんですが、もっとレイチェルと夫婦だったシーンで夫の顔をちゃんと映して欲しかった・・・。

その2:メーガンとアナは同じ人?→NO

レイチェルはかつて自分が住んでいた家の近所にある、別の家に住む美男美女の夫婦のことも眺めています。妻は若くてブロンド、夫はムキムキのアブソリュート・ハンク(from SATC)なタイプでハーレクイン・ロマンスみたいなカップルなんですよね。彼らが仲良く寄り添ったり、愛し合ったりしているのを見て理想のカップルだと思っていたんです。ところがある日、レイチェルはバルコニーでブロンドの妻が他の男とキスしてるのを見てしまい、そこから事件が展開するんです。ところが私はこのブロンド妻メーガン(ヘイリー・ベネット)のことを元夫の現妻アナ(レベッカ・ファーガソン)だと思っちゃったんですよね。だからレイチェルが「私から夫を奪っておいて更に浮気?」とカッとなったのだと勘違いしてしまったのです。

その3:メーガンとアナは同じ人?2→NO

レイチェルは電車を降りて、散歩をするメーガンに「このアバズレ!」と言ってやるのですが、この時点でもバルコニーでキスをしていたのが現妻アナだと思っていました。あと散歩をするメーガンの顔がハッキリと映っていないことも原因(子連れじゃない時点で判断出来れば良かったのだが)。だって・・・二人ともブロンドなんだもん!この髪色問題というのも常に私を悩ませていて、似たようなポジションにいる人が同じ髪色/目の色だったりすると混ざっちゃうんですよね(参考作品「パシフィック・リム」)。その後の話の展開から行方不明になったのはメーガンの方であるとわかったのですが、話的に幸せな子育て中の専業主婦アナが消えた方がミステリー的に面白いしな〜という妙な思い込みもあったのかも。アナを演じているのは「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネーション」でも女スパイ役で大活躍したレベッカ・ファーガソン。私も彼女のことはすごく印象深かったんですが、今回はブロンドなので認識できなかったようです。

その4:メーガンと上司の妻は同じ人?→もちろんNO

ブロンド問題がまたここでも。酩酊し元夫に暴行されヘロヘロになったレイチェル(しかし本当に可哀相なキャラだな)が、トンネルの中で車に乗り込むメーガンを見るシーンがあるんですが。酩酊してるし殴られてるからレイチェルの視線が定まってないんですよね。だから映像も不鮮明。ブロンドの女がいるってのはわかるんですが、なぜか私にはその女が上司の妻(女優名不明。50代〜60代の白人女性)に見えてしまい・・・。あれ?上司妻はちょい役だと思ってたのに、まさか事件の核心に関わってるの?とプチ混乱。すぐに見間違いだとわかったのですが、ブロンドつーだけで年齢さえもあやふやになってしまう自分の識別能力の低さにあきれたのでした。

以上、私の人違いでした・・・。その点、カウンセラー役のエドガー・ラミレス(「X-ミッション」)なんかは出て来ただけで「ラミレスだ!」と思ったし、電車から見ても(顔がハッキリ映っていなかったのにも関わらず)「今のラミレスじゃね?」と思ったのです。不思議・・・。ラテン系こそみんな似てそうなものなんですが、彼は骨格の形に特徴があるからでしょうかね。

サスペンスとしてはメーガンが妊娠していたこと、でもその子はムキムキの夫(ルーク・エバンス)のでもないし、カウンセラー(エドガー・ラミレス)の子でもなかった。ということで誰が犯人かはわかってしまったんですね。しかしトムって男はレイチェル、アナ、メーガンと三人の女性と関係を持ち、三人の人生を台無しにしている。ヒドいです。一番の被害者はトムとアナの間に産まれた娘じゃないですかね。父は殺人犯で母は父を殺したって過去ができちゃったんですから。まだ赤ん坊でなにも分からないのが幸いですな。そういえばレイチェルがその赤ん坊を抱いて連れ去ろうとする「八日目の蝉」みたいなシーンもありました。

そしてもう一つ「え?」と思ったのが、レイチェルが電車から目撃したメーガンとカウンセラーのキスシーンですね。あれは男女間の愛情のキスではなく、親愛の情のキスだったんですね。わ、わ、わかりにくー!確かに電車から見るといちゃついているようにも見えるんですが、実はそういうんじゃなかったんですって。このキスやハグにもいろんな種類があるから、本当に戸惑っちゃうんですよね(ちなみに私の居住国でもキスハグをするケースとしないケースなどあり、その線引きが未だによくわからない。まあ感覚的なものなんでしょう)。カウンセラーは結局メーガンと関係を持っていなかったようなんですね。でも呼び出されて家にも来ちゃうし、夜中にメーガンが来ても家に入れちゃう。距離感がよくわからないんですよ!まあ、エドガー・ラミレスみたいな渋いカウンセラーがいたらちょっとよろめいちゃうよね、ってのはわかります〜!(笑)

ということで、まあ色々とっちらかっていましたが(私が)浮気男には正義の鉄拳を!というラストのグリグリは良かったのでした。レイチェルとアナの間に不思議な連帯感が産まれていたのも良かったですね。

今年の映画はこれで終わりです。週二本を目標にしてきましたが、途中色々と忙しくって達成出来ませんでした。あと海外住まいだからしょうがないんですが、話題になった邦画が全然見られていないってことが残念でした(今年は帰省出来ず)。それでは皆様、どうぞよいお年をお迎え下さいませ。

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『ゴーストバスターズ』新チーム+クリへムの心地よいハーモニー、続編希望!



        



いや~、楽しい映画でした。
エンドロールのときまで工夫が凝らされていて笑顔で映画館を出られる、清く正しい娯楽映画でしたね。町山智宏さんのたまむすびによると、公開直前にアメリカではこの映画が女性差別のネタとして使われていたりしたらしいですが・・・本当に残念なことです。そんなネタにされるような映画じゃないですよ。純真無垢に人を楽しませようとしていて私は非常に好感が持てました。今年のハロウィンは何もやらなかったけど(毎年か)、もし仮装しなければならないのなら、オールインワンを着て小型掃除機を持つコスプレにしようと思ったのでした(市販のコスチュームを買う気はナシ)。

トレーラーが公開されたとき「みんなブスでババアじゃん!」というコメントが殺到したそうですが。ええ?そうかな・・・。主演的なクリステン・ウィグは可愛いし(失敗したジェーン・バ ーキンみたいだったけど)、マッド・サイエンティストなケイト・マッキノンもヤバ可愛いし、残りの二人の太ったおばちゃんのコメディエンヌぷりも素晴らしかったですよ。十分に魅力的な四人じゃないですか。そもそもオリジナルはくたびれたオッサンだったし・・・。まあしかしこの四人がNYを並んで歩いているシーンは「何このいけてないSATC・・・」って思っちゃいましたが!(笑)

それになんと言ってもこの映画には神カッコいいソー様もといクリへムが出てるんですよ!前にTwitterでクリへムが受付嬢役と知り、やべえ・・・と浮かれていたのでした。にしては鑑賞するのが秋になっちゃったけど。バービーのボーイフレンド、ケンみたいなイケメンだけど人智を越えたバカという役です。騒音を聞いて 耳じゃなく目を押さえたりする超超古典的ギャグから、「デッドプール」みたいに今トレンド?の第四の壁を軽々と越えるようなギャグまで、水を得た魚のように嬉々として演じる彼に五億点なのでした。

オリジナルは一応どちらも観たはず・・・なのですが、なにぶん子供だったのであんまり覚えていません。盛大にゲップをする大食漢のデブゴーストは前のにも出てましたよね?オリジナルキャラを演じた俳優さんが出演してるのもビル・マーレイとシガニー・ウィーバーしかわかりませんでした。記憶としては2の方が鮮明ですね。これは確か親と一緒に劇場で観たんですが、ビル・マーレイとシガニー・ウィーバー(子持ち)が昔から好き合ってるけど、付き合ってないみたいなんだったと思います。幼かった当時「おじさん とおばさん、しかも片方子持ちなのに恋愛してる!!」ってのが子供心にすごく衝撃でした。美男美女のプリンスとプリンセスが登場するディズニーとかおとぎ話の恋愛しか知らなかったので・・・。

今回はタイトルに「3」が付けられてなくて、オリジナル第一作とまったく同じタイトルなんですね。完全なリブートだけどオリジナルへのリスペクトが余すところなく見られて、それも好感度が高いのでした。



※ネタバレします。




物理学者のエリン(クリステン・ウィグ)は名門大学で心霊現象を科学的に証明する研究を行っていましたが、昔に出したオカルト色の強いゴースト本や幽霊を信じているとコメントしたビデオが大学側にバレてクビになってしまいます。そこで本の共著者で幼な じみのゴースト研究家アビー(メリッサ・マッカーシー)、エンジニアのホルツマン(ケイト・マッキノン)と共に幽霊退治の会社、ゴーストバスターズを起業。イケメンだけどバカなケヴィン(クリス・へムズワース)を受付嬢に雇います。ある日、NYの地下鉄職員のパティ(レスリー・ジョーンズ)から線路内にゴーストが出たという通報をもらい駆けつけたバスターズたち。そこでNYがゴーストを操る何者かに乗っ取られようとしていることを知るのでした。


というザックリ導入部です。ホーンテッド・マンションぽい全然怖くないゴーストのCGや、ゴーストが消えた時に出る大量の緑ゲルなど、80年代の雰囲気がぷんぷん!ケミカルなネオングリーンの感じとか本当に懐かしい~。たしか蛍光色って当時服とかにもワンポイントで入れるのが流行ってなかったっけ。エリンが必ず緑ゲルを大量に浴びる役なのもオチがついていて面白かったです(サム・ライミ監督の「スペル」を思い出した)。

心地よいのがゴーストバスターズたちのテンポの良い会話。最初からこなれたチーム感が出ていて楽しかったです。女優たちの間にケミストリーが起きてるんですよ。そこに絡まるおバカなケヴィンのボケがもう最高。エリンがケヴィンのこと好きで、彼が吐いたコーヒーをもったいないから飲むと言ったり、エイエイオー!と手を合わせる時にちょっと長めにケヴィンの手を握ったりしてるのがまた地味に可笑しかったです。

バスターズたちのキャラ分けもよかったと思います。真面目で一本気なエリン(レトロでオーソドックスなファッション)、口からコメディエンヌな感じのアビー(黒縁メガネにチェックシャツ)、ちょっとマッドでアブナい機械オタクのホルツマン(スチーム・パンクなファッション)、アフリカ系関西おばちゃんのパティ(原色カラフルファッション)という各自のキャラが衣装からも明白にわかるようになっている。余計な説明セリフがいらないというのも結構簡単でいて優秀な作りなのではないかと思いました。エリンのレトロなワンピースとかアビーのチェックシャツにミリタリージャケットを合わせたのとか可愛かったです。

ゴーストを操ってNYを支配しようとしている悪役ローワン(ニール・キャセイ)の印象がイマイチ弱かったのが残念でした。この人もベクトル の違うマッドサイエンティストなんですけど、ルックスとか野望とかにインパクトがないんですよね。しかも途中からケヴィンの身体を借りて悪さをするので、最初の俳優の顔ももはや思い出せない。イケメンのケヴィンを乗っ取るなら、最初はものすごいブサイクとかオタクとかのルックスにして、積年のルサンチマンを晴らす為に悪さをするみたいな分かりやすい方がよかったんじゃないかな~などと思いました。

あとゴーストバスターズ始動からNYがカオスになるまでは結構ぬるい感じなんですよね。ロックコンサート会場にゴーストが出現ということで退治するんですが、ゴーストがマネキンに取り憑いて動き出したり、なんかもう微笑ましささえ感じるアナログ感。そういえばお化けがあれだけ出て来るのに子供の頃 から全然怖いと思ったことがありませんでした。お化けのビジュアルも緑色のデブだったりするので、ちょっとしたアメリカ駄菓子/雑貨みたいなポップ感覚。でも拠点となる元中華料理店からゴーストバスターズが車で出動し、あのテーマがかかるとやっぱり「ゴーストバスターズ!」とコール&レスポンスしたくなっちゃう。

中華といえば、アビーがテイクアウトしたスープの中のワンタンが足りないというギャグも地味に面白かったです。最初は1個しか入ってなかったのに有名になった後では容器の中に死ぬ程ワンタンが入っている。それでも逆に文句を言うアビー(笑)。中華配達のお兄ちゃんがパキスタン系に見えるのもなんか都会って感じ。外国の都会では外国料理で働いている人が その国出身じゃないということがよくありますよね。寿司屋なのにアラブ系が働いていたり(笑)。

気が付いたらNYが巨大怪獣もといゴーストに襲撃されて大変なことになっていたんですが、ここでホルツマンの活躍に痺れました~。2丁拳銃を持って「さあ、いっちょ行くか!」と片方の拳銃をベロ~っと舐めるんですよ。ここでカッコいい・・・!抱いて!となった方は多いはず。あとやっぱり英語のセリフの情報量がすごく多いしギャグ盛り込まれているから、字幕だと大意だけなのでなんか物足りないかもしれませんね。女芸人の方々が吹き替えたバージョンも機会があったら観てみたいですね。

異空間に引きずられていくアビーをエリンが助けに行くシーンも単純だけどちょっと感動。ここでエリンはアビーと の長年の友情に報いるんですよ。そして戻って来たらなぜか白髪になっている二人(笑)。すべてが終わり「やった!」と喜ぶバスターズたちに何もしてないケヴィン(身体を乗っ取られていた)がサンドイッチ片手にジョインするシーンも最高です。アクション映画としては、ちょっとゆるいんですが、そのゆるさが魅力的なキャストと相まって心地よいという感じなのでした。

そしてケヴィンとゴーストたちが舞うエンドロールと流れるテーマソング。「誰を呼ぶ?」「ゴースト・バスターズ!」と私のテンションもマックスに。なんか、こういうの、いいな~、ウフフ♪とほっこりするのでした。その後のバスターズたちとケヴィンの様子が挿入されるのも楽しい(ケヴィンがやっと普通に電話を取って、会社の名前を言えるように進歩している!)。ずっとこういう事務所の風景を見ていたいくらいですよ。ポストクレジットシーンもちゃんとあるのですが・・・気になる続編は?Wikiによるとまだ何も決まっていないようですが、この先またどうなるかはわからないみたいな感じですねえ・・・。私はまだまだバスターズとケヴィンのドタバタを観たい~!ソニーさんっ、どうぞよろしくお願いします。


『カフェ・ソサエティ』やはりポスト・ウディはジェシー・アイゼンバーグ






ウディ・アレン翁の最新作です。新作が来る度に思うけど、翁はほぼ毎年コンスタントに作品を撮っていて本当に素晴らしいですね。30年代の華やかなハリウッド業界とその近辺を舞台に一人の青年が経験する人生と恋を描いた作品で、非常にライトな仕上がりでした。ナレーションは翁自身が担当していて、いつもの飄々淡々とした語り口で物語が進行されます。

以前に「ローマでアモーレ」の感想で「俳優としてのポスト・ウディ・アレンはジェシー・アイゼンバーグでは」のようなことを書きましたが、まさに今回はそれを体現するかのような映画でした。ジェシー・アイゼンバーグ、彼は中肉中背でイケメンでもないし(んでもって髪がチリチリ)、特にこれといってパッとしたところがないユダヤ系の青年です。ややキョドり気味で早口。自虐的でシニカル。やっとやっと現れたウディ・アレンの正統的な後継者なのでしょう。そんなアイゼンバーグをかつてだったら自らが演じていた役にキャスティングし、クリステン・スチュワートとブレイク・ライブリーという二大若手美人女優との間でウロウロさせる。きっとパズルのピースが完全にはまった!と思ったのではないでしょうか。

主演のボビーを演じるジェシー・アイゼンバーグ除く今回のメインキャストは 、ほとんどウディ・アレン作品初登場ですね。ハリウッドの大物プロデューサーでボビーのおじさんであるフィルに「フォックスキャッチャー」や「マネーショート」のスティーブ・カレル、ボビーが一目惚れするフィルの秘書ヴォニーに「アクトレス 女たちの舞台」でアメリカ人女優ながらセザール賞を受賞したクリステン・スチュワート、ボビーの妻ヴェロニカにサメ映画「ロスト・バケーション」で新境地を開いた(すみません、彼女の映画これだけしか観てないのに)ブレイク・ライブリーという華のあるキャスティングです。



※ネタバレします。



これが三角関係なんですね。ボビー(アイゼンバーグ)とフィル(スティーブ・カレル)は甥っ子とおじさんという親戚関係で、ボビーはフィルおじさんの秘書ヴォニー(クリステン)が好きになっちゃってアプローチ、でも実はヴォニーはフィルおじさんと不倫中。かなりいいところまで行ったのに、ヴォニーはボビーの元を去ってフィルおじさんと結婚してしまうのでした。すべてを知ったボビーがヴォニーの元へ行き「僕とフィルおじさんとどっちと結婚するんだ」と問いつめた0.5 秒後に「フィルと結婚するわ」とサックリ言われてしまうのでした・・・ 。可哀相!

クリステン・スチュワートは性格のよいガールネクストドアな感じの女の子。リボンの結び目をサイドにずらしたカチューシャなんかしています。でも顔がキリっとしてるのでそれが甘くならず逆に男前が引き立つ感じでしたね。一見真面目そうなんだけど、おじさんと不倫をしていたということでボビーはショックを受けるのですが・・・。ジェシー・アイゼンバーグがもう彼女にメロメロになっているのがすごく可愛いんですよね。そいや翁も「アニー・ホール」でダイアン・キートンにメロメロになる演技がとてもスイートでしたっけ。

ボビーの恋愛とは別に、ボビーのユダヤ系ファミリーのホームコメディ的な流れも平行して描かれます。フィルおじさんはハリウッドの豪邸に住み、大スターともお友達といった大物プロデューサーなんですが、ボビーの家族はニューヨークの下町に暮らす庶民。口やかましいお母さん(ジーニー・バーリン)に、のんびりしたお父さん(ケン・スコット)、何をやっているかわからないけど羽振りの良さそうな兄ベン(コリー・ストール)、それに親戚といったメンバーでホームコメディが展開されるんですが、兄貴のベンのお仕事が実はギャングだったんですね。

だからボビーの恋愛模様の小休止として、その兄貴がニューヨークで悪さをしているシーンが必ず入って来るんです。兄貴が仲間と人殺しをして死体を建設現場に遺棄、上からコンクリートを流してカモフラージュというブラックな天丼ギャグが何度も重ねられます。一家の親戚が「隣人のラジオがいつもうるさくて困ってる」とこぼすと、間もなくその隣人が姿を消す(もちろん兄貴の仕業)という親戚思いなギャングでもあるのです(笑)。このブラックなホームコメディがあったお陰で作品が単なるロマコメにならずに仕上がっている感じがしました。

ヴォニーにふられて傷心のボビーはニューヨークへ帰り、兄貴の紹介かなんかでセレブが出入りする有名ナイトクラブで働くことに。失恋を忘れるために仕事に精を出してマネージャー的なポジションにまで出世します。そしてナイトクラブのお客さんだったセクシーなヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と恋仲になり結婚。可愛い子供も授かり順風満帆でしたが、そんなある日フィルおじさんがヴォニーを連れてナイトクラブへやってきます。ヴォニーと再会し心乱れるボビー。さて・・・という展開。

ブレイク・ライブリーですが、この映画で顔がデカいな!とびっくりしました。最初に登場したときは彼女だって全然わからなかった・・・。やっぱりブスだか美人だか微妙なラインなんですが、性格が良さそうな嫁なんですよ。でもジェシー・アイゼンバーグと比べたら彼女の方が全然上。はっきり言って全然釣り合ってないんです。でも彼を愛し、子供を愛し、家庭を守ってる女性なんですね。一方のクリステン・スチュワートはお金持ちのフィルおじさんと結婚してドレスアップし(衣装はシャネルだそう。クリステンは今期プレタポルテもメイクアップもイメガやってますな)退屈を持て余した有閑マダムのようになっていました。ちょっとこの二女優のキャスティング逆?とも思ってしまったんですが、髪色や女優としてのイメージからブレイクの方が派手っぽいけど、 実はよく見ると顔が地味なので納得。真面目に見えたクリステンのがちょい悪女だったんですね。クリステンは不埒な美貌の持ち主ですし。

そしてあれよあれよという間に焼けボックイに火がつき、ボビーとヴォニーは不倫の仲に。ヴォニーという女は実は真面目そうに見えて不倫の関係が好きだったのかも?ボビーもあんないい嫁がいて第二子も妊娠しているというのに、嫁とヴォニーの間を行ったり来たりするようになってしまうのです。不倫三角関係の頂点にいるのがサエないジェシー・アイゼンバーグなもんだから、な〜んかおかしいんじゃないか?と思う人もいるかもしれませんが、まあ翁の映画ですからね。こういうこともあるんじゃないかなあ、という感じです。一応ボビーもただの若造だった昔と違い、今は自信に溢れた有名ナイトクラブのマネージャーですしね。

一方、ボビーの兄貴は今まで散々やらかした悪事がバレてとっつかまり、刑務所でクリスチャンになってしまいました。それを聞いたユダヤ系であるボビーの両親のリアクションが面白かったですが。そして大晦日の夜がやってきます。ナイトクラブでカウントダウンをして新年を祝う人々。生演奏で流れる「蛍の光」。新年になった瞬間ボビーは嫁ともキスをしてお祝いするんですが、心はハリウッドにいるヴォニーのことを考えています。一方ハリウッドで新年を迎えたヴォニーもボビーのことを考えています。嫁は何かに気付いていて、ふとしたときに「浮気してない?」と真顔で聞いたりするんですが、ここはドキッとさせられましたね。

ライトな映画でしたが、新しい年が巡ってきても人生はただ粛々と続いて行くのみ・・・という無常観のようなものが漂うラストでした。新年が来て「おめでとう」と挨拶して何となくリセットされた気分になったものの、本質は何も変わらないのを悟った瞬間にふと寂しくなったり切なくなったりするものですが、このライトなコメディーのラストはなんだかそんな気分にさせられるのでした。そんなわけで最後は締まっていてよかったと思います。でも翁の作品としてはややパンチに欠けていて、平凡な印象かな・・・。近年ではかなり地味な部類に入るかも?メインキャストの誰かの熱烈なファンなら劇場で観なくちゃですが、そうでなければDVDを待ってもいいと思います。



『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』ブルーノの嫁が降板して悲しい


                         
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あの4ホースメンが帰って来た!ということで鑑賞。今回はマジシャンたちによるミッション・インポッシブル的な感じの仕上がりでした。まあまあ面白くはあったんだけど、やっぱり一作目の方が出来が良かったかな~という感じでしたね。ジェシー・アイゼンバーグは坊主頭よりモジャモジャ頭の方が似合う。ただ「スーパーマン VS.バットマン」が終ってから撮影されていたっぽいから髪型はしょうがないのかな。

4ホースメンが帰って来たと言いましたが、前作で紅一点だったブルーノ」の嫁(by友人I)ことアイラ・フィッシャーは今回産休で降板。これは残念でした。彼女の代わりにリジー・キャプランという女優さんが入りましたが、この人はBSOL映画の「バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!」にヤク中みたいなゴスっぽい女子役で出てた人。ちなみにアイラ・フィッシャーもこの映画で巨乳バカ女を演じていました。この映画は楽しかったですね。しかし、今回のリジー・キャプランはあまり可愛げがないというか、なかなかにウザい女。紅一点だからセクシー担当かと思いきや、ギャーギャーうるさくてウザい関西の女芸人みたいな立ち位置でした。だからか着衣のままブラを外すシーンもありがたみがなかったです(笑)。

他のキャストは嬉しいことに続投です(女刑事のメラニー・ロラン以外)。チームの中の若手、デイブ・フランコがだいぶイケメンになってましたね。前はただの顔の濃い人だとしか思わなかったんだけど、数年を経ていい感じになってたと思います。でも新入りのリジー・キャプランとくっつくのかよ・・・と そこは残念でしたが(笑)。新キャラで敵役のハリー・ポッターことダニエル・ラドクリフ(しかし思ったよりも背が伸びなかったから、いつまでたっても子供みたいだな)、台湾スターのジェイ・チョウが出ていました。

一作目の感想で海外ドラマの「華麗なるペテン師たち」に似ていると書きましたが、ラストの大掛かりな仕掛けはまさにそんな感じ。「ジャジャーン、本当はこうでした~」という種明かしの方法もそれっぽかったです。「わ、わしゃ一体・・・」と、これ以上ないほど見事に騙されてしまったマイケル・ケイン御大の狼狽顔が印象に残ってますね(ここは予告編でチラっと出て来たからOKですよね?)。私はウッディ・ハレルソンの双子設定を活かして、実は彼が敵側の双子になりかわっていたという実に古典的なトリックを考えていたんですが、それは全然かすらずでした(笑)。

ワクワクするのは 序盤の製品発表会に忍び込む4ホースメン、衣装をポイポイと替えながらバックヤード に侵入するジェシー・アイゼンバーグのシーンと、マカオの金庫の前で機密情報が入ったカードを手業でパスしながら盗み出すシーンですね。もちろん特殊効果も使われているんですが、ただカードを仲間内でパスし合うだけでこんなに面白いんだ!とシンプルに唸りました。あとはBGMが盛り上げ上手!さあーこれから世紀のイリュージョンが始まるよ、目撃する準備はいいか?!と挑発してくるようなエキサイティングさでした。

カードパスをして機密を盗み出す中盤がクライマックスくらい盛り上がったので、ラストに向けて尻すぼみになってしまったのは残念。まあこんなもんかなー二作目なーと思ったんですが。なんと既に三作目も予定されているのだとか!うーん、続編を熱望するまでは面白くなかったけど・・・?三作目では紅一点のアイラ・フィッシャーは戻らずリジー・キャプラン続投だそうです(ちょっと、いやかなりがっかり)。もうグランドイリュージョンはお腹いっぱい感もあるし、それよりも「コードネーム U.N.C.L.E.」の二作目作って欲しいなあ・・・。


『キャロル』とにかく男前なケイト・ブランシェット氏


                                       

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アカデミー主演女優賞と助演女優賞にノミネートされています。調べたところ筆者の居住国で公開されるのは4月・・・。日本ではもう公開されているのに、ホワーイ、なぜに?ほとんどの映画が日本よりも早く観られるのに・・・とガッカリしていました。しかし所用でハンガリーのブダペストに行くことになり調べてみたところ、こちらでは日本と同じタイミングで公開されているではありませんか。ということで中欧をまたにかけた映画鑑賞です。

女優2人は確かにノミネートに値する演技。彼女たちを彩るセット、衣装、美術そして切ない旋律の音楽と、どれも美しくて悲恋を引き立てています。でもそれ以外ではいたって普通のメロドラマかな・・・といったところ。作品賞と監督賞のノミネートがないのがなんとな~く理解できるような気がしますね。個人的に同性間の恋愛を描いた作品っていうと「ブロークバック・マウンテン」や「アデル、ブルーは熱い色」などが思い浮かびますが、それらが共通して持つ「熱量」が本作には欠けているように思います。人を好きになっちゃって、どうしようもなく好きになっちゃって、でも障害があって上手く行かなくって、でもそれで諦められないほどに好きで、もめて、泣いて、わめいて、それでもどうしようもなく好きで・・・みたいな熱さが本作ではほとんど感じられなかったのが残念。50年代の話だから時代的に同性愛はタブー視されてるし、片方は離婚するってことで子供の親権争いで同性愛が不利になったりしているし、恋を阻むドラマの要素はいっぱいあるんですけれど。もしかしたらあえて抑えた演出にしているのかもしれませんが、個人的にはちょっと物足りなさを感じました。

しかしながら、同性愛が現在ほどオープンでなかった時代という枠の中でこそ成立している悲恋のドラマでもあります。ニューヨークの高級デパートで働くテレーズ(ルーニー・マーラー)は、不幸せな有閑マダムのキャロル(ケイト・ブランシェット)に一目惚れし、彼女がカウンターに忘れたグローブ(もしかして、キャロルは故意に置き忘れた?)を届けます。それがきっかけとなり二人は親しく付き合うように。時代背景とキャロルが夫と娘の親権でモメているという障害さえなければ、普通に素敵なカップルの馴初めなんです。

ゴージャスな毛皮をまとった明らかに誘い受けなマダム、ケイト・ブランシェットが男前!ハスキーな声が男前!タバコを吸うしぐさが男前!シュッとした瞳で訴える演技が男前!ピンヒール履いてるのに娘を楽々抱っこ出来るのが男前!裸になった広い背中が男前!と、そこらのチャラい男優なんかよりもずっとダンディーで男前なんですよ。そんなキャロルに憧れる若いデパガのテレーズは大きな瞳が可憐なお嬢さん。短く切った前髪がオードリー・ヘプバーンを彷佛とさせます。テレーズはチェコ系なんですが「テレザ」じゃなくて「テレーズ」なのがいいですね。キャロルが言ったように、テレーズと呼んだ方がずっとエレガントです。ツーピースにピンヒールの靴を合わせた有閑マダムなキャロルのファッションと、シンプルなシャツやニットで可憐 な女学生のようなテレーズのファッションが対照的でした。

キャロルと夫ハージ(カイル・チャンドラー)の離婚話はかなりドロドロしていて探偵を使うところまで行くんですが、そうなるまでにひたすら「別れたくない」と懇願する夫。彼は彼で可哀相な人でしたね。夫がなぜそこまでキャロルにこだわるのかってのもイマイチよく伝わりませんでしたが。というかキャロルはどう見ても宝塚の男役風なタチの女性ですよね。

筆者が個人的に「わかるなあ」と思ったのが、テレーズが初めてキャロルの運転する車に乗るシーン。憧れの人が運転する車(密室)で二人きり。カメラがテレーズの視線となり、嬉しさと緊張で色々なところに視線が飛びます。車の速度計のあたりだったり、窓から見える商店だったり・・・。その画面もピントが合ってないんですよ。「ああ、片思いしてるときってこんな感じに視線が泳いじゃうよなあ・・・」と既視感がありました。


※以下ネタバレします。



キャロルは娘のためにテレーズとの恋愛を諦めて去り、精神科に通って同性愛の治療(当時は病気だと思われていた!)を受けるのですが、弁護士や夫の前で自分を偽ることが出来ず、夫に親権を譲ることになります(監視の元に定期的な娘との面会はあり)。そして独り身になった彼女はテレーズに再会を願う手紙を書くのでした。一方キャロルと別れたテレーズは好きだった写真関係の仕事に就いていました。キャロルからの手紙に心揺れるテレーズ。映画冒頭のシーン、レストランで向かい合う二人にテレーズの同僚が声をかけるシーンに戻ります。ああ、このときにキャロルとテレーズの雰囲気がなんだか変だったのはこういうことだったのか・・・ということですね。

ヨリを戻す提案をするのも、初めて交際を開始する時と同じぐらいドキドキするものです。しかし、相手との付き合いがどんなものかを知っているので、ドキドキの根がもっと深く張っている・・・みたいな感じでしょうか。キャロルは同棲を持ちかけるのですが、テレーズはすぐにイエスと言えません。数日後、キャロルとの待ち合わせ場所に現れたテレーズ。人でいっぱいのレストランの中、テーブルに付いているキャロルを見つけます。そしてテレーズに気が付くキャロル。これで終わりです。

その後を予感させるカッコイイ終り方なんだけど、やっぱりキャロルとテレーズの愛に見苦しいくらいの「熱量」がないから、「ふーん、そう。まあ、よかったじゃん」と言った程度ですよ。やっぱりお互い見苦しいくらいにグチャグチャになって泣いたり叫んだりするシーンが少なかったからかな〜。前述した二本の同性愛映画では、あんなに入り込むことが出来たのに・・・(特に「ブロークバック・マウンテン」は自分がジェイク・ギレンホールなのかと思うくらいに共感して号泣した)。同性愛、だけどアッサリと上品な50年代風味といったところでしょうか。

そのくらいの時代の同性愛映画というと、オードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンの「噂の二人」(1961)がありますが、この映画は本当に嫌な感じの映画でした。寄宿学校の先生シャーリー・マクレーンがノンケの同僚オードリーに片思いしているんだけど、それをいち早く感じ取った少女がいて、その少女によって破滅していくという話。もともとは34年に作られた戯曲だそうです。そのせいもあるだろうし、寄宿学校という舞台設定もあるせいで、閉鎖的で差別的な雰囲気が窒息するくらいプンプンしている映画だったことを覚えています。それに比べれば本作の同性愛タブー感はだいぶマイルドだったように思います。

しかしケイト・ブランシェットはプリオと同じくらい、どの作品でもビシッとした仕事をする人ですよね。「ブルー・ジャスミン」ではどうしようもないクソバカ女を演じて主演女優賞でしたが、今回はどうでしょう。ルーニー・マーラーの助演女優賞の方が可能性が高そうかな?と個人的に思います。



『クリムゾン・ピーク』妄想をかき立てるゴシック・ロマンなトムヒ様

       



ギレルモ・デル・トロ監督の英国ゴシック・メロドラマ・ホラーです。ギレルモちゃん(©三池崇監督)の新作ですよ!「パシフィック・リム」(♪タララン、タララーン♪)ではロボットアニメを本当にまんま実写化して私達の胸を熱くさせてくれましたが、今回はガラっと趣を変えて人里離れたイギリスのお屋敷に何かがいる・・・というお話です。



※ネタバレ第一段階(予告編程度)




19世紀末のアメリカに住む裕福な令嬢イーディス(ミア・ワシコウスカ)はホラー作家志望の女子。しかし編集者からは女性なんだからロマンス小説を書きなさいと言われてしまいます。実はイーディスには霊感があって、彼女が幼い頃に亡くなったお母さんの亡霊が見える不思議な力を持っていたのでした。幼なじみで医者のアラン(チャーリー・ハナム)はイーディスに想いを寄せていますが、イーディスはイギリスから来た没落貴族のトーマス(トム・ヒドルストン)と恋に落ちます。トーマスは自分の発明した掘削機械をイーディスのお父さんで実業家のカーター(ジム・ビーヴァー)に売り込みにやってきたのでした。ところがトーマスとその姉ルシール(ジェシカ・チャスティン)に不信感を抱いたお父さんは、探偵(バーン・ゴーマン)を使って彼らの身辺を調査。姉弟の驚愕の事実を知ります。事実を知ったお父さんのカーターは姉弟にイーディスの前から姿を消すように言い渡し、トーマスは言いつけに従いイーディスに別れを告げるのでした。しかし、トーマスのことを諦められないイーディスは彼の元へ行き愛を誓います。同じ頃、カーターが何者かにより惨殺され変わり果てた姿で発見されます。悲しみに沈んだイーディスはその後トーマスと結婚し、姉弟と一緒にイギリスへ移住。姉弟が所有する田舎の古い屋敷、アレデール・ホールで暮らすことになります。ところが、その屋敷には・・・という導入部です。

ギレルモ風味のゴシックロマンス全開な世界観がいいですね〜。建築、インテリア、衣装、どれもすごく美しく、観客をゴシックの世界へ誘ってくれますよ。ミア・ワシコウスカの無垢なキャラクターが、また毒っ気のあるイギリスのお屋敷に合う。真っ白な真綿のようだったヒロインが、どんなふうにして真紅の鮮血で染められるのだろうか・・・とサディスティックな期待も高まります。ヒロインはメガネっこな文科系で、ちょっと周りからは浮いている女子なんですが、小説を褒めてくれたトムヒ(トム・ヒドルストン)のことが気になり始め、彼と恋に落ちるのです。

トムヒ・・・この役に死ぬ程ピッタリです。血筋の良さそうな甘いマスクなんだけど、深入りするとな〜んか大変なことになりそうなダークさも感じられて・・・。黒と深緑を基調にしたお衣装が、ちょっとロキみたいでした。高貴な香りが漂うトムヒですが、プロフィールを見てみるとリアルに貴族の血筋なんだそう。筆者は映画の後半あたりで、ふと「トムヒの役はベネ様(ベネディクト・カンバーバッチ)でも再現率高そうだなあ・・・」と思ったのですが、当初はやはりベネ様にオファーされていた役なんだそうです(ヒロインはエマ・ストーンだったらしい)。しかし、セカンドチョイスのキャスティングで良かったのではないでしょうか。トムヒの、フェミニンだけどフェミニンじゃない、でもちょっとフェミニンな男性が時折見せる男っぽさにドキリ、みたいな持ち味が活かされていたように思いますし、怯える新妻は目ん玉のでっかい現代っ子風なエマ・ストーンよりもミア・ワシコウスカの方が適役だと思います。



※ネタバレ第二段階(中盤まで)





結婚したイーディスとトーマスですが、新居となるイギリスのお屋敷がなんか変。だって玄関ホールの天井に大きな穴が空いていてリアルに吹き抜け。そのまま修繕されずほったらかしにされてるもんだから床に雪が積もってるんですよ。寒そ〜、と思わず身震い。水道も錆びてて、最初は血の用な水が出たりしてます(そういや筆者が今住んでいるアパートも最初はそうだったな・・・)。トーマスのお姉さんルシールはイーディスにとって小姑になるわけですが、なんだか腹に一物抱えてそうで怖いです。弟と結婚した自分に嫉妬してるみたい・・・と思うんですが、そのものズバリだったんですよね。結婚したものの、まだ肉体関係のないイーディスとトーマス。イーディスはそれを小姑に打ち明けるんですが、それを聞いてニヤリ・・・みたいな。ふとしたことで盛り上がったイーディスとトーマスが寝室ではないけれども、いざ事を始めん!といったタイミングで「ここにいたのね。お茶がはいったわよ」とお盆を持った小姑が現れたりするんですよ。怖いな、怖いな〜。

トムヒファンのハイライトはなんといっても2人が始めて結ばれるシーン。アメリカからの手紙を受け取りに街の郵便局に出かけたイーディスとトーマスですが、雪のために郵便局の一室を借りて夜を明かすことに。そこでついに結ばれるのですが、チラっとトムヒのお尻が見られるんですよ!形の良い真っ白なお尻、それはまるで高級な水蜜桃をむいたかのよう・・・。この映画を観てヨカッタ・・・としみじみし、胸に手を当てる筆者なのでした。検索したところどうやらボディダブルの尻ではなくトムヒ自身のお尻のようでしたよ。やっぱりベッドシーンで楽しみなのは男優の尻なんですよね。ギレルモちゃんわかってる!しかし、そのままミッショナリー・ポジションで済ますのかと思ったらヒロインは着衣のままオーバーライディング・ポジションに。19世紀末という時代設定&ヒロインがそれまで処女だったということを考えると、これはかなり刺激的なのではないだろうか・・・と思った次第です。

タイトルにもなっているクリムゾン・ピークとは、雪の上にその地特有の粘土質赤いの土が滲む現象のことで、イーディスのお母さんの亡霊が「クリムゾン・ピークに気をつけなさい」と言っていたことと合致するのでした。トーマスと結ばれたものの、幽霊が何人(幽霊のカウントって「人」でいいのかな)もイーディスの前に現れ、彼女は次第に病んで行きます。血を吐き、幽霊がいると主張する彼女に小姑はひたすらお茶を出すのでした。しかしその中には毒が入っていたんですね。イーディスは隙を見て小姑のカギを盗み、姉弟から入ってはいけないと言われていた地下室へ・・・(なんとなくペローの「青ひげ」を彷佛とさせますな)。



※ネタバレ第三段階(ラストまで)



そこにはカギのかかった樽がたくさん並んでいました。樽の中には赤い粘着質の液体が入っており、明らかに人体らしきものが浮いていたのです!同時にイーディスはトーマスが今までに何人もの裕福な女性と結婚していた記録と写真を見つけます。あれ、ミア・ワシコウスカ主演でこんなパターンって「ジェーン・エア」みたい!また騙されちゃったのか〜という感じもしますが。ここで観客とヒロインはお父さんが雇った探偵がどんな調査結果を持ってきていたのか、ということを知るのです。ちょっと横にそれますが、この探偵を演じていた人バーン・ゴーマンは「パシフィック・リム」で数学博士の役をやってましたね。やはりつくづく爆笑問題の太田光さんにソックリだと思います。ヒロインの幼なじみのアラン役の人はパシリムで主役でした、そういえば(彼はちょっと印象薄いんだよな〜)。演じるチャーリー・ハナムはちょっとガタイが良過ぎてゴリラっぽい感じ。トムヒと比較すると余計そんな感じがします。

イーディスは幽霊に教えてもらい、姉弟が近親相姦の関係にあること、それを知った彼らの母親が無惨に殺されたことなどを知るのでした。アメリカから事情を知ったアランが助けにやって来ます(ゴリラっぽいなんて言ってゴメン)。早く、早く〜!イーディスのお父さんを惨殺した犯人でもある小姑は、イーディスに財産を譲渡する書類にサインさせようとします。しかしイーディスはお父さんからもらったペンで小姑を刺します。小姑はトーマスにアランとイーディスを殺すように言いますが、途中からイーディスのことを本当に愛してしまったトーマスは躊躇します。嫉妬に狂った小姑はトーマスの頬を刺して殺害。そして助けにやって来たアランのことも刺します。刃物を持ったイーディスと小姑はクリムゾン・ピーク現象を見せる雪の中で戦います。掘削機の前に現れたトーマスの幽霊の助けによってイーディスは小姑を撃退(シャベルで頭ゴイーン!というユーモラスな致命傷だったけど)。トーマスの幽霊は寂しく微笑みイーディスの前から姿を消すのでした。その後、イーディスとアランは惨劇のあった屋敷をあとにします。屋敷の中のピアノの前には幽霊になった小姑の姿が・・・。イーディスはこの体験を元に「クリムゾン・ピーク」という小説を書きあげるのでした。

やっぱり、この姉弟、真っ黒だったのね・・・という感じですが、トーマスが本当にイーディスのことを愛してしまったというのが救いですかね。一体いつから本気になったのかはよくわかりませんでしたが。イーディスのお母さんの幽霊はちょっと怖かったけど、必死に危険のメッセージを伝えようとしていたんですね。あと屋敷に取り憑いた姉弟の母親の幽霊や、トーマスの亡き妻達の幽霊も。幽霊を見たことはないのですが、もし見たら「何かを伝えようとしているのかもしれない」と気をつけた方がいいんだなあと思ったのでした。しかし亡き妻の幽霊が「こっち見てみ」と指差した先に小姑の寝室があって、そこで姉弟が近親相姦してるってのはキツイなあ〜。

「パンズ・ラビリンス」くらいの怖さを期待していたんですが、幽霊はそこまで怖くないんですよね。ホラー映画というのもちょっと違うかな〜という気がします。メロドラマとしては中編からラストが少し雑だったような感じがします。トーマスがいつからヒロインのことを本気で愛し始めたのか私には少しわかりませんでしたし、嫉妬に狂った姉がトーマスを殺害するのもちょっと唐突な印象が拭えませんでした。そこが少しもったいなかったですね。トムヒを巡るメロドラマ演出とドロドロ演出がもっと欲しかったです。

やっぱりこの映画も人を見る目がないことがトリガーになった話でしたね。トムヒはさておき、姉ちゃんが明らかにおかしいんですが。お父さんはそれに気が付いて探偵を雇うんですが、時代設定を考えるとこの探偵はかなり有能です。アメリカとヨーロッパ各地にまたがった犯罪を突き止めているんですから。その結婚、引っかかったら、まず探偵 というのは今も昔も変わらないのですね(しかしネットがある現在とはいえ、国を跨いだ犯罪を突き止めるのは民間の探偵にはなかなかハードル高そう)。

ということで、改めてトムヒの魅力を再確認した一本でした。トムヒは地毛が金髪だそうで、「マイティー・ソー」で金髪ゴリラなソー役のオーディションを受けていたと知ってビックリ。明らかに役のチョイスが真逆だろうという気がしますが・・・(ソー様はソー様でカッコイイのですが)。トムヒはクラシカルなイケメンなのでコスチュームプレイが本当に似合いますよね。最近、さいとうちほ先生の「子爵ヴァルモン」を読んだ筆者は、影響されてこんな妄想をしてしまいました。・・・以下妄想(時代背景はザックリ18〜19世紀だとお考え下さい)。

私はヨーロッパの既婚夫人。夫は年上で地位のある人ですが、多忙ゆえに留守がちです。ある日、お友達の別荘に滞在しているときに同じく滞在客である独身の貴族トムヒと知り合います。有名な美男子で彼に憧れている女性は多いのですが、独身を貫かれている謎の方。夏の夕方、トムヒと薔薇が咲いているお庭をお散歩。表面上は普通に会話をしていますが、夫とはまったく違うタイプの美男子トムヒと2人きりで心乱れています。ええ声&綺麗な英語で庭の美しさを褒めるトムヒ。薔薇の匂いをかごうと花に手を触れた私の指に棘が刺さってしまいます。「あ」と思わず小さい声を出してしまう私。その声が思いのほかセクシャルに聞こえたので、私は赤面してしまいます。するとトムヒがおもむろに私の手を取り、少しだけ出血した部分に唇を当てるのでした。血を吸いながら私の目をまっすぐに見つめるトムヒ。彼の額にたれた漆黒の髪の間からのぞく、冬の湖のような瞳。夕闇にむせかえるような薔薇の香りに私の意識は遠くなるのでした・・・。

・・・拙い妄想でお目汚し失礼致しました(爆)。


『コードネーム U.N.C.L.E.』年越しムービーに選んで大正解!!!


                        


サントラも買い!



大晦日の夜、この映画を観ながら年を越しました。いや~、この映画で本当よかったんじゃないの?という感じ。2016年は景気のいい年になりそうですよ。この映画、タイトルはなんとな〜く見たことがあったんですが、ホント全然ノーマークでした。Twitterで色々な方の2015映画ベスト10を見ていると、この映画が結構ランクインしていたので「コードネームが叔父さん・・・?それとも伯父さん・・・?でもまあ試してみよう」ということで鑑賞したんですがね。ちょっと、この映画のこともっと早く教えてよ〜!って感じでしたね~。やっぱり新作にはアンテナを貼っておかないダメ!と思ったのでした。

監督はガイ・リッチーってのも知らなかったし、60年代スパイ映画ってことも誰が出てるのかも 知りませんでしたし。でも知らないづくしってのは逆に幸運だったとも思えるのです。それだけ楽しみが大きくなるのですからね。60年代、東西冷戦まっただ中。米国CIA敏腕スパイのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)は、東ドイツから科学者テラー(クリスチャン・ベルケル)の娘ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)を西ドイツへ連れて行くミッションの途中で、ソ連KGB敏腕スパイのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)の妨害を受けます。しかしなんとか西ドイツへ脱出したソロとギャビー。ところがCIAとKGBがタッグを組まなければならない事態が発生します。ナチに傾倒するイタリアの大富豪アレクサンダー(ルカ・カルヴァニ)とヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)夫妻が、海運会社を隠れ蓑にして核兵器を作ろうとしていたのでした。これを阻止するために鉄のカーテンを越えて米ソが共同戦線を張ることに。しかし性格も仕事のスタイルもまったく正反対のソロとイリヤは、協力してミッションをやり遂げることが出来るのでしょうか・・・?というお話です!

いや~、あらすじを書いてるだけでなんだかワクワクしますね~。やっぱりスパイアクションの舞台は冷戦時代ですよ。でもって核ミサイルを発射直前で止めないと!正しいスパイアクションはこうあるべき!と、テンションがあがります。007なんかだと英MI6対ソ連みたいな対抗の図式ですが本作は、水と油みたいな米ソが協力するってのがまたいいじゃないですか。米CIAの敏腕スパイ、ナポレオン・ソロはいつも三つ揃いのスーツをビシっと着たクールなイケメンで女好きという007のコピーみたいなキャラクター(ヘンリー・カヴィルは007の最終候補に残っていたらしい。納得)。もともと泥棒だったので何かを盗むのがお手の物。演じるのは新スーパーマンのヘンリー・カヴィルです。実は筆者は彼とこの映画で初めましてなんですが、彼がも~う笑っちゃうくらいのイケメン。ハンサム。男前。美男。色男(んでケツアゴ)。彫刻のような美貌が過ぎてなんか面白ささえ感じちゃうんですよね(笑)。声と話し方がエロいのも素敵です。

対するソ連KGBの敏腕スパイ、金髪の大男イリヤ・クリヤキンはハンチングを被った冷徹な武闘派でソロと比べるとちょっと若い。優秀なスパイではあるんですが、怒りのコントロールが出来ずモノを壊しまくるという困った人でもあります。劇中何回も「クリヤキン、キレる・・・?キレる・・・?キレた!」というシーンがありました(笑)。演じるのはアーミー・ハマー(筆者はカフェでの顔合わせのときにアミハマだと気が付いたのだった )。彼の映画は「ローン・レンジャー」を観てますよ(これは退屈だったが)。彼もカヴィル演じるソロとはタイプは違えどイケメン。ロシアなまりの英語も完璧。このタイプの異なるイケメンが二人で頑張るってのが最高のご馳走なのですよ。アメリカとソ連、黒髪と金髪、軟派と硬派、このコントラストがたまらなくいいじゃないですか!!!二人とも超優秀なスパイだけど、方や女好き、方や怒りのコントロール出来ずって欠点さえも愛おしいですよ。

そんな男スパイ二人の中に入るのがドイツ人のギャビーちゃんです。男勝りな自動車整備工という設定ながら、オードリー・ヘプバーンや野宮真貴も真っ青の素敵な60年代ファッションを取っ替え引っ替えします。演じるアリシア・ヴィキャンデルさんも初めましてなんですが、「アタイ」という一人称が世界一似合う女優ミシェル・ロドリゲスを細くして可憐にした感じの人です(ラテン系かと思いきや、アリシアさんは スウェーデン人なんだそう)。彼女はただ守られるだけじゃなくて結構強い(これ伏線ですな)女の子です。タイプが真逆のイケメン二人に小粒でピリリとした女子というこのトリオのバランスもとてもいいと思いますですよ。

ガイ・リッチーの「シャーロック・ホームズ」二作は個人的には「う~ん・・・?」という感じだったけど(筆者は一応、聖典遵守派。でもベネ様のはイイ)、今回は手放しで面白かったですね。編集もスタイリッシュだしテンポもいいし。それに悪役も美しい!悪役ヴィクトリアを貫禄たっぷりに演じたVOGUEな感じの女優さんは一体誰〜?と思ったら、「華麗なるギャッツビー」に出ていたエリザベス・デビッキさんでした。しかもまだ20代中盤なんですね。それであの美しきヴィランっぷり(Sっ気も凄かった)、恐れ入りました。彼女の盛りに盛ったイタリアンマダム的デコラティブルックが、可憐なギャビーちゃんとコントラストでまた良しでした。美男に美女に60年代ファッションにと本当に目の保養になる映画です。イギリスMI6の偉い人ウェーバリーがヒュー・グラントですよ。さすがに老けた感じは否めないけど、いわゆるみんなが想像するヒュー・グラントっていう軽妙な演技で観客をニヤニヤさせてくれました。しかしCIA、KGB、MI6が揃い踏みって凄いですね。







※以下、ネタバレします。




気に入ったので二回も観ちゃいましたよ〜。アメリカとロシア、水と油な二人なんで最初はお互いのことを信じてなくて、盗聴器を仕掛け合ったりしてるんですよね。ソロが「俺の部屋にロシア製の盗聴器がこんなに」って盗聴器をイリヤに投げるんですが、イリヤも「俺の部屋にもアメリカ製のがあった。ローテクだな」って言って同じくらいたくさんの盗聴器を投げるんですね。他にも敵の核がある秘密基地に忍び込む時に、金網を切る道具でも競い合ってるんですよ。ソロのはハイテクなペンチみたいのだけど、イリヤのはレーザービームみたいな熱で切るハイパーガジェット。当時、ソ連の方が技術力は上だったのかなあ〜なんて思ったりしました。秘密基地から逃げるときに、ベスパにさりげなく2ケツしてるのが可愛かったですね。こういうディティールに胸キュンしちゃう私も腐女子の素質アリでしょうか?

音楽の使い方も洒落てます。諜報活動をしてるときにはワクワクさせるハイテンポの音楽がかかってノらずにはいられないし。と思えばローテンポな「ヒロシです・・・」の音楽(「Che vuole questa musica stasera」邦題は「ガラスの部屋」)がイリヤのピンチにサンドイッチを頬張るソロのバックで流れたりする。ニクいなあ。でも、ソロはイリヤのことをちゃんと助けてあげるんですよ。逆にソロがヴィクトリアの罠にかかって昏睡状態になり怪しい拷問椅子(007新作もこんなのに座らせられてたな)に括り付けられたときに、イリヤが助けてくれるんですよね。これでおあいこになってちょっとホッとしました。


日本人には「ヒロシです・・・」で有名なあの曲





その後、ソロたちが秘密基地に忍び込んだことを知ったヴィクトリアが彼らがホテルにいるかどうか確かめに来るんですが、なんとか間に合ったソロ。イリヤが盗聴器(まだあったのね)をオンにして彼の部屋の様子を盗聴すると、そこからはソロとヴィクトリアの喘ぎ声が・・・というオチ。翌日、イリヤがソロに対して妙にカリカリしていたのがもうね・・・。

しかし萌えなのはソロとイリヤのブロマンスだけではなく、イリヤとギャビーもなんです。この二人は任務のためフィアンセということにされるんですが、任務を通じてお互いを意識していくんですね。ホテルの部屋でバトルした後で、イリヤがギャビーを抱っこしてベッドに運んで寝かせてあげるのにも萌えだったし、ギャビーの太ももにつけた盗聴器の調子をイリヤが見るシーンも萌えなんですよ。しかもギャビーに触れる手が冷たくないように手をこすり合わせてあたためるイリヤ・・・優しい。こういう役割は女好きのソロがやるのかと思ったら気を利かせてバルコニーに出てるし(そもそもギャビーちゃんは全然ソロのタイプじゃないっぽいけど)。ギャビーとイリヤがキスしそうになると邪魔が入って慌ててパッて離れるのも萌え〜。ということで、BL的にもノンケ的にも色んな萌えがキラキラと散りばめられているのでした。

もうひとつ上手いなと思ったのが、後半で敵陣に攻め込むときの画面処理ですね。漫画みたいに画面が分割されて、サクサクと攻めて行くのが説明されるんですよ。ここは重要なシーンではないので普通にカメラ回したらダレちゃって退屈するところ。それをお洒落かつ合理的に処理していて、上手いなあと思いました。こういう演出は別に新しいわけではないと思うんですが、分割画面の中が赤かったりズームにされたりと工夫が凝らされていましたよ。やはりガイリチはこういうところが洒落てるのう。

めでたくミッションコンプリートした後、ソロとイリヤにお互いのボスから核兵器の情報が入ったテープを手に入れろ、必要なら相手を殺せ!という非常に非情なミッションの命令が入ります。せっかく仲良くなったのに、また敵同士になっちゃうの・・・?と切ないところ。しかし、それを溶かすのがイリヤのお父さんの古い腕時計だったのです。イリヤはチンピラ(ヴィクトリアの部下だった)に盗られたお父さんの形見の時計をとても大事にしてたのをソロはしっかりと覚えていて、たまたまではあったんですが時計を取り返すことが出来てたんですね。ソロとイリヤがピストルとナイフを準備し、戦うのか?と思ったら「そいや、こんなの見つけたよ」とソロが時計をイリヤに投げるんですよ。ええ話や・・・(涙)。

二人は機密が入ったテープを燃やして酒を交わすという実にピースフルなエンディングです。「いやあ感動的だなあ」とその場に現れたMI6のウェーバリーとギャビー。ウェーバリーはこのメンバーで新しいチームを作ることになったと告げます。コードネームはU.N.C.L.E.( United Network Command for Law and Enforcementという意味)。「え、マジで?!」となったところにソウルフルなニーナ・シモンの「Take Care Of Business」が流れ、新たにチームとなった各人のスパイファイルがフィーチャーされるエンディング・・・。「イクー!!!」(©宇多丸さん)となる瞬間である。スパイファイルによると、ウェイバリーはアル中だか薬中というアディクトで、ソロは日本語を話せるそうで、イリヤは柔道とチェスが得意で、ギャビーは自動車整備の他にバレエが出来て、現在ロシア語学習中だそうな。こういう細かい設定もいいですねえ・・・。


ニーナ・シモンのファンキーなナンバーがいい!(歌詞がセクシャルなのも意味があるのか?)





ってか今回はチーム結成までのストーリーですけど、続編あるの?!検索してみたところ、現在のところ具体的な話は出てないみたい・・・。ヘンリー・カヴィルやアーミー・ハマーは「そうなったら本当に嬉しいよ!」というテンションみたいですね。私もお星様にお願いしておこうとおもいます。しかし、このインタビュー画像、二人とも髭もじゃだ!ヘンリー・カヴィルはイギリス人なんで素のときはイギリス英語なんですね〜。






2015年はスパイ映画の当たり年だったようで「007 スペクター」や「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」「キングスマン」などが公開されました。この中で、アンクルがダントツに好きです!60年代スパイ映画って舞台設定もハートわしずかみだし、シリアスすぎない軽妙さとテンポのよい演出にグットミュージック、そして魅力的な俳優たち。出来ればもうちょ〜っとだけ、米ソ諜報員プライドの張り合いみたいなのと、BL的萌え要素を上乗せして欲しかったかな。本当、次回作も作って欲しい。二人のバディ感をもっと感じたいですよ。また監督はガイ・リッチーで。お星様、お願い!

余談:アンクルが好き過ぎて、Twitterで色々検索しています。素敵な写真とかイラストとかがいっぱいあって、Retweetやお気に入りボタンを押しまくっています。よかったら筆者のTwitterもご覧下さい。映画やアンクルがお好きな方、是非お友達になりましょう!→@aitanpraha


『グリーン・インフェルノ』洗練された2010年代の食人族たち

                         

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本作を観たあとで本家の「食人族」を鑑賞しましたが、あまりに「食人族」のインパクトが強過ぎた為にそちらの感想を先にアップした次第です。いや~、インスパイア元のが荒削りな分インパクトが強かったんですが、「グリーン・インフェルノ」は「食人族 2013」(制作年は2年も前!)という感じで随分とモダンになりソフィスティケートされている感じです。インスパイア元の食人族の皆さんは結構フレンドリーなので、よそ者と一緒に水浴びもするし、宴席にも呼ぶし、悪ささえしなけりゃ取って食ったりしないまっとうな食人族なんですが、「グリーン・インフェルノ」の食人族さんたちはもう最初から食う気満々。悲しいかなこの30年あまりで彼らは随分と変化してしまったようです。

監督は「ホステル」シリーズで有名になったイーライ・ロス監督。タランティーノ監督の舎弟っぽい感じなんでしょうか。主演女優のロレンツァ・イッツォ(友人Iは柴崎コウに似ていると証言)とロス監督は実生活で夫婦ということで、ミューズ女優と監督の公私ともに幸せなマリアージュなんだのう・・・と心がホッコリと温まります。まるで、ホラー映画界のゴダールとアンナ・カリーナですね。

あらすじは至極単純。南米のジャングルを開発する大企業への反対活動をする学生たちからなる活動グループが、現地で反対運動を行いそれをスマホで録画して世界に発信。俺たちの主張が世界に広まった!と喜び祝杯をあげる学生たちですが、帰りに乗った小型飛行機がジャングルのど真ん中で墜落。そこは食人族たちがウヨウヨいる場所だったのでした・・・ということで、エコで意識高い系の学生たちが一人また一人と食人族に食べられる話です。

もともとSNSを中心に拡散し、ワンクリックで社会的な運動に支持を表明できるお手軽なソーシャルジャスティスなムーブメントに疑問を持っていたというロス監督。「ソーシャルジャスティスを振りかざすウザい奴らは食人族に喰われればいんじゃね?」といったところがベースにあったようです。自然破壊からジャングルを守ろう、そしてそこに暮らすネイティブたちを助けよう!と立ち上がって行動する若者達の志は素晴らしいですが、善意で行ったのにもかかわらず逆にそのネイティブたちから喰われてしまう・・・というパンチの効きすぎたブラックコメディーのような展開がたまりません。

学生たちということなんですが、全体的にみんな老けてるんですよね。ヒロインのジャスティンを演じるロレンツァ・イッツォはまだフレッシュな感じなんですが、学生運動家のカリスマであるアレハンドロ(アリエル・レヴィ)は一体何年留年してるんじゃ!という感じ。カリスマ具合もちょっと足りないかも。その彼女カーラ(イグナシア・アラマンド)も性悪そうな顔がたまりません が、結構なオバさんに見えます。その他の学生も女子はまだ若そうに見えますが男子は普通にオッサンっぽい感じ。なのであんまりチャラチャラしてないんですよ。ここがとっても惜しいところ。学生たちの描き方が、それこそ活動している自分たち自身に酔ってる上辺だけのエコロジー・シンパで、SNSを使って意識高い系な主張を発信!トレンドに乗ってバズって世界を変えようぜ!みたいな広告業界志望のいけ好かないリア充野郎ばっかりだったら、喰われてもメシウマなんですがねえ・・・。そこらへんは強調して描かれてないのが残念でした。

そういえば「ホステル」はバカなバックパッカーの下心を利用したスラブ美女による血祭りが待っていましたが、今回も構造的には似ています。南米のジャングルを守ろうぜ!な学生グループが現地に行ってネイティブに喰われるんですからね。こういう思慮の浅い若者が旅先で大失敗というパターンの映画は、今後も角度を変えて色々と作れそうな気がしますね。








※ネタバレします。



ヒロインのジャスティンはいたって普通の女の子。彼女自身は結構真面目にエコ問題に取り組んでいるんですよ。しかしお父さん(リチャード・バージ)が国連の弁護士をしている為、学生運動グループに利用価値があると思われているんですね。この弁護士のお父さん、どっかで見覚えがと思ったら「ホステル2」でエリート・ハンティングクラブのメンバーのアメリカ人富豪をやってた人じゃないですか。まさか役名同じだったりしないよね?とちょっと心配してしまいましたが(笑)。ヒロインには家族からもらった思い出のネックレス(笛付き)があり、それをジャングルに持って行くんですが、これが後々彼女を助けるアイテムになるのです。親からもらったものはたとえダサくても趣味に合わなくても大切にせなアカン・・・というメッセージを感じたりして。

飛行機が落ちた後で、真っ赤にボディペインティングした食人族の村に連れて行かれる学生たち。食材の大量入荷にテンション上がった食人族からもみくちゃにされて恐怖のズンドコに ・・・という場面は宣伝写真でよく使われています。食人族がペタペタと彼らに触るんですが、これは肉付きをチェックしているんだとか。全員、オリみたいなケージの中に閉じ込められるんですが、まず喰われるのが一番デブだった人(まあ合理的な順番だわな)。目玉と舌をオードブルにされ、あっという間に解体され大きな石釜のようなものでローストされるのでした。食人族のみなさんが血みどろになった人肉を見て「たまらんな」と舌なめずりしてるんですが、これは美味しくグリルされたステーキやマグロの解体ショーを目の当たりにした私達の反応と同じですよね。食べてるものが人か動物かってだけで・・・。だから「なんて野蛮で恐ろしいのか・・・」というふうにはあまりなりませんでしたね。所変われば食も変わる、ですな。

解体グロ描写はもうギャグへ昇華されているような感じでしたね。一応臓器系も腹から取り出されるんですけど、私もだいぶ免疫がついたせいであまり引きません。モツは栄養たっぷりだからそりゃ食べるよなあ・・・という感じですよ。腹の中身で引いたのはやっぱり「冷たい熱帯魚」ですね(食人映画の識者である高橋ヨシキさんがこの脚本に携わっているのですが、やはり「食人族」の影響を少なからず受けているのかなあ)。あれは日本の地方の話だったので南米のジャングルよりは身近な分、ド肝を抜かれましたよ。

食人族はほぼ「人類創世」的な原始時代の生活をしているんですけど、えらい切れ味のいい刃物をもっているんだなあ、と妙なところが引っかかりました。ジャスティンと心を通わせる食人族の子供をはじめとして男子は前髪パッツンだし、人間の四肢があっという間に解体されるし。現代の技術大国日本が舞台の「冷たい熱帯魚」でも解体は結構大変そうでしたから。最後の方は刃物ぽいツールを一切使わずに人間がダイレクトにむしゃぶりつかれて食べられていたので、なんか雑だなあ・・・と笑ってしまいましたよ。

さて一人一人食べられる運命になった学生たちですが、女子だけオリから出されて連れて行かれ、酋長が動物のツノみたいなものを差し込んで処女かどうかをチェックされるんですよ。処女なのはヒロインのジャスティンだけだったので、彼女だけが特別なボディペインティングを施されてオリに帰されます。安心して下さい、ジャスティンは助かりますよ!処女であるということはジャスティンが助かるフラグ。伝統的なホラー映画のルールでは汚れのない処女だけが難を逃れることが出来るのです。逆に言えば、劇中でエロい目に合った人は絶対に死にます。そう考えるとやっぱりホラーってオタクや非リア充と親和性のあるジャンルなんだなあ~と思わずにいられません(笑)。

エコ活動リーダーのアレハンドロがオリの中で白状するに、実はこのエコ活動はでっちあげだったのです。現地コーディネーターで彼の友人のカルロス(飛行機墜落で死亡)が、森林伐採している会社と敵対する別会社の回し者で、アレハンドロにお金を払って偽のエコ活動を先導させていたのでした。やっぱり、アレハンドロはな~んかクセモノっぽいと思ってたんですよね。しかも彼はオリの中で自慰行為をし出すし(ストレス解消のため)、もう最悪なんですよ。はやく喰われろ!と思うのですが、なんと彼は最後まで生き残り、続編の橋渡しにもなる・・・?という展開になるのでした。

処女であるジャスティンはもう一度別のボディペインティングをされ割礼の儀式をされかけるのですが、ちょうどその時に森林伐採が食人族の村の近くまで来て食人族は臨戦態勢になったおかげで逃れることができます。ジャスティンがされているボディペインティングは身体をまっ白くしたもので、麻袋のようなもので胸と下をビキニのように隠し、目の部分に赤いペインティングをした、なんだか呪術的なものなんですね。しかしその格好をしてジャングルをかけるジャスティンが実に美しく見えるんですよ。その衣装とメイクもエキゾチックな彼女にすごく似合ってるし、ピンチになればなるほどなぜか輝きを増すというこのヒロイン力。もちろん女優の力量もあるのでしょうが、やっぱり監督に愛されているから綺麗に撮れているのかなあ~などと思いましたね。心温まる話ですね(ヨシキさん風)。

最後の方はジャスティンが食人族の子供の助けを得てジャングルから無事に逃げ果せることが出来るのか・・・というサスペンスフルな作りになってました。オリに閉じ込められたアレハンドロが出してくれとジャスティンに乞うのですが、それを振り切って逃げるんですね。そして彼女は飛行機事故現場から持って来たスマホ(アレハンドロの彼女のもの)で、森林伐採の作業員に「アンタたちの所業、このカメラで撮って流してるわよ!」と威嚇して計らずも当初のエコ運動の目的を果たすことになるのでした。

無事にニューヨークに戻り、お父さんを含む国連の人に何があったのか話すジャスティン。彼女だけが飛行機事故で助かり、ネイティブの助けを受けてジャングルから出ることが出来たと嘘をつくのでした。大学では再び、エコ運動のムーブメントが起こっています。彼らのTシャツにはアレハンドロの顔がプリントされていました。アレハンドロは死してなおカリスマ性を発揮しているようです。しかし前述した通り、アレハンドロは生き残っているのでした。GPSで撮られた映像を拡大してみると彼らしき男が映っていた、と彼の妹からジャスティンに連絡があって映画が終ります。うおー、何それ?次作はリベンジに燃えるアレハンドロに追いかけられるのでしょうか?バイヤー!

ハムスターおじさんこと平山夢明センセイは本作を観て「『食人族』は立石とか北千住の人食い屋という感じだけど、これは銀座あたりまで出てきた感じ」とコメントされていますが、本当に頷けます。なんかやっぱりインスパイア元と比べるとえらく洗練されてるんですよね。動物殺して食べてないからでしょうか。カメ・・・。「食人族」の衣装は腰ミノオンリーで小汚かったけど「グリーン・インフェルノ」の酋長やリーダー格の人のメイクも衣装も、劇映画らしくとてもよく作られていますし。赤いボディペインティングの塗料も発色綺麗で画面映えするし、なんかお肌にも低刺激そうでしたよ。とにかく有名監督の劇映画らしく洗練されちゃってるんですよ。ロス監督の情熱と心意気は非常に買いますが、やっぱりインスパイア元の荒々しい迫力を越えることは出来なかったという感じなのです。インターネットがないので情報を検索することも出来ず、ジャングル部分がリアルの映像だと言われ人々をトラウマに陥れた旧作とは34年という大きな隔たりが。まさに隔世の感。現在ではもう作ることの出来なくなった「食人族」のような荒削りで迫力のある映画を求めて、年末年始はモンド映画漬けになりそうな予感・・・。

『グランドフィナーレ』おじいさんだって悩んでます





街中でよくこの映画の広告を見かけるので気になってたんですよ。遠くから見たときはチェコの映画だと思ってたんですね。そのポスタービジュアルは上に貼った予告編の静止画像を見てもらえるとわかりますが、スパのような場所でスパに入ろうとする裸のセクシーな若い女性のバックショットの奥に、二人のおじいちゃんがいて彼女の裸体を見つめているというもの。おじいちゃんたちの目線が裸体に釘付けになっているというポスターで「この国のジジイは老いてなお盛んだな(チェコ映画「Vratné lahve」のイメージがありました)。しかし、こんなハレンチなポスターが街中にあるなんてさすがは大らかな欧州だのう・・・」などと思っていました。しかしポスターをよくよく見てみると、このおじいちゃん二人組はマイケル・ケイン御大とハーヴェイ・カイテルではありませんか。英語の映画なら観られるかも、と思って鑑賞してみました。

なんか全体的な構成が普通の英語圏の映画っぽくない、ちょっとアートな感じがする作品だなあと思ったら、監督・脚本はイタリア人のパオロ・ソレンティーノさんという方だそうです。二人の老アーティストの黄昏どきを描いている映画なんですが、湿っぽいようで乾いていて、突き放しているようで暖かい、といった感じの 不思議なバランスの上に成り立っている作品でした。私は芸術家でもないし、おじいちゃんではないのでそこまでの共感はありませんでしたが、確固たるキャリアを築いて来たお年寄りの方が観るときっとラストは号泣しちゃうのではないでしょうか。監督・脚本のソレンティーノさんは45歳ということで 、御大たちと比べると孫のように若い。けれど老人の世界をこんなにも描けるのは凄いなあと思いました。世界的な評価も高く、カンヌ映画祭のパルムドールにノミネートされたりしているようです。

著名な指揮者で作曲家のフレッド(マイケル・ケイン)と映画監督のミック(ハーヴェイ・カイテル)は長年に渡る親友同士。スイスの山間部にある高級リゾート施設で療養をしています。フレッドのもとには女王陛下のお使いが度々やって来て、今度の王室主催のコンサートでフレッドの昔のヒット曲「Simple Song」の指揮をしてくれないかと懇願されています。しかしフレッドは首を縦に振りません。一方のミックは若い脚本家たちとリゾートで合宿をしながら次作の構想を練っています。リタイアモードに入っているフレッドと、まだまだ現役のミックという構図なんですね。マイケル・ケイン御大は一体今おい くつなんだろうかと調べてみたら、83歳ですよ!「もう、本当に長生きして欲しい~」と今回の名演を見て思わず涙目に。ハーヴェイ・カイテルは76歳だそうです。やっぱり7歳違うせいか、彼の方が少し若々しく見えます。

※ここからネタバレします。

フレッドの娘でアシスタントをしているレナ(レイチェル・ワイズ)がリゾートにやってきました。レイチェル・ワイズ、やっぱり美しいですね~。レナはミックの息子ジュリアン(エド・ストパード)と結婚をしていて、結婚生活は上手く行っていると思っていたのですがなんとジュリアンが別の女性に心変わりをして離婚ということになってしまうのでした。この別の女性がシンガーのパロマ・ファイス(本人)なんですが、私は彼女のことを知りませんでした。リゾートには他にも役 作り中の個性派俳優ジミー(ポール・ダノ) やデブになってしまったかつての人気サッカー選手やミスユニバースなどが滞在していて、閉じられたリゾート空間にちょっとした変化を運ぶ存在として出ています。スイスの山間にあるリゾートの風景がまた美しく、ゆったりとした時間が流れていて癒されます。

フレッドの娘レナは家庭を顧みず仕事に没頭していた過去の父親を責めます。しかし、フレッドが女王陛下からのオファーを断り続けている理由が、昔歌手だった奥さんのためだということがわかるんですね。奥さんのために心を込めて書き下ろした曲なので、他の人には歌わせたくないということをお使いの人に言うんですが、それを娘が横で聞いているシーンは思わずこちらも落涙。フレッドが完全に音楽を忘れたわけじゃないというのが、 散歩の途中立ち寄った牧場で作曲のインスピレーションが湧いて来たり、リゾートにいる子供に自曲をバイオリンで弾くときのアドバイスをしたりすることで、なんとなくわかるわけです。

一方、ミックは若い脚本家たちと脚本を練って次回作を準備中ですが、長年の仕事のパートナーである往年の大女優(ジェーン・フォンダ)からオファーを断られた上に、彼の近年の作品はどれもクソのような出来であるとコテンパンに言われてしまうんですよ。非常に可哀相なミックは、脚本家たちに去られた後で草原の上に今まで撮って来た映画のヒロインたちが現れる幻想を見ます。ベルサイユ時代の貴婦人から女性警察官、宇宙人までいたので幅広いジャンルの娯楽映画を撮っていた監督のようです。ミックはフレッドに「こんなこと言われちゃったけど、俺は映画をやる」とキッパリ宣言した後、ベランダに行き投身自殺をしてしまうんですね。これ、これがなんかヨーロッパっぽいと思ったポイントです。さっきまで普通にしてた人が急に自殺するという展開。「突然炎のごとく」でも「幸福」でも「えーっ、死んじゃうの?」とビックリさせられたものです。しかし死を選ぶ、それだけ追い詰められていたりショックだったりという後味が出るんですよね。

フレッドはその後、長年会っていなかった痴呆症になっている妻をベネチアの施設に見舞い、コンサートの舞台に立ちます。恐らくミックの死で「生きている者は、できるうちに勤めを果たさなければならない」という使命があったのだと推測され ます。コンサートの幕が上がってそこで終わりではなく、しっかりとフレッドが作詞作曲した歌を聴かせるんですよね。オーケストラやバイオリンのソリストや歌手(この方はスミ・ジョーさんという韓国人の方らしいです)のアップで、音楽の素晴らしさとその素晴らしい音楽を作ったり味わったりするには生きていないと出来ないということが伝わって来る生の肯定感に溢れる感動的なラストでした。楽曲も素晴らしかったですね。





なんとなくですけど、監督が言いたかったのは「年を取ったからといって人間的な高みに達するわけではない。年寄りだって若い時と動揺に悩みながら懸命に生きているのだ」ということかなあ〜と思いましたね。いままで映画に出て来るお年寄りは賢者っぽかったり、ゆるキャラのように可愛らしかったり、理想的なおじいさんおばあさんとして、描かれがちでしたけど、高齢化社会になりリアルなお年寄りの生態や感情を描いた映画はこれからも増えそうな気がします。タイトルになっている「若さ」ですが、マイケル・ケイン御大は別に若さに執着しているわけではないように見えるんですよね。老いを受け入れて淡々と過ごしている。劇中に「若さが身体から抜けて行く」みたいなセリフがありましたが、「老い」が身体に入って来るのではなく「若さ」が抜けて行くという発想がちょっと新鮮でした。

メインビジュアルのポスターも、よく見てみると私が最初に勘違いしたエロジジイ的セクハラめいた視線じゃないことがわかります。恐らくミスユニバースの裸体美女は身体から抜けて行った若さの象徴。その眩しさを受け止めつつ、自分がかつて持っていた若さに対する憧憬の視線のようにも見えるのでした。ちなみに、このミスユニバースはルーマニア人のマダリナ・ディアナ・ギヘナという人で、豊かなオッパイとお尻があるのに他はシャンパングラスの足のようにスーッと細くてお腹はペッタンコ、もう本当に彫刻よりも美しい裸体なんですよ。ただ乳首が黒めなのがちょっと気になってしまいました(笑)。ちなみに彼女、おファス(マイケル・ファスベンダ ー)の元カノだそうです。元とはいえグウの音も出ない程の美男美女ですね、と色々ため息・・・(笑)。



『キングスマン』マダ、ファカ!不発・・・?


          



「◯◯マン」というアクション映画を立て続けに鑑賞している筆者です。これは中瀬親方がエンタメ番付で紹介していたので観ました。そういえば感想は書いてないんですけど「フォーカス」ってウィル・スミス主演の詐欺師映画も中瀬親方から紹介されて、ちょうど飛行機の中でやってたんで観たんですよ。でもそれは割とどうでもいい映画でしたねえ。んだから面倒くさくて感想文も書いてないんです。なるべく観た映画は感想を残そうと思っているのですが特に「これ観るぞ!」と意志を持って選んでない映画まではなかなか難しいですね。本作は番組内で紹介されている本編映像がとても面白そうだったので観てみることにしました。

ロンドンのウエストミンスターにあるオー ダーメイド専門の高級紳士服店・・・しかしそれは表の顔。実はその裏には超敏腕スパイ結社が隠されていたのだ!という英国スパイアクション映画です。原作漫画があるそうなんですが、高そうなスーツをビシッと着こなした英国紳士がものすごいアクションを見せるといえば007(新作楽しみ)。そんな007パイセンのフォーマットを意識した作りになってます。でもシリアス調じゃなくて子供にもわかりやすいポップめな体裁。監督は「キックアス」シリーズのマシュー・ヴォーン。とくれば、漫画的なアクションっぷりは想像がつくところでしょう。

主演はマーク・ダーシーことコリン・ファース、そしてスパイ結社の重役にマイケル・ケイン、同じくエージェント兼新人教育係にマーク・ストロ ングと英国が誇る演技派男優をガッチリ集めています!!!このキャスティングだけでかなり興奮。それに彼らのスーツの着こなしのカッコイイこと。一分の隙もなくビシィっとスーツを着こなすストイックさから香る男の色気!香り立つ♪ダンディズム〜♪(谷村新司)英国男子萌え映画は最近だと「イミテーション・ゲーム」がありましたが、それに並ぶとも劣らない布陣です。新しくリクルートされるスパイは新人のタロン・エガートン、そして敵役にサミュエル・L・ジャクソン(これは本編観て初めて知った!)、敵の右腕役にフランス女優のソフィア・ブテラなどなど。






※ネタバレします。



ダンディにスーツを着こなしたコリン・ファース演じるハリーのアクションシーンはかなり見物。そもそもコリン・ファースにアクションというイメージがまったくなかったから、すごく新鮮なんですよね〜。コリンは御年54歳。同じくらいの年の男優はどんな感じかというと、トム・クルーズとか。でもトム・クルーズのアクションとはスタイルが全然違う。コリンのアクションは実に洗練されてて泥臭さゼロ!身のこなし軽やか&涼しい顔であっという間に敵をバッタバッタと倒しちゃうんです。スパイのお道具使いも実に優雅。英国紳士が晴れてるのに持っているキツく巻いた傘が大活躍するんですね(防弾シールド兼飛び道具になる優れもの)。いや~、恐れ入りました!という感じ。もう一人、華麗な英国紳士アクションを見せるランスロット(ジャック・ダヴェンポート)というスパイがいます。ここも流れる様なアクションで美しかったですね。

でもこのランスロットさんが敵側の義足の女スパイ、ガゼル(ソフィア・ブテラ)に殺されてしまうんですよ。ガゼルはミカドヘア(前髪を短く切りそろえたミディアムからロングの総称)で「昼顔」のドヌーヴ様が着ていたような 黒無地の服に白い襟を合わせたファッションで鋭い両足義足を持つ女でフェティッシュな魅力があります。ランスロットの殉職で欠員が出たため、新しくキングスマンにリクルートされた新人スパイが主人公のエグジー(タロン・エガートン)。実はエグジーのお父さんもキングスマンのメンバーであり、ハリーたちと同じミッションに関わっている中で殉職していたのでした。エグジーは地元の仲間とつるんで、ちょっとやんちゃしている感じの少年です。この少年をどうやって一流の敏腕スパイに育て上げるのか・・・中瀬親方が「スパイのマイフェア・レディ」と言っていましたがコリン・ファースは「マイフェア・レディ」でヒギンズ教授役をやってるそうですよ。

しかし新鮮だったのは英国紳士が涼しい顔で超絶なアクションを見せるということくらいで、後はいたって普通の映画っちゃあ映画です。なんとコリン・ファースは途中で殉職しちゃって、エグジーが彼の後継者になるということなんですが、うーんこの子で大丈夫なのかなあ・・・って不安が。原作通りなのかもしれませんが、ハリーとエグジーの師弟コンビで悪をやっつける方が見たかったです。というかコリン・ファースの活躍をもっと見せて欲しかったんですよね。続編も視野に入れているように感じましたが、エグジーだけで訴求力があるのかはかなり疑問。彼は決して悪くはないんですけど、まだ若過ぎて英国紳士のコスプレした子供にしか見えないんですよねえ。なんか七五三感があるんです。

亡くなったお父さんがスパイだったからといって息子のエグジーが自動的にスパイになれるわけではありません。スパイになるためには厳しい訓練を経て合格を勝ち取らなければならないのでした。エグジーと若い候補者たち(みんな高学歴)は合宿所的なところに集められます。そこに登場したのがマーリン(マーク・ストロング)。彼が指示するテストに合格出来ないとさようなら、というシステムです。つるんとしたスキンヘッドがセクシーなマーク・ストロング、いつもいつも渋くてカッコイイ~。声も渋くて素敵です。

候補者には女子も何名か混ざっているのですが、エグジーが仲良くなったのがロキシー(ソフィ・クックソン)という真面目そうな女の子。しかし、ちょっと自信がなくて腰が引け気味な普通の女子です。だからエグジーが色んな場面でロキシーをサポートしてあげてるんですよ。だからエグジーとロキシーというカップリングかと思ったら、エグジーは敵側に監禁されていたスウェーデン王女(ハンナ・アストロム)としっぽりというラストでした。あれ?王女って結構なババアじゃなかった?エグジーは年増好きかい?と思ったんですが。まあロキシーとつがわないにせよ、彼女は自信なさげなだったわりには最後の愛犬を殺すというテストに合格しているので、深読みして「さては敵側だな」と思ったんだけど普通に味方でした。だったらハーマイオニーちゃんみたいに出来る女にしておいてエグジーのケツを叩かせた方が良かったのになあ~と思ったり。ロキシーの存在はちょっと「?」でしたね。

敵のボス、ヴァレンタインはサミュエル・L・ジャクソンさんです。私は彼が出てることを知らなかった為「え、マジで!」とビックリしました。敵もてっきり英国人だと思ってたので、ここは意外。IT長者で、通話もネットもオールフリーなSIMカード(もちろんこれには裏が)をばらまいて人類を大量に殺戮しようとする悪い奴です。このアイディアは「その手があったか~!」と唸ってしまいました。人々を暴力的にする特殊な電波を流してSIMカードにキャッチさせ、殺し合いをさせるというものなんですよ。例えば今誰もが持っているLINEを通じてマッドになる何かが送られて来るとしたら・・・あら大変!ですよね。

ヴァレンタインは他にも世界のVIPを誘拐して、彼らの頭の中にチップ的なものを埋め込んでるんですよ。それで世界を意のままに操るというプラン。これも結構単純だけど面白い。し かもやってるのがサミュエルさんですから、邪悪な企みでしょって感じが全然しない(笑)。サミュエルさんってS.H.I.E.L.D.のニック・フューリーですよ。アベンジャーズたちの上司ですよ。まったく真逆なんですけど、とても楽しそうに演じているのが伝わって来ました。そういえば飛行機の中で日本語吹き替えの「エイジ・オブ・ウルトロン」を観たけど、竹中直人の声がめっちゃ合ってました。

しかし、しかしですよ・・・。サミュエルさんは実に楽しそうに演じてらっしゃいましたが、サミュエルさんといえばあのお約束のセリフ。歌舞伎役者の見栄のようなあのセリフ。出た瞬間に映画ファンが心の中で小さくガッツボーズをするあのセリフが・・・ない?サミュエルさんが話すシーンになる度に一生懸 命リスニングしてたんですが・・・言ってない?それとも筆者には聞こえなかっただけ?筆者調べですが、この映画では言ってないんですよ。あれ~?妙~に変だな~。だっておかしいじゃない、サミュエルさんがこういう映画で「マダ、ファカ!」って言わないなんて・・・。制作側は何を考えてキャスティングしておるのかね。と、この映画における最大のミスはここにあると思ったのでした。

ヴァレンタインにチップを埋め込まれた人たちなんですが、耳の後ろにメスの後があるのでもうバレバレなんですよ。ハリーが殉職した後でキングスマンの重役マイケル・ケインに呼び出されたエグジーは、マイケル・ケインの耳の後ろに手術跡があるのを発見。持ち前の賢さでその場を乗り切るのですが、いくらなんでもこれはバレバレだろうと思いました(原作が漫画だから?)。それにマイケル・ケインの手術跡に気が付かないコリン・ファースとマーク・ストロングってのがちょっと残念に見えて残念だった気がします。

後半では頭にチップを埋め込まれたVIPたちがポンポンと爆発していくんです。ポップコーンが弾けるみたいに、そりゃもうポンポン、ポンポンと電波の影響を受けたハリーが教会の中で皆殺しをするシーンもそうでしたけど、人が死ぬとか暴力の表現がポップなんですよね。痛みとかがまったくなくって、ギャグになっちゃってる。しかもそこまで笑えるわけではないし、何回も映されるので最後は飽きがくるんですね。こういう演出にもう慣れ切っちゃっていますが、それもどうなんだろうか・・・命の重みが・・・とたまには真面目に考えてみたり(ちなみにR-15+)。まあそれこそそういう軽〜いポップコーン映画なんですが。ということで、めでたく初ミッションをコンプリートしたエグジー、次はあるんでしょうか。渋ハゲのマーク・ストロングは健在だけど、コリン・ファースが出ないなら次回作は観ない、かも・・・?


余談:サミュエル・L・ジャクソンさんの「マダファカ」シーンをまとめている動画&一覧表があるのでリンクしておきます。2014年までだけど、随時更新して欲しい〜。そういえば、マーベル映画に出てる時のサミュエルさんは「マダファカ」って言わなくても全然違和感がないんですよね。勧善懲悪のヒーローものだから相応しくないから最初から「マダファカ」を期待していないんだと思います。

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