@itan-journ@l praha

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『エル ELLE』鋼のメンタルを持つサイコパスな彼女



皆様、たいへんご無沙汰しております!現在自主的育休中ですが、お陰さまで我が豚児は日々健やかに成長しております。ところで1本だけ映画の感想アップがまだでした。日本初公開も迫っているようなのでリハビリも兼ねてこの記事を上げようと思います。しかし手を付けたのが約半年前なので記憶が曖昧・・・。そのためイマイチ締まりのない感想文になっていることをお許し下さい。









以下、約半年前の感想文
↓↓↓

ものすご~く変な映画でした。一体どのように表現すれば良いのだろうか・・・サイコ・スリラーぽいんだけどヒロインの感情や行動が複雑なので、一言でサイコ・スリラーですとも言えない様な・・・。ともかく観るに価する映画であることは言えます。監督はポール・バーホーベン、主演イザベル・ユペール、両者ともキャリア最高の高みに達したと評判の映画が、この「ELLE」なのです。

バーホーベン監督は私の勝手なイメージだと「大味で雑なエロい映画を作るヨーロッパ出身の監督」というのがあり・・・。「氷の微笑」とか「ショーガール」とか「インビジブル」とか・・・。「インビジブル」は特殊なお薬で透明人間になっちゃったケヴィン・ベーコンが見えなくなったのをいいことにリビドー全開の好き勝手をしまくるという映画でした(笑)。そのときにキャンペーンで来日したヒロイン役のエリザベス・シューが、あまり評判がよくなかったこの映画について「みんな意外に思うかもしれないけど、バーホーベン監督の映画ではいつも女性の強さが描かれているのよ!」みたいな擁護コメントをしていましたっけ(「ロードショー」で読んだんだっけな)。

「ELLE」は世間の最大公約数的なイメージの「女性の強さ」というのとはちょっと違うかもしれませんが、確かにヒロイン、イザベル・ユペールのメンタルは鋼のよう・・・と思いましたね。子供の頃トラウマ級の大惨事に見舞われているし、仕事も家族も交友関係も問題山積でその上自宅でレイプ被害に合うんですが、ショックをうけたり泣いたり鬱になったりせずにただ淡々と処理して行くんですよ。ああちょっと普通の人じゃないんだな(彼女の周りの人も含めて)ってことはわかるんですが。

このめっぽう強いヒロイン像というのは町山智宏さんの有料Podcastでも語られていて(バーホーベン監督の好みらしい)へえ〜と思いましたが前述したエリザベス・シューのコメントと一致していて、なんだか納得させられたのでした。

この映画には原作小説があってそれはフランス人作家によるものなんですが(なんとあの「ベティー・ブルー」の原作者でもある!つまりそういう作風ってこと)バーホーベン監督は最初アメリカ映画として作ることを考えていたそうで。しかし道徳的に問題があるテーマの映画であり主演を引き受ける女優がいなかったことから、フランスで制作することになったんだそうです。そして名乗りを上げたのがイザベル・ユペール様。本当にフランス女優って凄い。アメリカやその他の国ではドン引きされるような役をバッチコーイ!と引き受けてくれますよね(他にも「アデル、ブルーは熱い色」とか「ニンフォマニアック」とか・・・)。でもフランス映画になったことで、この映画の異常性はスンナリとのど元を通るという感じがします。


ヒロインのミシェル(イザベル・ユペール)は、ある日自宅でスキーマスクを被った男から殴られて強姦されます。しかし警察に届け出ることはせず、そのまま普段通りの生活を続けるのでした。まず 、ここからして普通の映画じゃない。泣き寝入りとかじゃなく、普通に事件現場を片付けて、一応病院に行って、日常生活を続けてるんですよ。ミシェルは猫を飼ってるんですが、事件後にその猫を抱き上げて「あんた、ご主人様のピンチだったんだから、せめて犯人を引っ掻いたりしてくれてもよかったんじゃない?え?」って話しかけるんですよね。確かに飼い猫はずっと事件を傍観していたのでした。このシーン「猫って、いざってとき全然役に立たないんだな・・・」と猫好きには地味に辛かった(笑)。やっぱり防犯には犬?

一方、ミシェルはその後に催涙ガスやハンディサイズの斧を買い求めたりしているので、再発防止の意識はあるようです。彼女の周りの人間関係もかなり複雑で、母親(ジュディス・マグレ)は娘より若い男(ラファエル・レングレ)に夢中になっており、なんと彼と結婚予定。息子(ジョナ・ブロケ)は妊娠中のガールフレンド(アリス・イザーズ)がいるんですが、ファストフードでバイトしており経済的にミシェルに頼らなければならない状況。しかも息子もその彼女も怒りのコントロールが出来ない病気かと思う様なキレやすさで前途多難(しかも息子の彼女は明らかに息子とは人種の違う赤ん坊を出産)。ミシェルは長年の親友でビジネスパートナーのアンナ(アンヌ・コンシニ)の夫ロベール(クリスチャン・ベルケル)とは不倫の関係。唯一問題がなさそうに見えるのは別れた夫のリシャール(シャルル・ベリング)との関係だけです。リシャールには若い恋人のエレーヌ(ヴィマラ・ポン) がいて 、ミシェルは彼女ともうまくやっているのでした。

ミシェルの仕事はビデオゲーム会社の重役なんですが、仕事場でも問題が。ゲームのリリースは大幅に遅れており、彼女に反抗的なエンジニアのカート(ルーカス・プリゾー)に手を焼いています。一方でIT担当のケビン(アルチュール・マゼ)はミシェルに協力的。しかし従業員のほとんどが彼女に敵意を持っているようで、彼女を侮辱するようなアニメーションが会社のパソコンにバラまかれたりとこちらも問題山積。

ミシェルは隣人の夫婦、レベッカ(ヴィルジニー・エフィラ)とパトリック(ローラン・ラフィット)と良好なご近所さん付き合いをしており、暴行事件後も物騒なことが続く自宅界隈で助け合って暮らしています。この旦那さんが感じが良くてまあまあイケメンなんですね。

ミシェルの暴行事件は行きずりの犯行かと思いきや、その後も差出人不明の番号から事件を示唆するSMSが来たり、自宅に何者かが侵入した形跡があったりと(どちらも本当にキモくて、ゾゾゾとするような内容)ミシェルは完全にロックオンされている様です。うわ~、怖いな、怖いな~。普通の映画だったらもう恐怖のズンドコに陥れる様な演出がされるかと思いますが、ミシェルはそこまで取り乱したりしません(自宅シーツの上に残された犯人のものと思われる体液を素手で触れるくらいの神経・・・凄い)。




※ここから犯人バレしますが、最終的なネタバレまではしません。




さて犯人は一体誰なのか・・・?ということなんですが。これはそもそもそういうサスペンスを味わう映画じゃないんですよね。でも気になる。元夫はさすがにマスクを被っていてもわかるだろうから除くとして、会社従業員の反抗的なカートか、それとも好意的なITガイのケビンか。会社でないとしたら元夫の現恋人が誰かを雇ってミシェルを襲わせたとか?一方、このような目にあったミシェルですが若い隣人夫婦の旦那さん、イケメンのパトリックにあらぬ情熱を抱いており彼のことを双眼鏡で見つめながら自慰行為をしたり、パーティーのテーブルの下で彼の脚に自分の脚を絡ませたりとすごいことになっているんですね。どうやらパトリックの方もミシェルのことを意識しているのがわかるので、もう一触即発の状態なんです。しかし色々凄いな。

それと平行して、ミシェルの過去が語られます。彼女のお母さんとの会話からお父さんがまだ生きていて刑務所に入っていることがわかるんですが、一体何の罪で・・・?と思うんですね。実はお父さんは聖職者であったのだけれど、ある夜近所の子供たちを虐殺し、家に帰って少女だったミシェルと家財道具を燃やしているところを逮捕されたというサイコパス殺人者だったのです。子供だったミシェルは事件とは無関係だったのだけれど写真に撮られ、世間から好奇の目を向けられ有名になってしまったのでした。だから冒頭のセルフカフェで見知らぬ老婆(おそらく被害者家族)からコーヒーをぶっかけられるシーンがあったんですね。

そのことを普通のテンションでペラペラと隣のイケメン旦那パトリックに語るミシェル。この一件で警察嫌いになってしまったミシェルは暴行事件を通報しなかったのかなあ、とも思いますね。しかし「その事件、知ってますよ」と言って引かない隣の旦那も凄くないか。パーティーのさなか、ミシェルのお母さんが倒れてしまいそのまま入院することになってしまいます。お母さんは虫の息でミシェルに「お父さんと会ってちょうだい」と頼み、その後亡くなるのでした。

ミシェルがいつものように自宅で過ごしていると、また例のマスク男がやって来るんですね(またかよ!って本当驚く)。今度はたまたま近く似合ったハサミで反撃することに成功し、隙をついて暴漢のマスクを剥ぐと・・・犯人はなんとなんと、ミシェルが懸想していたお隣のご主人、パトリックだったのです!やっぱり&でもビックリ・・・という感じですが、いい感じになっていた二人でセックスしようと思えばいつだってできたのになんでこんな犯罪を犯してまで・・・って思うんですが、パトリックはこういう暴力的で支配的なセックスじゃないと興奮出来ない性癖だったようですね。それで二人は強姦プレイにズブズブとのめり込んで行くのでした。最初は暴漢と被害者だったけれども歪んだ愛欲の世界に・・・?ちょっとペドロ・アルモドバル的ないびつさだけど結局これはこれでハッピーエンドになるのか・・・?と思ったりする訳なんですが。



↑↑↑
ここまで、約半年前に書いた感想



ここから、現在書いた感想

↓↓↓


う~ん、今読み直しても本当に妙ちきりんな映画です。前述した通りサスペンス映画じゃないんだけど、犯人は従業員の反抗的な奴か?ITオタクの奴か?と深夜のオフィスで犯人探しをするシーンはドキドキしたし、ミシェルが夫の現恋人の仕事場に行って彼女と話すシーンなどがキッチリ取られていた為に、この恋人が怪しいんじゃ?などと思わせられたりするんですよ。それからの、犯人はミシェルがオカズにしていた隣の旦那でした!という展開、そして二人でそういうプレイにふけるようなシーンになるので「えええ?」と思ったんですね。まーでもお互いその気があったってことで始まりは犯罪だけどイッツオーライ的な?感じ?いやでも強姦はいかんだろ、ダメ、ゼッタイ!という見る側のモラルを激しく揺さぶってくるんですよ。

それとは別にミシェルの息子の産まれたばかりの子の肌色がなぜか黒いというギャグがあるんですが。これが妙に不思議なことにその赤子が出て来る度になんかだんだん白くなってってる気がするんですよ。最初はどう見てもアフリカ系ハーフだったのにだんだん肌色が薄くなっていってる。マイケル・ジャクソン現象が起きているんですが、そう見えたのは私だけでしょうか。

ズブズブの倒錯的な関係にハマったと思われるミシェルと隣の旦那ですが、ある結末を迎えて二人の関係は終ります。それでラストに向けてはなんだかファミリードラマみたいなほのぼのとした雰囲気になって最後の最後はハッピーエンド。ミシェルのお父さんは彼女が意を決して会いに行く前に自殺してしまうんですが。このミシェルさんが劇中でずっと見せる妙なメンタルの強さというのはお父さんの事件を経たから養われたってことなんでしょうかねえ。それとも父からサイコパスの血を受け継いでいたのか?原語で観たのであまり詳細を拾えてないかもしれませんが、まあそんな感じでした。

しかしやっぱりフランスの熟年世代ってスゲーな、と思う訳ですよ。ミシェルも長年の友人でありビジネスパートナーのアンナの旦那と不倫していたんですから。このメッチャ近しい交友関係内で不倫が普通にポコポコ存在してるってのがマジ?!と思う訳なんですよ。あーもしかして近いからこそ、その中で寝取り寝取られを楽しむという感覚なんでしょうかねえ。そういえば仏映画「みんなで一緒に暮らしたら」でも同じ老人ホームに入っている老女二人が若い頃に同じ男(彼もホーム入居者)と関係していて、今それを知りお互いにビックリ、その後笑い合うというシーンがありましたっけ。

とにかくイザベル・ユペールが素晴らしかったです。サイコパスの娘で鋼のメンタルを持つELLE・・・彼女以外こんな妙ちきりんな役にリアリティーを持たせるのは難しかったのではないかと思うのでした。彼女の何を考えているかわからない顔を見るだけで「ひえ〜、これから一体どうなっちゃうんだろ?」というゲスな期待感が膨らむんですよね。以上、約半年間にまたがった感想文でした。


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おまとめ感想「泳ぐひと」「26世紀青年」「七人の侍」「ロッキー・ホラー・ショー」「高慢と偏見とゾンビ」「ナイスガイズ!」「ソーセージ・パーティー」

鑑賞したものの、時間がなくて(&やる気がなくて)ちゃんとした感想を書けなかった映画を数行で記録します。


           
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「泳ぐひと」
町山さんの映画ムダ話で解説されていたので鑑賞してみました。結局私自身はステータスのある仕事と家族を失った中年男性ではないので、そこまで共感に至らず「ああ、落ちぶれちゃって可哀相な人の話だなあ・・・」といった程度でした。しかし登場時からラストまで海パン一枚で出ずっぱりのバート・ランカスターの肉体美は一見の価値あり。海やプールでない場所での海パン姿ってのは、なんか見てはいけないものを見てしまったようでドキっとしますね。あと海パンで馬と競争(しかも主人公は満面の笑み)とか、ちょっと正気の沙汰ではないです(笑)。ラストで荒れ果てて空き家になった自身の別荘に帰り着く主人公ですが、無人のテニスコートになり響く幻のボールの音が切ない 。一瞬、アントニオーニの「欲望」みたいに架空のボールでプレイが始まるのかと思ってしまいました。


「26世紀青年」

バラ色ダンディで高橋ヨシキさんがおすすめされていたので鑑賞。これは2006年のコメディ映画なんですが・・・トランプが大統領になってしまった2016年に見ると、ちょっと笑えないというか、世界が確実にこの映画で揶揄されているイディオクラシーの方向になってきているんじゃないかなあ・・・といった気がして、なんとも言えない気分になりました。大統領役(元ポルノスター兼レスラー)のテリー・クルーズの演技はすごく振り切れていて面白かったんですけどね。やはりと言うかゲータレードが飲みたくなりました。


           
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「七人の侍」
マグニフィセント・セブン」(2016)の予習として鑑賞しました。長かった・・・けど、内外で名作と言われ ているのはわかる気がしました。本作については「マグニ フィセント・セブン」と合わせて感想を書いているのでそちらをどうぞ。


           
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「ロッキー・ホラー・ショー」
これも確かダンディのカルト映画特集で出て来たから観たんだと思います。「ウォール・フラワー」でも学校の文化祭でエマ・ワトソンちゃんがこの映画のパロディーをするシーンがありましたね。しかし、うーん・・・正直、全然わからなかった・・・。私はセンスがない人間です。トホホ。ティム・カリー演じる真っ赤な口紅でガーターベルトの博士がゲイじゃなくってバイセクシャルだったってのが驚き!あとナレーター的な役割でマイクロフト兄さん(グラナダTV「シャーロック・ホームズの冒険」)を演じていたチャールズ・グレイが出ていたのにまたまた驚き!なのでした。


           
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「高慢と偏見とゾンビ」
何度も映画化されたジェーン・オースティンの名作小説「高慢と偏見」にゾンビ映画を大胆にマッシュアップした作品(なんと原作小説があるそうです)。すごく斬新な設定なので期待しましたが、思ったよりもずっと大人しい出来にガッカリしました。ベネット家の四姉妹が百戦錬磨のゾンビハンターなんですが、舞踏会シーンでの立ち回りは良かったもののラストまでアクションが炸裂せずに不完全燃焼な感じ。中国でカンフーを習得したということですが、カンフー出て来ましたっけ?チャリエンみたいなのを期待していたんですが・・・。あとゾンビのグロ描写もほぼなくてガッカリ。出演女優陣はみんな可憐で美人だったし、ダーシー氏のツンデレぷりもよかったんですが。


            


「ナイスガイズ!」
70年代のLAを舞台にしたラッセル・クロウ&ライアン・ゴズリングによる私立探偵バディムービー。クマちゃんみたいに肥えてるけども、なんかセクシーなクロウと、二枚目封印、ドジで三枚目に徹しているゴズのコンビがいい。その二人にゴズの13歳の娘(だけど普通に車運転してる)が加わり、おっさん二人と少女という面白いトリオになっている。Wikiによるとジャンルはミステリー・クライム・スリラー・ネオノワール・アクション・コメディだとか。確かに全部の要素が入っている!誤射や流れ弾で人がバンバン死ぬけど、それさえもちょっとしたギャグになっておりテレビドラマぽい(もちろん、いい意味で)。80年代の子供時代によく洋画劇場で観ていたメル・ギブソンやブルース・ウィリスのライトな刑事探偵ものっぽい雰囲気もあるな~と思ったら、監督脚本がそっち系の人だった。楽しめたしロッテン・トマトの評価も高いけど、興行成績があまり良くなかったらしいので続編は微妙?


            


「ソーセージ・パーティー」
アメリカのスーパーマーケットで売られる食材たちの愛と友情、冒険を描いたR15のCGアニメーション映画。正直観る前はちょっとバカにしてたけど、すごく面白かったです(笑)。食材はお客さんに選ばれて、素晴らしい外の世界に行くことが夢なんですね。買って食べられるという意識が全くないってのが凄い(食材であるのに存在意義を自覚していない!)。そんな彼らが反乱を起こしてスーパーの中がグロテスクな大惨事になるというストーリーです。キャラクター自体結構カワイイし、ボイスキャストも無駄に豪華。ラストはパンの中にソーセージが入って合体するんだろうなあ~と予想していましたが、それをはるかに超越した食材たちの乱交パーティーが待っていたのでした(笑)。これからスーパーに行くと食材たちのおしゃべりに耳を澄ますようになるのでは?という楽しい一本です。

『愛と憎しみの伝説』それでも針金ハンガーはあると便利



      
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ハリウッド黄金期の大女優、ジョーン・クロフォードの養女だったクリスティーナがクロフォードの死後に書いた暴露本を元にした映画だそうです。この映画の評判は聞いていたのですが、やっと観ることが出来ました。82年のラジー賞総なめだったそうですが・・・映画としてはとっても面白かったですよ。何より退屈させない映画になっているというところはもっと評価されるべきでは・・・と思いました。

ジョーン・クロフォードの映画、私は一本も観たことないんですが、ハリウッドのトップ女優だったんだそうです。演じるのはフェイ・ダナウェイ。彼女のやり過ぎてギャグに昇華してしまった演技(本作でオスカー主演女優賞を狙っていたらしい)が後世にも語り継がれていることからも、そこが本作の見所です。ジョーン・クロフォードはお金持ちの映画スター、でも彼女の人生に欠けているものは子供の存在でした。今でこそ映画スターが海外からエスニシティの違う養子をもらうことは全然珍しくありませんが、当時は離婚歴がある独身者が養子をもらうことが大変だったみたいですね。しかし恋人の弁護士が奔走してくれたお陰でジョーンは女の子の赤ちゃんを迎えることが出来ました。

赤ちゃんはクリスティーナと名付けられ、何一つ不自由のない環境でスクスクと成長。しかし次第に女優業がパッとしなくなり、娘のクリスティーナは精神の均衡を崩したジョーンから虐待を受けるようになります。この映画はクリスティーナとジョーンの愛憎に満ちた奇妙な親子関係をメインに描かれています。高橋ヨシキさんもラジオ(下のyoutube参照)で仰っていまし たが、ジョーンはそもそも完璧主義者。冒頭の掃除シーンでもそれが描写されています。メイドが掃除した部屋の棚を指でサーッと撫でてホコリをチェック。観葉植物の鉢をどかしたらまだ汚いところがあった、という場面ですね。そういう完璧主義者にとって子育てというのは向いていないんですね。なぜなら子供ってのは不完全のかたまりだからです、ということですが本当になるほどなあという感じです。だから子供が自分が定めた領域からちょっとでもはみ出すと、フェイ・ダナウェイが整えた太眉をクワッっと上げて怒り出す・・・ということになるわけです。


※ネタバレします。



この映画の白眉とも言えるシーンが「ノーモア、ワイヤーハンガーズ!」のセリフでもおなじみ「針金のハンガーを使うなーッ!」と言って針金ハンガーでクリスティーナをバシバシと叩くシーンです。そのすぐ前のシーンが、落ち目だったジョーンがオスカー主演女優賞を受賞し家族で喜ぶシーンだったので「これで少しはジョーンの機嫌がよくなって家庭内が平和になるだろう」と思っていたので、えっ、その次がコレ?とビックリしました。このときのジョーンがマスクかなんかを顔に塗っていて真っ白なんですよ。そんな状態になったババアが夜にクローゼットを荒らし、娘に買ってやった高いドレスが針金のハンガーにかかっているのを見つけて激怒。ノーモア、ワイヤーハンガーズ!になるんですが、その常軌を逸脱した具合がスゴイ。顔は真っ白だし口は赤いしで、まるで「バットマン」のジョーカーみたいでしたし、子役の子、仕事とはいえトラウマになったりしないのかな・・・とちょっと心配になるくらいでした。

その後、バスルームの床が汚れているといって粉洗剤をぶちまけたりして、もう大変。クリスティーナの下に二番目の養子である男の子がいるんですが、何故か矛先は全部クリスティーナに向かうんです。弟はほぼ空気。でもこの子は寝る時に何故か拘束具みたいなものを付けさせられていて、これが地味に怖かったですね。当時は普通に行われていた医療行為かなんかなんでしょうかね。その他にも鏡台の前で自分の真似をして遊んでいる娘を見つけて「お前は、あたしのことをバカにしてんのかーッ!」と娘の髪をザクザク切ったり。殺伐としているように聞こえますが、それでも親子関係においていい時はあって愛情をお互いに示しているシーンも あるんですよ(原題の「Mommie Dearest」と心を込めて呼んだりね)。ドメスティック・バイオレンスなんかもDV期とそこから回復するハネムーン期というのを繰り返すそうですが、ドツボに落ち込んだ濃い人間関係ってのはどこか共通するものがあるのかもしれませんね・・・。

しかし先述した通り、退屈な瞬間が全然ない映画なんですよ。2時間ちょいなんだけど、あっという間。ジョーンのキャリア浮き沈みと(ペプシコーラの社長夫人だった時代もあったのね)、クリスティーナが成長して昼メロに出る女優になるまでの構成もバランスがよくてシームレスな印象。クリスティーナが大人になって独立すると、意外と仲良くなってたりしてるし「子育て期や思春期は戦争のようだったけど、こうして大人になるとちゃんと対人間として付き 合いが出来るようになって、よかったじゃないか」とも思えるんですね。色々あったけど、母はこうして私のことを立派に育て上げてくれたし・・・って着地になるのかと思っていたら。

昼メロ出演していたクリスティーナは病気になって入院。キャリアが中断されてしまうことを恐れるのですが、なんと彼女の代役となったのは・・・ジョーンだったのです。28歳の若妻の役なのに!病院のベッドでテレビを見て愕然とするクリスティーナ。そしてついにジョーンが病気になってしまいます。業界がジョーンに功労賞的な賞を贈りますが、病気で出席出来ないジョーンに代わってクリスティーナが賞を受け取ります。壇上で母の代理として感謝の言葉と母への愛をスピーチするクリスティーナ。そしてジョーンは亡くなるのでした。再び、色々あったけど、母はこうして私のことを立派に育て上げてくれたし・・・って着地になるのかと思っていたら。

なんとクリスティーナと弟には財産分与が一切ありませんでした。
弁護士のオフィスでそのことを聞かされ、え・・・?となる二人。弟が「ママは最期のとき何か言おうとしていた」と言うのを聞いてそれは何かとクリスティーナが訊ね、映画が終ります。いやー・・・てっきりリコンシリエーションなエンディングかと思ったらコレかよ!という着地でした。映画スターの家にもらわれて超ラッキーだったはずなのに、その実態は茨の道だったということで、人生ってうまく行かないんだなあという感じですね。

フェイ・ダナウェイの熱演を通り越してコミックになってしまった と言われている演技ですが、私はそこまでギャグになっているとも思えませんでしたね。ただこの役でオスカー取ったるで~!という気合いはビンビンに感じました。しかし皮肉なもので、その年のラジー賞では最低作品賞、最低女優賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞、最低脚本賞を受賞。特に主演女優のフェイ・ダナウェイが見事に空回ってしまっている点もこの映画の変わったチャームになっていると思います(笑)。でもだからといって決してつまらない作品じゃないんですよ。噴飯ものの駄作というわけでもないし・・・。ちょっとでも気になっている方は是非ご覧になってみて下さい。

余談:今は滑り止めが付いた超薄型の高性能ハンガーなんかが売っていますが、針金ハンガーが一番場所を取らないという点で便利じゃないですか?夫のシャツなんかは全部針金ハンガーです。自分の服はIKEAで買ったハンガーにかけてるけど(笑)。


ヨシキさんによる解説





『五日物語―3つの王国と3人の女―』お話力で魅せる、大人の為のおとぎ話







溝口健二の「雨月物語」の感想を書いた時に拙ブログの珍しい常連さんである「あい」さんから「ヴァンサン・カッセルが出てる映画の方かと思いました」と言われ、最近ご無沙汰だったヴァンサンのフィルモグラフィーをチェック。そのときにこんな映画があると知ったわけです。ということで、あいさんきっかけをどうもありがとうございました(私のハンドルネームと同じ起源を持つであろうお名前ですが、私のアルターエゴではないですよ)。

正直、おとぎ話かあ〜、なんかそこまで面白くないんじゃないかな・・・って思ってたんですよ。ここ数年のハリウッド映画で新解釈だったりヒネリを入れたりのおとぎ話映画がいっぱいあるじゃないですか。どれも正直イマイチだったんですよねえ。ジェレミー・レナーが出てた「ヘンゼル& グレーテル」はまあまあ面白かったんですけどメリル・ストリープが出てた「イントゥ・ザ・ウッズ」とか死ぬ程つまらなかったし・・・。ということで本作はヴァンサン目当てで鑑賞したんですがね、これがね、すっごく面白かったんですよ!

3つのおとぎ話が交互に語られるんですが、どれも初めて目にするものばかり(古いイタリアのお話らしい)。そして大人向けなんですよ。ダークでビター(日本ではPG12)。若干、教訓めいていたりもするんですが、お話が作られた17世紀初めから現在まで脈々と流れる、普遍的な人間の愚かさとか哀れさとかが過不足なく描かれていて素晴らしいのです。ストーリー自体が持つ「面白いお話力」みたいなものがガッシリしているなという印象でした。

さて、お話 は3つ。映画ではそれらが交互に描かれ、また話が切り替わるタイミングも絶妙なのですが、感想文は都合上3エピソードにわけて書きたいと思います。この3つ、実は同じ時代の近隣国で平行して起きている話で、登場人物たちが同じお祭りや舞踏会に出ていたりします。背景から察するに中世から近世のヨーロッパのようです。


その1:女王

ロングトレリスの女王(サルマ・ハエック)と王(ジョン・C・ライリー)は世継ぎを熱望していたものの長年子宝に恵まれず、女王はとても苦しんでいました。ある日、彼らの前に占い師(フランコ・ピストニ)が現れて「川に住むドラゴンを捕まえて心臓をえぐり、処女に料理させたものを女王が食べれば子宝に恵まれるであろう。ただし新しい命を得るに は一つの命と引き換えにする必要がある」と予言します。王は川に入りドラゴンを仕留めますが、そのときに命を落としてしまいます。ドラゴンの心臓を手に入れた女王は召使いの処女に料理をさせたものをムシャムシャと食べてめでたく懐妊し、エリアス王子(クリスチャン・リース)を産みます。ところが料理をした処女も妊娠し、同時期に王子とそっくりの男の子ジョナ(ジョナ・リース)を生んでいたのでした。産まれた二人は双子のようにそっくりで、兄弟同然のように仲良く育ちます。ところが女王はそれを許さず・・・という導入部。

サルマ・ハエックが子供が欲しくて狂ってしまった女王を怪演してましたね。夫である王の命と引き換えにしてでも子供が欲しいというのがすごい。王がドラゴ ンとの戦いで死んでも全然動じてないんですよね。夫よりも子供なんですよ。そして無表情でムシャムシャと血みどろのドラゴンの心臓を食べる・・・この強烈なビジュアルは海外版のポスターにもなっています。子供に恵まれず狂ってしまった妻っていうと食人鬼ならぬ食人木映画「オテサーネク」が思い浮かびますが、まあ結果ろくなことにならないんですよ。だからここからもう嫌な予感がするんですが・・・。



その2:ノミ

ハイヒルズの王(トビー・ジョーンズ)は一人娘のヴァイオレット姫(ベベ・ケイヴ)と暮らしていました。この王様がある日、不思議なノミを手に入れます。小さな箱で育てたところ、ノミは王の愛情を受けてスクスクと育ち、子犬サイズになり、ついには子牛サイズにまで成長 。しかし急に死んでしまいます。悲しんだ王はノミの皮をはいで保存するのでした。一方、ヴァイオレット姫は恋愛したいお年頃。父王に「私もそろそろ結婚する年頃だから、いい夫を探して下さい」とお願いします。父王はノミの皮の正体を当てた男を夫にすることにしました。様々な男たちがやってきて皮の材質を言い当てようとしますが、誰も正解しません(まさかあんな巨大な皮がノミだとは誰も思うまい)。ところが山奥に住む醜い怪物(ギョーム・デラウネイ)が見事にノミだと当てて、なんと姫は彼の妻になることに。父の命令は絶対なのです。嘆き悲しむ姫は怪物に山に連れて行かれ・・・という導入部。

いやー、この話がいちばん気の毒でしたね・・・。姫はロマンス小説を読んで「私も素敵な恋愛したいわん♡」と思い、夫探しを頼んだだけなのに、超ブサイク(というかもはや人間でさえない?)な怪物とつがうことになってしまって・・・。最初はイケメン(ちょいオーランド・ブルーム似)が現れて「どうか、彼が正解しますように・・・」と祈るんですが、アッサリ外れてしまい、後から来た怪物が正解しちゃうんですよ(笑)。この怪物はちょっと「グーニーズ」のスロースを彷佛とさせてましたね。山に連れてかれるんですが、最初は嫌でもそのうちブッサイクな怪物が意外と優しいことを知ってギャップ萌えして好きになるんじゃねーの?お見合い結婚って始まりがゼロだから後は上り調子で逆に恋愛結婚よりもうまく行くってよく聞くけど?と思うんですが、もうずっと嫌なままなんで すね(笑)。

父王役のトビー・ジョーンズは最近私が観る映画によく出て来る!「キャプテン・アメリカ」のマッドサイエンティスト、ドクター・ゾラですよ。なんと「SHERLOCK」の次シーズンの悪役も演じるとか。小さい彼が王様役なのを見ていると「魔法のプリンセス・ミンキーモモ」のパパ王とか、漫画「MONSTER」が実写になったら「赤ん坊」役なんてやらせたらいいんじゃないかなあ〜と思ったのでした。



その3:二人の老女

ストロングクリフの王(ヴァンサン・カッセル)は美女が大好きで好色な王でした。ある日、城下町から聞こえて来る美しい歌声を聞いた王はその声の持ち主を探し当てようとします。その声は老女のインマ(シャーリー・ヘンダーソン)のものでした。インマの家を突き止めた王は、その美声から若い女だと思って誘惑します。引き気味のインマでしたが、野心的な姉妹のドーラ(ヘイレイ・カーマイケル)がたきつけて王をじらし、その気にさせます。暗闇の中でなら契っても良いと言い、インマではなくドーラが王の寝室に上がります。ところが翌朝、ベッドで眠る老女のドーラを見て王は家来たちを呼び、彼女を窓から森に投げさせるのでした。木に引っかかって助かったドーラは森の中で魔女(キャスリーン・ハンター)に助けられます。するとドーラのシワシワの身体は若く美しい娘の姿(ステイシー・マーティン)に変身したのでした。森の中で狩りをしている王は、若く美しくなったドーラを見つけて、彼女がシワシワだったドーラだとは知らずに城に上がらせるのでした 。そしてドーラは王と結婚することに。インマの家にお城から結婚式の招待状とドレスが届けられます。

ヴァンサンが出るのはこのパート。登場シーンから美女2人とくんずほぐれつのご乱交をしていて、いや〜やっぱりヴァンサンだなあ!って思いました(笑)。しかし、PG12ってことは親の監督があれば12歳以下OKってことですよね。このお話はセックスシーンがあるので、ちょっと小学生には見せるのは微妙かも。ヴァンサンは毎日、美女たちと酒池肉林の乱交パーティーをしているんですが、ある日可憐な歌声を偶然耳にしてその娘に会いたくなるんですね。しかしその声の持ち主は可憐な処女などではなくシワシワのババアだったわけです。そのババア、インマを演じるのは「ブリジット・ジョーンズ」シリーズの親友ジュード役でもおなじみのシャーリー・ヘンダーソン(特殊メイクしてますが)。そしてその姉妹のドーラが魔女によって若返った姿が「ニンフォマニアック」のステイシー・マー ティンです。まあヴァンサンは女は若くてエロければいいと思っている単純な王様で特に深い役ってわけではないんですが、やっぱり彼が演じることでこのおとぎ話に個性的なアクセントが加わっていたと思います。



※ここからネタバレします。




その1:女王

サルマ・ハエックの女王は溺愛する自分の王子エリアスと召使いの息子ジョナが仲良くしていることに我慢ならず、引き離そうとしますがそれでも二人は離れません。しまいには自らジョナを肉貯蔵庫の中、肉棒で襲って殺そうとします。いやアグレッシブですな。普通高貴な人は自らの手を汚さず殺し屋を雇うのではないかと思いますが・・・。身の危険を感じたジョナはエリアスを振り切ってひとり、旅に出ることに。ジョナは出発前に木の根っこをナイフで切り、そこから沸き出した泉を指して「この泉の水が澄んでいる限り、僕は大丈夫だから」とエリアスに告げるのでした。毎日、泉の様子を見に行くエリアス。ある日、泉の水が濁り始めました。それ を見てジョナを案じたエリアスは彼を探す旅に出ます。エリアスが消えて半狂乱になった女王の前に、再びあのときの占い師が現れます。息子を戻して欲しいと頼む女王に「女王の持つ暴力的な欲望は、暴力のみによって満たされる」と告げるのでした。その後、深い森にある洞穴の中でエリアスはジョナを見つけます。ところがその洞穴の中にはモンスターがいてジョナを襲って来たのでした。エリアスは剣でモンスターと戦い、ついにそれを倒してジョナと一緒に森から出ます。そのモンスターの正体は女王だったのでした。

いや〜、なんか哀しい話でしたね・・・。
息子を盲目的に溺愛するばかりに、彼の本当の気持ちに気付かず逆に苦しめていたという哀しい母親。やはり予感していた通りのバッドエンディングになってしまいました。夫の命をないがしろにしてまで手に入れた子供だったのに、その子に殺されてしまうとは。ここから得られる教訓は、子供は親の思い通りにならないってことと、いつまでも子離れできない親は子供に重荷でしかないってこと、子供はいつか親の所有物ではなくなる、それを受け入れて子供の歩む人生を尊重せよ、ってことですかね・・・。いや心苦しい話でした。過保護や過干渉ってのは比較的近代の産物かと思っていましたが、中世でもこういう親はいたんですねえ。ということで普遍的な話であったのでした。


その2:ノミ

山奥のブッサイクな怪物の元に嫁いでボロボロになった姫ですが、ある日、山の岩肌に張り付いて薬草を取る軽業師の女(アルバ・ロールワッシャー)を見つけます。彼女に助けを乞うと、明日同じく軽業師の夫と息子達を連れて助けに来ると約束してくれたのでした。そして翌日、軽業師ファミリーがやってきます。綱を渡して息子が姫を抱えて驚異のバランスで綱渡り。すると帰って来た怪物に気付かれてしまいます。フンガーッ!と逆上して綱を渡って来る怪物。ギリギリのところで綱が切られ、怪物は谷底深く落ちて行ったのでした。フーッ、助かって良かった・・・。と思わず額の冷や汗を拭うシーンです。軽業師ファミリーには三人ぐらい息子がいてみんな姫ぐらいの年でそこそこイケメン。これはこのうち誰かひとりと恋に落ちちゃうんじゃないの〜?って思ったわけなんですが。この物語はそんなスイートな着地を許してはくれません。

軽業師ファミリーと共に馬車でお城へと戻る姫。ところが、谷底に落ちたはずの怪物がなぜかリバイバルしてまたフンガーッ!と彼らを襲撃してきたのです!ヒーッ、死んだはずだよ、お冨さん!みんなあっという間に殺されて、怪物は姫をまた拉致しようとします。姫はあきらめたのか大人しくなり、自ら怪物の背におぶさります。DVにあって周りの助けを借りて逃げて来たのに、追いかけて来た夫に愛を感じてまた戻るダメなタイプ・・・?と思いきや、姫は隠し持っていたナイフで怪物の首をかくのでした。さすがに首を切られた怪物は死亡。姫はその首を持って城に戻り、病床にいた父王に再会。父王は退位し、姫が新女王として君臨するのでした。

いや〜、いち女子の成長物語としても見応えがありましたね。最初は「イケメンと恋愛したい♪」と言っていた恋に恋するフワフワした乙女。んで怪物の嫁にされてボロボロになり人を頼ったけれども、最終的には自らの意志と力で落とし前をつけて見事シャバにカムバック。姫の顔つきが最初と最後で全然違って見えるんですよ。修羅場をくぐり抜けた最後はかなりイイ顔になっていたと思います。女優さんが美人でもブスでもなく、ややポッチャリの普通めなオナゴだったのもよかったですね。親しみがあって感情移入できました。犠牲になってしまった親切な軽業師ファミリーは可哀相でしたが。


その3:二人の老女

お城に上がったドーラから贈られたドレスを来て結婚披露宴に参加するインマ。そこでドーラが輝くように若く美しくなっているのを見て驚きます(老女からステイシー・マーティンだから)。インマは宴が終った後も城内に残り、ドーラにどうやって若返ったのか秘密を教えて欲しいと懇願します。しかしドーラ自身もそれはわからないのでした(魔女の力だし)。しつこく頼むインマにうんざりしたドーラは「シワシワの肌をナイフで剥げば、下から新しい肌が表れる」と適当な嘘をつくのでした。インマがドーラと寝所にいるところを見つけたヴァンサンの王様は、彼女がかつて自分と暗闇の中で寝た老女だと思い、再び護衛のものに窓から投げさせようとします。ドーラが必死で王に頼み込んだおかげで、インマは投げられずに城から追い出されるのでした。城下町に戻ったインマは、ナイフ研屋の男に宝石と引き換えに自分の肌を剥いでくれるように頼みます。森の中で肌を剥がされ血だらけになったインマですが、もちろん下から新しい肌など出て来るはずもありません。ただ茫然自失としてその場に佇むことしか出来ませんでした。一方、その頃のドーラは「ノミ」の姫の女王戴冠式にヴァンサンの王様と出席していました。しかし、彼女にそのときに変化が訪れます。なんと肌の衰え始め、首筋や手などにシワがより、シミが出て来ました。魔法の効力が消え始めたのです。そっと、誰にも気付かれないようにドーラは城を後にするのでした。

いや〜、これも哀しい話でしたね。若さと美しさがあれば玉の輿に乗れるということに振り回された二人の老女。特にもともとの美声で王を魅了したインマは、つかの間の玉の輿にも乗れず、肌を剥がされて本当に可哀相でした。彼女が森で肌を剥がされるシーン、その後「何も変わらない・・・」とボーっと佇むシーンは引きで撮られていて、またそれが怖かったです。ヴァンサンの王様は特にストーリーを通じてキャラが変わるわけでもなく、最後までわがままで不埒な王様でした(笑)。この後「美女と野獣」(感想後日)も観ましたが、最初は傲慢な身分の高い男という本作のキャラと同じ様なトーンの役で「また(笑)」と思ってしまったのでした。

この三話、ロケーションも素晴らしかったですね。どれもサンドベージュの石で作られた乾いた感じのお城が舞台なんですよ。ヨーロッパっていうとゴシック建築とか有名ですが、比較的簡素な印象のお城で周りには広く砂漠っぽい風景が広がり、どことなくインド北部や中東っぽい空気感が漂っていました。調べたら南イタリアにあるお城が使用されたようです。南欧というのはその他ヨーロッパ地方とはまた違う風土があるんでしょうね。

日本版の予告編は各話のテーマが、女の性(さが)と欲望として強調されています。「女王」では何としてでも母になりたいという欲望、「ノミ」ではまだ見ぬ大人の世界(すなわちイケメンとの恋愛)への憧れ、「二人の老女」では若さと美貌への執着(そして玉の輿)・・・観ているときはあまり意識しなかなかったけど、そうやって提示されると「なるほどなあ〜」という感じ。それともそれらを無自覚のうちに鑑賞していたということは自分の中にも、こういった欲望がナチュラルに存在しているが故なのか・・・。そう考えると、ちょっと怖いですね。

ということで本作は単なるフワフワした甘いおとぎ話映画では全然なかったのです。普通のおとぎ話映画がマシュマロやカップケーキだとすると、本作は熱くて濃厚なショコラが中からドロリと流れ出すガトーショコラ、いや洋酒をきかせたドッシリとした味わいのブランデーケーキ。とにかく濃厚で大人な味わいなのでした。

『赤線地帯』ライフ ゴーズ オン



      
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名画座で開催されていた溝口健二特集、四作目です。これまで「雨月物語」、「楊貴妃」、「山椒大夫」を観て来ましたが、本作は唯一の現代劇(といっても売春が合法化されていた時代の現代だけど)。本作が一番面白かったです。吉原の「夢の里」という売春宿に所属する五人の売春婦たちの生活を描写した群像劇です。それぞれに売春せざるおえない事情と借金を抱えている女たち。しかし売春宿に身を落とした女性と聞いて想像されるような湿っぽさはほぼなく、時に淡々と時に小さな諍いを起こしながら「夢の里」の営業が粛々と続いて行く・・・という感じ。しかしそれゆえに一抹の哀愁が漂う、何とも言えない渋さが漂う佳作だと思います。ちなみに本作は溝口監督の遺作だそうです。

五人の娼婦たちはそれぞれに年齢やタイプが違っていて、娼婦という特殊な職業だけれども女性ならば「私はこのタイプだな・・・」とか「私は彼女みたいかも・・・」などと無意識にキャラクターを当てはめたり共感したりしてしまうかも。そういった人物造形も素晴らしかったと思います。YouTubeでフルムービーが上がっているので、ご興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。


※ネタバレします。



まずはメンバー紹介から。溝口作品常連の京マチ子様が演じるミッキーは都会の派手な遊び人で、若くて勝ち気なモダンガール。いつも抜群のスタイルを強調した洋装で「ウチはいい女」とお高くとまっており、他の娼婦のおなじみさんも平気で奪ったりするビッチです。しかし実は神戸のお金持ちの娘で、体裁を気にした父親が連れ戻しに来たりして修羅場を演じることになるのでした(しまいには父親に自分を買えという衝撃のセリフも)。女癖が悪く母親を苦しめた父への気持ちが彼女をこうさせているのかと思いました。私が今まで観て来た京マチ子様は時代モノの貴婦人役ばかりだったので、こういうイマドキなズベ公(昭和の死語)のマチ子様は新鮮!でもはまってる!馴染み客を奪われて文句を言う娼婦に「そやかて、ウチの方が若いから当然やろ?」などと歯に衣着せぬ物言いも実に爽快なキャラクターなのでした。

平凡な結婚をして専業主婦になることを夢見るより江(町田博子)は、一番の堅実派。めでたく身請け先が決まり仲間に祝われて寿退社をしますが、婚家で壮絶にこき使われて吉原に出戻って来るのでした。今も昔もこのより江さんみたいな人はおそらく一番多いタイプなのではないかと思います。結婚に夢を見すぎちゃって現実を見た後「こんなはずでは・・・」となってしまったという。おそらくそれでも我慢している女性も多いのでしょうが、彼女は耐えきれずまた戻って来ます。しかし当時売春は合法化されて いたので見方によっちゃ自立した職業婦人ってことになるのではないでしょうか。それでも彼女にはいつか夢見た通りの幸せを掴んで欲しいなと思わずにいられません。

通いの娼婦であるハナエ(木暮実千代)は働くことの出来ない病弱な夫と幼い子供を抱えての奥さん娼婦。部屋を追い出されたりして貧乏のどん底で絶望した夫が自殺未遂をしてしまいます。この五人の女達の中で、私が共感したのはこのハナエさんですね。娼婦といってもケバケバしさとは無縁。もたいまさこを若くしたみたいなすごく地味でまっとうな女性なんですよ。メガネをかけていてかなり年配に見える(それでも30は行ってないのかもしれない)。病弱な夫と赤ん坊がいて生活に苦労してるんですね(夫はもちろん妻の職業を知っている)。私の夫は病弱じゃないし赤ん坊もまだいないけど、私がこの映画に出るのだったらきっとこの役・・・などと何故か勝手に思ってしまったのでした。

しかしハナエさんの夫がちょっとひどい。役所をリストラされたということですが、病弱で働かないのは差し置いて、妻が身体を売って暮らしていると言うのに結婚していくより江に向かって「もうこんな仕事に絶対もどっちゃダメだよ。こんな仕事している女性はね、社会の屑だ」みたいなことを言うんですよ(妻も聞いているというのに)。彼はここまでして家計を支える奥さんをもらったってことに死ぬ程感謝した方がいいですね。仕事から帰った妻ハナエさんが幼い息子を抱きながら「もうこんなに可愛くなって、『ママ』って言うのよ。こうなっちゃ心中も出来ないわね・・・でもね、いつかきっと生きててよかったって思うときが来るわ」としみじみ言うシーンが切ない!

ゆめ子(三益愛子)はいつか一人息子と一緒に生活出来ることを夢見て働くかなりトウのたったオバチャン娼婦(いつもお声がかからずに、お茶をひいてばかりいる)。年頃になった息子に職業の実態を知られて絶縁宣言され、ついには気が触れてしまいます。ゆめ子役を演じた女優さんは当時の母子もので人気だった方らしく、この愛息に裏切られるという展開は結構辛いものだったようです。もうひたすら息子ラブで息子だけが生き甲斐だったんだけど、客引きで男に媚びているところを高校生くらいの息子に見られてしまい「汚い!もう会いに来るな!」と罵られるんですね。息子をここまで大きくしたのもこの仕事があったからなんですが、これもまた切ないです。最後には気が狂ってしまうという悲しい悲しいキャラクターでした。

やすみ(若尾文子)は若くて美しく売上ナンバーワンですが打算的な娼婦で、馴染み客から金をせびってはせっせと貯金に励む日々。彼女は父親が犯罪で捕まってその保釈金の為に売春をしており、とにかくお金がすべてというキャラクター。確かに信用できるのはお金だけってのは社会の真理かもしれません。しかし、横領してまで彼女につぎ込んだ馴染み客から殺されそうになるのでした。そんな修羅場をくぐり抜けたやすみは馴染み客の商売(貸し布団屋)をそっくりそのまま引き継ぎ、女主人の座におさまります。演じるのは若尾文子様ですよ。さすがにお綺麗で、この方に「ねえちょっと都合して欲しいのよぉ・・・」などとしなだれ掛かれたらそりゃ横領もしてしまうでしょう。そのしたたかさで唯一、カタギに戻ることが出来るというたくましいキャラクターでした。

とにかくほとんどの娼婦にいいことなんか起きないんですね。特に私が共感するハナエさんと息子に絶縁されて発狂してしまったゆめ子さんには悲惨な末路が待っているのでしょう。しかし彼女たちが愚痴を言い合いながら、おでんをつつき店屋物の丼をかきこみ自らのいけてない人生をひたすらスルーしていく描写に、ごく普通の人間が持っているたくましさとか力強さが滲んでいてなんか力づけられるというか、まあこうやって仲間と仕事や境遇を愚痴りながら食べ物にありつける状況ってのもそこまで悪くはないんじゃないか・・・みたいな感じもするんですね。どんな辛いことや嫌なことがあっても、おまんま食べて生きて行くしかない、Life goes on and on....みたいな開き直って、諦めの境地を越えてのタフネスのようなものがあるんです。

時代やシチュエーションは全然違うんですけど、自分が東京のチャコールグレー企業(ギリギリのところで遵法してるからブラックではないが労働条件&環境悪し)で働いていたときのことが少しオーバーラップするのでした。当時私の夫は無職だったし、狭い部屋に住んでたし、働いて働いて目標達成しても給料はガンとして据え置きだしで辛かった(だからハナエさんに共感するのかも)。でも友人と一緒に美味しいものを囲みながら愚痴りあったり、励まし合ったり、ダラダラと話したりすることでホッとしたりしてたんですね。まさにこの映画で娼婦たちがお茶を飲んだり何か食べたりしながらダベり合うのと同じです。そんなようなことを思い出したのでした。

当時の国会では売春禁止法案が可決されるかどうかの瀬戸際だったようで、売春宿の旦那さんや奥さんが始終ラジオをつけて動向を気にしているのでした。確かに法案が可決されれば商売あがったり。女たちは職場を奪われるのですよ。だからうちら売春屋は必要悪だ、いやむしろ社会的事業なんだ!と旦那さんが開き直るシーンが度々ありましたが、確かにそういう側面もあるんですよね・・・。しかし合法化されていたぶん、商いの様子は思ったよりずっと健全な感じ。旦那さんは同業者との会合に出かけたり、見回りの駐在さんが店に来たりと本当に普通の飲み屋さんみたいな感じでした。

ラスト近くで新しく売春宿にやってきた素朴な若いオナゴしず子(川上康子)が、女将さんから化粧を施され客引きをするシーンで終ります。まだ処女なのに客を取るというハードさですが、彼女からはそういった悲壮感はあまり感じられません。それより住む所と食事があってよかったという感じにも見えます。初仕事にあたってミッキーから「そんなん簡単や。はよ捨て」的なアドバイスをもらい、道に立つしず子。彼女がぎこちなく「ちょ、ちょっと・・・」と道往く男に声をかけるところで映画は終ります。ドヌーヴ様の「昼顔」では売春婦になるまで結構迷うシーンがあってそれがまたグっと来る感じになっていたのですが、この映画ではそういう逡巡とか耽美がバッサリ切り捨てられていて、それがまた娼婦として働く女のリアルな感じを浮き彫りにしていたような気がするのでした。身体を売ることが何か淫靡な秘め事、ではなく日々の労働なんですよね。

とにかく各女優が本当に現実に存在している人みたいに役にピッタリだったし、逆境の中を生きて行く女性映画としてもすごく良く出来ていて溝口作品の最高傑作と言われているのも納得です。娼婦たちを妙に美化したり悲劇ぽく描いたり、ポジティブ/ネガティブがハッキリわかるような着地にしたりしていないのも素晴らしいのでした。現代劇だしこの映画が一番ゴダールぽいかも(もちろん影響を受けているのがゴダールなのであるが)。ゴダールがアンナ・カリーナ主演で撮った娼婦映画の「女と男のいる舗道」は、本作の影響を受けているという指摘もあるようです。観たけどアンナのボブヘアとシャツとスカートという衣装しか覚えていません。大体私にとってゴダール映画ってそんな感じです・・・。


『雨月物語』分不相応な夢を見て大失敗するのはこの世の普遍なり



        
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雨月物語 [DVD]
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久々の名画座です。先月に溝口健二特集が行われており「名前だけは知っている日本映画の巨匠だから、勉強だと思って観に行こう」と観て来ました。私は全然しらなかったのですが、名画座のパンフレットによるとゴダールが溝口の大ファンらしく影響を受けているとのことで、彼のコメントも載っていました。へえ~知らなかった・・・。ということで何本か観たのですが、最初は「雨月物語」です。この古典の名も中学か高校の頃に聞いたことがあるような。平安時代かな?と思ったら江戸時代に作られたホラーアンソロジーみたいな本らしいんですね。各物語の舞台は戦国時代だったりするみたいです。

戦国時代、近畿地方にある村で焼き物を作りながら細々と生きていた農民の源十郎(森雅之)とその妻宮木(田中絹代)。近くには源十郎の妹阿浜(水戸光子)とその夫藤兵衛(小沢栄)が住んでおり、源十郎の仕事を手伝っていました。ある日、戦になり村が焼き払われてしまいます。命からがら逃げた一家は、湖(琵琶湖?)を渡り、栄えている町へ行って焼き物を売ることに。しかし湖には海賊が出ると聞き、妻の宮木とまだ幼い子供は残ることになります。なんとか町へついた源十郎たち。藤兵衛は侍になるという長年の夢が捨てきれず、妻阿浜の静止を振り切って町へ飛び出して行くのでした。一方、道で焼き物を売ってひと財産稼ぐことのできた源十郎ですが、高貴な婦人、若狭(京マチ子)から焼き物を納めることを依頼されて彼女の屋敷へ向かいます。若狭に気に入られ屋敷に留まることを勧められるのですが・・・。



※ネタバレします。




大雑把に言うと源十郎と宮木、藤兵衛と阿浜の二組の夫婦の話で、立身出世や金持ち美女との甘い生活というどちらも夫が分不相応なものに夢を見たりしたおかげで妻も散々な目に合うというストーリーです。だから「そんなことがあるわけないだろ!目を覚ませ!」と思いつつも簡単に足下をすくわれ、そして見事にその後でしっぺ返しをくらう夫たちを見て「ほら~、だから言わんこっちゃない・・・」となるんですね。夫を信じて待っていたり、心配したりしていた妻が本当に可哀相。彼女たちには命を落としたり身体を売ったりという「夫がいたらない為にそこまで?」という転落が待っているのですから。しかしこういった話は設定やシチュエーションやシリアス度合いは異なるものの、現在でも色んなところで起こっている普遍的なもの。だからこそ内外で高く評価されているのでしょう。

広い湖に漕ぎ出すシーンなんかは幽玄で美しく、まるで三途の川のほとりのよう(実際、源十朗と妻にとっては今生の別れとなる)。DVDはどうかわかりませんが、フィルムの状態がものすごく悪くて輪郭がにじんでよく見えなかったり、途中でブツッと切れたりするのも地味に恐ろしかったですね。50年代の映画なんですが、もっと昔に作られているような感じがしました(なんだったら本当に戦国時代なんじゃないか・・・と思うほどリアル)。1953年といえば「ローマの休日」なんかも作られている年です。「ローマの休日」はあんなにコンディションがよくて今もじゅうぶん綺麗な映像なのに・・・やはり戦勝国と敗戦国の違いなのでしょうか。しかし「雨月物語」はそんなフィルムコンディションさえも作品のなんともいえない味になっているような気がしました。

特筆すべきはやはり若狭を演じた京マチ子様ですね。お姫様なんですが実は物の怪であったという設定が難なくなじんでいます(ばあや役の人も怖かった)。京マチ子様って映画によって顔が全然違う様な気がするんですよね。本作だと、おかめのような歴史的な日本の美人(笠をあげてドヤ顔を見せるシーンで「うーん、美人かな・・・。まあ映画の中では絶世の美女なんだろうな・・・」と脳内補正が求められる)。「羅生門 」(50年制作。てか本作よりこっちの方が古いのか!衝撃)では女優の川上麻衣子っぽい感じの上品なアッサリ顔。「楊貴妃」(感想文のちほど)では目鼻立ちがクッキリした現代的な美人。役によって全然印象が違って驚きました。どの役も高貴な婦人という共通点はありますが。

色々と溝口監督についてのエピソードを読むと、かなりエキセントリックというか芸術家肌の方だったんだなと思います。本作で、侍になるといって消えてしまった夫の藤兵衛を探しに行った阿浜が賊に襲われるというシーンがあるのですが、なかなか満足できるテイクが取れずにイライラした監督は阿浜役の水戸光子に「あんたは輪姦された経験がないんですか!」と怒鳴ったとか。こういった仰天エピソードには枚挙にいとまがないようです。こちらで芸術を勉強している友人が国家芸術家(日本で言ったら人間国宝級のすごい方)の先生についてレッスンを受けているのですが、そのような先生方も指導で「ええっ?」と仰天するようなことを仰るそうで、ああやっぱり巨匠ってのは常人とは違う世界に生きている人たちなんだなあ〜と思います。

でもゴダールっていったいどこが溝口に影響されているのだろうか・・・?と不思議でした。この映画自体はなにしろ70年近い前の作品なのでテンポがゆったりしている部分はありましたが、普遍的なテーマと人間の弱さが描かれていて面白かったです。

『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』キリアン・マーフィー&ジェイミー・ドーナン共演、対ナチスレジスタンスたちの熱きドラマ in プラハ






ナチス占領時代のチェコ・スロバキア(当時)で起きたレジスタンスの若者たちによるナチス高官暗殺事件とその後の戦いを描いた映画です。この映画のことも、元になった歴史上の事件のことも、なーんにもなーんにも知らなかった私ですが・・・。友人のY嬢(戦時下の欧州歴女)がこの映画に誘ってくれたのでした。ネットで検索し「へー、プラハで。へー、こんなことが。でも演じるのはイギリス人なのね・・・。チェコ人を英国イケメン俳優(キリアン・マーフィー&ジェイミー・ドーナン)が演じてくれるなんて光栄じゃあないの」という程度、あとは歴史的事実を軽くWikiで参照した程度で鑑賞しました。

映画館に行く前に、Y嬢が映画のロケ地へ連れて行ってくれました。そこは聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂(外側だけロケ使用。内部はセットらしい)。場所はメトロ/トラムのカルロヴォ・ナーメスティー(カレル広場)のすぐ近くです。大聖堂のあるこの道は車で何度も何度も通っているところ。なんか古い教会があってレリーフの前にいつも花やキャンドルが置いてあるなあ、程度に思っていたのですが・・・。入ってみたところ、聖堂の内部は透明な板で囲まれていて中に入れず手前で見学するだけになっていました。古めかしくて、そこまで大きくはない聖堂です。

その下に半地下のギャラリーがあり、アンソロポイド作戦についての展示がありました(入場無料)。説明パネルと実際事件に関わった人々の靴やカバンなどが展示されています。英語でも説明文があるのですが、あまりにも長文のため読むのをあきらめ写真のキャプションを読んで「ここでレジスタンスたちが命を落としたらしい」とボンヤリとした情報を得た私。Y嬢が「ほら、これが◯◯◯で・・・」と説明してくれるのですが「討ち入りっていうか、忠臣蔵の善悪逆転バージョンみたいな感じ・・・?」とさらにボンヤリしたイメージが出来上がっ たのでした。ギャラリーでは子供たちが描いたアンソロポイド作戦の英雄たちのお絵描きも飾られていて、この国の人々は幼い頃からこの歴史について親しみがある様でした。

そしていざ鑑賞。感想は・・・面白かった、胸アツ、この事件のことを知らなかった自分が恥ずかしい(聖堂の前をよく通っているのに)・・・というもので、教えてくれたY嬢に大変感謝しました。「今までに何度も映画化されてるし、てっきり知ってるのかと思った」と言っていましたが、私は歴史物が苦手。特に戦争ものはほとんど観ていないのです・・・。

ということで、以下自分のメモも兼ねて関連リンクを貼っておきます。
Anthropoid (film) Wikiのページ
エンスラポイド作戦 Wikiのページ
キリアン・マーフィーが演じたヨゼフ・ガプチーク Wikiのページ
ジェイミー・ドーナンが演じたヤン・クビシュ Wikiのページ
ベーメン・メーレン保護領
ラインハルト・ハイドリヒ


以下、導入部あらすじです。

1941年の12月、チェコ亡命政府のエージェントであるヨゼフ・ガプチーク(キリアン・マーフィー)とヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)はパラシュートでナチスドイツ占領下のチェコに潜入する。途中で敵側に見つかるも、ヨゼフの機転で危機をくぐり抜けた二人はプラハへ向けて移動する。プラハでレジスタンスの「アンクル」ことヤン・ゼレンカ ・ハイスキー(トビー・ジョーンズ)とコンタクトを取り、二人はプラハにいるレジスタンスのメンバーに「アンソロポイド作戦」の内容を明らかにする。それは当時ベーメン・メーレン保護領とされたチェコ・スロバキア一帯を統治していたナチス高官のラインハルト・ハイドリヒ(デトレフ・ボス)を暗殺するという作戦だった・・・。アンソロポイド作戦の遂行がナチ占領下欧州の状態を崩すきっかけになるという信念のもと、ヨゼフとヤンはアンクルたちと共に諜報活動に励む。レジスタンスのモラベッツ一家のもとに居候し、家族の友人である若い女性マリエ(シャルロット・ルボン)とレンカ(アンナ・ガイスレロヴァー)の協力を得て次第に計画は現実味をおびて来る。1942年5月、ついにアンソロポイド作戦決行のときがやってくるのだった・・・。

ここまでが結構長いんですよね。しかもちょっとばかし退屈。だから「やっぱ歴史物ってモッタリしてるなあ」と眠くなるんですが、ここまでは前半部なので作戦決行から勢いが付いて引き込まれて行きます。メインの俳優陣ですが、ほとんどがイギリス人なんです。キリアン・マーフィーはアイスブルーの瞳が印象的な俳優さんで「プルートで朝食を」や「バットマン(クリスチャン・ベール時代)」に出てる人ですね。知的でセクシーな感じで、どことなくベネ様とイメージがかぶります。まあベネ様の方がずっとずっと個性的なお顔だけど。相棒役には「フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ」(観たけど感想文なし)のSMイケメン富豪役が記憶に新しいジェイミー・ドーナンです。実年齢はヨゼフ役のキリアン・マーフィーがアラフォーでヤン役のジェイミー・ドーナンがアラサーくらいですね。だから兄弟的なペアという感じにも見えます。

プラハの「アンクル」を演じたトビー・ジョーンズは映画ファンならおなじみの小さなおじさん。「キャプテン・アメリカ」の悪の枢軸ハイドラ(まんまナチス)お抱えの科学者ドクター・ゾラ(これは確かドイツ人役だったっけ)や英国俳優大挙出演のスパイ映画「裏切りのサーカス」などに出てます。レジスタンスに協力する若い女性マリエを演じるシャルロット・ルボンは「イヴ・サンローラン」(ギャスパー・ウリエルじゃない方)にイヴのミューズ役で出ていた美人。レンカ役のアンナ・ガイスレロヴァーは チェコの超実力派女優で、私が観た映画だと「幸福の罪」で怪演してました。彼女の映画はこれと「Honeymoon」(感想文なし)しか観てないのですが、人生のド絶望みたいなものを演じさせたら右に出るものなしというクールビューティーで怖い怖い女優さんです。

あとのレジスタンスメンバーもほぼイギリス人、少しチェコ人というキャスティングでした。エンドクレジットを見て笑えたのがナチス側の俳優がほぼチェコ人だったことですね。あとは、やっぱり言語の問題が・・・。英語圏制作映画では誰もが英語を話している前提なのはよ~くわかっていますが、本や手紙はチェコ語になっているのに(通りのプレートはドイツ語)みんな英語を話している。しかもキャストごとになまり方が色々でした。本当はチェコ人の英語って変ななまりがほぼなくって、すごく聞き取りやすいんですよ。でも妙な東欧風?なまりになってたり、ドイツ風だったりはたまた南欧風?だったりと、役者ごとになまりにバリエーションがあったので耳が少し疲れてしまいました。イギリス人俳優はイギリス英語で話してくれれば、ええんや・・・。

ナチス側の通訳が、高官の話すドイツ語を英語に訳してチェコ人とコミュニケーションを取るシーンは「あ~」と思ってしまいましたね。それに返すチェコ人の英語も妙になまっているわけで言語的にそれはそれは不思議な世界観になってしまうわけです。これはもう、しょうがない!ショーン・エリス監督がメイキングで「本当はチェコ人俳優によるチェコ語の映画にしたかったけど、それだと公開規模等で制約 が出てしまうから英語にした」と仰っていました。 やはり英語作品じゃないと色々な人に観てもらえませんからね。これはこれでベストな形なんですよね。私もおそらくチェコ映画だったら観ていないでしょうし・・・。



※以下、ネタバレします。



歴史的な出来事を描くという他に、レジスタンス活動にすべてを捧げた若者たちの青春という側面も描かれているんですね。ヤン(ジェイミー・ドーナン)は潜伏先のモラベッツ一家に出入りしている美しいマリエ(シャルロット・ルボン)に一目惚れしてしまうんです。台所で彼女に何気なくアプローチするヤン。「え、任務は・・・?」と思ってしまうんですが、イケメンなジェイミー・ドーナンなのでまあしょうがないのか(笑)。あっという間にヤンとマリエは恋仲になり、ついには婚約しちゃうん ですよ。一方のヨゼフ(キリアン・マーフィー)は同じく協力者の女性レンカ(アンナ・ガイスレロヴァー)と心を通わせます。でもヤン&マリエよりもずっとさりげない感じで、作戦の前にお別れのキスをする程度なんですね。作戦決行後にこの二つの恋が、あっけなく散って行くのがまた切ないんですな・・・。

ところで。この作品ではストレートの恋愛だけが描かれているわけではありません。ヨゼフ→ヤンのブロマンスも描かれてるんですね。観ていて「あっ・・・監督、今、腐女子に目配せしてるよね・・・?」という瞬間があるんです。まずは台所でマリエに言い寄るヤンのシーン。最初はヤンとマリエの二人だけだったと思うんですが「そうはさせるか!」とばかりにヨゼフも台所に現れて邪魔 をするので、嫉妬しているように見えるんですよ。その後、ヤンとマリエがしっぽりしているのを発見してしまったヨゼフはレンカとレコードをかけて踊ったりするんですが、現場を押さえてしまい傷づいてる感は隠せません(切ない・・・)。そしてモラベッツ家の一人息子アタ(ビル・ミリナー)のお誕生日会の席でヤンとマリエが婚約発表。「ちょ、おま・・・!」と裏切られた顔のヨゼフ。まあ生死をかけた任務の最中に何やっとんじゃ、ってことでもあるんですがBL的にグっとくるところです。

白眉は作戦決行の直前にヤンが取り乱すシーンですね。モラベッツ家の部屋で武器を確認する作業をするヨゼフとヤン。アンソロポイドは決死の作戦だったので、実行部隊は独身者ばかりが選ばれていたので した。しかしヤンはこの時点でマリエと婚約しているから、もう守るものが出来てしまったわけです。急に弱気になり「いやだ、死にたくないっ・・・!」と銃を持ったまま泣いて暴れ出すヤン。そんなヤンを後ろから抱きとめて「大丈夫だ、ゆっくり銃を下ろして・・・」落ち着かせるヨゼフ。ヤンが暴れたときに割れたガラスの音を聞いてモラベッツ夫人が「どうしたの?」と部屋にやってくるわけですが、ヨゼフが「大丈夫ですから!」と夫人をシッ、シッ!とばかりにすごい勢いで追い払います。夫人完全に邪魔者ですね。ここも萌え~。というわけで、しっかり監督からの目配せをキャッチしたのでした。

個人的にテンションが上がったのが聖堂以外の何気ない場所でのロケ。「うおー、ここよく通ってる!」とか「ここ家の近く!」という場所が出て来て驚きました。そういえば去年のある日に近所の通りが封鎖されてクラシックな装いのエキストラがたくさんいるのを見て、ドラマか映画の撮影かと思っていたのですが、本作だったのかも。ということでいよいよ作戦決行となるわけですが、ここの緊張感がすごかったですね。ターゲットのハイドリヒは居住地から本部が置かれているプラハ城まで車で出勤していたんですが、この車がオープンカーで運転手兼護衛が1人だけ。手薄なんですよ。Y嬢によるとハイドリヒはプラハ市民からの好感度を上げるためにこのようなスタイルを取っていたんだけど、ヒトラーからは警備を厚くするように忠告されていたんだそうです。

通行人のふりをしたレジスタンスの1人が道を横断するふりをしてハイドリヒの車 を止め、そのときにヨゼフが前へ出て銃を乱射するというプランだったんですが、こんなときにヨゼフの銃がまさかの弾つまり。ヨゼフが撃たれる前にヤンが手榴弾をハイドリヒの車に投げ込み、銃撃戦になります。その後至近距離から肩を撃たれたハイドリヒは負傷しましたが、即死には至りませんでした。

ハイドリヒ暗殺未遂ということで街の中はナチスによる厳しい粛正が行われます。レジスタンスのメンバーたちはモラベッツ家を離れ、聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂の地下にある納骨堂に潜伏することになるのでした。聖堂キター!という感じですが、ここから破滅への道が始まるわけです。ハイドリヒは病院で死亡。アンソロポイド作戦は成功したのですが、ナチスは暗殺者の情報提供に懸賞金をかけます。レジスタンスの中に裏切り者がいてナチスにタレコミをしてしまうんですね。この人がカレル・チュルバ(イジー・シメック)という人でY嬢曰く「実際の写真を見るとレジスタンスメンバーで一番イケメン」ということ。確かにそうかも。

裏切り者のカレルのせいで、レジスタンスを匿っていたモラベッツ家に手入れが入ります。レジスタンスメンバーは事前にアンクルから自殺用のお薬を配布されていました。なのでモラベッツ夫人はお薬を飲んで自殺。アンクルもお薬で自殺。マリエがどうなったかは語られませんでしたが、レンカはその前に命を落としたことが描写されていました。モラベッツ家の一人息子のアタが連行されて拷問にかけられます。この拷問シーンが辛かった。 アタ君はバイオリニストを志す少年なんですが、バイオリンは踏まれて壊されるし、指は折られるし。そしてダメ押しでお母さんの生首を見せられてレジスタンスの潜伏場所を吐いてしまうんです。このときにバケツに入ったフェイクの生首がしっかり画面に映るんですが、ラテックスの作り物感があって残念!これはブツを見せるより「バケツの中に何か恐ろしいものが入ってます」という撮り方のがずっとよかったでしょう。

そして大量のナチスが潜伏先の聖堂にやって来て、壮絶な銃撃攻防戦が始まるのでした・・・。確かレジスタンス数名が立てこもった聖堂で自決をするまでに6時間も要した、と最後のテロップに書いてあったような・・・?これもすごいことですね。聖堂の上部にいたヤンと数名が かなりの数のナチを殺したので、地下の納骨堂にいたヨゼフと数名には少しの猶予があったようです。確かヤンが銃弾に倒れた瞬間、それがヨゼフにもわかったという描写があったかな。聖堂の外壁から地下の納骨堂へ通じている穴へ放水されヨゼフたちは水攻めにされるんですね。この外壁の穴が大きな通りに面していて、今も穴の周りには生々しい銃弾の後が残されています。現在、穴の上にはアンソロポイド作戦の英雄たちを讃えるレリーフがあり、花輪やロウソクが絶えることがありません。「ここいつもお供えしてあるなあ」と何気なく通り過ぎていたあの穴が!実に生々しい歴史の証人だったわけです・・・。

ダイナミックな立てこもり銃撃戦でしたがラスト近くで水攻めになってからは一切の音 が遮断され、静に静かにレジスタンスたちの最期が描写されて終ります。この動から静へのスイッチング演出が見事でした。ただ、ヨゼフの前に既に亡くなったレンカの幻が出るのはちょっと感傷的すぎたかな。レンカよりもヤンとの思い出がフラッシュバックで挿入された方がよかったかもしれません。これまでに腐女子目配せがあっただけに。そして映画が終了する前に、この作戦のインパクトや歴史への影響がテロップで語られます。ハイドリヒ死亡後、ナチスは見せしめとして田舎の村を皆殺しにしたり、大量のチェコ人を処刑したりしたそうな・・・。絶句・・・。しばらくショックで言葉が出て来ませんでした。

しかしながらアンソロポイド作戦の成功は当時の戦局をマシにしたという見方もあるそうです。そしてアンソロポイドは成功した唯一のナチス高官暗殺事件なんだそうです。そういえばトムちんの「ワルキューレ」もヒトラー暗殺の話だけど失敗してましたね。すべて70年ちょい前の話ですが本当に恐ろしい時代であり、今もテロの驚異などありますが当時と比べたらだいぶ平和なんだなと思わずにはいられません。日本公開ですが、現在のところ未定のようです。主演の二人は日本でも知名度がある俳優さんだから、公開規模は小さくても実現するといいなと思います。



Anthropoid.jpg


「我らは決して降伏しない!」プラハ 聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂の7人の英雄たち
キリアン・マーフィー演じるヨゼフは上段左。
ジェイミー・ドーナン演じるヤンは上段真ん中。
裏切り者のカレル・チュルバはもちろん入ってません。


これは現場となった聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂のギャラリーで売っていた絵はがきです。Y嬢が二枚買ったのをブログ用にと一枚譲ってくれました。実際のアンソロポイド作戦に従事したメンバーの写真です。この国のメンズにはイケメンがいないと普段から思っていたのですが、彼らのポートレイトの実に凛々しく精悍なこと。イケメンではない人もいますが、大志を抱いている人間はやっぱりどことなく顔つきが違う。そういえば日本も戦争中お国のために徴兵されていく男子の顔つきがキリリと引き締まり、非常時で不謹慎ながらイケメンになって戦地に赴くメンズが増えたというエピソードをどこかで読んだことが。シリアスないい映画の感想だったのに、結局最後はイケメンかどうかという話に着地してしまった・・・。すみません。



ちょっと前に話題になった小説も、同じテーマを扱っているそう。読まなきゃ。



『海街diary』麗しの四姉妹 in 鎌倉、それだけでいい



        
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これも食べ物が美味しそうな映画でした。野菜の天ぷら、しらす丼、ちくわカレー、あじフライ定食、浅漬け、おはぎ・・・日本の日常に登場する美味しそうなものがいっぱいだよ、ママン・・・と、泣きたくなってしまいます。鎌倉のあじさい寺や花火大会も懐かしいよ、ママン・・・(私は神奈川県出身)。ということで、海街ダイアリーですよ。なんか私が今住んでいる街でも劇場公開されていたということを小耳に挟みましたが、普段からアンテナ張ってないとダメですね。

鎌倉の古い日本家屋に暮らす美人三姉妹。これだけでもうかなりドラマですが、なんと腹違いの四番目となる妹がいたということで、その子を引き取り美人四姉妹に。美しい鎌倉の季節の移ろいとともに過ぎ行 く彼女たちのそれぞれの人生を、情緒豊かに美味しいものも交えて描いた日本映画です(今更ですみません)。

これぞ一番上のお姉ちゃん!というしっかり者でやや自己犠牲的な長女の幸を綾瀬はるか、恋多き女で酒好きな次女の佳乃を長澤まさみ、姉たちと違う個性派ヒッピー風の三女の千佳に夏帆、突然登場した美少女中学生の四女、すずに広瀬すず、というキャスティングです。しっかり者の長女に快活な次女というのは若草物語ですな。

長女の綾瀬はるかは今時こんな女性がいるのかと思うくらい、クラシックな良妻賢母タイプ。和食の朝ご飯を人数分ちゃんと作ってるし、梅酒は仕込んでるし、看護師の仕事も頑張ってるし、凄いです。私服は開衿シャツにふんわりすぎないスカートみたいな 清楚さだし、昭和の日本映画に出て来る女優さんみたいですね。でも、綾瀬はるかだから浮いてません。馴染んでいます。他の同年代の女優さんにこの現代と矛盾しない昭和っぽさが出せるでしょうか。ここがすごいなと思いました。そんなお姉ちゃんは勤務先の小児科医、堤真一とお付き合いしています。不倫じゃあないみたいなんですが、堤真一には別れて暮らす妻子がいるようであまり二人の関係をオープンにはしていないんですね。

次女の長澤まさみは気っぷのいい姐さんキャラ。気がいいもんだから男にだまされては酒を飲むという感じです。禁欲的なファッションの長女とは違いノースリーブにミニ丈という格好をよくしています。家でもタンクトップ&ショーパンでうろうろしていて、めぞん一刻で言うなら六本木朱美さん的なポジか。なら長女の綾瀬はるかは響子さんだな。性格が真逆な為、長女とはちょっとケンカになること多しなんですね。次女の仕事場は信用金庫的なところで意外とかため。男に騙されたりしたけども、新しく営業ペアを組まされた真面目な加瀬亮とうまく行くんじゃないかなーといった感じで終ります。

三女の夏帆、ファッションはむげん堂やチャイハネぽいエスニックテイストで頭に布を巻いていたりして、姉妹で一番個性派なんですが性格は一番アクがないスッキリとしたいい子です。原作漫画ではなんとアフロヘアって設定なんですね。美人の上の姉二人に比べると、若干親しみやすいファニーフェイス。地元のスポーツ店勤務で、そこの店長と付き合っています。新しくやってきた四女のすずとは年齢が一番 近いせいか、よく面倒を見ているお姉さんです。

新しく仲間入りした四女のすずがまあ美少女です。最初はちょっと三姉妹に遠慮してたりするんですが、新しい学校にも慣れてサッカー部にも入って活躍するという活発な女の子。すずがどうして三姉妹のところに来たかというと、お父さんが亡くなって後妻さんとその連れ子と暮らすことになったんですが、それを三姉妹が知って引き取ったのでした。しかし、血を半分わけた子とはいえ多感な中学生をいきなり家族の一員として迎えるというのはすごいですね。私もその立場になったら迎えてあげたいのは山々だけど、経済的なことで躊躇してしまいそうです(鎌倉の家は持ち家だから家賃なしとはいえ)。

この四姉妹が前述したようなご飯を作って食べたり、縁側に集ってお茶を飲んだり、窓からまだつぼみの固い梅の木を眺めたり、由比ケ浜をそぞろ歩いたり、なじみの定食やでアジフライ定食を食べたり、晩夏に浴衣を着て庭で線香花火をしたりする映画です。劇中ずっとそんな感じでそれだけっちゃそれだけな映画なんですが、全然退屈じゃない。この麗しい四姉妹のことをこうしていつまでも見ていたいのう・・・と思わされるんですよね。透明感があって日本的情緒を感じさせる映像と空気感は、さすが是枝監督。

それにやっぱり鎌倉に行ってみたくなりますな。古都というだけでも魅力なのに海辺の街でもあるって素晴らしいではないですか。しらす丼も食べたいし、長澤まさみが彼氏と食事してたガラス張りの海が見える居酒屋みたいなところにも行ってみたい。鎌倉が地元の友人に帰省のときは是非連れて行って欲しいとお願いしたのでした。


『あん』心に染みる描写、自身のQOLへの課題も



       
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今年の春に開催された、居住する街の国際映画祭で上映されたラインナップのうちの一本でしたが、いつもの通り見逃していました・・・。予告編を周囲の人にも見せて楽しみにしていたのですが・・・。毎年夏は日本に帰省していた為、7月8月はザ・邦画祭り(韓流、華流、その他英語圏以外の国のも合わせて)していたんですが、今年は帰らなかったので久しぶりの日本映画です。

予告編を見た限りだと、美味しい餡子を作ることのできる樹木希林演じる不思議な老婆と、その周囲の人とのほのぼのストーリーだと思っていたんですが、美味しい餡子は物語の入口にしか過ぎなかったのです。しかし餡子ですよ、餡子 (餃子ではなく)。海外住まいだと、和菓子なんて日本からのお土産で頂く以外、お口に入る機会がありません(そのお土産だって頂くのは本当に本当にまれ)。ローカルにも和菓子を愛して下さる方や和菓子愛好家のような方がいらして、日本関連のイベントなどで手作りの和菓子を売っていたりするのですが。美味しくない訳じゃない、でもな~んか、な~んか、日本のとは違うんだよなあ・・・といったところです(もちろん日本人なだけで料理下手の私なんかより圧倒的にスキルフル)。

随分前ですが、東京にある製菓専門学校の文化祭に遊びに行ったことがあります。そこは洋菓子科と和菓子科にわかれていて、学生さんが作ったお菓子を良心的な価格で販売していました。和菓子科に留学生が何人かいらっしゃったのを覚えています。学生さんたちによるお菓子はとても美味しかった。 やはり、専門的に勉強したセミプロフェッショナルが作っているからでしょう。製菓やパンこそ如実にプロと素人の差が出る様な気がします。きっと和菓子の世界も寿司に負けずと奥が深く、デリケートな世界なのではないでしょうか。

しかし日本がスゴイと思うのは工場で大量生産された安い和菓子でもそれなりに、いやなかなか美味しいということですね。決して値の張る有名店のものでなくていいんです(もちろん美味しいですが)。私は日本にいる時、必ずスーパーやコンビニで買い物や用事を済ませると必ずおにぎりと大福やお団子、桜餅なんかを買ってしまいます。帰省中の今しか食べられないし、安くて美味しいし、買わない理由はありません。そして実家の家族に「また買って来た」と呆れられながら、いそいそと緑茶を入れて一人家庭甘味処をするのでした。そんなことばかりしているから帰省の度に数キロ肥えて帰って来ます。

ということで感想です。恥ずかしながら私は河瀬直美監督の映画を初めて観たんですが、内外で評価されているのがわかる気がしました。なんというか「映像の詩人」ってのはこういう作風のことを言うのではないだろうか・・・と思った訳です。商店街の隅で咲く淡く儚げな満開の桜、春の柔らかな光の中でどら焼きをつつく女子中学生たちのセーラーカラー、大きな鍋の中でふつふつと煮られている小豆の美しい照り、早朝にアパートの屋上でタバコを吸う中年男の孤独なシルエット、初秋の風に吹かれた雑木林が奏でるざわざわとした音、道の隅の方に吹寄せられては散らされる落ち葉たち・・ ・。何気ない描写が本当に美しいのです。ちょっと美化されすぎてる感もなくはないのですが、何もかもがキラキラと、そして若干ぼんやりとして見えていた子供時代のフィルターを通して再び日常生活を見た感じ。綺麗なんだけど、なんだかはかなげで切なくて心がギュっとするんです。



※ネタバレします。




孤独な訳ありぽい男、千太郎(永瀬正敏)は商店街にあるプレハブ小屋で、どら焼きやを営んでいました。あるとき謎の老婆、徳江(樹木希林)がバイト募集の張り紙を見てやって来ます。高齢なので雇えないと断るのですが、徳江は自作の餡子をそっと置いて帰って行くのでした。その餡子がめちゃめちゃ美味しかったことに驚いた千太郎は徳江を雇い入れ、徳江の餡子は人々を魅了しお店は大繁盛。しかし、徳江には誰も知らない辛い過去があったのでした・・・。どら焼きや繁盛記かと思ったら、その奥には難病や死ぬこと、そして有限の人生をどう生きるかというテーマが隠されていたのです。すでに樹木希林が故人となった後でテープ再生される千太郎たちへのメッセージが、それに重ねて映される自然の風景が、本当にあたたかくて切ない。

樹木希林の演技がまた素晴らしい。今回もいつものようにちょっと変わったおばあさんなのかな?って思ったんだけど、それは最初だけ。時代柄、差別の対象とされた難病と共に生きた芯の強い女性を演じていました。病気やハンディキャップがあっても、上質なQOL、クオリティー・オブ・ライフをおくっている人って本当に素敵だし、尊敬します。施設にいる親友役の市原悦子もグッジョブでした。先に観ていた友人は「大森南朋が出てるよ」と言っていたのでいつ出て来るんだろうと思っていましたが、それは永瀬正敏でした(笑)。彼もいつもの通りよかったですね。「家族もいなそうだし、この人もきっと訳ありなんだろうな・・・」って思っていたらその通りでしたが、もっとヘビーな前科がついているのかと思っていました。もう一人メインキャストとして、どら焼きやの常連の女子中学生の佳子が出て来るんですが、この子も丸ボウロのような素朴な顔立ちで、素直な中学生らしい演技がいいなあ〜と思っていたら、エンドロールで「内田伽羅」と出て樹木希林の孫ということが判明!てことはモックンと也哉子の娘かい!おじいちゃんはシェゲナベイベーかい!とビックリしました。

そういやモックンも似た様なテーマの映画(「おくりびと」)に出ていましたな。この映画は色々賞を取ったけど感動させよう、させようとしていて、私は好きじゃないんですね。滝田洋二郎監督のことを「たまたま賞をもらっただけで、たいした監督じゃない」とバッサリ言っていたローカルの知人がいましたが、私も多少そう思ってしまったのでした。

閑話休題。「あん」では主人公たちの大切などら焼きやを脅かす存在として浅田美代子とその甥っ子(大賀)が登場しますが、彼らの描かれ方がちょっとステレオタイプだったかなあとも思いますね。浅田美代子は千太郎のお世話になってる先輩の奥さんで、どら焼きやのオーナー。どこからか徳江の病気のことを知った彼女は千太郎に懸念を伝えるのです。今はハンセン病って治療出来るし伝染もしない病気なのに、ちょっと大袈裟じゃ?って思いましたが、まあ話の展開には必要だったのでしょう。浅田美代子が座敷犬みたいなのを連れてるのがよかったですね。小型犬をやたら可愛がっているババアは嫌な奴が多いという、これもちょっとステレオタイプか(笑)。でもあんな小さな食べ物屋さんの厨房に犬を連れて来る方がダメなんじゃね?

あと彼女が次期店長として連れて来る出来の悪そうな甥っ子の描写ですね。どら焼きや餡子に思い入れ全くナシ、ドロップアウトしかけのゆとりです!みたいな感じが、またちょっとステレオタイプかな~と(笑)。まあ彼に罪はないのですが。リノベーション入ったどら焼きやの小屋が若干若者向けにお洒落になっていたような気がします。

この悪役たちの登場に千太郎や女子中学生の佳子はかなりムッとした雰囲気になってしまうんですが、ここもわかりやす過ぎたかも。ちょっとした戸惑い描写くらいでよかったんじゃないかなという気もしました。そうしたらラストで千太郎が公園でどら焼きを売り始めたときに「ああ、やっぱり自分の道を選んだんだな・・・」と回収できるんじゃないかなと思ったので。たとえそれが非現実的だったとしても。

まあそういったところはあるのですが、それを差し引いても前述の美しい詞のような映像の素晴らしさが失われる訳ではありません。毎日漫然と生きている中で、生きて行く意味って何だろう、そもそも意味なんか見つかるのだろうか、そんな漠然と大きいことを考えるよりも日々のクオリティー・オブ・ライフ向上に努めた方が簡単かもしれない、でも小豆煮たりするのは面倒くさい・・・という思いが私の中でぐるぐると回るのでした。あとは、どら焼きが食べたくなります。私はセンターに大きな栗が入ったのがいいな。




『X-MEN アポカリプス』もしかしてMCU最優良コンテンツ?



                            


シビル・ウォーに続きマーベル映画です。これは面白かったですね~。なぜならストーリー、英語ともに明解で私でも理解することが出来たからです!でも明解ゆえにフックがちと足りなかったような感じも・・・。しかし、これも2~3ヶ月前の鑑賞だった為、記憶があいまい!ただ面白かったってことは覚えているんだけど・・・。ということで、記憶を探り探りしながら箇条書き感想を書いて行きたいと思います。

その前に前作の復習。

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』今日の親友は明日の敵か・・・

『X-MEN: フューチャー&パスト』みんな仲良く!



※ややネタバレします。



・今回もですけど改めてマーベル・シネマティック・ユニバース中でも、X-MENはどれもクオリティーが高いんじゃないかと思いました。X-MENで微妙な仕上がりになってしまった作品てあんまりなくないですか・・・?常にある一定のクオリティー以上をキープし続けているような気がします。そしてプロフェッサーXやマグニートがおじいちゃんのときからシリーズが始まっているので「実はこんな過去があったんですよね〜」ってプレイバックが新作で出来る。青年がおじいちゃんになる間まで話が作り放題なわけで、つじつまさえ合わせておけばアレンジは無限大。改めて実に優等生なコンテンツだと思うのでした。

・今回のマグニートことエリック(マイケル・ファスベンダー)はポーランドの山奥の工場で働きながら、妻子と一緒に暮らしているという設定。予告編で赤と黒の チェックのシャツを着ていたので「なんかエリックおしゃれになってんな」と思ったけど、そのシャツは田舎の労働者表現なのでした。妻との間には6歳くらいの娘がいます。しかし色んな所で子供を作っているなあ、マグニート。クイックシルバーとは異母兄弟になるわけですね。しかし、マグニートはどこまでも悲劇の人。あるとき能力を使って工場での事故から同僚を救うのですが、誰かが秘密警察?的なところに密告した為に妻子と引き離されてしまうことに。そのもみ合いで妻子が亡くなってしまうんですよ。どうやら娘には動物を操るという能力があったみたいなんですが・・・。再び復讐の鬼となったマグニートはその場で警察たちを皆殺しにするのでした。彼は両親も自分の能力がらみの事件で殺されているし、もう本当に可哀相ですね。

・振り返ってみると前々作がキューバ危機のあった66年。前作が73年で、本作が83年らしいので、シリーズ中では約20年の時が経過。劇中で1作目の頃のエリックとチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)が出て来るんですけど、二人ともツルっとしていて若い!!別に今が老け込んでるってわけでも全然ないんですが、リアルな時の経過では6年の時の流れのようなものを感じました。ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)が、ジーン(ソフィー・ターナー)に「初めての戦いのときはアタシもアンタくらいだったわね」と言うシーンもあります。てことはミスティーク今アラフォーくらい?

・今回は旧シリーズでファムケ・ヤンセンが演じていたジーン、ジェームス・マースデンが演じていたサイクロップス、ハル・ベリーが演じていたストームの若かりし頃が別の役者で描かれます。特に印象に残ったのがジーンでしたね。ジーンって目からビームや雷を操る他の二人と比べると、能力が予知能力や念力みたいにちょっと地味(でもポテンシャルは高い)。でも演じているソフィー・ターナーがものすごい美少女で、彼女が後半で重要な役割を果たすんですよ。それが神々しくて「すごい子が出て来たなあ」と思ったのでした。

・劇中でなんとなくホッとするのがX学園のシーン。重厚なレンガ作りの建築(ツタ絡まってたり)がいいんですよね。そこにはハンク(ニコラス・ホルト)はじめ優しい先生たちがいて、みたいな安らぎがあるんですよ。チャールズとハンクの信頼関係が出ている演技もいい。マカヴォイとホルトちゃん、いかにもイギリスのグッドボーイという感じで安心して見ていられます。ハンクとミスティークのシーンは中の人二人が付き合っていたということを観客も知っているので、二人が話すシーンは「ああ・・・」とちょっぴり切なくなるところ。フィクションとリアルが絡まり合ったケミストリーですな。

・今回の敵がまた壮大すぎて受けましたね。なにしろオープニングが紀元前のエジプトなんだから、スケールがでかいわけです。タイトルにも冠されているアポカリプス(オスカー・アイザック)という悪いファラオみたいのがミュータントパワーをキープし続けたまま数千年の歴史から目覚めるんですが。演じているオスカー・アイザックは「エクス・マキナ」でIT長者をやっていたインド人みたいな人でしたが、本作では素顔を晒していないので誰がやってるんだか全然わかりませんね。現代に蘇ったアポカリプスが4フォースメンという配下を従えてやってくるんですが、それが復讐心から悪に再び寝返ったマグニート、雷のストーム(アレクサンドラ・シップ)、邪悪なエンジェル(ベン・ハーディ)、女子プロの悪役みたいなサイロック(オリヴィア・マン)という構成です。ストームとエンジェルはまだ若いので戦いが終了した後に改心しX学園の生徒になるんですよね。ストーム最初は敵だったのか!と驚きました。ところでジェームズ・マカヴォイは私生活で一児をもうけた妻と離婚し、今はストーム役のアレクサンドラ・シップと交際中との噂が。もし本当ならX-MENの現場もいっぱいカップル誕生してますね。

・今回も大活躍だったのがクイックシルバー(エヴァン・ピーターズ)。もう彼が能力を発揮するシーンは痛快そのもので、本作で一番エキサイティングと言っても過言ではないでしょう。ただサクサクと人命救助するんじゃなくて、途中で人のドリンク一口もらったり、屋上でキスする途中のカップルにオエっと毒づいたりしてるのが本当に最高です。私は以前に超高速移動できるクイックシルバーの能力こそが最強と書きましたが、今回はそれがアポカリプスに通用しない場面がありました。そこは「ああ、クイックシルバーでさえも!」と心が折れちゃいましたね。彼が人命救助したもののX学園は爆発でバラバラに。それを後日ジーンとマグニート(しかし寝返ったり戻ったりが忙しいね)が能力を使って修復。これは便利な能力ですね~。人件費が少なくて済みそうだし、建築ビジネスも出来そうです。ストームがクイックシルバーに「あんたマグニートの息子なんだってね。彼に言わなくていいの?」と訊ねますが「このままでいいんだ」とクイックシルバー。しかし最近入学したストームが知ってるくらいだから知れ渡るのは時間の問題なんじゃ・・・?

・今回カメオでウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)が登場!秘密の研究施設みたいなところで人体実験されていたところをジーンたちに救われ、一言もセリフを発さずに雪山に逃げて行くというほとんど珍獣扱い。将来、ウルヴァリンはファムケ・ヤンセンになったジーンに言い寄るんですよね。目からビームのサイクロップスと三角関係になったりして。そんな3人の一瞬のコンタクトなシーンでした。

・毎回カメオ出演のスタン・リー様ですが、私はどこに出ていたのかすっかり忘れてしまいました・・・。エンドクレジット後のおまけシーンは研究施設で採取されたぽいウルヴァリンの血清がどうこうみたいなシーンだったかな。

今のところ、スタン・リー様のカメオシーン最新版はデッドプールまでのコレみたいです。





続編ですが、脚本家が「次作は90年代が舞台」とコメントしているとか。90年代つーと、もうそろそろマカヴォイがパトリック・スチュアートに、おファスがイアン・マッケランになってしまいそうな感じですが・・・。あと、おまけシーンがウルヴァリンの次作と、ガンビット(チャニング・テイタムがキャスティング)というキャラの映画にも繋がるそう。楽しみに待ちたいと思います。

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